JP3223226U - 穿孔用清掃ブラシ及びあと施工アンカー - Google Patents

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Abstract

【課題】煉瓦造建物などに設けるあと施工用アンカーのために穿孔をきれいに清掃することができるブラシを提供する。
【解決手段】あと施工アンカー用に削孔した穿孔の清掃ブラシであって、
清掃ブラシは、軸部と、羽根部とを備え、
軸部は、複数の鋼線を撚った撚線軸部であり、
羽根部は、軸部の撚線に螺旋状に植設された鋼線製のワイヤ毛材で構成されており、羽根部の径は穿孔径より0.5〜2mm大きく、ワイヤ毛材の植設範囲が穿孔深さの1/6〜1/2である穿孔用清掃ブラシ。
【選択図】図1

Description

本考案は、煉瓦造建物や鉄筋コンクリート造建物にあと施工アンカーを設ける技術に関する。
既存の建物に増し打ちするなどして補強する技術がある。補強構造物を増築する際に、新旧建造物を連結する技術としてあと施工アンカー特許文献1(特開2018−109337号公報)が用いられることがある。
あと施工アンカーは、既存の鉄筋コンクリートや煉瓦を削孔して穿孔を設け、その穿孔に接続用のアンカーとなる鉄筋などを埋め込むものである。アンカーを接着剤でしっかり定着させるには、孔の中に削り屑が残らないように清掃することが大事である。
例えば、特許文献2(特開昭63−318206号公報)に螺旋状に植設されたワイヤブラシを用いてコンクリートに削孔された穿孔を清掃することが開示されている。
特開2018−109337号公報 特開昭63−318206号公報
本考案は、煉瓦造建物などに設けるあと施工用アンカーのために穿孔をきれいに清掃することができるブラシを提供することが目的である。
1.あと施工アンカー用に削孔した穿孔の清掃ブラシであって、
清掃ブラシは、軸部と、羽根部とを備え、
軸部は、複数の鋼線を撚った撚線軸部であり、
羽根部は、軸部の撚線に螺旋状に植設された鋼線製のワイヤ毛材で構成されており、羽根部の径は穿孔径より0.5〜2mm程度大きく、ワイヤ毛材の植設範囲が穿孔深さの1/6〜1/2程度であること、
を特徴とする穿孔用清掃ブラシ。
2.清掃用ブラシの先端側のワイヤ毛材は、大径又は/及び高密度に植設されていることを特徴とする1.記載の穿孔用清掃ブラシ。
さらに、清掃用ブラシの先端側のワイヤ毛材の植設密度を基部側よりも高くしたことを特徴とする。
3.螺旋のピッチは5〜20mmであることを特徴とする1.又は2.記載の穿孔用清掃ブラシ。
さらに、ブラシ回転方向と逆向き螺旋にワイヤ毛材が植設されていることを特徴とする1.又は2.に記載の穿孔用清掃ブラシ。
4.軸部の基端は、回転用電動工具装着用のアタッチメントとなっていることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の穿孔用清掃ブラシ。
5.穿孔が煉瓦造建物に設けられた穿孔であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の穿孔用清掃ブラシ。
6.1.〜5.のいずれかに記載された穿孔用清掃ブラシで清掃された、アンカー筋径の10倍以上であって深さ150mm以上の穿孔にアンカー筋が接着材によって固定されていることを特徴とするあと施工アンカー。
1.本清掃ブラシは、煉瓦やコンクリートに穿孔した孔壁より切粉をかき落としつつ、孔内に残る切粉を集めて、孔外に効率よく排出することができ、穿孔内壁に小さな凹凸を形成するとともに、きれいにすることができる。これによりあと施工アンカー用の鉄筋等の付着力を十分に確保できることとなる。
2.鋼線製の毛材を用い、孔径よりも若干大きく羽根部を形成したので、孔壁にこびりついた切粉を掻き落すことができ、孔壁に引っ掻き傷ができ、この微小な凹凸に硬化した接着剤が投錨作用を発揮して、付着力が向上する。
3.ワイヤ毛材の植設範囲が穿孔深さの1/6〜1/2であるので、捕捉された切粉はらせん状に設けられたブラシ毛材部で後方に送られて、羽根部の後方の軸部に集積されるので、羽根部で固まらずに、排出することができる。つまり、羽根部は切粉を捕捉して後方へ送る移送の機能を果たし、その後方にある毛材が植設されていない軸部のみ部分が切粉の集積部の機能を果たすこととなる。
特に、煉瓦積みの構造物に形成するあと施工アンカー用の穿孔は、付着強度がコンクリートの場合よりも低いため、鉄筋コンクリート構造物に形成する穿孔よりも深くなる。その孔は、アンカー筋径の10倍以上で、150mm以上の深さになることが多く、このような深い孔に残る切粉の量は多く、軸部のほぼ全長に毛材が植設されたブラシでは、植設した毛材の間と螺旋ピッチ間で圧設されて、切粉が詰まってしまいブラシ機能が低下する。本考案の穿孔用清掃ブラシでは、軸長の前半部分に毛材を植設しているので、過度に圧設されずに毛材のない後方部分に切粉が集積されることとなる。
4.本清掃用ブラシの螺旋のピッチは、5〜20mmが適している。
また、先端側のブラシ毛材の植設密度を高くすることによっても、先端側の切粉掻き落し機能と捕捉機能の向上を図ることができる。
5.ブラシ回転方向と逆向き螺旋にワイヤ毛材を植設することにより、切粉の搬出性能を向上させることができる。ブラシの基端部はインパクトレンチやスクリュードライバーなどの回転工具に取り付けることができるようにアタッチメントとするのが適している。
6.本考案の清掃用ブラシは、特に、含水している古い煉瓦造建物用のあと施工用のアンカー孔の清掃に効果を発揮する。古い煉瓦造に使用されている煉瓦は、普通煉瓦に比べて30〜80%ほど吸水率が高く、野外に曝されているので、含水している可能性が高い。穿孔した孔にへばりついた湿った切粉を本考案の清掃用ブラシは、効率よく排出することができる。
7.本考案の清掃用ブラシは、上記したように清掃困難な水分を含んだ古煉瓦に設けた穿孔に対して清掃機能を発揮するので、乾いた煉瓦やコンクリートに設けた穿孔に対する清掃機能も十分に発揮する。コンクリートも環境条件などによって、劣化が進み、付着強度を確保するために、通常よりも深い孔を設ける場合があり、このような深いコンクリート孔に対して、有効な清掃機能を発揮する。特に、鉄筋コンクリート造においても、穿孔深さが長く、湿った切粉が孔壁に付着した状態の穿孔の清掃には効果を発揮することができる。
8.本清掃用ブラシを用いて清掃した煉瓦造建物やコンクリート造建物に設けた穿孔に接着材を用いて固定されたあと施工アンカーは付着強度が高く、安定している。
穿孔用清掃ブラシの例 穿孔中にブラシを差し込んだ状態を示す図 清掃工程の概略を示す図 清掃後の穿孔の壁面状態を示す図 付着力試験における付着力試験体を示す図 煉瓦材料の物性を示す図 試験要因および結果を示す図 付着力試験を示す図
本考案の清掃ブラシ1は、あと施工アンカー用に削孔した穿孔の清掃ブラシである。本清掃ブラシは、軸部2と、羽根部3とを備え、軸部2は、複数の鋼線を撚った撚線軸部であり、羽根部3は、軸部2の撚線に螺旋状に植設された鋼線製のワイヤ毛材31で構成されており、羽根部の径は穿孔径より0.5〜2mm大きく、ワイヤ毛材の植設範囲が穿孔深さの1/6〜1/2である。清掃ブラシは穿孔の深さより長く、軸部の後端の構造はインパクトレンチなどの回転駆動装置に取り付けることができる構成とする。
穿孔深さが長い煉瓦造のあと施工アンカー用の孔では、孔の深い位置でも清掃をする必要があるが、ブラシの羽根が長い場合には切粉が目詰まりして、清掃が十分にできないので、ワイヤ毛材の植設範囲は穿孔深さの1/6〜1/2が適している。また、コンクリートでも、高い付着強度を得るために深い孔を設ける場合や、湿ったコンクリートに設けた孔では同様の問題があり、本清掃用ブラシは、コンクリートに設けたあと施工用アンカーの穿孔の清掃に適している。
羽根部の径は、先端が大きく、基部側が小さく形成することがより好ましい。ワイヤ毛材を植設する螺旋のピッチは5〜20mmであることが好ましい。さらに、螺旋のピッチは先端側が小さく、後方につれて大きくすることができる。これらの構成により、先端のブラシ毛材が掻き落し機能と切粉の捕捉機能を果たし、後方のブラシ毛材は、捕捉した切粉を過度に圧縮することなく後方へ搬送する機能を果たす。
煉瓦造のあと施工アンカー用の穿孔は、鉄筋の付着性能を確保するには深さが150mm以上でアンカー筋径の10倍以上を必要としている。煉瓦積みの構造物に形成するあと施工アンカー用の穿孔は、鉄筋コンクリート構造物に形成する穿孔よりも深くなる。その孔は、アンカー筋径の10倍以上で、150mm以上の深さになることが多く、このような深い孔に残る切粉の量は多く、軸部のほぼ全長に毛材が植設されたブラシでは、植設した毛材の間と螺旋ピッチ部で圧接されて、切粉が詰まってしまいブラシ機能が低下する。本考案では、軸長の前半部分に毛材を植設しているので、過度に圧接されずに毛材のない部分に切粉が集積されることとなる。
なお、高い強度を実現する場合や、脆いコンクリートの場合では、鉄筋コンクリート造に深い孔を設ける場合があり、このような場合では、同様に切粉を排出することができる。
羽根部の構成には次のようなバリエーションがある。
軸の先端にワイヤ毛材を溶接などにより植設し、穿孔の底部もよく清掃できるようにする。
ワイヤ毛材の螺旋ピッチを後側が大きくする。捕捉された切粉が後ろに送られるにつれて、ブラシ毛材の間で詰まってしまうのを防ぐ。
ワイヤ毛材を先端側が高密度になるように植設する。清掃ブラシ先端側の掻取り力を大きくすることができる。この場合、高密度に植設されたワイヤ毛材の長さを他の部分よりも少し短くして、回転抵抗の増加を押さえる。
ブラシ回転方向と逆向きの螺旋にワイヤ毛材が植設されていることが好ましい。ブラシの回転方向を逆向きの螺旋に植設されたブラシ毛材を用いることにより、切粉の搬出性能が向上する。
清掃用ブラシは、インパクトレンチなどのハンディな手動工具に取り付けて使用できるようにブラシの軸の基部にはアタッチメントを設けるのが好ましい。煉瓦造の建物に設けられる穿孔は、多数が点在しているので、使い勝手の良い手持ち工具が適している。
煉瓦母材に穿孔した孔内を、機械によりこの清掃用ブラシを回転させながら出し入れし、孔壁から切粉をかき落として孔外に排出し、残余の切粉を吸塵して清掃したのち、孔内に接着剤を設置してアンカー筋を挿入して設置する煉瓦造建物に設置するあと施工アンカーの施工方法に適している(特許第5775362号公報 第3図参照)。設置されたあと施工アンカーは、引き抜き試験をした結果、レンガ母材部分で剥離が生じており、あと施工アンカーの付着はレンガ母材よりも大きくすることができることが確認でき、十分な強度が得られた。
以下図に沿って、実施態様を説明する。
<実施態様1>
煉瓦造穿孔に使用する清掃用ブラシの例を図1に示す。
煉瓦造に設けたアンカー用の穿孔を清掃する清掃用ブラシ1は、軸部2と羽根部3を備えている。
軸部2は、径1mm前後の金属線を4本撚って形成されている。ブラシの羽根部3が穿孔径よりもやや大きいので、ブラシの回転や出し入れ時に軸が曲がらずに回転する必要があり、その強度を確保できる金属線を選択する。軸の基端12にはインパクトレンチなどに装着できるようにアタッチメントが形成されている。
羽根部3は、軸部2を形成する複数の金属線に挟み込んで撚りを掛けることによって形成された撚線に螺旋状に植設された鋼線製のワイヤ毛材31で構成されている。ブラシ毛材は、0.1〜0.2mm径のスチールワイヤやステンレスワイヤが適している。
羽根部径Dbは穿孔径より0.5〜2mm大きく、ブラシ毛材の植設長Lbは穿孔深さLh(穿孔進入長La)の1/6〜1/2が適切である。羽根部径Dbを穿孔径Dhより3mm大きくした場合、穿孔の孔壁との摩擦抵抗が大きくなりすぎ、実用性が低下する。
なお、本例は、全長が360mm、穿孔侵入長La(進入可能な長さ)310mm、ブラシ毛材の植設長Lb80mm、羽根部径Db25mmに設定されている。
ワイヤ毛材31は、穿孔の最深底部も清掃できるようにブラシの先端部まで植設されていることが好ましい。羽根部3の先端が露出するような場合、ワイヤ毛材をロウ付けして先端部までワイヤ毛材を装着することもできる。
細いワイヤ製の毛材31は、螺旋状に植設されている。穿孔に侵入させるブラシの回転方向と逆向きの螺旋が切粉を捕捉し排出するには適している。ブラシの回転に用いる機械は、インパクトレンチなどがよく、回転数は2000〜3000rpm程度である。ブラシと組み合わせることで、作業者が、多数設けられた、深い穿孔でも容易に清掃作業が可能である。
なお、ナイロン製の毛材は、先端が曲がり孔壁の掻き取り性能が弱く、湿った切粉を孔壁に塗り付けることになることもあり、適していない。
図2に穿孔中に清掃用ブラシ1を差し込んだ状態を示す。
煉瓦造5に設けたあと施工アンカー用の穿孔4は、穿孔径Dh、穿孔深さLhを有している。穿孔径Dhは、挿入するアンカー筋よりもやや大きく、穿孔深さLhはアンカー筋が十分な付着力が得られる深さが必要で、アンカー筋径の10倍以上となる150mm以上が通常である。
したがって、図1に示す清掃用のブラシ1と穿孔4のサイズ関係は、羽根部径Db>穿孔径Dh、穿孔進入La≒穿孔深さLh、1/6穿孔深さLh<植設長Lb<1/2〜1/6穿孔深さLhとなる。
使用するあと施工用のアンカー筋の大きさによって、必要となる穿孔の大きさは決まるので、ブラシのサイズもアンカー筋のサイズにしたがって、数種類準備することとなる。
母材が煉瓦造の場合は、通常のコンクリートに比べて切粉の粒子が細かく孔壁に付着しやすい。煉瓦造に設けるあと施工アンカーは、コンクリート造より付着強度が約70%(≒5/7倍)ほど小さいことから、長い穿孔深さ(アンカー筋の埋め込み長さ)が必要となる。そのため全体の切粉の発生量が必然的に多くなるが、本清掃用ブラシは切粉を詰まらせることなく排出することができる。
あと施工アンカー用の孔の形成は、ドリルなどの掘削具を使用した穿孔、穿孔内の切粉をブロアー吸引し、壁面などに付着する切粉をブラシで清掃し、残っている細かな切粉をブロアー吸引して、切粉を取り払ってきれいな孔を形成する。これは、アンカー筋を接着剤などで孔に固定するにあたり、切粉が残っていると付着力が不足する原因となるからである。
古い煉瓦は吸水性も高く、目地のひびなどからの水の侵入もあって、煉瓦内部の含水率が高いことがあり、湿った孔壁には切粉がへばりつきやすく、また、湿った切粉自体も固まりやすいのでブラシが目詰まりしやすい。
図3に、穿孔のブラシ清掃工程の概要を示す。
清掃は、穿孔4に清掃用ブラシ1を回転させながら数回出し入れして切粉を捕捉して排出する。
A工程:清掃用ブラシ1を回転させながら穿孔4に挿入する。その過程で、清掃用ブラシ1の毛先は壁面を引っ掻くように接触して、壁面に付着している切粉を引きはがして、螺旋ピッチなどに捕捉する。螺旋がブラシの回転と逆向きなので、切粉は先端側から上方に送ることができる。
B工程:穿孔4の底まで清掃用ブラシ1を挿入した状態で、短時間回転させる。底付近の切粉もブラシ毛材に捕捉されて、上方へ送られ、ブラシ毛材がない軸部に集積される。
C工程:切粉を軸部に集積した状態で、ブラシを回転させながら上方に引き抜く。切粉はさらに上方に送られて、軸部の集積量が増える。
D工程:清掃用ブラシ1の羽根部を孔口まで引き上げると、軸部に集積されている切粉が口外へ排出される。
このA〜D工程を数回繰り返して、切粉を排出する。
この過程で、鋼線製のブラシ毛材が孔壁を引っ掻くので、孔壁が粗面化して、凹凸に伴う付着力の向上も図ることができる。
本清掃用ブラシは、ブラシ毛材の植設範囲の上部に軸部だけの部分が大きく存在するので、ブラシ毛材に捕捉された切粉は、上方の軸部の周囲の空間にたまり、ブラシ毛材の目詰まりが防止される。
<清掃試験>
水中に浸漬し煉瓦を湿潤状態にした後,φ24のドリルにて穿孔した。湿った煉瓦に穿った穿孔に対して穿孔径よりも1mm大きいブラシ毛材を逆向き螺旋に植設したブラシを用いて図3に示す清掃を行った。ブラシを回転する動力としてインパクトドリルを使用した。本清掃用ブラシと従来使用されているナイロンブラシを用いた孔の壁面の状態を図4に示す。
図4(a)(b)がワイヤーブラシ毛材を植設した本清掃用ブラシを用いた孔の状態を示し、図4(c)(d)はナイロン毛材を植設したブラシで清掃した孔の状態を示している。
本清掃用ブラシで清掃した壁面には微小な凹凸が形成されている。これは、壁面に付着している切粉と壁面の弱い部分がはぎとられて粗面化した状態を示している。この粗面化壁面は接着剤が食い込んで、接着剤と孔壁の付着強度を向上させることとなる。
これに対して、比較例では、壁面が平滑になっている。これは、壁面に湿った切粉が塗りつけられた状態で付着している状態を示している。ナイロンブラシでは、毛先が曲がってしまい、掻き取る能力が低下し、壁面をなでることになってしまった結果を示している。
なお、本考案者らは予備試験として、軸の全長に渡って植設されたブラシを用いて、清掃試験を行った。その結果、煉瓦造の付着強度は母材がコンクリートの場合よりも小さいことから穿孔深さが必然的に長くなる煉瓦造の穿孔では、切粉の量が多くなり、羽根に目が詰まることなどからブラシの効果が低下する、途中で切粉が固まるなどの課題を知見した。さらに、レンガの切粉の粒子が細かく湿潤な場合に粘性が高くなるため孔壁に付着しやすく、また、清掃時に塊となりやすく充分な清掃を行うにはより困難となることも判明した。
<付着力試験>
1試験体
清掃の検証試験体は、φ216の鋼管内に煉瓦を埋込み、鋼管との空間に無収縮モルタルを充填、水中に浸漬し煉瓦を湿潤状態にした後、φ24のドリルにて穿孔した。本考案の清掃用ブラシと従来のナイロンブラシを用いて孔内を清掃した。したがって、穿孔径は24mmである。
この清掃後の孔にアンカー筋を埋め込んで、付着力を見る引っ張り試験用の試験体を作成した。試験体は、図5に示す通り鋼管に拘束された状態であり、煉瓦体と鋼管との空間に無収縮モルタルを打設して製作した。使用したアンカー筋は、ねじ節のD19(SD490)とし、有効埋込長さleは95mm(=5d,d:アンカー筋よび径)とし、その1の試験体に再施工したNo.T4のみ有効埋込長さleを133mm(=7d)とした。アンカー筋と孔壁との間には接着用の樹脂が注入されている。
試験要因は、接着剤種類、清掃方法および母材(煉瓦)種類とし、要因を組み合わせて10種類、同一要因で3体設定した。アンカー施工時の煉瓦は湿潤状態になるように煉瓦体を3日間水に浸漬させた後に試験体を作成し、グラウト硬化から施工まで更に水に浸漬させて養生した。
接着剤の種類:接着剤は、エポキシ系(EP)、エポキシアクリレート系(EA−1)、比較としてメーカーの違うエポキシアクリレート系(EA−2)、セメント系(C)の4種類を用いた。接着剤は接着系・注入方式・カートリッジタイプを用いた。
煉瓦体の種類: JIS R 1250の4種に適合する普通煉瓦、1910年代に福島県内で竣工した建築物に使用された古煉瓦A 、東京都内で1910〜1920年代に竣工した建物で使用されていた古煉瓦B。煉瓦材料の物性値を図6(表1)に示す。
試験体数:3体(a、b、c)/1種類
このようにして構成された試験体を図5に示す。
2.試験条件
載荷試験は、自己反力型とし、引張実験は反力プレートを設置してアンカー筋に引張力を与えた。
3.実験結果
試験結果と付着が切れた破壊モードの状態を図7(表2)に示す。
特に、本考案の清掃用ブラシを用いた清掃方法のほうが、従来のナイロンブラシを用いた清掃方法よりも大きな付着強度を発揮することが確認された。古煉瓦Aでも、普通煉瓦程度の付着強度を発揮している。なお、古煉瓦Bは圧縮強度などが弱く、吸水率も高くなっており、このような古煉瓦では、付着強度が低くなるが、この場合でも、清掃の効果が得られていることが確認された。
清掃方法による付着強度の差異について、エポキシ系樹脂の例を用いて、比較した結果を図8に示す。本考案の清掃用ブラシを用いた新工法(T2)は、ナイロンブラシを用いた従来工法(T1)に比べて約2割以上付着応力度が向上、アンカー筋が降伏するまでの強度の上昇が認められる。したがって、安定的な付着性能の確保には清掃が重要であると考えられる。
エポキシ系とエポキシアクリレート系を比較した結果では、普通煉瓦へ従来清掃方法で施工した場合、エポキシアクリレート系(T8)は小さな付着応力度で抜出しているが、エポキシ系(T1)は付着強度が高く、樹脂の種類で性能が大きく異なる。
エポキシ系樹脂を使用して本考案の清掃用ブラシを用いた新工法で施工した場合、煉瓦種類による付着強度は煉瓦強度の高い普通煉瓦(T2)、古煉瓦A(T3)、古煉瓦B(T5)の順に高く、弱い強度の煉瓦に対しても上記の樹脂・清掃方法の組み合わせで付着性能が確保されている。
接着剤にセメント系を使用し本考案清掃用ブラシを用いた新工法で施工した場合の煉瓦種類による差異を示し、セメント系の付着強度は、強度の低い古煉瓦B(T7)で8.6〜11.1N/mm2であり、エポキシ系より若干強度低下する結果である。
再施工(T4)した場合でも付着強度は16.8〜18.5N/mm2程度得られ、アンカー筋の降伏も認められ、十分に性能が確保されている。
以上のように、清掃方法として新工法を用いるとともに樹脂材がエポキシ系またはセメント系の製品を使用することで、湿潤状態でも付着性能が確保される。
1 清掃用ブラシ
11 先端
12 基端
14 姿勢案内部
2 軸部
3 羽根部
31 ブラシ毛材
4 穿孔
5 煉瓦造
51 切粉

Db 羽根部径
La 穿孔進入長
Lb 植設長
Lh 穿孔深さ
Dh 穿孔径

Claims (6)

  1. あと施工アンカー用に削孔した穿孔の清掃ブラシであって、
    清掃ブラシは、軸部と、羽根部とを備え、
    軸部は、複数の鋼線を撚った撚線軸部であり、
    羽根部は、軸部の撚線に螺旋状に植設された鋼線製のワイヤ毛材で構成されており、羽根部の径は穿孔径より0.5〜2mm程度大きく、ワイヤ毛材の植設範囲が穿孔深さの1/6〜1/2程度であること、
    を特徴とする穿孔用清掃ブラシ。
  2. 清掃用ブラシの先端側のワイヤ毛材は、大径又は/及び高密度に植設されていることを特徴とする請求項1記載の穿孔用清掃ブラシ。
  3. 螺旋のピッチは5〜20mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の穿孔用清掃ブラシ。
  4. 軸部の基端は、回転用電動工具装着用のアタッチメントとなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の穿孔用清掃ブラシ。
  5. 穿孔が煉瓦造建物に設けられた穿孔であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の穿孔用清掃ブラシ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載された穿孔用清掃ブラシで清掃された、アンカー筋径の10倍以上であって深さ150mm以上の穿孔にアンカー筋が接着材によって固定されていることを特徴とするあと施工アンカー。
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