JP3220906U - 台車用アシストユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】ハンドル操作したときの操作量に応じた外力を高精度に検出して適切なタイミングでアシスト制御を行うことができる台車用アシストユニットを提供する。【解決手段】既存の手押し型台車に着脱可能であって、台車本体10の操作ハンドル14の把持部14bに取り付けられるハンドル部111と、ハンドル部の把持部111aと支持部111bとの接続部分に設けられ、作業者がハンドル部を操作したときの操作量に応じた外力を検出する検出部と、後輪13に補助駆動力を付与する駆動部130と、検出部で検出された外力に基づく補助駆動力が後輪に付与されるように駆動部を制御する制御部140とを備える。【選択図】図1

Description

本考案は、操作ハンドルを操作したときの人力駆動力に、電動の補助駆動力を付与して運搬をアシストする台車用アシストユニットに関するものである。
従来より、例えば工事現場や倉庫などで重量物となる資材や管理物を運搬する際に作業者の負担を軽減させるため、作業者による人力駆動力に、モータなどの電動駆動装置による補助駆動力を付与するアシスト機能を備える手押し型の電動アシスト台車が提供されている(下記特許文献1)。
特開2017−159780号公報
しかしながら、特許文献1の装置は、作業者の操作量を検出する圧力センサ(ロードセル)を荷台の側面における操作ハンドルの基端部近傍に設けた構成であるため、運搬時に操作ハンドルをある程度押し込む動作(又は引き付ける動作)を行わないとアシスト機能が正しく作動しない。そのため、重量物を運搬する際、初動時からアシスト機能が作用するまでの間にタイムラグが生じ、一時的に大きな力が必要となって作業者が負担を強いられてしまう。また、操作を行う操作ハンドルの把持部と圧力センサとの位置が離れているため、ハンドル操作がリニアに伝わらず、台車と作業者との動きにずれが生じ易く、移動時に違和感が生じてしまう。
これら問題を解決する方法として、圧力センサの検出感度を上げることでハンドル操作を敏感に検出させることも可能である。しかしながら、圧力センサの感度を単に上げてしまうと、重量物を運搬しているときと軽量物を運搬しているときの判断が付きづらく、アシスト制御が不要なときに補助駆動力が付与されることがある。このような無駄なアシスト制御は、バッテリーの電力が無駄に消費されるとともに、初動時の移動速度が速くなり過ぎて追突などの思わぬ事故を招く虞がある。
本考案は、以上説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、本考案の目的とするところは、台車移動時の操作量を高精度に検出して必要なときに適切なタイミングでアシスト制御が実施可能な台車用アシストユニットを提供することにある。
本考案の第1の態様は、前輪及び後輪が取り付けられた荷台と、前記荷台の後端側に立設される操作ハンドルと、を備えた台車本体に着脱可能な台車用アシストユニットにおいて、作業者が把持する直線状の把持部と、前記把持部の各端部をそれぞれ支持する一対の支持部とを含み、前記支持部を介して前記操作ハンドルの把持部に取り付けられるハンドル部と、前記ハンドル部の前記把持部と前記支持部との接続部分に設けられ、前記ハンドル部の操作量に応じた外力を検出する一対の検出部と、前記後輪に補助駆動力を付与する駆動部と、前記検出部で検出された前記外力に基づく前記補助駆動力が前記後輪に付与されるように前記駆動部を制御する制御部と、を備えた、台車用アシストユニットである。
本考案の第2の態様は、第1の態様に係る台車用アシストユニットにおいて、前記検出部は、前記作業者が左手で前記ハンドル部を操作したときの前記外力を検出する左側検出部と、前記作業者が右手で前記ハンドル部を操作したときの前記外力を検出する右側検出部と、を含み、前記制御部は、前記左側検出部と前記右側検出部がそれぞれ検出した前記外力に応じた検出信号の出力値が所定値以上か否かを判断し、所定値以上であったときに、前記外力に応じた前記補助駆動力が前記後輪に付与されるように前記駆動部を制御する、台車用アシストユニットである。
本考案の第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る台車用アシストユニットにおいて、前記左側検出部と前記右側検出部は共にロードセルであり、前記ハンドル部と支持部との接続部分に内蔵して取り付けられる、台車用アシストユニットである。
本考案の第4の態様は、第1〜第3の何れかの態様に係る台車用アシストユニットにおいて、前記後輪は、左側後輪と右側後輪とを含み、前記駆動部は、前記左側後輪及び前記右側後輪のそれぞれに取り付けられるインホイールモータである、台車用アシストユニットである。
本考案によれば、作業者がハンドル操作したときの操作量に応じた外力を高精度に検出することができるため、作業者に負担を強いることなくアシスト機能が必要なタイミングでアシスト制御を機能させることが可能となる。
本考案の一実施形態である台車用アシストユニットを搭載した電動アシスト台車を斜め上方から見た概略斜視図である。 同台車を斜め下方から見た概略斜視図である。 ハンドルユニットの構成を模式的に示す概略断面図である。 (a)〜(f)は作業者がハンドル操作したときの外力の加わり方と後輪に付与される補助駆動力の状態を移動形態毎に示した図である。
以下、本考案を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態によって本考案が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などは全て本考案の範疇に含まれるものとする。
[実施形態]
まず、本実施形態に係る電動アシスト台車1の構成について説明する。
図1〜図3の何れかに示すように、本実施形態の電動アシスト台車1(以下、単に「台車1」ともいう)は、人力駆動力により所定方向に移動する台車本体10と、台車本体10に対して着脱可能であり台車本体10に補助駆動力を付与するためのアシストユニット100(請求項における「台車用アシストユニット」に相当)とを備えている。
台車本体10は、荷物の運搬に使用され、人力によって移動可能な周知の手押し型四輪台車である。台車本体10は、上面に荷物が載置される荷台11と、荷台11の前端11a側の下面に取り付けられる左右一対の前輪12と、荷台11の後端11b側の下面に取り付けられる左右一対の後輪13と、荷台11の後端11b側の上面に立設される操作ハンドル14とを備えている。
前輪12は、左側前輪12aと、右側前輪12bとを含み、荷台11の前端11a側の下面に回動自在に軸支される自在輪である。前輪12は、台車1の移動方向や旋回方向に応じて回動する。
後輪13は、左側後輪13aと、右側後輪13bとを含み、荷台11の後端11b側の下面に固設される固定輪として取り付けられている。後輪13は、アシスト制御時に後述する駆動部130が駆動することで補助駆動力が付与される。
操作ハンドル14は、荷台11の後端11b近傍の上面に立設される一対の支持部14aと、支持部14aの各先端側から略水平方向に延設され作業者が把持する把持部14bとを含み、その形状が略コ字状となる。操作ハンドル14は、固定式又は折り畳み式の何れの形態でもよい。
アシストユニット100は、ハンドルユニット110と、ヘッドライト120と、駆動部130と、制御部140と、電源部150とを備えている。アシストユニット100を台車本体10に取り付けることで、人力駆動力のみで移動可能な台車本体10が、電動の補助駆動力を付与するアシスト機能を備えた電動アシスト台車1として使用可能となる。
図3に示すように、ハンドルユニット110は、作業者が把持するハンドル部111と、ハンドル部111の操作量を検出する検出部112とを備え、操作ハンドル14の把持部14bに取り付けられる。
ハンドル部111は、操作ハンドル14の把持部14bと略平行に配置される把持部111aと、把持部111aの両端側に接続される略L字状の一対の支持部111b(左側支持部111c、右側支持部111d)とを含む。左側支持部111cの一端と、右側支持部111dの一端には、それぞれ取付部材111eが設けられており、ハンドル部111は、これら取付部材111eを介して操作ハンドル14の把持部14bに取り付けられる。
検出部112は、作業者がハンドル部111を操作したときの操作量に応じた外力(人力)を検出する。ハンドル部111に加わる外力は、作業者がハンドル部111を押す力又は引く力であり、ハンドル部111を操作したときの操作量に比例する。検出部112は、操作量に応じた外力がハンドル部111に加わると、その外力に基づく検出信号を制御部140に出力する。
本実施形態では、検出部112は、固定部と、荷重受部(起歪体)と、荷重時の荷重受部の変形に伴う歪み量を検出する歪ゲージとを含むロードセルで構成される。検出部112は、台車本体10を所定方向(例えば前進/後進移動、左方/右方移動、左/右旋回)に操作したときにハンドル部111に加わる外力を受けて変形した荷重受部の歪み量を歪ゲージで検出する。歪ゲージで検出された歪み量に基づく検出信号(アンプ増幅後の電圧値)を、制御部140に出力する。
図3に示すように、検出部112は、作業者が左手でハンドル部111を操作したときに加わる外力を検出する左側検出部112aと、作業者が右手でハンドル部111を操作したときに加わる外力を検出する右側検出部112bとを含む。
左側検出部112aは、左側支持部111cの他端におけるハンドル部111との接続部分に内蔵して設けられる。左側検出部112aは、左手でハンドル部111が操作されたときの操作量に応じた外力を歪み量として検出し、検出した歪み量に基づく検出信号を制御部140に出力する。
右側検出部112bは、右側支持部111dの他端におけるハンドル部111との接続部分に内蔵して設けられる。右側検出部112bは、右手でハンドル部111が操作されたときの操作量に応じた外力を歪み量として検出し、検出した歪み量に基づく検出信号を制御部140に出力する。
本考案の台車1は、ハンドルユニット110に具備される検出部112が操作ハンドル14の基端近傍ではなく、ハンドル部111の近傍である把持部14bに配置されている。そのため、作業者がハンドル部111を操作したときの外力が検出部112に伝わり易くなり、ハンドル部111に加わる外力を高精度に検出することができる。よって、アシスト機能を適切なタイミングで正確に発揮させることができる。
ヘッドライト120は、荷台11の前端11aに設けられ、夜間などに前方を照らす照明である。ヘッドライト120による照射のON/OFFを切り替える方法は特に限定されず、図示しない照明用スイッチにより照射のON/OFFを切り替える構成や、照度センサで検出される周囲の照度に応じて自動的に照射のON/OFFを切り替える構成などを採用することができる。なお、図1に示すように、ヘッドライト120は左右に一つずつ設けられているが、その個数や配置位置は特に限定されない。
駆動部130は、後輪13のハブ内部若しくはハブと一体化して同軸でつながった状態で後輪13を直接駆動させる電気モータ(所謂、インホイールモータ)である。駆動部130は、左側後輪13aに直接取り付けられる左側駆動部131と、右側後輪13bに直接取り付けられる右側駆動部132とで構成される。
駆動部130は、ハンドル部111の操作量に応じた補助駆動力が後輪13に付与されるよう、制御部140により左側駆動部131と右側駆動部132の駆動量が制御される。駆動部130は、少なくともトルクの増減と回転速度の増減の何れか一方が制御され、入力される電流量によってその駆動量が決まる。後輪13の前進回転方向への回転駆動は正電流の入力により行われ、後輪13の後進回転方向への回転駆動は逆電流の入力により行われる。
制御部140は、CPUやROM・RAMなどの周知のプロセッサなどが実装された制御基板(制御ユニット)であり、台車1を構成する各部の駆動制御を統括的に行う。制御部140は、例えば屋外でも使用可能なように防水機能を備えた収容ボックス内に制御ユニットを収容した状態で操作ハンドル14の背板14cに固設される。収納ボックスには、電源のON/OFFを切り替える電源スイッチが設けられている。
制御部140は、アシスト制御を行うにあたり、検出部112からの検出信号に基づいてアシスト制御の要否を判断する。この判断処理は、入力した検出信号の出力値が所定値以上であるか否かで判断される。検出信号の出力値が所定値以上のときは、アシスト制御が必要であると判断し、検出信号の出力値に応じて左側後輪13aと右側後輪13bのそれぞれに適切な補助駆動力が付与されるよう、左側駆動部131及び右側駆動部132の駆動量を制御する。
制御部140は、左側検出部112aで検出された検出信号の出力値に応じた電流(正電流又は逆電流)が供給されるように電源部150を制御する。これにより、左側駆動部131の駆動量が制御される。また、制御部140は、右側検出部112bで検出された検出信号の出力値に応じた電流(正電流又は逆電流)が供給されるように電源部150を制御する。これにより、右側駆動部132の駆動量が制御される。
なお、制御部140は、検出部112からの検出信号が所定値未満であれば、アシスト制御を行わない。そのため、アシスト制御中であっても、アシスト制御中に検出信号が所定値未満となった時点でアシスト制御は停止し、台車1の動力が人力駆動力のみとなる。また、アシスト制御が停止した状態でも、途中から検出信号が所定値以上となった時点でアシスト制御が実施される。
ここで、図4を参照しながら制御部140による駆動部130の駆動制御について説明する。平坦路で荷物の運搬を行う場合、前進方向に直進する「前進移動」、後進方向に後進する「後進移動」、左方向に曲がりながら前進する「左方移動」、右方向に曲がりながら前進する「右方移動」、方向転換するためにその場で左回転する「左旋回」、方向転換するためにその場で右回転する「右旋回」が主な動作となるため、ここでは前述した6形態の制御について説明する。なお、各図における白抜き矢印の長短は、左手と右手による外力の相対的な大小関係を示し、黒塗り矢印は左側駆動部131と右側駆動部132に加わる補助駆動力の相対的な大小関係を示している。
(前進移動時のアシスト制御)
図4(a)は、前進移動するときに作業者がハンドル操作したときの外力の加わり方と後輪13に付与される補助駆動力の状態を示している。前進移動するとき、作業者は両手でハンドル部111に前進方向の外力(押す力)を加える。
制御部140は、左側検出部112aと右側検出部112bから前進方向への外力に応じた検出信号を入力すると、各信号の出力値が所定値以上であるか否かを判断する。次に、制御部140は、入力された検出信号の出力値が共に所定値以上であると判断したとき、入力された検出信号の出力値に応じて前進に必要な補助駆動力が発生するように、左側駆動部131及び右側駆動部132の駆動制御を行う。前進移動では、左側駆動部131と右側駆動部132に、操作量に応じた正電流が出力される。これにより、前進移動に必要な補助駆動力が後輪13に付与され、前進移動がアシストされる。
(後進移動時のアシスト制御)
図4(b)は、後進移動するときに作業者がハンドル操作したときの外力の加わり方と後輪13に付与される補助駆動力の状態を示している。後進移動するとき、作業者は両手でハンドル部111に後進方向の外力(引く力)を加える。
制御部140は、左側検出部112aと右側検出部112bから後進方向への外力に応じた検出信号を入力すると、各信号の出力値が所定値以上であるか否かを判断する。次に、制御部140は、入力された検出信号の出力値が共に所定値以上であると判断したとき、入力された検出信号の出力値に応じて後進に必要な補助駆動力が発生するように、左側駆動部131及び右側駆動部132の駆動制御を行う。後進移動では、左側駆動部131と右側駆動部132に、操作量に応じた逆電流が出力される。これにより、後進移動に必要な補助駆動力が後輪13に付与され、後進移動がアシストされる。
(左方移動時のアシスト制御)
図4(c)は、左方移動するときに作業者がハンドル操作したときの外力の加わり方と後輪13に付与される補助駆動力の状態を示している。左方移動するとき、作業者は両手でハンドル部111に前進方向の外力を加えるが、左手で加える力よりも右手で加える力の方が大きくなる。
制御部140は、左側検出部112aと右側検出部112bからそれぞれ前進方向の外力に応じた検出信号を入力すると、各信号の出力値が所定値以上であるか否かを判断する。左方移動の場合、入力した検出信号は、右側検出部112bからの検出信号が、左側検出部112aからの検出信号よりも値が大きくなる。次に、制御部140は、入力された検出信号の出力値が共に所定値以上であると判断したとき、入力された検出信号の出力値に応じて左方移動に必要な補助駆動力が発生するように、左側駆動部131及び右側駆動部132の駆動制御を行う。左方移動では、右側駆動部132の駆動量が左側駆動部131の駆動量よりも所定量大きくなるように、操作量に応じた正電流が出力される。これにより、左方移動に必要な補助駆動力が後輪13に付与され、左方移動がアシストされる。
(右方移動時のアシスト制御)
図4(d)は、右方移動するときに作業者がハンドル操作したときの外力の加わり方と後輪13に付与される補助駆動力の状態を示している。右方移動するとき、作業者は両手でハンドル部111に前進方向の外力を加えるが、右手で加える力よりも左手で加える力の方が大きくなる。
制御部140は、左側検出部112aと右側検出部112bからそれぞれ前進方向の外力に応じた検出信号を入力すると、各信号の出力値が所定値以上であるか否かを判断する。右方移動の場合、入力した検出信号は、左側検出部112aからの検出信号が、右側検出部112bからの検出信号よりも値が大きくなる。次に、制御部140は、入力された検出信号の出力値が共に所定値以上であると判断したとき、入力された検出信号の出力値に応じて右方移動に必要な補助駆動力が発生するように、左側駆動部131及び右側駆動部132の駆動制御を行う。右方移動では、左側駆動部131の駆動量が右側駆動部132の駆動量よりも所定量大きくなるように、操作量に応じた正電流が出力される。これにより、右方移動に必要な補助駆動力が後輪13に付与され、右方移動がアシストされる。
(左旋回時のアシスト制御)
図4(e)は、その場で左旋回するときに作業者がハンドル操作したときの外力の加わり方と後輪13に付与される補助駆動力の状態を示している。その場で左旋回するとき、作業者はハンドル部111に対し左手で後進方向の外力、右手で前進方向の外力を加える。
制御部140は、左側検出部112aから後進方向の外力に応じた検出信号を入力し、右側検出部112bから前進方向の外力に応じた検出信号を入力すると、各信号の出力値が所定値以上であるか否かを判断する。次に、制御部140は、入力された検出信号の出力値が共に所定値以上であると判断したとき、入力された検出信号の出力値に応じて左旋回に必要な補助駆動力が発生するように、左側駆動部131及び右側駆動部132の駆動制御を行う。左旋回では、左手の操作量に応じた逆電流が左側駆動部131に出力され、右手の操作量に応じた正電流が右側駆動部132に出力される。これにより、左旋回に必要な補助駆動力が後輪13に付与され、左旋回がアシストされる。
(右旋回時のアシスト制御)
図4(f)は、その場で右旋回するときに作業者がハンドル操作したときの外力の加わり方と後輪13に付与される補助駆動力の状態を示している。その場で右旋回するとき、作業者はハンドル部111に対し右手で後進方向の外力、左手で前進方向の外力を加える。
制御部140は、左側検出部112aから前進方向の外力に応じた検出信号を入力し、右側検出部112bから後進方向の外力に応じた検出信号を入力すると、各信号の出力値が所定値以上であるか否かを判断する。次に、制御部140は、入力された検出信号の出力値が共に所定値以上であると判断したとき、入力された検出信号の出力値に応じて右旋回に必要な補助駆動力が発生するように、左側駆動部131及び右側駆動部132の駆動制御を行う。右旋回では、左手の操作量に応じた正電流が左側駆動部131に出力され、右手の操作量に応じた逆電流が右側駆動部132に出力される。これにより、右旋回に必要な補助駆動力が後輪13に付与され、右旋回がアシストされる。
また、上述した6形態は、平坦路を移動するときの事例であるが、斜路を移動する場合は、下記の制御が行われる。なお、斜路を移動する場合は、移動方向に応じて下記に示す制御と、上述した6形態による制御とが適宜組み合わされ、適切な補助駆動力が付与されるように駆動部130が制御される。
(他のアシスト制御1)
下り勾配の斜路を下る場合(自然降下よりも遅い降下速度で下る場合)、台車1の降下速度が速くなり過ぎないように作業者はハンドル部111に対し、前述した後進移動と同様の動作をしながら下る。これにより、左側駆動部131と右側駆動部132には後進移動する方向の補助駆動力が発生するため、台車1が作業者の移動速度を上回らないようにブレーキが掛かったかのように進むことができる。
(他のアシスト制御2)
左側に下り傾斜した斜路を移動する場合、作業者はハンドル部111に対し、前述した右方移動と同様のハンドル操作が行われ、制御部140により駆動部130が駆動制御される。これにより、左側駆動部131が右側駆動部132よりも大きい補助駆動力が付与されるようにアシスト制御されるため、平坦路を進むかのように移動させることができる。
また、右側に下り傾斜した斜路を移動する場合、作業者はハンドル部111に対し、前述した左方移動と同様のハンドル操作が行われ、制御部140により駆動部130が駆動制御される。これにより、右側駆動部132が左側駆動部131よりも大きい補助駆動力が付与されるようにアシスト制御されるため、平坦路を進むかのように移動させることができる。
電源部150は、商用電源などの外部電源から充電可能な着脱式の電源装置である。電源部150は、電動アシスト台車1の駆動に必要な電源を各部に供給する。電源部150は、例えば屋外でも使用可能なように防水機能を備えた収容ボックス内に制御ユニットを収容した状態で操作ハンドル14の背板14cに固設される。
[実施形態の動作]
次に、上述した台車1の動作について説明する。
台車本体10にアシストユニット100を具備させた台車1を操作する場合、作業者が荷台11に重量物を積載した状態でハンドル部111を操作すると、そのときに加わった外力の方向及び外力の大小に応じた検出信号が制御部140に出力される。
制御部140は、入力された検出信号が所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上であれば、検出信号の出力値に応じた補助駆動力が付与されるように左側駆動部131及び右側駆動部132を駆動制御する。また、制御部140は、入力された検出信号が所定値を下回っている場合は、アシスト機能が不要であると判断して、駆動部130に対する駆動制御を行わない。
[作用効果]
以上説明したように、上述した台車1は、台車本体10の操作ハンドル14に着脱可能であり、操作ハンドル14の把持部14bに取り付けられるハンドル部111と、作業者がハンドル部111を操作したときの操作量に応じた外力を検出する検出部112と、後輪13に補助駆動力を付与する駆動部130と、検出部112で検出された外力に基づく補助駆動力が後輪13に付与されるように駆動部130を制御する制御部140とを備えている。
これにより、台車本体10の操作ハンドル14の把持部14bに設けられたハンドル部111が操作された際の操作量に応じた外力が、ハンドル部111の近傍で検出可能となり、作業時に操作量を高精度に検出することができる。よって、運搬時に操作ハンドル14をある程度押し込む(又は引き付ける)ことなくアシスト機能を作動させることができるため、作業者の負担がなくなる。その上、適切なタイミングでアシスト機能が発揮されるようになるため、初動時からアシスト機能が発揮されるまでの間のタイムラグが限りなく少なくなり、移動時に違和感が生じずに済む。
また、駆動部130をインホイールモータとすることで、軽量物を運搬するときなどアシスト機能が不要な場合であっても、ブラシレスモータのような一般的なモータを備える電動アシス台車と比べて、台車1の操作を容易に行うことができる。
また、アシストユニット100を台車本体10に単に具備させるだけで電動アシスト機能を備えた電動アシスト台車1として使用可能となるため、複雑な設定などを必要とせず、既存の台車本体10に対し簡便に電動アシスト機能を付加することができる。
[他の実施形態]
なお、本考案は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示すように使用環境などに応じて適宜変更して実施することもできる。また、以下の変形例を本考案の要旨を逸脱しない範囲の中で任意に組み合わせて実施することもできる。
―変形例1―
上述した形態において、制御部140は、ハンドル部111が操作されたときの操作量に応じた検出信号に基づいて駆動部130を制御しているが、台車本体10の傾きを検出する傾き検出部を備えた構成とすることもできる。傾き検出部は、傾斜センサや加速度センサなど、台車本体10が水平状態からどの方向にどの程度傾いているかを示す傾き情報が検出可能な機器で構成される。このような構成を採用することで、制御部140は、傾き検出部で検出された台車1の傾き情報に基づいてアシスト機能が発揮されるように駆動部130の駆動制御を行うことができる。この形態の場合、傾き検出部によって台車1が所定方向に所定角度傾いたことが検出可能となるため、検出部112からの検出信号が出力されると略同タイミングで駆動部130の駆動制御が可能となる。よって、上述した形態よりも、より高精度にアシスト制御を行うことができる。
―変形例2―
上述した形態では、アシスト機能の要否を検出部112の検出信号の出力値に基づいて判断する構成で説明したが、これに限定されることはない。例えば、作業者がアシスト機能を作動の要否が設定可能とする切替部を設ける構成とすることもできる。この切替部は、例えば押下されることでON/OFF状態が検出可能なスイッチ機構(ON/OFFスイッチ)で構成される。切替部は、例えば左手でハンドル部111を把持したときに操作する左手用切替部と、右手でハンドル部111を把持したときに操作する右手用切替部とを含む構成とする。左手用切替部と右手用切替部は、操作性を考慮して、把持位置近傍のような作業者が運搬時に操作可能な位置にそれぞれ設けるようにすればよい。切替部は、アシスト制御が必要と判断したときに操作され、ON状態であることを示すON信号を制御部140に出力するようにすればよい。これにより、制御部140は、切替部からON信号を入力している間は、アシスト機能が発揮されるようになるため、アシスト制御が不要なときに無駄な電力が消費されない。
―変形例3―
上述した形態では、検出部112の設置位置として、ハンドル部111と支持部112bとの接続部分に内蔵する形態で説明したが、これに限定されず、ハンドル部111においてハンドル操作時の操作量が検出可能な位置であればよい。検出部112の設置位置の別形態としては、例えば左側検出部112aを左側支持部111cにおける操作ハンドル14との取り付け部分に内蔵し、右側検出部112bを右側支持部111dにおける操作ハンドル14との取り付け部分に内蔵する構成としても、上述した形態と同様の効果を奏することができる。
1…電動アシスト台車(台車)
10…台車本体
11…荷台(11a…前端、11b…後端)
12…前輪(12a…左側前輪、12b…右側前輪)
13…後輪(13a…左側後輪、13b…右側後輪)
14…操作ハンドル(14a…支持部、14b…把持部、14c…背板)
100…アシストユニット
110…ハンドルユニット
111…ハンドル部(111a…把持部、111b…支持部、111c…左側支持部、111d…右側支持部、111e…取付部材)
112…検出部(112a…左側検出部、112b…右側検出部)
120…ヘッドライト
130…駆動部
131…左側駆動部
132…右側駆動部
140…制御部
150…電源部

Claims (4)

  1. 前輪及び後輪が取り付けられた荷台と、
    前記荷台の後端側に立設される操作ハンドルと、
    を備えた台車本体に着脱可能な台車用アシストユニットにおいて、
    作業者が把持する直線状の把持部と、前記把持部の各端部をそれぞれ支持する一対の支持部とを含み、前記支持部を介して前記操作ハンドルの把持部に取り付けられるハンドル部と、
    前記ハンドル部の前記把持部と前記支持部との接続部分に設けられ、前記ハンドル部の操作量に応じた外力を検出する一対の検出部と、
    前記後輪に補助駆動力を付与する駆動部と、
    前記検出部で検出された前記外力に基づく前記補助駆動力が前記後輪に付与されるように前記駆動部を制御する制御部と、
    を備えた台車用アシストユニット。
  2. 前記検出部は、
    前記作業者が左手で前記ハンドル部を操作したときの前記外力を検出する左側検出部と、
    前記作業者が右手で前記ハンドル部を操作したときの前記外力を検出する右側検出部と、
    を含み、
    前記制御部は、前記左側検出部と前記右側検出部がそれぞれ検出した前記外力に応じた検出信号の出力値が所定値以上か否かを判断し、所定値以上であったときに、前記外力に応じた前記補助駆動力が前記後輪に付与されるように前記駆動部を制御する、
    請求項1に記載の台車用アシストユニット。
  3. 前記左側検出部と前記右側検出部は共にロードセルであり、前記ハンドル部と支持部との接続部分に内蔵して取り付けられる、
    請求項2に記載の台車用アシストユニット。
  4. 前記後輪は、左側後輪と右側後輪とを含み、
    前記駆動部は、前記左側後輪及び前記右側後輪のそれぞれに取り付けられるインホイールモータである、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の台車用アシストユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022105801A (ja) * 2021-01-05 2022-07-15 株式会社イーバイク 電動アシスト台車の駆動方法

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