JP3220898B2 - リニアモータ - Google Patents

リニアモータ

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JP3220898B2
JP3220898B2 JP16995196A JP16995196A JP3220898B2 JP 3220898 B2 JP3220898 B2 JP 3220898B2 JP 16995196 A JP16995196 A JP 16995196A JP 16995196 A JP16995196 A JP 16995196A JP 3220898 B2 JP3220898 B2 JP 3220898B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、リニアモータに
関し、特に1次側磁極鉄心と2次側永久磁石との磁気吸
引力により発生する推力リップルを軽減したものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来例1 従来、リニアモータの1次側磁極鉄心と2次側永久磁石
との推力リップルを軽減するものには、例えば、推力リ
ップルの周期がτである時に、リニアモータの1次側磁
極鉄心を2台使用し、2台を移動方向にτ/2ずらせて
配置することにより、1次側磁極鉄心に生じる推力リッ
プルの位相をずらせて減少させるものが知られている
(特開平3−285555号)。
【0003】従来例2 また、リニアモータの電機子鉄心の両端部に、直線状あ
るいは平面状の別体の傾斜部を設けて、電機子鉄心の両
端部に発生する電磁力の差としての推進力の変動分を減
少させようとするものも知られている(例えば特開平4
−281359号公報、特開昭62−16060号公報
等)。
【0004】従来例3 また、実開平4−54481号公報のものでは、リニア
モータの1次側(巻線側)鉄心の両端部の磁気吸引力が
ほぼ正弦波状で、かつ両端の磁気吸引力を相殺するべ
く、1次側鉄心長さを(2m−1)t/2(ただしmは
正の整数、tは極ピッチ)としたものが開示されてい
る。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
1のものでは、リニアモータの1次側磁極鉄心を2台も
使用しなければならない問題があり、しかも現実に発生
する推力リップルは非常に歪んだ波形となるため、推力
リップルを充分に相殺しきれず、周期が高次化して残っ
てしまうという問題がある。
【0005】また、従来例2のものでは、電機子鉄心の
両端部に設けた別体の傾斜部を形成する点の記載がある
が、どのような傾斜とすれば移動体の移動を滑らかにで
きるかについては、より具体性に欠けるという問題があ
る。
【0006】また、従来例3のものでは、実際に1次側
磁極鉄心の両端部それぞれの磁気吸引力が最大となる位
相と幾何学的寸法との関係が考慮されておらず、そのた
め1次側磁極鉄心両端部の磁気吸引力が最大となる位相
がずれてしまい、実際には両端部の磁気吸引力を確実に
相殺することができない問題があった。
【0007】この発明はこのような従来の課題を解決す
るためになされたもので、リニアモータの1次側磁極鉄
心は1台で済み、これらの従来例のものよりも、さらに
推力リップルを低減できる実用的なリニアモータを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係るリニアモ
ータは、移動方向に磁石のN極とS極が交互に配置され
た2次側永久磁石と、この2次側永久磁石と空間を介し
て配置され、上記2次側永久磁石側にコイルを巻回した
スロットを複数形成した磁極部を有する1次側磁極鉄心
を備えたリニアモータにおいて、上記N極とS極の1対
の移動方向長さをLとし、上記空間の寸法をBとし、上
記磁極部の移動方向の両端部における上記2次側永久磁
石との間隔の寸法をCとしたとき、C>Bとなるように
上記磁極部に湾曲部を形成し、上記空間の寸法が上記間
隔側へ増大し始める位置とこの位置から移動方向におけ
る端部までの距離をDとしたときL≧D≧1/2Lと
し、かつ、上記1次側磁極鉄心の移動方向長さが(n+
1/3+α)×Lまたは(n+5/6+α)×L(nは
正の整数、αはほぼ1/6〜1/3)としたものであ
る。
【0009】またこの発明に係るリニアモータは、湾曲
部が、スロットを複数形成する磁極部とは別体として構
成されかつ、積層された磁性体により構成されているも
のである。
【0010】またこの発明に係るリニアモータは、湾曲
部の根本には2次側永久磁石との寸法が変化しない区間
を設けかつ先端側には移動方向に対して傾斜したスキュ
ーを構成したものである。
【0011】またこの発明に係るリニアモータは、スロ
ットを複数形成する磁極部を構成する鉄心片と、湾曲部
を構成する鉄心片とが積層方向においてかみ合って連結
されるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】 以下この発明の各実施の形態を図
を用いて説明する。なお、各実施の形態において同一の
符号で示したものは同一または相当する部材を表してい
る。 図1はこの実施の形態を示す側面図、図2はその要
部を拡大した側面図であり、図において、1はリニアモ
ータの1次側磁極鉄心であり、2次側永久磁石2に対し
て空間10を介して対向している。1次側磁極鉄心1の
2次側永久磁石2に対向する側には、公知の如く均等に
配置された多数のスロット3にコイル4が巻回された磁
極部5が形成され、この磁極部5はフレーム6に形成さ
れている。磁極部5の移動方向の前端7側及び後端8側
には、対称な湾曲部9がそれぞれ形成してある。また、
Aは1次側磁極鉄心1の移動方向長さ(全長寸法)であ
る。
【0013】2次側永久磁石2には、1次側磁極鉄心1
の移動方向にN極とS極とを交互にほぼ均等間隔に配置
してあり、各永久磁石11はヨーク12に固定され、図
には、N極とS極の1対の移動方向長さ(極対距離)を
Lで示してある。即ち、LはS極とN極との中間位置か
ら、移動方向における次のS極とN極との中間位置まで
の寸法である。
【0014】また、磁極部5の両端7,8と各永久磁石
11との磁気吸引力が、1次側磁極鉄心1の移動方向に
みるとほぼ正弦波状ないしは疑似正弦波状とするため
に、磁極部5の両端7,8に湾曲部9を形成してある。
即ち公知の通電方法によって磁極部5に作用させると、
磁極部5の中央では矩形波の磁束密度が得られるが、磁
極部5の両側ほど永久磁石11から離反するように湾曲
するため、両端7,8に作用する成分は滑らかな正弦波
状となる。
【0015】Bは、1次側磁極鉄心1の最も2次側永久
磁石2に接近する磁極部5と永久磁石11との空間10
の寸法である(以下空間10は空間Bとする)。Cは、
磁極部5の移動方向の両端7,8における2次側永久磁
石2との間隔である。BとCとの寸法関係は、C>Bと
してあり、BからCへかけての磁極部5の面は湾曲面9
としてある。また、空間Bが間隔C側へ増大し始める位
置13とこの位置13から移動方向における各端7,8
までの距離をDとしてある。 また、14は電磁鋼板であ
り、1次側磁極鉄心1に使用される電磁鋼板とは別体の
電磁鋼板を1次側磁極鉄心1の前端7,後端8に固着し
てあり、別材料を使用することにより、用途毎に移動方
向長さAを容易に変更できるようにしたものである。
【0016】先ず、距離Dと極対寸法Lの関係をD≧L
とした場合について考える。その理由は、図3に示すよ
うに、D/L値が1以上であると、つまりDの値がLの
ほぼ1倍以上である場合の推力リップルの値がほぼ一定
してきわめて小さくなるためである。但し、若干距離D
の値が極対寸法Lよりも小さくなっても、実質的にD≧
Lと効果の点で変わらない範囲があり、よってこの範囲
についても実質的には「ほぼD≧L」であると解釈され
る。
【0017】また、間隔Cと極対寸法Lとの関係を、
0.5×L≧C≧0.1×Lとし、即ち、C/Lの値を
0.1〜0.5の範囲とした場合について考える。これ
は、図4に示すように、この0.1〜0.5の範囲が最
も推力リップルの値が低くなるからであり、最も効率の
よい値としては0.3程度であることが理解される。
【0018】上記のような構成のリニアモータとする
と、即ち、永久磁石11と1次側磁極鉄心1との空間1
0の寸法をBとし、磁極部5の移動方向の両端部7,8
における2次側永久磁石2との間隔の寸法をCとしたと
き、C>Bとなるように磁極部5に湾曲部9を形成する
と、2次側永久磁石2から磁極部5の前後端7,8へは
磁束が流れずらく、吸引力も作用しずらくなり、従来の
ものよりも大幅に推力リップルを減少させることができ
る。また、2次側永久磁石2のN極とS極の1対の移動
方向長さを極対距離Lとし、空間Bが間隔Cへ増大し始
める位置13とこの位置13から移動方向における各端
7,8までの距離をDとしたとき、0.5×L≧C≧
0.1×LかつD≧Lとすると、1次側磁極鉄心1の移
動方向における湾曲部9の大きさが無駄なく適切にで
き、2次側永久磁石2と1次側磁極鉄心1との間隔C等
を適切に設計することができ、実用的なリニアモータを
提供できる。ところがリニアモータをこのように構成し
たとしても、1次側磁極鉄心1の両端7、8に発生する
磁気吸引力のピーク位相のずれに基づく推力リップルの
増大の問題は未だ解決されていない。
【0019】次にこの1次側磁極鉄心1の両端7、8に
発生する磁気吸引力のピーク位相のずれに基づいて発生
する推力リップルの増大を低減する方法について説明す
る。 図5は、磁極部5の両端7、8に発生する磁束密度
と磁極部5の移動とを関係させて示してある。磁極部5
が各永久磁石11上を移動すれば、前端7に作用する成
分Ffと、後端8に作用するFbは図の実線のような波
形となり、合成されたFf+Fb(破線)は大きくなっ
てしまう。これはFfとFbの位相が同期しているため
である。よっていずれかの成分が極対距離Lの1/4あ
るいは3/4ずれると、両成分の位相は180度ずれ、
両成分は理論上打ち消し合い、推力リップルを激減させ
る。
【0020】ところで、この磁気吸引力の波長(1周期
の長さ)は幾何学的対照性から0.5Lであることは自
明であるが、実際に2次側永久磁石2の位置と1次側鉄
心端面7、8の相対位置関係が明確でなく、磁気的に有
効に作用する長さと幾何学的な長さの位置関係が把握さ
れていなかったために、磁気吸引力を相殺する鉄心長A
の値が必ずしも最適値とはならなかった。即ち、上記従
来例3のものでは、1次側磁極鉄心1の幾何学的な長さ
Aと、極対距離tとの関係を、A=(2m−1)t/2
(但しmは正の整数)とすることが最適値であるとして
いた。
【0021】しかし2次側永久磁石2の位置と端面7、
8との相対位置関係を把握するため には、きわめて困難
を伴う実測を正確に行うか、コンピュータによる磁界解
析などが必要である。つまり、実測を行う場合、永久磁
石11の着磁条件に左右され、磁気吸引力の正確な測定
は極めて困難であり、また、磁界解析により磁気吸引力
を求めると、着磁ばらつきなどに影響されることはない
が、大量かつ高精度な解析が必要で、一般にはきわめて
困難な作業となる。
【0022】図6は実際のコンピュータによる高精度な
磁界解析により磁気吸引力を実際にもとめた例である。
上記従来例3において1次側磁極鉄心の幾何学的な長さ
Aの最適値として135mmとした場合(極対距離t=
60mmかつ、m=2で設定)の1次側磁極鉄心の前端
7と後端8にそれぞれ現れる吸引力を線Pf、Pbで示
してあり、その値をL/12だけ延長し140mmとし
た本実施の形態に係るものをそれぞれQf、Qbで示
し、さらに、従来例3の1次側磁極鉄心全体に働く磁気
吸引力をPで、本実施の形態に係るものをQとし、比較
した。
【0023】従来例3の第3図から明らかなとおり、従
来例3のものでは、1次側磁極鉄心の前端と後端に働く
磁気吸引力は移動方向においてずれているのに対して本
件のものでは、ほぼ対称な磁気吸引力が現れるため、推
力リップルが激減することが理解される。つまり、従来
例3のものでは磁気的な有効長が幾何学的な長さよりも
短いことが考慮されていないため、1次側磁極鉄心の前
端と後端に働く吸引力にずれが生じ、推力リップルはよ
り大きくなってしまうものである。
【0024】本実施の形態の場合、鉄心全長Aの値を1
40mmに変更して磁気吸引力のピーク位相を一致させ
ているが、これは従来例3の値よりL/12だけ長くし
た値によって求めることができ、ほぼ(n+1/3)×
Lまたは(n+5/6)×L(nは正の整数)とするこ
とにより求めることができる。 従って、1次側磁極鉄心
の移動方向長さAをほぼ(n+1/3)×Lまたは(n
+5/6)×L(nは正の整数)とすることにより、1
次側磁極鉄心1の移動方向の両側に生じる吸引力を十分
に相殺することができ、推力リップルをより低減させる
ことができる。
【0025】なお、上記寸法が実用上好ましいが、磁気
的な有効長を補正する値L/12は永久磁石11と1次
側磁極鉄心間の距離、磁気飽和等の諸条件によって、現
実にはL/15〜L/10程度の範囲で変化しうること
が判った。つまり、 (n+19/60)L≧A≧(n+7/20)L (n+49/60)L≧A≧(n+17/20)L (1) 程度で最適値は変化しうるが、(1)式の最適値から、
さらにAがLの5%程度の範囲で増減しても、有効な効
果がある。
【0026】また、図7は、1次側磁極鉄心1の移動方
向長さAを200mmとし、空間10の寸法B、間隔C
の値を種々変化させた場合に1次側磁極鉄心1の両端
7、8にそれぞれ働く磁気吸引力を分離して求めた磁界
解析結果を示してある。
【0027】図7より、1次側磁極鉄心1の両端7、8
側に湾曲部9を形成し、両端7、8の磁気吸引力が有為
に低減する範囲とすると、そのピーク位相がL/6〜L
/3程度ずれることが理解される。このため、両端7、
8の磁気吸引力が打ち消し合う位相とするためには、位
相がずれる分だけずらす必要があるが、本実施の形態で
はその値を、 (n+1/3+α)×Lまたは(n+5/6+α)×L (nは正の整数、αは1/6〜1/3) とし、補正値αを加えている。この補正値αを加えるこ
とで、湾曲部9の移動方向の長さがL≧D≧1/2L程
度の小さい値でも磁気吸引力を低減でき、推力リップル
を大幅に低減できる。
【0028】図8は、本実施の形態に係るリップル低減
の効果を示す図である。図中 線Sは1次側磁極鉄心1
の移動方向長さA=200mm、n=3、L=60mm
とし、湾曲部9を形成しないものであり、また、線Tは
1次側磁極鉄心1の移動方向長さA=200mm、n=
3、D=30mm、C=10.5mm、L=60mmと
し、湾曲部9を形成したものとしたものであり、また、
線Uは1次側磁極鉄心 1の移動方向長さA=215m
m、n=3、D=30mm、C=10.5mm、L=6
0mmとするとともに、湾曲部9を形成したものとし、
更に補正値をα=1/4としたもの、即ち本実施の形態
の最良の形態としたものである。
【0029】図7、8から、補正値αを加えずに湾曲部
9を設けた場合は、前後端7、8それぞれの磁気吸引力
は低下するものの、磁気的に有効な長さが短くなり、磁
気吸引力のピーク位相が相殺される効果が少なくなる場
合があるが、補正値αを加え1次側磁極鉄心の移動方向
長さを215mmとした線Uのものでは、効果的に磁気
吸引力を低減させることができることが理解される。ま
た、湾曲部9の寸法DがL/2と1極分程度と短くて済
むことから、1次側磁極鉄心1の長さを増大させること
なく最小限に保ったまま、磁気吸引力を低減でき、推力
リップルの小さなリニアモータとすることができる。
【0030】また、図7、8の磁界解析結果は、各永久
磁石11の着磁ばらつきがない場合の理論的結果であ
り、現実には若干の着磁ばらつきがあることから、前後
端7、8の磁気吸引力が異なり、推力リップルを生じる
が、D、Cの値を大きくとるほど前後端7、8それぞれ
に働く磁気吸引力は低減されることから、磁気吸引力の
増大は小さく抑えられる。よって着磁ばらつきが大きい
場合には本実施の形態の補正値αを設けることが相殺効
果を得る上できわめて効果的である。
【0031】図9は図8で示した線S、T、U及び他の
例も含めてまとめた説明図である。図から、1次側磁極
鉄心1両端7、8の磁気吸引力の低減効果と小型化の効
果を両立させる範囲として、(n+1/3+α)×Lま
たは(n+5/6+α)×L(nは正の整数、αは1/
6〜1/3)、L≧D≧1/2Lとしたものが最も好ま
しいことが理解される。 なお、図9においてカ及びクで
示される例は、L≧D≧1/2Lとし、かつ、1次側磁
極鉄心の移動方向長さが(n+1/3+α)×Lまたは
(n+5/6+α)×L(nは正の整数、αはほぼ1/
6〜1/3)としたものであり、補正値αを加えて若干
長くすることにより、より推力リップルを低減すること
ができる
【0032】実施の形態2. 図2において湾曲部9を構成する電磁鋼板14を図示し
たが、1次側磁極鉄心1の磁極部5を構成する部材とは
別体で積層されて構成される電磁鋼板14により湾曲部
9を構成することにより、1次側磁極鉄心1がワンピー
ス構成からなる場合の湾曲部9に比較して、渦電流が生
じて鉄損となることを防止することができ好ましい。
【0033】実施の形態3. 図10は実施の形態3を示す斜視図であり(スロット及
びコイルは省略してある)、図11はその平面図、図1
2は電磁鋼板14の側面図であり、区間Wの寸法を変更
したものを4つ示したものである。本実施の形態3で
は、実施の形態2のものにおいて、電磁鋼板14におけ
る湾曲部9の根本7a、8bに2次側永久磁石11との
寸法が変化しない区間Wを設けかつ各先端側には移動方
向に対して傾斜したスキュー16を構成したものであ
る。
【0034】本実施の形態3によれば、磁極部5の延長
として区間Wが構成されることにより、この区間Wを適
宜変更することにより磁極部5の長さを実際に利用する
場合毎に寸法を変える必要をなくし、磁極部5の適応範
囲を拡大し汎用性を持たせることができ、また、移動方
向に対して傾斜したスキュー16を備えることにより電
磁鋼板14の積層方向を斜めにしたりする必要もなくす
ことができ、リニアモータを量産する場合に有効とな
る。
【0035】実施の形態4. 図13は本実施の形態4に係る1次側磁極鉄心1を構成
する各鉄心片の側面図を示す。磁極部5を構成する鉄心
片には短鉄心片5aと長鉄心片5bを用意し、これらは
1枚毎に交互に積層されるようにしてある。強度等を考
慮すると、短鉄心片5aは長鉄心片5bの長手方向に対
してほぼ中央に位置するように位置決め されることが好
ましい。また同様に電磁鋼板14の鉄心片も短鉄心片1
4aと長鉄心片14bを用意し、1枚毎に積層されるよ
うにしてある。各鉄心片5a、5b、14a、14bに
はかしめ用の穴17がそれぞれ形成され、組み立て時に
はこの穴17にリベットを貫通させるようにする。
【0036】図14は各鉄心片をかしめる場合を説明す
る図であり、かしめは矢印の方向にリベットを穴17に
貫通させて行う。この際、長鉄心片14aは長鉄心片5
bに挟まれるように配置し、磁極部5を構成する鉄心片
5a、5bと湾曲部9を構成する鉄心片14a、14b
とがかみ合って連結されるように構成する。なお、磁極
部5と電磁鋼板14とをそれぞれ1塊に固定した後にそ
れぞれを連結させるようにすれば、接続作業が容易とな
るが、かしめ作業をどのタイミングでおこなうかは適宜
決定すればよい。
【0037】本実施の形態によれば、電磁鋼板14と磁
極部5との連結作業を行う際、磁極部5の長鉄心片5
b、5b間に電磁鋼板14の長鉄心片14aが挟まれ、
長鉄心5bと長鉄心14aとが積層方向において重な
り、この重なり部分において連結され得るため、両者の
接続作業を容易に行うことができ、また、この重なり部
分においてリベット等の接続手段を用いれば、磁極部5
と電磁鋼板14との接続を強固にすることができる。
【0038】
【発明の効果】 以上のように発明によれば、2次側永久
磁石のN極とS極の1対の移動方向長さをLとし、空間
の寸法をBとし、磁極部の移動方向の両端部における上
記2次側永久磁石との間隔の寸法をCとしたとき、C>
Bとなるように磁極部に湾曲部を形成し、空間の寸法が
上記間隔側へ増大し始める位置とこの位置から移動方向
における端部までの距離をDとしたとき、L≧D≧1/
2Lとし、且つ上記1次側磁極鉄心の移動方向長さが
(n+1/3+α)×Lまたは(n+5/6+α)×L
(nは正の整数、αはほぼ1/6〜1/3)としたた
め、移動方向における湾曲部長さが短くできてリニアモ
ータ自体を小さくでき、且つ補正値により磁気 的有効長
の短くなった分を補うことができ、よって1次側磁極鉄
心の長さを増大させることなく 推力リップルを減少さ
せることができる効果がある。
【0039】またこの発明によれば、1次側磁極鉄心が
ワンピース構成からなる場合の湾曲部に比較して、渦電
流が生じて鉄損となることを防止することができる効果
を有する。
【0040】またこの発明によれば、湾曲部は、スロッ
トを複数形成する磁極部とは別体として構成されかつ、
積層された磁性体により構成されているため、磁極部の
延長として機能する区間を湾曲部に設ければ、この区間
を適宜変更することにより磁極部の長さを実際に利用す
る場合毎に寸法を変える必要をなくし、磁極部の適応範
囲を拡大し汎用性を持たせることができ、また、移動方
向に対して傾斜したスキューを備えることにより電磁鋼
板の積層方向を斜めにしたりする必要もなくすことがで
き、リニアモータを量産する場合に有効となる効果があ
る。
【0041】またこの発明によれば、スロットを複数形
成する磁極部を構成する鉄心片と、湾曲部を構成する鉄
心片とが積層方向においてかみ合って連結されるから、
磁極部と湾曲部を連結する作業が容易にできる効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るリニアモータ
を示す側面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係るリニアモータ
要部を拡大した側面図である。
【図3】 この発明の実施形態1に係るリップル−D
/L特性を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1に係るリップル−C
/L特性を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1に係る、1次側磁極
鉄心の両側に生じる吸引力を説明するための図である
【図6】 この発明の実施の形態1に係る磁気吸引力−
進行方向の移動量特性を示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態1に係る磁気吸引力−
進行方向の移動量特性を示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態に係る推力リップル
の低減の効果を示す特性図である。
【図9】 この発明の実施の形態1に係る、図8で示し
た線S、T、U及び他の例も含めてまとめた説明図であ
る。
【図10】 この発明の実施の形態に係る斜視図であ
る。
【図11】 この発明の実施の形態に係る平面図であ
る。
【図12】 この発明の実施の形態に係る電磁鋼板の
部分側面図である。
【図13】 この発明の実施の形態に係る1次側磁極
鉄心の分解側面図である。
【図14】 この発明の実施の形態に係る1次側磁極
鉄心をかしめる場合を説明する図である。
【符号の説明】
1は1次側磁極鉄心、2は2次側永久磁石、3はスロッ
ト、4はコイル、5は磁極部、5aは短鉄心片、5bは
長鉄心片、7は前端、8は後端、9は湾曲部、10は空
間、11は永久磁石、13は位置、14は電磁鋼板、1
4aは長鉄心片、14bは短鉄心片、16はスキュー、
Aは移動方向寸法、Bは空間、Cは間隔、Dは距離、L
は極対距離。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−319250(JP,A) 特開 昭61−124258(JP,A) 実開 昭56−32977(JP,U) 実開 平3−86787(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 41/03

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動方向に磁石のN極とS極が交互に配
    置された2次側永久磁石と、この2次側永久磁石と空間
    を介して配置され、上記2次側永久磁石側にコイルを巻
    回したスロットを複数形成した磁極部を有する1次側磁
    極鉄心を備えたリニアモータにおいて、上記N極とS極
    の1対の移動方向長さをLとし、上記空間の寸法をBと
    し、上記磁極部の移動方向の両端部における上記2次側
    永久磁石との間隔の寸法をCとしたとき、C>Bとなる
    ように上記磁極部に湾曲部を形成し、上記空間の寸法が
    上記間隔側へ増大し始める位置とこの位置から移動方向
    における端部までの距離をDとしたとき、L≧D≧1/
    2Lとし、かつ、上記1次側磁極鉄心の移動方向長さを
    (n+1/3+α)×Lまたは(n+5/6+α)×L
    (nは正の整数、αはほぼ1/6〜1/3)としたこと
    を特徴とするリニアモータ。
  2. 【請求項2】 湾曲部は、スロットを複数形成する磁極
    部とは別体として構成されかつ、積層された磁性体によ
    り構成されていることを特徴とする請求項1記載のリニ
    アモータ。
  3. 【請求項3】 湾曲部の根本には2次側永久磁石との寸
    法が変化しない区間を設けかつ先端側には移動方向に対
    して傾斜したスキューを構成することを特徴とする請求
    項2記載のリニアモータ。
  4. 【請求項4】 スロットを複数形成する磁極部を構成す
    る鉄心片と、湾曲部を構成する鉄心片とが積層方向にお
    いてかみ合って連結されることを特徴とする請求項
    載のリニアモータ。
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