JP3220702B2 - 後施工アンカー - Google Patents
後施工アンカーInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、既存の構造物の耐
震補強のためなどに用いる後施工アンカーに関するもの
である。 【0002】 【従来の技術】既存コンクリート構造物の耐震補強、高
架橋の重層化や建屋の増築などによる設計荷重が増加し
た既存コンクリート構造物の補強、増設する新設鉄筋コ
ンクリートの鉄筋の既存コンクリートヘの定着などに、
後施工アンカーを使用することがある。 【0003】後施工アンカーは既存鉄筋コンクリート躯
体にドリルなどで鉄筋の定着に必要な深さの孔を穿孔
し、アンカー本体またはアンカー筋をこのアンカー孔内
に埋め込み、このアンカー本体またはアンカー筋に新設
する鉄筋を接合するもので、アンカーを定着させる方法
により金属系アンカー(拡底アンカー)と接着系アンカ
ー(樹脂アンカー)とに大別される。 【0004】金属系アンカーは一例として、図6に示す
ようにアンカー本体11等にスリットを有し、スカート状
に広がる拡張部12を設け、アンカー本体H をコンクリー
ト構造物1に穿孔したアンカー孔2に挿入後、拡張部12
を孔2内で拡張してこの拡張力で鉄筋をアンカー孔2内
に定着するものであり、図中13は挿入後に拡張部12を拡
張させるためのテーパー面を有するプラグを示す。 【0005】これに対して、接着系アンカーは、図7に
示すように樹脂カプセルをアンカー孔2内に挿填し、ア
ンカー筋14を挿入、その回転と打撃によりカプセル内の
樹脂などによる充填材15をアンカー孔2内に吐出させ、
この充填材15によりアンカー筋14を埋め込み定着させて
固定するものである。 【0006】ところで、既存の鉄筋コンクリート躯体に
補強用の鉄筋コンクリート部材を打ち足す場合、既設の
鉄筋に新設の鉄筋を継ぎ足し等で配設することになる
が、かかる鉄筋の継手としてエンクローズ溶接継手があ
る。これは、既存鉄筋コンクリート躯体の鉄筋を接続に
必要な長さ分だけ斫り出して、必要に応じてこれを曲げ
起こし、新設する鉄筋とエンクローズ溶接で接合するも
のである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】エンクローズ溶接継手
による方法は、既存コンクリート構造物内から鉄筋を斫
り出すときの騒音が大きく騒音公害のおそれがある。ま
た、斫り出すときに既存コンクリートの骨材を緩め、強
度を低下させることもあり、鉄筋を曲げ起こすときに母
材を傷めることもある。さらに、斫り作業を必要とする
ため、この分だけ工期が長くなり、コストも高くなる。 【0008】これに対して前記金属系アンカー(拡底ア
ンカー)と接着系アンカー(樹脂アンカー)のような後
施工アンカーを設け、これに新設の鉄筋を継ぎ足すよう
にすることが考えられる。 【0009】ところが、金属系アンカー(拡底アンカ
ー) の場合は、前記したエンクローズ溶接継手による方
法による場合のような不都合はないが、このアンカーは
一般にコンクリート構造物に部材を取り付けるためのも
のであることから、本体は機械用鋼材によるネジで構成
されている。そしてかかる既成の金属系アンカーに、鉄
筋16を接合するには図9に示すように鉄筋16の端部にネ
ジ加工を施してねじ部17を形成する必要があるため、鉄
筋16の有効断面が減少し、強度的な問題がある。 【0010】また、カプラーなどを介して鉄筋を接続し
た場合、アンカーのネジ部が弱点となり所要の靱性を得
ることが困難である。 【0011】一方、接着系アンカー(樹脂アンカー) の
場合は、一般に本体が鉄筋で構成されてるから、通常の
鉄筋継手を使用しての接続が可能であるが、地震時の繰
り返し荷重により定着部にひび割れが生じた場合、鉄筋
がアンカー孔から抜け出しやすい。また、鉛直上方位置
で下方に向けて鉄筋が伸びるように施工する場合、アン
カー孔も開口がした向きとなり内部から樹脂が流出しな
いようにして鉄筋を定着させることが困難で、高品質の
施工がむずかしい。 【0012】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、後施工アンカーによりアンカーをアンカー孔に定着
させて、これに新設の鉄筋を接合する場合に、アンカー
本体の靱性を向上でき、接続のために新設の鉄筋にネジ
加工を施す必要もなく、また、地震力により定着部にあ
る程度のひび割れが発生してもこれに抵抗することがで
きて所要の強度を保持でき、さらに、新設の鉄筋との継
手位置も自由に設定でき、かつ新設鉄筋との継手方法と
しても圧接、圧着、エンクローズ溶接、機械継手などの
種々の手段を自由に選択でき、施工性のよい後施工アン
カーを提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、アンダーカッターによる拡径部を設けたアン
カー孔と、このアンカー孔に挿入されるものとして、ア
ンカー本体を構成するねじふし鉄筋と、該ねじふし鉄筋
の下部に螺合し上部を上方に向かって先細りとなるテー
パー部に形成したナットと、該ナットの上方位置でねじ
ふし鉄筋の周面にスライド自在に組合わさる拡張部材
と、該拡張部材の上部位置でねじふし鉄筋に挿着される
筒状部材であるスリーブと、アンカー本体の下部でナッ
トの下方に位置させて螺合する止めナットで構成したこ
とを要旨とするものである。 【0014】本発明によれば、アンカーを挿入し、打ち
込み棒等でスリーブを打ち込めば、拡張部材が押圧され
て複数の拡張片が拡張する。この拡張片の拡張力でアン
カーがアンカー孔内に固定される。 【0015】アンカー本体をねじふし鉄筋で構成したた
め、靱性が向上し、アンカー孔の拡径部に拡張部材を押
し入れることでアンカー孔に容易に定着でき、ネジを切
るなど新設の鉄筋の接続のための加工も不要となり、ア
ンカー本体の長さを自由に設定できるため新設鉄筋との
継手位置も任意に設定できる。また、ねじふし鉄筋に新
設鉄筋を次ぐ方法は、圧接、圧着、エンクローズ溶接、
機械継手などの種々の手段を自由に選択できる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1は本発明の後施工アンカ
ーの実施形態を示す一部切欠いた正面図で、このアンカ
ーは基本構造としては金属系アンカー(拡底アンカー)
であり、アンカー本体3を任意の長さのねじふし鉄筋で
構成した。 【0017】図中4はこのアンカー本体3の下部に螺合
させてナットで、該ナット4は上方部を上方に向かって
先細りとなるテーパー部4a形成する。そして、このナ
ット4の下方に位置させてさらに止めナット5をアンカ
ー本体3の下部に螺合する。 【0018】ナット4の上方に位置させてアンカー本体
3の周面に拡張部材6をスライド自在に組み合わせる。
該拡張部材6は上下に2分割した分割体で構成し、下部
の分割体は円筒体を縦割りにして形成した複数の拡張片
6aを並列して円筒状に組んだ。 【0019】そして、この拡張部材6の上部に位置させ
てアンカー本体3に筒状部材であるスリーブ7を挿着す
る。 【0020】次にかかるアンカーを既存のコンクリート
構造物の壁体などに取り付ける方法を説明する。まず、
通常のドリル孔施工と同様にして図2(a)に示すよう
に既存のコンクリート構造物1に下孔用ビット8などの
穿孔具で規定の深さのアンカー孔2を穿孔し、図2
(b)のように内部の切粉をクリーナで除去する。 【0021】次に図3のようにアンダーカッター9をア
ンカー孔2内に挿入し、孔底近傍に拡径部(拡底部)2
aを形成する。この拡径部2aの形成位置はアンカーの
拡張部材6の位置に対応させ、孔壁を削ることにより形
成する。 【0022】アンダーカッター9は一例として本体9a
の削成加工で対向して形成した適宜の弾力を有する一対
の板片9bを前記本体9aの下部に設け、その下端に切
刃9cを設け、この切刃9cをウェッジセンタ9dの張
出鍔9eに設けたガイド溝に係合させて下向きの移動で
本体9aの外向きに張出し可能としたもので、本体9a
をアンカー孔2内に回転を与えながら押し込むようにす
れば、切刃9cが張出鍔9e上を移動して張出鍔9eの
外方に突出する位置まで孔壁を拡径切削して拡径部(拡
底部)2aを形成する。 【0023】このようにして形成したアンカー孔2内に
図4に示すようにアンカーを挿入し、打ち込み棒10でス
リーブ7を打ち込めば、図5に示すように拡張部材6が
下方に押圧されて複数の拡張片6aがナット4のテーパ
ー部4aの上に移動し各拡張片6aがテーパー部4aに
そって拡張し、拡径部2aに圧入され、この拡張片6a
の拡張力でアンカーがアンカー孔2内に固定される。 【0024】なお、アンカーとコンクリート構造物1と
の間の隙間に必要に応じて樹脂などを注入すればアンカ
ーの腐食を防止できる。 【0025】さらに、既存のコンクリート構造物1と増
設部材との接合面に位置させてねじふし鉄筋にトルクを
与えるカプラー18を取り付けることもでき、これによ
り、アンカー本体3にプレストレスを加えることがで
き、緩みやガタを防止できる。以上のように構成したア
ンカーはアンカー本体3をねじふし鉄筋としたから、任
意の長さのものを設定でき、これにより新設鉄筋との継
手位置を自由に設定でき、鉄筋の継手方法としても圧
接、圧着、エンクローズ継手、機械継手などから自由に
選択できる。 【0026】本発明の利用分野としては、土木構造物と
しては、橋脚基礎等のフーチングの拡幅、橋脚の桁座拡
幅、橋脚柱の鉄筋コンクリート巻立て等であり、建築構
造物としては、耐震壁の増設、柱のそで壁増設等であ
る。 【0027】 【発明の効果】以上述べたように本発明の後施工アンカ
ーは、後施工アンカーによりアンカーをアンカー孔に定
着させて、これに新設の鉄筋を接合する場合に、アンカ
ー本体をねじふし鉄筋で構成することにより、地震時な
どのひび割れによる抜け出しに対する抵抗が大きく、靱
性の高い鉄筋の定着が可能となり、接続のために新設の
鉄筋にネジ加工を施す必要もなく、また、接続のための
カプラーも不要となり、ねじふし鉄筋も市販のものを使
用できる。 【0028】そして、地震力その他の原因によって定着
部にある程度のひび割れが発生してもこれに抵抗するこ
とができて所要の強度を保持でき、さらに、任意の長さ
のねじふし鉄筋を設定することにより、所謂いも継ぎを
防止できて新設の鉄筋との継手位置も自由に設定でき、
かっ新設鉄筋との継手方法としても圧接、圧着、エンク
ローズ溶接、機械継手などの種々の手段を自由に選択で
き、エンクローズ溶接継手の場合のように既存のコンク
リート構造物から鉄筋を斫り出す必要もなく騒音発生も
防止できて施工性のよいものである。
震補強のためなどに用いる後施工アンカーに関するもの
である。 【0002】 【従来の技術】既存コンクリート構造物の耐震補強、高
架橋の重層化や建屋の増築などによる設計荷重が増加し
た既存コンクリート構造物の補強、増設する新設鉄筋コ
ンクリートの鉄筋の既存コンクリートヘの定着などに、
後施工アンカーを使用することがある。 【0003】後施工アンカーは既存鉄筋コンクリート躯
体にドリルなどで鉄筋の定着に必要な深さの孔を穿孔
し、アンカー本体またはアンカー筋をこのアンカー孔内
に埋め込み、このアンカー本体またはアンカー筋に新設
する鉄筋を接合するもので、アンカーを定着させる方法
により金属系アンカー(拡底アンカー)と接着系アンカ
ー(樹脂アンカー)とに大別される。 【0004】金属系アンカーは一例として、図6に示す
ようにアンカー本体11等にスリットを有し、スカート状
に広がる拡張部12を設け、アンカー本体H をコンクリー
ト構造物1に穿孔したアンカー孔2に挿入後、拡張部12
を孔2内で拡張してこの拡張力で鉄筋をアンカー孔2内
に定着するものであり、図中13は挿入後に拡張部12を拡
張させるためのテーパー面を有するプラグを示す。 【0005】これに対して、接着系アンカーは、図7に
示すように樹脂カプセルをアンカー孔2内に挿填し、ア
ンカー筋14を挿入、その回転と打撃によりカプセル内の
樹脂などによる充填材15をアンカー孔2内に吐出させ、
この充填材15によりアンカー筋14を埋め込み定着させて
固定するものである。 【0006】ところで、既存の鉄筋コンクリート躯体に
補強用の鉄筋コンクリート部材を打ち足す場合、既設の
鉄筋に新設の鉄筋を継ぎ足し等で配設することになる
が、かかる鉄筋の継手としてエンクローズ溶接継手があ
る。これは、既存鉄筋コンクリート躯体の鉄筋を接続に
必要な長さ分だけ斫り出して、必要に応じてこれを曲げ
起こし、新設する鉄筋とエンクローズ溶接で接合するも
のである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】エンクローズ溶接継手
による方法は、既存コンクリート構造物内から鉄筋を斫
り出すときの騒音が大きく騒音公害のおそれがある。ま
た、斫り出すときに既存コンクリートの骨材を緩め、強
度を低下させることもあり、鉄筋を曲げ起こすときに母
材を傷めることもある。さらに、斫り作業を必要とする
ため、この分だけ工期が長くなり、コストも高くなる。 【0008】これに対して前記金属系アンカー(拡底ア
ンカー)と接着系アンカー(樹脂アンカー)のような後
施工アンカーを設け、これに新設の鉄筋を継ぎ足すよう
にすることが考えられる。 【0009】ところが、金属系アンカー(拡底アンカ
ー) の場合は、前記したエンクローズ溶接継手による方
法による場合のような不都合はないが、このアンカーは
一般にコンクリート構造物に部材を取り付けるためのも
のであることから、本体は機械用鋼材によるネジで構成
されている。そしてかかる既成の金属系アンカーに、鉄
筋16を接合するには図9に示すように鉄筋16の端部にネ
ジ加工を施してねじ部17を形成する必要があるため、鉄
筋16の有効断面が減少し、強度的な問題がある。 【0010】また、カプラーなどを介して鉄筋を接続し
た場合、アンカーのネジ部が弱点となり所要の靱性を得
ることが困難である。 【0011】一方、接着系アンカー(樹脂アンカー) の
場合は、一般に本体が鉄筋で構成されてるから、通常の
鉄筋継手を使用しての接続が可能であるが、地震時の繰
り返し荷重により定着部にひび割れが生じた場合、鉄筋
がアンカー孔から抜け出しやすい。また、鉛直上方位置
で下方に向けて鉄筋が伸びるように施工する場合、アン
カー孔も開口がした向きとなり内部から樹脂が流出しな
いようにして鉄筋を定着させることが困難で、高品質の
施工がむずかしい。 【0012】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、後施工アンカーによりアンカーをアンカー孔に定着
させて、これに新設の鉄筋を接合する場合に、アンカー
本体の靱性を向上でき、接続のために新設の鉄筋にネジ
加工を施す必要もなく、また、地震力により定着部にあ
る程度のひび割れが発生してもこれに抵抗することがで
きて所要の強度を保持でき、さらに、新設の鉄筋との継
手位置も自由に設定でき、かつ新設鉄筋との継手方法と
しても圧接、圧着、エンクローズ溶接、機械継手などの
種々の手段を自由に選択でき、施工性のよい後施工アン
カーを提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、アンダーカッターによる拡径部を設けたアン
カー孔と、このアンカー孔に挿入されるものとして、ア
ンカー本体を構成するねじふし鉄筋と、該ねじふし鉄筋
の下部に螺合し上部を上方に向かって先細りとなるテー
パー部に形成したナットと、該ナットの上方位置でねじ
ふし鉄筋の周面にスライド自在に組合わさる拡張部材
と、該拡張部材の上部位置でねじふし鉄筋に挿着される
筒状部材であるスリーブと、アンカー本体の下部でナッ
トの下方に位置させて螺合する止めナットで構成したこ
とを要旨とするものである。 【0014】本発明によれば、アンカーを挿入し、打ち
込み棒等でスリーブを打ち込めば、拡張部材が押圧され
て複数の拡張片が拡張する。この拡張片の拡張力でアン
カーがアンカー孔内に固定される。 【0015】アンカー本体をねじふし鉄筋で構成したた
め、靱性が向上し、アンカー孔の拡径部に拡張部材を押
し入れることでアンカー孔に容易に定着でき、ネジを切
るなど新設の鉄筋の接続のための加工も不要となり、ア
ンカー本体の長さを自由に設定できるため新設鉄筋との
継手位置も任意に設定できる。また、ねじふし鉄筋に新
設鉄筋を次ぐ方法は、圧接、圧着、エンクローズ溶接、
機械継手などの種々の手段を自由に選択できる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1は本発明の後施工アンカ
ーの実施形態を示す一部切欠いた正面図で、このアンカ
ーは基本構造としては金属系アンカー(拡底アンカー)
であり、アンカー本体3を任意の長さのねじふし鉄筋で
構成した。 【0017】図中4はこのアンカー本体3の下部に螺合
させてナットで、該ナット4は上方部を上方に向かって
先細りとなるテーパー部4a形成する。そして、このナ
ット4の下方に位置させてさらに止めナット5をアンカ
ー本体3の下部に螺合する。 【0018】ナット4の上方に位置させてアンカー本体
3の周面に拡張部材6をスライド自在に組み合わせる。
該拡張部材6は上下に2分割した分割体で構成し、下部
の分割体は円筒体を縦割りにして形成した複数の拡張片
6aを並列して円筒状に組んだ。 【0019】そして、この拡張部材6の上部に位置させ
てアンカー本体3に筒状部材であるスリーブ7を挿着す
る。 【0020】次にかかるアンカーを既存のコンクリート
構造物の壁体などに取り付ける方法を説明する。まず、
通常のドリル孔施工と同様にして図2(a)に示すよう
に既存のコンクリート構造物1に下孔用ビット8などの
穿孔具で規定の深さのアンカー孔2を穿孔し、図2
(b)のように内部の切粉をクリーナで除去する。 【0021】次に図3のようにアンダーカッター9をア
ンカー孔2内に挿入し、孔底近傍に拡径部(拡底部)2
aを形成する。この拡径部2aの形成位置はアンカーの
拡張部材6の位置に対応させ、孔壁を削ることにより形
成する。 【0022】アンダーカッター9は一例として本体9a
の削成加工で対向して形成した適宜の弾力を有する一対
の板片9bを前記本体9aの下部に設け、その下端に切
刃9cを設け、この切刃9cをウェッジセンタ9dの張
出鍔9eに設けたガイド溝に係合させて下向きの移動で
本体9aの外向きに張出し可能としたもので、本体9a
をアンカー孔2内に回転を与えながら押し込むようにす
れば、切刃9cが張出鍔9e上を移動して張出鍔9eの
外方に突出する位置まで孔壁を拡径切削して拡径部(拡
底部)2aを形成する。 【0023】このようにして形成したアンカー孔2内に
図4に示すようにアンカーを挿入し、打ち込み棒10でス
リーブ7を打ち込めば、図5に示すように拡張部材6が
下方に押圧されて複数の拡張片6aがナット4のテーパ
ー部4aの上に移動し各拡張片6aがテーパー部4aに
そって拡張し、拡径部2aに圧入され、この拡張片6a
の拡張力でアンカーがアンカー孔2内に固定される。 【0024】なお、アンカーとコンクリート構造物1と
の間の隙間に必要に応じて樹脂などを注入すればアンカ
ーの腐食を防止できる。 【0025】さらに、既存のコンクリート構造物1と増
設部材との接合面に位置させてねじふし鉄筋にトルクを
与えるカプラー18を取り付けることもでき、これによ
り、アンカー本体3にプレストレスを加えることがで
き、緩みやガタを防止できる。以上のように構成したア
ンカーはアンカー本体3をねじふし鉄筋としたから、任
意の長さのものを設定でき、これにより新設鉄筋との継
手位置を自由に設定でき、鉄筋の継手方法としても圧
接、圧着、エンクローズ継手、機械継手などから自由に
選択できる。 【0026】本発明の利用分野としては、土木構造物と
しては、橋脚基礎等のフーチングの拡幅、橋脚の桁座拡
幅、橋脚柱の鉄筋コンクリート巻立て等であり、建築構
造物としては、耐震壁の増設、柱のそで壁増設等であ
る。 【0027】 【発明の効果】以上述べたように本発明の後施工アンカ
ーは、後施工アンカーによりアンカーをアンカー孔に定
着させて、これに新設の鉄筋を接合する場合に、アンカ
ー本体をねじふし鉄筋で構成することにより、地震時な
どのひび割れによる抜け出しに対する抵抗が大きく、靱
性の高い鉄筋の定着が可能となり、接続のために新設の
鉄筋にネジ加工を施す必要もなく、また、接続のための
カプラーも不要となり、ねじふし鉄筋も市販のものを使
用できる。 【0028】そして、地震力その他の原因によって定着
部にある程度のひび割れが発生してもこれに抵抗するこ
とができて所要の強度を保持でき、さらに、任意の長さ
のねじふし鉄筋を設定することにより、所謂いも継ぎを
防止できて新設の鉄筋との継手位置も自由に設定でき、
かっ新設鉄筋との継手方法としても圧接、圧着、エンク
ローズ溶接、機械継手などの種々の手段を自由に選択で
き、エンクローズ溶接継手の場合のように既存のコンク
リート構造物から鉄筋を斫り出す必要もなく騒音発生も
防止できて施工性のよいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の後施工アンカーの実施形態を示す一部
切欠いた正面図である。 【図2】本発明の後施工アンカーの第1施工工程を示す
縦断正面図である。 【図3】本発明の後施工アンカーの第2施工工程を示す
縦断正面図である。 【図4】本発明の後施工アンカーの第3施工工程を示す
縦断正面図である。 【図5】本発明の後施工アンカーの実施形態を示すコン
クリート構造物に固定した状態の一部切欠いた正面図で
ある。 【図6】従来の金属系アンカーの一部切欠いた正面図で
ある。 【図7】従来の接着系アンカーの一部切欠いた正面図で
ある。 【符号の説明】 1…コンクリート構造物 2…アンカー孔 2a…拡径部 3…アンカー本
体 4…ナット 4a…テーパー
部 5…止めナット 6…拡張部材 6a…拡張片 7…スリーブ 8…下孔用ビット 9…アンダーカ
ッター 9a…本体 9b…板片 9c…切刃 9d…ウェッジ
センタ 9e…張出鍔 10…打ち込み棒 11…アンカー本体 12…拡張部 13…プラグ 14…アンカー筋 15…充填材 16…鉄筋 17…ねじ部 18…カプラー
切欠いた正面図である。 【図2】本発明の後施工アンカーの第1施工工程を示す
縦断正面図である。 【図3】本発明の後施工アンカーの第2施工工程を示す
縦断正面図である。 【図4】本発明の後施工アンカーの第3施工工程を示す
縦断正面図である。 【図5】本発明の後施工アンカーの実施形態を示すコン
クリート構造物に固定した状態の一部切欠いた正面図で
ある。 【図6】従来の金属系アンカーの一部切欠いた正面図で
ある。 【図7】従来の接着系アンカーの一部切欠いた正面図で
ある。 【符号の説明】 1…コンクリート構造物 2…アンカー孔 2a…拡径部 3…アンカー本
体 4…ナット 4a…テーパー
部 5…止めナット 6…拡張部材 6a…拡張片 7…スリーブ 8…下孔用ビット 9…アンダーカ
ッター 9a…本体 9b…板片 9c…切刃 9d…ウェッジ
センタ 9e…張出鍔 10…打ち込み棒 11…アンカー本体 12…拡張部 13…プラグ 14…アンカー筋 15…充填材 16…鉄筋 17…ねじ部 18…カプラー
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 秋山 暉
東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿
島建設株式会社 技術研究所内
(72)発明者 日紫喜 剛啓
東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿
島建設株式会社 技術研究所内
(72)発明者 新井 崇裕
東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿
島建設株式会社 技術研究所内
(72)発明者 宮永 昌明
兵庫県三木市福井2393番地 株式会社ミ
ヤナガ内
(56)参考文献 特開 平3−107605(JP,A)
特開 平2−176206(JP,A)
特開 平8−74328(JP,A)
特開 平7−119210(JP,A)
特開 平7−102560(JP,A)
特開 平2−146306(JP,A)
特開 平2−269239(JP,A)
実開 昭63−74510(JP,U)
実開 平7−28211(JP,U)
実開 平3−123108(JP,U)
実開 平5−19444(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
E04B 1/41 503
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1 】 アンダーカッターによる拡径部を設けた
アンカー孔と、このアンカー孔に挿入されるものとし
て、アンカー本体を構成するねじふし鉄筋と、該ねじふ
し鉄筋の下部に螺合し上部を上方に向かって先細りとな
るテーパー部に形成したナットと、該ナットの上方位置
でねじふし鉄筋の周面にスライド自在に組合わさる拡張
部材と、該拡張部材の上部位置でねじふし鉄筋に挿着さ
れる筒状部材であるスリーブと、アンカー本体の下部で
ナットの下方に位置させて螺合する止めナットで構成し
たことを特徴とする後施工アンカー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28520196A JP3220702B2 (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 後施工アンカー |
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