JP3220409U - ロアアーム取り外し工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】周辺部品を損傷させることなく、容易にロアアームの取り外しを行うことができるロアアーム取り外し工具を提供する。【解決手段】ロアアームを車両から取り外すためのロアアーム取り外し工具10であって、アーム部11と、アーム部11の一方の端部から、アーム部11が延びる方向とは異なる方向に延びるように設けられたフック部12と、アーム部11の他方の端部に設けられ、スライドハンマーを連結可能な連結部13とを備え、ロアアームを取り外すときには、フック部12をロアアームの上側の所定位置に配置し、かつ、連結部13をフック部12に対して鉛直方向下側に配置し、アーム部11は、所定位置にフック部12を配置したときに、ロアアームを避けるような位置に配置される。【選択図】図1

Description

本考案は、車両からロアアームを取り外すために用いるロアアーム取り外し工具に関する。
車両のサスペンション装置として、例えば特許文献1に記載のサスペンション装置においては、車輪を回転自在に支持するナックル部材の下端と車体とがロアアームを介して連結されている。ナックル部材には、ドライブシャフトを挿通する挿通孔が形成されている。ロアアームは、前後2本のリンク部材からなり、前方のリンク部材は車幅方向に沿ってほぼ直線状に延び、その一端はボールジョイントを介してナックル部材の下端に枢着され、他端はクロスメンバに対し、軸線が車体前後方向に延びるラバーブッシュを介して上下揺動自在に連結されている。上記枢着は、ボールジョイントから延びるジョイントボルトをナックル部材に挿通させ、ナックル部材から延出したジョイントボルトの先端側にジョイントナットを螺合することによって行う。また、ロアアームは、サスペンション装置だけでなく、ステアリング装置などにも用いられている。
特開2001−63330号公報
ロアアーム、ボールジョイント、ボールジョイントを覆うジョイントブーツ、及び、ナックルなどの交換、点検、メンテナンスその他の目的のためにロアアームを取り外す作業が必要になることがある。ロアアームの取り外しは、従来は、例えば、図13(a)に示すタイロッドエンドプーラー、図13(b)に示すボールジョイントノックリムーバー、図13(c)に示すジョイントプーラーと言った工具を用いて行っていた。
しかしながら、図13(a)〜(c)に示す工具は、本来ロアアームの取り外しのために構成されたものではないため、ナックル部材、ホイールカバー、サスペンションその他の部材が周囲に近接配置されているロアアームの取り外しには適切とは言えなかった。別言すると、従来の工具を用いた作業では、ロアアームの周囲に、工具の作動範囲のためのスペースや、工具を把持する作業者の手が入るスペースが必要であり、このようなスペースが限られたロアアーム取り外し作業では、効率のよい作業を行うことが難しく、また、無理な作業によって意図せずに周辺部材を破損させてしまうおそれがあった。これに対して、あらかじめ周辺の構成部品を取り外して作業スペースを確保することも考えられるが、作業時間がさらに増加してしまうため、作業効率の低下の観点から好ましくなかった。
そこで本考案は、周囲に十分な作業スペースのないロアアームの取り外し作業に適しており、周辺部品を損傷させることなく、容易にロアアームの取り外しを行うことができるロアアーム取り外し工具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本考案のロアアーム取り外し工具は、ロアアームを車両から取り外すためのロアアーム取り外し工具であって、アーム部と、アーム部の一方の端部から、アーム部が延びる方向とは異なる方向に延びるように設けられたフック部と、アーム部の他方の端部に設けられ、スライドハンマーを連結可能な連結部とを備え、ロアアームを取り外すときには、フック部をロアアームの上側の所定位置に配置し、かつ、連結部をフック部に対して鉛直方向下側に配置し、アーム部は、所定位置にフック部を配置したときに、ロアアームを避けるような位置に配置されることを特徴としている。
本考案のロアアーム取り外し工具において、ロアアームは、これに取り付けられたボールジョイントから延びるジョイントボルトを、ナックルに枢着することによって、車両に取り付けられており、アーム部は、所定位置としてのジョイントボルト上の位置にフック部を配置したときに、ロアアームを避けるような位置に配置されることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、フック部は、アーム部に対して略直角をなすように屈曲され、アーム部は、所定位置にフック部を配置したときにロアアームを避けるような位置に配置されることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、アーム部は、ジョイントボルトを挟んで、互いに対向する一対の基部を備え、フック部は、その両端が一対の基部にそれぞれ支持されることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、フック部は、一対の基部に対して略直角をなすように配置され、アーム部は、所定位置にフック部を配置したときにロアアームを避けるような位置に配置されることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、フック部は、上側に凸となるように湾曲した板形状を備え、フック部のうちで最も上側に位置する領域が所定位置に配置され、アーム部はロアアームを避けるような位置に配置されることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、フック部は、ジョイントボルトに対向する面に、ジョイントボルト、又は、ジョイントボルトに螺合されたナットに対応する凹部を備え、この凹部内にジョイントボルト又はナットが収まることによって、フック部がロアアームに対して位置決めされることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、凹部は、ナットを嵌合可能とする内面形状を備え、凹部内にナットが嵌合することによってフック部がロアアームに固定されることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、凹部は、ジョイントボルトを螺合可能とする溝を内面に備え、凹部内にジョイントボルトが螺合することによってフック部がロアアームに固定されることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、フック部は、ジョイントボルトに対向する面として、ジョイントボルト上に当接するように配置される底面を有することが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、連結部は、スライドハンマーを螺合可能とする溝が内面に形成された貫通孔を備えることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、フック部と連結部は、ジョイントボルト上にフック部が配置されたときに、ジョイントボルトを挟むように設けられていることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、連結部は、スライドハンマーを螺合可能とする溝が内面に形成された貫通孔を備え、貫通孔の中心軸の延長線上に凹部の平面中心が位置することが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具において、ナットは、ナックルとの間に所定間隔をおくようにジョイントボルトに螺合されていることが好ましい。
本考案のロアアーム取り外し工具は、クロムモリブデン鋼、炭素鋼、又は、マンガンモリブデン鋼で形成されていることが好ましい。
本考案によると、周囲に十分な作業スペースのないロアアームの取り外し作業に適しており、周辺部品を損傷させることなく、容易にロアアームの取り外しを行うことができるロアアーム取り外し工具を提供することができる。
(a)、(b)は、本考案の実施形態に係るロアアーム取り外し工具の構成を示す斜視図である。 (a)は実施形態に係るロアアーム取り外し工具の正面図、(b)は(a)のロアアーム取り外し工具の背面図である。 (a)は実施形態に係るロアアーム取り外し工具の底面図、(b)は図2(a)のA−A’線における断面図である。 (a)は実施形態におけるロアアームとナックルが互いに連結された状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態からジョイントナットを外した状態を示す斜視図である。 (a)、(b)は、図4(b)の状態のジョイントボルトに対してナットを螺合する前と後の状態をそれぞれ示す斜視図である。 図5(b)に示すようにナックルに固定されたロアアームに対して、スライドハンマーを連結したロアアーム取り外し工具を所定位置に配置する前の状態を示す斜視図である。 スライドハンマーを連結したロアアーム取り外し工具を所定位置に配置した後の状態を示す斜視図である。 スライドハンマーを連結したロアアーム取り外し工具を所定位置に配置した後の状態を示す斜視図である。 (a)は、スライドハンマーを操作することによってロアアームを落下させた状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態からナットを外し、ロアアームをナックルから外した状態を示す斜視図である。 変形例1に係るロアアーム取り外し工具を、ロアアームを取り外すための所定位置に配置した状態を示す斜視図である。 変形例2に係るロアアーム取り外し工具を、ロアアームを取り外すための所定位置に配置した状態を示す斜視図である。 (a)は変形例1に係るロアアーム取り外し工具の構成を示す斜視図、(b)は変形例2に係るロアアーム取り外し工具の構成を示す斜視図である。 (a)、(b)(c)は、ロアアームの取り外しに用いていた従来の工具の例を示す図である。
以下、本考案の実施形態に係るロアアーム取り外し工具について図面を参照しつつ詳しく説明する。図1(a)、(b)は、本実施形態に係るロアアーム取り外し工具10の構成を示す斜視図であり、互いに異なる方向から見た図である。図2(a)はロアアーム取り外し工具10の正面図、図2(b)はロアアーム取り外し工具10の背面図である。図3(a)はロアアーム取り外し工具10の底面図、図3(b)は図2(a)のA−A’線における断面図である。
図4〜図9は、ロアアーム取り外し工具10を用いたロアアーム20の取り外し工程の例を順に示す図である。図4(a)はロアアーム20とナックル30が互いに連結された状態を示す斜視図、図4(b)は図4(a)の状態からジョイントナット23を外した状態を示す斜視図である。図5(a)、(b)は、図4(b)の状態のジョイントボルト22に対してナット40を螺合する前と後の状態をそれぞれ示す斜視図である。図6は、図5(b)に示すようにナックル30に固定されたロアアーム20に対して、スライドハンマー50を連結したロアアーム取り外し工具10を所定位置に配置する前の状態を示す斜視図、図7と図8は、スライドハンマー50を連結したロアアーム取り外し工具10を所定位置に配置した後の状態を示す斜視図である。図8は、図7とは異なる方向から見た図であり、ナックル30に対してドライブシャフトブーツ61を介して連結されたドライブシャフト62も示した図である。ドライブシャフト62とロアアーム20は一部を示している。図9(a)は、スライドハンマー50を操作することによってロアアーム20を落下させた状態を示す斜視図、図9(b)は図9(a)の状態からナット40を外し、ロアアーム20をナックル30から外した状態を示す斜視図である。
図1(a)、(b)に示すように、ロアアーム取り外し工具10は、アーム部11と、アーム部11の両端部11d、11cにそれぞれ設けられた、フック部12及び連結部13とを備える。ロアアーム取り外し工具10は、連結部13に連結したスライドハンマー50による衝撃に耐えうるような強度や硬度を備えた材料で構成することが好ましく、例えば、クロムモリブデン鋼、炭素鋼、マンガンモリブデン鋼が用いられ、鍛造などによって形成される。
図1、図2、及び、図4〜9に示すように、アーム部11の上側(図1、2、4〜9の上側)の端部11dから延びるようにフック部12が設けられ、下側の端部11cに連結部13が設けられている。以下、図1、2、4〜9の上下を上下方向又は鉛直方向として説明するが、ロアアーム取り外し工具10の配置方向はこれに限定されない。また、上下方向に沿って見た状態を平面視と称することがある。
図1と図2に示すように、アーム部11は、上下方向に沿って平板状に延びる基部11aと、基部11aの下部から屈曲され、斜め下へ延びる屈曲部11bと、屈曲部11bの下部から下方向へ延びる下端部11cとを備える。
フック部12は、アーム部11の基部11aに対して略直角をなす方向に屈曲させて形成される。よって、基部11aを鉛直方向に沿って延びるように配置したときは、フック部12は、水平方向に沿うように延びる。フック部12の底面12a(連結部13に対向する下側の面)には、平面視円形の凹部12bが設けられている(図1(b)、図3(b)参照)。フック部12は、ロアアーム20を取り外す工程においては、図7と図8に示すように、ロアアーム20の上側であって、ナット40に接触する位置(所定位置)に配置される。凹部12bは、ナット40が嵌合可能な内面形状を備えることが好ましい。また、凹部12bにジョイントボルト22が螺合可能な溝を設け、ナット40を介することなく、凹部12bにジョイントボルト22を直接連結させてもよい。さらにまた、凹部12bを設けずに、フック部12の底面12aをナット40に当接させてロアアームの取り外しを行うこともできる。
連結部13は、上下方向に延びる、アーム部11の下端部11cの側面に対して、溶接によって固定されている。連結部13は、図1(a)、(b)に示すように、中空円筒状をなしており、その内周面にスライドハンマー50の上部を螺合可能とする溝13aが設けられている。連結部13は、ロアアーム20を取り外す工程においては、図7と図8に示すように、ロアアーム20及びフック部12の下側に配置される。さらに、連結部13は、図2(a)と図3(a)、(b)に示すように、上下方向に垂直な方向(水平方向)において、フック部12に設けられた凹部12bの中心12cと、連結部13(溝13a)の中心13cとが同じ位置になるように配置されている。よって、アーム部11の基部11aを上下方向に沿うように配置したとき、フック部12の凹部12bの中心12cの真下に連結部13の中心13cが位置する。
なお、連結部13に対するスライドハンマー50の連結は、螺合以外の形態であってもよい。
アーム部11は、図2(a)、(b)に示すようにフック部12を上側とし、連結部13を下側として配置したときに、フック部12と連結部13を結ぶラインを水平方向に避けるような逃げ形状を有している。すなわち、アーム部11の基部11aは、図7と図8に示すように、上下方向に沿って配置された、ナット40、ナックル30、ボールジョイント21、及びロアアーム20よりも、上下方向に長く延びており、また、フック部12は、ナット40、ナックル30、ボールジョイント21、及びロアアーム20に対してアーム部11が触れることがない程度の水平方向の長さを有している。よって、図7と図8に示すようにフック部12と連結部13の間にロアアーム20を配置すると、アーム部11がロアアーム20を避けるような配置(逃げ形状)となる。
次に、図4〜図9を参照しつつ、ロアアーム20の取り外し工程について説明する。ここでは、一例として、一般的なサスペンション装置に取り付けられた場合のロアアームの取り外し工程について説明するが、これ以外の例えばステアリング装置に取り付けられたロアアームについても同様に取り外しを行うことができる。
図4(a)、(b)に示すように、ロアアーム20は、その先端に取り付けられたボールジョイント21を介して車両側のナックル30に接続されている。図8に示すように、ナックル30は、ドライブシャフトブーツ61を介してドライブシャフト62に接続されている。
図4(a)、(b)に示すように、ナックル30には、ボールジョイント21から延びるジョイントボルト22が枢着、すなわち回転可能に挿通されている。このジョイントボルト22の先端側にジョイントナット23を螺合することにより、ナックル30に対してロアアーム20が固定されている。
ロアアーム20の取り外しとしては、まず、図4(b)に示すように、ジョイントナット23をジョイントボルト22から外し、図5(a)に示すように、ジョイントボルト22に対して、ジョイントボルト22のねじ山損傷防止のためにナット40を螺合する(図5(b)参照)。この際、ナット40は、ナックル30に対して所定間隔Dを置くような位置に配置される。このような間隔Dをおくことにより、ロアアーム取り外し工具10のフック部12を介してナット40に鉛直方向下向きの衝撃を与えたときに、まず、フック部12がナックル30に直接衝突することを防止できるため、ナックル30の損傷を抑えることができる。さらに、上記衝撃によって、ジョイントボルト22を介してロアアーム20に対して下向きの力を加えることができるため、ロアアーム20をナックル30から外すことができる。加えて、ジョイントボルト22にナット40を螺合してあるため、衝撃によってロアアーム20が落下してもこれを抜け止めることができる。
一方、図6に示すように、ロアアーム取り外し工具10の連結部13にはスライドハンマー50が取り付けられる。このロアアーム取り外し工具10は、図8に示すように、フック部12の底面12aをナット40上へ配置し、上記底面12aに設けた凹部12b(図2(a)、図3(b))内にナット40を嵌合させるように配置される。この状態から、スライドハンマー50を上下に動かすことによって、ナット40、ジョイントボルト22、及び、ボールジョイント21を介してロアアーム20に衝撃を与える。
これによりロアアーム20は下方へ落下し、図9(a)に示すように、ナット40がナックル30に接触する位置に至る。ここで、ナット40を外すと、ジョイントボルト22をナックル30から外すことが可能となり、図9(b)に示すようにロアアーム20をさらに下方に移動できる。
このように、ロアアーム取り外し工具10を用いると、ドライブシャフトブーツ61とナックル30との間の狭い空間に板状のフック部12を挿入できれば作業ができるため、ナックル30の周辺にスペースがない場合にも、容易に、かつ、周辺の構成材料を傷つけることなくロアアーム20を取り外すことができる。
以下に変形例について説明する。
図10は変形例1に係るロアアーム取り外し工具100を、ロアアーム20を取り外すための所定位置に配置した状態を示す斜視図、図11は変形例2に係るロアアーム取り外し工具200を、ロアアーム20を取り外すための所定位置に配置した状態を示す斜視図である。図12(a)は変形例1に係るロアアーム取り外し工具100の構成を示す斜視図、(b)は変形例2に係るロアアーム取り外し工具200の構成を示す斜視図である。
図10、図11に示すロアアーム取り外し工具100、200においては、上記所定位置に配置する前に、スライドハンマー50がそれぞれ連結されている。上記実施形態と同様の部材については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
(変形例1)
変形例1のロアアーム取り外し工具100は、アーム部110と、アーム部110の上端部114a、114b(一方の端部)に連結されたフック部120と、アーム部110の底板部112a、112bの先端部113a、113b(他方の端部)に設けられた連結部130とを備える。アーム部110とフック部120は別体として設けられ、互いに固定されている。ロアアーム取り外し工具100の構成材料は上記実施形態と同様である。
アーム部110は、上下方向に沿って延びる、平板状の一対の基部111a、111bと、この一対の基部111a、111bの下部から屈曲させて形成された底板部112a、112bとを備える。一対の基部111a、111bは、互いに対向して上下方向に延びている。底板部112a、112bは、水平方向において、互いに近づくように延びている。底板部112a、112bの先端部113a、113bは上下に重なっており、溶接などによって互いに固定されている。
フック部120は、一対の基部111a、111bに対して略直角をなし、水平方向に沿って延びるように配置される。フック部120は、平板状をなしており、その長手方向の両端部121a、121bは、一対の基部111a、111bのそれぞれの上端部114a、114bに対して、固定軸122a、122bを貫通させることによって固定されている。
フック部120の底面123a(連結部130に対向する下側の面)には、平面視円形の凹部123bが設けられている(図12(a)参照)。フック部120は、ロアアーム20を取り外す工程においては、図10に示すように、ロアアーム20の上側であって、ナット40に接触する位置(所定位置)に配置される。
連結部130は、底板部112a、112bにおいて上下に重なった先端部113a、113bを上下に貫通する孔部として形成されている。連結部130の内周面には、スライドハンマー50の上部を螺合可能とする溝130aが設けられている。連結部130は、上記実施形態のフック部12及び連結部13と同様に、フック部120の凹部123bの中心123cの真下に、中心130cが位置する。
アーム部110の一対の基部111a、111bは、上下方向に沿って配置された、ナット40、ナックル30、ボールジョイント21、及びロアアーム20よりも、上下方向に長く延びており、また、フック部120は、ナット40、ナックル30、ボールジョイント21、及びロアアーム20に対してアーム部110が触れることがない程度の水平方向の長さを有している。よって、フック部120と連結部130の間にロアアーム20を配置すると、アーム部110がロアアーム20を避けるような配置(逃げ形状)となる。
ロアアーム取り外し工具100を用いたロアアーム20の取り外しにおいては、まず、ロアアーム取り外し工具100の連結部130にはスライドハンマー50が取り付けられる。このロアアーム取り外し工具100は、フック部120の底面123aをナット40上へ配置し、上記底面123aに設けた凹部123b(図12(a))内にナット40を嵌合させるように配置される。この状態から、スライドハンマー50を上下に動かすことによって、ナット40、ジョイントボルト22、及び、ボールジョイント21を介してロアアーム20に衝撃を与える。このほかの工程は上記実施形態と同様である。
変形例1に係るロアアーム取り外し工具100によれば、上記実施形態における作用・効果に加えて、フック部120の両端が支持されているため、衝撃を加えたときにロアアーム取り外し工具100の姿勢を維持させやすくなり、これにより、ロアアーム20に対して衝撃の力が伝わりやすい。
(変形例2)
変形例2のロアアーム取り外し工具200は、アーム部210と、アーム部210の上端部214a、214b(一方の端部)に連結されたフック部220と、アーム部210の底板部212a、212bの先端部213a、213b(他方の端部)に設けられた連結部230とを備える。アーム部210とフック部220は別体として設けられ、互いに固定されている。ロアアーム取り外し工具200の構成材料は上記実施形態と同様である。
アーム部210は、変形例1と同様の構成を有している。すなわち、アーム部210は、上下方向に沿って延びる、平板状の一対の基部211a、211bと、この一対の基部211a、211bの下部から屈曲させて形成された底板部212a、212bとを備える。一対の基部211a、211bは、互いに対向して上下方向に延びている。底板部212a、212bは、水平方向において、互いに近づくように延びている。底板部212a、212bの先端部213a、213bは上下に重なっており、溶接などによって互いに固定されている。
フック部220は、上側に凸となるように湾曲させた長板形状を備えており、ロアアーム20が延びる方向に沿って見たときに左右対称な形状を備えることが好ましい。フック部220は、その長手方向の両端部221a、221bが、一対の基部211a、211bのそれぞれの上端部214a、214bに対して、固定軸222a、222bを貫通させることによって固定されている。
フック部220の底面223a(連結部230に対向する下側の面)には、平面視円形の凹部223bが設けられている(図12(b)参照)。フック部220は、ロアアーム20を取り外す工程においては、図11に示すように、ロアアーム20の上側であって、ナット40に接触する位置(所定位置)に配置される。
連結部230は、底板部212a、212bにおいて上下に重なった先端部213a、213bを上下に貫通する孔部として形成されている。連結部230の内周面には、スライドハンマー50の上部を螺合可能とする溝230aが設けられている。連結部230は、上記実施形態のフック部12及び連結部13と同様に、フック部220の凹部223bの中心223cの真下に、中心230cが位置する。凹部223bは、上側に凸となったフック部220の底面の長手方向の中心であって、最も上側となる位置に設けるとよい。
アーム部210の一対の基部211a、211bとこれに連結されたフック部220は、ナット40、ナックル30、ボールジョイント21、及びロアアーム20よりも、上下方向に長い空間を形成しており、また、フック部220は、平面視において、ナット40、ナックル30、ボールジョイント21、及びロアアーム20に対してアーム部210が触れることがない程度の水平方向の長さを有している。よって、フック部220と連結部230の間にロアアーム20を配置すると、アーム部210がロアアーム20を避けるような配置(逃げ形状)となる。
ロアアーム取り外し工具200を用いたロアアーム20の取り外し工程においては、まず、ロアアーム取り外し工具200の連結部230にはスライドハンマー50が取り付けられる。このロアアーム取り外し工具200は、フック部220の底面223aをナット40上へ配置し、上記底面223aに設けた凹部223b(図12(b))内にナット40を嵌合させるように配置される。この状態から、スライドハンマー50を上下に動かすことによって、ナット40、ジョイントボルト22、及び、ボールジョイント21を介してロアアーム20に衝撃を与える。このほかの工程は上記実施形態と同様である。
変形例2に係るロアアーム取り外し工具200によれば、上記実施形態における作用・効果に加えて、フック部220の両端が支持されているため、衝撃を加えたときにロアアーム取り外し工具100の姿勢を維持させやすくなり、これにより、ロアアーム20に対して衝撃の力が伝わりやすい。さらに、フック部220を上に凸の湾曲形状とし、フック部220の底面のうち最も上側の位置に設けた凹部223bにナット40を嵌合させたことにより、強い衝撃が加わってもフック部220がナット40から外れにくくなるため、取り外し工程を確実に実施することができる。
本考案について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本考案は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的又は本考案の思想の範囲内において改良又は変更が可能である。
以上のように、本考案に係るロアアーム取り外し工具は、周囲に十分な作業スペースのないロアアームの取り外し作業に適しており、周辺部品を損傷させることなく、容易にロアアームの取り外しを行うことができる点で有用である。
10 ロアアーム取り外し工具
11 アーム部
11a 基部
11b 屈曲部
11c 下端部
11d 上側の端部
12 フック部
12a 底面
12b 凹部
12c 中心
13 連結部
13a 溝
13c 中心
20 ロアアーム
21 ボールジョイント
22 ジョイントボルト
23 ジョイントナット
30 ナックル
40 ナット
50 スライドハンマー
61 ドライブシャフトブーツ
62 ドライブシャフト
100、200 ロアアーム取り外し工具
110、210 アーム部
111a、111b、211a、211b 基部
112a、112b、212a、212b 底板部
113a、113b、213a、213b 先端部
114a、114b、214a、214b 上端部
120、220 フック部
121a、121b、221a、221b 端部
122a、122b、222a、222b 固定軸
123a、223a 底面
123b、223b 凹部
123c、223c 中心
130、230 連結部
130a、230a 溝
130c、230c 中心
130、230 連結部

Claims (15)

  1. ロアアームを車両から取り外すためのロアアーム取り外し工具であって、
    アーム部と、
    前記アーム部の一方の端部から、前記アーム部が延びる方向とは異なる方向に延びるように設けられたフック部と、
    前記アーム部の他方の端部に設けられ、スライドハンマーを連結可能な連結部とを備え、
    前記ロアアームを取り外すときには、前記フック部を前記ロアアームの上側の所定位置に配置し、かつ、前記連結部を前記フック部に対して鉛直方向下側に配置し、
    前記アーム部は、前記所定位置に前記フック部を配置したときに、前記ロアアームを避けるような位置に配置されることを特徴とするロアアーム取り外し工具。
  2. 前記ロアアームは、これに取り付けられたボールジョイントから延びるジョイントボルトを、ナックルに枢着することによって、前記車両に取り付けられており、
    前記アーム部は、前記所定位置としての前記ジョイントボルト上の位置に前記フック部を配置したときに、前記ロアアームを避けるような位置に配置される請求項1に記載のロアアーム取り外し工具。
  3. 前記フック部は、前記アーム部に対して略直角をなすように屈曲され、前記アーム部は、前記所定位置に前記フック部を配置したときに前記ロアアームを避けるような位置に配置される請求項1又は請求項2に記載のロアアーム取り外し工具。
  4. 前記アーム部は、前記ジョイントボルトを挟んで、互いに対向する一対の基部を備え、
    前記フック部は、その両端が前記一対の基部にそれぞれ支持される請求項1又は請求項2に記載のロアアーム取り外し工具。
  5. 前記フック部は、前記一対の基部に対して略直角をなすように配置され、前記アーム部は、前記所定位置に前記フック部を配置したときに前記ロアアームを避けるような位置に配置される請求項4に記載のロアアーム取り外し工具。
  6. 前記フック部は、上側に凸となるように湾曲した板形状を備え、前記フック部のうちで最も上側に位置する領域が前記所定位置に配置され、前記アーム部は前記ロアアームを避けるような位置に配置される請求項4に記載のロアアーム取り外し工具。
  7. 前記フック部は、前記ジョイントボルトに対向する面に、前記ジョイントボルト、又は、前記ジョイントボルトに螺合されたナットに対応する凹部を備え、この凹部内に前記ジョイントボルト又は前記ナットが収まることによって、前記フック部が前記ロアアームに対して位置決めされる請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のロアアーム取り外し工具。
  8. 前記凹部は、前記ナットを嵌合可能とする内面形状を備え、前記凹部内に前記ナットが嵌合することによって前記フック部が前記ロアアームに固定される請求項7に記載のロアアーム取り外し工具。
  9. 前記凹部は、前記ジョイントボルトを螺合可能とする溝を内面に備え、前記凹部内に前記ジョイントボルトが螺合することによって前記フック部が前記ロアアームに固定される請求項7に記載のロアアーム取り外し工具。
  10. 前記フック部は、前記ジョイントボルトに対向する面として、前記ジョイントボルト上に当接するように配置される底面を有する請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のロアアーム取り外し工具。
  11. 前記連結部は、前記スライドハンマーを螺合可能とする溝が内面に形成された貫通孔を備える請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のロアアーム取り外し工具。
  12. 前記フック部と前記連結部は、前記ジョイントボルト上に前記フック部が配置されたときに、前記ジョイントボルトを挟むように設けられている請求項2に記載のロアアーム取り外し工具。
  13. 前記連結部は、前記スライドハンマーを螺合可能とする溝が内面に形成された貫通孔を備え、
    前記貫通孔の中心軸の延長線上に前記凹部の平面中心が位置する請求項7に記載のロアアーム取り外し工具。
  14. 前記ナットは、前記ナックルとの間に所定間隔をおくように前記ジョイントボルトに螺合されている請求項7に記載のロアアーム取り外し工具。
  15. クロムモリブデン鋼、炭素鋼、又は、マンガンモリブデン鋼で形成されている請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のロアアーム取り外し工具。
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