JP3220330B2 - 固体電解質型燃料電池における発電方法 - Google Patents
固体電解質型燃料電池における発電方法Info
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Description
を高温に維持し、空気極側に酸素含有ガスを供給すると
ともに、燃料極側に燃料ガスを供給して電力を発生させ
る固体電解質型燃料電池における発電方法に関するもの
である。
は、例えば図1に示すような平板型燃料電池セルが一般
的に用いられている。この平板型燃料電池セルは、Y2
O3 で安定化したZrO2 からなる固体電解質1の一方
の面に空気極2としてLaの一部をCa、Sr等で置換
したLaMnO3 やLaCoO3 が形成され、他方の面
にはNi−ZrO2 (Y2 O3 含有)からなる燃料極3
が形成され、単セルが構成されている。さらにこの単セ
ルは、セパレータ4と呼ばれるLaCrO3 系材料で電
気的に接続されている。
料電池セルも知られている。円筒型燃料電池セルは、C
aO安定化ZrO2 を支持管として、その上に平板型燃
料電池セルと同様な材料を用いて空気極、電解質、燃料
極が形成されている。
際には、空気極側に空気(酸素)を、燃料極側に水素ガ
スあるいはメタンガスの改質ガス(燃料ガス)を供給す
ることにより空気極と燃料極間に電力が発生する。
電池を高温の電池作動温度、例えば、1000℃付近で
維持した状態での定常発電については何ら問題はない
が、1994年6月第1回燃料電池シンポジウム講演予
稿集P314に示されるように、燃料電池の運転停止を
繰り返すと燃料電池セルの発電特性が劣化し易いという
問題があった。この結果、燃料電池の長期安定性に欠け
るという問題があった。
転停止の繰り返しによる発電特性の低下を確実に防止す
ることができる固体電解質型燃料電池における発電方法
を提供することを目的とする。
点の原因について検討した結果、空気極材料であるLa
MnO3,LaCoO3あるいはLaの一部をSr,Ba
あるいはCaで置換したLaMnO3系材料やLaCo
O3系材料の結晶構造が600〜800℃付近で変化
し、空気(酸素含有ガス)を空気極側に供給している状
態で前記600〜800℃の温度範囲を横切る運転停止
を繰り返すと空気極が次第に粒成長して、空気極を構成
している粒子が固体電解質から徐々に剥離するため発電
特性が劣化することを突き止めた。
およびLaCoO3 系材料の結晶構造の変化が、酸素の
結晶内への吸収や系外への放出に起因し、結晶内におい
て成分イオンの拡散が促進され、いわゆるヘッドバール
効果により成分イオンの拡散が促進されることにより空
気極の粒成長が起こることを解明した。
過程あるいは停止冷却過程において、不活性ガスを導入
し空気極への酸素の供給を抑制することにより、上記L
aMnO3 系およびLaCoO3 系材料からなる空気極
の粒成長を抑制し、さらにその結果空気極の剥離が抑制
されることを見出し、本発明に至った。
ける発電方法は、固体電解質の片側に空気極を形成し、
他方側に燃料極を形成してなる固体電解質型燃料電池を
高温の電池作動温度に維持し、前記空気極側に酸素含有
ガスを供給するとともに、前記燃料極側に燃料ガスを供
給して電力を発生させ、600〜800℃の温度範囲を
横切る運転停止を繰り返す固体電解質型燃料電池におけ
る発電方法において、前記空気極が少なくともLaと、
Mnおよび/またはCoを含む複合酸化物、あるいは該
複合酸化物のLaの一部をアルカリ土類金属で置換した
材料からなり、前記電池作動温度までの昇温時および前
記電池作動温度からの降温時に、300〜900℃の温
度範囲において前記空気極側に不活性ガスを供給するこ
とを特徴とする。
電池作動温度からの降温時に、300〜900℃の温度
範囲において空気極側に不活性ガスを供給することによ
り、空気極への酸素の供給を抑制し、酸素の結晶内への
吸収や系外への放出を抑制し、これにより、600〜8
00℃の温度範囲を横切る運転停止を繰り返した場合で
もLaMnO3、LaCoO3あるいはそれらの複合酸化
物のLaをSr,BaあるいはCaで置換したLaMn
O3系材料およびLaCoO3系材料の結晶構造の変化を
抑制することが可能となり、その結果、空気極の固体電
解質からの剥離を防止し、起動停止の繰り返し運転にお
いても発電特性を長期に安定して維持できる。
方法を以下に詳細に説明する。本発明の発電方法に使用
される固体電解質型燃料電池は、例えば、図1に示すよ
うな平板型燃料電池セルにより構成されている。この固
体電解質1は、例えばY2 O3 などで安定化したジルコ
ニアからなる電解質の一方の表面に、LaをSr,Ba
あるいはCaで一部置換したLaMnO3 系材料あるい
はLaCoO3系材料からなる空気極2を形成し、他方
の面にNi−ジルコニアサーメットからなる燃料極3を
形成した構造からなる。
aCrO3 系材料からなるセパレータ4を介して直列に
電気的に接続して構成されている。燃料電池セルはこれ
を基本構造としてこれを数10〜100層積層してモジ
ュールを形成する。また、燃料電池セルの近傍には、有
効に電力を発生させる電池作動温度まで燃料電池を加熱
する加熱装置と、空気極側に酸素含有ガス(例えば空
気)を供給する酸素供給装置と、燃料極側に燃料ガス
(例えば水素)を供給する燃料ガス供給装置と、電池作
動温度までの昇温時および電池作動温度からの降温時
に、空気極側に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装
置が配置され、燃料電池の発電装置が構成されている。
力の発生は、固体電解質型燃料電池を、加熱装置によ
り、例えば約1000℃の電池作動温度に維持した状態
で、酸素供給装置により空気極側に酸素含有ガス(例え
ば空気)を供給するとともに、燃料ガス供給装置により
燃料極側に燃料ガス(例えば水素)を供給し、空気極と
燃料極との間に電力を発生させることにより行われる。
昇温時(起動加熱過程)および電池作動温度からの降温
時(停止冷却過程)に、不活性ガス供給装置により、空
気極側に不活性ガスを供給することに特徴がある。即
ち、電力が有効に発生する電池作動温度では空気極側に
酸素含有ガスが供給されるが、電池作動温度までの加熱
時および電池作動温度からの降温時には空気極側に不活
性ガスが供給される。不活性ガスとしては、アルゴンガ
ス,窒素ガス,ヘリウムガスおよびネオンガス、または
それらの混合ガス等があり、特に1000℃における酸
素分圧が10-3atm以下の低酸素分圧の高純度ガスで
あることが望ましい。
動温度までの昇温時および電池作動温度からの降温時
に、空気極側に不活性ガスを供給することにより、空気
極への酸素の供給を抑制して、酸素の結晶内への吸収や
系外への放出を抑制し、これにより、LaMnO3 ,L
aCoO3 あるいはそれらの複合酸化物のLaの一部を
Sr,BaあるいはCaで一部置換したLaMnO3 系
材料およびLaCoO3系材料の結晶構造が変化する温
度である600〜800℃の温度範囲を横切る運転停止
を繰り返した場合でも、それらの材料の結晶構造の変化
を抑制することができる。従って、結晶構造の変化に伴
う成分イオンの拡散が低減され、空気極の粒成長を抑制
することができることができるため、燃料電池セルの発
電特性の劣化を確実に防止することができる。
き、更には円筒型燃料電池セルの空気極からの電解質お
よび集電材料(インターコネクタ)の剥離も抑制するこ
とができる。
池作動温度からの降温時に、空気極側に不活性ガスを供
給することによる空気極の粒成長抑制効果を確認すべ
く、本発明者は以下の実験を行った。
O3,BaCO3,SrCO3,MnOを用いて、所定の
材料組成になるように調合し、1300℃で10時間固
相反応を行わせ、La0.9Ca0.1MnO3、La0.9Sr
0.1MnO3、La0.9Sr0.1CoO3粉末をそれぞれ作
製した。その後、ジルコニアボールを用いて20時間粉
砕を行い、平均粒子径約2μmの空気極粉末を作製し
た。また、市販の純度99.8%のLa0.8Ca0.21C
rO3粉末を成形し、1500℃で5時間焼成し、図1
のように溝を有する幅100mm、厚み3mmの相対密
度99.8%のセパレータ板を作製した。
を含有したZrO2 粉末を押し出し成形し1450℃で
5時間焼結して幅100mm、厚み0.3mmの相対密
度99.5%の電解質シートを作製した。この電解質シ
ートの一方の面に上述の空気極粉末を約30μmの厚み
にそれぞれ印刷した。また、他方の面に70重量%Ni
O−30重量%ZrO2 (8モル%Y2 O3 含有)の混
合粉末を同様に約30μmの厚みに印刷して燃料極を形
成した。この後、この電解質シートを1200℃で2時
間熱処理して電極を電解質に焼付け単セルを形成した。
パレータで挟み込み、空気極側に酸素ガスを、燃料極側
に水素ガスを流しながら室温から1000℃まで100
℃/hの速度で昇温し、1000℃で1時間発電し出力
密度を測定した後、1000℃から室温まで100℃/
hの速度で降温した。これを1サイクルとして、最高5
サイクル繰り返した。この際、室温から1000℃まで
の昇温および1000℃から室温までの降温においてN
2 (1000℃の酸素分圧、8×10-4気圧)あるいは
Arガス(1000℃の酸素分圧、3×10-4気圧)を
導入した。一方、昇温降温時にそのまま酸素ガスを流し
たセルについても発電特性を調べた。
時に酸素ガスを流したセル試料No.1、3、6は出力
密度が徐々に低下し、試料No.3は3サイクル後空気
極が完全に剥離し出力が低くなった。それに対して、昇
温、降温時にN2 、Arガスを導入した試料では出力密
度がサイクルによらず常に安定していた。
ンまたはヘリウムガス中で実験を行ってもN2 やArと
同様優れた粒成長抑制効果と安定した出力が得られた。
発電方法によれば、600〜800℃の温度範囲を横切
る運転停止を繰り返した場合でも、Sr,Baあるいは
Caを置換したLaMnO3 系材料,LaCoO3 系材
料の結晶構造の変化を抑制することができ、空気極の粒
成長を防止することができる。これにより、燃料電池セ
ルの発電機能の低下を確実に防止することができる。
Claims (1)
- 【請求項1】固体電解質の片側に空気極を形成し、他方
側に燃料極を形成してなる固体電解質型燃料電池を高温
の電池作動温度に維持し、前記空気極側に酸素含有ガス
を供給するとともに、前記燃料極側に燃料ガスを供給し
て電力を発生させ、600〜800℃の温度範囲を横切
る運転停止を繰り返す固体電解質型燃料電池における発
電方法において、前記空気極が少なくともLaと、Mn
および/またはCoを含む複合酸化物、あるいは該複合
酸化物のLaの一部をアルカリ土類金属で置換した材料
からなり、前記電池作動温度までの昇温時および前記電
池作動温度からの降温時に、300〜900℃の温度範
囲において前記空気極側に不活性ガスを供給することを
特徴とする固体電解質型燃料電池における発電方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17063294A JP3220330B2 (ja) | 1994-07-22 | 1994-07-22 | 固体電解質型燃料電池における発電方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17063294A JP3220330B2 (ja) | 1994-07-22 | 1994-07-22 | 固体電解質型燃料電池における発電方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0837018A JPH0837018A (ja) | 1996-02-06 |
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ID=15908480
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17063294A Expired - Fee Related JP3220330B2 (ja) | 1994-07-22 | 1994-07-22 | 固体電解質型燃料電池における発電方法 |
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1994
- 1994-07-22 JP JP17063294A patent/JP3220330B2/ja not_active Expired - Fee Related
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