JP3217173B2 - 排ガスの浄化方法及び排ガス浄化システム - Google Patents

排ガスの浄化方法及び排ガス浄化システム

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JP3217173B2 JP03693293A JP3693293A JP3217173B2 JP 3217173 B2 JP3217173 B2 JP 3217173B2 JP 03693293 A JP03693293 A JP 03693293A JP 3693293 A JP3693293 A JP 3693293A JP 3217173 B2 JP3217173 B2 JP 3217173B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排ガス浄化システムに
関し、特に、廃プラスチック等の廃棄物を処理する熱分
解炉等から排出される、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシ
ン、ポリ塩化ジベンゾフラン等の有機塩素化合物を含ん
だ排ガスを浄化する排ガス浄化システム、並びに、廃プ
ラスチックからガソリン、軽油等の燃料を得るエネルギ
−回収システムに使用される排ガス浄化システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】廃プラスチック等の廃棄物を処理する熱
分解炉からは、微量であるが極めて毒性の強いポリ塩化
ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン等の
有機塩素化合物を含んだ排ガスが発生する。このような
有害物質を排ガス中から除去することは、公害防止上、
大変重要なことである。
【0003】これを浄化する方法として、触媒により有
機塩素化合物を酸化、分解して除去する方法が開示され
ている(例えば、特開平4−250825号公報、特開
平4−265122号公報参照)。一方、放電による排
ガス浄化方法が有効であることが知られている。とりわ
け、広い領域で放電が可能な誘電体を介したコロナ放電
が最も有望であることが知られている。このコロナ放電
による排ガス浄化については、例えば、特開昭63−1
83211号公報、特開平2−173311号公報によ
り公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】廃プラスチック等の廃
棄物を処理する熱分解炉の排ガス中には非常に毒性の強
い有機塩素化合物の他、塩素、硫黄、重金属等が含まれ
る。一方、触媒反応は表面反応であるため、塩素、硫
黄、重金属等の吸着性の強い物質がガス中に含まれてい
ると、これらが触媒表面に吸着して触媒活性が低下する
という問題がある。
【0005】従って、前述の触媒を用いた浄化法におい
ては、触媒に排ガスを導入する前に、排ガス中から触媒
毒となる物質を予め除去する必要がある。そのため、触
媒の前に塩素分離器を設けるのみならず、処理する廃棄
物から触媒毒を発生する材料を分別する工程を付加しな
ければならなかった。その結果、設備費の増大、設備の
占有面積の増大と大型化を余儀なくされるという問題点
があった。
【0006】さらに、塩素分離器を使用しても塩素は完
全には除去されず、一部が触媒に到達して触媒活性の低
下をもたらし、その結果、触媒活性低下後には触媒の交
換が必要であった。また、処理する廃棄物の分別におい
ても、廃棄物の材質が明確である産業廃棄物の場合には
ある程度の分別は可能であるが、一般廃棄物においては
触媒毒成分を含んだ廃棄物を完全に取り除くことは不可
能に近いという問題点があった。
【0007】さらに、高温化で長時間触媒を使用する
と、触媒の結晶化が進んで表面積が低下するとともに、
触媒活性成分の凝集が起こり活性表面積の低下も生じ
る。その結果、触媒活性が低下するという欠点もあっ
た。一方、廃プラスチックからガソリン、軽油等の燃料
を回収するシステムでは、熱分解生成物は触媒により軽
質化される。この場合にも、触媒を使用するため、前述
したように、触媒活性の低下を防止する対策を講じなけ
ればならない。
【0008】また、前記したコロナ放電による排ガス浄
化に関する従来技術によれば、いずれも排ガス中の窒素
酸化物(NOx)や一酸化炭素(CO)を浄化すること
を目的としており、有機塩素化合物については触れられ
ていない。本発明は、このような問題に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、廃プラスチックを分別する
必要のみならず、排ガス中から特定の成分を分離する必
要をなくすとともに、長期に亘り排ガスに含有される有
機塩素化合物を浄化でき、しかも、熱分解ガス中から有
機塩素化合物を除去すると同時に、熱分解生成物の軽質
化をも図ることのできる排ガス浄化システムを提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、放電により
発生したプラズマにより、有機塩素化合物が励起、解離
及びイオン化により分解されたり、共存ガス分子(窒
素、酸素、及び水)が励起、解離及びイオン化により活
性化されて、有機塩素化合物と反応して、分解や酸化が
速やかに進行し、有機塩素化合物が浄化されると考え、
鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0010】前記目的を達成するため、本発明に係わる
排ガス浄化システムは、基本的には、廃プラスチック熱
分解炉等の廃棄物処理装置から排出される有機塩素化合
物を含んだ排ガスを浄化する排ガス浄化システムにおい
て、前記有機塩素化合物を誘電体を介して浄化せしめる
交流コロナ放電発生装置を備えたことを特徴としてい
る。
【0011】そして、より具体的な例としては、廃プラ
スチック熱分解炉等の廃棄物処理装置から排出される有
機塩素化合物を含んだ排ガスを浄化する排ガス浄化シス
テムであって、前記有機塩素化合物を誘電体を介して浄
化せしめる交流コロナ放電発生装置を備えた排ガス浄化
システムにおいて、前記交流コロナ放電発生装置は、ガ
ラス管と、ネジ切り形状の表面を有し前記ガラス管の中
央に配置される中心電極としての金属棒と、前記ガラス
管の外周に渦状に巻かれた外周電極としての金属線とか
ら成り、前記金属棒と前記金属線の間に交流高電圧を印
加することを特徴としている。
【0012】また、廃プラスチック熱分解炉等の廃棄物
処理装置から排出される有機塩素化合物を含んだ排ガス
を浄化する排ガス浄化システムであって、前記有機塩素
化合物を誘電体を介して浄化せしめる交流コロナ放電発
生装置を備えた排ガス浄化システムにおいて、前記交流
コロナ放電発生装置の上流側にエンジン油を循環供給す
る油循環装置を設けるとともに、前記交流コロナ放電発
生装置の下流に、排ガス中に含まれるエンジン油を捕集
する捕集器を備えたことを特徴としたものが挙げられ
る。
【0013】そして、前記目的を達成するための他の排
ガス浄化システムは、廃プラスチック熱分解炉等の廃棄
物処理装置から排出される有機塩素化合物を含んだ排ガ
スを浄化する排ガス浄化システムであって、前記有機塩
素化合物を誘電体を介して浄化せしめる交流コロナ放電
発生装置を備えた排ガス浄化システムにおいて、前記交
流コロナ放電発生装置の上流側に連結された排ガス流路
に水分を供給する加湿手段と、前記交流コロナ放電発生
装置の上流側にエンジン油を循環供給する油循環装置
と、該油循環装置内のエンジン油に含まれる微粒子及び
水分を除去するためのオイルフィルター及び精製装置
と、前記交流コロナ放電発生装置の下流に、排ガス中に
含まれるエンジン油を捕集する捕集器を備えたことを特
徴としている。
【0014】この発明においては、廃プラスチックを熱
分解して、ガソリン、軽油等の燃料を回収する際に、熱
分解炉から放出される熱分解ガスに含まれる有機塩素化
合物を浄化させる排ガス浄化システムにおいて、前記有
機塩素化合物と炭化水素を含む前記熱分解ガスを放電装
置内に流通させることにより、前記有機塩素化合物の浄
化および前記炭化水素の軽質化を同時に行うことを特徴
とするものが挙げられる。
【0015】
【0016】
【作用】放電によって発生するプラズマ中では、電場に
よって加速された電子と分子との衝突によって、分子の
励起、解離及びイオン化が起こる。従って、プラズマ中
に導入された有機塩素化合物は励起、解離及びイオン化
され、分解あるいは酸化が生じて除去される。一方、排
ガス中には窒素、酸素等が存在するため、これらの分子
もプラズマ中で励起、解離及びイオン化することにな
り、有機塩素化合物と反応する。すなわち、有機塩素化
合物は、これら活性種の衝突によっても、分解あるいは
酸化されることにより浄化されたものと推察できる。
【0017】そこで、実際に、有機塩素化合物を含んだ
排ガスを放電管に供給し、有機塩素化合物の浄化率を測
定したところ、有機塩素化合物が浄化されることを見出
した。また、有機塩素化合物の浄化率は、ガス中に酸素
あるいは水蒸気が共存すると向上する。これは、放電場
においては、酸素あるいは水蒸気も励起、解離及びイオ
ン化され、これらが有機塩素化合物と反応して浄化率が
向上するためと推測される。
【0018】放電場にエンジン油を供給した場合には、
有機塩素化合物の分解と並行して、エンジン油への溶解
が進行するとともに、分解生成物がエンジン油に捕捉さ
れる。これにより、低温下での浄化率が向上したものと
推測される。放電を廃プラスチック熱分解炉から得られ
る熱分解ガスに適用した場合、この放電によって、有機
塩素化合物が浄化されるのと同時に、熱分解ガス中の炭
化水素が軽質化(低分子量化)された。これは、放電に
より炭化水素が解離したためと推察される。
【0019】
【実施例】以下に、本発明による排ガス浄化システムの
一実施例について、図面により詳細に説明する。なお、
実施例を説明するための図において、同一機能を有する
ものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略す
る。図1は放電装置全体の概略を模式的に示す構成図で
ある。以下の実施例1〜3は本図示例の放電装置を使用
した。
【0020】石英ガラス製のガラス管1(内径40mm、
外径44mm、長さ800mm)の内部に約3mmピッチでね
じ切りされた外径30mmのステンレス棒(中心電極)2
が挿入され、ガラス管1の中央部の周囲に長さ幅600
mmに亘り外径0.5mmのアルミ線3が間隔約10mmでス
パイラル状に巻き付けられ(外周電極)、放電管が構成
される。アルミ線3はア−ス接続され、放電管中央に配
置されたステンレス棒2に交流高圧電源(最大25k
V、周波数400Hz)4が接続されコロナ放電が発生さ
れるようになっている。また、放電装置の上流側に連結
された排ガス流路には、該流路を介して放電装置に供給
される熱分解ガスに水蒸気を添加する加湿手段W、並び
に空気または酸素供給手段Aが設けられている。
【0021】このように構成された放電管に、ポリ塩化
ジベンゾパラジオキシン(PCDDs)及びポリ塩化ジ
ベンゾフラン(PCDFs)が約3000ng/Nm3
まれる廃プラスチック熱分解ガスを約6Nm3/hの流量
で導入し、PCDDs及びPCDFsの浄化率を測定し
た。 (実施例1)本実施例では、加湿手段W、及び、空気ま
たは酸素供給手段Aのどちらも作動させないで測定を行
った。このときの放電条件及びPCDDs及びPCDF
sの浄化率を表1に示す。 表1 ───────────────────────────── 電圧 電流 温度 PCDDs及びPCDFsの浄化率 (kV)(mA) (℃) (%) ───────────────────────────── 17 34 200 25 19 39 200 32 19 45 150 26 19 44 250 35 19 45 350 64 19 45 400 75 19 46 450 88 19 45 500 96 ───────────────────────────── 表1より、PCDDs及びPCDFsの浄化率はガス温
度に依存することがわかる。ガス温度が高くなるに従い
PCDDs及びPCDFsの浄化率が向上する。これ
は、PCDDs及びPCDFsは低温では固体となるた
め、放電により形成されたプラズマが低温では有効に作
用せず浄化率が低くなっているのに対し、高温では本放
電装置が有効に作用したためと推察できる。 (実施例2)本実施例においては、実施例1と同様の方
法によりPCDDs及びPCDFsの浄化率を測定し
た。但し、本実施例では、熱分解ガスに水蒸気を10%
添加することにより加湿し、PCDDs及びPCDFs
の浄化率に及ぼす水蒸気の影響を調べた。結果を表2に
示す。 表2 ───────────────────────────── 電圧 電流 温度 PCDDs及びPCDFsの浄化率 (kV)(mA) (℃) (%) ───────────────────────────── 19 44 250 52 19 45 350 67 19 45 400 84 19 46 450 92 19 45 500 96 ───────────────────────────── 表2から明らかなように、水蒸気の添加によりPCDD
s及びPCDFsの浄化率が向上する。これは、水蒸気
添加によりプラズマ中にOHラジカル等が生成して、P
CDDs及びPCDFsの分解を促進し、浄化率が高く
なったものと推定される。なお、追加実験の結果、水蒸
気濃度は、5〜15%程度が浄化率向上には有効である
ことが明らかになった。 (実施例3)本実施例においても、実施例1と同様の方
法によりPCDDs及びPCDFsの浄化率を測定し
た。但し、本実施例では熱分解ガスに酸素を3%添加
し、PCDDs及びPCDFsの浄化率に及ぼす酸素の
影響を調べた。結果を表3に示す。 表3 ───────────────────────────── 電圧 電流 温度 PCDDs及びPCDFsの浄化率 (kV)(mA) (℃) (%) ───────────────────────────── 19 44 250 58 19 45 350 73 19 45 400 90 19 46 450 92 19 45 500 96 ───────────────────────────── 表3によれば、酸素の添加によりPCDDs及びPCD
Fsの浄化率が向上しているが、これはプラズマ中にオ
ゾン等が生成されPCDDs及びPCDFsとの反応速
度が高くなったためと考えられる。全ガス中の酸素濃度
は1〜5%程度で浄化率が有効に高くなることが確認さ
れた。
【0022】なお、実施例2及び3において、酸素ある
いは水蒸気濃度は有機塩素化合物濃度に比べて高くする
ことが可能であり、プラズマ中で生成する励起種、解離
種及びイオン種の量が多く、有機塩素化合物との反応速
度が高くなるためと考えられる。 (実施例4)図2は本実施例に用いられる放電装置全体
の概略を模式的に示す構成図である。図2において、放
電装置は基本的には実施例1と同一の構成であるが、本
図示例では、油循環用ポンプ5によりオイルタンク6及
びオイルフィルタ7を介して放電管の上流側(ガス供給
側)にエンジン油を供給可能な構成とした。また、放電
によりエンジン油は小粒径のミストに変化し、これが排
ガス中にも浮遊し、放電管出口のガス中に多量のエンジ
ン油ミストが含まれ、しかも、エンジン油と排ガスの分
離が簡単にはできないことから、放電管下流にエンジン
油ミストを捕集する捕集器8が取り付けられている。
【0023】さらに、本実施例においては、図示しない
噴射ノズルを用いてステンレス棒(中心電極)2表面
に、直接エンジン油を注入するような構成とすることも
できる。本実施例では、放電管の中心電極に向けてエン
ジン油を約100cc/分の流速で供給しながら、PCD
Ds及びPCDFsの浄化率を測定した。
【0024】表4に、PCDDs及びPCDFsの浄化
率を調べた結果を示す。なお、浄化率は放電管入口と捕
集器出口の間の濃度差から求めた。 表4 ───────────────────────────── 電圧 電流 温度 PCDDs及びPCDFsの浄化率 (kV)(mA) (℃) (%) ───────────────────────────── 19 45 200 79 19 44 250 85 19 45 350 89 19 45 400 94 19 46 450 96 19 45 500 98 ───────────────────────────── 表4によると、本実施例によれば、前記実施例1〜3と
比べて、高い浄化率が得られることがわかる。特に、低
温域において、その差が顕著である。
【0025】これは、エンジン油を供給することによ
り、PCDDs及びPCDFsの分解と同時に、エンジ
ン油への溶解、あるいは分解生成物のエンジン油への捕
捉が起こり、低温においても高い浄化率が得られたもの
と推察される。このように、放電場にエンジン油を循環
供給した場合には、特に、低温域において高い浄化作用
を示すことが明らかとなった。また、噴射ノズルを用い
てステンレス棒(中心電極)2表面に、直接エンジン油
を注入するような構造とした場合には、エンジン油は放
電管の中心部に注入され、エンジン油を均等に拡散する
ことができるとともに、装置の簡素化を図ることができ
る。 (実施例5)図3は本実施例に用いられる放電装置全体
の概略を模式的に示す構成図である。本図示例において
は、図2で示された構成に加え、熱分解生成ガス中に水
分を供給可能な水タンク9、水供給ポンプ10及び流量
制御バルブ11が取り付けられている。また、エンジン
油から水分を除去するためのエンジン油精製装置13が
オイルタンク6に付設されるとともに、エンジン油捕集
器8の下流側にガス流量の変化を検出する流量計12、
並びに燃料回収部14が設けられている。前記エンジン
油精製装置13はエンジン油に混入する水分を比重差に
より分離するものである。なお、15は廃プラスチック
等の廃棄物を処理する熱分解炉である。
【0026】このように構成された放電装置を用い、水
流量制御バルブ11によりガス中の水蒸気濃度が約10
%になるように制御した。ここで、本実施例において
は、ガス流量、並びに、PCDDs及びPCDFsの濃
度は実施例1における数値と、また、エンジン油供給量
は実施例4の数値と、それぞれ基本的には同一である。
また、放電管を流通するガスの温度は約350℃であっ
た。
【0027】このような条件下で、実施例4と同様にし
てPCDDs及びPCDFsの浄化率を測定したとこ
ろ、約95%に達した。また、約1000時間の間、同
様の浄化率を示すことがわかった。同時に、放電管の入
口及び出口に於ける廃プラスチック熱分解ガス中の炭化
水素を分析するため、エンジン油捕集器8の出口に設け
られた燃料回収部14に滞留した燃料油とガス成分を分
離して、回収燃料油の組成を分析したところ、放電管を
流通させない場合よりもガソリン留分が多いことがわか
った。すなわち、放電により炭化水素の分子鎖が切断さ
れて軽質化が進行することを知見した。このように、放
電により、有機塩素化合物の浄化と炭化水素の軽質化の
両者が可能であることがわかった。
【0028】廃プラスチックを熱分解して得られた生成
物をガソリン、軽油等の燃料として回収し、ディ−ゼル
エンジン等の燃料として再利用してエネルギ−の有効利
用を図ることは、省エネルギ−並びに廃プラスチック埋
設地の不足解消の観点から、今後益々広まっていくもの
と予想される。これまでは熱分解生成物を触媒により軽
質化していたが、触媒は塩素、硫黄、重金属等により被
毒して触媒活性の低下が起こり、処理することのできる
プラスチックが、これら被毒成分を含まないものに限定
されていた。ところが、放電によれば、有機塩素化合物
の浄化と同時に、熱分解生成物である炭化水素の軽質化
も可能であり、しかも、塩素、硫黄、重金属等が熱分解
ガス中に含有していても軽質化できる。したがって、触
媒の上流側での被毒成分の除去が不要であり、また多種
多様の廃プラスチックを分別せずに処理できることにな
る。
【0029】以上の説明から明らかなように、高い浄化
率を得るためには、排ガス中に酸素あるいは水蒸気、ま
たは両者を共存させれば良いことになる。また、熱分解
炉の方式により放出される排ガスの成分が異なるため、
酸素あるいは水蒸気を排ガス中に含まない場合には、排
ガスに水蒸気あるいは酸素(空気)を注入したのちに放
電場を流通させれば良い。
【0030】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求
の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設
計変更を行うことができる。たとえば、前述した実施例
としては広い領域で放電が可能な誘電体を介したコロナ
放電装置を使用しているが、他種の放電を利用しても有
機塩素化合物の浄化が可能なことはいうまでもない。た
だし、浄化率としては誘電体を介したコロナ放電が最も
高い値を示した。また、前記実施例ではガラス管の周り
にアルミ線を巻きつけて電極としたが、これの代わりに
金属箔(例えばアルミ箔)を巻きつけても良い。
【0031】また、放電装置の形状について、本実施例
では円筒状のものを使用したが、他の形状のものを用い
ても差し支えない。さらに、排ガス中に酸素が含まれて
いる場合には放電によってオゾンが生じるが、その際に
はオゾン除去用フィルタを放電装置の下流に取り付けれ
ば良い。また、本発明による排ガス浄化システムは、廃
プラスチック熱分解炉の排ガスのみならず、多種の熱分
解炉排ガス、工業廃ガス、中の有機塩素化合物の浄化に
おいて、極めて広い範囲に適用可能である。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明による排ガス浄化システムによれば、廃プラスチック
熱分解炉等の廃棄物を処理する熱分解炉から排出される
ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDDs)ポリ塩
化ジベンゾフラン(PCDFs)のような毒性の強い有
機塩素化合物が放電により浄化されるので、触媒を使用
する場合に起こる塩素被毒による触媒活性低下が生じな
い。また、熱分解後に燃料を回収するシステムに適用す
れば、熱分解生成ガス中の炭化水素が軽質化され、回収
される燃料のガソリン留分を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜3に用いられる放電装置全
体の概略を模式的に示す構成図の一例である。
【図2】本発明の実施例4に用いられる放電装置全体の
概略を模式的に示す構成図の一例である。
【図3】本発明の実施例5に用いられる放電装置全体の
概略を模式的に示す構成図の一例である。
【符号の説明】
1…放電管、2…中心電極、3…外周電極、4…高電圧
発生装置、5…エンジン油供給ポンプ、6…オイルタン
ク、7…オイルフィルタ、8…捕集器、9…水タンク、
10…水供給ポンプ、11…水流量制御バルブ、12…
流量計、13…エンジン油精製装置、14…燃料回収
部、15…熱分解炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相馬 憲一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 加藤 明 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 宮寺 博 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 吉岡 芳夫 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株 式会社 日立製作所 国分工場内 (56)参考文献 特開 平5−125928(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/70 B01D 53/32 B01D 53/34

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃プラスチック熱分解炉等の廃棄物処理
    装置から排出される有機塩素化合物を含んだ排ガスを浄
    化する方法において、該排ガスを、誘電体を介して浄化
    せしめる交流コロナ放電発生装置内に流通させることに
    より、前記有機塩素化合物を浄化することを特徴とする
    有機塩素化合物を含んだ排ガスの浄化方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の排ガスの浄化方法におい
    て、前記交流コロナ放電発生装置の上流側に連結された
    前記排ガスの流路に加湿手段を備え、前記排ガスを加湿
    して前記交流コロナ放電発生装置内に流通させることを
    特徴とする有機塩素化合物を含んだ排ガスの浄化方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の排ガスの浄化方法におい
    て、前記交流コロナ放電発生装置の上流側に連結された
    前記排ガスの流路に空気あるいは酸素供給手段を備え、
    前記排ガスに酸素を添加して前記交流コロナ放電発生装
    置内に流通させることを特徴とする有機塩素化合物を含
    んだ排ガスの浄化方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の排ガスの浄化方法におい
    て、前記交流コロナ放電発生装置の放電場にエンジン油
    を供給しながら前記排ガスを流通させることを特徴とす
    る有機塩素化合物を含んだ排ガスの浄化方法。
  5. 【請求項5】 廃プラスチックを熱分解して、ガソリ
    ン、軽油等の燃料を回収する際に、熱分解炉から放出さ
    れる熱分解ガスに含まれる有機塩素化合物を浄化する排
    ガス浄化方法において、前記有機塩素化合物と炭化水素
    を含む前記熱分解ガスを交流コロナ放電装置内に流通さ
    せることにより、前記有機塩素化合物の浄化および前記
    炭化水素の軽質化を同時に行うことを特徴とする有機塩
    素化合物を含んだ排ガスの浄化方法。
  6. 【請求項6】 廃プラスチック熱分解炉等の廃棄物処理
    装置から排出される有機塩素化合物を含んだ排ガスを浄
    化する排ガス浄化システムであって、前記有機塩素化合
    物を誘電体を介して浄化せしめる交流コロナ放電発生装
    置を備えた排ガス浄化システムにおいて、前記交流コロ
    ナ放電発生装置は、ガラス管と、ネジ切り形状の表面を
    有し前記ガラス管の中央に配置される中心電極としての
    金属棒と、前記ガラス管の外周に渦状に巻かれた外周電
    極としての金属線とから成り、前記金属棒と前記金属線
    の間に交流高電圧を印加するものであり、前記交流コロ
    ナ放電発生装置の上流側に連結された前記排ガスの流路
    に水分を供給する加湿手段を備えたことを特徴とする排
    ガス浄化システム。
  7. 【請求項7】 廃プラスチック熱分解炉等の廃棄物処理
    装置から排出される有機塩素化合物を含んだ排ガスを浄
    化する排ガス浄化システムであって、前記有機塩素化合
    物を誘電体を介して浄化せしめる交流コロナ放電発生装
    置を備えた排ガス浄化システムにおいて、前記交流コロ
    ナ放電発生装置は、ガラス管と、ネジ切り形状の表面を
    有し前記ガラス管の中央に配置される中心電極としての
    金属棒と、前記ガラス管の外周に渦状に巻かれた外周電
    極としての金属線とから成り、前記金属棒と前記金属線
    の間に交流高電圧を印加するものであり、前記交流コロ
    ナ放電発生装置の上流側に連結された前記排ガスの流路
    に空気あるいは酸素供給手段を備え、前記排ガスに酸素
    を添加して前記交流コロナ放電発生装置内に流通させる
    ことを特徴とする排ガス浄化システム。
  8. 【請求項8】 廃プラスチック熱分解炉等の廃棄物処理
    装置から排出される有機塩素化合物を含んだ排ガスを浄
    化する排ガス浄化システムであって、前記有機塩素化合
    物を誘電体を介して浄化せしめる交流コロナ放電発生装
    置を備えた排ガス浄化システムにおいて、前記交流コロ
    ナ放電発生装置の上流側にエンジン油を循環供給する油
    循環装置を設けるとともに、前記交流コロナ放電発生装
    置の下流に、排ガス中に含まれるエンジン油を捕集する
    捕集器を備えたことを特徴とする排ガス浄化システム。
  9. 【請求項9】 廃プラスチック熱分解炉等の廃棄物処理
    装置から排出される有機塩素化合物を含んだ排ガスを浄
    化する排ガス浄化システムであって、前記有機塩素化合
    物を誘電体を介して浄化せしめる交流コロナ放電発生装
    置を備えた排ガス浄化システムにおいて、前記交流コロ
    ナ放電発生装置の上流側に連結された前記排ガスの流路
    に水分を供給する加湿手段と、前記交流コロナ放電発生
    装置の上流側にエンジン油を循環供給する油循環装置
    と、該油循環装置内のエンジン油に含まれる微粒子及び
    水分を除去するためのオイルフィルター及び精製装置
    と、前記交流コロナ放電発生装置の下流に、排ガス中に
    含まれるエンジン油を捕集する捕集器を備えたことを特
    徴とする排ガス浄化システム。
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