JP3217112B2 - 硫酸化糖の選択的脱硫酸化方法 - Google Patents

硫酸化糖の選択的脱硫酸化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫酸化糖の選択的脱硫
化方法に関し、更に詳しくは硫酸化糖の硫酸エステルの
うち、第1級水酸基(構成糖単位が5糖又は6糖類
からなる場合は、それぞれ5位又は6位の水酸基を表
す)に結合している硫酸基を選択的に脱硫酸化する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】生物活性を有する硫酸化糖を提供するた
めに、様々な硫酸化糖の脱硫酸方法が研究されている。
硫酸化糖の脱硫酸方法としては、塩化水素メタノ−ル中
で酸触媒により脱硫酸する方法が知られている(Kantor
T.G. and Schubert M., J. Amer. Chem. Soc. 79, 152
(1957) )。しかし、この方法では特定の硫酸基のみを
脱硫酸することはできず、またグリコシド結合のメタノ
リシスによる糖鎖の切断が起こるため低分子化し、もと
の鎖長を有する反応生成物の収量は低下する。
【0003】収量よく脱硫酸を行う方法として、ジメチ
ルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド又はピ
リジン等の非プロトン性溶媒中(Usov A. I., Adamyant
s K.S., Miroshnikova L. I., Shaposhnikova A.A. and
Kochetkov N.K.,Carbohydr. Res. 18,336 (1971))又
は少量の水又はメタノ−ルを含むジメチルスルホキシド
中(Nagasawa K., Inoue Y. and Kamata T., Carbohyd
r. Res., 58, 47 (1977) , Nagasawa K., Inoue Y. and
Tokuyasu T , J. Biochem., 86, 1323 (1979))で行う
ソルボリシスがある。ソルボリシスの反応機構は、非プ
ロトン性の溶媒中で三酸化硫黄とアミンの複合体を用い
て行う硫酸化反応の逆反応であることが知られている。
この反応は、反応条件をコントロ−ルすることによりN
−硫酸基の選択的脱硫酸方法として用いることができ
る。しかし、O−硫酸基の場合には、第1級又は第2級
水酸基に結合している硫酸基を選択的に脱離させること
はできなかった。また、現在までのところ位置特異性を
持った脱硫酸化酵素も知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】第1級水酸基に結合し
ている硫酸基の特異的脱離法の開発は、ヒトに対し好ま
しい生物活性を有する医薬品の創造を目的とした硫酸化
糖を提供するために非常に重要である。例えば、硫酸化
多糖であるデキストラン硫酸、キシラン硫酸、コンドロ
イチン硫酸、ヘパリン類は、脂質代謝改善剤、抗血栓剤
として使用されているが、人工的に硫酸基を導入したも
のは、導入した硫酸基の位置が特定できず、多量に硫酸
基を導入するに従い組織からの出血傾向が強まる副作用
が生ずることも知られている。また、天然由来の硫酸化
糖は、起源の違いにより硫酸基の位置、量がそれぞれ異
なり、各硫酸化糖の生理活性も微妙に異なる。本発明者
は、硫酸化糖の特定位置の硫酸エステルを脱硫酸化する
ことにより、出血作用が少なく、かつ元の硫酸化糖に対
して異なる生物活性を発現させるための位置選択的硫酸
エステルの脱硫酸を目的として鋭意検討し、本発明に到
達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、硫酸化
糖の有機塩基塩を、N,O−ビス(トリメチルシリル)
アセトアミド類と反応させることにより、硫酸化糖の第
1級水酸基に結合している硫酸基を選択的に脱硫酸する
ことを特徴とする脱硫酸化糖の製造方法である。
【0006】本発明の方法によれば、硫酸化糖の第1級
水酸基(構成糖単位が5糖又は6糖類からなる場合
は、それぞれ5位又は6位の水酸基を表す)に結合して
いる全部の硫酸基の脱硫酸化、又は部分的脱硫酸化を選
択的に行うことができる。
【0007】本発明の方法が適用される硫酸化糖は、単
糖、オリゴ糖、多糖、複合多糖の類を問わず、該糖の硫
酸エステルである。本方法に用いられる硫酸化糖の有機
塩基塩としては、ピリジン等の芳香族アミン;トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族3級アミン;N
−メチルピリミジン、N−エチルピリミジン、N−メチ
ルモルホリン、N−エチルモルホリン等のN−アルキル
複素環アミン等の有機塩基との塩が挙げられる。
【0008】有機塩基を溶媒として硫酸化糖を溶解し、
該有機塩基との塩を形成させる。続いて無水の有機塩基
の存在下、トリメチルシリル化試薬であるN,O−ビス
(トリメチルシリル)アセトアミド(以下BTSAと略
記)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフロロア
セトアミド(BTSFA)、N,O−ビス(トリメチル
シリル)ジフロロアセトアミド、N,O−ビス(トリメ
チルシリル)モノフロロアセトアミドを加え、反応温度
を室温〜100℃で反応させることにより、本発明の選
択的脱硫酸化を達成することができる。
【0009】第1級水酸基に結合している硫酸基の全部
を脱硫酸化する場合は、硫酸化糖中の遊離水酸基及び硫
酸エステル化水酸基を含む全水酸基のモル量に対し16
倍モル量以上、第1級水酸基に結合している硫酸基を部
分的に脱硫酸化し、該硫酸基量の一部を残存させる場合
には、3倍〜16倍モル量のトリメチエルシリル化試薬
を用いればよい。
【0010】具体的には、例えば、第1級水酸基に結合
している硫酸基の全部を脱硫酸化する場合、前記の条件
を満足するトリメチルシリル化剤量の存在下、好ましく
は40℃〜80℃で3時間以内反応させることにより、
目的の全部を脱硫酸化することができる。また、第1級
水酸基に結合している硫酸基を部分的に脱硫酸化する場
合、所定のトリメチルシリル化剤量の存在下、好ましく
は30℃〜80℃で2時間以上、適宜条件を組み合わせ
て反応させることにより目的を達成できる。
【0011】続いて反応液中に水を加え、余分のトリメ
チルシリル化剤を加水非反応性とすることにより反応を
停止させ、次いで溶媒及び非反応性のトリメチルシリル
化剤を透析により可能な限り除去する。次に、透析内液
を100℃で30分〜1時間沸騰させ、透析内液中に残
存するO−トリメチルシリル化糖誘導体のO−トリメチ
ルシリル基を加水分解除去する。
【0012】用いた硫酸化糖に、第1級水酸基との硫酸
エステルに加えて第2級水酸基との硫酸エステルが存在
する場合、又は、第1級水酸基に結合している硫酸基の
全部を脱硫酸化しない反応条件を選択した場合には、こ
れら残存する硫酸基をNa塩とするために、水酸化ナト
リウムを加えてpH9前後に調整し、透析した後、凍結乾
燥して硫酸化糖のナトリウム塩を得ることができる。
【0013】
【実施例】以下、実施例及び試験例により本発明を更に
詳細に説明するが、硫酸化糖の同定は以下の試験例に基
づき行った。実施例は本発明の範囲をなんら制限するも
のではない。
【0014】試験例 1)硫酸イオンの定量 硫酸化糖及び脱硫酸化糖の硫酸基の定量は、新生化学実
験講座3,糖質II,p37,p 81 (東京化学同人刊)に記
載の方法に従い、酸加水分解により硫酸基を遊離硫酸イ
オンとし、次いで該イオンをイオン交換樹脂に吸着させ
た後、溶媒を用いて溶出し、その遊離硫酸イオンを電気
電導度計を用いて検出、定量した。
【0015】すなわち、300μgの硫酸化糖に3N−
塩酸1 mlを加え、100℃で18時間加水分解した。そ
の溶液を乾燥した後、1mlの水に溶解した。ミリポア
限外ろ過膜(0.45 μm )でろ過した後、硫酸イオン含
量をHPLC(Waters ILC-1)によるイオン交換クロマ
ロトグラフィーで分析した。カラムに IC Pak Anion(W
aters, 4.6 mm × 5 cm )を用い、1.3 mM四ホウ酸ナ
トリウム、 1.5 mM グルコン酸ナトリウム、 6 mM ホウ
酸、0.25%グリセリン及び 12 %アセトニトリルの組成
の移動相を使用して、0.8 ml/分の流速で展開した。硫
酸イオンの検出には電気電導度計(Waters 430)を用い
た。
【0016】2)13C−NMR 硫酸化糖の水酸基の性質を判定する目的で、骨格炭素の
核磁気共鳴スペクトルを測定した。10%糖の重水溶液
でのスペクトルは、80℃、 75.4 MHz(GeneralElectoric
Company, QE-300 )で測定した。
【0017】3)酵素消化による構造解析 新生化学実験講座3,糖質II p49〜62に記載の「2・8
グリコサミノグリカン分解酵素とHPLCを組合せた構
造解析」を参照して次のようにして行った。
【0018】a)コンドロイチナ−ゼABCによる消化 吉田らの方法(生化学,57,1189 (1985))により、デル
マタン硫酸及びコンドロイチン硫酸の水溶液(10 mg/m
l)20μl に、0.4 M トリス−塩酸(pH 8.0)20μl
、0.4 M 酢酸ナトリウム20μl 、0.1 %ウシ血清ア
ルブミン20μl 及び水120μl を加え、コンドロイ
チナ−ゼABC(5U/ml )を20μl 加えて、37℃で
2時間反応させた。
【0019】b)ヘパリン分解酵素による消化 M,W,Mcleanの方法(M.W.Mclean, “ Proc. 9th Int. Sy
mp. Glycoconjugates”,p.B41(1987))により、ヘパリ
ン0.1 mg を 2 mM 酢酸カルシウムを含む 20 mM 酢
酸ナトリウム (pH 7.0) 220μl に溶解して、20 mU
のヘパリナ−ゼ、20 mU のヘパリチナ−ゼI及びIIを加
えて、37℃で2時間反応させた。
【0020】c)HPLCによる分析 コンドロイチナ−ゼABC又はヘパリン分解酵素消化を
行った後の溶液50μl を、HPLC(医理化、モデル
852型)を用いて分析した。イオン交換カラム(島津 P
NH2 カラム,4.0 mm × 250 mm )を使用し、232 nmでの
吸光度を測定した。流速1ml/分で、16mMリン酸水素ナ
トリウムを60分間に0%から50%まで上昇させて溶
出した。
【0021】4)ゲルろ過 硫酸化糖の3%溶液10μl をHPLCによるゲルろ過
で分析した。カラムはTSKgel-G4000PWX1 (東ソ−、
7.8 mm × 30 cm)を用い、溶離液に 0.2 M硫酸カリウ
ムを使用して、1.0 ml/分の流速で展開した。硫酸化糖
の検出には示差屈折計(島津,AID-2A )を用いた。
【0021】実施例1 メチル−α−ガラクトピラノシド−6硫酸アンモニウム
塩約2mg/3mlの水溶液に、アンバ−ライトIR−12
0H型樹脂5mlを加えて、遊離の硫酸エステル型に変換
させた。樹脂を除去した後、ピリジン2mlを加え、ピリ
ジニウム塩を形成させた。残余のピリジンを減圧下で留
去し、残渣を凍結乾燥することにより、乾燥メチル−α
−ガラクトピラノシド−6硫酸ピリジニウム塩を調製し
た。この試料を各0.2 mg づつ小分けし、乾燥ピリジ
ン約0.05mlを加えて、メチル−α−ガラクトピラノ
シド−6硫酸ピリジニウム塩の全水酸基モル量([-OH]
+[-O-SO3 -])に対するBTSAのモル量が0〜20倍
量までの異なる反応系を用意した。各系にBTSAを加
えた後、80℃で約1時間加熱反応させた。各系の反応
混合物中のトリメチルシリル化メチルガラクトピラノシ
ドを直接ガスクロマトグラフィ−で測定することによ
り、脱硫酸量を算出して図1に示した。
【0022】実施例2 実施例1のBTSAモル量を16倍量及び8倍量に設定
し、反応温度を40℃、60℃、80℃に変えて、経時
的に脱硫酸化率を検討した。その結果を図2に示した。
【0023】実施例1及び2から明らかなように、BT
SAが硫酸化糖の遊離水酸基及び硫酸化水酸基を含む全
水酸基のモル量に対して16倍モル量以上で、反応温度
40℃〜80℃、3時間以内反応させることにより第1
級水酸基に結合している硫酸基の全部を脱硫酸化するこ
とができる。また第1級水酸基に結合している硫酸基を
部分的に脱硫酸化する場合には、BTSAを3〜16倍
迄のモル量で、反応温度を30℃〜80℃、反応時間を
適宜選択することにより目的を達成することができる。
【0024】実施例3〜9 α−D−ガラクトピラノシド−6硫酸(実施例3)、α
−D−ガラクトピラノシド−2硫酸(実施例4)、フノ
ラン(実施例5)、ポルフィラン(実施例6)、コンド
ロイチン硫酸(実施例7)、デルマタン硫酸(実施例
8)、ヘパリン(実施例9)の7種の硫酸化糖の脱硫酸
化を、それぞれBSTAにより以下のようにして行っ
た。
【0025】各硫酸化糖のナトリウム塩200mgをそれ
ぞれIR−120(H+ 型)カラム(1 ×10 cm )にか
け、溶出液に過剰のピリジンを加えてpH8に中和し、凍
結乾燥して各硫酸化糖のピリジン塩を調製した。各硫酸
化糖のピリジン塩をそれぞれ脱水したピリジン20mlに
溶解して反応試料とした。各試料の糖骨格の全水酸基の
計算当量に対して20倍モル量(約4ml)のBTSAを
加え、60℃で2時間攪拌した。反応終了後、20ml
の水を加えて未反応のBTSAを加水非反応性とするこ
とにより反応を停止させ、ミリポア限外ろ過膜を用いて
透析した。
【0026】次にO−トリメチルシリル基を加水分解除
去するため、透析内液を100℃で30分から1時間
(溶液が透明になるまで)加熱沸騰させた。水酸化ナト
リウムを加えてpH9〜9.5に調整した後、透析した。
透析内液を凍結乾燥して、各硫酸化糖の脱硫酸化処理物
各140 mg 相当のナトリウム塩を得た。各糖の処理前
後の硫酸イオンの定量値を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】実施例10,比較例1〜3 実施例3及び4に準じ、トリメチルシリル化剤としてB
TSFA、トリメチルシリルイミダゾ−ル(TSI)、
ヨウ化トリメチルシラン(ITS)、N,O−ビス(ト
リメチルシリル)カーバメ−ト(BSC)を用いて反応
させた結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】実施例3、4から判るように、本発明の方
法は、第1級水酸基に結合している硫酸基を選択的に脱
硫酸化する方法であり、第2級水酸基の脱硫酸化は起こ
らないことが判る。
【0031】実施例5のフノランは - 3 D Gal(6-SO4)
β1-4(3,6-anhydro)L-Gal α1-の2糖が繰り返した構造
であり、BTSA処理により硫酸基が殆んど無くなっ
た。実施例6のポルフィランは -3 D Gal β1-4 LGal(6
-SO4) α1- の2糖が繰り返した構造であり、BTSA
処理により硫酸基が殆んど無くなった。これら実施例5
及び6におけるNMRの解析では、C−6位の13Cシグ
ナルの高磁場シフト並びにC−5位の低磁場シフトが確
認され、他の部位に変化がなく、Perlin A.S. and Casu
B. の報告(The Polysaccharides Vol.1,p133〜193 (
Academic Press ))と一致した。
【0032】実施例8のコンドロイチン硫酸は鮫由来の
もので、コンドロイチナ−ゼ類を用いる組成2糖分析に
より、6硫酸:4硫酸の量比が90:10であった。実
施例8、9のコンドロイチン硫酸とヘパリンは、6硫酸
だけでなく4硫酸やジ硫酸エステル等を含んでおり、B
TSA処理後の硫酸イオン含量はそれぞれ6.6%、2
4.9%の値を示した。実施例7のデルマタン硫酸は殆
んどが4硫酸であったため、BTSA処理前後での硫酸
イオン含量の変化は少なかった。
【0033】デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘ
パリンについては、更に詳しい構造変化を調べるため
に、2糖単位に酵素消化してHPLCにより分析した。
実施例7、8、9の対応する硫酸化糖並びに脱硫酸化処
理後の糖に対し、コンドロイチン硫酸及びデルマタン硫
酸に対してはコンドロイチナ−ゼABC、ヘパリンに対
してはヘパリン分解酵素を用い、新実験生化学講座3,
糖質II p54〜59(東京化学同人刊)の方法に従って処理
した。生じた不飽和2糖異性体のHPLC分画クロマト
グラムを図3に示す。
【0034】実施例7で用いたデルマタン硫酸は殆んど
が4硫酸であり、6硫酸が少量混ざっているものであっ
が、BTSA処理により6硫酸のみに脱硫酸が起こり、
硫酸基が結合していない2糖残基になった以外は全く変
化が認められなかった。また、実施例8で用いたコンド
イチン硫酸は6硫酸、4硫酸、ジ硫酸エステル等の混合
物であったが、BTSA処理をすると、6硫酸のみが脱
離したために起きた変化しか見られなかった。次に実施
例9で用いたヘパリンについては、消化されて遊離した
2糖残基を比較すると6硫酸のみが脱離され、その他の
位置の硫酸基は一切変化を受けていなかった。
【0035】更に、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫
酸、ヘパリンについて、ゲルろ過によりBTSA処理前
後の分子量変化を調べた。図4に示したように分子量分
布の変化は殆んど認められなかった。
【0036】以上のことから、BTSAによる脱硫酸化
反応は、第1級水酸基に結合している硫酸基に特異的に
働き、他の位置の硫酸基及びグリコシド結合には影響を
与えないことが明らかである。
【0037】実施例1、10及び比較例1、2、3から
わかるように、本発明の方法で適用可能なシリル化剤と
しては、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミ
ド類のような有機カルボン酸アミドのN,O−ビス(ト
リメチルシリル)化合物に特定できる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、糖骨格の水酸基に結合
している性質の異なる硫酸基を、第1級水酸基及び第2
級水酸基の違いを認識して脱硫酸化することにより、従
来知られていない位置特定硫酸エステルを有する硫酸化
糖を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】BTSA量変化に伴うメチル−α−ガラクトピ
ラノシド−6硫酸の脱硫酸化率を示したグラフである。
【図2】メチル−α−ガラクトピラノシド−6硫酸の各
温度における経時的脱硫酸化率を示したグラフである。
実線はBTSA16倍モル量、破線はBTSA8倍モル
量での結果を示す。
【図3】BTSA処理による糖組成の変化を示した分画
クロマトグラムである。
【図4】BTSA処理による分子量分布の変化を示した
HPLC(ゲルろ過)のクロマトグラムである。実線は
BTSA処理前、破線はBTSA処理後を示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸化糖の有機塩基塩を、N,O−ビス
    (トリメチルシリル)アセトアミド類と反応させること
    により、硫酸化糖の第1級水酸基に結合している硫酸基
    を選択的に脱硫酸することを特徴とする脱硫酸化糖の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 フノラン、ポルフィラン、及びヘパリン
    からなる群より選択される第1級水酸基に硫酸基が結合
    している硫酸化多糖の有機塩基塩を、N,O−ビス(ト
    リメチルシリル)アセトアミド類と反応させることによ
    り得られる、第1級水酸基に結合している硫酸基が選択
    的に脱硫酸された硫酸化多糖。
  3. 【請求項3】 硫酸イオン含量が25%以下である、請
    求項3に記載の硫酸化多糖。
  4. 【請求項4】 コンドロイチン硫酸の第1級水酸基に硫
    酸基が結合している硫酸化多糖の有機塩基塩を、N,O
    −ビス(トリメチルシリル)アセトアミド類と反応させ
    ることにより得られる第1級水酸基に結合している硫酸
    基が選択的に脱硫酸されたコンドロイチン硫酸であっ
    て、前記コンドロイチン硫酸は、グリコサミノグリカン
    分解酵素とHPLCとを組み合わせた構造解析におい
    て、ΔDi−6S及びΔDi−diSDで表される不飽
    和二糖異性体が実質的に検出されず、少なくともΔDi
    −0S及びΔDi−UA2Sで表される不飽和二糖異性
    体が検出されるものである、第1級水酸基に結合してい
    る硫酸基が選択的に脱硫酸されたコンドロイチン硫酸。
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