JP3216143B2 - 楽譜解釈装置 - Google Patents

楽譜解釈装置

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JP3216143B2
JP3216143B2 JP02907991A JP2907991A JP3216143B2 JP 3216143 B2 JP3216143 B2 JP 3216143B2 JP 02907991 A JP02907991 A JP 02907991A JP 2907991 A JP2907991 A JP 2907991A JP 3216143 B2 JP3216143 B2 JP 3216143B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は楽譜解釈装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】シーケンサ機能やMIDI等の楽器間イ
ンターフェース機能をもつ電子楽器では、シーケンサに
記録された情報に従う自動演奏や、他の楽器等からの入
力情報に従う演奏が可能である。シーケンサ情報や入力
情報は基本的に演奏情報であり、例えばMIDIインタ
ーフェースでは情報として演奏すべきノートの音高を表
すノートナンバー、発音/消音を指示するノートオン/
オフコード、音強を表わすベロシティ等が含まれる。換
言すればこの種の電子楽器では音楽解釈の問題は取扱っ
てはおらず、使用者が解釈して入力する演奏情報を受け
付けるだけである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、楽譜のような
情報を基にして、自動的に音楽解釈を行って具体的な情
報である演奏情報を得る音楽装置が望まれる。特にこの
発明では種々の階層レベルの記号からの階層的な作用を
考慮して、ノートの演奏パラメータを階層的に制御して
解釈できる楽譜解釈装置を提供することを課題としてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するた
め、この発明は、楽曲を表現する情報として楽譜で使用
される楽譜記号を符号化した符号化楽譜記号の列を記憶
する楽譜記号列記憶手段と、前記符号化楽譜記号の列を
音楽解釈して各ノートの演奏パラメータを含む演奏デー
タ列を生成する音楽解釈手段とを有し、前記音楽解釈手
段が、前記符号化楽譜記号の列から広域に作用する広域
記号を検出する広域記号検出手段と、検出された広域記
のランクを解釈して広域解釈値を得る広域記号解釈手
段と、前記符号化楽譜記号の列から局所的に作用する局
所記号とその種類を検出する局所記号検出手段と、この
局所記号検出手段にて第1の種類の局所記号が検出され
た場合、その局所記号を解釈して局所解釈値を得るとと
もに、前記広域解釈値と前記局所解釈値とに基づいてノ
ートの演奏パラメータ値を決定し、第2の種類の局所記
号が検出された場合、前記広域記号のランクを変更し
て、その広域解釈値に基づいてノートの演奏パラメータ
値を決定する演奏パラメータ決定手段とを有することを
特徴とする楽譜解釈装置を提供する。
【0005】
【作用】この構成によれば、あるノートの演奏パラメー
タを決定する際にそのノートに作用する局所記号の種
類に応じて、広域記号と局所記号の各解釈値(各作用
値)を求めてその各解釈値に基づいてノートの演奏パラ
メータ値を決定したり、広域記号のランクを変更した上
で広域記号の解釈値を求めてその解釈値に基づいてノー
トの演奏パラメータ値を決定するので、種々の態様での
階層的な制御によって演奏パラメータ値を得ることがで
きる。
【0006】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説
明する。
【0007】全体構成 図1はこの発明による楽譜解釈装置の機能ブロック図
である。楽譜記号列メモリ10は通常の楽譜に含まれる
種々の記号と基本的に1対1対応する符号化した記号の
列(楽譜記号列)を記憶し、これによって楽曲を表現し
ている。音楽解釈部20は、楽譜記号列メモリ10から
の楽譜記号列を受け取り、楽曲の演奏のために楽譜記号
列を解釈する。音楽解釈部20の解釈結果は、演奏され
る各ノートの実際の音高、発音時刻、音長及び音強の情
報を含む。このような解釈結果は演奏記号列として演奏
記号列メモリ30に記憶される。楽譜記号列メモリ10
に置かれる符号化楽譜記号(ML−G)ファイル10F
の構成例を図2(A)に示す。この楽譜記号ファイル1
0Fによって記述される楽譜は宣言ブロックと1つ以上
の五線ブロックとから構成され、各五線ブロックは1つ
以上の声部ブロックで構成される。演奏記号列メモリ3
0に置かれる演奏記号(ML−P)ファイル30Fの構
成例を図2(B)に示す。演奏記号ファイル30Fは宣
言ブロックと1つまたは複数の声部ブロックとから構成
される。付録−1にML−Gファイル10Fの記述例
(楽譜記号列)を示す。このML−Gファイルの構文規
則(ML−G言語のシンタクス)を付録−2に示す。ま
た、ML−Gファイル10Fで使用される楽譜記号のセ
ット(シンタクスにおける終端記号のセット)を付録−
3に示す。付録−4にML−Pファイル30Fの記述例
(演奏記号列)を示す。このML−Pファイル30Fの
構文規則(ML−P言語のシンタクス)を付録−5に示
す。ML−Pファイル記述例(付録−4)において、
[ ]内はノートの演奏パラメータを表わしている。
[ ]内において、左から最初の数値はノートの実際の
音高を表わす実音高パラメータである。2番目の数値は
ノートから次のノートまでの時間を表わすステップタイ
ムパラメータであり、これによってノートの発音時刻が
定められる。3番目の数値はノートが実際に鳴っている
時間(ゲートタイム)を表わす実音長パラメータであ
る。4番目の数値は音強を表わす音強パラメータであ
る。このML−Pファイル記述例では各演奏パラメータ
にMIDI規格に合わせた数値をもたせてある。ステッ
プタイム(ゲートタイムも同様)と楽譜における音符
(ノート)の長さとの関係を図3に示す。以下、本楽譜
解釈装置の主な特徴を説明する。
【0008】ダイナミクス制御 本楽譜解釈装置の第1の特徴は強弱記号(ダイナミク
ス記号)の解釈に関する。強弱記号の解釈のための機能
ブロック図を図4に示す。図示の広域強弱記号解釈部2
00は図1の音楽解釈部20の機能の1つであり、f
(フォルテ)やp(ピアノ)のような強弱記号を解釈す
るものである。広域強弱記号解釈部200は楽譜記号列
100の中から強弱記号を検出する強弱記号検出部20
1を含む。強弱記号検出部201で検出された強弱記号
を受けて基準音強評価部202は楽曲の基準となる基準
音強を評価する。この基準音強の評価結果に基づいて個
別音強決定部203が個々の強弱記号に対する音強を決
定する。音強割当部204は決定された音強を強弱記号
の範囲にある(強弱記号が作用する)ノート群の各ノー
トの音強パラメータとして割り当てて音強割当記号列3
00を作成する。このように、本楽譜解釈装置では、強
弱記号の各々に対し、1対1対応で予め定めた音強を割
り当てるのではなく、その音強を楽曲の基準音強に基づ
いて決定しているので個々の強弱記号は楽曲とは無関係
に絶対的な音強を示すものとしてではなく楽曲に依存す
る形式で相対的に解釈されることになる。
【0009】声部間音比制御 本楽譜解釈装置の第2の特徴は複旋律音楽における声
部間の音量化や同時に発音される複数の音(和音)の構
成音間の音量比を制御する機能にある。図5にこのため
の機能プロック図を示す。声部識別部(または和音構成
御識別部)210は楽譜記号列100に含まれる各声部
を識別する(または和音を検出したときに各構成音の種
類を識別する)。識別部210からの種類識別結果に対
し種類別音量比決定部211は各声部(または和音構成
音)に対する音量比を決定する。この種類別音量比決定
部211で決定された音量比に従って音強修正部212
は音強列300の音強を修正する。例えば、声部間の音
量比制御の場合には、声部開始記号から始まる各々の声
部の各ノートの音強パラメータを音量比率で修正し、和
音構成音間の音量比制御の場合には検出した和音の各構
成音であるノートの音強パラメータを音量比率で修正す
る。このように、本楽譜解釈装置によれば声部の種類や
和音構成音の種類に従って好ましい音量パラメータを声
部間や和音構成音間にもたせることができる。
【0010】階層制御 楽譜において音符(ノート)に作用し得る記号は複数
ある。ある種の記号は広域にわたってノートに作用し、
別の種の記号は局所的にノートに作用する。したがって
ノートの演奏パラメータ値は複数の記号を考慮して定め
る必要がある。このために本楽譜解釈装置は階層制御の
機能をもっている。図6(A)に階層制御の一態様を図
6(B)に階層制御の別の態様を示す。図6(A)の構
成は合成型の階層制御を行う。検出部221は楽譜記号
別のなかから広域記号(例えば、fやpのような広域強
弱記号)を検出する。検出された広域記号は広域記号解
釈部222によって解釈される。一方、検出部223は
局所記号102(例えば1つのノートに作用する音強ア
クセント記号)を検出する。検出された局所記号は局所
記号解釈部224によって解釈される。合成部225は
広域記号解釈部222からの広域解釈値と局所記号解釈
部224からの局所解釈値とを合成してノートの演奏パ
ラメータを決定する。音強の階層制御の場合において、
例えば、あるノートに広域強弱記号としてfが作用し、
局所音強変化記号として音強アクセントがついていると
し、広域記号解釈部222がfの解釈値として音強値8
0を与え、局所記号解釈値が音強アクセントの解釈値と
して1.1倍の音強指示を与えたとする。これに対し、
合成部225は80に1.1を乗じて88を得、これを
該当ノートの音強パラメータ値として設定する。同じf
が作用する領域内の別のノートには局所音強変化記号が
ついていないとすると、これに対し局所記号解釈部22
4は音強変化なしを指示する。これに対する合成部22
5の合成音強値は80となる。図6(B)の構成は差替
型の階層制御を行う。検出部231は楽譜記号列のなか
から広域記号111(例えば音高の広域記号である調
号)を検出する。これに対し、広域記号解釈部232は
その解釈値を与える。検出部233は楽譜記号列のなか
から局所記号112(例えば音高の局所記号である臨時
記号)を検出し、それに対する解釈が局所記号解釈部2
34で行われる。選択部235は状況に応じていずれか
の解釈値をノートの演奏パラメータ値として選択する。
音高の階層制御を例にとって説明すると、楽譜記号列に
おいてEの値をもつノートの音高は次のようにして決定
される。いま、このEのノートに対する調号がGであ
り、また臨時記号としてこのノートを半音上げるシャー
プの記号が作用しているとする。この場合、広域記号解
釈部232は調号Gに対する解釈値としてEのノートの
音高は変化なしを指示し、一方、局所記号解釈部234
はEのノートの音高を半音上げる指示を与える。これに
対し、選択部235は局所記号解釈部234からの解釈
値を選択してEのノートの実音高をEより半音高いFに
設定する。Eのノートに臨時記号が作用していない場合
には選択部235は広域記号解釈部232からの調号解
釈値を使用し、Eのノートの実音高をEに設定する。な
お、図6(A)と図6(B)は楽譜記号の階層の数を2
として示したが、これには限らず、階層数が3以上の場
合にも本楽譜解釈装置の階層制御機能を適用できる。
【0011】一連ノート制御 更に、本楽譜解釈装置は一連のノートに対する演奏パ
ラメータを時間的に変化させて制御する一連ノート制御
機能を有している。この機能ブロツク図を図7に示す。
検出部241は楽譜記号列のなかから、一連のノートに
作用する楽譜記号121(例えばスラー、クレッシェン
ド、リタルダンド)を検出する。検出された一連ノート
作用記号121は時間変化解釈部242に渡される。時
間変化解釈部242は検出した記号121が作用する一
連のノートに対し、各ノートの演奏パラメータを時間的
に変化させて制御する。例えば、スラーの記号に対して
時間変化解釈部242はスラーの中心に近いノートの音
強が一番強くなるようにして時間的に変化する音強解釈
を行う。一連ノート制御機能は一連のノートにまとまり
や自然さを与えるのに有効であり、演奏解釈した楽曲に
音楽らしさを与えるのに寄与する。
【0012】音強・音長同時制御 更に、本楽譜解釈装置はノートに作用する所定の楽譜
記号の解釈において、楽譜記号の解釈値によってノート
の音強パラメータと音長パラメータの両方を制御する音
強・音長同時制御機能を有している。この機能ブロック
図を図8に示す。検出部251は楽譜記号列のなかから
ノートに関連する所定の楽譜記号を検出する。音強・音
長同時制御部252は検出された楽譜記号を解釈して、
関連するノートの音強パラメータと音長パラメータの両
方を制御する。このように本楽譜解釈装置ではノートに
関連する楽譜記号を単にノートの1つの演奏パラメータ
を指示する記号として解釈するのではなく、ある種の楽
譜記号についてはその解釈としてノートの音調と音強の
両方を制御しているのでより音楽的な演奏解釈が可能と
なる。
【0013】システム構成 図9は上述した楽譜解釈装置を実現するための代表的
なハードウエアブロック図である。装置全体の制御はC
PU1が行う。プログラムROM2に楽譜を解釈する音
楽解釈プログラムを含む所要のプログラムが記憶され
る。楽譜記号RAM3は図1の楽譜記号列メモリ10に
相当するものであり、楽譜記号入力装置6から入力され
た楽譜記号列(具体例を付録−1に示す)を記憶する。
演奏記号RAM4は図1の演奏記号列メモリ30に相当
するものであり、楽譜の解釈結果として演奏記号列(具
体例を付録−4に示す)を記憶する。作業用RAM5は
プログラムの実行中にCPU1により使用される作業用
のメモリである。CPU1は演奏記号RAM4に記憶し
た演奏記号列に基づいて音源7を制御することにより、
楽譜の音楽解釈に従った楽曲を自動演奏できる。なお、
キー入力タイプの楽譜記号入力装置6の代りに、印刷さ
れた楽譜のイメージを読み取る楽譜イメージリーダを使
用してもよい。この場合、プログラムROM2中に楽譜
イメージデータから楽譜記号を認識して付録−1に例示
するような楽譜記号列を得る楽譜認識プログラムを用意
する必要がある。
【0014】楽譜記号解釈の詳細 以上、個々の楽譜記号の解釈について詳細に説明す
る。
【0015】強弱記号解釈(図10〜図14) 強弱記号はML−G言語では図10に示すようにdy
namics(a1)で表される。ここにa1は強弱記
号名である。CPU1により実行される強弱記号解釈プ
ログラムのフローを図11〜図13に示し、図14に強
弱記号解釈の説明図を示す。強弱記号の解釈(図11)
では楽曲を表現する楽譜記号列の中から強弱記号を検出
し、各強弱記号が曲のなかで占める割合を求め(11−
1)、そのなかで最も高い割合をもつ強弱記号を曲の基
準音強を指示する強弱記号Zとして選択する(11−
2)。そして選択した基準強弱記号Zに対する基準音強
値startを求める(11−4〜11−6)。そして
この基準音強値startに基づいて、基準強弱記号Z
以外の強弱記号に対する音強値を決定する(11−7、
11−8)。図14の例では数値5で示すmfが基準強
弱記号Zとして選択されており、その基準音強値sta
rtは75となっている。なお本装置では音強パラメー
タはMIDIのベロシティに対応しており、0〜127
の数値範囲をもつようになっている。選択した基準強弱
記号より強い強弱記号に対する音強値は図13の音強決
定(上)ルーチンに従って決定され、基準強弱記号によ
り弱い強弱記号に対する音強値は図12の音強決定
(下)ルーチンに従って決定される。重要なことはいず
れの強弱記号の音強値も、曲から検出した基準強弱記号
Zに対する音強値startの関数として定められる点
である。図12、図13のルーチンの例では、基準より
弱い強弱記号に対しては、 W=(start)/(1−sumincrease)
/(1−increase) を減少幅とし(ただし、sumincrease=in
creaseのZ乗)基準より強い強弱記号に対して
は、 W=(127−start)/(1−sumincre
ase)/(1−increase) を増加幅とし(ただしsumincrease=inc
reaseの(8−Z)乗)て求めている。ここにW
は、選択した基準強弱記号Zと基準強弱記号start
に依存する値をもつ。基準強弱記号より1つランクが下
の強弱記号(Z−1)に対する音強は基準音強値sta
rtよりWだけ小さな値をとり、基準より2つランクが
下の強弱記号(Z−2)に対する音強は基準音強値st
artより
【数1】 だけ小さな値をとり、同様に強弱記号(Z−C)に対す
る音強値Point(Z−C)は
【数2】 で与えられる。一方、基準よりCだけランクが上の強弱
記号(Z+C)に対する音強値Point(Z+C)は
【数3】 で与えられる。以上の説明から明らかなように図11〜
図13にフローを実行することにより、図4で述べたよ
うな強弱記号の解釈機能が実現される。
【0016】強弱記号変化解釈(図15〜図17) 次にクレジットやデクレッシェンドのような強弱変化
記号の解釈を説明する。ML−G言語においてクレッシ
ェンドはクレッシェンド開始記号bCRとクレッシェン
ド終了記号eCRとによって表現され、デクレッシェン
ドはデクレッシェンド開始記号bDEとデクレッシェン
ド終了記号eDEとによって表現される(図15)。し
たがって、楽譜記号列において記号bCRから記号eC
Rまでがクレッシェンドの区間であり、記号bDEから
記号eDEまでのデクレッシェンドの区間を表わす。図
15の例では第4オクターブのEの高さの16分音符
(記号G4:16で表現される)がデクレッシェンドの
開始するノートであり、第4オクターブのBの高さの1
6分音符(記号B4:16)がデクレッシェンドの終了
するノートである。強弱変化記号解釈ルーチンのフロー
を図16に示す。楽譜記号列のなかからクレッシェンド
の記号対bCR、eCRまたはデクレッシェンドの記号
対bDE、eDEが検索され、記号対を発見した場合
に、クレッシェンドまたはデクレッシェンドが開始する
ノートの音強とノートの番号、クレッシェンドまたはデ
クレッシェンドが終了するノートの音強と番号とを読み
取る(16−1〜16−4)。ここに開始または終了ノ
ートの音強としては既に述べた強弱記号解釈で得られて
いる値が使用される。次に強弱変化記号解釈ルーチンは
クレッシェンド(またはデクレッシェンド)開始ノート
から終了ノートまでの間にある一連のノートに時間的に
変化する音強値を割り振るために16−5〜16−7を
実行する。この音強割振のため、図16のルーチンでは
音強を音高に関連させる手法を用いている。即ち、開始
ノートから終了ノートまでのノート群の音高の変化に適
合するような音強の変化関数を求めて各ノートの音強を
得ている。詳細には開始ノートから終了ノートまでの音
高列によって形成される波形と、図17に対する種類の
関数function1、2、3に開始音強soと終了
音強eoを代入して得られる関数波形との誤差を求め、
誤差が最小となる関数波形を音強の変化曲線として選択
し、この音強変化曲線を用いて、クレッシェンド(また
はデクレッシェンド)開始ノートから終了ノートまでの
一連のノートの音高値を決定している。関数funct
ion1に従う音強変化曲線が選択された場合は音強は
時間の経過とともに変化が小さくなるように制御され、
function2の場合は音強は時間の経過とともに
より大きく変化し、function3の場合は音強は
時間とともに直線的に変化する。このような強弱変化記
号解釈処理を行うことにより、楽譜解釈装置は図7で述
べた一連ノート制御機能を実現する。更に、強弱記号解
釈と強弱変化記号解釈との組み合わせによって、図6A
で述べたような階層制御機能を実現している。
【0017】スラー解釈(図18〜図20) ML−G言語ではスラーはスラー開始記号bSLとス
ラー終了記号eSLとによって表現される(図18)。
図18の例ではC4の4分音符がスラーの開始音符であ
り、G4の4分音符がスラーの終了音符である。スラー
記号解釈ルーチンを図20に示す。このスラー記号解釈
ルーチンの特徴は、スラーがついた一連の音符(ノー
ト)がひとまとまりのフレーズのように感じられるよう
に、一連のノートの音強を時間的に変化させている点で
ある。これによって図7で述べた一連ノート制御機能を
表現している。更に、音強の一連ノート制御に加え、ス
ラーのついた各ノートの音長、即ち実際に発音される長
さgatetimeをsteptimeより長くしてい
る。この意味で、図8で述べた音強・音長同時制御の機
能を実現している。スラー記号解釈ルーチンで行われる
音強制御では、図19に示すようにスラー開始からスラ
ー終了までのスラー区間の中心Zに近い中心後の最初の
ノートの音強が最大になるようにしてスラー区間に含ま
れる一連のノートの音強を、音強変化曲線
【数4】 に従って求めている。ここに、bは音強が最大になるノ
ートの位置を表わし、cは音強最大値で、(onkyo
+5)で与えられる。ここにonkyoは上述した強弱
記号解釈で既に得られている音強値である。図20の2
0−1〜20−8でスラーの開始ノートの番号S、終了
ノートの番号E、及び音強変化曲線yの各係数a、b、
cを得ている。20−9〜20−14で開始ノートから
終了ノート(SからE)までにある各ノートについてそ
の音強とgatetime(実音長)を決定している。
特に20−11に示すように、着目しているノートの音
強を音強変化曲線yに従ってもとめるとともに、ノート
のgatetimeをsteptimeより10%長く
設定している。ここに、steptimeの初期値は、
ML−G言語で記述された楽譜記号列に示されるノート
の表記上の長さ(例えば4分音符の場合は4)を図3に
示す変換表に従って変換した値をもつ。なお、スラー解
釈の音強制御では基準の音強onkyoとして広域記号
である強弱記号の解釈結果を利用しており、この点で、
図6(A)で述べたような階層制御も実現している。2
0−10に示すように、スラー区間がクレッシェンドや
デクレッシェンドのような強弱変化記号の区間と重なる
場合には20−11をスキップして強弱変化記号解釈に
よる音強変化処理を優先させている。
【0018】局部的音強変化記号解釈(図21、図2
2) 単一のノートの音強を変化させるための局部的音強変
化記号としてアクセント記号、スフォルツァンド、フォ
ルツァンド、リンフォルツァンドなどがある。このよう
な局部的音強変化記号の解釈では、基準の音強として局
部的音強変化記号がついたノートを含むノート群に作用
する強弱記号の解釈値(強弱記号解釈ルーチンの結果)
等を使用し、基準の音強(支配している音強)に基づい
て局部的音強変化記号がついたノートの音強を定める。
このようにしてノートの音強を階層的に決定することに
より図6(A)で述べたような階層制御機能を実現して
いる。局部的音強変化記号解釈は図21と図22のフロ
ーに従って行われる。第1種の局部的音強変化記号(例
えばアクセント)は図21のフローの21−1で検出さ
れ、第2種の局部的音強変化記号(例えばスフォルツァ
ンド)は図22のフローの22−1で検出される。第1
種の局部的音強変化記号を検出したときは、変化記号が
ついているノートの音強の初期値である基準音強即ち、
強弱記号解釈ルーチンで得ている、そのノートを支配し
ている強弱記号の音強値、あるいはそのノートがデクレ
ッシェンドやクレッシェンドの範囲内でもあるときは、
強弱変化記号解釈ルーチンの実行結果である音強値に、
検出した音強変化記号ごとに用意した音強変化データ値
を加えてそのノートの音強値を決定する(21−2)。
第2種の局部的音強変化記号を検出した場合は、変化記
号のついたノートを支配している強弱記号より1ランク
上の強弱記号について得ている音強値をそのノートの音
強値として決定する(22−2)。
【0019】和音記号解釈(図23、図24) 同時に発音される複数のノート(和音)を表現するた
め、ML−G言語ではノートの音高記号同士を図23に
示すように山印の和音記号で結ぶ。和音記号解釈の一部
を成す和音音量制御ルーチンを図24に示す。和音音量
制御ルーチンでは楽譜記号列のなかから和音記号を検索
し、和音記号を検出したら(24−1)、和音のなかで
最高音の構成音を見つける(24−2)。図23の例で
はA5が最高音の構成音である。そして、最高音の和音
構成音の音強を3だけ小さくする(24−3)。これに
より、和音のなかで最高音が他の構成音より大きな音で
演奏されることになり、好ましい和音のサウンドが得ら
れる。このようにして和音音量制御ルーチンは複数の音
の間に音量の差を与えることにより図5で述べたような
音量比制御機能を実現している。
【0020】声部間音量比制御 図2(A)、図2(B)に関して述べたように本楽譜
解釈装置は複数の声部(パート)をもつ曲をとり扱うこ
とができる。楽譜記号RAM3に置かれる楽譜記号列に
おいて、各声部のデータは声部開始記号の後に続いてい
る。本楽譜解釈装置は複数の声部をもつ曲に対し、声部
間の音量比を制御する機能を有している(図5)。図2
5の例ではソプラノ、アルト、テノール、バスの各声部
の音量比として75:37、5:37、5:45を使用
している。図26はこのような声部間の音量比制御を実
現するため声部間音量比制御ルーチンのフローである。
このルーチンは各声部についてのその他の解釈処理が終
了した段階で行われる。26−1でCPU1は演奏記号
RAM4の演奏記号列のなかから、声部開始記号%Pa
rt( )を検索し、見つけ出した声部開始記号の(
)内に示される声部の種類を識別する。識別した声部
の種類がソプラノであれば声部開始記号に続く声部(即
ちソプラノ声部)のデータは変更しない。識別した声部
の種類がアルトかテノールであれば後続する声部データ
ブロックの各ノートの音強パラメータを1/2倍し、
(26−2、26−3)、識別した声部の種類がバスで
あれば後続する声部データブロックの各ノートの音強パ
ラメータを45/75倍する。これにより、図25に示
すような音量比がソプラノ、アルト、テノール、バスの
各声部間につけられることになる。この結果、聴覚上、
ソプラノパートが一番よく聞こえやすく、ついでバスが
聞こえ、内声部であるテノールとアルトは小さな音によ
り音組織をサポートするように働き、全体として好まし
いサウンドが得られる。
【0021】テンポ変化記号解釈(図27〜図31) アッチェレランド、リタルダンド、ストリンジェンド
等は曲の途中でテンポを変化させるためのテンポ変化記
号である。図27に示すようにML−G言語では、AL
がアッチェレランド、RIがリタルダンド、SGがスト
リンジェンドを表わす。図28は、アッチェレランド、
リタルダンド、ストリンジェンドのそれぞれに対して行
われるテンポ変化制御の関数を示したものである。ま
た、それぞれの記号に対するテンポ解釈ルーチンを図2
9、図30、図31に示す。アッチェレランドテンポ解
釈(図29)では各ノートのテンポは y=−log(−x+bb)+a+log(bb) により計算される。ここに、bbは(アッチェレランド
終了位置+100)の累算音長の位置を表わし、aはア
ッチェレランドが始まる前のテンポであり、上位ルーチ
ン(図示せず)で得られているテンポ(例えば、楽譜記
号ファイル(付録1参照)の宣言部に示された曲のテン
ポを解読した値)である。xはアッチェレランドの開始
点からのノートの累算音長の変数である。この解釈によ
り、アッチェレランドがついている一連のノートはテン
ポが次第に速くなる。リタルダンド解釈(図30)では
リタルダンド記号がついた各ノートのテンポは、 y=log(−x+bb)+a−log(bb) に従って解釈される。この式の各因子の意味はアッチェ
レランドの場合と同様である。この式は前式を基準テン
ポラインy=aについて折り返したものである。したが
ってリタルダンドがついた各ノートのテンポは次第に遅
くなる。ストリンジェンド解釈(図31)では、ストリ
ンジェンド記号SGがついた各ノートのテンポを y=(a−b)exp(−x)+b に従って計算する。ここにaはストリンジェンドが始ま
る前のテンポで、bはテンポの極限値で(a+10)で
与えられる。この結果、ストリンジェンドのついた一連
のノートのテンポは次第に速くなる。ただし、アッチェ
レランドと異なり、極限値に収束するようにテンポが変
化する。このようにテンポ変化記号解釈のルーチン(図
29〜図31)では、テンポ変化記号が作用する一連の
ノートに対し、そのテンポが時間的に変化するように制
御することにより、図7で述べたような一連ノート制御
機能を実現する。また、曲のテンポのような広域(上位
の階層レベルの)テンポ記号の解釈値を基準としてノー
トのテンポに変化をつけることにより、図6(A)で述
べたような階層制御機能を実現している。図29〜図3
1のルーチンの結果はノートごとのテンポの配列として
一時記憶される。ML−P言語による演奏記号列におい
てノートごとにテンポデータを付けるのは記憶容量の面
で不利であり、またMIDI等で演奏情報を送る場合に
テンポを頻繁に変えることは制御上不都合である。そこ
で、本楽譜解釈装置では、最終的な処理の段階でML−
P言語による演奏記号列の各ノートの音長パラメータg
atetime、steptimeに曲の基準のテンポ
に対するノート時点でのテンポの比を乗じて音長パラメ
ータを訂正することにより、音長パラメータ(時間パラ
メータ)中にテンポの変化を組み入れ、形式上のテンポ
データは曲のテンポだけにしている。
【0022】音長変化記号解釈(図32〜図36) ブレス、フェルマータ、スタッカテシモ、スタッカー
ト、テヌート等は基本的には音長を変化させる楽譜記号
である。図32にこの種の音長変化記号の通常の楽譜で
の表現とML−G言語で符号化した表現を示す。また、
図33から図36に各種の音長変化記号解釈ルーチンを
示す。これらのルーチンの特徴は(息つぎであるブレス
解釈ルーチンを除き)、単にノートの音長を変化させる
だけでなく音強をも変化させている点である。これによ
って図8で述べた音強・音長同時制御機能を実現してい
る。詳細に述べると、スタッカート、スタッカテシモ解
釈ルーチン(図33)では、楽譜記号列からスタッカー
ト記号STまたはスタッカテシモ記号SMを検出したら
(33−1)、その記号がついたノートの音長パラメー
タgatetimeを10に設定する(33−2)。更
にその記号がスタッカテシモ記号SMのときは、そのノ
ートの音強パラメータONKYOをプラス3する。ここ
に、プラス3する前の音強パラメータONKYOの値は
音強階層上、上位のルーチン(強弱記号解釈ルーチン、
強弱変化記号解釈ルーチン)から与えられている。この
意味で、図6Aで述べた階層制御機能が実現されている
(図34、図36でも同様)。これにより、スタッカー
トのついたノートとスタッカテシモのついたノートとが
区別化されるとともに、スタッカテシモのついたノート
とその前後にあるノート群との間にも、音長だけでなく
音強の点でも区別がつけられる。テヌート解釈ルーチン
(図34)では楽譜記号列からテヌート記号TEを発見
したら(34−1)、その記号がついた(演奏記号列上
の)ノートの音長パラメータgatetimeを1.1
倍する(34−2)。ここにgatetimeの初期値
はノート間の間隔steptimeに等しいので、ga
tetimeを1.1倍することにより、テヌートのつ
いた隣り合う音が10%程度重なって演奏されることに
なる。更に、テヌート記号のついたノートの音強パラメ
ータONKYOをプラス3する(34−3)。これは、
テヌートのまわりの音よりテヌートのついた音を3だけ
大きくして演奏することを意味する。ブレス解釈ルーチ
ン(図35)では楽譜記号列からブレス記号BRを発見
したら(35−1)ブレス記号の前にあるノートの音長
パラメータgatetimeをマイナス1する。これに
より、音に切れ目がつき、ブレスの前までのフレーズを
明確にすることができる。フェルマータ解釈ルーチン
(図36)では楽譜記号列から検出した(36−1)フ
ェルマータ記号FEが終始線の前についているかどうか
(36−2)でフェルマータのついたノートの音長パラ
メータgatetimeの変更の仕方が異なる(36−
3、36−4)。フェルマータ記号FEが終始線の前に
ついていれば、フェルマータのついたノートの音長パラ
メータgatetimeを2倍にし、それ以外のときは
1.5倍にする。更に、フェルマータ記号のついたノー
トの音強パラメータONKYOをプラス3する(36−
5)。これにより曲の終始感や段落感が明確にされる。
【0023】連符解釈(図37〜図42) 図37に示すような楽譜記号を連符と呼ぶ。このよう
な連符記号はML−G言語では図38に示すような形式
で表現される。図38の例はG4とA4とB4の3連符
であり、ML−G言語では〈3 G4:16−A4:1
6−B4:16〉で表現される。ここに16は連符構成
音であるG4、A4、B4の各ノートの「表記」の長さ
が16分音符であることを示している。実際には、3連
符の全体の長さが8分音符の長さであるので、連符構成
音の長さはその1/3であり、表記の長さ(16分音
符)の2/3である。一般に連符構成音の長さは連符の
全長を連符の数で等分した長さである。連符の全長が与
えられている場合に、連符構成音の表記上の長さから実
際の長さを得るために、表記の長さに掛けられる係数を
図39に示す。図40〜図42に各々の連符解釈ルーチ
ンのフローを示す。これらのルーチンの特徴は、楽譜記
号列に表記された連符ノートの音長を図39の表に従っ
て修正するとともに、連符の最初のノートを他の連符ノ
ートより強い音強に変更している点である。したがって
一連ノート制御機能(図7)の側面と音強・音長同時制
御機能(図8)の側面を有している。また、連符の最初
のノートの音強は音強階層の上位レベルの強弱記号を解
釈した結果を基準の音強として、基準の音強を所定量大
きくすることで得ており、これによって階層制御機能
(図6(A))を果たしている。各連符解釈ルーチンに
おいて、最初のノートの音強設定は40−7、41−
4、42−6に示すように、階層上、上位の強弱記号の
解釈値である音強データに2を加えることで行ってい
る。連符ノートの音長修正に関しては、5、7連符解釈
ルーチン(図40)では、連符の全長を1小節の長さか
ら(連符を含む小節における)連符ノート以外のノート
の音長の和を差し引いて求め、この連符の全長を連符の
ノート数で割って連符ノートの音長steptimeを
算出し(40−1〜40−4)、3、4、9連符解釈ル
ーチン(図41)では、楽譜記号列に示された連符ノー
トの表記音長から得た演奏記号列のノートの音長データ
steptimeに{(連符の数−1)÷連符の数}、
即ち図39の表に示す係数を乗じて正しい値の音長デー
タsteptimeを得ており(41−1、41−
2)、2、8連符解釈ルーチン(図42)では、2連符
に対しては表記音長を表わす音長データsteptim
eに係数3/4を乗じて2連符の各ノートの正しい音長
データsteptimeを得(42−1、42−2)、
8連符に対しては表記音長を表わす音長データstep
timeに係数6/8を乗じて正しい音長データste
ptimeを得ている。
【0024】前打音解釈(図43〜図49) 図43にML−G言語による前打音記号の例として、
短前打音記号、長前打音記号を示す。一般に前打音によ
って装飾される音を主要音(メインノート)と呼ぶ。図
43の楽譜の例では2分音符で表記されたD5の音が主
要音である。しかし、主要音は実際には2分音符では演
奏されず、前打音を加えた長さが2分音符になるように
演奏される。ML−G言語では楽譜に表記した音符の長
さ通りに、各ノートの音長を表現するので、前打音を演
奏解釈する際に、表記の音長を変更する必要がある。こ
のために、本楽譜解釈装置の各前打音解釈ルーチン(図
44〜図47)では楽譜記号列から読み取った前打音の
音長と主要音の音長を修正して正しい前打音演奏が行わ
れるようにしている。更に、主要音の音強を若干強くす
ることにより、主要音らしさが演奏表現されるようにし
ている(図47)。これにより、音強と音長がともに制
御され、図8で述べたような音強・音長同時制御機能が
果たされる。また、主要音の音強は主要音等を支配する
広域の強弱記号の解釈値に主要音での局所的な音強変化
分+1を加えることで得ており(47−1〜47−
4)、これにより音強の階層制御機能(図6(A))を
果たしている。種類別に前打音長解釈を説明すると、長
打音長解釈ルーチン(図44)では楽譜記号列から長打
音記号を検出したときに(44−1)、この長打音記号
がついたノート、即ち(演奏記号列上の)長打音のst
eptimeとgatetimeのデータを楽譜記号列
に示された長打音の表記音長データから得た装飾音の音
長(表記音長データを図3に従ってステップタイムの型
のデータに変換した値)に設定し(44−2、44−
3)、演奏記号配列上の次のノート、即ち主要音のst
eptimeとgatetimeを楽譜記号列の主要音
の表記音長から得た装飾される音長から上記装飾音の音
長を差し引いた値に設定する(44−4、44−5)。
この結果、図48の上部に示すような音長解釈が行われ
ることになる。複前打音長解釈ルーチン(図45)で
は、複前打音記号を楽譜記号列から検出したら(45−
1)、複前打音(装飾音)の数だけ、各複前打音の演奏
音長パラメータであるsteptimeとgateti
meを楽譜記号列に示された各複前打音の表記音長に相
当する値に設定する(45−2〜45−8)。更に複前
打音の演奏音長の合計Zを主要音の表記音長を表わす値
(装飾音がかかっている音長)から差し引いて主要音の
演奏音長パラメータsteptime、gatetim
eを求める(45−9、45−10)。したがって、図
48の下半分に示すように、複前打音の数が2の場合に
は奏法に示すような音長解釈が行われることになる。短
前打音長解釈ルーチン(図46)では、短前打音記号の
検出(46−1)に続いて曲のテンポを検査する(46
−2)。速いテンポのときは短前打音の演奏音長パラメ
ータであるsteptimeとgatetimeを24
(16分音符に相当する)に設定し(46−3、46−
8)、中程度のテンポのときはsteptimeとga
tetimeを12(32分音符に相当する)に設定し
(46−4、46−8)、遅いテンポのときはstep
timeとgatetimeを6(64分音符に相当す
る)に設定する(46−7、46−8)。主要音の演奏
音長パラメータであるsteptime、gateti
meは主要音の表記音長値(装飾される音長)から短打
音の演奏音長値(現在のsteptime)を差し引い
て求める(46−9、46−10)。したがって、図4
9に示すように、ラルゴ(Largo)のような遅いテ
ンポの場合と、プレスト(Presto)のような速い
テンポの場合とでは、同じ表現の短前打音と主要音の音
符表現に対して、異なる音長解釈が行われことになる。
これにより、テンポに合わせた装飾を主要音につけるこ
とができる。
【0025】装飾記号解釈(図50〜図53) モルデント、プラルトリラー、トリル、ターン、転回
ターン等は装飾音として隣接音(隣接する高さの音)を
用いて主要音を装飾するための楽譜記号の名前であり、
ML−G言語では図50に示すように、それぞれ、M
O、PR、TR、TU、ITで符号化される。楽譜上
は、装飾音の音符自体(モルデント音符、プラルトリラ
ー音符、トリル音符等)は明記されず、主要音の音符
(図50の例ではG4の4分音符)、あるいは音符と音
符の間に各装飾記号(図50の例ではモルデント記号)
をつけるだけである。したがってML−G言語で記述し
た楽譜記号列にも、装飾音符自体の記号は含まれない。
このため、本楽譜解釈装置には楽譜記号列を演奏解釈し
て演奏記号列に変換する場合に装飾記号を解釈して所要
の装飾をつける装飾記号解釈処理を行う。各装飾記号解
釈処理では装飾音型(装飾パターン)の各ノートの演奏
音長と音高のパラメータを決定し、更に、装飾音型を構
成する一連のノートに音強変化をつけるため、音型の重
要なノート(例えば最初のノート)に若干のアクセント
をつける。このような装飾記号解釈により、一連のノー
ト制御機能(図7)、音強・音長同時制御機能(図
8)、音強の階層制御機能(図6(A))が果たされ
る。具体例としてトリル記号解釈のルーチンを図51〜
図53に示す。このルーチンではトリルの装飾音型とし
て4つの等しい長さのノートから成り、上側の隣接音か
ら主要音、下側の隣接音、主要音へと変化するパターン
を採用している。詳細に述べると、ターン音高の音長決
定1(図51)では、楽譜記号列からノート(音符)に
ついたターン記号を検出したら(51−1)、ターン記
号のついたノートの音長を1/4して演奏されるトリル
装飾音型における4つのノートの各音長(stepti
me、gatetime)を得る(51−2、51−
4)。また、第2と第4のノートが主要音の高さにな
り、第1ノートが主要音の上側の隣接音高、第3ノート
が下側の隣接音高になるようにして各ノートの音高を決
定する(51−5〜51−13)。ターン音高の音長決
定2(図52)では、楽譜記号列からノートとノートの
間についたターン記号を検出したら(52−1)、ター
ン音型の4つのノートの各音長(steptime、g
atetime)を32分音符に相当する12に設定し
(52−6)、ターン音型の全長をターン記号の前につ
くノート(先行の音)の表記音長値から差し引いて先行
音の正しい音長(steptime、gatetim
e)を得る(52−2)。ターン音型の4つのノートの
音高はターン音型に先行する音を主要音としてターン音
高・音長決定1と同様にして決定される(52−5〜5
2−12)。ターン音強制御(図53)ではターン記号
がノート(主要音符)についている場合には(53−
1)、ターン装飾音型の最初のノートの音強をプラス1
する(53−2)。ここにプラス1する前の音強値は上
位の階層レベルの強弱記号の解釈値である。ターン記号
がノートの間についている場合は(53−3)、主要音
である先行するノートの音強データをプラス1する(5
3−4)。
【0026】音高解釈(図54、図55) 図54に音高解釈ルーチンを示す。まず54−1で楽
譜記号列上で着目しているノート(現音符)に臨時記号
がついているかどうか、あるいは現音符の小節内で現音
符の五線位置(音名を表わすアルファベットとオクター
ブを表わす番号とで示される)に先行する臨時記号があ
るかどうかを調べる。臨時記号がないときは(54−
2)、調号記号を検査して調号が現音符の五線位置にシ
ャープまたはフラットをつけるかどうかを調べる(54
−3)。なにもつけないときは現音符に表記された音高
を現音符の実音高として決定し(54−4)、シャープ
をつけるときは表記音高を半音上げ(54−5)、フラ
ットをつけるときは表記音高を半音下げて(54−
6)、現音符の実音高を決定する。このようにして、局
所的な音高指示記号である臨時記号が音符についていな
いときは広域記号である調号の解釈に従って音符の音高
を決定する。これに対し、臨時記号がついているときは
(54−2)、臨時記号の種類を識別する(54−
7)。臨時記号の種類がナチュラルのときは現音符の表
記音高を現音符の実音高として決定し(54−8)、臨
時記号の種類がフラットのときは表記音高を半音下げ
(54−9)、シャープのときは表記音高を半音上げ
(54−10)、ダブルシャープのとき表記音高を全音
上げ(54−11)、ダブルフラットのときは表記音高
を全音下げて(54−12)現音符の実音高を決定す
る。このように臨時記号が音符に作用しているときは臨
時記号の解釈に従って音符の音高を決定している。この
ようにして音高解釈ルーチンは図6(B)で述べたよう
な階層制御機能を音高について実現している。この結
果、図55に例示するような正しい音高解釈が行われ
る。
【0027】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0028】変形例 以上で実施例の説明を終えるがこの発明の範囲内で種
々の変形、変更が可能である。例えば、楽譜の符号化言
語として上述したML−G言語以外の任意の適当な楽譜
符号化言語が使用できる。同様に演奏の符号化言語とし
て上述したML−P言語以外の任意の適当な演奏符号化
言語が使用できる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、楽譜のように記号化した情報(符号化楽譜記号列)
を音楽解釈して具体的な演奏情報を得る際に、各ノート
の演奏パラメータの値を演奏パラメータに対して作用
する階層レベルが異なる複数の記号(広域記号及び局所
記号)に基づいて決定しているので階層的に制御され
た演奏パラメータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る楽譜解釈装置の全体機能ブロッ
ク図である。
【図2】(A)は図1の楽譜記号列メモリに置かれるM
L−Gファイルの構成図、(B)は図1の演奏記号列メ
モリに置かれるML−Pファイルの構成図である。
【図3】楽譜記号列における音長表現と演奏記号列にお
ける音長表現(ステップタイム)との関係を示す図であ
る。
【図4】楽譜解釈装置に含まれる広域強弱記号解釈機能
のブロック図である。
【図5】楽譜解釈装置に含まれる声部間または和音構成
音間の音量比制御機能のブロック図である。
【図6】(A)は楽譜解釈装置に含まれる合成型の階層
制御機能のブロック図、(B)は楽譜解釈装置に含まれ
る選択型の階層制御機能のブロック図である。
【図7】楽譜解釈装置に含まれる一連ノート制御機能の
ブロック図である。
【図8】楽譜解釈装置に含まれる音強・音長同時制御機
能のブロック図である。
【図9】楽譜解釈装置を実現するための代表的なシステ
ム構成を示すブロック図である。
【図10】強弱記号のML−G言語による符号化を示す
図である。
【図11】図9のCPUによって実行される強弱記号解
釈ルーチンのフローチャートである。
【図12】図11の音強決定(下)ブロック11−7の
フローチャートである。
【図13】図11の音強決定(下)ブロック11−8の
フローチャートである。
【図14】強弱記号解釈の態様をグラフで表現した図で
ある。
【図15】ML−G言語による強弱変化記号を示す図で
ある。
【図16】強弱変化記号解釈ルーチンのフローチャート
である。
【図17】強弱変化記号の解釈で使用される音強時間変
化関数をグラフで示した図である。
【図18】ML−G言語によるスラー記号を示す図であ
る。
【図19】スラーのついた一連のノートに対する音強を
時間変化させる関数をグラフで示した図である。
【図20】スラー解釈ルーチンのフローチャートであ
る。
【図21】局部的音強変化記号解釈1のフローチャート
である。
【図22】局部的音強変化記号解釈2のフローチャート
である。
【図23】ML−G言語による和音記号を示す図であ
る。
【図24】和音構成音間の音量比を制御する和音音量制
御ルーチンのフローチャートである。
【図25】声部間の音量比を示す図である。
【図26】声部間音量比制御ルーチンのフローチャート
である。
【図27】ML−G言語によるテンポ変化記号を示す図
である。
【図28】各テンポ変化記号の解釈で行われる一連のノ
ートに対するテンポ変化制御のための関数をグラフで示
した図である。
【図29】テンポ変化記号の一種であるアッチェレラン
ド記号の解釈ルーチンのフローチャートである。
【図30】テンポ変化記号の一種であるリタルダンド記
号の解釈ルーチンのフローチャートである。
【図31】テンポ変化記号の一種であるストリンジェン
ド記号の解釈ルーチンのフローチャートである。
【図32】ML−G言語による音長変化記号を示す図で
ある。
【図33】音長変化記号の一種であるスタッカートとス
タッカテシモの解釈ルーチンのフローチャートである。
【図34】音長変化記号の一種であるテヌートの解釈ル
ーチンのフローチャートである。
【図35】音長変化記号の一種であるブレスの解釈ルー
チンのフローチャートである。
【図36】音長変化記号の一種であるフェルマータの解
釈ルーチンのフローチャートである。
【図37】楽譜における連符記号を示す図である。
【図38】ML−G言語による連符記号を示す図であ
る。
【図39】連符記号に表記されたノートの音長を実音長
に変換するための係数を示す図である。
【図40】5、7連符解釈ルーチンのフローチャートで
ある。
【図41】3、4、9連符解釈ルーチンのフローチャー
トである。
【図42】2、8連符解釈ルーチンのフローチャートで
ある。
【図43】ML−G言語による前打音記号を示す図であ
る。
【図44】長前打音記号の音長解釈のフローチャートで
ある。
【図45】複前打音記号の音長解釈のフローチャートで
ある。
【図46】短前打音記号の音長解釈のフローチャートで
ある。
【図47】前打音記号の音強解釈のフローチャートであ
る。
【図48】前打音解釈ルーチンによる長前打音と複前打
音の解釈の例を示す図である。
【図49】前打音解釈ルーチンによる短前打音と複前打
音の解釈の例を示す図である。
【図50】ML−G言語による装飾記号を示す図であ
る。
【図51】装飾記号の一種であるターン記号に対するタ
ーン音高決定1のフローチャートである。
【図52】ターン音高決定2のフローチャートである。
【図53】ターン音強制御のフローチャートである。
【図54】楽譜記号列の各音符の音高を解釈する音高解
釈ルーチンのフローチャートである。
【図55】音高解釈ルーチンによる音高の解釈例を示す
図である。
【符号の説明】
10 楽譜記号列メモリ 20 音楽解釈部 30 演奏記号列メモリ 101 広域記号 102 局所記号 221 検出 222 広域記号解釈 223 検出 224 局所記号解釈 225 合成 111 広域記号 112 局所記号 231 検出 232 広域記号解釈 223 検出 224 局所記号解釈 235 選択
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 1/00 - 1/46 G10G 1/00 - 3/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 楽曲を表現する情報として楽譜で使用さ
    れる楽譜記号を符号化した符号化楽譜記号の列を記憶す
    る楽譜記号列記憶手段と、 前記符号化楽譜記号の列を音楽解釈して各ノートの演奏
    パラメータを含む演奏データ列を生成する音楽解釈手段
    と、 を有し、 前記音楽解釈手段が、 前記符号化楽譜記号の列から広域に作用する広域記号を
    検出する広域記号検出手段と、 検出された広域記号のランクを解釈して広域解釈値を得
    る広域記号解釈手段と、 前記符号化楽譜記号の列から局所的に作用する局所記号
    とその種類を検出する局所記号検出手段と、この局所記号検出手段にて第1の種類の局所記号が検出
    された場合、その 局所記号を解釈して局所解釈値を得る
    とともに、前記広域解釈値と前記局所解釈値とに基づい
    てノートの演奏パラメータ値を決定し、第2の種類の局
    所記号が検出された場合、前記広域記号のランクを変更
    して、その広域解釈値に基づいてノートの演奏パラメー
    タ値を決定する演奏パラメータ決定手段と、 を有することを特徴とする楽譜解釈装置。
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