JP3213148B2 - ガスセンサ - Google Patents

ガスセンサ

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JP3213148B2
JP3213148B2 JP32930293A JP32930293A JP3213148B2 JP 3213148 B2 JP3213148 B2 JP 3213148B2 JP 32930293 A JP32930293 A JP 32930293A JP 32930293 A JP32930293 A JP 32930293A JP 3213148 B2 JP3213148 B2 JP 3213148B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願は家庭用ガス漏れ警報器等に
使用されるガスセンサに関し、ハウジング外部と内部と
の間でガスが流通可能な通気孔を備えた気密性ハウジン
グ内に、検知対象ガスとしてのメタン等の可燃性ガスに
感応する金属酸化物半導体よりなるガス検知素子を備
え、妨害ガスとしてのアルコールによる誤報を防ぐため
に、通気孔に活性炭等の吸着層を備えたガスセンサの改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】従って、このような構成のガスセンサに
あっては、吸着層を設けることによって低濃度のアルコ
ールにより誤報を発生することはない。そして、吸着層
を設けるにあたっては通気孔部位に通気性の一対の仕切
り壁を設け、この壁間の中間部位に粒状の活性炭を収納
して構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成を取る場合は、活性炭を粒状のまま取り扱う必
要があり、重量をはかる必要があるとともに、微粉が飛
び散りやすく、また、充填のしかたにより粒の充填のさ
れかたにばらつきが生じやすい。さらに、このようなガ
スセンサは、その載置方向として図2に示されるように
縦型配置されたり、図5、6に示すように横型配置され
たりして任意の姿勢を取る必要があるが、その姿勢状態
によっては、活性炭に偏りが発生しやすく、層各部位で
通気量が異なったり、吸着能が落ちてしまう問題が発生
する。さらに、活性炭が粒状で位置固定されていないた
めに、充填密度が運搬、取扱中に振動により移動し、粒
がより密に充填され通気量が悪くなって応答速度が遅く
なる、さらには、粒の移動による摩擦により微粉が生じ
目詰まりしたり、またガス検知素子表面に付着し、セン
サ性能に悪影響を及ぼす、警報器内部の回路部分に付着
する等の問題を生じやすい。従って、活性炭を一般的な
バインダーで成型体として一体構成し、通気孔所定部位
に収納することが考えられるが、この部位における温度
の影響、さらには、活性炭によるアルコール吸着の作用
を阻害しない構成をとるためには、通常使用されるPV
A、PE、ナイロン等は、その耐熱性、親水性の故に採
用しにくい。
【0004】従って、本発明の目的は、上記のさまざま
な問題点を解決することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明は、以下のように整理できる。本発明による
ガスセンサの特徴構成は、粒子状の活性炭と粒子状のフ
ッ素樹脂とを加熱成型一体化した活性炭成型体を吸着層
として、通気孔に備えたことにある。この構成におい
て、活性炭の粒度が0.3〜0.9mmで、フッ素樹脂
の粒度が1.0μm以下であり、活性炭とフッ素樹脂と
の混合重量比が2対1〜1対2であるとともに、活性炭
成型体の比重が0.5〜0.8であることが好ましい。
そして、上記目的を達成するための活性炭成型体として
は、請求項1に記載されているように、粒子状の活性炭
と粒子状のフッ素樹脂とを加熱成型一体化した活性炭成
型体であって、活性炭の粒度が0.3〜0.9mmであ
ることが好ましい。また、請求項2に記載されているよ
うに、このような活性炭成型体としては、粒子状の活性
炭と粒子状のフッ素樹脂とを加熱成型一体化した活性炭
成型体であって、フッ素樹脂の粒度が1.0μm以下で
あることが好ましい。さらに、請求項3に記載されてい
るように、このような活性炭成型体としては、粒子状の
活性炭と粒子状のフッ素樹脂とを加熱成型一体化した活
性炭成型体であって、活性炭とフッ素樹脂との混合重量
比が2対1〜1対2であることが好ましい。また、請求
項4に記載されているように、このような活性炭成型体
としては、粒子状の活性炭と粒子状のフッ素樹脂とを加
熱成型一体化した活性炭成型体であって、活性炭成型体
の比重が0.5〜0.8であることが好ましい。そし
て、請求項1に記載された活性炭成型体にあっては、請
求項5に記載されているように、前記フッ素樹脂の粒度
が1.0μm以下であることが好ましい。また、請求項
1、2又は5に記載された活性炭成型体にあっては、請
求項6に記載されているように、前記活性炭と前記フッ
素樹脂との混合重量比が2対1〜1対2であることが好
ましい。 さらに、請求項1、2、3、5又は6に記載さ
れた活性炭成型体としては、請求項7に記載されている
ように、前記活性炭成型体の比重が0.5〜0.8であ
ることが好ましい。そして、請求項1〜7のいずれかに
記載された活性炭成型体を吸着層として、通気孔に備え
ることで、請求項8に記載される、ハウジング外部と内
部との間でガスが流通可能な通気孔を備えた気密性ハウ
ジング内に、検知対象ガス及びアルコールに感応する金
属酸化物半導体よりなるガス検知素子を備え、前記通気
孔に前記アルコールを吸着可能な吸着層を備えたガスセ
ンサを、本願の目的を達成するガスセンサとすることと
なる。
【0006】
【作用】つまり、このガスセンサにおいては吸着層が活
性炭成型体を通気孔に配設して構成されるため、上記し
た作業性、活性炭の偏り、移動、微粉化等の問題が発生
することはない。さらに、活性炭粒子間のバインダーと
してフッ素樹脂を採用するため、ガス検知時には時とし
て500℃に達することがあるガス検知素子に対して、
一定距離を離間して載置される活性炭成型体において、
そのバインダー自体が例えば低温炭化など変性を生ずる
ことなしに、長期間性能維持できる。さらに、フッ素樹
脂はPVA、PE、ナイロン等とは異なり疎水性である
ため、このバインダー自体が含水分によりアルコールを
吸着して、活性炭が有効に働かないといった不都合を発
生することもない。
【0007】
【発明の効果】従って、ガスセンサを製造するうえで容
易且つばらつきを極力抑えることが可能で、活性炭の働
きを長期間に亘って有効に維持できるガスセンサを得る
ことができた。ここで、活性炭の粒度が上述の範囲より
大きいと通気量が多く吸着能が劣り、小さいと通気量が
少なく応答速度が遅いが吸着能良くなる。よって、上記
の粒度範囲が通気量、吸着能、応答速度の点で好まし
い。一方、バインダーの粒度が上述の範囲より大きいと
活性炭の表面を覆う面積が大きくなり、吸着能が劣る。
よって、バインダーの粒度としては上述の範囲で細かい
ことが好ましい。さらに通気性、吸着能、応答速度との
関係から、成型体の比重は0.7程度が良い。また、成
型体の強度を維持するうえで活性炭とフッ素樹脂との混
合重量比が2対1〜1対2を越えると、通気性に欠ける
こととなり、これ以下だと、保形性に欠けることとな
る。
【0008】
【実施例】本願の実施例を図面に基づいて説明する。図
1には活性炭成型体70の外形形状が、図2には本願の
ガスセンサ1の分解斜視図(イ)及び組み立て状態の斜
視図(ロ)が示されている。図示するように、このガス
センサ1は円筒形状のハウジング2の内部に金属酸化物
半導体よりなるガス検知素子3を備えた構成のものであ
り、その頂部部位において、ハウジング外部4aと内部
4bとの間でガスが流通可能な通気孔5が備えられてい
る。そして、このハウジング2に対して下部よりガス検
知素子3を備えたセンサ基台6を挿入することによりガ
スセンサ1が組立てられる。ここで、ハウジング2自体
は気密性の材料で構成されており、通気孔5、この通気
孔5の全面に渡って設けられる活性炭層7、防爆用構造
材としての金網8を介してハウジング外部4aとガス検
知素子3の近傍とに渡ってガスが流通する。さらに、前
述の通気孔5とは別に、点検ガス流通孔9が備えられて
いる。この点検ガス流通孔9は、前述の活性炭層7を介
することなく金網8のみを介して、ハウジング外部4a
とガス検知素子3とに渡ってガスが流通可能である。こ
のガスセンサ1は、妨害ガスであるとともに点検ガスと
してのアルコールガスに対して、検知対象ガスとしての
メタンガス等のガス選択性を確保することができる。な
お、活性炭は検知対象ガスであるメタン・水素・一酸化
炭素ガスをほとんど吸着せず、アルコール・ブタンガス
を吸着するものである。
【0009】以下さらに詳細に説明する。前述の様にハ
ウジング2の頂部には通気孔5が備えられ、その上端部
側に吸着層としての活性炭層7が設けられている。さら
に下部側にガス検知素子3と防爆構造材としての金網8
が備えられており、これらはセンサ基台6に取り付けら
れている。ここで、この活性炭層7は、粒度0.30〜
0.90mmの粒子状のヤシガラ破砕状活性炭と粒度
1.0μm以下の粒子状のフッ素樹脂であるPTFEと
を加熱成型一体化した活性炭成型体70を配設して構成
されている。
【0010】以下、活性炭成型体70の要件を箇条書き
する。 活性炭の種類 ヤシガラ破砕状活性炭 活性炭の粒度 0.30〜0.90mm バインダーの種類 PTFE(ポリテトラフルオルエ
チレン)粉末 バインダーの粒度 1.0μm以下 混合比(重量比) 活性炭:バインダー=2:1〜
1:2 加熱温度と時間 340〜430℃ 30〜60分 活性炭のかさ比重 0.4〜0.5g/ml バインダー見掛密度 0.3〜0.4g/ml バインダーの比重 2.1〜2.2 活性炭成型体の比重 0.5〜0.8
【0011】さらに、活性炭成型体70の特性に関し
て、発明者らが行った成型体の性能特性について説明す
る。 成型体に於ける粒度の影響 検討対象の成型体として粒度を三つの範囲に変えてサン
プル成型体A、B、Cを形成した。以下に、各成型体の
サンプル名、粒度、サンプル強度の関係を示す。 サンプル 活性炭粒度 サンプル強度 A 0.8〜2mm 強度が弱い B 0.3〜0.9mm 強度、保形性有り C 0.1〜0.4mm 強度、保形性有り さらにこれらのサンプルにおけるアルコール(エタノー
ル2000ppm)に対する吸着能の実験結果を図3に
示した。図3(イ)は図3(ロ)に示す実験装置におけ
る検知素子出力の経時変化を示している。従って、同図
において、感度曲線が下方に位置するほうがアルコール
の吸収能に優れている。一方、検知対象ガスにあるメタ
ンに対する各サンプルの応答性の検討結果を以下に示
す。 メタンガスの透過性(応答速度) サンプル CH4 3000ppmの90%応答時間 A 31秒 B 49秒 C 82秒
【0012】以上の結果より、活性炭の粒度が大きいと
吸着能が劣るが、通気量が多く、活性炭粒度が小さいと
通気量が少なく吸着能良いが、応答速度が遅いことが判
る。さらに、成型体製造上の諸条件について説明する
と、活性炭粒子間のバインダーとしては、フッ素樹脂と
しのPTFE(ポリテトラフルオルエチレン)を使用す
る。この材料は300℃程度の環境温度に対して強度を
維持して耐熱性を有するものであり、成型体載置部位が
40〜70℃で5年間の長期間の耐熱性が必要な部位で
あることに鑑みると、この材料の場合、充分に低温炭化
等変性の問題の発生を防止できる。さらに、この材料は
疎水性であるため、水を吸着してアルコールを吸着する
ことがなく、活性炭におけるアルコールに対する吸脱着
を正常な状態でおこなうことができる。一方、通常のバ
インダーには、ポリエステル(アルコールとの親和性あ
り不適)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが用いら
れるが、これらの耐熱温度は、100〜200℃である
ため不適切である。さらにこの材料は耐薬品性、熱安定
性を備えている。さて、このバインダーの粒度として
は、1.0μm以下のものを採用しているが、バインダ
ーの粒度がこの値より大きいと活性炭の表面を覆う面積
が大きくなり、吸着能が劣ることとなる。そして、活性
炭とバインダーの混合重量比としては、2:1〜1:2
であり、活性炭の粒と粒を接着するに、この程度の重量
比が必要最少量である。
【0013】さて、このガスセンサが有するさらなる特
徴構成について以下に示す表1を参照しながら説明す
る。表1には、通常のガス検知待機状態(ガスセンサは
清浄空気中にある)と、検知対象ガスであるメタン(C
4)が環境雰囲気中にあるガス検知状態でのガス検知
素子3の温度及び活性炭成型体70の温度とが示されて
いる。ここで、活性炭成型体70の温度は当然ガス検知
素子3の温度、その他センサの構造(例えばガス検知素
子3から活性炭成型体70までの離間距離及び通気量
等)に従うものとなる。一方、活性炭はそれ自体の特性
として、60℃以下の温度域でアルコールを有効に吸着
するとともに、70℃程度以上の温度域で吸着したアル
コールを放出する。さらに、このような用途のガスセン
サでは、警報としてのメタン検知濃度は4000ppm
程度である。
【0014】
【表1】
【0015】さて、表1からも判るように、本願のガス
センサにおいては、メタンを検知しないガス検知待機状
態(表1に清浄空気中と表記)においては、活性炭温度
は40℃程度に維持されて、この状態においては、妨害
ガスとしてのアルコールを吸着して、アルコールがガス
検知素子に近接するのを防止し、誤報の発生を防ぐ。一
方検知対象ガスが近接すると(表1におけるCH440
00ppmの温度状態参照)、このガスを検出して警報
を発するための信号を出力するとともに、活性炭温度
を、活性炭がアルコールを放出する温度である70℃付
近にすることにより、アルコールの放出(活性炭の再活
性化)をおこなうのである。従って、このガスセンサに
おいては、活性炭の自己再生が行われることとなり、長
期に亘って有効にその活性を発揮することができる。さ
て、上記の活性炭載置部位を適切な温度状態に維持する
(ガス検知待機状態においてアルコール吸着温度に活性
炭を維持し、検知対象ガス検知状態のおいてアルコール
放出温度に活性炭を維持する)ためには、上記ようなセ
ンサ構造の検討の他、ガス検知素子の素子径を小径のも
のとして、ガス検知状態における温度を昇温することに
より、活性炭を適度な温度状態に維持するように構成す
ることもできる。
【0016】つぎに、さらなる、ガスセンサの特徴であ
る前述の点検ガス流通孔9の構成について説明する。こ
の流通孔9は特定の通気面積(断面積)と特定の流路長
さとを有し、流量制限能を備えて構成されている。即
ち、この流量制限能を備えることにより、メタンガスに
対するガス検知状態(例えば素子温度500℃程度で、
通気孔を介してガスが流通できる状態)において、この
点検ガス流通孔9を流通するガス(検知対象ガスと妨害
ガスとの総量)の流量が、メタンガスのアルコールガス
に対する選択性を確保できる流量に制限されるように構
成されている。
【0017】ここで、流量制限能を備えることにより得
られる拡散制限効果とは、複数種のガスにおいて、夫々
のガスが有している燃焼速度に差があるため、ハウジン
グ2内へ供給される外気の量が規制されると、ハウジン
グ2内に配設されるガス検知素子3に於けるガス種によ
る感度差(選択性)が得られることを意味する。この原
理を簡単に、検知対象ガスとしてのメタンガスとこれに
対する妨害ガスとしてのアルコールガスの場合を例に採
って説明する。金属酸化物半導体をガス検知素子3とし
て用いる場合、通常、特定の検知温度範囲、センサの構
造条件で作動する。このような温度、構造に保たれたセ
ンサ1内にあるガス検知素子3にガス(複数のガスが混
在するガス)が接触すると、その一部が燃焼(酸化)す
る。そして、この燃焼の度合いはガス種によって異な
る。即ち、メタンガスの場合はアルコールガスと比較す
ると、これが少ない。ここでガス検知素子3の周囲雰囲
気(ハウジング内部4bにあるガス)への外気(ハウジ
ング外部4aのガス)の供給がある一定量以下に制限さ
れると、アルコールガスのように燃焼の速いガスの場合
にはガス検知素子3の周囲雰囲気(ハウジング内部4b
にあるガス)のガス濃度は上昇しない。何故なら、周囲
雰囲気に供給された外気中のガスはガス検知素子3によ
って燃焼され、かつつぎつぎと供給されるガスはその供
給量と釣合って燃焼に消費されるために、ガス検知素子
3の周囲雰囲気は低濃度に維持される。これに対してメ
タンガスのように燃焼速度の遅い、すなわち燃焼されに
くいガスの場合には、例えばハウジング外部4aの濃度
が上昇するとそれに応じてガス検知素子3の周囲雰囲気
へのガスの供給が増大し、これに対して燃焼による消費
は少ないために比較的短時間で周囲雰囲気は高濃度に達
する。従って、ガス種による検知温度、センサ構造起因
の選択性を、ガスの燃焼速度との関係から得ることが可
能であり、これはハウジング外部4aと内部4bとの間
の流通ガス流量によって決定される。このガスセンサに
ついて点検ガス流通孔9の流量制限効果を調べるため図
2の通気孔5を閉塞して実験した結果を定性的に図4に
示した。同図において横軸は点検ガス流通孔9の孔径
を、縦軸はガス種による感度を示している。結果、孔径
を制限するにしたがって、アルコールガスに対するメタ
ンガスの感度が比較的大きくなる孔径(流量域)が存在
していることが判る。即ち、孔径を直径(0.5〜5m
m)に設定する場合は、上述の点検ガス流通孔9が流量
制限能を備えることとなる。この流通流量の調節は、孔
径の設定、流路に沿った孔長さの設定等によっても調節
可能である。
【0018】さらに、このガスセンサを好適に採用した
ガス警報器10の構成について説明する。図5には、こ
のガス警報器10の警報器ボックス11内部構成が示さ
れており、このガス警報器10は台所等の壁面に図面と
上下方向と一致させて配置される。一方、図6はガスセ
ンサ1が配設されるセンサ室12の縦断面を示してい
る。図示するようにガス警報器10の警報器ボックス1
1は、方形の箱型に形成されており、内部が、ガスセン
サ1が配設されるセンサ室12とその他の機器13が配
設される機器室14とに、隔壁15によって仕切られて
いる。そして、前記のセンサ室12においてガスセンサ
1は、図示するように点検ガス流通孔9がセンサ室12
の下部域にくるように配置される。さらに、このセンサ
室12に対して、警報器ボックス11の表側と横部位で
開口するガスの流通窓16が設けられ、前述の点検ガス
流通孔9の位置に対応して、センサ室12の下部域に点
検ガス供給窓17が設けられている。一方、機器室14
には、発声器18、トランス19、電源制御機器20等
が配設される。従って、前述の点検ガス供給窓17から
点検ガスが供給されると、アルコールガスは、比較的比
重が重いためセンサ室12の下部域に滞留し、ガスセン
サ1に設けられている点検ガス流通孔9を介してハウジ
ング2内に流入する。この状態においては、ハウジング
2内のガスの流れは、内部がガス検知素子3により加熱
されているため点検ガス流通孔9がある下方より吸い込
み、上方へ逃げて行くこととなる。即ち、点検ガスはハ
ウジング2内に入り易く、また、活性炭層7が点検ガス
の一部を吸着したとしても、点検ガス流通孔9から吸い
込まれたガスにより外部へ洗い出され、クリーニングさ
れることになり、前述の自己再生構成と相まって、活性
炭層7の吸着能や寿命が長期に保たれる。
【0019】以下、具体例について説明するとともに、
関連するガス選択性能の実験結果について説明する。 ガスセンサの構成 1 金属酸化物半導体のガス検知素子3 型式 金属酸化物半導体式 主成分 SnO2 半導体部 4×1.5×1mm エチルアルコールとの感度比((エチルアルコール60
00ppm)相当濃度) メタンガス 4000ppm ブタンガス 2500ppm 2 ハウジング2 筒外径 21mm 内容積 7.5ml 3 活性炭層付通気孔5 通気孔径 14mm 活性炭層厚 3mm 4 点検ガス流通孔9 通気孔径 1mm 5 金網8 100M、網2枚、0.2〜0.3mm厚
【0020】本願のガスセンサの特性を以下に整理して
示す。 本願のガスセンサ 従来のガスセンサ 点検ガス流通孔 あり なし 点検ガス供給時の応答時間 1sec 8min 点検ガス供給停止からの 回復時間(鳴動停止時間) 5sec 50min 結果、点検動作の点で非常に好ましい結果が得られてい
ることがわかる。
【0021】従って、本願のガスセンサ1によれば、自
然拡散による程度の濃度(7000ppm以下)、流量
であれば、点検ガス流通孔9は検知対象ガスに充分なガ
ス選択性を付与することができるが、点検時には比較的
高濃度(約1%)の点検ガスが噴射圧入されるため、ガ
ス検知素子3の感応部周辺は高濃度となり、容易に鳴動
させることができる。そして、点検ガスが活性炭層7を
殆ど通過しないため、点検後の不都合は起こらない。結
果、通常ガス検知状態、点検時ともに好適に作動できる
ガスセンサを得ることができた。
【0022】〔別実施例〕 以下に本願の別実施例について箇条書きする。 (イ) 上記の実施例においては、金属酸化物半導体式
ガス検知素子を用いたが、これに限定するものではな
く、金属酸化物半導体を用いたガス検知素子であれば、
型式を問わない。また、点検ガス流通孔9に関しては、
メタン、アルコールの各ガス間での選択性を問題とした
が、燃焼速度に差のあるガス間であればいかなるガスに
対しても本願の構成は適応できる。即ち、メタン・水素
・一酸化炭素ガス、さらにこれらの一種以上のガスを混
合した混合ガスにおいても、例えばアルコールガスに対
して選択性を持たせて適応可能である。また、点検ガス
としてブタンを使用する場合も適応できる。 (ロ) さらに上記の実施例においては、ガスセンサが
通気制限能を有する点検ガス通気孔9を備えるものにつ
いて説明したが、活性炭成型体の採用にあたっては、必
ずしもこういった通気孔を備える必要はなく、従来構成
のガスセンサにおいても充分有効に作動しえる。 (ハ) 上記の実施例においては、バインダーとしてP
TFEを採用する例を示したが、フッ素樹脂としては、
ポリテトラフルオルエチレン、ポリモノクロルトリフル
オルエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
ル、テトラフルオルエチレンとヘキサフルオルプロピレ
ンとの共重合物等も採用できる。
【0023】また、特許請求の範囲の項に図面との対照
を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明
は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】活性炭成型体の斜視図
【図2】ガスセンサの分解斜視図及び組立て状態を示す
【図3】活性炭層のアルコール吸着特性を示す図
【図4】各種ガスに関するセンサの感度を示す図
【図5】ガスセンサを内装した警報器の内部構成を示す
【図6】ガスセンサを内装したセンサ室の縦断面図
【符号の説明】
1 ガスセンサ 2 ハウジング 3 ガス検知素子 4a ハウジング外部 4b ハウジング内部 5 通気孔 7 吸着層 70 活性炭成型体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安井 玲 大阪府大阪市淀川区三津屋中2丁目5番 4号 新コスモス電機株式会社内 (72)発明者 中島 誠一 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2 号 大阪瓦斯株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−26137(JP,A) 特開 平4−21512(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/12 C01B 31/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子状の活性炭と粒子状のフッ素樹脂と
    を加熱成型一体化した活性炭成型体であって、前記活性
    炭の粒度が0.3〜0.9mmである活性炭成型体。
  2. 【請求項2】 粒子状の活性炭と粒子状のフッ素樹脂と
    を加熱成型一体化した活性炭成型体であって、前記フッ
    素樹脂の粒度が1.0μm以下である活性炭成型体。
  3. 【請求項3】 粒子状の活性炭と粒子状のフッ素樹脂と
    を加熱成型一体化した活性炭成型体であって、前記活性
    炭と前記フッ素樹脂との混合重量比が2対1〜1対2で
    ある活性炭成型体。
  4. 【請求項4】 粒子状の活性炭と粒子状のフッ素樹脂と
    を加熱成型一体化した活性炭成型体であって、前記活性
    炭成型体の比重が0.5〜0.8である活性炭成型体。
  5. 【請求項5】 前記フッ素樹脂の粒度が1.0μm以下
    である請求項1記載の活性炭成型体。
  6. 【請求項6】 前記活性炭と前記フッ素樹脂との混合重
    量比が2対1〜1対2である請求項1、2又は5記載の
    活性炭成型体。
  7. 【請求項7】 前記活性炭成型体の比重が0.5〜0.
    8である請求項1、2、3、5又は6記載の活性炭成型
  8. 【請求項8】 ハウジング外部(4a)と内部(4b)
    との間でガスが流通可能な通気孔(5)を備えた気密性
    ハウジング(2)内に、検知対象ガス及びアルコールに
    感応する金属酸化物半導体よりなるガス検知素子(3)
    を備え、前記通気孔(5)に前記アルコールを吸着可能
    な吸着層(7)を備えたガスセンサであって、前記請求
    項1〜7のいずれかに記載の活性炭成型体(70)を前
    記吸着層(7)として、前記通気孔(5)に備えたガス
    センサ。
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