JP4518838B2 - 歪センサ、その製造方法および歪検出方法 - Google Patents

歪センサ、その製造方法および歪検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、変形又は損傷状態を検出する歪センサおよび構造体の歪検出方法に関し、特に最大歪の検出に適した歪センサ、その製造方法、歪センシング材料、歪の検出方法および構造体に関する。
近年、鉄道や道路等の社会基盤構造物における急速な劣化が顕在化してきている。コンクリート構造物などの崩落や地震等の災害時において、これら構造体に与えられた損傷を的確に評価することが、より健全な構造物を構築して将来の事故や災害に備えることが重要である。このような状況下、これらの高い安全性が要求される重要構造体における損傷、破壊、劣化を診断するための最大歪を検出できる健全性モニタリング技術が強く求められてきている。
作用した最大歪を材料単体において診断できる知的材料としては、炭素繊維から構成される複合材料が提案されている(特許文献1)。この複合材料は、炭素繊維から構成される長繊維強化プラスチックスにおいて、最大歪に対応して炭素繊維が破断することによりその導電性変化が残留するという現象(残留抵抗現象)を応用している。また、ガラス繊維強化プラスチックスの有機質相樹脂中に導電性の炭素粒子を分散し、その粒子の連続的な接触構造により導電性をもたせた複合材料において、最大歪に対応した導電経路の構造変化によりその導電性変化が残留するという現象を応用する複合材料も提案されている(特許文献2)。さらに、降伏点の小さい金属基材に有機質相樹脂中に導電性の炭素粒子を分散しその粒子の連続的な接触構造により導電性をもたせた材料を複合化して、金属基材の塑性変形により最大歪に対応して導電性変化が残留するという現象を応用した歪センサも提案されている(特許文献3)。
特開平6−50830号公報 特開平9−100356号公報 特開2001−153603号公報
通常、モニタリング対象となる多くの構造体において要求される診断歪領域は、例えば、鉄鋼材料の弾性歪範囲が0.2%以下、コンクリートにおけるひび割れ発生歪が0.1%以下である。これに対し、炭素繊維を用いた複合材料の場合、炭素繊維の破断には約0.5%以上の引張歪を必要とするため、最大歪の記憶機能もそれ以上の歪領域に限定されてしまう。また、有機質相樹脂中に導電性粒子の連続的な接触構造を形成することで残留抵抗現象は認められるが、それだけでは十分な残留抵抗現象を得るのは困難である。さらに、金属基材の塑性変形を利用するものでは、金属基材の塑性変形は引張歪およそ0.2%以上において発現するため、それ以下の歪領域すなわち金属材料の弾性変形領域に対しては最大歪記憶機能の発現は期待できない。加えて、金属基材を用いる場合、モニタリング対象となる構造体に、引張だけでなく圧縮の応力・歪が作用する場合には、この基材の塑性変形量も圧縮変形に追随して変化する可能性があり、最大歪の記憶機能は発現しない可能性もある。
本発明は、必要とされる歪領域において構造体に作用した歪の最大値を計測可能とする歪センサ、その製造方法、歪センシング材料、歪の検出方法および構造体を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、構造体に作用した歪の最大値を精度よく計測可能な歪センサ、その製造方法、歪センシング材料、歪の検出方法および構造体を提供することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、上記課題の少なくとも一部を解決するために、繊維強化複合材料の有機質相樹脂中に連続的な導体相を形成した複合材料において、その導電経路の最大歪に対応した破壊挙動を応用することに着目した。そして、その導体相として導電性粒子を分散させた有機高分子材料に対して加熱処理を施すこと、もしくは導電性粒子を含まない有機高分子材料が導電性を示すまで加熱処理を施すことにより、極めて低い歪領域から導電性前記導体の導電性変化を示すとともに、その導電性変化量が作用する最大歪に応じて残留する現象を発現し、高い抵抗残留率を達成できるという手法を見出した。さらに、この結果、この複合材料が、要望されている歪領域での最大歪の診断を可能とすることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明の一つの形態によれば、歪センサであって、一定の方向性を持って配置される絶縁性繊維と、少なくとも前記絶縁性繊維に沿う、有機高分子材料を熱処理して得られる有機質相と、該有機質相を少なくとも一部に備える導体相と、を備える、歪センサが提供される。この形態において、前記導体相には、多数の導電性粒子の連続的接触構造による導電経路を有していることが好ましい態様である。また、前記導体相には、導電性を有する前記有機質相を有していることが好ましい態様であり、さらに前記導体相は、前記有機質相のみからなることが好ましい。また、前記有機質相には前記有機高分子材料の熱処理による残留応力が作用していることが好ましい態様であり、前記有機質相は前記有機高分子材料を不活性雰囲気下で熱処理して得られることも好ましい態様であり、前記熱処理は、前記有機高分子材料が熱分解する温度以上で行われることも好ましい態様である。
さらに、これらの形態において、表層側に絶縁性被覆層を備えることが好ましい態様であり、前記導電性変化量の少なくとも80%以上が残留保持されることも好ましい態様であり、前記歪センサに作用した最大歪に対応する導電性変化量を保持することも好ましい態様である。こうした形態の歪センサは、シート状体または棒状体であることが好ましい形態である。
また、本発明の他の一つの形態によれば、歪センサの製造方法であって、導電性粒子を含み絶縁性繊維が一定の方向性を持って配置されている有機高分子材料の成型体を熱処理する工程を備え、該熱処理工程では、前記有機高分子材料が熱処理されて得られる有機質相と前記導電性粒子の連続的な接触構造による導電経路とを有する導体相を形成する、製造方法が提供される。また、他の一つの形態によれば、歪センサの製造方法であって、絶縁性繊維が一定の方向性を持って配置されている有機高分子材料の成型体を熱処理する工程を備え、該熱処理工程では前記有機高分子材料が熱処理されて得られる有機質相の一部あるいは全体からなる導体相を形成する、製造方法も提供される。これらの形態においては、前記熱処理は不活性雰囲気下で行うことが好ましい態様である。さらに、本発明の他の一つの形態によれば、これらのいずれかの形態の方法によって得られる、歪センサも提供される。
本発明の他の一つの形態によれば、歪センシング材料であって、一定の方向性を持って配置される絶縁性繊維と、少なくとも前記絶縁性繊維に沿う、有機高分子材料を熱処理して得られる有機質相と、該有機質相を少なくとも一部に備える導体相と、を備える、歪センシング材料がが提供される。
また、本発明の他の一つの形態によれば、歪の検出方法であって、上記いずれかの歪センサが装着された構造体において、前記歪センサにおける導電性を検出する工程、を備える方法が提供される。また、さらに他の一つの形態によれば、上記歪センシング材料が装着された構造体が提供される。
本発明の歪センサは、一定の方向性を持って配置される絶縁性繊維と、有機高分子材料を熱処理して得られる有機質相と、該有機質相を少なくとも一部に有する導体相と、を備えることを特徴とする。この歪センサによれば、有機高分子材料を熱処理して得られる有機質相を有することで、歪が作用することで前記導体相の導電性が変化し、歪が除去された後も歪によって生じた導電性変化量の少なくとも一部がそのまま残留し保持される。また、有機高分子材料を熱処理して得られる有機質相を有することで、前記導体の導電性変化量の残留率が増大し、しかも低い歪領域において導電性変化を発現するものとなっており。このため、この歪センサによれば、必要とされる低い歪領域において歪を検出可能であり、また、高精度に最大歪をモニタリング可能である。なお、本発明を理論的に拘束するものではないが、このような残留率の向上および残留現象が発現する歪域の低下は、有機高分子材料の熱処理によって得られる有機質相には引張残留応力が生じており、前記導体の一部が引張り変形により離れても、もともと残留引張応力が作用しているために一旦離れた連続構造が初期状態に回復することが抑制されることによるものと推論することができる。以下、本発明を実施するための最良の形態として、歪センサについて説明するとともに、その製造方法、歪センサによる歪の検出方法等について詳細に説明する。
図1には、本発明の歪センサに備えられるセンシング材料の構造の一例の概略図を示し、図2には、引張試験に用いた歪センサの一例の概略図を示す。歪センサ2は、センシング材料3と電極20とを備えている。センシング材料3は、絶縁性繊維12と有機高分子材料が熱処理されて得られる有機質相10と導電性粒子4の連続的な接触構造(パーコレーション構造ともいう。)による導電経路6とを有する導体相14を備えている。この導電経路6は、有機質相10によって結合されあるいは保持されてその接触構造を保持している。絶縁性繊維12と導体相14とを備える導電性複合材料たるセンシング材料3が歪センサ2の中核であるセンシング部位を構成している。
(絶縁性繊維)
歪センサ2には、絶縁性繊維12を備えることができる。絶縁繊維12を備えることで、有機質相10を強化することができる。絶縁性繊維としては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維等の1種あるいは2種以上が使用できる。
絶縁性繊維12は、一定の方向性を持って備えられていることが好ましい。一定の方向性を持った絶縁性繊維12に沿って導体相が形成されることで、容易に方向性を持った歪検出が可能となる。また、一定の方向性を持って配置されている絶縁性繊維12に沿って供給して有機高分子材料を熱処理することで、絶縁性繊維12に沿ってこの熱処理に伴う収縮過程における収縮に対する抵抗力を作用させ、絶縁性繊維方向に沿った残留引張応力を有機質相10に作用させることができ、この結果、導電性変化量の発現歪域を低下させることができる。絶縁性繊維12は、導電経路6の形成長さに対応する連続性を備えていることが好ましい。例えば、導電経路6の長さに対応するフィラメント状の繊維束を用いたり、あるいは個々には導電性経路6の長さを有していない複数の繊維が束ねられ、交絡され、あるいは撚られることで所定長さを有するように形成された繊維束を用いたりすることができる。
なお、絶縁性繊維12は、計測しようとする歪方向とおおよそ直交するなど交差するようにすることもできる。こうした配設方向は、主として、有機質相10の強化や形状維持の寄与する。このような絶縁性繊維12の配設形態としては、計測しようとする歪方向に沿う方向およびこれに直交する方向を指向する繊維を組み合わせたクロス材を用いることができる。
(有機質相)
有機質相10は、少なくとも絶縁性繊維12に沿って配置されている。有機質相10は、絶縁性繊維12に沿って備えられている限り、絶縁性繊維12が配置されていない部位においても存在していてもよい。したがって、絶縁性繊維12に沿って有機質相10を備え、絶縁性繊維12に沿わない領域において有機質相10が備えられていても、絶縁性繊維12に沿って有機質相10が備えられているといえる。また、有機質相10は、絶縁性繊維12に沿い導体相14の一部として存在される限り絶縁性繊維12に沿って分散して存在していてもよいし、また、連続相として存在していてもよい。また、有機質相10は、有機高分子材料が熱処理されて得られる相である。有機質相10については、センシング材料3の製造方法において詳述するものとする。
(導体相)
導体相14は、有機質相10を少なくとも一部に備えている。導体相14が、有機質相10を一部に備えるとは、導体相14が有機質相10と有機質相10の成分以外で形成される導電経路6とを有する場合(第1の形態)と、導体相14が有機質相10のみを有する場合(第2の形態)との少なくとも2種類の形態を意味している。有機質相10は、熱処理の程度によって絶縁性を維持させることもできるし、炭素化もしくは黒鉛化を進行させて導電性を付与することができるからである。これらの形態のうち、導電性粒子4の導電経路を備える場合には、高い導電性と歪に対する大きい導電性変化量とを容易に発現させることができ、有機質相10の存在とあいまってより高感度かつ高精度の最大歪の検出が可能になる。第1の形態において、導電経路6を有効に機能させるためには、有機質相10は、導電経路6に比べて該導電経路6よりも十分に抵抗性が高いことが好ましいが、有機質相10自体が導電性を有していてもよく、導体相14を導電性を有する有機質相10と導電性粒子による導電経路6とから形成することもできる。この場合、導体相14は、有機質相10と導電経路6との協働的な導電性を有することになる。第2の形態では、導体相14は、導電性を有する有機質相10のみから構成される。有機質相10が導体相14である場合には、有機質相10は導体相14および高い残留抵抗を発現させる媒体としての有機質相10の双方の機能を兼ね備えるものとなっている。有機質相10は、熱処理条件により多孔質化することもできるため、多様な導電性発現制御が可能である。
第1の形態における導電経路6は、有機質相10とともに存在する多数の導電性粒子の連続的接触構造による導電経路6を備えることができる。導電性粒子4は、有機質相10によって接触構造が形成されているかあるいは有機質相10に分散されて接触構造が形成されていることが好ましい。導電性粒子4は、導電性を有する材料であれば特に限定しないで使用できる。例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭、炭素短繊維、フラーレン、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブ、金属紛、窒化・炭化・酸化チタニウム等の導電性セラミックス粒子等が選択される。導電性粒子4は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
導電性粒子4の形態は特に限定しない。例えば、ストラクチャー(凝集体)状、球状、繊維状、棒状、不定形状、薄片状等各種形状のものを1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、ストラクチャー(凝集体)状の形態を用いることができ、そのストラクチャーを形成する粒子1つ1つの粒子サイズも特に限定しないが、例えば、10nm〜100nmであることが好ましい。より好ましくは、20nm以上60nm以下の粒子から構成されるストラクチャー(凝集体)状の形態を用いることである。さらに、このストラクチャー(凝集)の程度を示す指標であるDBP(Dibutyl Phthalate)吸収量(JIS K6217)は、好ましくは10〜1000cm/100gである。より好ましくは、100〜500cm/100gである。また、球状もしくは薄片状の粒子として、好ましくは1μm〜100μmの球状もしくは薄片状の粒子を用いることができる。このような凝集体は、一般に、カーボンブラック粒子において形成されることが多い。具体的には、串に刺した団子状あるいはブドウ状の形態を採っている。
(被覆層)
センシング材料3には、導電経路6および有機質相10との外周を被覆する絶縁性被覆層16を備えることができる。この絶縁性の被覆層16によれば、導電性複合材料であるセンシング材料3を、適用する構造体もしくはその周辺環境と電気的に絶縁させることにより、安定したセンシング機能の発現を図ることができる。例えば、鉄鋼系構造体への適用においては、導電性の高い鉄鋼材料との絶縁を図ることが必須であり、また、コンクリート中への埋設においては、コンクリート中の水分などの影響により導電性が変化することを防止するために必要となる。
被覆層16は、絶縁性高分子材料で形成されていることが好ましい。かかる材料による被覆層とすれば、絶縁性と同時に耐水性も容易に確保できる。絶縁性高分子材料としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリホマール、ポリブチラール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、上記ポリマー2種以上の共重合体、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂が使用できる。また、この絶縁性の被覆層16には、例えば有機質相8と同様に、ガラス繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維等の絶縁性繊維18を含めることができ、これらの絶縁性繊維18は、有機質相10における絶縁性繊維12に沿って備えられていることが好ましい。
絶縁性被覆層16は、有機質相10と同様、これらの絶縁性高分子材料を熱処理して形成されていてもよい。なお、熱処理されて形成されている場合には、高分子材料の熱分解物、あるいはその縮合物、その重合物などが生成して組成変化が生じているが、有機質相10と同様の高分子材料を用いている場合には、有機質相10と同一組成の層に形成されることになる。絶縁性被覆層16を、こうして熱処理して形成するときには、導電性粒子4を含有しない以外は有機質相10と同様の組成となっていてもよい。なお、熱処理して絶縁性被覆層16を形成する場合には、耐水性を確保するためさらに熱処理していない絶縁性被覆層をその表層側に備えるようにすることが好ましい。
センシング材料3は、導体相14や絶縁性繊維12の形態、さらに被覆層16により各種形態を備えることになる。センシング材料3の形態は、特に限定しない。図1および図2に例示する形態によれば、断面円形状となっているが、断面形状もこれに限定されない。センシング材料3は、例えば、線状、棒状、板状、フィルム(シート)状、チューブ状、あるいはデザインされた二次元あるいは三次元形状をとることができる。
このように絶縁性繊維12と導体相14とは、最大歪のセンシング機能を有する導電性複合材料であるセンシング材料3を構成している。したがって、本発明の別の形態によれば、絶縁性繊維12と導体相14あるいはこれらに加えて被覆層16とを備えるセンシング機能を有する導電性複合材料も提供される。
(センシング材料の製造方法)
次に、センシング材料3の製造方法について説明する。センシング材料3は、導電性粒子を含むあるいは含まない有機高分子材料の成型体であって絶縁性繊維12を一定の方向性を持って配置される成型体を熱処理することによって得られる。ここで有機高分子材料は、熱処理後において有機質相10を構成し、導電性粒子4は、導電経路6を構成する。用いる導電性粒子4については既に述べた通りである。有機高分子材料を構成する有機高分子材料としては、絶縁性有機高分子材料であることが好ましく、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリホマール、ポリブチラール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、上記ポリマー2種以上の共重合体、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂を挙げることができ、これらを1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
導電性粒子4を含むあるいは含まない有機高分子材料の成型体は、通常の樹脂成形体として得ることができる。例えば、引抜き成形法、型枠成形法、ホットプレス法、オートクレーブ法、レジントランスファーモールディング(RTM)法、シートモールディングコンパウンド(SMC)法等の公知の樹脂成形方法を採用することができる。
また、有機高分子材料に絶縁性繊維12を配置するには、例えば、未硬化の有機高分子材料中に導電性粒子4を分散させたスラリーを調製し、かかるスラリーを絶縁性繊維12の繊維束などにディッピング等公知の方法で供給して含浸保持させたうえ、有機高分子材料の種類に応じて条件で硬化させることにより得ることができる。この方法によれば、簡易な構成で前駆体を得ることができ、成形形状など成形自由度が高いという利点がある。また、この方法によれば、絶縁性繊維12に沿って有機高分子材料と導電性粒子4とを付与した前駆体を容易に作製できる。
導体相14における導電性粒子4の配合比率を調整するには、スラリーなどの成型原料における導電性粒子4の濃度で調整することができる。導体相14における導電性粒子4の配合比率を高めるには、未硬化の有機高分子材料中にこの粒子を高濃度分散させる必要があるが、このためには、導電性粒子4による未硬化高分子材料の粘性増加を抑えるために有機系溶剤を用いることができる。その有機系溶剤としては、未硬化高分子材料と相溶性があればよく、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、スチレンモノマー等を選択することができる。一方、有機質相10における導電性粒子4の配合比率が低い場合には、有機系溶剤を使用しなくてもよい。
導体相14において導電性粒子による導電経路6を形成しようとする場合、成型原料における有機高分子材料と導電性粒子4との配合比率は、これらの総量(体積)に対して、導電性粒子4の配合比率が1vol.%以上であることが好ましい。1vol.%未満であると導電性粒子4による連続的な接触構造を得ることが困難となり、残留抵抗現象の発現も期待できないためである。より好ましくは3vol.%以上である。また、絶縁性被覆層16を導体相14とともに有機高分子材料で形成する場合においては、導電性粒子4の配合比率を100vol%まで高めてもよい。この成型原料自体は、有機高分子材料を含まないが、熱処理時には、導電性粒子4は多孔質化し、その熱処理後に設けられる外周の被覆層16の有機高分子材料がその一部もしくは全域に浸透し、結果としてこれらが被覆層16を形成するとともに導電性粒子4の周囲において有機質相10を形成して導電性粒子4の導電経路6を保持することになるからである。なお、上述したように、導電性粒子の配合比率を高くする場合、有機系溶剤の添加が必要となるが、有機系溶剤の添加量をより少なくする観点からは、より好ましくは3vol.%〜60vol.%、さらに好ましくは3vol.%〜30vol.%である。
次に、この成型体を熱処理する。熱処理において有機高分子材料を熱分解させることで、有機質相10を形成し導体相14を形成する。熱処理のための条件は、有機高分子材料の熱分解する温度および時間とすることが好ましい。有機高分子材料が熱分解するとともに、熱分解物が、炭化、グラフト、環化、芳香族化、縮合、重合等することで組成変化が生じ、同時に残留引張応力が生じる。本発明者らによれば、これらの熱処理による変化が導電経路6における残留抵抗現象の低歪領域での発現に寄与するものと推論される。
また、絶縁性繊維12に沿って有機高分子材料と導電性粒子4とを付与した前駆体を熱処理することにより、絶縁性繊維12の方向に沿って有機質相10に引張応力が残留させることができると考えられ、かかる残留引張応力も残留抵抗現象の低歪領域での発現に寄与するものと推論される。
この熱処理において、成型体が導電性粒子4を含む場合には、有機質相10とともに導電性粒子4の連続的接触構造による導電経路6を有する導体相14を形成することができる。一方、成型体が導電性粒子4を含まない場合には、有機質相10の一部あるいは全体からなる導体相14を形成することができる。
熱処理においては、有機質相10の導電性を調整することができる。有機質相10において炭素化もしくは黒鉛化の進行を促進すれば、有機質相10が導体化させることができ、黒鉛化の進行を抑制することで導体化を抑制し絶縁性を維持することができる。既に述べたように、導電性粒子4による導電経路6を有効に機能させるには、有機質相10の抵抗性が高いこと、すなわち、絶縁性であることが好ましい。このための熱処理条件は、使用する有機高分子材料により異なるが、熱処理温度を2000℃以下とすることが好ましく、より好ましくは1000℃以下であり、さらに好ましくは600℃以下である。一方、有機質相10を導体化するには、同様に使用する有機高分子材料によって異なるが、熱処理温度を600℃以上とすることが好ましく、より好ましくは1000℃以上であり、さらに好ましくは2000℃以上である。
熱処理に際しては、酸素が存在する雰囲気でも酸素が排除された不活性雰囲気であってもよいが、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気で熱処理することで、不活性雰囲気であれば、有機高分子材料中の炭素が有機質相10から消失することも抑制でき、安定した組成および形態の有機質相10を得られる。一方、酸素が存在する雰囲気で熱処理することで、一部の炭素を有機質相10から消失させることで有機質相10の組成や形態を変化させて好ましい導電形態を得ることもできる。
なお、センシング材料3に絶縁性被覆層16を備える場合には、センシング材料3の表面に絶縁性被覆層16を形成することができる。絶縁性被覆層16は、既に述べたように絶縁性高分子材料をセンシング材料3表面に供給して、硬化させることによって得ることができる。絶縁性被覆層16の付与に際しては、引抜き成形法、型枠成形法、ホットプレス法、オートクレーブ法、レジントランスファーモールディング(RTM)法、シートモールディングコンパウンド(SMC)法等の成形方法を採用することができるが、前駆体成形時と同様のディッピング法も採用できる。絶縁性被覆層16に絶縁性繊維16を含める場合には、例えば、絶縁繊維16の繊維束あるいはクロス等を高分子材料にディッピングし高分子材料を保持させたあと、これをセンシング材料3の周囲に被覆し、その後加熱硬化させることができる。
なお、熱処理した絶縁性被覆層16を形成する場合には、成型体を形成後にその熱処理前に、成型体の外周に絶縁性被覆層16の高分子材料を供給して硬化させた上、被覆層16を備える成型体を上述のように熱処理することもできる。こうすることで、成型体の有機高分子材料相と被覆層16とを同時に熱処理できる。ただし、この場合、その表層側には耐水性などを確保するよう熱処理してない絶縁性被覆層16を形成することが好ましい。なお、この場合、既に述べたように、成型体が有機高分子材料を含有せずに導電性粒子4のみからなる場合であっても、導電性粒子4の周囲に有機質相10を形成させることができる。
こうした前駆体の熱処理工程によれば、有機高分子材料相が熱処理されて得られる有機質相を含む導体相14を形成することができ、最大歪を検出するセンシング機能を有するセンシング材料3を得ることができる。また、こうしたセンシング材料3が装着された構造体を得ることができる。
(歪センサ)
図2に示すように、センシング材料3に電極20を設置することで歪センサ2を得ることができる。導電性計測のために設置される電極20は、その材質および固定方法について限定されず、例えば、電極材として銅、銀等の金属の線が選択でき、その固定方法としてハンダ付け、導電性ペーストによる固定、圧着端子による固定が可能である。また、導電性複合材料が薄膜状であった場合等は、その電極の設置方法としても金属の蒸着やスパッタリング法等による薄膜形成も採用することができる。ただし、導電性複合材料は、高分子材料を含む場合も想定されるためその耐熱温度以下にて固定可能な方法が好ましい。
歪センサ2は、導体相14に作用した歪の大きさに応じた導電性変化量を生じるとともに、作用した歪によって生じた導電性変化量の少なくとも一部を残留保持可能となっている。このため、歪センサ2は、導体相14が最大歪に対して導電率変化を永久的に残留保持して最大歪の情報をセンサ自身が記憶する機能を有しているといえる。したがって、構造体に作用した最大歪は、設置された歪センサ2自身にその情報が蓄積・記憶され、計測機器を常時このセンサに接続しての連続計測、データ保存および解析を実施する必要性がなくなり、適時、歪センサ2にアクセスして歪センサの導電率等を測定することで、それまでに歪センサ2が受けた最大歪を知ることができる。
歪センサ2においては、有機高分子材料相が熱処理されて得られる有機質相10を含む導体相14を保持するため、導電性変化量の残留率が増大され、この結果、高精度にかつ低歪領域で最大歪を記憶できる。すなわち、歪作用時の導電性変化量に歪除去後の導電性変化量が近い数値であるほど、歪の作用状態に関わらず正確に最大歪を検出することができる。この最大歪の記憶性能を示す指標として、残留率と歪検出下限を定義する。この残留率とは、歪センサ2に最大歪が作用した時点での導電性変化量(ΔRmax)に対する歪除去後において残留した導電性変化量(ΔRres)の割合、ΔRres/ΔRmaxと定義され、この残留率が100%に近いほど記憶精度が高いこととなる。また、歪検出下限とは、この残留抵抗現象を示すために必要な歪の最低限界と定義され、この歪検出下限が低いほど歪に対して高感度ということとなる。歪センサ2においては、導電性変化量の残留率は、60%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。最も好ましくは95%以上である。また、歪センサ2の歪検出下限は、好ましくは0.05%以下の歪領域から歪を検出し記憶することができるものとなっている。この歪検出下限は、より好ましくは0.02%以下である。
歪センサ2は、センシング材料3の形態等に基づいて各種形態を採ることができる。例えば、棒状、板状、フィルム(シート)状、チューブ状、あるいはデザインされた二次元あるいは三次元形状を採ることができる。好ましい形態の一つとして、シート状体を挙げることができる。シート状の歪センサ2とすることで、新設構造物を構築する際に鉄骨構造体やコンクリート構造体の表面に装着できるだけでなく、既設の構造体においてもそれらの表面に装着するだけで、その構造体の最大歪を計測可能となる。なお、構造体への表面装着のためには、接着剤による手法もしくはビス止め等機械的な治具による手法が選択できる。シート状の歪センサ2は、特に、既設構造体への適用において好ましい形態である。
また、歪センサ2の好ましい他の形態としては、棒状体を挙げることができる。棒状体の歪センサ2とすることで、容易に構造体内部に埋設できる。すなわち、新設構造物を構築する際に例えばコンクリート構造体中に埋設できるとともに、絶縁性被覆層16に高弾性・高強度の長繊維強化プラスチックスを用いることにより、構造体の補強機能を兼ね備える歪センサ2を提供できる。
(歪の検出方法)
構造体の歪を検出するには、歪センサ2を計測対象となる構造体に設置する。これにより、当該センサを備える構造体が提供される。対象となる構造体の材質は特に限定されないが、社会基盤構造物ではコンクリート構造体や鉄骨構造体などの鉄鋼系構造体がその一例として挙げられる。また、計測対象たる構造体は、建築物に限らず、歪の計測により安全性や機能を確認できるなどの有用性があるものであれば限定されない。したがって、航空機等の胴体や尾翼を構成する金属材料や複合材料をはじめとして、船舶、車両などの移動体における駆動関連部材、各種工業装置における駆動関連部材についても好ましい計測対象構造体となる。
コンクリート中に埋設する際においては、センシング材料へ予備張力を与えた状態にて構造体へ適用することも可能である。この予備張力は最大歪メモリ機能の向上にも繋がる可能性があるとともに、コンクリート構造体の強度特性の向上に貢献する。コンクリート構造体は圧縮変形には高い強度を有するが引張変形に対する強度が低いという課題がある。一般的に、コンクリート構造体に鉄筋を導入するという手法による引張強度の向上が図られているが、この埋設する鉄筋に予備張力を与えた状態にて埋設し、コンクリートの硬化後にその張力を開放することにより、コンクリートには圧縮応力が作用し、引張変形に対する強度を向上させることができる。
なお、歪センサ2を計測対象に設置する方向としては、導電性複合材料の導電率の計測方向と構造体に作用すると想定される歪方向を一致させることにより、より高感度な計測を可能とすることが期待できる。
歪センサ2の導電率もしくは抵抗率の計測方法については特に限定しないが、二端子法もしくは四端子法を挙げることができる。センシング材料3の抵抗率はその材質や熱処理条件により様々であるが、比較的高抵抗率の場合には二端子法での計測が可能となり、比較的低抵抗率の場合には四端子法での計測が必要とされる場合もある。
歪センサ2を設置した構造体におけるモニタリングの実施形態としては、定期的な計測もしくは必要時に応じた計測が想定される。従来技術としての歪ゲージ等により、最大歪のモニタリングを試みる場合、この歪ゲージを構造体に設置し、さらに計測システム、データ保存装置および電源装置(配線)を常時設置し、連続的にデータを継続し続ける必要があった。これに対して、本最大歪記憶型センサを設置した場合においては、このセンサ自身が最大歪の情報を記憶する機能を有しているため、このセンサ以外に計測システムやデータ保存装置など何も常時設置する必要はなく、定期的もしくは必要時のみに計測機器を携帯する等によるモニタリングが可能である。これにより、電力エネルギーを節約できるだけでなくモニタリングに要するランニングコストを大幅に削減でき、さらには計測機器を常備させておくスペースの制限や設置環境の制限にしばられることなく、汎用性の極めて高い技術を構築できる。
したがって、歪センサ2によれば、定期的もしくは必要に応じてセンサの導電率を計測することのみにより、過去に作用した歪の最大値に関する情報を得ることができる。さらに、この最大歪に対して残留する導電性変化の割合、すなわち、歪作用時の導電性変化に比べて歪除去後に残留した導電性変化の割合が高いため、構造体に応力・歪が作用したままの状況下もしくは応力が除かれて塑性変形による歪が残留した状況下においても最大歪の情報を正確に検出することができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、本発明を具現化した実施例について図1〜図8に基づいて説明する。なお、これらの実施例は、本発明を具体的に説明することを意図するものであって、これらの実施例によって本願発明を限定するものでは決してない。
以下の実施例では、導電性粒子からなる導電経路を有し且つその有機質相を構成する高分子材料を熱処理したセンシング材料を備える歪センサを作製し、この歪センサの引張試験による実証試験を行った。
(1)歪センサの作製および引張試験による性能実証試験
[歪センサの作製]
本実施例で作製した歪センサ2の構造模式図は図2に示したとおりである。
歪センサ2は、全体としてロッド形状であり、炭素粒子の導電経路6および有機質相10および絶縁性被覆層16からなるセンシング材料3に電極20有している。
以下、歪センサ2の作製工程について説明する。まず、液体状の有機高分子成形材料に導電性粒子3を分散させる。この導電性粒子として、粒径50nm、ハイストラクチャーのカーボンブラックを採用し、有機高分子成形材料である熱硬化性エポキシ樹脂中に、攪拌脱泡装置を用いて分散させた。分散させる炭素の体積割合は5、30、60および100vol.%とした。一般的にエポキシ樹脂の粘性は高いため、カーボンブラックのような微細粒子を高濃度分散させることは困難である。そこで、本実施例では、5vol.%以下の場合を除いて、有機系溶剤としてメチルエチルケトンを用いてエポキシ樹脂に添加し、粒子分散による樹脂の粘性増加を抑制した。この有機系溶剤は、加熱硬化過程にて揮発することを前提としている。この導電性粒子を分散させた有機高分子成形材料をガラス繊維中(繊維径:16μm、本数:約2000本)に含浸保持させ、160℃、90分という条件にて硬化させて歪センサ2の前駆体を得た。
さらに、被覆層として、ガラス繊維中(繊維径:16μm、本数:約2000本)に炭素粒子を含まない以外は前駆体を形成したのと同じ液状の熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させ、導電性複合材料の周囲に付着させて加熱硬化(160℃、90分間)させた。なお、炭素粒子の分散割合を100vol.%とした前駆体については、その有機質相が空隙を多く含む炭素から構成されており、この被覆層の形成過程においてその空隙部にエポキシ樹脂成分が浸透しているものと考えられる。
前駆体にさらに樹脂層を被覆した成形体を、脱脂炉中に導入し、窒素雰囲気中にて300℃および500℃の温度下でそれぞれ5時間保持して、熱処理して、導電性粒子濃度と熱処理条件の異なる各種のセンシング材料を作製した。なお、比較例として熱処理を施さない以外はこれら実施例のセンシング材料3と同様に操作したセンシング材料も作製した。
これらの各種センシング材料3に対して、所定の長さ(250mm)に切断後、その両端に電極20を設置して、歪センサ2を得た。この電極には、リード線を導電性ペーストにて固着させる方法を採用した。
本実施例ではこの歪センサ2に対して引張試験を実施するために、図2に示すように、両端部にグリップ部30を設置した。このグリップ部30は鋼製であり中空状の形状を有している。この中に、歪センサ2を導入し、その空隙にセメント系膨張材を流し込み硬化させることによって、その鋼管と複合材料を強固に固定した。
(2)歪センサの引張試験による性能実証試験
作製した実施例および比較例の歪センサに繰返し引張歪を与え、その導電性変化を計測し、最大歪記憶機能について評価した。
[試験方法]
作製した引張試験用の歪センサについて油圧式疲労試験装置により引張試験を実施した。この引張試験システムの模式図を図3に示す。この引張試験ではグリップ部に、圧縮力を作用させることにより歪センサを固定する。歪センサをグリップ固定した後、導電性複合材料からの2つの電極に一定電流を印加し、その電極間における電圧降下を計測することにより、すなわち二端子法によって導電性複合材料の導電率を計測した。また、この引張試験において、最大歪記憶型センサに作用される荷重はロードセルにより、作用する引張歪は伸び計により計測した。なお、本実施例に示す全ての実験結果において、この導電率変化は、初期抵抗値R0により応力作用時の抵抗変化ΔR=R-R0を割った抵抗変化率ΔR/R0として示した。さらに、グリップ部の鋼管内にある複合材料には引張歪は作用せず、そのグリップ間の複合材料のみに引張歪が作用することを前提として、計測された抵抗変化率に補正を加えた。この引張試験では、載荷方法として、ピーク荷重を段階的に増加させた繰返し引張応力を作用させた試験を実施し、作用した引張歪および導電率変化を時間の関数として計測し、引張歪の最大値に対する応答性を評価した。
[試験結果]
炭素粒子の分散割合を5vol.%とした複合材料について、熱処理を施さないもの、300℃および500℃にて熱処理を施したものの3種類を合成し、それらについて繰返し引張試験を実施した。その結果を図4〜図6に示す。これらの各図において、各複合材料に対して作用させた引張歪および計測した抵抗変化率を時間の関数として(a)に示し、さらに、作用させた引張歪と抵抗変化率の関係として(b)に示した。この結果より、熱処理を施さない場合では、引張歪の作用に応じて抵抗変化を示すものの、除荷過程においてその抵抗変化は可逆的に初期値へ戻り、(b)においてほぼ直線的な関係となっている。すなわち、最大歪メモリの機能をもたらす現象は示していない。これに対して、300℃の熱処理を施した場合、負荷除荷後に抵抗変化が残留する残留抵抗現象が発現しており、さらに、熱処理温度を500℃まで増加させることにより、極めて顕著な残留抵抗現象の発現に成功した。これにより、(a)に示す時間の関数においては、与える最大歪の大きさに応じて階段状に抵抗変化が推移し、(b)に示す引張歪との関係においては、増加した抵抗変化率が歪回復の過程においてほぼ水平に推移し、弾性的に歪が回復した時点でも抵抗変化はほぼそのまま残留した。この残留率(除荷後の残留抵抗変化率/負荷時の最高抵抗変化率)を求めると、約94%にまで達していることがわかる。この非常に高い残留率によって、残留変形(歪)の有無に関わらず、作用した最大歪を高精度に記憶・計測することが可能となる。
さらに、図7には、図6(熱処理温度500℃)の結果をもとに低歪領域における応答性を拡大した結果を示す。この結果より、残留抵抗現象は0.02%(200με)以下の極めて低い歪のピーク値に対しても残留抵抗現象を発現できており、その歪の検出感度という観点からもきわめて優れた特性を有していることが明らかとなった。これは、例えば、コンクリートにおけるひび割れの発生歪が数百μεであることから、このひび割れ発生以前の歪履歴をも記憶・診断できる可能性を示す結果として重要である。以上の結果より、導電性粒子の連続経路を含む有機質相を構成する高分子材料について熱処理を施すことにより、顕著な残留抵抗現象を発現できるという効果を見出したし、優れた最大歪メモリ機能を達成できることを明らかとした。
図8には、分散させる導電性粒子の体積割合を5、30、60および100vol.%とした複合材料に対して熱処理を施し、それらの熱処理後の複合材料について繰返し引張試験の結果を示す。各複合材料に対して作用させた引張歪と抵抗変化率の関係として示した。この結果より、各粒子体積割合においてそれぞれ顕著な残留抵抗現象が得られた。ここで着目すべき点としては、それぞれの残留率を比較すると、5vol.%の場合では94%であるのに対して、30vol.%の場合では84%、60vol.%の場合でも84%と若干低減し、100vol.%では91%と若干回復するも、結果として5vol.%の体積割合が最も高いメモリ機能を示したという点である。この5vol.%という体積割合は、溶剤を添加しないで樹脂中に分散できる限界の割合であり、無溶剤系の合成プロセスが適用できるということは、実際の生産工程における特性の安定化を図る上でも重要な結果といえる。なお、導電性粒子の体積割合を3vol.%以下にまで低減させた複合材料合成も試みたが、良好な導電性を得ることができず、引張試験の結果においても安定的な残留抵抗現象は得られなかった。
歪センサの構造模式図である。 引張試験用の歪センサの模式図である。 試験に用いた評価システムの模式図である。 熱処理していないセンサについて実施した試験結果のうち、ピーク荷重を漸増させた繰返し引張試験の結果であり、熱処理の有無および温度の依存性について評価した結果を示す図。 熱処理温度300℃のセンサについて実施した試験結果のうち、ピーク荷重を漸増させた繰返し引張試験の結果であり、熱処理の有無および温度の依存性について評価した結果を示す図。 熱処理温度500℃のセンサについて実施した試験結果のうち、ピーク荷重を漸増させた繰返し引張試験の結果であり、熱処理の有無および温度の依存性について評価した結果を示す図。 図6の500℃の熱処理温度にて熱処理したセンサについて、ピーク荷重を漸増させた繰返し引張試験結果における低歪領域を拡大した結果を示す図。 実施例において実施した試験結果のうち、ピーク荷重を漸増させた繰返し引張試験の結果であり、分散させる導電性粒子の体積割合の依存性について評価した結果を示す図。
符号の説明
2 歪センサ、3 センシング材料、4 導電性粒子、6 導電経路、10 有機質相、12 絶縁性繊維、14 導体相、16 被覆層、18 絶縁性繊維、20 電極、30 グリップ部

Claims (14)

  1. 歪センサであって、
    一定の方向性を持って配置される絶縁性繊維と、
    少なくとも前記絶縁性繊維に沿う、有機高分子材料を熱処理し熱分解して得られる有機質相多数の導電性粒子の連続的接触構造による導電経路とを有している導体相と、
    を備え、最大歪みに応じた導電率変化を保持する、最大歪みセンサ。
  2. 前記導体相は、導電性を有する前記有機質相を有している、請求項1に記載の最大歪センサ。
  3. 前記有機質相は前記有機高分子材料を不活性雰囲気下で熱処理し熱分解して得られる、請求項1又はに記載の最大歪センサ。
  4. 前記熱処理は、前記有機高分子材料が熱分解する温度以上で行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の最大歪センサ。
  5. 表層側に絶縁性被覆層を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の最大歪センサ。
  6. 前記導体相に生じた導電性変化量の少なくとも80%以上が残留保持される、請求項1〜5のいずれかに記載の最大歪センサ。
  7. 前記歪センサに作用した最大歪に対応する導電性変化量を保持する、請求項1〜6のいずれかに記載の最大歪センサ。
  8. シート状体または棒状体である、請求項1〜7のいずれかに記載の最大歪センサ。
  9. 歪センシング材料であって、
    一定の方向性を持って配置される絶縁性繊維と、
    少なくとも前記絶縁性繊維に沿う、有機高分子材料を熱処理し熱分解して得られる有機質相多数の導電性粒子の連続的接触構造による導電経路とを有している導体相と、
    を備える、歪センシング材料。
  10. 最大歪センサの製造方法であって、
    導電性粒子を含み絶縁性繊維が一定の方向性を持って配置されている有機高分子材料の成型体を熱処理して熱分解する工程を備え、
    該熱処理工程では、前記有機高分子材料が熱処理されて得られる有機質相と前記導電性粒子の連続的な接触構造による導電経路とを有する導体相を形成する、製造方法。
  11. 前記熱処理は不活性雰囲気下で行う、請求項10に記載の最大歪センサの製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の方法によって得られる、最大歪センサ。
  13. 最大歪の検出方法であって、
    請求項1〜8のいずれかに記載の最大歪センサが装着された構造体において、前記最大歪センサにおける導電性を検出する工程、を備える、検出方法。
  14. 請求項9に記載の歪センシング材料が装着された構造体。
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