JP3212435U - スライドファスナー - Google Patents

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Abstract

【課題】第1及び第2エレメント列の色彩が豊かで見栄えが良く、外観品質に優れるスライドファスナーを提供する。【解決手段】スライドファスナー1は、左右の第1及び第2エレメント列11a,11b,が、合成樹脂からなるとともに、互いに異なる分光反射率曲線を有する単一の色にそれぞれ染色されている。【選択図】図1

Description

本発明は、左右のエレメント列が互いに異なる色を呈するスライドファスナー、及びそのスライドファスナーの製造方法に関する。
スライドファスナー用ファスナーストリンガーの代表的な例の一つとして、例えば熱可塑性樹脂製のモノフィラメントがコイル状又はジグザグ状に成形され、噛合頭部を有する複数のファスナーエレメントが一続きに連結された連続状のエレメント列を有するファスナーストリンガーが知られている。このようなファスナーストリンガーは、一般的に、連続した複数のファスナーエレメントからなるエレメント列が、織成又は編成されたファスナーテープの一側縁部(エレメント取付部)に縫製糸によって連続的に縫い付けられることによって固定されて形成されている。
また、上述のようなファスナーストリンガーを左右一組で組み合わせて製造されるスライドファスナーでは、例えばそのスライドファスナーが取着されるファスナー被着製品の色彩やデザイン等に応じて、ファスナーストリンガーのエレメント列やファスナーテープを所望の色に着色することがある。
ファスナーストリンガーのエレメント列やファスナーテープを着色する方法として、一般的に、エレメント列をファスナーテープに縫着してファスナーストリンガーを作製し、その得られたファスナーストリンガーを2つ一組にして相互に噛み合わせることによってファスナーチェーンを作製し、その後、そのファスナーチェーンを染色用のビームに巻き付けて、そのファスナーチェーンを巻き付けたビームごと染色釜に収容(浸漬)して染色処理を行う方法が知られている。
また、エレメント列やファスナーテープを着色する他の方法としては、予め所望の色の顔料が練り込まれた合成樹脂材料でモノフィラメントを形成した後、そのモノフィラメントを連続状のエレメント列に成形するとともに、ファスナーテープに別途に染色処理を行うことによって、ファスナーエレメントとファスナーテープとを別々に着色する。その後、得られたファスナーエレメントを、ファスナーテープに縫着することによって、エレメント列とファスナーテープとがそれぞれ所望の色を呈するファスナーストリンガーが製造される。
更に、例えば特開平11−70005号公報(特許文献1)には、左右のエレメント列がそれぞれ長さ方向に沿って多色に着色されて、レインボーカラーのようなカラフルな色彩を呈するスライドファスナー用のファスナーチェーンが記載されている。
この特許文献1に記載されているファスナーチェーンでは、ファスナーエレメントがポリアミド系やポリエステル系などの熱可塑性合成繊維のモノフィラメントから形成されており、このモノフィラメントが所定の長さで一定のサイクルで数種の異色の染料または顔料によって着色されることによって、たとえば赤色、黄色、緑色、青色等のレインボーカラーのようなカラフルな色彩を現出させている。
そして、その多色に着色されたモノフィラメントをコイル状に巻き回すように成形することによって連続状のエレメント列を形成し、その得られたコイル状のエレメント列をファスナーテープのテープ側縁部に縫着することによって、ファスナーストリンガーが製造される。
このように、特許文献1では、左側のエレメント列が多色に着色されるとともに、右側のエレメント列も多色に着色されるため、それまでの過去のスライドファスナーでは知られていなかったカラフルな色彩の美しいエレメント列を備えたスライドファスナーに仕上げることができる。それによって、スライドファスナーを衣服などのファスナー被着製品に取着したときに、ファスナー被着製品の開口部又は開閉部に複数の色による模様を鮮やかに現出させることが可能となる。
特開平11−70005号公報
近年、各種物品、特に衣類、鞄類、及び靴類などの日用品においては、これに取り付けられるスライドファスナーもデザインの一つの要素として扱われるようになってきており、スライドファスナーを含めた製品全体の外観品質を高めることが求められている。例えば、スライドファスナーについては、ファスナー被着製品の用途やデザイン等に応じて、エレメント列とファスナーテープとをそれぞれ所望の色に着色することや、左右のエレメント列をそれぞれ所望の色に着色すること等が求められることがある。
しかしながら、エレメント列やファスナーテープを着色する際に、例えば前述したように、ファスナーエレメントをファスナーテープに縫着してファスナーチェーンを作製した後に、そのファスナーチェーンを染色用のビームに巻き付けて浸漬による染色処理を行う場合、基本的に左右のエレメント列と左右のファスナーテープとが全て同じ色の染料を用いて染色される。このため、左右のエレメント列間で着色する色を異ならせることや、エレメント列とファスナーテープとの間で着色する色を異ならせることが難しいという問題があった。
なお、左右のエレメント列間で着色する色を異ならせるために、例えばファスナーチェーンの状態ではなく、左右のエレメント列を噛み合わせる前の左右のファスナーストリンガーがそれぞれ独立している状態で、各ファスナーストリンガーを別々の染色用のビームにそれぞれ巻き付けて、左右のファスナーストリンガーに別々の浸漬による染色処理を行うことが考えられる。このように左右の各ファスナーストリンガーを所望の色に別々に染色した後に、その着色された左右のファスナーストリンガーを組み合わせてスライドファスナーを製造することによって、左右のエレメント列間で異なる色を有するスライドファスナーを得ることが可能となる。
しかしながら、このように左右の各ファスナーストリンガーを別々の染色用のビームに巻き付けて染色処理を行う場合、染色処理工程中に、エレメント列におけるファスナーエレメントの位置がずれてテープ長さ方向に隣接する噛合頭部間の間隔にバラつきが生じるおそれがある。そのため、例えば左右のファスナーストリンガーを噛み合わせたファスナーチェーンの状態で染色用のビームに巻き付けて染色処理を行う場合に比べて、スライドファスナーを製造したときに左右のエレメント列の噛み合わせが悪くなること、スライダーの摺動性が低下すること、ファスナーチェーンが湾曲し易くなること等の不具合を生じさせる虞があった。
一方、例えばモノフィラメントを形成する際に合成樹脂材料に顔料を練り込むことによってエレメント列を所望の色に着色する場合、左右のエレメント列の色を容易に異ならせることが可能となる。しかしながら、モノフィラメントの合成樹脂材料に顔料を練り込んでコイル状のファスナーエレメントを作製する場合には、それぞれの色についてモノフィラメントを紡糸する必要があるため、少量生産を行うことが難しく、1つの色のエレメント列を形成する場合に、顔料により着色された50〜100kg単位の大量のモノフィラメントを形成してからファスナーエレメントに成形しなければならない。
しかし、近年では、ユーザーのニーズの多様化や個性化が進んでおり、このようなニーズに応えるためには、製品を多品種少量生産することや、ニーズや流行等に対して迅速に対応することが求められている。それに対して、合成樹脂材料に顔料を練り込むことによりエレメント列を着色する方法は、上述のように大量生産が前提となるため、近年のニーズに柔軟に対応することが難しく、却って製造コストの増大を招いたり、ニーズや流行等に対して対応が遅れたりするという問題があった。更に、合成樹脂材料に顔料を練り込むことによりエレメント列を着色する場合、着色されるエレメント列を透明に形成することができないという問題もあった。
またその他に、特許文献1には、前述したように、モノフィラメントが所定の長さで一定のサイクルで数種の異色の染料または顔料によって着色されることによって、左右のエレメント列がそれぞれ長さ方向に沿ってカラフルな色彩を呈するファスナーチェーンが記載されている。
しかし、この特許文献1には、モノフィラメントを着色する具体的な方法が詳しく説明されておらず、また実際にモノフィラメントを染料または顔料によって数種の色で着色するためには、浸漬による染色処理方法では極めて難しく、例えば顔料系インク又は染料系インクによるインクジェット方式等の専用の着色装置を用いて着色処理を行わなければならない。このため、製造コストの増大、また、スライドファスナーの生産効率の低下などを招く虞があった。
また、ユーザーの好みや流行によっては、左右のエレメント列がカラフルな色彩ではなく、互いに異なる単一の色(単色)に着色されたスライドファスナーが求められることもあるため、そのような単色に着色されたエレメント列を有するスライドファスナーを、より安価に且つ迅速に提供できることが望まれている。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、製造コストの増大やスライドファスナーの生産効率の低下を招くことを防いで、左右のエレメント列が互いに異なる単一の色を呈するとともに、左右のエレメント列の良好な噛み合わせやスライダーの良好な摺動性が安定して確保されるスライドファスナーを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるスライドファスナーは、基本的な構成として、第1ファスナーテープ及び第2ファスナーテープの対向するテープ側縁部に、第1エレメント列及び第2エレメント列がそれぞれ形成された一対のファスナーストリンガーを有するスライドファスナーであって、前記第1エレメント列及び第2エレメント列は、合成樹脂からなるとともに、それぞれ単一の色に染色されてなり、前記第1エレメント列と前記第2エレメント列とは、互いに異なる分光反射率曲線を有してなることを最も主要な特徴とするものである。
本発明に係るスライドファスナーにおいて、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列は、主成分が同じ材質の合成樹脂からなることが好ましい。
また、前記第1エレメント列は、前記第1ファスナーテープに対して異なる分光反射率曲線を有するとともに、前記第2エレメント列は、前記第2ファスナーテープに対して異なる分光反射率曲線を有することが好ましい。
更に、本発明のスライドファスナーにおいて、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列は、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなることが好ましい。
また、前記第1エレメント列は、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなり、前記第2エレメント列は、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなるものでも良く、又は、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列は、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなるものでも良い。
次に、本発明に係るスライドファスナーの製造方法は、第1ファスナーテープ及び第2ファスナーテープの対向するテープ側縁部に、第1エレメント列及び第2エレメント列がそれぞれ形成された一対のファスナーストリンガーを有するスライドファスナーの製造方法であって、合成樹脂製の第1モノフィラメントを、単一の色に染色すること、合成樹脂製の第2モノフィラメントを、前記第1モノフィラメントとは分光反射率曲線が異なる単一の色に染色すること、前記第1モノフィラメント及び前記第2モノフィラメントをそれぞれ前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列に成形すること、及び、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列を、前記第1ファスナーテープ及び前記第2ファスナーテープの前記テープ側縁部に縫製糸によりそれぞれ縫着すること、を含んでなることを最も主要な特徴とするものである。
また、本発明に係る別のスライドファスナーの製造方法は、第1ファスナーテープ及び第2ファスナーテープの対向するテープ側縁部に、第1エレメント列及び第2エレメント列がそれぞれ形成された一対のファスナーストリンガーを有するスライドファスナーの製造方法であって、合成樹脂製の第1モノフィラメントを、前記第1エレメント列に成形し、同第1エレメント列を単一の色に染色すること、合成樹脂製の第2モノフィラメントを、前記第2エレメント列に成形し、同第2エレメント列を、前記第1エレメント列とは分光反射率曲線が異なる単一の色に染色すること、及び、染色した前記第1エレメント列及び第2エレメント列を、前記第1ファスナーテープ及び第2ファスナーテープの前記テープ側縁部に縫製糸によりそれぞれ縫着すること、を含んでなることを最も主要な特徴とするものである。
上述のような本発明におけるスライドファスナーの製造方法は、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列の材質を、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートにすること、及び、前記第1モノフィラメント又は前記第1エレメント列と、前記第2モノフィラメント又は前記第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することを含むことが好ましい。
また、本発明におけるスライドファスナーの製造方法は、前記第1エレメント列の材質を、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートにすること、前記第2エレメント列の材質を、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートにすること、及び、前記第1モノフィラメント又は前記第1エレメント列と、前記第2モノフィラメント又は前記第2エレメント列とを、互いに同じ染色液により染色することを含んでいても良い。
更に、本発明におけるスライドファスナーの製造方法は、前記第1エレメント列の材質を、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートにすること、前記第2エレメント列の材質を、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートにすること、及び、前記第1モノフィラメント又は前記第1エレメント列と、前記第2モノフィラメント又は前記第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することを含んでいても良い。
更にまた、本発明におけるスライドファスナーの製造方法は、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列の材質を、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートにすること、及び、前記第1モノフィラメント又は前記第1エレメント列と、前記第2モノフィラメント又は前記第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することを含んでいても良い。
本発明のスライドファスナーでは、合成樹脂製のモノフィラメント又はエレメント列(特に、ファスナーエレメント)に対し、浸漬等による染色処理を直接行うことにより、例えばインクジェット方式等の専用の着色装置を用いることなく、左側のエレメント列と右側のエレメント列とが、単一の別々の色に着色されているとともに、互いに異なる分光反射率曲線を有する。
このような本発明のスライドファスナーであれば、製造コストの大幅な増大やスライドファスナーの生産効率の大幅な低下を招くことなく、第1及び第2エレメント列が互いに分光反射率曲線の異なる色を安定して表出することができる。また、エレメント列がファスナーテープに縫着により固定された後に、得られた左右の第1及び第2ファスナーストリンガーに別々に染色処理が施されることもないため、染色処理によるファスナーエレメントの位置ずれに起因して、第1及び第2エレメント列間の噛み合わせが悪くなること、スライダーの摺動性が低下すること、ファスナーチェーンが湾曲し易くなること等の不具合が生じることもない。
更に、このような本発明のスライドファスナーは、例えば前述したようなモノフィラメントの合成樹脂材料に顔料を練り込んでファスナーエレメントを形成する場合とは異なり、モノフィラメントを形成した後に所望の色に染色を行うことができるため、少量生産することが可能となる。このため、本発明は、例えばファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応でき、また、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することも可能となる。
なお、本発明において、分光反射率曲線が異なる色を呈するとは、ファスナーエレメントのある特定の部分(例えばファスナーエレメントの脚部における噛合頭部と連結部との中間部分)を分光光度計で測定することにより得られる分光反射率曲線の波形が、第1エレメント列と第2エレメント列とで互いに異なることを言う。またこの場合、ファスナーエレメントに成形する直前の第1モノフィラメント(第1エレメント列を形成するモノフィラメント)と第2モノフィラメント(第2エレメント列を形成するモノフィラメント)とを分光光度計で測定したときには、第1モノフィラメントの分光反射率曲線と、第2モノフィラメントの分光反射率曲線とは、当然に互いに異なるものとなる。
このような本発明のスライドファスナーにおいて、第1エレメント列と第2エレメント列とは、互いに主成分が同じ材質の合成樹脂により形成されている。これにより、第1及び第2エレメント列の性質や質感等を合わせることができ、また、スライドファスナーの噛合強度やスライダーの摺動性などの品質を安定して確保できる。なお、本発明において、第1エレメント列と第2エレメント列とは、互いに主成分が異なる材質の合成樹脂により形成されていても良い。
また、本発明のスライドファスナーでは、第1エレメント列が、第1ファスナーテープに対して分光反射率曲線が異なる色を備えることができる。また、第2エレメント列は、第2ファスナーテープに対して分光反射率曲線が異なる色を備えることができる。これにより、従来では生産することが難しかったスライドファスナーや、よりユーザーのニーズに対応したスライドファスナー等を市場に容易に提供することが可能となる。
本発明のスライドファスナーにおいて、第1エレメント列及び第2エレメント列は、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメントから形成されている。このように酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレート製のモノフィラメントを用いて第1エレメント列と第2エレメント列とが成形されることにより、例えば前述したようなモノフィラメントの合成樹脂材料に顔料を練り込む場合にはできなかった透明で色の付いたエレメント列を有することが可能となる。それにより、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを増やすことができる。
また、本発明のスライドファスナーでは、第1エレメント列が、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメントから形成され、第2エレメント列が、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメントから形成されていても良い。
0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートでモノフィラメントが形成されることにより、モノフィラメント自体の色を白くすることができる。そして、その白く形成されたモノフィラメントに染色処理が行われることにより、モノフィラメントに着色された色をより鮮やかに見せることができる。
その上、第1エレメント列が、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートで形成されることにより、透明で色の付いたエレメント列となり、一方、第2エレメント列が、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成されることにより、着色された色を鮮やかに表出させることができる。このため、第1エレメント列の色と第2エレメント列の色との違いが、相対的にはっきりと表れやすくなる。また、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを更に増やすことができるとともに、従来では製造できなかった新規のスライドファスナーを市場に提供することが可能となる。
更に、本発明のスライドファスナーでは、第1エレメント列及び第2エレメント列が、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメントから形成されていても良い。これにより、第1エレメント列と第2エレメント列とが互いに異なる色でより鮮やかに染色されているスライドファスナーを市場に提供することが可能となる。
次に、本発明に係るスライドファスナーの製造方法では、先ず、合成樹脂製の第1モノフィラメントを単一の色に染色し、また、その第1モノフィラメントとは別途に、合成樹脂製の第2モノフィラメントを、第1モノフィラメントとは分光反射率曲線が異なる単一の色に染色する。これにより、互いに異なる色を呈する第1モノフィラメントと第2モノフィラメントとを容易に得ることができる。
続いて、得られた第1モノフィラメントと第2モノフィラメントとを、それぞれコイル状又はジグザグ状に成形することによって、複数のファスナーエレメントが一続きに連結され、相互に異なる色を呈する第1エレメント列と第2エレメント列とを形成する。
なお、例えばモノフィラメントを浸漬による染色処理で着色し、その後、その着色したモノフィラメントを成形することによって連続状のファスナーエレメントを形成すると、モノフィラメントの塑性変形時に、フィラメント表面が局部的に延ばされることによって着色した色が薄くなること又は消えることや、部分的に変色すること等が生じ、エレメント列の外観品質を却って低下させることがあった。
しかし、本発明では、モノフィラメントの染色条件や成形条件等を精査して適切な条件を見出したことにより、染色したモノフィラメントをファスナーエレメントに成形しても、着色された色が落ちたり、薄くなったりすることを防いで、所望の色を全体に安定して備えるエレメント列を形成することが可能となった。
次に、本発明の製造方法では、形成された第1及び第2エレメント列を、第1及び第2ファスナーテープのテープ側縁部に縫製糸によりそれぞれ縫着することによって、一対のファスナーストリンガーを形成する。その後、得られた一対のファスナーストリンガーを組み合わせて、スライダー等を取り付けることによってスライドファスナーが製造される。
以上のような製造方法を用いることにより、第1エレメント列と第2エレメント列とが、互いに分光反射率曲線が異なる単一の色にそれぞれ染色されているスライドファスナーを、製造コストの大幅な増大を招くことなく、安定して製造することができる。また、このような製造方法であれば、左右のエレメント列の噛み合わせが悪くなること、スライダーの摺動性が低下すること、ファスナーチェーンが湾曲し易くなること等の不具合を防止できる。更に、ファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応できるとともに、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することも可能となる。
また、本発明に係る別のスライドファスナーの製造方法では、先ず、合成樹脂製の第1モノフィラメントを第1エレメント列に成形し、その第1エレメント列を単一の色に染色する。また、その第1エレメント列とは別途に、合成樹脂製の第2モノフィラメントを第2エレメント列に成形し、その第2エレメント列を、第1エレメント列とは分光反射率曲線が異なる単一の色に染色する。これにより、互いに異なる色を呈する第1エレメント列と第2エレメント列とを容易に形成することができる。
次に、形成された第1及び第2エレメント列を、第1及び第2ファスナーテープのテープ側縁部に縫製糸によりそれぞれ縫着することによって、一対のファスナーストリンガーを形成する。その後、得られた一対のファスナーストリンガーを組み合わせて、スライダー等を取り付けることによってスライドファスナーが製造される。
以上のような製造方法を用いることによっても、第1エレメント列と第2エレメント列とが、互いに分光反射率曲線が異なる単一の色にそれぞれ染色されているスライドファスナーを、製造コストの大幅な増大を招くことなく、安定して製造することができる。
またこの場合、エレメント列を成形した後、そのエレメント列をファスナーテープに取着する前に染色処理を行うため、染色処理に起因して、左右のエレメント列の噛み合わせが悪くなること、スライダーの摺動性が低下すること、ファスナーチェーンが湾曲し易くなること等の不具合が生じることを防止できる。更に、ファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応できるとともに、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することも可能となる。
上述のような本発明の製造方法では、第1エレメント列及び第2エレメント列を、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートで形成するとともに、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することが可能である。これにより、透明で色の付いた第1及び第2エレメント列を有するスライドファスナーを安定して製造することができ、また、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを増やすことができる。
また、本発明の製造方法では、第1エレメント列を酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートで形成し、第2エレメント列を0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成するとともに、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、互いに同じ染色液により染色することが可能である。
これにより、第1エレメント列を透明で色の付いたエレメント列に形成できる。また、第2エレメント列を0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成することにより、染色処理で着色される色を第1エレメント列よりも鮮やかに見せることができる。
このため、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とが、互いに同じ染色液により染色されても、第1エレメント列の色と第2エレメント列の色との違いを、相対的にはっきりさせることができるため、色が明確に異なる第1及び第2エレメント列を有するスライドファスナーを安定して製造することができる。またこれにより、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを更に増やすことができるとともに、従来では製造できなかった新規のスライドファスナーを市場に提供することが可能となる。
なお、本発明において、同じ染色液により染色することには、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、同じ染色容器に同時に又は順番に浸漬して染色処理を行う場合と、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、同じ染色液が入れられた異なる染色容器にそれぞれ浸漬して染色処理を行う場合とが含まれる。
更に、本発明の製造方法では、第1エレメント列を酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートで形成し、第2エレメント列を0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成するとともに、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することが可能である。
これにより、色がより明確に異なる第1及び第2エレメント列を有するスライドファスナーを安定して製造することができる。また、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを更に増やすことができるとともに、従来では製造できなかった新規のスライドファスナーを市場に提供することが可能となる。
更にまた、本発明の製造方法では、第1エレメント列及び第2エレメント列を、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成するとともに、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することが可能である。これにより、より鮮やかな色に染色された第1及び第2エレメント列を有するスライドファスナーを安定して製造することができ、また、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを増やすことができる。
本発明の実施例1に係るスライドファスナーを示す平面図である。 同スライドファスナーにおける第1ファスナーストリンガーの一部を拡大して示す拡大平面図である。 同スライドファスナーにて左右の第1及び第2エレメント列が噛合している状態を拡大して示す拡大平面図である。 実施例1の変形例に係るスライドファスナーの一部を拡大して示す拡大図である。 モノフィラメントからエレメント列を成形し、そのエレメント列に芯紐を挿通させた状態を説明する説明図である。 本発明の実施例2に係るスライドファスナーにおける第1及び第2ファスナーストリンガーの要部を拡大して示す要部拡大図である。 本発明の実施例3に係るスライドファスナーにおける第1及び第2ファスナーストリンガーの要部を拡大して示す要部拡大図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
図1は、本実施例1に係るスライドファスナーを示す平面図である。図2は、同スライドファスナーにおける第1ファスナーストリンガーの一部を拡大して示す拡大平面図であり、図3は、同スライドファスナーにて左右のエレメント列が噛合している状態を拡大して示す拡大平面図である。なお、図3では、左右のエレメント列の噛合状態を判り易く表すために、ファスナーテープの図示を省略している。
以下の説明において、前後方向とは、ファスナーテープ及びファスナーストリンガーの長さ方向を言い、スライダーが摺動する摺動方向と同じ方向である。特に、スライダーがスライドファスナーのエレメント列を噛合させるように摺動する方向を前方とし、エレメント列を分離させるように摺動する方向を後方とする。
また、左右方向とは、ファスナーテープのテープ幅方向を言い、ファスナーテープのテープ面に平行で、且つ、テープ長さ方向に直交する方向である。更に、上下方向とは、ファスナーテープのテープ面に直交するテープ表裏方向を言い、特に、コイル状のエレメント列を有するスライドファスナーの場合、ファスナーテープに対してエレメント列が取着されている側の方向を上方とし、その反対側の方向を下方とする。
本実施例1のスライドファスナー1は、左右一対のファスナーストリンガー10(左側の第1ファスナーストリンガー10a及び右側の第2ファスナーストリンガー10b)と、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの前端部にエレメント列11(左側の第1エレメント列11a及び右側の第2エレメント列11b)に隣接して配される止具(第1止具)5と、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの後端部にエレメント列11に隣接して配される開離嵌挿具6と、エレメント列11に沿って摺動可能に配されるスライダー30とを有する。
なお、本実施例1のスライドファスナー1は、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10b(特に第1及び第2エレメント列11a,11b)に主な特徴を有するものであり、止具5、開離嵌挿具6、及びスライダー30については、従来の一般的なスライドファスナーと実質的に同様のものが用いられている。
例えば、本実施例1の止具5は、第1及び第2ファスナーテープ12a,12bの前端部にテープ表面とテープ裏面とに跨がって、エレメント列11に連続するように取着されており、スライダー30がエレメント列11の前端側から脱落することを防いでいる。
本実施例1の開離嵌挿具6は、左側の第1ファスナーストリンガー10aの後端部に配された蝶棒6aと、右側の第2ファスナーストリンガー10bの後端部に配された箱棒6bと、箱棒6bの後端部に一体成形された箱体6cとを有しており、右挿し用の開離嵌挿具6として構成されている。
なお、本発明では、例えば蝶棒6aと箱棒6b及び箱体6cとの位置関係を本実施例1とは左右方向に反対にして、左挿し用の開離嵌挿具6を形成することも可能である。また、開離嵌挿具6の代わりに、スライダー30がエレメント列11の後端側から脱落することを防ぐ第2止具を、左右の第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bに跨るように取着することも可能である。
本実施例1のスライダー30は、スライダー胴体31と、一端部に取付軸部を備える引手32とを有しており、引手32は、スライダー胴体31に取付軸部を中心に回動可能に保持されている。スライダー胴体31は、上翼板31a及び下翼板と、上翼板31a及び下翼板の前端部間を連結する案内柱と、上翼板31aの左右側縁部に垂設された上フランジ部と、上翼板31aの上面に設けられた引手取付柱31bと有する。
スライダー胴体31の前端には、案内柱を間に挟んで左右の肩口が形成され、スライダー胴体31の後端には後口が形成されている。また、上翼板31a及び下翼板間には、左右の肩口と後口とを連通する略Y字形状のエレメント案内路が形成されている。更に、スライダー胴体31の左右側部に配された上フランジ部と下翼板との間には、ファスナーテープ12を挿通させることが可能なテープ挿通間隙が形成されている。
本実施例1における左側の第1ファスナーストリンガー10a及び右側の第2ファスナーストリンガー10bは、それぞれ、ファスナーテープ12(左側の第1ファスナーテープ12a又は右側の第2ファスナーテープ12b)と、ファスナーテープ12の対向するテープ側縁部に沿って配されるエレメント列11(左側の第1エレメント列11a又は右側の第2エレメント列11b)とを有しており、左側の第1エレメント列11aは第1の色(例えば青色)を備え、右側の第1エレメント列11aは、第1の色と異なる第2の色(例えば水色)を備えている。
なお、本実施例1のスライドファスナー1では、平面視において、左側に配されるファスナーストリンガー10、ファスナーテープ12、エレメント列11、及びそのエレメント列11を形成するモノフィラメント13を、それぞれ第1ファスナーストリンガー10a、第1ファスナーテープ12a、第1エレメント列11a、及び第1モノフィラメント13aと称する。また、右側に配されるファスナーストリンガー10、ファスナーテープ12、エレメント列11、及びそのエレメント列11を形成するモノフィラメント13を、それぞれ第2ファスナーストリンガー10b、第2ファスナーテープ12b、第2エレメント列11b、及び第2モノフィラメント13bと称する。
本実施例1における左右の第1及び第2ファスナーテープ12a,12bは、上述した第1及び第2の色とは異なる所望の第3の色(例えば黄色)に染色された合成繊維を用いて細幅の帯状に織成されている。また、第1及び第2ファスナーテープ12a,12bは、衣服や鞄などのファスナー被着製品に縫い付けられる部分となるテープ主体部と、テープ主体部の一側縁側に配され、エレメント列11が取着されるテープ側縁部(エレメント取付部と呼ぶこともある)とをそれぞれ有する。
なお、本実施例1における第1及び第2ファスナーテープ12a,12bは、両方とも染色処理によって染色された第3の色を備えているが、本発明において、ファスナーテープ12が呈する色彩は特に限定されるものではない。例えば図4に示すように、左側の第1ファスナーテープ12aと、右側の第2ファスナーテープ12bとが、互いに異なる色を備えていても良い。この場合も、左側の第1ファスナーテープ12aの色は、第1エレメント列11aの第1の色と異なり、右側の第2ファスナーテープ12bの色は、第2エレメント列11bの第2の色と異なる。更に、第1及び第2ファスナーテープ12a,12bのテープ表面又はテープ裏面に、所望の模様を任意に付与することも可能である。
また、本実施例1における第1及び第2ファスナーテープ12a,12bは、織組織により形成されているが、本発明においてファスナーテープ12の形態は限定されるものではなく、例えばファスナーテープ12を形成する経糸及び緯糸の材質や太さは任意に設定することができ、また、ファスナーテープ12を編組織により形成することも可能である。
左右の第1及び第2エレメント列11a,11bは、それぞれ、複数のファスナーエレメント15がコイル状に一続きに連結されて形成されており、各ファスナーエレメント15の後述する上脚部15b及び下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、縫製糸14(左側の第1縫製糸14a又は右側の第2縫製糸14b)の二重環縫いにより第1及び第2ファスナーテープ12a,12bのテープ側縁部にそれぞれ縫着されている。なお、本発明では、芯紐16を用いずに第1及び第2エレメント列11a,11bを第1及び第2ファスナーテープ12a,12bにそれぞれ縫着することも可能である。
各ファスナーエレメント15は、噛合頭部15aと、噛合頭部15aからテープ幅方向に延出する上脚部15b及び下脚部と、上脚部15b又は下脚部から延出し、ファスナー長さ方向に隣接するファスナーエレメント15に連結される連結部15cとを有する。なお本発明において、ファスナーエレメント15における噛合頭部15aから延出する上下両脚部のうち、下脚部とは、ファスナーテープ12が直接接する側の脚部を言い、上脚部15bとは、ファスナーテープ12から離間して配される側の脚部を言う。
ファスナーエレメント15の噛合頭部15aは、上脚部15bと下脚部とに跨るように上下方向に形成されるとともに、上下方向の中間部分に前後方向に膨出する部分を備える。上脚部15bは、噛合頭部15aからファスナー幅方向に延出しており、芯紐16の上側に配されている。下脚部は、噛合頭部15aからファスナー幅方向に上脚部15bと略平行に延出しており、芯紐16とファスナーテープ12との間に配されている。
連結部15cは、各ファスナーエレメント15の上脚部15bと、当該ファスナーエレメント15の前側に隣接するファスナーエレメント15の下脚部とを連結している(言い換えると、各ファスナーエレメント15の下脚部と、当該ファスナーエレメント15の後側に隣接するファスナーエレメント15の上脚部15bとを連結している)。
本実施例1において、左側の第1エレメント列11aは、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなる透明の第1モノフィラメント13aを、左側の第1ファスナーテープ12aの第3の色と異なる第1の色(例えば青色)の単一色に染色し、更に、その染色した第1モノフィラメント13aをコイル形状に成形することによって形成されている。
また、右側の第2エレメント列11bは、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなる透明の第2モノフィラメント13bを、右側の第2ファスナーテープ12bの第3の色と異なるとともに、左側の第1エレメント列11aの第1の色と異なる第2の色(例えば水色)の単一色に染色し、更に、その染色した第2モノフィラメント13bをコイル形状に成形することによって形成されている。
このように左側の第1エレメント列11aが備える第1の色と、右側の第2エレメント列11bが備える第2の色とを相違させること、更には、第1エレメント列11aが備える第1の色と第1ファスナーテープ12aが備える第3の色とを相違させるとともに、第2エレメント列11bが備える第2の色と第2ファスナーテープ12bが備える第3の色とを相違させることにより、スライドファスナー1の色彩が鮮やかになり、スライドファスナー1の外観品質、また、そのスライドファスナー1がファスナー被着製品に取着されて製造される最終製品の外観品質を効果的に高めることができる。
ここで、第1の色〜第3の色が互いに異なるとは、第1及び第2エレメント列11a,11b(又は第1及び第2モノフィラメント13a,13b)とファスナーテープ12とを分光光度計で測定することにより得られる各分光反射率曲線の波形が互いに相違することを言う。
特に、第1エレメント列11aと第2エレメント列11bの分光反射率曲線を分光光度計で測定する場合、ファスナーエレメント15の上脚部15bにおける噛合頭部15aと連結部15cとの中間部分というように、ファスナーエレメント15のある特定の部分での分光反射率曲線を測定し、その特定の部分で測定された分光反射率曲線同士を比較することによって、第1エレメント列11aの色と第2エレメント列11bの色との同異を判断する。
なお、例えば第1エレメント列11aと第2エレメント列11bとが本実施例1のように透明なモノフィラメント13から形成されている場合には、分光光度計で分光反射率曲線を測定する際に、その透明なエレメント列11(又はモノフィラメント13)を透過した光が、そのエレメント列11(又はモノフィラメント13)の裏側にある背景で反射することによって、分光反射率曲線の波形が影響を受ける場合がある。
このため、第1エレメント列11aと第2エレメント列11bの少なくとも一方が透明である場合に第1エレメント列11aと第2エレメント列11bの色の同異を判断する際には、例えば2種類の背景を用意して、それぞれの背景について分光光度計による第1及び第2エレメント列11a,11b(又は第1及び第2モノフィラメント13a,13b)の分光反射率曲線を測定し、いずれか一方の背景において、第1エレメント列11aと第2エレメント列11b(又は第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント13b)の分光反射率曲線が互いに異なれば、第1エレメント列11aの色と第2エレメント列11bの色とは互いに異なることとする。
また、本実施例1において、第1エレメント列11aの第1の色、第2エレメント列11bの第2の色、及びファスナーテープ12の第3の色間で同じ色か異なる色かを判断する場合、測定された分光反射率曲線から各部位のRGB値を導出し、得られた各色のRGB値を比較することによって、第1の色〜第3の色の同異(特に、第1の色と第2の色の同異)を容易に判断することができる。
この場合、第1の色〜第3の色における各RGB値は、ファスナーテープ12と第1及び第2エレメント列11a,11bとをデジタルカメラで撮影し、その撮影された画像から第1〜第3の各色におけるRGB値を解析することも可能である。この場合、撮影された画像から解析される各部位のRGB値が異なれば、分光光度計で各部位から測定される分光反射率曲線も当然に異なるものとなる。
特に、撮影された画像から解析される第1エレメント列11aのRGB値と第2エレメント列11bのRGB値とを比較する場合、分光光度計による測定と同様に、ファスナーエレメント15の上脚部15bにおける噛合頭部15aと連結部15cとの中間部分というように、ファスナーエレメント15のある特定の部分でのRGB値をそれぞれ求めて比較することが好ましい。またこの場合、減色処理した第1〜第3の各色におけるRGB値を比較して、色の同異を判断しても良い。
更に本実施例1における左右の第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bでは、それぞれのエレメント列11をファスナーテープ12に縫い付ける縫製糸14(左側の第1縫製糸14a及び右側の第2縫製糸14b)が不透明に形成されているとともに、第1エレメント列11aの第1の色、第2エレメント列11bの第2の色、及びファスナーテープ12の第3の色とは異なる第4の色(例えば黒色)を呈している。なお、本発明では、エレメント列11を縫着する縫製糸14を、透明に形成することや、染色処理等で着色せずに用いることも可能である。
また、本実施例1の左右の芯紐16は染色されていないが、本発明では芯紐16を任意の色に着色することもでき、例えば芯紐16の色を上述した第1の色〜第4の色のいずれかと同じ色に染色しても良く、或いは、第1の色〜第4の色のいずれとも異なる色に染色しても良い。
次に、上述した本実施例1のスライドファスナー1を製造する方法について説明する。
先ず、溶融紡糸法によって、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレート製の第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント13bとをそれぞれ所定の長さで製造する。また、第1及び第2モノフィラメント13a,13bとは別に、第3の色に染色された合成繊維を用いて、左右の第1及び第2ファスナーテープ12a,12bを織成する。
次に、製造された第1モノフィラメント13aを染色用のビームに巻き付けて、その第1モノフィラメント13aに、所定の染色条件で染色処理を行う。この第1モノフィラメント13aの染色処理では、第1モノフィラメント13aを、それを巻き付けたビームごと、所定の染色液が入れられた染色容器に浸漬し、第1モノフィラメント13aの全体を単一の第1の色に染色する。
また、製造された第2モノフィラメント13bに対しても、第1モノフィラメント13aの染色処理とは別途に、染色用のビームに巻き付けて所定の染色条件で染色処理を行う。この第2モノフィラメント13bの染色処理では、第2モノフィラメント13bを、それを巻き付けたビームごと、第1モノフィラメント13aの染色液とは異なる所定の染色液が入れられた染色容器に浸漬し、第2モノフィラメント13bの全体を単一の第2の色に染色する。
続いて、第1の色に均一に染色された第1モノフィラメント13aをエレメント成形装置に供給し、第1エレメント列11aを形成するエレメント成形工程を、所定の成形条件で行う。このエレメント成形工程では、第1モノフィラメント13aに所定の間隔で局部的に押圧するスタンピング成形等を行って噛合頭部15aを成形するとともに、第1モノフィラメント13aをコイル状に成形することによって第1エレメント列11aを形成する。
このエレメント成形工程を行うことによって、染色処理によって着色された第1の色が落ちたり、薄くなったりすることなく、第1の色で均一に着色された第1エレメント列11aを安定して形成することができる。また、第2モノフィラメント13bについても、第1モノフィラメント13aと同様のエレメント成形工程を所定の成形条件で行って、第2の色で均一に着色された第2エレメント列11bを形成する。
なお本実施例1では、上述したように、第1及び第2モノフィラメント13a,13bを染色処理にて染色した後に、その染色された第1及び第2モノフィラメント13a,13bにエレメント成形工程を行うことによって、それぞれが所定の色に着色され、互いに異なる分光反射率曲線を有する第1及び第2エレメント列11a,11bを形成している。
しかし本発明では、第1及び第2モノフィラメント13a,13bに染色処理を行う前に、第1及び第2モノフィラメント13a,13bにエレメント成形工程を行って第1及び第2エレメント列11a,11bを形成し、その形成された第1及び第2エレメント列11a,11bを、それぞれ染色液が入れられた染色容器に浸漬して第1及び第2エレメント列11a,11bを染色することによって、それぞれが所定の色に着色された第1及び第2エレメント列11a,11bを形成するおとも可能である。
続いて、本実施例1では、上述のように染色された第1及び第2エレメント列11a,11bを形成した後、例えば図5に示したように、得られた第1エレメント列11a及び第2エレメント列11bの上脚部15b及び下脚部間に芯紐16をそれぞれ挿通させるとともに、第1エレメント列11aと第2エレメント列11bとを相互に噛み合わせる。更に、芯紐16が挿通された第1エレメント列11a及び第2エレメント列11bを、互いに噛み合わせた状態のまま、第1ファスナーテープ12aのテープ側縁部及び第2ファスナーテープ12bのテープ側縁部に縫製糸14の二重環縫いによってそれぞれ縫着する。
これによって、左側の第1ファスナーストリンガー10aと右側の第2ファスナーストリンガー10bとが製造される(この場合、第1エレメント列11aと第2エレメント列11bとが噛み合わされた状態のファスナーチェーンが製造される)。
その後、得られた第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの第1及び第2エレメント列11a,11bにスライダー30を取り付けるとともに、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bに止具5と開離嵌挿具6を形成することによって、図1に示した本実施例1のスライドファスナー1が製造される。
以上のように製造された本実施例1のスライドファスナー1では、左側の第1エレメント列11aと右側の第2エレメント列11bとが、同じポリエチレンテレフタレートからなるとともに、互いに異なる単一の色を均一に備えて、異なる分光反射率曲線を有している。
この場合、染色処理により第1及び第2エレメント列11a,11bに着色された色が、スライドファスナーの製造時に落ちたり、薄くなったりすることも防止でき、また、左右の第1及び第2エレメント列11a,11bの噛み合わせが悪くなること、スライダー30の摺動性が低下すること、ファスナーチェーンがテープ幅方向に湾曲し易くなること等の不具合が生じることもない。
更に本実施例1のスライドファスナー1では、左右の第1及び第2エレメント列11a,11bが、着色された透明なモノフィラメント13から形成されているため、それぞれのエレメント列11a,11bが、互いに異なる色を帯びているとともに、キラキラとした輝きを有するように見える。その上、左右の第1及び第2エレメント列11a,11bの色が異なるだけでなく、左側の第1エレメント列11aの色が左側の第1ファスナーテープ12aの色とは異なるとともに、右側の第2エレメント列11bの色が右側の第2ファスナーテープ12bの色とは異なる。このため、本実施例1のスライドファスナー1は、色彩が豊かに見えて見栄えが良く、外観品質に優れている。
特に本実施例1では、左右の第1及び第2エレメント列11a,11bがインクジェット方式で着色されているのではなく、比較的簡単な染色液への浸漬による染色処理で着色されているため、外観品質に優れたスライドファスナー1を低コストで効率的に製造することができる。
しかも、上述のように左右の第1及び第2エレメント列11a,11bの色が異なる本実施例1のスライドファスナー1は、例えば従来のようなモノフィラメントの合成樹脂材料に顔料を練り込んでファスナーエレメントを形成する場合とは異なり、少量生産することが可能であるため、例えばファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応でき、また、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することができる。
図6は、本実施例2のスライドファスナーにおける第1及び第2ファスナーストリンガーの要部を拡大して示す要部拡大図である。
本実施例2のスライドファスナー2では、前述の実施例1のスライドファスナー1に対し、右側の第2エレメント列21bと、その第2エレメント列21bを右側の第2ファスナーテープ12bに縫着する第2縫製糸24bとが異なるものの、それ以外の部材や部位については、前述の実施例1のスライドファスナー1と実質的に同様に形成されている。従って、本実施例2においては、前述の実施例1に係るスライドファスナー1と実質的に同じ構成を有する部材及び部位については同じ符号を用いて表すことによって、その詳細な説明を省略することとする。
本実施例2における左側の第1ファスナーストリンガー10aでは、前述の実施例1における左側の第1ファスナーストリンガー10aと同様に、第1ファスナーテープ12aのテープ側縁部に第1エレメント列11aが上下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、第1縫製糸14aの二重環縫いにより縫着されている。
一方、本実施例2における右側の第2ファスナーストリンガー20bでは、第2ファスナーテープ12bのテープ側縁部に、前述の実施例1における第2エレメント列11bとは異なる外観を呈する第2エレメント列21bが、上脚部15b及び下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、第2縫製糸24bの二重環縫いにより縫着されている。
本実施例2の第2エレメント列21bは、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第2モノフィラメント23bを、左側の第1エレメント列11aの第1の色と異なるとともに、第2ファスナーテープ12bの第3の色と異なる第2の色(例えば水色)の一色に染色し、更に、その染色した第2モノフィラメント23bをコイル形状に成形することによって形成されている。
本実施例2の第2モノフィラメント23bに含まれる酸化チタンの含有量を0.3wt%以上にすることにより、第2モノフィラメント23bを不透明にするとともに、第2モノフィラメント23b自体の色をきれいな白色にすることができる。
このように紡糸される第2モノフィラメント23bを白色に形成することにより、当該第2モノフィラメント23bを染色処理により第2の色に染色したときに、例えば前述の実施例1のように透明な第2モノフィラメント13bを染色する場合に比べて、その着色された第2の色を白色の上でより鮮やかに見せることができる。この場合、第2モノフィラメント23bに含まれる酸化チタンの含有量は、第2エレメント列21bの強度を適切に確保するために、1.0wt%以下に設定されることが好ましい。
なお、従来においても、例えばファスナーチェーンを染色用のビームに巻き付けてファスナーテープとエレメント列とをファスナーチェーンの状態で染色処理を行う場合に、当該エレメント列を形成するポリエステルに、酸化チタンを0.1wt%未満の極微量の含有量で含ませることがあった。
このように極微量の酸化チタンをポリエステルに含有させることにより、モノフィラメント自体が薄い白色(言い換えると、白く濁った状態)に形成できるため、染色されたエレメント列の色彩の発色を少し良くすることができる。しかし、従来の染色処理では、ファスナーチェーンの状態(言い換えると、モノフィラメントがコイル状に成形されて折れ曲がったエレメント列の状態)で染色されるため、染色されたエレメント列に色斑が生じることがあった。
従って、従来において、モノフィラメントにおける酸化チタンの含有量を0.1wt%以上に大きくしてしまうと、モノフィラメントをより白く形成して色彩の発色をより鮮やかにすることが可能となるものの、色斑が生じたときに、モノフィラメント自体の白色が外部から認識され易くなり、その結果、染色時の色斑も判別し易くなって、スライドファスナーの外観品質を却って低下させることもあった。このため、従来のファスナーチェーンを染色する染色処理では、発色を鮮やかにすることを目的として、モノフィラメントにおける酸化チタンの含有量を0.1wt%以上に設定することはなかった。
これに対して、本実施例2では、第2モノフィラメント23bを、コイル状の第2エレメント列21bに成形する前の折り曲げられていない線状の状態で染色用のビームに巻き付けて、第2モノフィラメント23bの染色処理が行われるため、染色された第2モノフィラメント23bに色斑を生じ難くすることができる。
従って、第2モノフィラメント23bにおける酸化チタンの含有量を0.3wt%以上にして、きれいな白色に形成された第2モノフィラメント23bに染色処理を行っても、色斑に起因する第2モノフィラメント23b自体の白色が外部から認識されることを防止でき、染色された第2モノフィラメント23bの色彩をより鮮やかに表出させることができる。
更に本実施例2においては、左側の第1エレメント列11aを第1ファスナーテープ12aに縫い付ける第1縫製糸14aが、第1エレメント列11aの第1の色、第2エレメント列21bの第2の色、及びファスナーテープ12の第3の色とは異なる第4の色を呈する。また、右側の第2エレメント列21bを第2ファスナーテープ12bに縫い付ける第2縫製糸24bが、上述した第1の色〜第4の色とは異なる第5の色を呈する。これにより、本実施例2のスライドファスナー2をより鮮やかに見せることができる。
このような本実施例2のスライドファスナー2を製造する場合、先ず、溶融紡糸法によって、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレート製の第1モノフィラメント13aと、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第2モノフィラメント23bとをそれぞれ所定の長さで製造する。
次に、第1モノフィラメント13aを、実施例1の場合と同様にして、単一の第1の色に染色する。また、第2モノフィラメント23bを染色用のビームに巻き付け、第1モノフィラメント13aの染色液とは異なる所定の染色液が入れられた染色容器に、第2モノフィラメント23bをビームごと浸漬することによって、第2モノフィラメント23bを単一の第2の色に染色する。
続いて、染色された第1及び第2モノフィラメント13a,23bにエレメント成形工程を行うことによって、第1及び第2の色でそれぞれ着色され、互いに異なる分光反射率曲線を有する第1及び第2エレメント列11a,21bを形成する。その後、得られた第1及び第2エレメント列11a,21bを、互いに噛み合わせた状態で、前述の実施例1の場合と同様に、第1及び第2ファスナーテープ12a,12bのテープ側縁部に、縫製糸14の二重環縫いによってそれぞれ縫着する。
これによって、左側の第1ファスナーストリンガー10aと右側の第2ファスナーストリンガー20bとが製造される。その後、得られた第1及び第2ファスナーストリンガー10a,20bに、スライダーを取り付けるとともに止具と開離嵌挿具を形成することによって、本実施例2のスライドファスナー2が製造される。
以上のような本実施例2のスライドファスナー2では、左側の第1エレメント列11aと右側の第2エレメント列21bとが、主成分が同じポリエチレンテレフタレートからなるとともに、モノフィラメント13の染色処理により着色された互いに異なる単一の色彩を均一に備えている。
この場合、染色処理により第1及び第2エレメント列11a,21bに着色された色が、スライドファスナーの製造時に落ちたり、薄くなったりすることも防止でき、また、左右の第1及び第2エレメント列11a,21bの噛み合わせが悪くなること、スライダー30の摺動性が低下すること、ファスナーチェーンがテープ幅方向に湾曲し易くなること等の不具合が生じることもない。
更に本実施例2のスライドファスナー2では、左側の第1エレメント列11aが、透明なモノフィラメント13を染色することによってキラキラとした輝きを有するように着色され、一方、右側の第2エレメント列21bが、白色の第2モノフィラメント23bを染色することによって色彩が鮮やかに生えるように着色されている。このため、左右の第1及び第2エレメント列11a,21bの相乗効果により、第1及び第2エレメント列11a,21bの見栄えの違いをよりはっきりと表すことができ、従来では見たことのない新たな外観品質を得ることができる。
また、本実施例2のスライドファスナー2では、前述の実施例1のスライドファスナー1と同様に、染色液への浸漬による染色処理で着色されているため、外観品質に優れたスライドファスナー2を低コストで効率的に製造することができ、また、少量生産が可能であるため、例えばファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応でき、また、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することができる。
なお、この実施例2では、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,20bの製造において、第1及び第2モノフィラメント13a,23bを染色する際に、互いに異なる染色液を用いることによって、互いに異なる分光反射率曲線を有する第1及び第2エレメント列11a,21bを形成している。
しかし、実施例2の第1モノフィラメント13aは、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレート製で透明に形成されており、一方、第2モノフィラメント23bは、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレート製で白色に形成されている。
従って、これらの第1及び第2モノフィラメント13a,23bに染色処理を行うときに、上述したように第1及び第2モノフィラメント13a,23bに、それそれ異なる染色液を用いるのではなく、同一の染色液を用いて染色することによっても、互いに異なる分光反射率曲線を有する第1及び第2エレメント列11a,21bを形成することが可能である。
この場合、第1及び第2モノフィラメント13a,23bの染色処理では、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを同じ又は別の染色用のビームに巻き付け、単一の染色液が入れられた染色容器に、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bを同時にビームごと浸漬することによって、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを同一の染色液で染色でき、それによって、互いに見栄えが異なる第1及び第2エレメント列11a,21bが得られる。
また、例えば第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとがそれぞれ別々の染色用のビームに巻き付けられる場合には、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを、単一の染色液が入れられた染色容器に、順番に浸漬することによって、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを染色することも可能である。
更に、第1及び第2モノフィラメント13a,23bを同じ染色液を用いて染色する場合、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとがそれぞれ別々の染色用のビームに巻き付けるとともに、全く同一の染色液が入れられた別々の染色容器を用意して、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを異なる染色容器にそれぞれ浸漬することによって染色処理を行うことも可能である。
図7は、本実施例3のスライドファスナーにおける第1及び第2ファスナーストリンガーの要部を拡大して示す要部拡大図である。
本実施例3のスライドファスナー3では、前述の実施例2のスライドファスナー2に対し、左側の第1エレメント列21aと、その第1エレメント列21aを左側のファスナーテープ12に縫着する第1縫製糸24aとが異なるものの、それ以外の部材や部位については、前述の実施例2のスライドファスナー2と実質的に同様に形成されている。従って、本実施例3においては、前述の実施例1及び2に係るスライドファスナー1,2と実質的に同じ構成を有する部材及び部位については同じ符号を用いて表すことによって、その詳細な説明を省略することとする。
本実施例3における右側の第2ファスナーストリンガー20bでは、前述の実施例2における右側の第2ファスナーストリンガー20bと同様に、第2ファスナーテープ12bのテープ側縁部に、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第2モノフィラメント23bから形成された第2エレメント列21bが、上脚部15b及び下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、第2縫製糸24bの二重環縫いにより縫着されている。
また、本実施例3における左側の第1ファスナーストリンガー20aは、前述の実施例1及び2の第1ファスナーストリンガー10aと異なり、第1ファスナーテープ12aのテープ側縁部に、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第1モノフィラメント23aから形成された第1エレメント列21aが、上脚部15b及び下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、第1縫製糸24aの二重環縫いにより縫着されている。
この本実施例3の第1エレメント列21aは、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第1モノフィラメント23aを、右側の第2エレメント列21bの第2の色と異なるとともに、第1ファスナーテープ12aの第3の色と異なる第1の色(例えば青色)の一色に染色し、更に、その染色した第1モノフィラメント23aをコイル形状に成形することによって形成されている。この場合、第1モノフィラメント23aに含まれる酸化チタンの含有量は、第2モノフィラメント23bと同様に、第1エレメント列21aの強度を適切に確保するために、1.0wt%以下に設定されることが好ましい。
更に本実施例3では、左側の第1エレメント列21aを第1ファスナーテープ12aに縫い付ける第1縫製糸24aが、第1エレメント列21aの第1の色、第2エレメント列21bの第2の色、ファスナーテープ12の第3の色、及び、第2縫製糸24bの第5の色とは異なる第6の色を呈している。
このような本実施例3のスライドファスナー3を製造する場合、溶融紡糸法によって、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第1及び第2モノフィラメント23a,23bを製造する。
次に、第1及び第2モノフィラメント23a,23bを、実施例1の場合と同様に、別々の染色用のビームにそれぞれ巻き付けるとともに、互いに異なる所定の染色液が入れられた別々の染色容器を用意して、第1モノフィラメント23aと第2モノフィラメント23bとを異なる染色容器にそれぞれ浸漬することによって、第1及び第2モノフィラメント23a,23bの染色処理を行う。
続いて、染色された第1及び第2モノフィラメント23a,23bにエレメント成形工程を行うことによって第1及び第2エレメント列21a,21bを形成し、その後、得られた第1及び第2エレメント列21a,21bを第1及び第2ファスナーテープ12a,12bのテープ側縁部に縫着することによって、第1及び第2ファスナーストリンガー20a,20bを製造する。更に、得られた第1及び第2ファスナーストリンガー20a,20bに、スライダーを取り付けるとともに止具と開離嵌挿具を形成することによって、本実施例3のスライドファスナー3が製造される。
以上のような本実施例3のスライドファスナー3では、左側の第1エレメント列21aと右側の第2エレメント列21bとが、同じポリエチレンテレフタレートからなるとともに、白色の第1及び第2モノフィラメント23a,23bを染色処理することにより着色された互いに異なる単一の色彩を均一に備えている。従って、本実施例3のスライドファスナー3は、第1及び第2エレメント列21a,21bの異なる色彩をそれぞれ鮮やかに見せることができるため、色彩が豊かで見栄えが良く、外観品質に優れている。
また、本実施例3のスライドファスナー3では、前述の実施例1及び2の場合と同様に、染色液への浸漬による染色処理で着色されているため、外観品質に優れたスライドファスナー3を低コストで効率的に製造することができ、また、少量生産が可能であるため、例えばファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応でき、また、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することができる。
なお、前述した実施例1〜実施例3において、スライドファスナーの左右のエレメント列は、モノフィラメントをコイル状に成形することによって形成されているが、本発明はこれに限定されず、エレメント列が、モノフィラメントをジグザグ状に成形することによって形成されていても良い。
また、本発明におけるエレメント列は、ファスナーエレメントが射出成形によってファスナーテープのテープ側縁部に所定の形状で取り付けられることによって、ファスナーテープと一体的に形成されていても良い。この場合、射出成形される各ファスナーエレメントは、そのエレメント列においてテープ長さ方向に隣合うファスナーエレメントから分離して形成される独立したファスナーエレメントとなる。
更に、本発明におけるエレメント列は、ファスナーエレメントが、例えば紐状の連結部材に射出成形によって所定の形状で取り付けられることによって形成されていても良い。この場合、複数のファスナーエレメントとそれらを連結する紐状の連結部材とを有するエレメント列は、染色処理が施された後にファスナーテープのテープ側縁部に縫製糸で縫い付けられることによって、ファスナーストリンガーが形成される。
1,2,3 スライドファスナー
5 止具(第1止具)
6 開離嵌挿具
6a 蝶棒
6b 箱棒
6c 箱体
10 ファスナーストリンガー
10a 第1ファスナーストリンガー
10b 第2ファスナーストリンガー
11 エレメント列
11a 第1エレメント列
11b 第2エレメント列
12 ファスナーテープ
12a 第1ファスナーテープ
12b 第2ファスナーテープ
13 モノフィラメント
13a 第1モノフィラメント
13b 第2モノフィラメント
14 縫製糸
14a 第1縫製糸
14b 第2縫製糸
15 ファスナーエレメント
15a 噛合頭部
15b 上脚部
15c 連結部
16 芯紐
20a 第1ファスナーストリンガー
20b 第2ファスナーストリンガー
21a 第1エレメント列
21b 第2エレメント列
23a 第1モノフィラメント
23b 第2モノフィラメント
24a 第1縫製糸
24b 第2縫製糸
30 スライダー
31 スライダー胴体
31a 上翼板
31b 引手取付柱
32 引手
考案は、左右のエレメント列が互いに異なる色を呈するスライドファスナー関する。
スライドファスナー用ファスナーストリンガーの代表的な例の一つとして、例えば熱可塑性樹脂製のモノフィラメントがコイル状又はジグザグ状に成形され、噛合頭部を有する複数のファスナーエレメントが一続きに連結された連続状のエレメント列を有するファスナーストリンガーが知られている。このようなファスナーストリンガーは、一般的に、連続した複数のファスナーエレメントからなるエレメント列が、織成又は編成されたファスナーテープの一側縁部(エレメント取付部)に縫製糸によって連続的に縫い付けられることによって固定されて形成されている。
また、上述のようなファスナーストリンガーを左右一組で組み合わせて製造されるスライドファスナーでは、例えばそのスライドファスナーが取着されるファスナー被着製品の色彩やデザイン等に応じて、ファスナーストリンガーのエレメント列やファスナーテープを所望の色に着色することがある。
ファスナーストリンガーのエレメント列やファスナーテープを着色する方法として、一般的に、エレメント列をファスナーテープに縫着してファスナーストリンガーを作製し、その得られたファスナーストリンガーを2つ一組にして相互に噛み合わせることによってファスナーチェーンを作製し、その後、そのファスナーチェーンを染色用のビームに巻き付けて、そのファスナーチェーンを巻き付けたビームごと染色釜に収容(浸漬)して染色処理を行う方法が知られている。
また、エレメント列やファスナーテープを着色する他の方法としては、予め所望の色の顔料が練り込まれた合成樹脂材料でモノフィラメントを形成した後、そのモノフィラメントを連続状のエレメント列に成形するとともに、ファスナーテープに別途に染色処理を行うことによって、ファスナーエレメントとファスナーテープとを別々に着色する。その後、得られたファスナーエレメントを、ファスナーテープに縫着することによって、エレメント列とファスナーテープとがそれぞれ所望の色を呈するファスナーストリンガーが製造される。
更に、例えば特開平11−70005号公報(特許文献1)には、左右のエレメント列がそれぞれ長さ方向に沿って多色に着色されて、レインボーカラーのようなカラフルな色彩を呈するスライドファスナー用のファスナーチェーンが記載されている。
この特許文献1に記載されているファスナーチェーンでは、ファスナーエレメントがポリアミド系やポリエステル系などの熱可塑性合成繊維のモノフィラメントから形成されており、このモノフィラメントが所定の長さで一定のサイクルで数種の異色の染料または顔料によって着色されることによって、たとえば赤色、黄色、緑色、青色等のレインボーカラーのようなカラフルな色彩を現出させている。
そして、その多色に着色されたモノフィラメントをコイル状に巻き回すように成形することによって連続状のエレメント列を形成し、その得られたコイル状のエレメント列をファスナーテープのテープ側縁部に縫着することによって、ファスナーストリンガーが製造される。
このように、特許文献1では、左側のエレメント列が多色に着色されるとともに、右側のエレメント列も多色に着色されるため、それまでの過去のスライドファスナーでは知られていなかったカラフルな色彩の美しいエレメント列を備えたスライドファスナーに仕上げることができる。それによって、スライドファスナーを衣服などのファスナー被着製品に取着したときに、ファスナー被着製品の開口部又は開閉部に複数の色による模様を鮮やかに現出させることが可能となる。
特開平11−70005号公報
近年、各種物品、特に衣類、鞄類、及び靴類などの日用品においては、これに取り付けられるスライドファスナーもデザインの一つの要素として扱われるようになってきており、スライドファスナーを含めた製品全体の外観品質を高めることが求められている。例えば、スライドファスナーについては、ファスナー被着製品の用途やデザイン等に応じて、エレメント列とファスナーテープとをそれぞれ所望の色に着色することや、左右のエレメント列をそれぞれ所望の色に着色すること等が求められることがある。
しかしながら、エレメント列やファスナーテープを着色する際に、例えば前述したように、ファスナーエレメントをファスナーテープに縫着してファスナーチェーンを作製した後に、そのファスナーチェーンを染色用のビームに巻き付けて浸漬による染色処理を行う場合、基本的に左右のエレメント列と左右のファスナーテープとが全て同じ色の染料を用いて染色される。このため、左右のエレメント列間で着色する色を異ならせることや、エレメント列とファスナーテープとの間で着色する色を異ならせることが難しいという問題があった。
なお、左右のエレメント列間で着色する色を異ならせるために、例えばファスナーチェーンの状態ではなく、左右のエレメント列を噛み合わせる前の左右のファスナーストリンガーがそれぞれ独立している状態で、各ファスナーストリンガーを別々の染色用のビームにそれぞれ巻き付けて、左右のファスナーストリンガーに別々の浸漬による染色処理を行うことが考えられる。このように左右の各ファスナーストリンガーを所望の色に別々に染色した後に、その着色された左右のファスナーストリンガーを組み合わせてスライドファスナーを製造することによって、左右のエレメント列間で異なる色を有するスライドファスナーを得ることが可能となる。
しかしながら、このように左右の各ファスナーストリンガーを別々の染色用のビームに巻き付けて染色処理を行う場合、染色処理工程中に、エレメント列におけるファスナーエレメントの位置がずれてテープ長さ方向に隣接する噛合頭部間の間隔にバラつきが生じるおそれがある。そのため、例えば左右のファスナーストリンガーを噛み合わせたファスナーチェーンの状態で染色用のビームに巻き付けて染色処理を行う場合に比べて、スライドファスナーを製造したときに左右のエレメント列の噛み合わせが悪くなること、スライダーの摺動性が低下すること、ファスナーチェーンが湾曲し易くなること等の不具合を生じさせる虞があった。
一方、例えばモノフィラメントを形成する際に合成樹脂材料に顔料を練り込むことによってエレメント列を所望の色に着色する場合、左右のエレメント列の色を容易に異ならせることが可能となる。しかしながら、モノフィラメントの合成樹脂材料に顔料を練り込んでコイル状のファスナーエレメントを作製する場合には、それぞれの色についてモノフィラメントを紡糸する必要があるため、少量生産を行うことが難しく、1つの色のエレメント列を形成する場合に、顔料により着色された50〜100kg単位の大量のモノフィラメントを形成してからファスナーエレメントに成形しなければならない。
しかし、近年では、ユーザーのニーズの多様化や個性化が進んでおり、このようなニーズに応えるためには、製品を多品種少量生産することや、ニーズや流行等に対して迅速に対応することが求められている。それに対して、合成樹脂材料に顔料を練り込むことによりエレメント列を着色する方法は、上述のように大量生産が前提となるため、近年のニーズに柔軟に対応することが難しく、却って製造コストの増大を招いたり、ニーズや流行等に対して対応が遅れたりするという問題があった。更に、合成樹脂材料に顔料を練り込むことによりエレメント列を着色する場合、着色されるエレメント列を透明に形成することができないという問題もあった。
またその他に、特許文献1には、前述したように、モノフィラメントが所定の長さで一定のサイクルで数種の異色の染料または顔料によって着色されることによって、左右のエレメント列がそれぞれ長さ方向に沿ってカラフルな色彩を呈するファスナーチェーンが記載されている。
しかし、この特許文献1には、モノフィラメントを着色する具体的な方法が詳しく説明されておらず、また実際にモノフィラメントを染料または顔料によって数種の色で着色するためには、浸漬による染色処理方法では極めて難しく、例えば顔料系インク又は染料系インクによるインクジェット方式等の専用の着色装置を用いて着色処理を行わなければならない。このため、製造コストの増大、また、スライドファスナーの生産効率の低下などを招く虞があった。
また、ユーザーの好みや流行によっては、左右のエレメント列がカラフルな色彩ではなく、互いに異なる単一の色(単色)に着色されたスライドファスナーが求められることもあるため、そのような単色に着色されたエレメント列を有するスライドファスナーを、より安価に且つ迅速に提供できることが望まれている。
考案は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、製造コストの増大やスライドファスナーの生産効率の低下を招くことを防いで、左右のエレメント列が互いに異なる単一の色を呈するとともに、左右のエレメント列の良好な噛み合わせやスライダーの良好な摺動性が安定して確保されるスライドファスナーを提供することにある。
上記目的を達成するために、本考案により提供されるスライドファスナーは、基本的な構成として、第1ファスナーテープ及び第2ファスナーテープの対向するテープ側縁部に、第1エレメント列及び第2エレメント列がそれぞれ形成された一対のファスナーストリンガーを有するスライドファスナーであって、前記第1エレメント列及び第2エレメント列は、合成樹脂からなるとともに、それぞれ単一の色に染色されてなり、前記第1エレメント列と前記第2エレメント列とは、互いに異なる分光反射率曲線を有してなることを最も主要な特徴とするものである。
考案に係るスライドファスナーにおいて、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列は、主成分が同じ材質の合成樹脂からなることが好ましい。
また、前記第1エレメント列は、前記第1ファスナーテープに対して異なる分光反射率曲線を有するとともに、前記第2エレメント列は、前記第2ファスナーテープに対して異なる分光反射率曲線を有することが好ましい。
更に、本考案のスライドファスナーにおいて、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列は、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなることが好ましい。
また、前記第1エレメント列は、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなり、前記第2エレメント列は、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなるものでも良く、又は、前記第1エレメント列及び前記第2エレメント列は、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなるものでも良い。
考案のスライドファスナーでは、合成樹脂製のモノフィラメント又はエレメント列(特に、ファスナーエレメント)に対し、浸漬等による染色処理を直接行うことにより、例えばインクジェット方式等の専用の着色装置を用いることなく、左側のエレメント列と右側のエレメント列とが、単一の別々の色に着色されているとともに、互いに異なる分光反射率曲線を有する。
このような本考案のスライドファスナーであれば、製造コストの大幅な増大やスライドファスナーの生産効率の大幅な低下を招くことなく、第1及び第2エレメント列が互いに分光反射率曲線の異なる色を安定して表出することができる。また、エレメント列がファスナーテープに縫着により固定された後に、得られた左右の第1及び第2ファスナーストリンガーに別々に染色処理が施されることもないため、染色処理によるファスナーエレメントの位置ずれに起因して、第1及び第2エレメント列間の噛み合わせが悪くなること、スライダーの摺動性が低下すること、ファスナーチェーンが湾曲し易くなること等の不具合が生じることもない。
更に、このような本考案のスライドファスナーは、例えば前述したようなモノフィラメントの合成樹脂材料に顔料を練り込んでファスナーエレメントを形成する場合とは異なり、モノフィラメントを形成した後に所望の色に染色を行うことができるため、少量生産することが可能となる。このため、本考案は、例えばファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応でき、また、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することも可能となる。
なお、本考案において、分光反射率曲線が異なる色を呈するとは、ファスナーエレメントのある特定の部分(例えばファスナーエレメントの脚部における噛合頭部と連結部との中間部分)を分光光度計で測定することにより得られる分光反射率曲線の波形が、第1エレメント列と第2エレメント列とで互いに異なることを言う。またこの場合、ファスナーエレメントに成形する直前の第1モノフィラメント(第1エレメント列を形成するモノフィラメント)と第2モノフィラメント(第2エレメント列を形成するモノフィラメント)とを分光光度計で測定したときには、第1モノフィラメントの分光反射率曲線と、第2モノフィラメントの分光反射率曲線とは、当然に互いに異なるものとなる。
このような本考案のスライドファスナーにおいて、第1エレメント列と第2エレメント列とは、互いに主成分が同じ材質の合成樹脂により形成されている。これにより、第1及び第2エレメント列の性質や質感等を合わせることができ、また、スライドファスナーの噛合強度やスライダーの摺動性などの品質を安定して確保できる。なお、本考案において、第1エレメント列と第2エレメント列とは、互いに主成分が異なる材質の合成樹脂により形成されていても良い。
また、本考案のスライドファスナーでは、第1エレメント列が、第1ファスナーテープに対して分光反射率曲線が異なる色を備えることができる。また、第2エレメント列は、第2ファスナーテープに対して分光反射率曲線が異なる色を備えることができる。これにより、従来では生産することが難しかったスライドファスナーや、よりユーザーのニーズに対応したスライドファスナー等を市場に容易に提供することが可能となる。
考案のスライドファスナーにおいて、第1エレメント列及び第2エレメント列は、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメントから形成されている。このように酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレート製のモノフィラメントを用いて第1エレメント列と第2エレメント列とが成形されることにより、例えば前述したようなモノフィラメントの合成樹脂材料に顔料を練り込む場合にはできなかった透明で色の付いたエレメント列を有することが可能となる。それにより、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを増やすことができる。
また、本考案のスライドファスナーでは、第1エレメント列が、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメントから形成され、第2エレメント列が、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメントから形成されていても良い。
0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートでモノフィラメントが形成されることにより、モノフィラメント自体の色を白くすることができる。そして、その白く形成されたモノフィラメントに染色処理が行われることにより、モノフィラメントに着色された色をより鮮やかに見せることができる。
その上、第1エレメント列が、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートで形成されることにより、透明で色の付いたエレメント列となり、一方、第2エレメント列が、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成されることにより、着色された色を鮮やかに表出させることができる。このため、第1エレメント列の色と第2エレメント列の色との違いが、相対的にはっきりと表れやすくなる。また、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを更に増やすことができるとともに、従来では製造できなかった新規のスライドファスナーを市場に提供することが可能となる。
更に、本考案のスライドファスナーでは、第1エレメント列及び第2エレメント列が、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメントから形成されていても良い。これにより、第1エレメント列と第2エレメント列とが互いに異なる色でより鮮やかに染色されているスライドファスナーを市場に提供することが可能となる。
次に、本考案に係るスライドファスナーを製造するための製造方法では、先ず、合成樹脂製の第1モノフィラメントを単一の色に染色し、また、その第1モノフィラメントとは別途に、合成樹脂製の第2モノフィラメントを、第1モノフィラメントとは分光反射率曲線が異なる単一の色に染色する。これにより、互いに異なる色を呈する第1モノフィラメントと第2モノフィラメントとを容易に得ることができる。
続いて、得られた第1モノフィラメントと第2モノフィラメントとを、それぞれコイル状又はジグザグ状に成形することによって、複数のファスナーエレメントが一続きに連結され、相互に異なる色を呈する第1エレメント列と第2エレメント列とを形成する。
なお、例えばモノフィラメントを浸漬による染色処理で着色し、その後、その着色したモノフィラメントを成形することによって連続状のファスナーエレメントを形成すると、モノフィラメントの塑性変形時に、フィラメント表面が局部的に延ばされることによって着色した色が薄くなること又は消えることや、部分的に変色すること等が生じ、エレメント列の外観品質を却って低下させることがあった。
しかし、本考案では、モノフィラメントの染色条件や成形条件等を精査して適切な条件を見出したことにより、染色したモノフィラメントをファスナーエレメントに成形しても、着色された色が落ちたり、薄くなったりすることを防いで、所望の色を全体に安定して備えるエレメント列を形成することが可能となった。
次に、上述の製造方法では、形成された第1及び第2エレメント列を、第1及び第2ファスナーテープのテープ側縁部に縫製糸によりそれぞれ縫着することによって、一対のファスナーストリンガーを形成する。その後、得られた一対のファスナーストリンガーを組み合わせて、スライダー等を取り付けることによってスライドファスナーが製造される。
以上のような製造方法を用いることにより、第1エレメント列と第2エレメント列とが、互いに分光反射率曲線が異なる単一の色にそれぞれ染色されているスライドファスナーを、製造コストの大幅な増大を招くことなく、安定して製造することができる。また、このような製造方法であれば、左右のエレメント列の噛み合わせが悪くなること、スライダーの摺動性が低下すること、ファスナーチェーンが湾曲し易くなること等の不具合を防止できる。更に、ファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応できるとともに、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することも可能となる。
また、本考案に係るスライドファスナーを製造するための別の製造方法では、先ず、合成樹脂製の第1モノフィラメントを第1エレメント列に成形し、その第1エレメント列を単一の色に染色する。また、その第1エレメント列とは別途に、合成樹脂製の第2モノフィラメントを第2エレメント列に成形し、その第2エレメント列を、第1エレメント列とは分光反射率曲線が異なる単一の色に染色する。これにより、互いに異なる色を呈する第1エレメント列と第2エレメント列とを容易に形成することができる。
次に、形成された第1及び第2エレメント列を、第1及び第2ファスナーテープのテープ側縁部に縫製糸によりそれぞれ縫着することによって、一対のファスナーストリンガーを形成する。その後、得られた一対のファスナーストリンガーを組み合わせて、スライダー等を取り付けることによってスライドファスナーが製造される。
以上のような製造方法を用いることによっても、第1エレメント列と第2エレメント列とが、互いに分光反射率曲線が異なる単一の色にそれぞれ染色されているスライドファスナーを、製造コストの大幅な増大を招くことなく、安定して製造することができる。
またこの場合、エレメント列を成形した後、そのエレメント列をファスナーテープに取着する前に染色処理を行うため、染色処理に起因して、左右のエレメント列の噛み合わせが悪くなること、スライダーの摺動性が低下すること、ファスナーチェーンが湾曲し易くなること等の不具合が生じることを防止できる。更に、ファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応できるとともに、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することも可能となる。
上述のような製造方法では、第1エレメント列及び第2エレメント列を、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートで形成するとともに、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することが可能である。これにより、透明で色の付いた第1及び第2エレメント列を有するスライドファスナーを安定して製造することができ、また、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを増やすことができる。
また、上述の製造方法では、第1エレメント列を酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートで形成し、第2エレメント列を0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成するとともに、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、互いに同じ染色液により染色することが可能である。
これにより、第1エレメント列を透明で色の付いたエレメント列に形成できる。また、第2エレメント列を0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成することにより、染色処理で着色される色を第1エレメント列よりも鮮やかに見せることができる。
このため、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とが、互いに同じ染色液により染色されても、第1エレメント列の色と第2エレメント列の色との違いを、相対的にはっきりさせることができるため、色が明確に異なる第1及び第2エレメント列を有するスライドファスナーを安定して製造することができる。またこれにより、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを更に増やすことができるとともに、従来では製造できなかった新規のスライドファスナーを市場に提供することが可能となる。
なお、ここで、同じ染色液により染色することには、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、同じ染色容器に同時に又は順番に浸漬して染色処理を行う場合と、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、同じ染色液が入れられた異なる染色容器にそれぞれ浸漬して染色処理を行う場合とが含まれる。
更に、上述の製造方法では、第1エレメント列を酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートで形成し、第2エレメント列を0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成するとともに、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することが可能である。
これにより、色がより明確に異なる第1及び第2エレメント列を有するスライドファスナーを安定して製造することができる。また、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを更に増やすことができるとともに、従来では製造できなかった新規のスライドファスナーを市場に提供することが可能となる。
更にまた、上述の製造方法では、第1エレメント列及び第2エレメント列を、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートで形成するとともに、第1モノフィラメント又は第1エレメント列と、第2モノフィラメント又は第2エレメント列とを、互いに異なる染色液により染色することが可能である。これにより、より鮮やかな色に染色された第1及び第2エレメント列を有するスライドファスナーを安定して製造することができ、また、色彩の異なる左右のエレメント列の組み合わせのバリエーションを増やすことができる。
考案の実施例1に係るスライドファスナーを示す平面図である。 同スライドファスナーにおける第1ファスナーストリンガーの一部を拡大して示す拡大平面図である。 同スライドファスナーにて左右の第1及び第2エレメント列が噛合している状態を拡大して示す拡大平面図である。 実施例1の変形例に係るスライドファスナーの一部を拡大して示す拡大図である。 モノフィラメントからエレメント列を成形し、そのエレメント列に芯紐を挿通させた状態を説明する説明図である。 考案の実施例2に係るスライドファスナーにおける第1及び第2ファスナーストリンガーの要部を拡大して示す要部拡大図である。 考案の実施例3に係るスライドファスナーにおける第1及び第2ファスナーストリンガーの要部を拡大して示す要部拡大図である。
以下、本考案の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本考案は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本考案と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
図1は、本実施例1に係るスライドファスナーを示す平面図である。図2は、同スライドファスナーにおける第1ファスナーストリンガーの一部を拡大して示す拡大平面図であり、図3は、同スライドファスナーにて左右のエレメント列が噛合している状態を拡大して示す拡大平面図である。なお、図3では、左右のエレメント列の噛合状態を判り易く表すために、ファスナーテープの図示を省略している。
以下の説明において、前後方向とは、ファスナーテープ及びファスナーストリンガーの長さ方向を言い、スライダーが摺動する摺動方向と同じ方向である。特に、スライダーがスライドファスナーのエレメント列を噛合させるように摺動する方向を前方とし、エレメント列を分離させるように摺動する方向を後方とする。
また、左右方向とは、ファスナーテープのテープ幅方向を言い、ファスナーテープのテープ面に平行で、且つ、テープ長さ方向に直交する方向である。更に、上下方向とは、ファスナーテープのテープ面に直交するテープ表裏方向を言い、特に、コイル状のエレメント列を有するスライドファスナーの場合、ファスナーテープに対してエレメント列が取着されている側の方向を上方とし、その反対側の方向を下方とする。
本実施例1のスライドファスナー1は、左右一対のファスナーストリンガー10(左側の第1ファスナーストリンガー10a及び右側の第2ファスナーストリンガー10b)と、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの前端部にエレメント列11(左側の第1エレメント列11a及び右側の第2エレメント列11b)に隣接して配される止具(第1止具)5と、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの後端部にエレメント列11に隣接して配される開離嵌挿具6と、エレメント列11に沿って摺動可能に配されるスライダー30とを有する。
なお、本実施例1のスライドファスナー1は、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10b(特に第1及び第2エレメント列11a,11b)に主な特徴を有するものであり、止具5、開離嵌挿具6、及びスライダー30については、従来の一般的なスライドファスナーと実質的に同様のものが用いられている。
例えば、本実施例1の止具5は、第1及び第2ファスナーテープ12a,12bの前端部にテープ表面とテープ裏面とに跨がって、エレメント列11に連続するように取着されており、スライダー30がエレメント列11の前端側から脱落することを防いでいる。
本実施例1の開離嵌挿具6は、左側の第1ファスナーストリンガー10aの後端部に配された蝶棒6aと、右側の第2ファスナーストリンガー10bの後端部に配された箱棒6bと、箱棒6bの後端部に一体成形された箱体6cとを有しており、右挿し用の開離嵌挿具6として構成されている。
なお、本考案では、例えば蝶棒6aと箱棒6b及び箱体6cとの位置関係を本実施例1とは左右方向に反対にして、左挿し用の開離嵌挿具6を形成することも可能である。また、開離嵌挿具6の代わりに、スライダー30がエレメント列11の後端側から脱落することを防ぐ第2止具を、左右の第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bに跨るように取着することも可能である。
本実施例1のスライダー30は、スライダー胴体31と、一端部に取付軸部を備える引手32とを有しており、引手32は、スライダー胴体31に取付軸部を中心に回動可能に保持されている。スライダー胴体31は、上翼板31a及び下翼板と、上翼板31a及び下翼板の前端部間を連結する案内柱と、上翼板31aの左右側縁部に垂設された上フランジ部と、上翼板31aの上面に設けられた引手取付柱31bと有する。
スライダー胴体31の前端には、案内柱を間に挟んで左右の肩口が形成され、スライダー胴体31の後端には後口が形成されている。また、上翼板31a及び下翼板間には、左右の肩口と後口とを連通する略Y字形状のエレメント案内路が形成されている。更に、スライダー胴体31の左右側部に配された上フランジ部と下翼板との間には、ファスナーテープ12を挿通させることが可能なテープ挿通間隙が形成されている。
本実施例1における左側の第1ファスナーストリンガー10a及び右側の第2ファスナーストリンガー10bは、それぞれ、ファスナーテープ12(左側の第1ファスナーテープ12a又は右側の第2ファスナーテープ12b)と、ファスナーテープ12の対向するテープ側縁部に沿って配されるエレメント列11(左側の第1エレメント列11a又は右側の第2エレメント列11b)とを有しており、左側の第1エレメント列11aは第1の色(例えば青色)を備え、右側の第2エレメント列11bは、第1の色と異なる第2の色(例えば水色)を備えている。
なお、本実施例1のスライドファスナー1では、平面視において、左側に配されるファスナーストリンガー10、ファスナーテープ12、エレメント列11、及びそのエレメント列11を形成するモノフィラメント13を、それぞれ第1ファスナーストリンガー10a、第1ファスナーテープ12a、第1エレメント列11a、及び第1モノフィラメント13aと称する。また、右側に配されるファスナーストリンガー10、ファスナーテープ12、エレメント列11、及びそのエレメント列11を形成するモノフィラメント13を、それぞれ第2ファスナーストリンガー10b、第2ファスナーテープ12b、第2エレメント列11b、及び第2モノフィラメント13bと称する。
本実施例1における左右の第1及び第2ファスナーテープ12a,12bは、上述した第1及び第2の色とは異なる所望の第3の色(例えば黄色)に染色された合成繊維を用いて細幅の帯状に織成されている。また、第1及び第2ファスナーテープ12a,12bは、衣服や鞄などのファスナー被着製品に縫い付けられる部分となるテープ主体部と、テープ主体部の一側縁側に配され、エレメント列11が取着されるテープ側縁部(エレメント取付部と呼ぶこともある)とをそれぞれ有する。
なお、本実施例1における第1及び第2ファスナーテープ12a,12bは、両方とも染色処理によって染色された第3の色を備えているが、本考案において、ファスナーテープ12が呈する色彩は特に限定されるものではない。例えば図4に示すように、左側の第1ファスナーテープ12aと、右側の第2ファスナーテープ12bとが、互いに異なる色を備えていても良い。この場合も、左側の第1ファスナーテープ12aの色は、第1エレメント列11aの第1の色と異なり、右側の第2ファスナーテープ12bの色は、第2エレメント列11bの第2の色と異なる。更に、第1及び第2ファスナーテープ12a,12bのテープ表面又はテープ裏面に、所望の模様を任意に付与することも可能である。
また、本実施例1における第1及び第2ファスナーテープ12a,12bは、織組織により形成されているが、本考案においてファスナーテープ12の形態は限定されるものではなく、例えばファスナーテープ12を形成する経糸及び緯糸の材質や太さは任意に設定することができ、また、ファスナーテープ12を編組織により形成することも可能である。
左右の第1及び第2エレメント列11a,11bは、それぞれ、複数のファスナーエレメント15がコイル状に一続きに連結されて形成されており、各ファスナーエレメント15の後述する上脚部15b及び下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、縫製糸14(左側の第1縫製糸14a又は右側の第2縫製糸14b)の二重環縫いにより第1及び第2ファスナーテープ12a,12bのテープ側縁部にそれぞれ縫着されている。なお、本考案では、芯紐16を用いずに第1及び第2エレメント列11a,11bを第1及び第2ファスナーテープ12a,12bにそれぞれ縫着することも可能である。
各ファスナーエレメント15は、噛合頭部15aと、噛合頭部15aからテープ幅方向に延出する上脚部15b及び下脚部と、上脚部15b又は下脚部から延出し、ファスナー長さ方向に隣接するファスナーエレメント15に連結される連結部15cとを有する。なお本考案において、ファスナーエレメント15における噛合頭部15aから延出する上下両脚部のうち、下脚部とは、ファスナーテープ12が直接接する側の脚部を言い、上脚部15bとは、ファスナーテープ12から離間して配される側の脚部を言う。
ファスナーエレメント15の噛合頭部15aは、上脚部15bと下脚部とに跨るように上下方向に形成されるとともに、上下方向の中間部分に前後方向に膨出する部分を備える。上脚部15bは、噛合頭部15aからファスナー幅方向に延出しており、芯紐16の上側に配されている。下脚部は、噛合頭部15aからファスナー幅方向に上脚部15bと略平行に延出しており、芯紐16とファスナーテープ12との間に配されている。
連結部15cは、各ファスナーエレメント15の上脚部15bと、当該ファスナーエレメント15の前側に隣接するファスナーエレメント15の下脚部とを連結している(言い換えると、各ファスナーエレメント15の下脚部と、当該ファスナーエレメント15の後側に隣接するファスナーエレメント15の上脚部15bとを連結している)。
本実施例1において、左側の第1エレメント列11aは、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなる透明の第1モノフィラメント13aを、左側の第1ファスナーテープ12aの第3の色と異なる第1の色(例えば青色)の単一色に染色し、更に、その染色した第1モノフィラメント13aをコイル形状に成形することによって形成されている。
また、右側の第2エレメント列11bは、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなる透明の第2モノフィラメント13bを、右側の第2ファスナーテープ12bの第3の色と異なるとともに、左側の第1エレメント列11aの第1の色と異なる第2の色(例えば水色)の単一色に染色し、更に、その染色した第2モノフィラメント13bをコイル形状に成形することによって形成されている。
このように左側の第1エレメント列11aが備える第1の色と、右側の第2エレメント列11bが備える第2の色とを相違させること、更には、第1エレメント列11aが備える第1の色と第1ファスナーテープ12aが備える第3の色とを相違させるとともに、第2エレメント列11bが備える第2の色と第2ファスナーテープ12bが備える第3の色とを相違させることにより、スライドファスナー1の色彩が鮮やかになり、スライドファスナー1の外観品質、また、そのスライドファスナー1がファスナー被着製品に取着されて製造される最終製品の外観品質を効果的に高めることができる。
ここで、第1の色〜第3の色が互いに異なるとは、第1及び第2エレメント列11a,11b(又は第1及び第2モノフィラメント13a,13b)とファスナーテープ12とを分光光度計で測定することにより得られる各分光反射率曲線の波形が互いに相違することを言う。
特に、第1エレメント列11aと第2エレメント列11bの分光反射率曲線を分光光度計で測定する場合、ファスナーエレメント15の上脚部15bにおける噛合頭部15aと連結部15cとの中間部分というように、ファスナーエレメント15のある特定の部分での分光反射率曲線を測定し、その特定の部分で測定された分光反射率曲線同士を比較することによって、第1エレメント列11aの色と第2エレメント列11bの色との同異を判断する。
なお、例えば第1エレメント列11aと第2エレメント列11bとが本実施例1のように透明なモノフィラメント13から形成されている場合には、分光光度計で分光反射率曲線を測定する際に、その透明なエレメント列11(又はモノフィラメント13)を透過した光が、そのエレメント列11(又はモノフィラメント13)の裏側にある背景で反射することによって、分光反射率曲線の波形が影響を受ける場合がある。
このため、第1エレメント列11aと第2エレメント列11bの少なくとも一方が透明である場合に第1エレメント列11aと第2エレメント列11bの色の同異を判断する際には、例えば2種類の背景を用意して、それぞれの背景について分光光度計による第1及び第2エレメント列11a,11b(又は第1及び第2モノフィラメント13a,13b)の分光反射率曲線を測定し、いずれか一方の背景において、第1エレメント列11aと第2エレメント列11b(又は第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント13b)の分光反射率曲線が互いに異なれば、第1エレメント列11aの色と第2エレメント列11bの色とは互いに異なることとする。
また、本実施例1において、第1エレメント列11aの第1の色、第2エレメント列11bの第2の色、及びファスナーテープ12の第3の色間で同じ色か異なる色かを判断する場合、測定された分光反射率曲線から各部位のRGB値を導出し、得られた各色のRGB値を比較することによって、第1の色〜第3の色の同異(特に、第1の色と第2の色の同異)を容易に判断することができる。
この場合、第1の色〜第3の色における各RGB値は、ファスナーテープ12と第1及び第2エレメント列11a,11bとをデジタルカメラで撮影し、その撮影された画像から第1〜第3の各色におけるRGB値を解析することも可能である。この場合、撮影された画像から解析される各部位のRGB値が異なれば、分光光度計で各部位から測定される分光反射率曲線も当然に異なるものとなる。
特に、撮影された画像から解析される第1エレメント列11aのRGB値と第2エレメント列11bのRGB値とを比較する場合、分光光度計による測定と同様に、ファスナーエレメント15の上脚部15bにおける噛合頭部15aと連結部15cとの中間部分というように、ファスナーエレメント15のある特定の部分でのRGB値をそれぞれ求めて比較することが好ましい。またこの場合、減色処理した第1〜第3の各色におけるRGB値を比較して、色の同異を判断しても良い。
更に本実施例1における左右の第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bでは、それぞれのエレメント列11をファスナーテープ12に縫い付ける縫製糸14(左側の第1縫製糸14a及び右側の第2縫製糸14b)が不透明に形成されているとともに、第1エレメント列11aの第1の色、第2エレメント列11bの第2の色、及びファスナーテープ12の第3の色とは異なる第4の色(例えば黒色)を呈している。なお、本考案では、エレメント列11を縫着する縫製糸14を、透明に形成することや、染色処理等で着色せずに用いることも可能である。
また、本実施例1の左右の芯紐16は染色されていないが、本考案では芯紐16を任意の色に着色することもでき、例えば芯紐16の色を上述した第1の色〜第4の色のいずれかと同じ色に染色しても良く、或いは、第1の色〜第4の色のいずれとも異なる色に染色しても良い。
次に、上述した本実施例1のスライドファスナー1を製造する方法について説明する。
先ず、溶融紡糸法によって、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレート製の第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント13bとをそれぞれ所定の長さで製造する。また、第1及び第2モノフィラメント13a,13bとは別に、第3の色に染色された合成繊維を用いて、左右の第1及び第2ファスナーテープ12a,12bを織成する。
次に、製造された第1モノフィラメント13aを染色用のビームに巻き付けて、その第1モノフィラメント13aに、所定の染色条件で染色処理を行う。この第1モノフィラメント13aの染色処理では、第1モノフィラメント13aを、それを巻き付けたビームごと、所定の染色液が入れられた染色容器に浸漬し、第1モノフィラメント13aの全体を単一の第1の色に染色する。
また、製造された第2モノフィラメント13bに対しても、第1モノフィラメント13aの染色処理とは別途に、染色用のビームに巻き付けて所定の染色条件で染色処理を行う。この第2モノフィラメント13bの染色処理では、第2モノフィラメント13bを、それを巻き付けたビームごと、第1モノフィラメント13aの染色液とは異なる所定の染色液が入れられた染色容器に浸漬し、第2モノフィラメント13bの全体を単一の第2の色に染色する。
続いて、第1の色に均一に染色された第1モノフィラメント13aをエレメント成形装置に供給し、第1エレメント列11aを形成するエレメント成形工程を、所定の成形条件で行う。このエレメント成形工程では、第1モノフィラメント13aに所定の間隔で局部的に押圧するスタンピング成形等を行って噛合頭部15aを成形するとともに、第1モノフィラメント13aをコイル状に成形することによって第1エレメント列11aを形成する。
このエレメント成形工程を行うことによって、染色処理によって着色された第1の色が落ちたり、薄くなったりすることなく、第1の色で均一に着色された第1エレメント列11aを安定して形成することができる。また、第2モノフィラメント13bについても、第1モノフィラメント13aと同様のエレメント成形工程を所定の成形条件で行って、第2の色で均一に着色された第2エレメント列11bを形成する。
なお本実施例1では、上述したように、第1及び第2モノフィラメント13a,13bを染色処理にて染色した後に、その染色された第1及び第2モノフィラメント13a,13bにエレメント成形工程を行うことによって、それぞれが所定の色に着色され、互いに異なる分光反射率曲線を有する第1及び第2エレメント列11a,11bを形成している。
しかし本考案では、第1及び第2モノフィラメント13a,13bに染色処理を行う前に、第1及び第2モノフィラメント13a,13bにエレメント成形工程を行って第1及び第2エレメント列11a,11bを形成し、その形成された第1及び第2エレメント列11a,11bを、それぞれ染色液が入れられた染色容器に浸漬して第1及び第2エレメント列11a,11bを染色することによって、それぞれが所定の色に着色された第1及び第2エレメント列11a,11bを形成することも可能である。
続いて、本実施例1では、上述のように染色された第1及び第2エレメント列11a,11bを形成した後、例えば図5に示したように、得られた第1エレメント列11a及び第2エレメント列11bの上脚部15b及び下脚部間に芯紐16をそれぞれ挿通させるとともに、第1エレメント列11aと第2エレメント列11bとを相互に噛み合わせる。更に、芯紐16が挿通された第1エレメント列11a及び第2エレメント列11bを、互いに噛み合わせた状態のまま、第1ファスナーテープ12aのテープ側縁部及び第2ファスナーテープ12bのテープ側縁部に縫製糸14の二重環縫いによってそれぞれ縫着する。
これによって、左側の第1ファスナーストリンガー10aと右側の第2ファスナーストリンガー10bとが製造される(この場合、第1エレメント列11aと第2エレメント列11bとが噛み合わされた状態のファスナーチェーンが製造される)。
その後、得られた第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの第1及び第2エレメント列11a,11bにスライダー30を取り付けるとともに、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bに止具5と開離嵌挿具6を形成することによって、図1に示した本実施例1のスライドファスナー1が製造される。
以上のように製造された本実施例1のスライドファスナー1では、左側の第1エレメント列11aと右側の第2エレメント列11bとが、同じポリエチレンテレフタレートからなるとともに、互いに異なる単一の色を均一に備えて、異なる分光反射率曲線を有している。
この場合、染色処理により第1及び第2エレメント列11a,11bに着色された色が、スライドファスナーの製造時に落ちたり、薄くなったりすることも防止でき、また、左右の第1及び第2エレメント列11a,11bの噛み合わせが悪くなること、スライダー30の摺動性が低下すること、ファスナーチェーンがテープ幅方向に湾曲し易くなること等の不具合が生じることもない。
更に本実施例1のスライドファスナー1では、左右の第1及び第2エレメント列11a,11bが、着色された透明なモノフィラメント13から形成されているため、それぞれのエレメント列11a,11bが、互いに異なる色を帯びているとともに、キラキラとした輝きを有するように見える。その上、左右の第1及び第2エレメント列11a,11bの色が異なるだけでなく、左側の第1エレメント列11aの色が左側の第1ファスナーテープ12aの色とは異なるとともに、右側の第2エレメント列11bの色が右側の第2ファスナーテープ12bの色とは異なる。このため、本実施例1のスライドファスナー1は、色彩が豊かに見えて見栄えが良く、外観品質に優れている。
特に本実施例1では、左右の第1及び第2エレメント列11a,11bがインクジェット方式で着色されているのではなく、比較的簡単な染色液への浸漬による染色処理で着色されているため、外観品質に優れたスライドファスナー1を低コストで効率的に製造することができる。
しかも、上述のように左右の第1及び第2エレメント列11a,11bの色が異なる本実施例1のスライドファスナー1は、例えば従来のようなモノフィラメントの合成樹脂材料に顔料を練り込んでファスナーエレメントを形成する場合とは異なり、少量生産することが可能であるため、例えばファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応でき、また、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することができる。
図6は、本実施例2のスライドファスナーにおける第1及び第2ファスナーストリンガーの要部を拡大して示す要部拡大図である。
本実施例2のスライドファスナー2では、前述の実施例1のスライドファスナー1に対し、右側の第2エレメント列21bと、その第2エレメント列21bを右側の第2ファスナーテープ12bに縫着する第2縫製糸24bとが異なるものの、それ以外の部材や部位については、前述の実施例1のスライドファスナー1と実質的に同様に形成されている。従って、本実施例2においては、前述の実施例1に係るスライドファスナー1と実質的に同じ構成を有する部材及び部位については同じ符号を用いて表すことによって、その詳細な説明を省略することとする。
本実施例2における左側の第1ファスナーストリンガー10aでは、前述の実施例1における左側の第1ファスナーストリンガー10aと同様に、第1ファスナーテープ12aのテープ側縁部に第1エレメント列11aが上下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、第1縫製糸14aの二重環縫いにより縫着されている。
一方、本実施例2における右側の第2ファスナーストリンガー20bでは、第2ファスナーテープ12bのテープ側縁部に、前述の実施例1における第2エレメント列11bとは異なる外観を呈する第2エレメント列21bが、上脚部15b及び下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、第2縫製糸24bの二重環縫いにより縫着されている。
本実施例2の第2エレメント列21bは、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第2モノフィラメント23bを、左側の第1エレメント列11aの第1の色と異なるとともに、第2ファスナーテープ12bの第3の色と異なる第2の色(例えば水色)の一色に染色し、更に、その染色した第2モノフィラメント23bをコイル形状に成形することによって形成されている。
本実施例2の第2モノフィラメント23bに含まれる酸化チタンの含有量を0.3wt%以上にすることにより、第2モノフィラメント23bを不透明にするとともに、第2モノフィラメント23b自体の色をきれいな白色にすることができる。
このように紡糸される第2モノフィラメント23bを白色に形成することにより、当該第2モノフィラメント23bを染色処理により第2の色に染色したときに、例えば前述の実施例1のように透明な第2モノフィラメント13bを染色する場合に比べて、その着色された第2の色を白色の上でより鮮やかに見せることができる。この場合、第2モノフィラメント23bに含まれる酸化チタンの含有量は、第2エレメント列21bの強度を適切に確保するために、1.0wt%以下に設定されることが好ましい。
なお、従来においても、例えばファスナーチェーンを染色用のビームに巻き付けてファスナーテープとエレメント列とをファスナーチェーンの状態で染色処理を行う場合に、当該エレメント列を形成するポリエステルに、酸化チタンを0.1wt%未満の極微量の含有量で含ませることがあった。
このように極微量の酸化チタンをポリエステルに含有させることにより、モノフィラメント自体が薄い白色(言い換えると、白く濁った状態)に形成できるため、染色されたエレメント列の色彩の発色を少し良くすることができる。しかし、従来の染色処理では、ファスナーチェーンの状態(言い換えると、モノフィラメントがコイル状に成形されて折れ曲がったエレメント列の状態)で染色されるため、染色されたエレメント列に色斑が生じることがあった。
従って、従来において、モノフィラメントにおける酸化チタンの含有量を0.1wt%以上に大きくしてしまうと、モノフィラメントをより白く形成して色彩の発色をより鮮やかにすることが可能となるものの、色斑が生じたときに、モノフィラメント自体の白色が外部から認識され易くなり、その結果、染色時の色斑も判別し易くなって、スライドファスナーの外観品質を却って低下させることもあった。このため、従来のファスナーチェーンを染色する染色処理では、発色を鮮やかにすることを目的として、モノフィラメントにおける酸化チタンの含有量を0.1wt%以上に設定することはなかった。
これに対して、本実施例2では、第2モノフィラメント23bを、コイル状の第2エレメント列21bに成形する前の折り曲げられていない線状の状態で染色用のビームに巻き付けて、第2モノフィラメント23bの染色処理が行われるため、染色された第2モノフィラメント23bに色斑を生じ難くすることができる。
従って、第2モノフィラメント23bにおける酸化チタンの含有量を0.3wt%以上にして、きれいな白色に形成された第2モノフィラメント23bに染色処理を行っても、色斑に起因する第2モノフィラメント23b自体の白色が外部から認識されることを防止でき、染色された第2モノフィラメント23bの色彩をより鮮やかに表出させることができる。
更に本実施例2においては、左側の第1エレメント列11aを第1ファスナーテープ12aに縫い付ける第1縫製糸14aが、第1エレメント列11aの第1の色、第2エレメント列21bの第2の色、及びファスナーテープ12の第3の色とは異なる第4の色を呈する。また、右側の第2エレメント列21bを第2ファスナーテープ12bに縫い付ける第2縫製糸24bが、上述した第1の色〜第4の色とは異なる第5の色を呈する。これにより、本実施例2のスライドファスナー2をより鮮やかに見せることができる。
このような本実施例2のスライドファスナー2を製造する場合、先ず、溶融紡糸法によって、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレート製の第1モノフィラメント13aと、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第2モノフィラメント23bとをそれぞれ所定の長さで製造する。
次に、第1モノフィラメント13aを、実施例1の場合と同様にして、単一の第1の色に染色する。また、第2モノフィラメント23bを染色用のビームに巻き付け、第1モノフィラメント13aの染色液とは異なる所定の染色液が入れられた染色容器に、第2モノフィラメント23bをビームごと浸漬することによって、第2モノフィラメント23bを単一の第2の色に染色する。
続いて、染色された第1及び第2モノフィラメント13a,23bにエレメント成形工程を行うことによって、第1及び第2の色でそれぞれ着色され、互いに異なる分光反射率曲線を有する第1及び第2エレメント列11a,21bを形成する。その後、得られた第1及び第2エレメント列11a,21bを、互いに噛み合わせた状態で、前述の実施例1の場合と同様に、第1及び第2ファスナーテープ12a,12bのテープ側縁部に、縫製糸14の二重環縫いによってそれぞれ縫着する。
これによって、左側の第1ファスナーストリンガー10aと右側の第2ファスナーストリンガー20bとが製造される。その後、得られた第1及び第2ファスナーストリンガー10a,20bに、スライダーを取り付けるとともに止具と開離嵌挿具を形成することによって、本実施例2のスライドファスナー2が製造される。
以上のような本実施例2のスライドファスナー2では、左側の第1エレメント列11aと右側の第2エレメント列21bとが、主成分が同じポリエチレンテレフタレートからなるとともに、モノフィラメント13の染色処理により着色された互いに異なる単一の色彩を均一に備えている。
この場合、染色処理により第1及び第2エレメント列11a,21bに着色された色が、スライドファスナーの製造時に落ちたり、薄くなったりすることも防止でき、また、左右の第1及び第2エレメント列11a,21bの噛み合わせが悪くなること、スライダー30の摺動性が低下すること、ファスナーチェーンがテープ幅方向に湾曲し易くなること等の不具合が生じることもない。
更に本実施例2のスライドファスナー2では、左側の第1エレメント列11aが、透明なモノフィラメント13を染色することによってキラキラとした輝きを有するように着色され、一方、右側の第2エレメント列21bが、白色の第2モノフィラメント23bを染色することによって色彩が鮮やかに生えるように着色されている。このため、左右の第1及び第2エレメント列11a,21bの相乗効果により、第1及び第2エレメント列11a,21bの見栄えの違いをよりはっきりと表すことができ、従来では見たことのない新たな外観品質を得ることができる。
また、本実施例2のスライドファスナー2では、前述の実施例1のスライドファスナー1と同様に、染色液への浸漬による染色処理で着色されているため、外観品質に優れたスライドファスナー2を低コストで効率的に製造することができ、また、少量生産が可能であるため、例えばファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応でき、また、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することができる。
なお、この実施例2では、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,20bの製造において、第1及び第2モノフィラメント13a,23bを染色する際に、互いに異なる染色液を用いることによって、互いに異なる分光反射率曲線を有する第1及び第2エレメント列11a,21bを形成している。
しかし、実施例2の第1モノフィラメント13aは、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレート製で透明に形成されており、一方、第2モノフィラメント23bは、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレート製で白色に形成されている。
従って、これらの第1及び第2モノフィラメント13a,23bに染色処理を行うときに、上述したように第1及び第2モノフィラメント13a,23bに、それそれ異なる染色液を用いるのではなく、同一の染色液を用いて染色することによっても、互いに異なる分光反射率曲線を有する第1及び第2エレメント列11a,21bを形成することが可能である。
この場合、第1及び第2モノフィラメント13a,23bの染色処理では、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを同じ又は別の染色用のビームに巻き付け、単一の染色液が入れられた染色容器に、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bを同時にビームごと浸漬することによって、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを同一の染色液で染色でき、それによって、互いに見栄えが異なる第1及び第2エレメント列11a,21bが得られる。
また、例えば第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとがそれぞれ別々の染色用のビームに巻き付けられる場合には、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを、単一の染色液が入れられた染色容器に、順番に浸漬することによって、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを染色することも可能である。
更に、第1及び第2モノフィラメント13a,23bを同じ染色液を用いて染色する場合、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとがそれぞれ別々の染色用のビームに巻き付けるとともに、全く同一の染色液が入れられた別々の染色容器を用意して、第1モノフィラメント13aと第2モノフィラメント23bとを異なる染色容器にそれぞれ浸漬することによって染色処理を行うことも可能である。
図7は、本実施例3のスライドファスナーにおける第1及び第2ファスナーストリンガーの要部を拡大して示す要部拡大図である。
本実施例3のスライドファスナー3では、前述の実施例2のスライドファスナー2に対し、左側の第1エレメント列21aと、その第1エレメント列21aを左側のファスナーテープ12に縫着する第1縫製糸24aとが異なるものの、それ以外の部材や部位については、前述の実施例2のスライドファスナー2と実質的に同様に形成されている。従って、本実施例3においては、前述の実施例1及び2に係るスライドファスナー1,2と実質的に同じ構成を有する部材及び部位については同じ符号を用いて表すことによって、その詳細な説明を省略することとする。
本実施例3における右側の第2ファスナーストリンガー20bでは、前述の実施例2における右側の第2ファスナーストリンガー20bと同様に、第2ファスナーテープ12bのテープ側縁部に、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第2モノフィラメント23bから形成された第2エレメント列21bが、上脚部15b及び下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、第2縫製糸24bの二重環縫いにより縫着されている。
また、本実施例3における左側の第1ファスナーストリンガー20aは、前述の実施例1及び2の第1ファスナーストリンガー10aと異なり、第1ファスナーテープ12aのテープ側縁部に、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第1モノフィラメント23aから形成された第1エレメント列21aが、上脚部15b及び下脚部間に芯紐16を挿通させた状態で、第1縫製糸24aの二重環縫いにより縫着されている。
この本実施例3の第1エレメント列21aは、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第1モノフィラメント23aを、右側の第2エレメント列21bの第2の色と異なるとともに、第1ファスナーテープ12aの第3の色と異なる第1の色(例えば青色)の一色に染色し、更に、その染色した第1モノフィラメント23aをコイル形状に成形することによって形成されている。この場合、第1モノフィラメント23aに含まれる酸化チタンの含有量は、第2モノフィラメント23bと同様に、第1エレメント列21aの強度を適切に確保するために、1.0wt%以下に設定されることが好ましい。
更に本実施例3では、左側の第1エレメント列21aを第1ファスナーテープ12aに縫い付ける第1縫製糸24aが、第1エレメント列21aの第1の色、第2エレメント列21bの第2の色、ファスナーテープ12の第3の色、及び、第2縫製糸24bの第5の色とは異なる第6の色を呈している。
このような本実施例3のスライドファスナー3を製造する場合、溶融紡糸法によって、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる白色の第1及び第2モノフィラメント23a,23bを製造する。
次に、第1及び第2モノフィラメント23a,23bを、実施例1の場合と同様に、別々の染色用のビームにそれぞれ巻き付けるとともに、互いに異なる所定の染色液が入れられた別々の染色容器を用意して、第1モノフィラメント23aと第2モノフィラメント23bとを異なる染色容器にそれぞれ浸漬することによって、第1及び第2モノフィラメント23a,23bの染色処理を行う。
続いて、染色された第1及び第2モノフィラメント23a,23bにエレメント成形工程を行うことによって第1及び第2エレメント列21a,21bを形成し、その後、得られた第1及び第2エレメント列21a,21bを第1及び第2ファスナーテープ12a,12bのテープ側縁部に縫着することによって、第1及び第2ファスナーストリンガー20a,20bを製造する。更に、得られた第1及び第2ファスナーストリンガー20a,20bに、スライダーを取り付けるとともに止具と開離嵌挿具を形成することによって、本実施例3のスライドファスナー3が製造される。
以上のような本実施例3のスライドファスナー3では、左側の第1エレメント列21aと右側の第2エレメント列21bとが、同じポリエチレンテレフタレートからなるとともに、白色の第1及び第2モノフィラメント23a,23bを染色処理することにより着色された互いに異なる単一の色彩を均一に備えている。従って、本実施例3のスライドファスナー3は、第1及び第2エレメント列21a,21bの異なる色彩をそれぞれ鮮やかに見せることができるため、色彩が豊かで見栄えが良く、外観品質に優れている。
また、本実施例3のスライドファスナー3では、前述の実施例1及び2の場合と同様に、染色液への浸漬による染色処理で着色されているため、外観品質に優れたスライドファスナー3を低コストで効率的に製造することができ、また、少量生産が可能であるため、例えばファスナー被着製品を多品種少量生産する場合等に容易に対応でき、また、ユーザーのニーズや流行等に対して迅速に対応することができる。
なお、前述した実施例1〜実施例3において、スライドファスナーの左右のエレメント列は、モノフィラメントをコイル状に成形することによって形成されているが、本考案はこれに限定されず、エレメント列が、モノフィラメントをジグザグ状に成形することによって形成されていても良い。
また、本考案におけるエレメント列は、ファスナーエレメントが射出成形によってファスナーテープのテープ側縁部に所定の形状で取り付けられることによって、ファスナーテープと一体的に形成されていても良い。この場合、射出成形される各ファスナーエレメントは、そのエレメント列においてテープ長さ方向に隣合うファスナーエレメントから分離して形成される独立したファスナーエレメントとなる。
更に、本考案におけるエレメント列は、ファスナーエレメントが、例えば紐状の連結部材に射出成形によって所定の形状で取り付けられることによって形成されていても良い。この場合、複数のファスナーエレメントとそれらを連結する紐状の連結部材とを有するエレメント列は、染色処理が施された後にファスナーテープのテープ側縁部に縫製糸で縫い付けられることによって、ファスナーストリンガーが形成される。
1,2,3 スライドファスナー
5 止具(第1止具)
6 開離嵌挿具
6a 蝶棒
6b 箱棒
6c 箱体
10 ファスナーストリンガー
10a 第1ファスナーストリンガー
10b 第2ファスナーストリンガー
11 エレメント列
11a 第1エレメント列
11b 第2エレメント列
12 ファスナーテープ
12a 第1ファスナーテープ
12b 第2ファスナーテープ
13 モノフィラメント
13a 第1モノフィラメント
13b 第2モノフィラメント
14 縫製糸
14a 第1縫製糸
14b 第2縫製糸
15 ファスナーエレメント
15a 噛合頭部
15b 上脚部
15c 連結部
16 芯紐
20a 第1ファスナーストリンガー
20b 第2ファスナーストリンガー
21a 第1エレメント列
21b 第2エレメント列
23a 第1モノフィラメント
23b 第2モノフィラメント
24a 第1縫製糸
24b 第2縫製糸
30 スライダー
31 スライダー胴体
31a 上翼板
31b 引手取付柱
32 引手

Claims (12)

  1. 第1ファスナーテープ(12a) 及び第2ファスナーテープ(12b) の対向するテープ側縁部に、第1エレメント列(11a,21a) 及び第2エレメント列(11b,21b) がそれぞれ形成された一対のファスナーストリンガー(10)を有するスライドファスナー(1,2,3) であって、
    前記第1エレメント列(11a,21a) 及び第2エレメント列(11b,21b) は、合成樹脂からなるとともに、それぞれ単一の色に染色されてなり、
    前記第1エレメント列(11a,21a) と前記第2エレメント列(11b,21b) とは、互いに異なる分光反射率曲線を有してなる、
    ことを特徴とするスライドファスナー。
  2. 前記第1エレメント列(11a,21a) 及び前記第2エレメント列(11b,21b) は、主成分が同じ材質の合成樹脂からなる請求項1記載のスライドファスナー。
  3. 前記第1エレメント列(11a,21a) は、前記第1ファスナーテープ(12a) に対して異なる分光反射率曲線を有するとともに、前記第2エレメント列(11b,21b) は、前記第2ファスナーテープ(12b) に対して異なる分光反射率曲線を有してなる請求項1又は2記載のスライドファスナー。
  4. 前記第1エレメント列(11a) 及び前記第2エレメント列(11b) は、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなる請求項1〜3のいずれかに記載のスライドファスナー。
  5. 前記第1エレメント列(11a) は、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートからなり、
    前記第2エレメント列(21b) は、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる、
    請求項1〜3のいずれかに記載のスライドファスナー。
  6. 前記第1エレメント列(21a) 及び前記第2エレメント列(21b) は、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートからなる請求項1〜3のいずれかに記載のスライドファスナー。
  7. 第1ファスナーテープ(12a) 及び第2ファスナーテープ(12b) の対向するテープ側縁部に、第1エレメント列(11a,21a) 及び第2エレメント列(11b,21b) がそれぞれ形成された一対のファスナーストリンガー(10)を有するスライドファスナー(1,2,3) の製造方法であって、
    合成樹脂製の第1モノフィラメント(13a,23a) を、単一の色に染色すること、
    合成樹脂製の第2モノフィラメント(13b,23b) を、前記第1モノフィラメント(13a,23a) とは分光反射率曲線が異なる単一の色に染色すること、
    前記第1モノフィラメント(13a,23a) 及び前記第2モノフィラメント(13b,23b) をそれぞれ前記第1エレメント列(11a,21a) 及び前記第2エレメント列(11b,21b) に成形すること、及び、
    前記第1エレメント列(11a,21a) 及び前記第2エレメント列(11b,21b) を、前記第1ファスナーテープ(12a) 及び前記第2ファスナーテープ(12b) の前記テープ側縁部に縫製糸(14)によりそれぞれ縫着すること、
    を含んでなることをスライドファスナーの製造方法。
  8. 第1ファスナーテープ(12a) 及び第2ファスナーテープ(12b) の対向するテープ側縁部に、第1エレメント列(11a,21a) 及び第2エレメント列(11b,21b) がそれぞれ形成された一対のファスナーストリンガー(10)を有するスライドファスナー(1,2,3) の製造方法であって、
    合成樹脂製の第1モノフィラメント(13a,23a) を、前記第1エレメント列(11a,21a) に成形し、同第1エレメント列(11a,21a) を単一の色に染色すること、
    合成樹脂製の第2モノフィラメント(13b,23b) を、前記第2エレメント列(11b,21b) に成形し、同第2エレメント列(11b,21b) を、前記第1エレメント列(11a,21a) とは分光反射率曲線が異なる単一の色に染色すること、及び、
    染色した前記第1エレメント列(11a,21a) 及び第2エレメント列(11b,21b) を、前記第1ファスナーテープ(12a) 及び第2ファスナーテープ(12b) の前記テープ側縁部に縫製糸(14)によりそれぞれ縫着すること、
    を含んでなることをスライドファスナーの製造方法。
  9. 前記第1エレメント列(11a) 及び前記第2エレメント列(11b) の材質を、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートにすること、及び、
    前記第1モノフィラメント(13a) 又は前記第1エレメント列(11a) と、前記第2モノフィラメント(13b) 又は前記第2エレメント列(11b) とを、互いに異なる染色液により染色すること、
    を含んでなる請求項7又は8記載のスライドファスナーの製造方法。
  10. 前記第1エレメント列(11a) の材質を、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートにすること、
    前記第2エレメント列(21b) の材質を、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートにすること、及び、
    前記第1モノフィラメント(13a) 又は前記第1エレメント列(11a) と、前記第2モノフィラメント(23b) 又は前記第2エレメント列(21b) とを、互いに同じ染色液により染色すること、
    を含んでなる請求項7又は8記載のスライドファスナーの製造方法。
  11. 前記第1エレメント列(11a) の材質を、酸化チタン非含有のポリエチレンテレフタレートにすること、
    前記第2エレメント列(21b) の材質を、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートにすること、及び、
    前記第1モノフィラメント(13a) 又は前記第1エレメント列(11a) と、前記第2モノフィラメント(23b) 又は前記第2エレメント列(21b) とを、互いに異なる染色液により染色すること、
    を含んでなる請求項7又は8記載のスライドファスナーの製造方法。
  12. 前記第1エレメント列(21a) 及び前記第2エレメント列(21b) の材質を、0.3wt%以上の酸化チタンを含有するポリエチレンテレフタレートにすること、及び、
    前記第1モノフィラメント(23a) 又は前記第1エレメント列(21a) と、前記第2モノフィラメント(23b) 又は前記第2エレメント列(21b) とを、互いに異なる染色液により染色すること、
    を含んでなる請求項7又は8記載のスライドファスナーの製造方法。
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