JP3212392B2 - セラミックスと金属との接合体 - Google Patents
セラミックスと金属との接合体Info
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Description
の接合体に関する。本発明は、特にセラミックロータ、
セラミックロッカーアーム、セラミックタペット、セラ
ミックボーリングバー等に好適に利用され得る。
部材とを接合する場合には、溶接等による化学的接合や
嵌合等による機械的接合があり、このうち、機械的接合
としては、圧入,焼バメ,冷バメ等が行われている。
焼バメや冷バメによる接合方法では、大がかりな装置が
必要であり、従って高コストであるという問題があっ
た。また、これらの方法は、セラミックスと金属との熱
膨張率の差を利用して、両部材の接合部を高温もしくは
極低温にした状態で嵌合するために、接合部が常温に戻
った時に、大きな残留応力が発生するという問題があっ
た。更に、焼バメの場合には、金属組織が変態するとい
う問題があり、冷バメの場合には、締め代があまり確保
できないという問題があった。
は、上記加熱や冷却に伴う問題は回避されるが、その反
面、セラミックスと金属との間にカジリと呼ばれる現
象、即ち圧入時に金属がセラミックスに凝着し、金属表
面がむしれた状態となる現象が発生し、圧入荷重が極端
に上昇するという難点があった。このため、接合部に残
留応力が発生し、接合強度が低下したり、或は製造した
部品に重心のアンバランスが発生する等の問題があっ
た。
二硫化モリブデンや黒鉛といった滑剤を、予め接合部に
塗布して圧入接合する技術が開発されているが、これら
の滑剤を用いた場合には、接合後にも接合部が滑り易い
ので、接合部の保持力が弱くなり、耐抜け強度や耐ねじ
り強度等が低下するという別の問題が生じていた。
でセラミックスと金属との強固な接合を可能とし、接合
後にも残留応力の発生や接合力の低下等の障害の少ない
セラミックスと金属との接合体を提供することを目的と
する。
明接合体は、セラミックス部材を金属部材の凹部または
貫通孔に嵌合してなるものにおいて、嵌合部に滑剤が介
在し、その滑剤が、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボ
ン酸誘導体またはカルボン酸置換体であって且つ金属部
材からセラミックス部材を抜くときの摩擦係数が0.0
5以上0.6以下であることを特徴とする。
ばタービンロータのタービン翼、ロッカーアームのチッ
プ、タペットのカムとの摺動部分、ボーリングバーのセ
ラミック軸部が挙げられ、一方、金属部材としては、例
えばタービン翼のボスと金属軸とを接続するスリーブも
しくはその金属軸の凹部、ロッカーアームのアーム、タ
ペットの本体、ボーリングバーの金属支持部が挙げられ
る。
酸、アビエチン酸、デキストロピマール酸であり、カル
ボン酸塩とは、例えばステアリン酸ナトリウムである。
但し、滑剤はこれに限らす、マイクロワックス等のワッ
クスであってもよい。
材からセラミックス部材を抜くときの摩擦係数を0.0
5以上0.6以下とすることにより、抜け強度が高く、
しかも加熱冷却が繰り返されて部材間に膨張差が生じる
ような条件で接合体が使用された場合でも、強固な接合
を維持しつつ、部材間の摩擦が緩和される。
いと部材相互の摩擦力が不足するため、接合強度が低く
なって実用に供することができない。他方、当該摩擦係
数が0.6より大きいとセラミックス部材への締め付け
力が強くなりすぎて、セラミックスに割れが生じる。
尚、滑剤を介在させないで、当該摩擦係数を上記範囲に
調整することは、困難であるし、精度の良い研磨等を必
要とし、コスト高となる。
カルボン酸誘導体またはカルボン酸置換体を用いるの
は、これら滑剤成分は、圧入時(常温)に充分に滑り作
用を発揮してカジリを抑制するうえ、炭素鋼、合金鋼、
SUS、耐熱鋼、インコロイ903、コバール、アルミ
ニウム合金、マグネシウム合金等の多くの金属部材が鈍
り等の変質を起こさない低温で熱処理することにより、
容易に摩擦係数を所定範囲内に調整することができるか
らである。
クス部材と金属部材とを、これら両部材の少なくとも一
方の圧入面に滑剤を塗布して圧入させることにより、圧
入時には、カジリの発生を防止して、スムーズに嵌合さ
せることができる。しかも圧入後に、圧入時の摩擦係数
よりも抜くときの摩擦係数が大きい0.05以上0.6
以下となるまで熱処理することにより、捻り強度及び抜
け強度の高い接合が維持される。
金属部材、図1(b)は、同じくセラミックス部材の軸
方向断面図、図2は、実験方法を示す説明図である。接
合体1は、セラミックス部材2と金属部材3との嵌合体
である。
素であり、焼結助剤としてアルミナ、イットリアを含む
密度3.23g/cm3、直径13.5mm、長さ40
mmの棒状部材である。金属部材3は、日本工業規格S
UH616からなる外径20mm、長さ11mmの管状
体である。そして、金属部材3の貫通孔にセラミックス
部材2が嵌合されている。
する。先ず金属部材3として、後述セラミックス部材2
を嵌合したときに所定の圧入代が得られるように加工さ
れたものを準備する。そして、その金属部材3に焼き入
れ焼き戻しを施した後、旋削加工により内周面の表面粗
さをRmax5.0μm程度に仕上げ、嵌合端縁31に
C0.5mmの面取り加工を施した。
ヤモンドホイールによりRmax2.0μm程度に仕上
げ、先端縁21に軸に対する角度4°、長さd=1mm
のテーパ加工を施した。
ラミックス部材2の接合部外周面に滑剤としてステアリ
ン酸水溶液を塗布し、図2(a)に示すようにセラミッ
クス部材2の後端面より荷重を加えて両部材を圧入し
た。その後、両部材2,3を200℃〜650℃範囲の
所定温度で30分間熱処理し、接合を完了した。これに
て接合体1を得た。金属部材3の硬度を測定したとこ
ろ、接合前と変わっていなかった。
た実験例について説明する。以下の実験は、接合体の曲
げ強度、同抜け強度、ネジリ強度及びこれら諸特性と接
合面の摩擦係数との関連を評価したものである。
度を評価するものである。すなわち、図2(a)のよう
にセラミックス部材2を金属部材3の貫通孔に圧入し
た。その後、金属部材3を支持し、図2(b)のように
セラミックス部材2の側面から500MPa以下の静荷
重を加え、片持ち曲げ応力値を測定した。その結果を表
2に示す。表中の数値は、n=2個の試料の各々の値で
ある。尚、付加する曲げ荷重を500MPa以下とした
のは、実験例2において同一試料を用いて抜け強度を測
定するためである。
は、いずれも500MPaの曲げ強度に耐えることがで
きたが、試料No.5は、1個が15MPa、他の1個
が180MPaの曲げ荷重を付加したときに、セラミッ
クス部材2の圧入端部22で破壊を生じた。これは、試
料No.5は、後述のように接合面の摩擦係数が高すぎ
るため、熱処理後の冷却時に圧入端部22で大きな歪が
残留したことによると考えられる。
度を評価するとともに、摩擦係数を算出するものであ
る。すなわち、実験例1で用いた接合体の金属部材3を
支持し、図2(b)のようにセラミックス部材2の先端
面に、セラミックス部材2が抜けるまで荷重を加えた。
前者の方が高いので、このとき加える荷重と時間との関
係は、図3のようになる。そして、最大荷重すなわち図
3の点Aの荷重を測定した。
重と時間との関係が図4のようになっても初期の極大値
である点A’の荷重を測定した。その結果を表2に示
す。表中の数値は、n=2個の試料の各々の値である。
料No.2〜4は、抜け荷重が800kg以上と高かっ
たが、本発明に属さない試料No.1は、347〜38
8kgと低かった。
属部材3の内径R3を温度20℃で正確に測定し、以下
に示す数式1に数値を代入して面圧Pmを求めた。尚、
本実験ではセラミックス部材2が中実のため、R1は、
0である。また、各材料の材料定数は、表1の通りであ
る。数式1の嵌合代は、金属部材からセラミックス部材
を抜いた後に測定したものである。その他の数値は、嵌
合前後で大差無いと認められるので、嵌合前に測定した
値を用いることができる。
るものである。すなわち、実験例1,2で用いたNo.
1,2,4と同形同質の試料を準備した。そして、金属
部材3を固定し、温度400℃でセラミックス部材2に
円周方向の回転力を付加し、セラミックス部材2が回転
し始めるときのネジリトルクを測定した。その結果を表
2に示す。表2にみられるように、本発明に属する試料
No.2,4は、ネジリ強度においても試料No.1よ
りも高かった。
断し、金属部材3の貫通孔内周面を露出させ、その露出
面をESCAで分析したところ、試料No.2〜4につ
いては、鉄Fe、炭素Cの他にC−C結合、C−O結合
及びC=O結合の存在が認められた。
てのステアリン酸が残存しているか又はステアリン酸が
変化して生じた物質が滑剤として機能しているため、摩
擦係数が所定の範囲になったものと認められる。以上の
ように、表2の曲げ強度、抜け強度及びネジリ強度は、
接合面の摩擦係数が0.05〜0.6の範囲となるとき
に優れた値を示すことが明らかである。
を評価するものである。すなわち、実験例1,2で用い
たNo.4と同形同質の試料を4個準備した。そして、
400℃で30分保持、30℃で30分保持を1サイク
ルとし、500サイクル繰り返す熱サイクル試験を行
い、試験後に実験例1と同じ方法で曲げ荷重を測定し
た。その結果、4個とも300MPaの荷重に耐えた。
2の結果と滑剤の温度変化との関連を評価するものであ
る。すなわち、ステアリン酸及びマイクロワックスを予
め40℃で2時間乾燥させ、水分を除去した後、それぞ
れ単独で示差熱分析にかけ、100〜650℃の温度範
囲における重量を測定した。測定結果を表3に示す。
テアリン酸の重量が減少し始め、400℃よりその重量
減が著しくなることが判る。この傾向は、実験例2で熱
処理温度400℃以上になると耐抜け荷重が急上昇した
結果(表2)と一致する。そして、温度が650℃に達
するとステアリン酸が分解もしくは揮発により消失して
おり、この傾向は、実験例2で熱処理温度650℃の場
合に曲げ荷重が急低下した結果(表2)と一致する。
た場合、熱処理温度及び時間が適当であると、その過半
量が分解もしくは揮発するか又は炭素のような低滑性物
質に変化するので、圧入面の摩擦係数が高くなり、しか
も残存滑剤により冷却収縮時の部材間の摩擦が緩和され
て、接合後の残留応力が軽減される。従って、高い耐曲
げ強度及び高い耐抜け強度を備えた接合体が得られるの
である。
では、塗布したステアリン酸の大半が残存しているた
め、熱処理後もセラミックス部材と金属部材との摩擦係
数が低いままであり、耐抜け強度が向上しなかったもの
と認められる。他方、熱処理温度が650℃に達する
と、ステアリン酸が残存しないため、冷却収縮時の残留
応力が高くなり、耐曲げ強度が低下したものと認められ
る。
ば100〜650℃の温度範囲でステアリン酸と同様の
温度変化をすることから、マイクロワックスを滑剤とす
れば、実験例1〜4でステアリン酸を滑剤として製造し
た接合体と同様の傾向を示すことは、明らかである。
の試料No.2と同一条件でセラミック部材2を金属部
材3の貫通孔に圧入したところ(試料数2個)、2個と
も圧入初期にカジリが発生した。所定の深さまで圧入し
た後、摩擦係数を測定するため、抜こうとしたところ、
2個ともセラミック部材が破壊した。
を少量含んだワニスを滑剤として用いる以外は、実施例
1と同一条件で接合体を製造し、実験例1〜3と同様の
実験を行った。その結果を表4に示す。
数が本発明の範囲に属するものは、曲げ強度及び抜け強
度において優れた値を示した。
料No.6は、実施例1の場合と同様に抜け強度が低か
った。他方、摩擦係数が本発明範囲より高い試料No.
8は、熱処理後の冷却時に圧入端部で亀裂が生じてい
た。
し、金属部材3の貫通孔内周面を露出させ、その露出面
をESCAで分析したところ、試料No.7について
は、鉄Fe、炭素Cの他にC−C結合、C−O結合及び
C=O結合の存在が認められた。
アビエチン酸が残存しているか又はアビエチン酸が変化
して生じた物質が滑剤として機能しているため、摩擦係
数が所定の範囲になったものと認められる。
のものに限らない。例えば、セラミックス部材2がター
ビンロータの翼車軸、金属部材3がこれと接続して回転
力をコンプレッサーホイールに伝えるタービン軸である
場合、図5に示すように金属部材3の外周にはオイルリ
ング溝32及びシールリング溝33が設けられていて、
金属部材3の外径が嵌合方向で異なる。
分ごとに数式1から面圧Pmnを求め、各々の面圧Pmn
を数式3に代入して平均面圧Pmを算出し、更にこの値
を数式2に代入することによって、摩擦係数が求められ
る。
に滑剤を介在させ、且つ金属部材からセラミックス部材
を抜くときの摩擦係数を0.05以上0.6以下として
いるので、抜け強度が高く、しかもその滑剤によって嵌
合部の応力が緩和され、過酷な加熱冷却サイクルに晒さ
れても優れた耐久性を発揮する。
す軸方向断面図である。
を示すグラフである。
を示すグラフである。
・・金属部材
Claims (2)
- 【請求項1】 セラミックス部材を金属部材の凹部また
は貫通孔に嵌合してなるものにおいて、嵌合部に滑剤が
介在し、その滑剤が、カルボン酸、カルボン酸塩、カル
ボン酸誘導体またはカルボン酸置換体であって且つ金属
部材からセラミックス部材を抜くときの摩擦係数が0.
05以上0.6以下であることを特徴とするセラミック
スと金属との接合体。 - 【請求項2】 セラミックス部材がタービンロータの翼
車軸であって、金属部材がタービン軸であることを特徴
とする請求項1のセラミックスと金属との接合体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35095092A JP3212392B2 (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | セラミックスと金属との接合体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35095092A JP3212392B2 (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | セラミックスと金属との接合体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06170653A JPH06170653A (ja) | 1994-06-21 |
JP3212392B2 true JP3212392B2 (ja) | 2001-09-25 |
Family
ID=18414014
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35095092A Expired - Fee Related JP3212392B2 (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | セラミックスと金属との接合体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3212392B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101225790B1 (ko) * | 2010-03-30 | 2013-01-23 | 현대제철 주식회사 | 잔류응력 검증용 시편 |
-
1992
- 1992-12-03 JP JP35095092A patent/JP3212392B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
新田勇ら、「シュリンクフィッターを用いたセラミックスと金属の締りばめの高温結合強度に関する研究」、日本機械学会論文集、Vol.55、No.520、p.3062−3068、(1989) |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06170653A (ja) | 1994-06-21 |
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