JP3211142B2 - 懸濁液の濃度検出装置 - Google Patents

懸濁液の濃度検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工場排水等を処理
する水処理装置において、工場排水の濃度を自動的に検
出する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来において、例えば、便器や手洗器,
洗面器等の衛生陶器を製造する工場やタイル工場等の釉
薬を取り扱う工場等においては、釉薬を含んだ懸濁液の
工場排水が排出される。この工場排水は、そのまま下水
等へ排出することはできず、浄化処理することが必要で
ある。
【0003】図2は、従来の釉薬を含んだ懸濁液の工場
排水を処理する装置の全体を示すシステム図である。同
図に示すように、この従来装置では、先ず釉薬を含んだ
懸濁液の工場排水を一旦原水槽1へ貯溜し、これを揚水
ポンプ2で反応槽3へ汲み上げている。反応槽3では、
ポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を投入している。凝集
剤は、後述する沈殿槽5において、懸濁液の粒子の凝集
を促進させ、水処理効率を良くするためのものである。
【0004】ところで、凝集剤を投入すると、懸濁液は
酸性になる。そのため、pH調整が必要であり、この従
来装置では次の反応槽4でNaOHを投入してpH調整
を行っている。そして、最後に沈殿槽5で懸濁液の粒子
を沈殿させ、上方の清水のみを取り出して下水等へ排水
している。
【0005】而して、効率良く水処理するためには、反
応槽3においてその流入量が一定であるとすると、原水
槽1から汲み上げられて来る工場排水の濃度に応じた量
の凝集剤を投入する必要がある。然しながら、工場排水
の濃度が高濃度である場合には、反応槽3へ投入できる
凝集剤の限界量を越える場合があり、通常の処理が行え
なくなる虞れがある。
【0006】そのため、従来にあっては、反応槽3で投
入できる凝集剤の量を越えた高濃度の工場排水が排出す
る場合には、その流量を減らすべく、逃がし弁6を操作
して戻り管路7から原水槽1へ還流させ、反応槽3へ流
入する工場排水の量を調整している。然しながら、前記
逃がし弁6の開閉操作による流量調整は、作業員が反応
槽3における状態を経験則に基づいて目視により確認し
ながら行わなければならず、監視員を常時配置しておか
ねばならず、不正確であり、非能率的でもあった。
【0007】また従来の別な方法としては、原水槽1を
大型化し、工場排水の濃度の影響が少なくなるように平
均化する場合もある。然しながら、原水槽1の大型化
は、設備費用の高騰や広い設置スペースが必要である等
の問題があり、あまり一般的ではなかった。
【0008】そこで、本出願人は、このような問題点を
解決する技術として、図3に示す原理の懸濁液の濃度検
出装置を、特願平4−223182号で出願済みであ
る。この先願技術は、反応槽3の懸濁液の中へ外パイプ
9を挿入している。外パイプ9を挿入することにより、
外パイプ9内の懸濁液の粒子は時間が経過するに伴って
沈降し、清水となる。そのため、反応槽3内の懸濁液と
の間で濃度差に基づく比重差を発生し、外パイプ9内の
清水は懸濁液に押し上げられ水位差を発生するようにな
る。従って、この水位差を検出することにより、反応槽
3内における懸濁液の濃度を検出することが可能であ
る。
【0009】水位差の検知は、外パイプ9の上端側に清
水パイプ10を嵌合装着し、清水パイプ10の内部に密
閉室11を形成し、その圧力をホース12を介して連通
接続されたダイヤフラム式の圧力検出器13で検知して
いる。圧力検知器13の出力信号は、変換器14で電気
信号に変換され、更にインバータ15で周波数変換され
て揚水ポンプ2をインバータ制御するようにしている。
なお、16は、変換器14の出力信号を、インバータ1
5へ出力するための調節計である。
【0010】つまり、揚水ポンプ2は、結果として反応
槽3内の懸濁液の濃度に応じて、自動的にその汲み上げ
流量をコントロールして、反応槽3へ供給するようにな
る。そのため、原水槽1へ流入する工場排水の濃度の変
化があった場合でも、反応槽3へ投入できるポリ塩化ア
ルミニウム等の凝集剤の最大量に適切に対応すべく、原
水槽1から反応槽3へ供給される排水の量をコントロー
ルでき、反応槽3内において最も効率良く、懸濁液と凝
集剤とを反応させることが可能である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記本出願
人の先願技術では、装置の起動時又は濃度差による揚水
ポンプ2の急激な汲み上げ時に、懸濁液の液面高さが急
激に増加し、これに伴って清水パイプ10内の密閉室1
1の圧力も急激に変動して増加することがあった。その
ため、密閉室11の圧力が、圧力検知器13の測定可能
な最大レンジをオーバーし、調節計16が制御不能状態
となり、揚水ポンプ2が最大出力の駆動のままでロック
され、適正な懸濁液の汲み上げが行われなくなる虞れが
あった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、装置の起動
時又は急激な懸濁液の汲み上げ時であっても、圧力検知
器が最大レンジをオーバーすることのない安定した動作
を確保できる懸濁液の濃度検出装置を提供せんとするも
のである。
【0013】而して、前記課題を解決するために本発明
が採用した請求項1の手段は、懸濁液の貯溜槽の中へ挿
入したパイプ内の粒子を沈降させて清水とし、該清水の
水面と貯溜槽内の懸濁液の水面との水位差を圧力検知器
で検出することにより懸濁液の濃度を検出するようにし
た装置において、貯溜槽内へ挿入した外パイプの中へ上
端側を密閉した清水パイプを設置し、更にこの清水パイ
プと前記外パイプとの間へ上端側を密閉した中間パイプ
を設置し、中間パイプ内を圧力検知器の基準圧側へ連通
接続すると共に、清水パイプ内を圧力検知器の濃度検知
側へ連通接続したことを特徴とする懸濁液の濃度検出装
置である。
【0014】また本発明が採用した請求項2の手段は、
清水パイプの下端高さを中間パイプの下端高さよりも圧
力検知器の最大レンジ幅よりも小さく設定したことを特
徴とする前記請求項1に記載の懸濁液の濃度検出装置で
ある。
【0015】更に、本発明が採用した請求項3の手段
は、中間パイプの下端側を内径方向へ絞り、下端面に表
面張力解除用の径方向への切欠凹部を入れたことを特徴
とする前記請求項1又は2に記載の懸濁液の濃度検出装
置である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の濃度検出装置
を、釉薬を含んだ工場排水を処理する場合の実施の形態
に基づいて図面を参照して説明すると次の通りである。
なお、従来の場合と同一符号は同一部材である。図1は
本発明の一実施の形態を示すパイプ部分の半縦断面図で
ある。同図に示す如く、反応槽3内の懸濁液中には、外
パイプ9がその上端面を液面より外部へ突出して挿入さ
れており、外パイプ9内には上端面を密閉された清水パ
イプ10が配設されている。この清水パイプ10内に、
密閉室11が形成されることは前記本出願人の先願技術
の場合と同じである。
【0017】而して、外パイプ9と清水パイプ10との
間には、上端面を密閉された中間パイプ17が配設され
ている。この中間パイプ17の下端面高さは、前記清水
パイプ10の下端面高さよりもXmmAqだけ高く設定
されている。Xの値は、圧力検出器13の測定可能な最
大レンジよりも小さくなるように設定されている。つま
り、圧力検出器13の最大レンジをYmmAqとする
と、X<Yである。
【0018】また中間パイプ17の下部側は、下端側へ
向かうに連れて内径方向へ縮径するテーパー面18とさ
れており、下端面の一部には例えばV字状の切欠凹部1
9が形成されている。これらのテーパー面18及び切欠
凹部19は、清水面が表面張力による影響を受けないよ
うにするためのものである。更に、外パイプ9の上端面
側は、風による清水面の変動を防止するために閉塞され
ており、大気へ連通するための小孔20が穿設されてい
る。
【0019】前記圧力検出器13は、その検知側が清水
パイプ10の密閉室11に連通接続されており、基準圧
側が中間パイプ17の上部内に連通接続されている。そ
の他の構成は、図3に示す本出願人の先願技術と同じで
ある。
【0020】次に、上述の如く構成された懸濁液の濃度
検出装置の動作態様を説明する。通常の運転状態にあっ
ては、反応槽3の懸濁液内に挿入浸漬された外パイプ9
内の清水の水面が、懸濁液の濃度に応じて懸濁液の水面
との間に水位差を発生させる。この水位差は、清水パイ
プ10の密閉室11の圧力変動として圧力検出器13で
検出される。圧力検出器13は、中間パイプ17内の圧
力を基準圧力とし、この基準圧力に対して清水パイプ1
0内の密閉室11の圧力がどの値を示すかを検知し、そ
の出力値に応じて揚水ポンプ2を制御するものである。
【0021】而して、前記圧力検出器13は、清水の水
面が中間パイプ17の下端面になるように揚水ポンプ2
を制御しており、例えば、清水の水面が中間パイプ17
の下端よりも低い場合は、反応槽3内の懸濁液の濃度は
低く、反応槽3の処理能力に余力があるので、揚水ポン
プ2の出力を上げ、清水の水面が中間パイプ17の下端
面になるように反応槽3への懸濁液の流入量を増加させ
る。また清水の水面が中間パイプ17の下端よりも高い
場合は、反応槽3の処理能力の限界に近いと判断し、揚
水ポンプ2の出力を下げ、清水の水面が中間パイプ17
の下端面になるように反応槽3への懸濁液の流入量を減
少させる。
【0022】この清水の水面を低下させる場合にあっ
て、中間パイプ17の下端外周面と、外パイプ9の内周
面との間の距離が短いと、表面張力により清水の水面が
中間パイプ17の下端面と外パイプ9の内周面との間に
跨がって変位しなくなり、正確な水位差を検出できなく
なる虞れがある。そこで、この実施の形態では、中間パ
イプ17の下部側を内径方向へ縮径させてテーパー面1
8を形成し、また下端面に切欠凹部19を形成して表面
張力の形成を破壊し、正確な水面変動が得られるように
している。
【0023】また図3に示すように、外パイプ9の上端
面が大気へ開口していると、風の影響を受けて外パイプ
9内の清水の水面が変動する。この変動は、当然に圧力
検出誤差の原因となる。そこで、この実施の形態では、
外パイプ9の上端面側を閉塞し、途中に大気へ連通する
小孔20を形成することで、風による清水の水面の変動
を防止し、風に起因する検出誤差を発生しないようにし
ている。これにより、正確な清水面の変動を検知するこ
とが可能であり、水処理システム全体の信頼性の向上を
図ることが可能である。
【0024】ところで、このような懸濁液の濃度検出装
置にあっては、水処理システムの起動時及び急激な懸濁
液の汲み上げ時には、懸濁液の急激な液面の上昇があ
り、清水面にも影響を及ぼす。然しながら、この実施の
形態では、圧力検出器13が中間パイプ17内の圧力を
基準圧力としており、中間パイプ17の下端面高さより
も急激に高くなるような清水面の変動があった場合に
は、清水パイプ10内の密閉室11が圧力変動し、同じ
ように中間パイプ17内の基準圧力も変動する。
【0025】そのため、圧力検出器13で検出される清
水パイプ10内の密閉室11と、中間パイプ17内の圧
力との圧力差は、これらの両パイプ10及び17の高さ
の差(XmmAq)以上に広がることはなく、圧力検出
器13の最大レンジを越えることはない。つまり、圧力
検出器13はその最大レンジを越える液面の変動があっ
た場合でも測定不能になることはなく、揚水ポンプ2が
最大出力のままでロックされることはなく、適切な懸濁
液の汲み上げを行うことが可能である。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明にあっては、
懸濁液内へ挿入浸漬した外パイプ内の清水と懸濁液との
水位差とを、外パイプ内へ配設した清水パイプと中間パ
イプとの圧力差を検出することにより、懸濁液の濃度を
検出しており、水処理システムの起動時や懸濁液の急激
な汲み上げ時等の急激な液面変動があった場合でも、極
めて容易に且つ正確に懸濁液の濃度を検出することが可
能である。
【0027】また本発明の懸濁液濃度検出装置は、清水
面の表面張力による影響や風による影響を受けることが
なく、正確な水位差の検出が可能であり、制御精度の向
上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の作動原理を説明するパイプ部分の
半縦断面図である。
【図2】従来の水処理装置の全体システム図である。
【図3】本出願人の先願装置の作動原理を説明するパイ
プ部分の縦断面図である。
【符号の説明】
1…原水槽 2…揚水ポンプ 3…反応槽 9…外パイプ 10…清水パイプ 11…密閉室 13…圧力検知器 14…変換器 15…揚水ポンプ 17…中間パイプ 18…テーパー面 19…切欠凹部 20…小孔

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】懸濁液の貯溜槽の中へ挿入したパイプ内の
    粒子を沈降させて清水とし、該清水の水面と貯溜槽内の
    懸濁液の水面との水位差を圧力検知器で検出することに
    より懸濁液の濃度を検出するようにした装置において、
    貯溜槽内へ挿入した外パイプの中へ上端側を密閉した清
    水パイプを設置し、更にこの清水パイプと前記外パイプ
    との間へ上端側を密閉した中間パイプを設置し、中間パ
    イプ内を圧力検知器の基準圧側へ連通接続すると共に、
    清水パイプ内を圧力検知器の濃度検知側へ連通接続した
    ことを特徴とする懸濁液の濃度検出装置。
  2. 【請求項2】清水パイプの下端高さを中間パイプの下端
    高さよりも圧力検知器の最大レンジ幅よりも小さく設定
    したことを特徴とする前記請求項1に記載の懸濁液の濃
    度検出装置。
  3. 【請求項3】中間パイプの下端側を内径方向へ絞り、下
    端面に表面張力解除用の径方向への切欠凹部を入れたこ
    とを特徴とする前記請求項1又は2に記載の懸濁液の濃
    度検出装置。
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