JP3210177B2 - 板取り方法 - Google Patents

板取り方法

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JP3210177B2
JP3210177B2 JP11643994A JP11643994A JP3210177B2 JP 3210177 B2 JP3210177 B2 JP 3210177B2 JP 11643994 A JP11643994 A JP 11643994A JP 11643994 A JP11643994 A JP 11643994A JP 3210177 B2 JP3210177 B2 JP 3210177B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は板取り方法に係り,詳し
くは金属等の複数のスラブから複数の注文を最適に取り
合わせる材料板取り方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,複数のスラブに複数の注文を充当
して板取り計画を作成するに際しては,計画作成担当者
が,与えられた複数のスラブと注文の情報から,これら
の組み合わせを試行錯誤的に求め,板取りをしていた。
しかし,このような人手による試行錯誤的な組み合わせ
による板取り計画では,求められる組み合わせ数には限
度があり,最終的な板取りの最適性を評価することが困
難であるなどの問題点があった。そこで,本発明者ら
は,次のような自動的に最適な板取り計画を作成しうる
板取り方法を開発した(特願平4−291672号)。
図9はこのような自動的な従来の板取り方法の一例にお
ける板取り計画の作成手順を示す説明図,図10はスラ
ブと注文との各仕様及びこれらの組み合わせ内容を示す
図表,図11は従来の板取り方法による板取り計画図で
ある。ここで,板取り問題とは,複数のスラブSに複数
の注文を最適に充当する問題である。この最適とは板取
り計画の作成に際し,スラブSの廃却部分の面積が最小
になるということに加え,生産性,注文の納期,スラブ
Sをなるべく早く使う等の所定の条件を最も満足させる
ことを意味する。又,この板取り問題は,以下の特徴を
持っている。 (1)各注文Oに応じるためのスラブSの形状は同一
(矩形)であるが,長さ×厚み×幅×鋼種の属性があ
り,種類がかなり多い。 (2)1つの注文Oに複数の鋼種のスラブSが充当可能
である。 (3)決まったサイズの材料から注文Oを充当するので
はなく,スラブSを圧延して材料をつくるので材料のサ
イズは可変である。 (4)注文Oの同一材料内での並び方には制約がある
(例えば,先頭の注文より幅の大きい注文は取れな
い)。 (5)同じ材料からは同じ厚みの注文Oしかとれない。 (6)上記(2)の裏返しで,注文Oがとれる材料は鋼
種により制限される。 このような問題は,スラブSに注文Oを充当(スラブS
と注文Oとの組み合わせを決定)し,スラブS内での注
文Oの配置を決定する組み合わせ最適問題であり,特に
上記(1)〜(3)の理由で大規模な解空間を持つ問題
であるといえる。このため,大規模組み合わせ最適問題
の解法として有力である遺伝的アルゴリズム(以下GA
と略する)を用いる。即ち,GAにより遺伝子にみたて
た問題の解候補を進化させて最適解を求める。実際の問
題に適用する場合,解空間を狭めるために,データをあ
る基準でグループ化し,それぞれのグループに対しGA
を適用するものとした。
【0003】以下,図9を参照して,従来の板取り方法
についてステップS1,S2,…の順に説明する。図9
に示す如く,従来の板取り方法では,先ずスラブSと注
文Oの各データを入力し(S1),グループ化する(S
2)。グループ化の方法としては,例えば注文Oを使用
可能鋼種の共通なものでグループ化する方法や,さらに
このグループ化で分類したものを板取りグループ化する
方法などがある。次に,グループ番号i=1として初期
設定(S3)後,GAによるグループiの最適化を行う
(S4′)。GAでは,例えば図10(a),(b)に
示すようなスラブSと注文Oに対し問題解候補を固定長
の文字列で表したコードで表現する。このコードに対応
するスラブSと注文Oとの組み合わせは図10(c)の
ようになる。即ち,まず図10(a)のスラブ1〜6の
中からスラブ2を任意に選択し,最初のスラブ使用順と
する。スラブ2の鋼種はBであるため,鋼種Bについて
の注文6を図10(b)の注文1〜7の中から任意に選
択し,最初の注文充当順とする。注文6の厚みは15m
mであり,他に同鋼種で同一厚みの注文が見当たらない
ため,次のスラブ選択に移る。次に,残りのスラブ1,
3〜6の中からスラブ6を任意に選択し,2番目のスラ
ブ使用順とする。スラブ6の鋼種はBであるため,鋼種
Bについての注文1を残りの注文1〜5の中から任意に
選択し,2番目の注文充当順とする。注文1の厚みは1
0mmであり,これと同鋼種で同一厚みの注文2がある
ため,注文2を選択し,3番目の注文充当順とする。他
に同鋼種で同一厚みの注文が見当たらないため,次のス
ラブ選択に移る。このように順次スラブ使用順と注文充
当順とを選択してスラブSと注文Oとの組み合わせを決
めていく様子を図10(c)に示しており,コード例は
これに対応するものである。このようなコードを適当数
作り,これらを遺伝子にみたてて母集団である最初の世
代を発生させ,GAによりコード組み替えを行う。それ
ぞれ組み替えられたコードについて図11に示すような
板取り計画を作成し,各計画について前記所定の条件に
基づく評価関数を適用して評価する。そして,母集団に
含まれる全ての遺伝子について世代交代を行い,世代数
が設定値となるまで繰り返す。このようなGAによるグ
ループiの最適化終了後,グループiにおける最適な板
取り計画結果を出力する(S5)。i=i+1とする
(S6)。上記ステップS4′〜S6を全てのグループ
について繰り返す(S7)。以上のようにして全グルー
プについて遺伝子にみたてたスラブSの使用順と注文O
の充当順とを表すコードを進化させることにより自動的
に最適な板取り計画を作成することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
板取り方法では,全てのスラブと注文とについてコード
化し,それらの最適な組み合わせをGAで求めている。
この場合,計算過程で部分的によい解(部分解:一つの
スラブに着目した時の最適な注文の充当)ができても全
体の評価が低いと淘汰されたり,遺伝子操作の段階で部
分的によい解が壊される可能性がある。このため,板取
り計画に用いる情報量が非常に多い場合には,最適な解
を求めるのに膨大な時間がかかる。また,板取り問題で
は,このような部分的によい解は他の組み合わせと独立
して存在するので,すべてのスラブと注文とをコード化
して解を求めるのは無駄である。しかし,最初から,ど
のスラブとどの注文とが部分的によい解を作成するかは
推定できないので,最初から問題を部分問題に分解でき
ない。また,GAでは初期世代発生の際に作られた組み
合わせがその後の遺伝子操作によって解空間の探索が行
われる際に重要な役割を果たす。従って,最初から評価
の高い組み合わせを保持する事は計算を速く終了させる
ためにも重要であるが,それらについての考え方が従来
方法には導入されていない。本発明は,このような従来
の技術における課題を解決する為に,板取り方法を改良
し,板取り計画に用いる情報量が多い場合でも,比較的
短い時間で最適な板取り計画を作成し得る板取り方法を
提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明は,複数の板材の各々に1以上の注文を充
当して板取り計画を作成するに際し,上記板材の使用順
と該板材への上記注文の充当順との複数の組み合わせよ
りなる母集団の各組みの使用順と充当順とを遺伝的アル
ゴリズムにより組み替えて各々の組み合わせについての
板取り計画を作成し,上記各板取り計画について該板取
りに対する所定の条件に基づく評価関数を適用して部分
的に最適な板取り計画を抽出し,上記部分的に最適な板
取り計画に用いた上記板材の使用順と注文の充当順との
組みを除いた残りの母集団における使用順と充当順とを
用いて上記板取り計画の作成と抽出とを順次繰り返すこ
とにより最適な板取り計画を決定してなる板取り方法と
して構成されている。第2の発明は,複数の板材の各々
に1以上の注文を充当して板取り計画を作成するに際
し,上記板材の使用順と該板材への上記注文の充当順と
を板取りに対する所定の条件に基づいて複数組み合わせ
ることにより母集団を発生させ,上記発生させた母集団
の各組みの使用順と充当順とを遺伝的アルゴリズムによ
り組み替えて各々の組み合わせについての板取り計画を
作成し,上記各板取り計画について上記板取りに対する
所定の条件に基づく評価関数を適用して最適な板取り計
画を抽出することにより最適な板取り計画を決定してな
る板取り方法である。第3の発明は,複数の板材の各々
に1以上の注文を充当して板取り計画を作成するに際
し,上記板材の使用順と該板材への上記注文の充当順と
を板取りに対する所定の条件に基づいて複数組み合わせ
ることにより母集団を発生させ,上記発生させた母集団
の各組みの使用順と充当順とを遺伝的アルゴリズムによ
り組み替えて各々の組み合わせについての板取り計画を
作成し,上記各板取り計画について上記板取りに対する
所定の条件に基づく評価関数を適用して最適な板取り計
画を抽出し,上記部分的に最適な板取り計画に用いた上
記板材の使用順と注文の充当順との組みを除いた残りの
母集団における使用順と充当順とを用いて上記板取り計
画の作成と抽出とを順次繰り返すことにより最適な板取
り計画を決定してなる板取り方法である。
【0006】
【作用】第1の発明によれば,複数の板材の各々に1以
上の注文を充当して板取り計画を作成するに際し,上記
板材の使用順と該板材への上記注文の充当順との複数の
組み合わせよりなる母集団の各組みの使用順と充当順と
を遺伝的アルゴリズムにより組み替えて各々の組み合わ
せについての板取り計画が作成される。次に,上記各板
取り計画について該板取りに対する所定の条件に基づく
評価関数を適用して部分的に最適な板取り計画が抽出さ
れる。そして,上記部分的に最適な板取り計画に用いた
上記板材の使用順と充当順との組みを除いた残りの母集
団における使用順と充当順とを用いて上記板取り計画の
作成と抽出とを順次繰り返すことにより最適な板取り計
画が決定される。板取り問題は母集団の組み合わせの問
題であるので,このように,発生させる母集団の大きさ
を徐々に縮小することにより組み合わせの数が著しく減
少し,最適な板取り計画にいたるまでの計算時間を短縮
することができる。第2の発明によれば,複数の板材の
各々に1以上の注文を充当して板取り計画を作成するに
際し,上記板材の使用順と該板材への上記注文の充当順
とを板取りに対する所定の条件に基づいて複数組み合わ
せることにより母集団が発生させられる。上記発生させ
られた母集団の各組みの使用順と充当順とを遺伝的アル
ゴリズムにより組み替えて各々の組み合わせについての
板取り計画が作成される。そして,上記各板取り計画に
ついて上記板取りに対する所定の条件に基づく評価関数
を適用して最適な板取り計画を抽出することにより最適
な板取り計画が決定される。
【0007】このように最初から評価の高くなるような
組み合わせを保持することにより,計算時間を大幅に短
縮することができる。第3の発明によれば,複数の板材
の各々に1以上の注文を充当して板取り計画を作成する
に際し,上記板材の使用順と該板材への上記注文の充当
順とを板取りに対する所定の条件に基づいて複数組み合
わせることにより母集団が発生させられる。上記発生さ
せられた母集団の各組みの使用順と充当順とを遺伝的ア
ルゴリズムにより組み替えて各々の組み合わせについて
の板取り計画が作成される。次に,上記各板取り計画に
ついて上記板取りに対する所定の条件に基づく評価関数
を適用して最適な板取り計画が抽出される。そして,上
記部分的に最適な板取り計画に用いた上記板材の使用順
と充当順との組みを除いた残りの母集団における使用順
と充当順とを用いて上記板取り計画の作成と抽出とを順
次繰り返すことにより最適な板取り計画が決定される。
このように最初から評価の高くなるように発生させた母
集団の大きさを徐々に縮小することにより組み合わせの
数がより著しく減少し,最適な板取り計画にいたるまで
の計算時間を一層短縮することができる。その結果,板
取り計画に用いる情報量が多い場合でも,比較的短い時
間で適切な板取り計画を作成し得る板取り方法を得るこ
とができる。
【0008】
【実施例】以下,添付図面を参照して本発明を具体化し
た実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以
下の実施例は本発明を具体化した一例であって,本発明
の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここに,
図1は本発明の第1の実施例に係る板取り方法による板
取り計画の作成手順の概略フローを示す説明図,図2は
上記板取り方法による板取り計画の作成手順の部分詳細
フローを示す説明図,図3は板取り計画の作成状態を
示す説明図,図4は板取り計画の作成状態を示す説明
図,図5は板取り計画の作成状態を示す説明図,図6
は本発明の第2,第3の実施例に係る板取り方法による
板取り計画の作成手順の部分詳細フローを示す説明図,
図7は注文とスラブの情報及び上記情報及び上記情報か
ら生成されるコードを示す図表,図8は評価結果を示す
図である。図1に示す如く,第1の発明の一実施例(第
1の実施例)に係る板取り方法は,複数のスラブS(板
材に相当)の各々に一以上の注文Oを充当して板取り計
画を作成するに際し,スラブSと注文Oとのデータ入力
を行い(S1),データのグループ化を行い(S2),
i=1とした後(S3),GAによるグループiの最適
化を行う(S4)。そして,グループiにおける最適な
計画結果を出力し(S5),i=i+1とし(S6),
ステップS4〜S6を全てのグループについて繰り返す
(S7)ように構成されている点で従来例と同様であ
る。しかし,本第1の実施例では,ステップS4におい
て,スラブSの使用順とこのスラブへの注文Oの充当順
との複数の組み合わせよりなる母集団を発生させ(S4
a),この母集団の各組みの使用順と充当順とをGAに
より組み替えて各々の組み合わせについての板取り計画
を作成し(S4b),各板取り計画についてその板取り
に対する所定の条件に基づく評価関数を適用して部分的
に最適な板取り計画を抽出し(S4c),この部分的に
最適な板取り計画に用いたスラブSの使用順と注文Oの
充当順との組みを除いた残りの母集団における使用順と
充当順とを用いて板取り計画の作成と抽出とを順次繰り
返す(S4d)ように構成されている点で従来例と異な
る。以下本第1の実施例では,主として従来例と異なる
部分について説明し,従来例と同様の部分については前
述の通りであるので詳細な説明は省略する。
【0009】図2は上記ステップS4の詳細フローを示
すものである。図中,スラブSと注文Oのデータをコー
ド化し(S11),これらを遺伝子に見立てて母集団で
ある最初の世代を発生させる(S12)。この時,各コ
ードの評価関数E(適用度)を計算しておく。その計算
方法は後述する。ここでは評価関数Eの小さいものが適
用度が大きいものとするが,逆にしてもよい。この適用
度の大きい順に2つの遺伝子を選択し(S13),これ
らの遺伝子を複数コピーして増殖させる(S14)。次
に遺伝子を掛け合わせて確率的な交叉を行う(S1
5)。具体的には任意の2つのコード中のスラブSの使
用順及び/又は注文Oの充当順の一部を入れ換える。ま
た,確率的な突然変異を生じさせる(S16)。具体的
には任意の1つのコード中のスラブSの使用順及び/又
は注文順の一部を不規則に入れ換える。上記ステップS
13〜S16の遺伝子操作により,適当数の新しい遺伝
子を発生させる。これらの遺伝子が表す板取り計画の最
適性を評価するために評価関数Eを求める(S17)。 E=ωaA+ωbB ただし, E:評価関数の総和 A:〔(P/TP)・100〕2 B:〔(1−YR)・100〕2 ωa,ωb:重み(0.0〜1.0) P=Σpi TP=Σpj pi:充当できなかったmust注文iのpriori
ty pj:must注文jのpriority YR=(Σyrs)/N yrs:スラブSの歩留(S=1〜N) N:スラブ数
【0010】ここで,must注文というのは,納期が
迫っている注文Oであり,各注文Oには納期に関する指
数(p,priority)をもたせる。近い納期を有
する注文Oの指数pが高くて,遠い納期を有する注文O
の指数pが低くなるように設定する。must注文以外
の注文の指数pは0とする。上記ステップS13〜S1
7を母集団に含まれる全ての遺伝子について行い,世代
交代させる(S18)。評価関数Eの極小値(又は極大
値)をなす全ての解の充当する各スラブについて,次の
2つの取り除く条件RCを満足するか否かをチェックす
る(S19)。 (1)充当した注文Oはすべて大きい指数pを持ってい
る注文である。この大きい指数pというのは,ユーザー
が決めた指数限界Pmin以上であると定義する。 (2)注文OとスラブSとの組み合わせの歩留りは歩留
り限度YRminより大きい。歩留り限度YRminは
ユーザーが決めた値である。 もし,上記条件RCを満足する部分解が2つ以上あれ
ば,同じ注文O又はスラブSがそれらに含まれているか
否かをチェックする(S20)。ある場合には,良い方
の部分解を選ぶ(S21)。ない場合は全ての部分解を
採用する。除去された解の注文OとスラブSのデータを
グループiの注文OとスラブSのデータから除去し(S
22),そのデータをデータファイル(不図示)に書き
込む(S23)。残っているスラブデータと注文データ
とで次の世代の母集団を発生させる(S12)。上記条
件RCを満足する解がなければ世代数が設定値となるま
で世代交代を繰り返す(S24)。この場合,次の世代
へ移る(S26)前に今の世代の最も良い適用度,最も
悪い適用度,世代の適用度の平均等を計算する所謂St
atisticsを実行する(S25)。そして,設定
された世代数まで繰り返すと,全世代での一番良い解を
選び(S27),それをファイルに書き込む(S2
8)。上記ステップS11及びS12が図1におけるス
テップS4aに相当し,同様にステップS13〜S1
8,S24〜S28がステップS4bに,ステップS1
9〜S21,S23がステップS4cに,ステップS2
2がステップS4dにそれぞれ相当する。
【0011】以下,上記方法を用いて板取りした結果を
図3〜図5を用いて説明する。ここでは,スラブ数が
5,注文数が10の1つのグループがあるとする。各注
文の指数pは図中の()内の数値で示す。注文の指数p
の平均をPavgと呼ぶ。ここで取り除く条件RCのパ
ラメータを以下のとおりとする。 指数p=充当できた注文の指数pの平均 指数pの限界Pmin=Pavg 歩留りの限界YRmin=89% 尚,世代数は30,個体数は100と設定した。最初に
全スラブと全注文との組み合せの最適化を行う(その状
態を図3に示す)。世代9の後に,2つの取り除く条
件RCを満足する部分解(部分解50/1,部分解10
0/1)ができた。次に同じ注文又はスラブが他の部分
解に含まれているか否かをチェックする(図2のステッ
プS20)。この場合には,スラブ1と注文9とが各部
分解に含まれているので良い方を選ぶ(S21)。又,
部分解50/1の方が良いから部分解50/1を選ぶ。
この部分解をデータから除去し(S22),データファ
イルに書き込む(S23)。そして,残っているスラブ
と注文との組み合わせの最適化を行う(S12からやり
直す)(その状態を図4に示す)。世代12の後に取
り除く条件RCを満足する解(部分解1/3)ができた
(S19における「YES」)。この場合は,部分解は
1つである(S20の「NO」)。この解をデータから
除去し(S22),データファイルに書き込む(S2
3)。そして,残っているスラブと注文との組合わせの
最適化を行う(その状態を図5に示す)。しかし,取
り除く条件RCを満足する解はできなかったので世代数
30まで繰り返した。そこで全世代への最適解(解5
0)をファイルに書き込む(S27,S28)。以上の
ように板取り問題は母集団の組み合わせの問題であるの
で,各世代から条件RCを満足する最適解を取り除いて
発生させる母集団の大きさを除々に縮小することによ
り,組み合わせの数が著しく減少し,適切な板取り計画
に至るまでの計算時間を短縮することができた。
【0012】また,GAでは初期世代発生の際に作られ
た組み合わせがその後の遺伝子操作によって解空間の探
索が行われる際に重要な役割を果たす。従って,最初の
評価の高い組み合わせを保持する事は計算を速く終了さ
せるためにも重要であるが,それらについての考え方を
従来の方法に導入したのが第2の発明であり,また上記
第1の発明の方法に導入したのが第3の発明である。即
ち,第2の発明の一実施例(第2の実施例)に係る板取
り方法では,前記図9のステップS4′において,スラ
ブSの使用順とこのスラブへの注文0の充当順とを板取
りに対する所定の条件に基づいて複数組み合わせること
により母集団を発生させ(S4a′),この母集団の各
組みの使用順と充当順とをGAにより組み替えて各々の
組み合わせについての板取り計画を作成し(S4
b′),各板取り計画について上記板取りに対する所定
の条件に基づく評価関数を適用して最適な板取り計画を
抽出(S4c′)することにより最適な板取り計画を決
定する。また,第3の発明の一実施例(第3の実施例)
に係る板取り方法では,前記図1のステップS4におい
て,スラブSの使用順とこのスラブへの注文Oの充当順
とを板取りに対する所定の条件に基づいて複数組み合わ
せることにより母集団を発生させ(S4a),この母集
団の各組みの使用順と充当順とをGAにより組み替えて
各々の組み合わせについての板取り計画を作成し(S4
b),各板取り計画について上記板取りに対する所定の
条件に基づく評価関数を適用して部分的に最適な板取り
計画を抽出し(S4c)この部分的に最適な板取り計画
に用いたスラブSの使用順と注文Oの充当順との組みを
除いた残りの母集団における使用順と充当順とを用いて
板取り計画の作成と抽出とを順次繰り返す(S4d)。
以下本第2,第3の実施例では,主として従来例又は第
1の実施例と異なる部分について説明し,従来例又は第
1の実施例と同様の部分については前述の通りであるの
で詳細な説明は省略する。
【0013】図6は上記ステップS4又はS4′におけ
る最初の母集団発生(S4a又はS4a′)の詳細フロ
ーを示すものである。ここでは上記所定の条件に基づく
評価の高い組み合わせの作成は,注文の組み合わせを納
期の早い順に並べる事とスラブの組み合わせをスラブの
古さ順に並べる事とにより為されているが,他の条件に
よってもよい。但し,評価関数にも同一の条件を用いる
ことが前提となる。ここで具体的な例を示す。例えば図
7(a)に示すようなスラブSと,注文Oの情報とを用
いる。これにより作成される組み合わせは図7(b)に
示すようなコードで表現され,GAが適用される。この
方法により板取りを行う際の他の条件は次の通りとし
た。即ち,母集団の7%を評価の高い組み合わせで作成
し,母集団に含ませた。この結果,上記第2,第3の実
施例ともに評価の高い組み合わせを用いないときよりも
比較的短時間で板取り計画を作成する事ができた。図8
に計算の際の評価の値が世代(計算時間)が経つにつれ
て変化する様子を示す。これより上記方法で計算を行う
と従来の方法等よりも計算が速く終了することが分か
る。以上のように板取り問題はGAによる母集団の組み
合わせ問題であるので,初期の母集団が保持している情
報により集束の速度が変化する。従って,上記第2,第
3の実施例では初期の母集団に良い組み合わせを含せる
事により,より速く最適な板取計画を計算する事ができ
た。その結果,何れの実施例においても,板取り計画に
用いる情報量が多い場合でも,比較的短い時間で適切な
板取り計画を作成することができた。
【0014】
【発明の効果】第1の発明に係る板取り方法は,上記し
たように構成されており,また板取り問題は母集団の組
み合わせの問題であるので,各世代から条件を満足する
最適解を取り除いて発生させる母集団の大きさを徐々に
縮小することにより,組み合わせの数が著しく減少し,
最適な板取り計画に至るまでの計算時間を短縮すること
ができる。また第2の発明に係る板取り方法では,最初
から評価の高くなるような組合わせを保持することによ
り,計算時間を大幅に短縮することができる。さらに第
3の発明に係る板取り方法では,最初から評価の高くな
るように発生させた母集団の大きさを除々に縮小するこ
とにより,組み合わせの数がより著しく減少し,最適な
板取り計画にいたるまでの計算時間を一層短縮すること
ができる。その結果,何れの実施例においても,板取り
計画に用いる情報量が多い場合でも,比較的短い時間で
適切な板取り計画を作成し板取り方法を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係る板取り方法によ
る板取り計画の作成手順の概略フローを示す説明図。
【図2】 上記板取り方法による板取り計画の作成手順
の部分詳細フローを示す説明図。
【図3】 板取り計画の作成状態を示す説明図。
【図4】 板取り計画の作成状態を示す説明図。
【図5】 板取り計画の作成状態を示す説明図。
【図6】 本発明の第2,第3の実施例に係る板取り方
法による板取り計画の作成手順の部分詳細フローを示す
説明図。
【図7】 注文とスラブの情報及び上記情報から生成さ
れるコードを示す図表。
【図8】 評価結果を示す図。
【図9】 従来の板取り方法の一例における板取り計画
の作成手順を示す説明図。
【図10】 スラブと注文との各仕様及びこれらの取り
合わせ内容を示す図表。
【図11】 板取り計画図。
【符号の説明】
S…スラブ(板材に相当) O…注文 E…評価関数 GA…遺伝的アルゴリズム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブルース ワトソン 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 能勢 和夫 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (56)参考文献 特許3073612(JP,B2) 特許3073613(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 37/00 - 37/78 G06F 15/60,17/50

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の板材の各々に1以上の注文を充当
    して板取り計画を作成するに際し,上記板材の使用順と
    該板材への上記注文の充当順との複数の組み合わせより
    なる母集団の各組みの使用順と充当順とを遺伝的アルゴ
    リズムにより組み替えて各々の組み合わせについての板
    取り計画を作成し,上記各板取り計画について該板取り
    に対する所定の条件に基づく評価関数を適用して部分的
    に最適な板取り計画を抽出し,上記部分的に最適な板取
    り計画に用いた上記板材の使用順と注文の充当順との組
    みを除いた残りの母集団における使用順と充当順とを用
    いて上記板取り計画の作成と抽出とを順次繰り返すこと
    により最適な板取り計画を決定してなる板取り方法。
  2. 【請求項2】 複数の板材の各々に1以上の注文を充当
    して板取り計画を作成するに際し,上記板材の使用順と
    該板材への上記注文の充当順とを板取りに対する所定の
    条件に基づいて複数組み合わせることにより母集団を発
    生させ,上記発生させた母集団の各組みの使用順と充当
    順とを遺伝的アルゴリズムにより組み替えて各々の組み
    合わせについての板取り計画を作成し,上記各板取り計
    画について上記板取りに対する所定の条件に基づく評価
    関数を適用して最適な板取り計画を抽出することにより
    最適な板取り計画を決定してなる板取り方法。
  3. 【請求項3】 複数の板材の各々に1以上の注文を充当
    して板取り計画を作成するに際し,上記板材の使用順と
    該板材への上記注文の充当順とを板取りに対する所定の
    条件に基づいて複数組み合わせることにより母集団を発
    生させ,上記発生させた母集団の各組みの使用順と充当
    順とを遺伝的アルゴリズムにより組み替えて各々の組み
    合わせについての板取り計画を作成し,上記各板取り計
    画について上記板取りに対する所定の条件に基づく評価
    関数を適用して最適な板取り計画を抽出し,上記部分的
    に最適な板取り計画に用いた上記板材の使用順と注文の
    充当順との組みを除いた残りの母集団における使用順と
    充当順とを用いて上記板取り計画の作成と抽出とを順次
    繰り返すことにより最適な板取り計画を決定してなる板
    取り方法。
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