JP3209553B2 - ヘルペス感染治療用医薬組成物 - Google Patents

ヘルペス感染治療用医薬組成物

Info

Publication number
JP3209553B2
JP3209553B2 JP34421891A JP34421891A JP3209553B2 JP 3209553 B2 JP3209553 B2 JP 3209553B2 JP 34421891 A JP34421891 A JP 34421891A JP 34421891 A JP34421891 A JP 34421891A JP 3209553 B2 JP3209553 B2 JP 3209553B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acyclovir
pharmaceutically acceptable
peptide
composition
acceptable salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34421891A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04275230A (ja
Inventor
デジエール ロベール
ギュインドン イーヴァン
Original Assignee
ベーリンガー インゲルハイム (カナダ) リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ベーリンガー インゲルハイム (カナダ) リミテッド filed Critical ベーリンガー インゲルハイム (カナダ) リミテッド
Publication of JPH04275230A publication Critical patent/JPH04275230A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3209553B2 publication Critical patent/JP3209553B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q19/00Preparations for care of the skin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/005Enzyme inhibitors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/30Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
    • A61K8/60Sugars; Derivatives thereof
    • A61K8/606Nucleosides; Nucleotides; Nucleic acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/30Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
    • A61K8/64Proteins; Peptides; Derivatives or degradation products thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/20Antivirals for DNA viruses
    • A61P31/22Antivirals for DNA viruses for herpes viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K2800/00Properties of cosmetic compositions or active ingredients thereof or formulation aids used therein and process related aspects
    • A61K2800/74Biological properties of particular ingredients
    • A61K2800/78Enzyme modulators, e.g. Enzyme agonists
    • A61K2800/782Enzyme inhibitors; Enzyme antagonists

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Birds (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヌクレオシド類似体と
ペプチド誘導体とを配合した抗ウイルス性医薬組成物、
及び哺乳動物に前記配合を含む医薬組成物を投与して、
哺乳動物のヘルペスウイルス感染症を治療する方法に関
するものである。
【従来技術】ヘルペスウイルスは、人及び動物に広範囲
の疾患を引き起こす。例えば、単純ヘルペスウイルス、
タイプ1及び2(HSV-1及びHSV-2)は、それぞれ口辺ヘル
ペス及び陰部障害の原因であり、帯状疱疹ウイルス(Var
icella zoster virus, VZV)は、水痘及び帯状疱疹を起
こし、エプスタインバーウイルス(EBV) は、伝染性単球
増加症を起こす。
【0002】過去20年間にわたり、プリン及びピリミ
ジンヌクレオシド類似体として知られている種類の化合
物は、ヘルペスウイルス感染症の新規な治療用医薬製剤
を研究している研究者によって、多くの注意が払われて
きた主題である。その結果、数種類のヌクレオシド類似
体が抗ウイルス性薬剤として開発された。現在までで最
も成功したものは、陰部単純ヘルペスウイルス感染症の
治療に選択される薬剤であるアシクロビル(acyclovir)
である。ヘルペスウイルス感染症の治療に使用されてい
る他のヌクレオシド類似体には、ビダラビリン、イドキ
スリジン、トリフルリジン及びガンシクロビルがある。
ヌクレオシド類似体がこれらの抗ウイルス作用を発揮す
る作用機序は、ウイルスの核酸複製の阻害であると考え
られている。ヘルペスウイルスの場合、新しいウイルス
のデオキシリボ核酸(DNA) の生成、つまりウイルス複製
の必須の工程は、ウイルスのコード化された酵素であ
る、DNA ポリメラーゼと細胞内デオキシヌクレオチドと
の相互作用に依存している。ヌクレオシド類似体は、イ
ンビボで酵素的に転換されて三リン酸誘導体になると、
ウイルスDNA ポリメラーゼの代替基質( すなわち、"fra
dulent substrate")として作用し、生長するウイルスDN
A 鎖に組み込まれる。前記ヌクレオシド類似体は、例え
ば、3'- ヒドロキシルのような必須の基を欠いている
か、又は誤った立体化学的配置を有しているため、生長
するウイルスDNA 鎖の終了暗号としても作用する。この
正味の効果は、ヌクレオシド類似体がインビボで、ウイ
ルスDNA ポリメラーゼの阻害剤として作用することであ
る。
【0003】治療上有用なヌクレオシド類似体は、ヘル
ペスウイルス感染症を攻撃し、又は制御するために有益
な薬剤であることが証明されているが、この薬剤には副
作用がある。例えば、皮疹及び腎臓の障害が、アシクロ
ビルの副作用として報告されている(Physicians' Desk
Reference, 44th ed., Medical Economics Inc., Orade
ll, N.J., USA 1990, pp 819-821) 。入手できる抗ウイ
ルス性薬剤とそれらの副作用に関する最近の再調査があ
る(M.C.Nahata らの論文、"Antiviral Drugs:Pharmacok
inetics, Adverse Effects, and Therapeutics Use",
J. Pharm. Technol., 3, 100 (1987))。これよると、こ
れらの薬剤を、治療活性を増強するような方法で配合し
た場合、安全性ならびにコスト的な有益性を得ることが
できる。現段階で発明者らは、次の知見を得た。ヌクレ
オシド類似体の抗ウイルス活性は、該ヌクレオシド類似
体と、選択的なヘルペスウイルスのリボヌクレオチド還
元酵素の阻害性を有する、特定のペプチド誘導体とを組
み合わせることにより、毒性の効果を強めることなく、
共同作用的に強化することができるという知見である。
【0004】リボヌクレオチド還元酵素(RR)は、リボヌ
クレオチドをデオキシヌクレオチドに転換する酵素であ
る。DNA の生合成における RR の機序は、最近、J. Stu
bbeらの論文(J.Biol.Chem. 265, 5329 (1990))で再検討
された。1985年、T. Spectorらは、アシクロビル及びセ
ミカルバゾン RR 阻害剤、2-アセチルピリジンチオセミ
カルバゾンの配合が、共同作用的に抗ヘルペスウイルス
作用を発揮することを報告している(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 82, 4254 (1985)) 。しかし、アシクロビル
と RR 阻害剤、オキシ尿素の配合は、ホスト細胞に毒性
であり、アシクロビルと関連するセミカルバゾン誘導体
の配合は、アシクロビルの抗ヘルペスウイルス活性を、
いつでも増強するというわけではない。
【0005】E.A. Cohenらの米国特許第 4,795,740号
(1989年 1月 3日発行) は、アシクロビル、バシトラシ
ン及び RR 阻害性ノナペプチドの 3通りの配合を開示す
る。奇妙なことに、後の配合の抗ヘルペスウイルス活性
は、アシクロビルを単独で使用したときと同じか、それ
よりも劣っていた。さらに、成分としてヌクレオシド類
似体を含む他の共同作用を生じる配合が、報告されてい
る : 例えば、T.P. Zimmerman 及び G. Wolbergのヨー
ロッパ特許出願第 235,931号(1987 年9月 9日公開)
は、ヌクレオシド類似体及びヌクレオシド移転阻害剤の
配合を開示し、K.O. Smith のカナダ特許第1,239,093
号(1988 年 7月12日発行) は、ヌクレオシド類似体及び
インターフェロンの配合を開示し、T.Spectorらの論文
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 1051(1989))は、ヌ
クレオシド類似体及び RR 阻害剤の配合を開示し、T.Sp
ectorらの米国特許第4,758,572 号(1988 年 7月19日発
行) は、ヌクレオシド類似体及び RR 阻害剤の配合を開
示し、かつT.A. Blumenkopfらのヨーロッパ特許出願第3
49,243 号(1990 年 1月 3日公開)は、ヌクレオシド類似
体及び RR 阻害剤の配合を開示する。本発明の配合は、
組成の相違及び/又はその毒性が相対的に欠如している
ことにより、前記の配合から区別できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヌクレオシ
ド類似体とペプチド誘導体とを配合した抗ウイルス性医
薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明は、哺乳動物のヘ
ルペスウイルス感染症を治療する医薬組成物であって、
医薬として又は獣医薬として許容できるキャリアーに、
抗ウイルス性ヌクレオシド類似体又は医薬として許容で
きるその塩、及び下記式1のリボヌクレオチド還元酵素
阻害性ペプチド誘導体又は医薬として許容し得るその塩
を有効量、配合した医薬組成物を提供する:
【0007】R1NHC(0)CH2CHR2C(O)-NR3-CH[CH2C(O)-Y]C
(O)-NH-CH[CR4(R5)COOH]-C(O)-NH-CHR6-Z 式 (1) 式中、R1 はハロゲン、ヒドロキシ又は低級アルコキシ
で1個置換した(1-10C)アルキル、(1-10C) アルキル、
低級シクロアルキル、(低級シクロアルキル)-(低級ア
ルキル) 、フェニル(低級)アルキル、又はハロゲン、
ヒドロキシ又は低級アルコキシで1個置換したフェニル
(低級) アルキル;R2 は低級アルキル;R3 は水素又
は低級アルキル;R4 は水素又は低級アルキルで、R5
は低級アルキル、又はR4 及びR5 がそれらが結合する
炭素原子と一緒になって、低級シクロアルキルを形成し
ており;R6 は、低級アルキル、低級シクロアルキル又
は(低級シクロアルキル)- (低級アルキル);Yは、
(a) NR7R8 であって、R7 及びR8 は、それぞれ独立に
低級アルキルであり、又はR7 及びR8 はそれらが結合
する窒素原子と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジ
ノ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジノ又は N4-
メチルピペラジノであるか、又は(b) (1-7C)アルキル、
低級シクロアルキル又は( 低級シクロアルキル) メチル
であり;かつZは、水素、COOH又は CH2OHである。
【0008】本発明の配合に用いる抗ウイルス性ヌクレ
オシド類似体は、インビボで酵素的に転換されてウイル
スDNA ポリメラーゼ阻害剤及び/又はヘルペスウイルス
DNAポリメラーゼの代替基質となるものである。この抗
ウイルス性ヌクレオシド類似体は、公知のヌクレオシド
類似体から選ぶことができる。本発明において好ましい
ヌクレオシド類似体は、アシクロビル及びその類似体で
あって、例えば、式2の化合物又は医薬として許容でき
るその塩がある。
【0009】
【化3】 式中、R9 は水素、ヒドロキシ又はアミノ基である。式
中R9 がヒドロキシの場合、式2はアシクロビルを表
す。
【0010】本発明で使用する他の好ましい抗ウイルス
性ヌクレオシド類似体には、ビダラビン(vidarabine)、
イドクスウリジン(idoxuridine) 、トリフルリジン(tri
fluridine)、ガンシクロビル(ganciclovir) 、エドクス
ウジン(edoxudine) 、ブロバビル(brovavir)、フィアシ
タビン(fiacitabine) 、ペンシクロビル(penciclovir)
、ファムシクロビル(famciclovir) 及びロシクロビル
(rociclovir)がある。本発明で使用するペプチド誘導体
の好ましい群は、式1で表される化合物又は医薬として
許容できるその塩であり、式中、R1 はハロゲン、ヒド
ロキシ又は低級アルコキシで1個置換した(1-10C) アル
キル、(1-10C) アルキル、低級シクロアルキル又は(低
級シクロアルキル)メチル;R2 は低級アルキル;R3
は水素;R4 及びR5 は炭素原子と結合して、低級シク
ロアルキルを形成しており;R 6 、Y及びZは前記のも
のと同じである。
【0011】前記ペプチド誘導体のさらに好ましい群
は、式1で表わされる化合物又は医薬として許容できる
その塩であって、式中、R1 は、1-メチルエチル、1-メ
チルプロピル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、シ
クロペンチル、又はシクロヘキシル、R2 は、メチル、
エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチル
プロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル又は
1-メチルブチル;R3 、R4 及びR5 前記のものと同じ
であり;R6 は1-メチルエチル、1,1-ジメチルエチル、
1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、2,2-ジメチルプ
ロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘ
キシルメチル、Yは NR7R8であって、R7 及びR8 とも
にそれぞれ独立で、メチル、エチル又はプロピルである
か、R7 及び R8 はそれらが結合する窒素原子と一緒
になって、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ又はN4
-メチルピペラジノ、あるいは、Yはペンチル、ヘキシ
ル、4-メチルペンチル、ヘプチル、シクロペンチル又は
シクロヘキシルであり;かつZは前記のものと同じであ
る。ペプチド誘導体の最も好ましい群は、式1で表わさ
れる化合物又は医薬として許容できるその塩であって、
式中、R1 は、1-メチルエチル又は1-エチルプロピル、
2 は、1-メチルエチル又は1,1-ジメチルエチル;R3
は水素;R4 及びR 5 はそれらが結合する炭素原子と一
緒になって、シクロブチル又はシクロペンチルを形成し
ており;R6 は2,2-ジメチルプロピル;YはN,N-ジメチ
ルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、ピロリジノ、モルホリ
ノ又はN4 -メチルピペラジノ、ヘキシル、ヘプチル又は
シクロペンチル;かつZは前記のものと同じである。
【0012】本発明の範囲には、式2の抗ウイルス性ヌ
クレオシド類似体 (式中R9 は前記のとおりである。)
又は医薬として許容できるその塩、式1のリボヌクレオ
チド還元酵素阻害性ペプチド誘導体又は医薬として許容
できるその塩を、ヘルペスウイルスを予防するのに必要
な量で配合し、かつ生理学的に許容できるキャリアーを
含む化粧品用組成物が含まれる。さらに本発明には、抗
ウイルス性ヌクレオシド類似体及び式1のリボヌクレオ
チド還元酵素阻害性ペプチド誘導体、又は医薬として許
容できるそれら塩の配合を有効量、投与する、哺乳動物
のヘルペスウイルス感染症を治療する方法が含まれる。
【0013】本発明で使用する抗ウイルス性ヌクレオシ
ド類似体、及び医薬として許容できるその塩は、周知の
化合物である。前記のとおり、この種の化合物は、ヘル
ペスウイルスに対する抗ウイルス効果を媒介する、すな
わち、インビボにおいてウイルスDNA ポリメラーゼを阻
害することで特徴付けられる。この種の化合物のうち重
要なものはアシクロビル及びその類似体であり、このこ
とが次の文献に記載されている:H.J. Schaefferの米国
特許第 4,119,574号 (1980年 4月22日発行)、H.J. Scha
efferらの論文(Nature(London), 272, 583 (1978)) 及
び T.A. Krenitskらの論文(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 81, 3209 (1984)) 。R9 がヒドロキシの式2で表さ
れる化合物は、化合物名 9-[(2- ヒドロキシエトキシ)
メチル]グアニンとして知られている" アシクロビル "
である。R9 が水素の式2で表される化合物は、名称
が、6-デオキシアシクロビルであって、化合物名2-アミ
ノ-9-[(2- ヒドロキシエトキシ) メチル] アデニンであ
り、かつR10がアミノ基の式2で表される化合物は、化
合物名 2,6- ジアミノ-9-[(2- ヒドロキシエトキシ)メ
チル] プリンである。理解されることであるが、R9
ヒドロキシの式2で表される化合物は、その互変異性体
の形態、すなわち、2-アミノ-1,9- ジヒドロ-9-[(2- ヒ
ドロキシエトキシ) メチル]-6H- プリン-6- オンとなる
ことができ、かつこの化合物は、2種の互変異性体の形
態の混合物となることができ、その混合物における各互
変異性体の割合(%) は、その化合物が置かれた物理的環
境によって決まる。また、互変異性体の形態を、エノー
ル化できるカルボニルを有する他の抗ウイルス性ヌクレ
オシド類似体でも、とることができる。
【0014】本発明で使用することを意図する他のヌク
レオチド類似体には次のものがある:ビダラビン (9-
β-D- アラビノフラノシルアデニンモノハイドレート)
[ R.J. Whitley らの論文、N. Engl. J. Med.,307 ,9
71 (1982)参照] ;イドクスジン: (2'-デオキシ-5- イ
オドウリジン) 、[W.H. Prusoff, Biochim. Biophys. A
cta, 32 ,295 (1959)参照] ;トリフルリジン: [2'-デ
オキシ-5-(トリフルオロメチル) ウリジン] 、[C. Heid
elbergerの米国特許第 3,201,387号(1965 年8 月17日発
行) 参照] ;ガンシクロビル: 9-[(1,3-ジヒドロキシ -
2-プロポキシ) メチル] グアニン [J.P. Verheyden及び
J.C. Martinの米国特許第 4,355,032号(1982 年10月19
日発行) 参照] ;エドクスウジン: (5- エチル-2'-デオ
キシウリジン) [ K.K. Gauriの米国特許第 3,553,192号
(1971年 1月 5日発行) 参照] ;ブロバビル: [(E) -5-
(2- ブロモビニル)-2'- デオキシウリジン] 、[Y. Beno
ftらの論文、 Eur. J. Pediatrics,143 ,198 (1985)参
照] ;フィアシタビン (2'-フルオロデオキシ -5-イオ
ドウリジン) 、[B. Leyland-Jones らの論文、J. Infec
t. Dis.,154 ,430(1986) 参照] ;ペンシクロビル: (9
- [4- ヒドロキシ-3-( ヒドロキシメチル) ブチル] グ
アニン [S.E. Fowler らの論文、Br. J. Clin.Pharmaco
l.,28,236P(1989)参照] ;ファムシクロビル: (9- [4-
アセトキシ-3- (アセトキシメチル) ブチル] アデニ
ン、[R.A.V. Hodge らの論文、Antimicrob. Agents Che
motherap.,33,1765 (1989) 参照] ;及びロシクロビ
ル: (9-[(1,3-ジイソプロポキシ-2- プロポキシ) メチ
ル] アデニン、[E. Winklemannらの論文、Arzneim.-For
sch., 38,1545 (1988) 参照] 。便宜を図るため、本発
明のRR阻害性ペプチド誘導体を、この後、時々、式1の
ペプチドという。
【0015】式1のペプチドに関し本願明細書で使用す
る、アミノ酸及び保護基を表す省略記号は、生物化学命
名法のIUPAC-IUB 委員会の勧告に従った (European Jou
rnalof Biochemistry, 138 ,9 (1984)参照) 。例え
ば、Gly, Val, Thr, Ala, Ile,Asp, Ser, 及び Leu,
はそれぞれ、グリシン、L−バリン、L−スレオニン、
L−アラニン、L−イソロイシン、L−アスパラギン
酸、L−セリン及びL−ロイシンの残基を表す。1,4-ジ
オキソブチル部分及び末端基を除く、式1のペプチドの
主直線軸 (すなわち、中軸(backbone)) に属する不斉炭
素原子は、配置 (S configuration)である。また、1,
4-ジオキソブチル部分又は末端基においてアミノ酸又は
誘導アミノ酸残基の側鎖に属する不斉炭素原子は、
置又は配置 (R configuration)であってよい。アミノ
酸又はアミノ酸誘導体に関する用語" 残基 "は、カルボ
キシル基のヒドロキシル及びα- アミノ基の水素1個を
除いた対応するα- アミノ酸から誘導されたラジカルを
意味する。本願明細書で使用する用語" ハロゲン "は、
臭素、塩素、フッ素又はヨウ素から選ばれるハロゲンの
ラジカルを意味する。
【0016】本願明細書で使用する用語" 低級アルキル
"( 単独で、又はラジカルと組み合わされているもの)
は、炭素原子1〜6個を含む直鎖アルキルラジカル及び
炭素原子3〜6個を含む分枝鎖アルキルラジカルを意味
し、この低級アルキルには、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ヘキシル、1-メチルエチル、1-メチルプロ
ピル、2-メチルプロピル及び1,1-ジメチルエチルが含ま
れる。本願明細書で使用する用語" (1-7C)アルキルは、
炭素原子1〜7個を含む直鎖アルキルラジカル及び炭素
原子3〜7個を含む分枝鎖アルキルラジカルを意味す
る。同様に用語"(1-10C) アルキルは、炭素原子1〜10
個を含む、このようなアルキルラジカルを意味する。本
願明細書で使用する用語" 低級シクロアルキル "( 単独
で、又はラジカルと組み合わされているもの)は、炭素
原子3〜6個を含む飽和環式炭化水素ラジカルを意味
し、これには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。本願明細書で
使用する用語" 低級アルコキシ "は、炭素原子1〜4個
を含む直鎖アルコキシラジカル及び炭素原子3〜4個を
含む分枝鎖アルコキシラジカルを意味し、これには、メ
トキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブ
トキシ及び1,1-ジメチルエトキシがある。後者のラジカ
ルは、一般に第3級ブチロキシとして知られている。
【0017】シンボル"Tbg" は2(S)- アミノ-3,3- ジメ
チル酪酸のアミノ酸残基を表す。シンボル"Cpg" は(S)-
α- アミノシクロペンタン酢酸のアミノ酸残基を表す。
また、シンボル"Cha" は(S)-α- アミノシクロヘキサン
プロピオン酸のアミノ酸残基を表す。また、用語 "γMe
-Leu" は2(S)- アミノ-4,4- ジメチル吉草酸のアミノ酸
残基を表す。本願明細書で用いる他のシンボルは次のと
おりである: (N-Me)Aspは(S)-2-(メチルアミノ) コハ
ク酸残基;Asp(cyBu) は(S)-α- アミノ-1- カルボキシ
シクロブタン酢酸残基;Asp(cyPn) は(S)-α- アミノ-1
- カルボキシシクロペンタン- 酢酸残基;Asp(ピロリジ
ノ) はアミド-2(S)-アミノ-4- オキソ-4- ピロリジノ酪
酸残基;Asp(モルホリノ) 及び Asp(NEt2)は同様に、ピ
ロリジノをそれぞれモルホリノとジエチルアミノに置き
換えた対応するアミドの残基を表わしている。シンボル
“Asp(diMe) ”は、2(S)- アミノ-3,3- ジメチルコハク
酸、すなわち3,3-ジメチル-L- アスパラギン酸を表わし
ている。
【0018】リボヌクレオチド還元酵素(RR)阻害性の式
1のペプチド及び医薬として許容できるその塩は、P.L.
Beaulieu 、R. Deeziel及びN.Mossのカナダ特許出願第
2,018,801 号(1990 年 6月12日出願) に記載されている
方法で製造する。さらに詳細に述べると、式1のペプチ
ドの製造は、上記の文献に記載されている、古典的なア
ミノ酸残基及び/又はペプチドフラグメントの溶液カッ
プリングのようなペプチド合成において通常使用される
方法、及び所望ならば固相法によるプロセスにより行う
ことができる。このような方法が記載されているのは、
例えば、E.Schroeder 及びK. Luebke の"The Peptides"
(Vol. 1, Academic Press, New York, N.Y., 1965, pp
2-128, in the textbook series)、"The Peptides: Ana
lysis,Synthesis, Biology" (E. Gross et al., Eds.,A
cadimic Press, New York, N.Y., 1979-1987, Volomes
1 to 8)及び J.M. Stewart 及び J.D. Young の"SolidP
hase Peptide Synthesis" (2nd ed., Pierce Chem. C
o., Rockford, IL, USA,1984)である。
【0019】ペプチドに関する前記のプロセスの一般的
な特徴は、各種アミノ酸残基又は誘導アミノ酸残基の反
応性側鎖を、保護基が最終的に除去されるまで、その部
位で起こる化学反応を防ぐ適当な保護基により保護する
ことである。また、通常、一般に行われるのは、アミノ
酸又はフラグメントのα- アミノ基の保護であるが、一
方、カルボキシル基では反応させ、続いて、α- アミノ
基の保護基を選択的に除去して、その部位で次の反応が
起きるようにする。通常、他の一般的特徴は、アミノ酸
残基又はペプチドフラグメントにあるC末端のカルボキ
シルの初期の保護であり、もし有るならば、それはペプ
チドのC末端の官能基となる。なお、この保護は、ペプ
チドの所望の配列を終えた後、保護基を除去するまで、
その部位で起こる化学反応を防ぐのに適当な保護基で行
う。
【0020】したがって、一般に、式1のペプチドを、
アミノ酸又は誘導アミノ酸残基のペプチド、又はペプチ
ドのフラグメントの配列順序に従い、必要ならば、適当
な保護を行って段階的カップリングを行って製造し、段
階的カップリングが完成した際、もしあるならば、全て
の保護基を除去することにより式1のペプチドを得るこ
とができる。本願明細書で使用する用語" 医薬として許
容できるキャリアー "とは、毒性がなく、一般的に活性
成分に対し不活性な基剤であって、活性成分に悪い影響
を与えないものを意味する。本願明細書で使用する用
語" 生理学的に許容できるキャリアー "とは、1種以上
の毒性がない賦形剤の許容できる化粧品用基剤であっ
て、含まれている活性成分と反応せず、その有効性を低
下させないものを意味する。本願明細書で使用する用
語" 獣医薬として許容できるキャリアー "とは、薬剤物
質と反応せず、又はその有効性を低下させない、1種以
上の毒性がない医薬として許容できる賦形剤を含み、家
畜に薬剤物質を投与するために生理学的に許容できる基
剤を意味する。用語" 有効量 "とは、予め測定しておい
たウイルスに抵抗性を発揮する量、すなわち、インビボ
におけるウイルス体に対し効果的であるために十分な薬
剤の量をいう。
【0021】用語" 共同作用 "とは、ヌクレオシド類似
体と式1のペプチドとの前記規定の配合の抗ウイルス活
性又は抗ヘルペスウイルス活性との関連で使用した場
合、配合の2種のそれぞれの成分の予測される付加的な
効力よりも大きい抗ウイルス効果又は抗ヘルペスウイル
ス効果を意味する。本発明の配合の抗ウイルス活性は、
HSV-1 及びHSV-2 及び他のヘルペスウイルスの複製に関
し、配合の阻害効果を示す生化学的、微生物学的及び生
物学的方法によって明らかにすることができる。ここで
いう他のヘルペスウイルスには、例えば、水痘帯状疱疹
ウイルス(VZV) 、EBウイルス(EBV) 、ウマヘルペスウイ
ルス(EHV) 及び仮性狂犬病ウイルス(PRV) がある。例え
ば、ウイルス複製に対する本発明の配合の阻害効果を示
す方法には、細胞培養法がある( 例えば、T. Spectorら
の論文、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4254 (198
5) を参照) 。改良された当該方法を、この後に例示す
る。本発明の配合の治療的効果を明らかにするする方法
には、皮膚の単純ヘルペスウイルス感染症に関するモル
モットモデルがある( 例えば、S. Alenius及び B.Ober
g, Archives of Virology, 58, 277 (1978) 参照) 。
【0022】本発明の配合を、ウイルス感染症の治療に
使用する場合、この配合を、1種以上の医薬として許容
できるキャリアーを含む基剤に入れて、例えば、人、豚
又は馬のような温血動物に投与する。このキャリアーの
割合は、ヌクレオシド類似体及び式1のペプチドの溶解
性及び化学的性質、選択した投与経路、標準的な生物学
的習性(standard biological practice)、及び共同作用
的な抗ウイルス効果を与える2種の活性成分の相対的な
量によって決める。本発明の配合は、局所に投与するこ
とが好ましい。例えば、2種の活性薬剤( すなわち、抗
ウイルス性ヌクレオシド類似体及び式1のペプチド、又
はそれらの医薬として許容できる塩) を、医薬として許
容できる基剤を用いて、溶液、乳濁液、クリーム又はロ
ーションの形態に調剤することができる。このような調
剤では、ヌクレオシド類似体又はその医薬として許容で
きる塩を0.01〜1.0 重量%、好ましくは0.05〜0.5 重量
%を含ませ、かつ式1のペプチド又はその医薬として許
容できる塩を、約0.5 〜20重量%、好ましくは1 〜10重
量%含ませることができる。いずれにせよ、2種の活性
薬剤が、医薬組成物中に共同作用的な抗ヘルペスウイル
ス効果を発揮するだけ存在するようにする。
【0023】本発明の好ましい一実施態様は、皮膚、又
は口腔又は性器腔の一部のヘルペスウイルス感染症を治
療するために使用する抗ウイルス性医薬組成物である。
この組成物は、R9 がヒドロキシである式2のヌクレオ
シド類似体0.05〜1.0 重量%と、R2 が1,1-ジメチルエ
チル (1,4-ジオキソ部分に(S) 配置を与えるようなを有
する。) 、R4 とR5 がこれらが結合している炭素原子
とともにシクロブチル又はシクロペンチルを生成し、か
つR6 は2,2-ジメチルプロピルである式1のペプチドを
1 〜10重量%を配合し、かつこれらとともに医薬として
許容できるキャリアーを含んでいる。この例における好
ましいキャリアーは、水溶性軟膏基剤又は油中水形乳濁
液である。前記製剤に適した適当な賦形剤又はキャリア
ーの例は、標準的な製剤学の教科書、例えば、"Remingt
on's Pharmaceutical Sciences" (18th ed, Mack Publi
shing Company, Easton, Penn., 1990) に記載されてい
る。本発明の配合の投与量は、投与の形態及び配合する
具体的な活性薬剤によって、変わってくる。さらに、治
療を受ける具体的なホストによっても変化する。一般
に、治療は配合の最適な投与量よりも実質的に少ない投
与量で開始する。その後、投与量を、その状況における
最適量までになるまで少量ずつ増加する。一般に、本発
明の配合を、有害で又は心身に害を及ぼす副作用を生じ
ることなく、ヘルペスウイルスに対し抗ウイルス性の有
効な結果を生じる濃度レベルで投与することが、最も好
ましい。
【0024】本発明の配合は、身体の感染領域、例え
ば、皮膚、又は口腔又は性器腔の一部に、その感染した
領域を覆うのに十分な量で局所的に投与する。この治療
を、例えば、病変が直るまで、4〜6時間毎に投与す
る。製剤の形態でヌクレオシド類似体及び式1のペプチ
ドの配合を同時に投与することにより、ヘルペスウイル
ス感染症を治療するのが、最も有利に実施できる方法で
あるが、また、2種の活性薬剤を1日のうちに分離し
て、又は連続して投与することも、本発明の範囲に含ま
れる。本発明の他の実施態様には、ヘルペスウイルスの
予防に必要な量の本発明の配合を、生理学的に許容でき
る化粧品用キャリアーとともに含む、化粧品用組成物が
ある。この組成物は、付加的な成分、例えば、皮膚軟化
剤を含んでいてもよい。本発明の化粧品用組成物は、ヘ
ルペスウイルスによる病変発生を防止するために、予防
的に使用する。この化粧品用組成物は、毎晩使用するこ
とができ、医薬製剤よりも2種の活性剤の配合量が少な
い。化粧品用組成物における、これらの薬剤のそれぞれ
の好ましい含有量は、ヌクレオシド類似体0.01〜0.1 重
量%であって、式1のペプチドは0.1 〜1 重量%であ
る。
【0025】
【実施例】次の実施例は、さらに本発明を詳細に説明す
るものである。溶液の割合(%) 又は比率は、特に断らな
い限り、容量:容量の関係を表している。なお、実施例
では次の省略記号を使用した。 Boc : t- ブチルオキシ
カルボニル; BOP : ( ベンゾトリアゾル-1- イルオキ
シ) トリス (ジメチルアミノ) ホスホニウムヘキサフル
オロホスヘート; Bzl: ベンジル; CH2Cl2:メチルエン
ジクロリド; DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン; DC
C : N,N- ジシクロヘキシルカルボジイミド; DMF :ジ
メチルホルムアミド; Et2O :ジエチルエーテル; EtO
Ac :エチルアセテート; EtOH :エタノール; HOBt :
1- ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC :高速液体ク
ロマトグラフィー; MeOH : メタノール; NMM : N- メ
チルモルホリン; TFA : トリフルオロ酢酸; THF :テト
ラヒドロフラン; TLC: 薄層クロマトグラフィーであ
る。また、温度は摂氏 (℃) で表わした。
【0026】〔実施例1〕 (a) 中間体Boc-Asp(ピロリジノ)-OHの製造 N,N'- カルボニルジイミダゾール(24.32g, 0.15 mol)を
少量ずつ、アセトニトリル(500 ml)を溶媒とするBoc-As
p-OBzl(47.60 g, 0.147 mol)の溶液に加えた。45分経過
後、反応混合物を0℃に冷却し、ピロリジン (13.4 ml,
0.16 mol)を滴下した。その後、この混合物を、室温で
攪拌し、反応を完全に行わせた (TLC で判断したところ
約3時間) 。減圧下で溶媒を除去し、残留物を EtOAc(5
00 ml)に溶かした。この有機相を、10 % HCL水溶液(3x1
00 ml)及び1 N NaOH水溶液(2x100ml)で洗浄して、乾燥
(MgSO4) した。減圧下で有機相を蒸発させ、静置状態で
凝固している無色の油状物を得た。後者の生成物をEtOH
(200 ml)で溶液とし、触媒としてその上にPb(OH)2 20重
量%有する炭素200 mgを使用し、大気圧下で20時間、水
素化分解した。この反応混合物を、珪藻土をとおして濾
過した。濾液を蒸発させて残留物を得て、この残留物を
ヘキサン/Et2O から再結晶させることにより精製し、目
的の生成物(37.10 g, 88 %, 融点114 〜116 ℃) を得
た。この生成物の構造を NMRによって確認した。この実
施例の方法でピロリジンを、適当なアミン (例えば、ジ
エチルアミン又はピペリジン) で置き換えることによ
り、対応するN-置換アスパラギン類似体が得られた。
【0027】(b) 中間体Boc-2(S)- アミノ-4- オキソ-
ウンデカン酸の製造 Boc-Asp-OBzl(500 mg, 1.55 mmol) をアセトニトリル(1
0 ml) に溶かし、N,N'- カルボニルジイミダゾール(277
mg, 1.71 mmol) をこの溶液に加えた。30分経過した
後、p-ニトロベンジルマロン酸マグネシウム(860 mg,1.
71 mmol)を加え、この混合物を室温 (20〜22℃) で 1.5
時間、攪拌した。アセトニトリルを蒸発させた。残留物
を EtOAcに溶かし、1N HCl水溶液、水、次いで塩水で洗
浄した。有機層を乾燥し(MgSO4) 、次いで減圧下で濃縮
した。得られた残留物を、クロマトグラフィー( SiO2,
溶離液 :ヘキサン-EtOAc) で精製し、Boc-2(S)-アミノ-
4-オキソ-1,6- アジピン酸-1- ベンジルエステル-6-(4-
ニトロフェニル) メチルエステル(600 mg, 80 %)を得
た。後者の化合物(3.25 g, 6.5 mmol)を DMF(40 ml)に
溶かした。この溶液にCs2CO3(2.33 g, 7.14 mmol) 及び
ヨウ化ヘキシル(1.51g, 7.14 mmol) を加えた。この混
合物を室温で18時間、攪拌し、続いて、溶媒を蒸発させ
た。残留物を EtOAcに溶かした。この溶液を、1N HCl水
溶液及びH2O で洗浄し、乾燥し(MgSO4) 、かつ蒸発させ
た。残留物をクロマトグラフィー( SiO2, 溶離液 :ヘキ
サン-EtOAc) で精製し、Boc-2(S)- アミノ-4- オキソ-5
- [(4-ニトロフェニル) メトキシカルボニル] ウンデカ
ン酸ベンジルエステル(630 mg)を得た。MeOH(25 ml) を
溶媒とする後者の化合物(630 mg)の溶液を、Parr装置上
で、H2雰囲気下、20 % Pd(OH)2/C(70 mg) の存在下にお
いて18時間、振盪した。この反応混合物を濾過し、濃縮
した後、その残留物を EtOAcに溶かした。この溶液を、
1N HCl水溶液を加えて10分間、攪拌した。有機相を分離
し、H2O で洗浄し、乾燥し(MgSO4) 、かつ蒸発させた。
残留物をクロマトグラフィー( SiO2, 溶離液:ヘキサン-
EtOAc) で精製し、表題の化合物(160 mg)を得た。この
生成物のNMR及びMSは、予想していた構造と一致した。
後者の中間体と、Yがヘプチルである式1のペプチドを
調製した適当なユニットとのカップリングを、カップリ
ング剤として DCC/HOBt を用いて行った。
【0028】(c) 中間体 Boc-2(S)-アミノ-5- シクロペ
ンチル-4- オキソシクロ吉草酸の製造 Boc-2(S)-アミノ-4- オキソ-1,6- アジピン酸-1- ベン
ジルエステル-6-(4-ニトロフェニル) メチルエステル
(4.8 g ,9.6 mmol) をDMF(100ml) に溶かした。この溶
液に、Na2CO3(4.07 g, 38.4 mmol) 及び1,4-ジイオドブ
タン(3.59 g, 11.6 mmol) を加えた。この混合物を室温
で18時間、攪拌し、次いで50℃で 3時間、加熱した。反
応混合物を蒸発させ、得られた残留物を EtOAcで抽出
し、この抽出物を1N HCl水溶液及び水で洗浄し、乾燥(M
gSO4) を行い、次いで抽出物を蒸発させることにより、
粗生成物を得た。この粗生成物をクロマトグラフィー(
SiO2, 溶離液 :ヘキサン-EtOAc) により精製し、表題の
化合物に対応するベンジルエステル(4.3 g) を得た。後
者の化合物のベンジルエステルに水素化分解を行い[5%P
d(OH)2/C の存在下、MeOH中で18時間] 、かつ所定の操
作 (この実施例の(a)参照) を行って、表題の化合物(14
0 mg)を得た。この生成物のNMR 及びMSは、予想してい
た構造と一致した。後者の中間体と、Yがシクロペンチ
ルである式1のペプチドを調製した他の適当なユニット
とのカップリングを、BOP を用いて行った。
【0029】〔実施例2〕(S)-α- アジド-1-[ (フェニルメトキシ) カルボニル]
シクロペンタン酢酸ベンジルエステル この表題の化合物を、2-オキサスピロ[4,4] ノナン-1,3
- ジオン(M.N. Aboul-Enein らの論文、Pharm. Acta He
lv., 55, 50 (1980)) から、エバン補助装置(Evan's au
xillary)を利用して不斉アジ化法によって製造した(D.
A. Evans らの論文、J. Amer. Chem. Soc., 112, 4011
(1990))。この化合物の NMR(200 MHz, CDCl3)の結果は
次のとおりであった:σ4.55(s, 1H), 5.12 (s, 2H) 及
び7.4(m, 5H)。
【0030】〔実施例3〕(R, S)-3-(1,1-ジメチルエチル) ジヒドロ-2,5- フラン
ジオンの製造 (a) ピバルデヒド(5.00 g, 58 mmol) 、エチルシアノア
セテート(6.60 g,58.3mmol) 、酢酸(3.50 g, 58.3 mmo
l) 及びピリジン(4.60 g, 58.2 mmol) の混合物を、還
流下で1時間、加熱した。さらに、ピバルデヒド(5.00
g, 58 mmol) を加えた。混合物の還流を18時間、継続し
た。冷却後、この混合物を1 N HCl 水溶液(50 ml) に注
いだ。得られた混合物を、 EtOAc(3x50 ml) で抽出し
た。結合した有機層を1 N HCl 水溶液で洗浄し、乾燥し
(MgSO4) 、かつ濃縮して、無色の油状物を得た。この油
状物を、SiO2上で、溶離液としてヘキサン-EtOAc (9:1)
を使用し、フラッシュクロマトグラフィーで精製するこ
とにより、2-シアノ-4,4- ジメチル-2- 吉草酸エチルエ
ステルが、無色の油状物として得られた(7.69 g,収量73
%) 。 (b) 後者の化合物(7.69 g, 42.4 mmol) を、冷AcOH(2.6
0 g, 43 mmol) 及び無水ピリジン(3.42 g, 43 mmol) と
混合し、この混合物を50℃に加熱した。シアン化カリウ
ムを加え、次いで無水EtOH(6 ml) を加えた。この混合
物を50℃で45分間、加熱し、室温まで冷却し、1 N HCl
水溶液(25 ml) と Et2O (100 ml)とで分けた。 Et2O 層
を分離し、1 N HCl 水溶液(2X20 ml) 及び塩水(2X20 m
l) で洗浄し、乾燥し(MgSO4) 、かつ濃縮して2,3-ジシ
アノ-4,4- ジメチル吉草酸エチルエステルを、茶褐色の
油状物(8.83 g,粗収量100 %) を得た。
【0031】(c) 後者の生成物(11 g)を、濃 HCl(150m
l) に懸濁した。この混合物を還流下で、24時間、加熱
し、次いで氷浴で冷却した。得られた白色固体沈澱を集
め、水で洗浄し、真空下で乾燥した。この固体を EtOAc
(300 ml)に溶かした。この溶液において不溶性の物質
を、濾過して除いた。この濾液を減圧下で濃縮し、油状
物を得た。この油状物をヘキサンとともに粉砕処理し
た。得られた白色結晶物質を集めたところ、(R, S)-2-
(1,1-ジメチルエチル)-1,4-コハク酸が得られた(7.95
g,収量95%) 。 (d) 後者の化合物(7.95 g, 51 mmol) を、無水酢酸(11
ml, 117 mmol) に懸濁した。この混合物を110 ℃で、2
時間、加熱した。続いて、この混合物を真空下で蒸留
し、この実施例の表題の化合物を油状物として得た (沸
点 140-145℃/12 mm, 7.08 g, 収量88%) 。この油状物
は、冷却すると凝固した。
【0032】〔実施例4〕(R, S)-2-(1,1-ジメチルエチル)-4-オキソ-4-(1-エチル
プロピルアミノ) 酪酸の製造 (R, S)-3-(1,1-ジメチルエチル) ジヒドロ-2,5- フラン
ジオン(5.00 g, 32 mmol, 実施例3に記載) を、アセト
ニトリル(50 ml) に溶かし、この溶液を0℃に冷却し
た。(1- エチルプロピル) アミン(6.13 g,70.4 mmol)
をゆっくりと加え、溶液を攪拌した。この溶液を室温で
18時間、攪拌し、次いで Et2O と10%クエン酸水溶液
(それぞれ60 ml)の間で分離した。有機相を分離した。
水層を Et2O(3x25 ml) で抽出した。結合した有機層を1
0%クエン酸水溶液 (2x25 ml)及び塩水(25 ml) で洗浄
し、乾燥し(MgSO4) 、濃縮した。残留物を Et2O ととも
に粉砕処理して、表題の化合物を、白色固体として得た
(4.65 g, 収量59%) 。
【0033】〔実施例5〕Et2CHNH-COCH2CH[(S)-C(CH3)3]CO-Asp(ピロリジノ)-As
p(cyPn)-γMeLeu-OHの製造 (a) 30 % TFA, CH2Cl2を溶媒とする、Boc-γMeLeu-OBzl
(0.272 g, 0.81 mmol)の溶液を、0℃で、1時間攪拌し
た。溶媒を蒸発させ、残留物を真空下で乾燥した。得ら
れたTFA 塩を、アセトニトリル(20 ml) に溶かした。 N
MM(0.53 g, 4.86mmol) をこの溶液に加え、次いで、(S)
-α- アジド-1-[ (フェニルメトキシ) カルボニル] シ
クロペンタン酢酸(0.269 g, 0.89 mmol, 実施例2に記
載 )及びBOP(0.464 g, 1.05 mmol) を加えた。この混合
物を、室温で18時間、攪拌し、ついで溶媒を蒸発させ
た。残留物を EtOAc(50 ml) に溶かした。この溶液を、
10 %HCl 水溶液(2x25 ml), Na2CO3 の飽和水溶液(2x25
ml) 及び塩水(25 ml) で洗浄した。有機相を蒸発させ、
N-{(S)-α- アジド-1-[ (フェニルメトキシ) カルボニ
ル] シクロペンタンアセチル}-2(S)-アミノ-4,4- ジメ
チル吉草酸ベンジルエステルを、黄色油状物として得た
(0.400 g, 収量96%) 。
【0034】(b) 後者の化合物(0.312 g, 0.6 mmol) を
MeOH(20 ml) に溶かした溶液を、0℃で、MeOH(10 ml)
を溶媒とするSnCl2 (0.207 g, 1.2 mmol) の溶液に滴下
して加えた。この混合物をアルゴン雰囲気下で4時間、
攪拌し、同時に反応温度が室温になるようにした。この
反応混合物を減圧下で濃縮した。この残留物を EtOAc(5
0 ml) に溶解した。得られた溶液を、5 %NaHCO3 水溶液
を加えて、アルカリ性にした。有機相を分離し、H2O (2
0 ml) 及び塩水(20 ml) で洗浄し、無水K2CO3 上で乾燥
し、濾過し、かつ濃縮して乾燥することにより、N-
{(S)-α- アミノ-1-[(フェニルメトキシ) カルボニル]
シクロペンタンアセチル}-2(S)-アミノ-4,4- ジメチ
ル吉草酸ベンジルエステルを、白色固体として得た(0.3
00 g, 0.6 mmol) 。 (c) 後者のアミンをアセトニトリル(20 ml) に溶かし
た。 NMM(0.39 ml, 3,6 mmol) 、Boc-Asp(ピロリジノ)-
OH(0.343 g, 1.2 mmol, 実施例1に記載) 及びBOP(0.58
3 g, 1.32 mmol) を、この溶液に加えた。この混合物を
室温で18時間、攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を E
tOAc(50 ml) に溶かした。この溶液を、10 %HCl水溶液
(2x20 ml) 、Na2CO3の飽和水溶液及び塩水で洗浄した。
その後、この溶液を乾燥し(MgSO4) 、かつ濃縮して乾燥
した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィー[SiO
2 、溶離液 :EtOAc-ヘキサン(1:1)]で精製することによ
り、N'-[N-( 第3級ブチルオキシカルボニル)-2(S)- ア
ミノ-4- オキソ-4- ピロリジノブタノイル]-N-{α- ア
ミノ-1-[ (フェニルメトキシ) カルボニル] シクロペン
タンアセチル}-2(S)-アミノ-4,4- ジメチル吉草酸ベン
ジルエステル[Boc-Asp(ピロリジノ)-Asp(cyPn)-γMeLeu
-OHジベンゾエイト] を、無色の発泡体として得た(0.45
9 g, 100 %) 。
【0035】(d) 30 % TFA, CH2Cl2を溶媒とする、後者
の化合物(0.385 g, 0.5 mmol) の溶液を、0℃で、1時
間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空下で乾燥し
た。アセトニトリル(20 ml) に溶かした、このTFA 塩
を、この実施例の(c) の工程に従い、BOP(0.309 g, 0.7
mmol)及び NMM(0.65 ml, 6 mmol) を使用して、(R, S)
-2-(1,1-ジメチルエチル)-4-オキソ-4-(1-エチルプロピ
ルアミノ) 酪酸(0.146 g,0.6 mmol, 実施例4に記載)
とカップリングした。得られた生成物は、2種のジアス
テレオ異性体の混合物であった。この2種の異性体を、
フラッシュクロマトグラフィー(SiO2 、溶離液 : EtOA
c) で精製することにより、極性が低い異性体[0.100 g,
Rf 0.71 (EtOAc)]及び極性が高い異性体[0.120 g, Rf
0.42 (EtOAc)]が得られた。極性が高い異性体は、すな
わち、この実施例の表題の化合物のジ(ベンジルエステ
ル) であって、これに水素化分解を行った[10 % Pd/Cを
含むEtOH、1気圧のH2下、3時間] 。この反応の完了
後、45μM 膜を通して濾過を行うことにより、反応混合
物から触媒を除去した。残留物を Et2O とともに粉砕処
理した。得られた白色固体を集め、真空下で乾燥するこ
とにより、この実施例の表題のペプチドを得た(51 mg,
収量53%, HPLCによる測定では純度92%) 。
【0036】〔実施例6〕細胞培養でのHSV-2 の複製阻害における、アシクロビ
ル、式:Et2CHNH-COCH2CH[(S)-C(CH3)3]CO-Asp(ピロリ
ジノ)-Asp(cyPn)-γMeLeu-OHのペプチド及びその2種の
薬剤の配合の比較 BHK-21/C13細胞(ATCC CCL 10) を、牛胎児血清(FBC, Gi
bco Canada社) 8 %(容量/ 容量) を加えたα-MEM培地
(Gibco Canada社, Burlington, Ontario, Canada)を入
れた150cm2のT型フラスコで、2日間、培養した。この
細胞をトリプシン処理し、次いで、 750μl の培地が入
った 1ウェル当たり、細胞2.5x105 個となるように24ウ
ェルプレートに入れた新鮮な培地に移した。これらの細
胞を37℃で6時間、培養し、この細胞がプレートに付着
できるようにした。その後、細胞を、FBS 0.5 % ( 容量
/ 容量) を加えたα-MEM培地 500μl で一回、洗浄し、
次いで同じ培地( 低血清) 750 μl を用いて3日間、培
養した。この血清を欠乏させた期間の経過後、低血清培
地を除去し、この細胞を BBMT500μl で2〜3時間、培
養した。このBBMT培地は、P.Brazeau らの論文(Proc. N
atl. Acad. Sci. USA,79, 7909 (1982)) に記載されて
いる。その後、これらの細胞を、 100μl のBBMT培地中
で、HSV-2 に感染させた (感染の複合性=0.02 PFU/ 細
胞) 。なお、ここで使用したHSV-2 は菌株HG-52 であっ
て、Y.Langelier 及びG. Buttin の論文に記載されてい
る(J. Gen. Virol., 57, 21 (1981)。このウイルスは−
80℃で貯蔵されていた。ウイルス吸着を37℃で1時間、
行った後、培地を除去し、この細胞をBBMT培地(3x250μ
l)で洗浄した。各ウェルの細胞を、BBMT培地200 μl に
溶かした適当な濃度の試験薬剤とともに、また該薬剤を
加えないで(コントロール) 培養した。37℃で29時間、
培養した後、この感染させた細胞を、−80℃でプレート
ごと凍結し、続いて解凍することにより集めた。各ウェ
ルの細胞を、溶けた氷の切片の助けをかりて、ウェル表
面からこすり落とし、氷を完全に溶かした後、細胞懸濁
液を集め、各ウェルをBBMT培地150 μl ですすいだ。ウ
イルス試料 (懸濁液及び洗浄液) に、4℃で4分間、穏
やかに超音波処理を行った。細胞の破片を、遠心分離に
より除いた (重力の1000倍で4℃で10分間、処理し
た。) 。上清を集め、ウイルスの力価(titer)を測定す
るまで、−80℃で貯蔵した。
【0037】ウイルス力価測定を、M. Langlois らの論
文(Journal of Biological Standardization, 14, 201
(1986)) の比色アッセイ法の改良法により行った。さら
に詳細に述べると、前記のように、BHK-21/C13細胞をト
リプシン処理し、次いで、 100μl の培地が入った 1ウ
ェル当たり、細胞20,000個となるように96ウェルマイク
ロプレートに入れた新鮮な培地に移した。このように調
製したプレートの細胞を、37℃で 2時間、培養した。培
養中、ウイルス試料を溶かし、15秒間、穏やかに超音波
処理し、次いで、試料を対数的に希釈した(1/5連続 :試
料50μl にBBMT培地 200μl を加えた。連続的な希釈を
多重チャンネルピペットを使用して行った。) 。
【0038】BHK-21/C13細胞を2時間、培養した後、そ
の培地をFBC 3 % ( 容量/ 容量) を加えたα-MEM培地と
入れ換えた。この段階で細胞に、ウイルスの各試料希釈
液で感染させる用意が整った。各種希釈液の部分標本(5
0 μl)を、プレートの適当なウェルに移した。ここで得
られた感染細胞を、37℃で2日間、培養した。ハンクス
平衡塩溶液(pH 7.3, Gibco Canada 社)に溶かした中性
赤色染料 (0.015 % (容量/ 容量) ) の溶液50μl を各
ウェルに加えた。このように調製したプレートを、37℃
で45分間、培養した。次に、各ウェルの培地を吸引し、
細胞をハンクス平衡塩溶液 200μl で1回、洗浄した。
洗浄後、0.1 モルのソレンセンズ−クエン酸塩緩衝液(S
orensen's citrate buffer)(pH 4.2) とエタノールを1:
1 の割合で含む混合物100 mlを加えることにより、染料
を、前記細胞から放出させた (なお、このソレンセンズ
−クエン酸塩緩衝液は次のように調製した。まず、クエ
ン酸一水塩(21 g)を1N NaOH 水溶液(200 ml)に溶かし
て、0.1Mクエン酸ジナトリウム溶液を調製し、十分に濾
過した水を加えて1リットルにした。次に、0.1Mクエン
酸ジナトリウム溶液(61.2 ml) を、0.1N HCl水溶液(38.
8 ml) と混合し、必要な場合、得られた溶液のpHを、4.
2 に調整した。) 。ウェル中の混合物に、穏やかな渦巻
き運動を起こさせ、適切な混合を行った。このプレート
ウェルを、540mM で分光光度計プレート判読装置で調
べ、生存細胞数を測定した。この方法において、ウイル
ス生育阻害の割合(%) を、各種濃度の試験薬剤で測定す
ることができ、かつウイルス複製が 50 % 阻害される試
験薬剤の濃度、すなわちIC50を計算することができる。
次の表は、アシクロビル及び式1の表題の化合物をこの
実施例のアッセイ方法で評価することにより得られた結
果を示す。
【表1】 表 1 化合物 評価したサンプル IC50 濃度の範囲 (μM) ───────────────────────────────── アシクロビル* 0.1〜30μM 4.0 ペプチド** 62.5〜1000μM 〜1000 アシクロビル 0.005〜30μM 0.9 +ペプチド150μM アシクロビル 0.005〜30μM 1.4 +ペプチド200μM アシクロビル 0.005〜30μM 0.5 +ペプチド250μM アシクロビル 0.005〜30μM 0.4 +ペプチド300μM ───────────────────────────────── *アシクロビル (入手先:Bourroughs Wellcome 社、Ki
rkland, Quebec, Canada) **この実施例の式1で表わされる表題のペプチド
【0039】さらに、アシクロビル及び式1のペプチド
の配合の共同作用を、前記結果に対し、イソボル法(iso
bole method)を適用することにより、明らかにすること
ができる(J. Suehnel の論文、Antiviral Research, 1
3, 23 (1990))。この方法を適用した場合に得られる陽
性の結果を、本願明細書に添付した図1にグラフにして
示した。また、この実施例の方法に従って、ヌクレオシ
ド類似体と式1の表題のペプチドの他の配合についても
共同作用を示すことができる。本発明で使用する式1で
表わされる他の具体的なペプチドの例は次のとおりであ
る :
【0040】Et2CHNH-COCH2CH[(S)-C(CH3)3]CO-Asp(ピ
ロリジノ)-Asp(cyPn)-{(S)-NHCH[CH2C(CH3)3]CH2OH } Et2CHNH-COCH2CH[(S)-C(CH3)3]CO-Asp(ピロリジノ)-Asp
(cyPn)-NHCH2CH2C(CH3) 3 Et2CHNH-COCH2CH[(S)-C(CH3)3]CO-Asp(ピロリジノ)-Asp
(CyBu)-Leu-OHMe2CHNH-COCH2CH[(S)-C(CH3)3]CO-Asp(NE
t2)-Asp(diMe)-γMeLeu-OH (シクロヘキシル)CH2NH-COCH2CH[(S)-CH(CH3)2] CO-Asp
(モルホリノ)-Asp(cyPn)-Cpg-OH Me2CHCH2CH2NH-COCH2CH[(S)-Et]CO-Asp (ピペリジノ)-A
sp(cyBu)-Cha-0H。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、式1のペプチド、Et2CHNH-COCH2CH
[(S)-C(CH3)3]CO-Asp(ピロリジノ)-Asp(cyPn)-γMeLeu
-OH及びアシクロビル(実施例6参照)によるHSV-2 複
製の共同作用的な阻害を示すイソボログラム(isobologr
am) である。ペプチドの濃度を変え、ウイルス複製の阻
害を評価した。FIC60(アシクロビル) を、ペプチドが所
定の濃度で存在する場合に、60%までウイルスの複製を
阻害するために必要とされるアシクロビルの濃度の比率
とした。X軸は、ペプチドの所定の濃度とアシクロビル
が無い場合にウイルス複製の60%が阻害されるペプチド
の濃度の比である。
フロントページの続き (72)発明者 イーヴァン ギュインドン カナダ エイチ4ケイ 2ビー3 ケベ ック モントリオール レ メスリエー ル 12230 (56)参考文献 特開 昭60−51112(JP,A) 特開 平2−45423(JP,A) 特開 昭64−63595(JP,A) Proc.Natl.Acad.Sc i.U.S.A.,Vol.86,No. 3,(1989)p.1051−1055 Antimicrob.Agents Chemother.,Vol.32, No.7,(1988)p.1100−1102 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/00 A61K 7/00 A61K 31/522 A61P 31/22 A61P 43/00 121 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物のヘルペス感染症を治療するた
    めの医薬組成物であって、医薬として又は獣医薬として
    許容できるキャリアーと、効果的な量の、アシクロビル
    または医薬として許容できるその塩およびリボヌクレオ
    チド還元酵素阻害性トリペプチド誘導体であるEt2CHNH-
    COCH2CH[(S)-C(CH3)3]CO-Asp(ピロリジノ)-Asp(cyPn)-
    γMeLeu-OH、または医薬として許容できるその塩を含
    み、アシクロビルおよび前記リボヌクレオチド還元酵素
    阻害性ペプチド誘導体が相乗的なあるいは増強された抗
    ヘルペス効果を与える比率の量で組成物中に存在してい
    る前記医薬組成物。
  2. 【請求項2】 アシクロビルまたは医薬として許容でき
    るその塩の量が組成物の0.01〜1.0質量%であって、リ
    ボヌクレオチド還元酵素阻害性トリペプチドまたは医薬
    として許容できるその塩の量が組成物の0.5〜20質量%
    である、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 0.05〜1.0質量%のアシクロビル、およ
    び1〜10質量%の請求項1で定義されたリボヌクレオチ
    ド還元酵素阻害性トリペプチドを含む、請求項1に記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 アシクロビルまたは医薬として許容でき
    るその塩、および、請求項1で定義されたリボヌクレオ
    チド還元酵素阻害性ペプチドまたは医薬として許容でき
    るその塩、および生理学的に許容できるキャリアー、の
    組み合わせをヘルペスウイルス予防的な量で含む、化粧
    品組成物。
  5. 【請求項5】 局所的投与に適した形態である、請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 哺乳動物においてヘルペス単純ウイルス
    タイプ1またはタイプ2の感染を治療するための、請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
JP34421891A 1990-12-31 1991-12-26 ヘルペス感染治療用医薬組成物 Expired - Fee Related JP3209553B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CA002033447A CA2033447C (en) 1990-12-31 1990-12-31 Synergistic combination for treating herpes infections
CA2033447 1990-12-31

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04275230A JPH04275230A (ja) 1992-09-30
JP3209553B2 true JP3209553B2 (ja) 2001-09-17

Family

ID=4146736

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34421891A Expired - Fee Related JP3209553B2 (ja) 1990-12-31 1991-12-26 ヘルペス感染治療用医薬組成物

Country Status (9)

Country Link
US (1) US5380727A (ja)
EP (1) EP0493767B1 (ja)
JP (1) JP3209553B2 (ja)
AT (1) ATE150317T1 (ja)
AU (1) AU648854B2 (ja)
CA (1) CA2033447C (ja)
DE (1) DE69125262T2 (ja)
IL (1) IL100550A (ja)
NZ (1) NZ241120A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10345586B2 (en) 2017-03-28 2019-07-09 Honda Motor Co., Ltd. Head-up display device

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SG42995A1 (en) * 1992-03-12 1997-10-17 Bio Mega Boehringer Ingelheim Isosteric antiherpes peptide derivatives
JP4110347B2 (ja) * 1999-11-05 2008-07-02 大鵬薬品工業株式会社 抗hiv剤
ES2293977T3 (es) 2000-02-07 2008-04-01 Wisconsin Alumni Research Foundation Peptidos antivirales farmacologicamente activos y metodo para su uso.
WO2005060541A2 (en) * 2003-12-01 2005-07-07 Wisconsin Alumni Research Foundation Peptides and methods for inducing cellular resistance to infection
EP2710005B1 (en) 2011-05-17 2016-10-05 Principia Biopharma Inc. Tyrosine kinase inhibitors
US9376438B2 (en) 2011-05-17 2016-06-28 Principia Biopharma, Inc. Pyrazolopyrimidine derivatives as tyrosine kinase inhibitors
PT2892900T (pt) 2012-09-10 2017-11-06 Principia Biopharma Inc Compostos de pirazolopirimidina como inibidores de cinase
US8957080B2 (en) 2013-04-09 2015-02-17 Principia Biopharma Inc. Tyrosine kinase inhibitors
CN112353806A (zh) 2014-02-21 2021-02-12 普林斯匹亚生物制药公司 Btk抑制剂的盐和固体形式
CN107257686B (zh) 2014-12-18 2021-01-29 普林斯匹亚生物制药公司 天疱疮的治疗
TW201718572A (zh) 2015-06-24 2017-06-01 普林斯匹亞生物製藥公司 酪胺酸激酶抑制劑
SG11201811255WA (en) 2016-06-29 2019-01-30 Principia Biopharma Inc Modified release formulations of 2-[3-[4-amino-3-(2-fluoro-4-phenoxy-phenyl)pyrazolo[3,4-d]pyrimidin-1-yl]piperidine-1-carbonyl]-4-methyl-4-[4-(oxetan-3-yl)piperazin-1-yl]pent-2-enenitrile

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1523865A (en) * 1974-09-02 1978-09-06 Wellcome Found Purine compunds and salts thereof
GB8815241D0 (en) * 1988-06-27 1988-08-03 Wellcome Found Antiviral combinations & compounds therefor

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Antimicrob.Agents Chemother.,Vol.32,No.7,(1988)p.1100−1102
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,Vol.86,No.3,(1989)p.1051−1055

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10345586B2 (en) 2017-03-28 2019-07-09 Honda Motor Co., Ltd. Head-up display device

Also Published As

Publication number Publication date
AU9009191A (en) 1992-07-02
ATE150317T1 (de) 1997-04-15
IL100550A (en) 1995-11-27
US5380727A (en) 1995-01-10
DE69125262D1 (de) 1997-04-24
DE69125262T2 (de) 1997-10-09
IL100550A0 (en) 1992-09-06
AU648854B2 (en) 1994-05-05
EP0493767A3 (en) 1993-03-17
EP0493767B1 (en) 1997-03-19
CA2033447A1 (en) 1992-07-01
NZ241120A (en) 1994-02-25
JPH04275230A (ja) 1992-09-30
EP0493767A2 (en) 1992-07-08
CA2033447C (en) 1999-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3209553B2 (ja) ヘルペス感染治療用医薬組成物
JP3043833B2 (ja) 1,4‐ジオキソ‐c4 n‐末端を有する抗ヘルペスペプチド誘導体及びこれを含む医薬組成物
JP3209552B2 (ja) ヘルペス感染治療用医薬組成物
EP0560267B1 (en) Isosteric antiherpes peptide derivatives
AU683450B2 (en) Inhibitors of herpes viral ribonucleotide reductase
AU683465B2 (en) Method of combating acyclovir-resistant herpes simplex viral infections
HUT63853A (en) Process for producing polypeptide derivatives active on herpes and pharmaceutical compositions comprising same
AU671825C (en) Isosteric antiherpes peptide derivatives

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees