JP3207120B2 - 酵素活性測定方法 - Google Patents

酵素活性測定方法

Info

Publication number
JP3207120B2
JP3207120B2 JP19507996A JP19507996A JP3207120B2 JP 3207120 B2 JP3207120 B2 JP 3207120B2 JP 19507996 A JP19507996 A JP 19507996A JP 19507996 A JP19507996 A JP 19507996A JP 3207120 B2 JP3207120 B2 JP 3207120B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
synthetic oligopeptide
protease
group
synthetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19507996A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1033197A (ja
Inventor
清仁 志村
献一 笠井
浩幸 松本
尚宜 高本
強 牧野
慎二 大須賀
Original Assignee
株式会社分子バイオホトニクス研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社分子バイオホトニクス研究所 filed Critical 株式会社分子バイオホトニクス研究所
Priority to JP19507996A priority Critical patent/JP3207120B2/ja
Publication of JPH1033197A publication Critical patent/JPH1033197A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3207120B2 publication Critical patent/JP3207120B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料中の酵素活性の測
定方法に関し、特に、蛍光検出等電点電気泳動法を用い
た酵素活性測定方法に関する。本発明はまた、該測定方
法に用いる発蛍光団色素が結合された酵素活性測定用の
基質に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素は、生体機能の維持ばかりでなく、
多くの有用な生産物を効率よく製造するために用いられ
ている。それ故、酵素活性の測定は、生体機能の解明や
有用生産物の製造をはじめとして多くの分野にて必須の
測定系である。
【0003】従来、こうしたプロテアーゼの活性を特異
的かつ迅速に測定する方法はなく、特に補体系のプロテ
アーゼにあっては主に溶血反応を、また凝固系や線溶系
のプロテアーゼにあってはフィブリンクロットの形成と
溶解を指標にした活性測定系であった。
【0004】しかしながら、このような系では試料を大
量に必要とすること、及び結果として複数の反応が関与
した結果を測定することとなり精度に問題があった。そ
の改良法として、合成基質を用いてプロテアーゼ活性を
測定する方法が提案されている。その一つは、発色団を
ペプチドのC末端アミノ酸残基のカルボキシル基に導入
したペプチド合成基質を用いた測定方法であり、例え
ば、発色団としてp−ニトロアニリン(pNA)をC末
端アミノ酸残基のカルボキシル基にアミド結合により結
合させたペプチド基質(p−ニトロアニリド基質)を用
いた測定方法を挙げることができる(WITT, I. "New me
thods for the analysis of coagulationusing chromog
enic substrates" 1977, Walter de Gruyter, Berlin a
nd New York)。この発色団としてp−ニトロアニリン
(pNA)を用いた測定法の原理は、p−ニトロアニリ
ド基質にプロテアーゼを作用させるとpNAが遊離する
ので、その変化を405nmでの吸光度を用いて測定す
ることにより求め、プロテアーゼの活性を測定するとい
うものである。
【0005】また、発色団として蛍光物質である7−ア
ミノ−4−メチルクマリン(AMC)をC末端アミノ酸
残基のカルボキシル基にアミド結合により結合させたペ
プチド基質(4−メチルクマリン−7−アミド(MC
A)基質;非蛍光物質)を用いた方法が提案されてい
る。この方法の原理は、4−メチルクマリン−7−アミ
ド(MCA)基質(これは非蛍光物質である)にプロテ
アーゼを作用させると、蛍光物質であるAMCが遊離し
蛍光を発するので、励起波長380nm、蛍光波長46
0nmにおけるその蛍光強度からプロテアーゼの活性を
測定するというものである(Kawabata S., et al., Eur
opean Journal of Biochemistry, 172, 17-25, 198
8)。
【0006】上記のような発色団をペプチドのC末端ア
ミノ酸残基のカルボキシル基に導入したペプチド合成基
質を用いた測定法は、いずれも用いるプロテアーゼの種
類に依存して発色団と結合しているアミノ酸の配列が選
ばれる。
【0007】ペプチド合成基質を用いた上記の測定法
は、簡便な測定方法として汎用されており、特に発色団
としてAMCを結合させたペプチド基質を用いた場合は
高感度な測定方法として期待されている(青木延雄、岩
永貞昭、凝固・線溶・キニン、中外医学社、1980、
新生化学実験講座1、タンパク質V、日本生化学会編、
1991)。
【0008】しかしながら、ペプチドのC末端アミノ酸
残基のカルボキシル基と発色団とのアミド結合をプロテ
アーゼが切断することを必須の要件とする上記の方法
は、天然基質を用いた場合の切断の様式と異なることが
指摘されている。すなわち、基質の特異性が異なると酵
素活性に影響するので、天然基質を用いないと本来の酵
素活性を測定できないという問題がある。
【0009】また、ペプチド合成基質を用いた上記の測
定法は比較的大量のプロテアーゼが必要であり、微量な
プロテアーゼを測定するような測定系には向いていな
い。
【0010】そこで、天然基質を用いてプロテアーゼに
より切断されたペプチドをキャピラリーゾーン電気泳動
を用いて分離することにより、プロテアーゼの活性を測
定するという測定系が提案された(Mulholland, F.ら、
J. Chromatography, 636, 63-68, 1993 ; Vinther, A.
らElectrophoresis, 14, 486-491, 1993)。しかしなが
ら、この方法は検出感度が不十分であり、微量試料の測
定には適していない。
【0011】また、強酸性を有するシアニン誘導体をN
末端アミノ酸残基に結合したペプチド基質を用いて、プ
ロテアーゼにより切断されたペプチド断片をキャピラリ
ーゾーン電気泳動を用いて分離し、蛍光検出を行うこと
によりプロテアーゼ活性を検出する方法が提案されてい
る(Fu-tai A. Chen, Analytical Biochemistry, 225,
341-345, 1995)。
【0012】一方、蛋白質リン酸化酵素の測定方法は、
一般に、リンの放射性同位元素が用いられている。その
ような方法では、リン酸化された蛋白質を電気泳動によ
り分離し、オートラジオグラフィーにより活性を確認す
るものである。しかしながら、この方法では、放射性物
質を用いるので操作が煩雑となりまた用途が限定されて
しまうという問題があり、また、再現性も満足のいくも
のではなかった。その改良法として、ペプチド基質を用
いて、ペプチド基質のリン酸化をキャピラリーゾーン電
気泳動により検出する方法が提案されている(Jhon F.
Dawsonら、Analytical Biochemistry 220, 340-345, 19
94)。しかしながら、この方法は、放射性同位元素を用
いる方法に比べて感度がまだ不十分であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来の
欠点を解決して、微量の酵素の活性を高感度でしかも簡
便に測定できる酵素活性測定法を提供することを目的と
する。特に、本発明は、微量のプロテアーゼ活性を高感
度でしかも簡便に測定できる酵素活性測定法を提供する
ことを目的とする。
【0014】従来の技術の項で記したように、天然基質
を用いたプロテアーゼの活性測定方法は満足のいくもの
ではなかった。上記したシアニン誘導体をペプチドのN
末端アミノ酸残基のアミノ基に結合したペプチド基質を
用いたプロテアーゼの活性測定方法は、ペプチド基質と
該ペプチド基質のプロテアーゼによる分解産物の分離に
キャピラリーゾーン電気泳動を用いている。しかしなが
ら、天然基質を用いたプロテアーゼの測定方法として
は、キャピラリーゾーン電気泳動では分析できる試料の
量がキャピラリーの容積の約1/100に限られ、その
結果として検出感度に限界があると判った。また、キャ
ピラリーゾーン電気泳動では、分離される画分に広がり
が生じ、結果として高感度な検出が困難であるというこ
とが判った。また、キャピラリーゾーン電気泳動法にお
いては、あらかじめ分離坦体となる緩衝液を満たしたキ
ャピラリー中に導入される試料は微量であることが要求
され、再現性の問題があるということが判った。また、
キャピラリー中に導入できる試料が微量であるため、分
離に先立つ酵素反応において比較的高濃度のプロテアー
ゼが要求され、微量なプロテアーゼを用いる場合は適し
ていないという問題があるということが判った。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、発蛍光団
色素が結合したペプチド基質と等電点電気泳動法を組み
合わせることにより、微量の酵素の活性が、高感度でし
かも簡便に測定できることを見いだし本発明を完成し
た。すなわち、本発明者らは、発蛍光団色素が結合され
た酵素活性測定用のポリペプチド基質が、酵素の作用に
より、該ポリペプチド基質とは異なる等電点を有する1
又は2以上のポリペプチドになること、及びそれらのポ
リペプチドが等電点電気泳動により分離されることを見
いだし本発明を完成した。
【0016】本発明でポリペプチドとは、ペプチドが数
個から十数個結合したオリゴペプチド及びペプチドがそ
れ以上、例えば数十個結合したポリペプチドを含む意味
である。
【0017】
【発明の実施の態様】本発明の第1の特徴は、合成オリ
ゴペプチドを基質として用いる酵素活性測定方法におい
て、該合成オリゴペプチドがローダミン、フルオレセイ
ン、シアニン(Cy3を除く)、インドシアニン、イン
ドカルボシアニン、ピロニン、ルシファーイエロー、キ
ナクリン、スクエア酸、クマリン、フルオロアンセニル
メレイミド及びアントラセンからなる群より選ばれる少
なくとも1つの発蛍光団色素と結合しており、かつ、該
合成オリゴぺプチドがプロテアーゼ、蛋白質リン酸化酵
素及び転移酵素からなる群より選ばれるいずれか一つの
酵素の作用により、該合成オリゴペプチドと異なる等電
点を有する1又は2以上のオリゴペプチドを生じるよう
なアミノ酸配列を有し、該酵素の作用によって生じた該
1又は2以上のオリゴペプチドを蛍光検出等電点電気泳
動法を用いて検出することを特徴とする酵素活性測定方
法である。
【0018】本発明の第二の特徴は、発蛍光団色素が結
合基を介してポリペプチドに結合してなることを特徴と
する酵素活性測定方法である。
【0019】
【0020】本発明の第三の特徴は、前記の等電点の異
なるオリゴペプチドを蛍光検出キャピラリー電気泳動法
により分離することを特徴とする酵素活性測定方法であ
る。
【0021】本発明の第四の特徴は、発蛍光団色素が結
合した合成オリゴペプチド基質及びキャピラリー等電点
電気泳動法を用いたプロテアーゼ活性測定法である。
【0022】
【0023】本発明で用いる発蛍光団色素としては、用
いる合成オリゴペプチド基質、及び該合成オリゴペプチ
ド基質に酵素を作用させた後に生じるオリゴペプチドの
間に等電点の差異を生じるものである限り特に制限はな
い。すなわち、強酸性のCy3色素(商標:バイオロジ
カル ディテクション システムズの商品)のように、
強い電荷を有しており、合成オリゴペプチド基質の等電
点を等電点電気泳動による分離範囲外にするような発蛍
光団色素でない限り本発明において使用可能である。実
際には、用いるペプチドの電荷に応じて、適宜、適当な
色素が選択されうる。発蛍光団色素として、ローダミ
ン、フルオレセイン、シアニン、インドシアニン、イン
ドカルボシアニン、ピロニン、ルシファーイエロー、キ
ナクリン、スクエア酸、クマリン、フルオロアンセニル
メレイミド、アントラセン等を挙げることができる。上
記のうち、ローダミン系色素、電気的に陰性或いは陽性
の電荷を持つシアニン系色素が、特に、基質の等電点に
極端に影響しない点及び蛍光の検出が容易である点より
好ましい。ここでいう蛍光の検出が容易であるとは、該
発蛍光団色素の励起が容易であること、発する蛍光が大
きく、また反応系の夾雑物により影響されにくいという
ことである。
【0024】本発明で用いる発蛍光団色素が結合された
合成オリゴペプチド基質とは、活性測定の目的とする酵
素に応じて選択された合成オリゴペプチド基質に、上記
の発蛍光団色素を結合したものである。合成オリゴペプ
チドへの発蛍光団色素の結合は、発蛍光団色素を直接、
合成オリゴペプチドに結合させてもよいし、また結合基
を介して結合させても良い。結合基としては、発蛍光団
色素をアミノ酸に結合するために一般に用いられるもの
が満足に使用でき、例えば、アミド、チオアミド、スル
フォンアミド、尿素、チオ尿素、ウレタン結合基等を挙
げることができるが、特に、アミドが好ましい。
【0025】発蛍光色素団を結合する箇所は、目的とす
る酵素の活性に大きく影響しない限り特に制限されず、
N末端アミノ酸残基のアミノ基に結合させても、C末端
アミノ基のカルボキシル基に結合させても、また、側鎖
を有するアミノ基の側鎖に結合させてもよい。特に、合
成オリゴペプチド基質がシステインを含む場合は、シス
テインのチオール基に発蛍光色素団を結合させるのが、
合成オリゴペプチド基質の等電点への影響を最少とでき
好ましい。発蛍光団色素を結合させる方法としては、例
えば、上記の結合基とアミノ基を共有結合させる方法
(例えば、大野素憲ら、蛋白質の化学修飾(下)、学会
出版センター、1981参照)を挙げることができる。
【0026】本発明で測定できる酵素活性は、合成オリ
ゴペプチドを基質とするものであれば制限されないが、
プロテアーゼ、蛋白質リン酸化酵素及び転移酵素が好ま
しく、プロテアーゼが特に好ましい。酵素としてプロテ
アーゼを用いた場合は、本発明の蛍光標識オリゴペプチ
ド基質はプロテアーゼにより分解されて該オリゴペプチ
ド基質とは等電点の異なるオリゴペプチドを生じること
ができる。また、酵素として蛋白質リン酸化酵素を用い
た場合は、本発明の蛍光標識オリゴペプチド基質はリン
酸化されて、該オリゴペプチド基質とは等電点の異なる
オリゴペプチドを生じることができる。
【0027】プロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解
を触媒とするEC3.4群の酵素の総称であり、動物、
植物、微生物界に広く分布し、細胞内にも細胞外にも存
在する。プロテアーゼの生理的意義は、その存在と同
様、極めて重要でありまた多岐にわたっている。また、
蛋白質リン酸化酵素は、蛋白質のリン酸化を触媒するE
C2.7群の酵素であり、動物、植物、微生物界に広く
分布する重要な酵素である。これらの酵素の活性は、本
発明の方法により満足に測定できる。
【0028】上記のプロテアーゼのうち、消化管内に分
泌されるペプシン、トリプシン、キモトリプシンなどの
は栄養素としての蛋白質をアミノ酸へと消化する担い手
である。また、細胞内ではリソソームに含まれているカ
テプシン群のプロテアーゼは、不要な蛋白質の除去機構
に寄与していると考えられる。これらの酵素の活性も本
発明の方法により満足に測定できる。
【0029】消化管や血流中で見られるチモーゲン活性
化反応は、不活性な前駆体活性から活性な酵素を切り出
すものであり、また、細胞内においてホルモン前駆体、
例えば、プロインスリンからホルモンを生成したり、活
性ペプチドを限定的に切断して不活性化したりする反応
は、プロテアーゼの生体防御、調節機構への重要な役割
と見なすことができる。特に、血漿中には数多くのプロ
テアーゼが含まれており、その多くは血液凝固及び線溶
系・補体系・キニン系などの生体防御に直接関与するも
ので、病態時におけるこれらの酵素の活性変動は疾患の
診断に欠かせない情報である。これらの酵素は微量の場
合があり、本発明の方法は、これらの疾患の診断に欠か
せない酵素の活性の測定にもまた適している。
【0030】本発明の酵素活性測定方法は、等電点電気
泳動を用いることを特徴とし、それによりオリゴペプチ
ドが焦点的に濃縮されて分離されるため非常に高い分解
能を有する。すなわち本発明においては、発蛍光団色素
が結合された合成オリゴペプチド基質を用いることによ
る高検出感度及び等電点電気泳動法を用いることによる
高分解能が組み合わされることにより、検出の高感度化
を可能とし、微量な酵素の活性の測定を可能としたので
ある。本発明においては、一般の等電点電気泳動法が満
足に使用できるが、試料が微量の場合は、特にキャピラ
リー等電点電気泳動法が好ましい。本発明においては、
キャピラリー等電点電気泳動法を用いているため、キャ
ピラリーの全長にわたって試料を満たして分析が開始で
きるため、キャピラリーゾーン電気泳動法で問題とな
る、微量試料のキャピラリーへの導入に伴う再現性の問
題や、微量操作の煩雑さの問題を生じない。さらに、本
発明の、キャピラリー等電点電気泳動法と蛍光検出法を
組み合わせた分析方法においては、その高い分解能と検
出感度により、超高感度化が可能であり、極微量の酵素
の活性の測定が可能となる。さらに、本発明において
は、等電点電気泳動法として、マイクロチップ化したキ
ャピラリーを用いたマイクロチップキャピラリー電気泳
動法(Stephen C. Jacobsonら、Analytical Chemistr
y, 66, 3472-3476,1994)も用いることができ、それに
より、さらなる微量化、高感度化期待される。
【0031】以下、本発明を実施例を用いて説明する
が、本発明の範囲は実施例に限定されるものではなく、
本発明の範囲は、特許請求の範囲の基づいて判断される
べきものである。
【0032】
【実施例】
(蛍光標識ペプチド基質の合成) (1) ペプチド(H-Gly-Cys-His-Glu-Ala-Arg-Ala-Glu
-Glu-OH)の調製 ペプチド(H-Gly-Cys-His-Glu-Ala-Arg-Ala-Glu-Glu-O
H)をペプチド研究所(株)(大阪)に依頼して合成し
た。ペプチドの合成は、アプライドバイオシステムズ社
製のペプチド自動合成装置を用いて行い、合成後、ポリ
ペプチドをHPLC(カラム:YMC社製、S−5、1
20A ODS、内径30mm、全長250mm;流
速:20ml/min;検出波長:220nm;移動
相:MeCN/0.1%TFA、1−21%グラジュエ
ント/80min)を用いて分取した。その後、凍結乾
燥を行った。凍結乾燥品を、使用前に、20mMの塩酸
溶液に溶解し(3)の操作に用いた。
【0033】(2) リサミンローダミンB(LRB)
ヨードアセタミドの調製 (a)LRBアミンの調製 エチレンジアミン104 mgとジメチルホルムアミド0.4m
lの混液に、0,3 mlのジメチルホルムアミドに溶解した
10 mgのリサミンローダミンB塩化スルホニル(米国、
モレキュラーブローブス社製)を滴下し、暗所、室温に
て1時間反応させた。反応液を減圧下にて蒸発乾固した
後、20%アセトニトリル−1%ギ酸溶液2mlに溶解
し、20%アセトニトリル−1%ギ酸溶液で平衡化した
1mlのDowex-1(H1型)カラムに全量を流して素通り
画分を集め、減圧下にて蒸発乾固し、LRBアミンの粗
製品とした。これを、アセトニトリル0.4 mlと0.1 Mリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.5)1.6 mlに溶解し、570
nmにおけるモル吸光係数を93,000として吸光度測定によ
ってその濃度を決定した。LRBアミン粗製品150nm
olを25%アセトニトリル−0.1 %トリフルオロ酢酸溶
液で平衡化した逆相クロマトグラフィーカラム(東ソー
ODS-80Ts、直径4.6 mm、長さ25cm)にアプライし、3
0分間にわたって25−55%のアセトニトリルの濃度
直線勾配をかけて色素を溶出し、280nmの吸収で検出
を行った。最も大きなピークを分取し(127nmol)、
精製LRBアミンとして以下の操作に用いた。
【0034】(b)LRBアミンのヨードアセチル化 (a)で調製した画分を減圧下に乾固し、その後、アセ
トニトリルと0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.5)
の1:4混合液88μlに溶解し、これに10mMモノヨ
ード酢酸N−オキシコハク酸イミドエステルのジメチル
ホルムアミド溶液12μlを添加し、室温にて1時間反
応させた。反応液の全量を(a)で述べたのと同条件に
て逆相クロマトグラフィーにかけ、溶出した主ピークを
LRB−ヨードアセタミドとして分取し(70nmol)、
ペプチドの標識に用いた。
【0035】(3) ペプチドの標識 (2)で調製した精製色素(LRB−ヨードアセタミ
ド)25nmolを含むカラム溶液を試験管中で乾固し、そ
の後、アセトニトリル20μlに溶解した。これに、
(1)で調製したペプチド水溶液10μl(濃度5mM、
50nmol)と緩衝液(0.1 M Na-Pi、5mM EDTA、pH 7.
5)を加え、暗所にて一晩室温で反応させた。反応液
を、25%アセトニトリル−0.1%トリフルオロ酢酸溶
液で平衡化した逆相クロマトグラフィーカラム(東ソー
ODS-80Ts、直径4.6 mm、長さ25cm)にアプライし、1
ml/分の流速にて、30分間にわたって25−55%
のアセトニトリルの濃度直線勾配をかけて標識ペプチド
を溶出し、分取した。検出は280nmの吸収にて行っ
た。標識ペプチドの収量は、約80%であった。標識ペ
プチドの濃度は、570nmにおけるモル吸光係数を93,0
00として、吸光度測定によって決定した。
【0036】(トリプシン活性の測定) (1)トリプシンによる反応 4%ファルマライト(pH 3-10、ファルマシアバイオテ
ク社製)、0.1%Tween 20の溶液をNaOHでpH8に調製し
た溶液を反応用緩衝液として用いた。トリプシンは、Si
gma社より購入し、反応用緩衝液に1μg/mlの濃度にな
るように溶解した。前記で調製したLBRヨードアセト
アミドで標識したペプチド基質を10-8Mの濃度にて含む
反応用緩衝液10μlに、トリプシン溶液1μl(トリプ
シン1ng)を加え、37℃で10分間、インキュベート
した。その後、1μlの反応用緩衝液に溶解したダイズ
トリプシンインヒビター100ngを加え反応を停止し
た。
【0037】(2)キャピラリー等電点電気泳動による
分離 上記の反応液を、内壁を直鎖状ポリアクリルアミドでコ
ーティング処理した溶融シリカキャピラリー(内径50
μm、外径375μm、全長22cm、ジーエルサイエンス
社製)に充填し、陽極液として20mMリン酸溶液、陰極
液として20mMNaOH溶液を用いて、0.5 kV/cmで5
分間通電することにより、等電点への焦点化を行った。
その後、電場をかけ続けると同時に、陽極を陰極より5
cm高く上げ、焦点化した試料を陰極方向へと移動させキ
ャピラリーより溶出させた。検出は、キャピラリーの陰
極端より2cmの位置にて行った。
【0038】蛍光物質の励起はヘリウム−ネオンレーザ
ー(波長543.5 nm、出力1mW、モデル05-LGR-151-S、メ
レスグリオ社製)を用いて行い、発生した蛍光を40倍
の対物レンズにて集光した後、バンドパルスフィルター
(590 nm、30 nmバンド幅、モデルDIF-BP-3、日本真空
光学社製)を通して光電子増倍管(モデルR1387、浜松
ホトニクス社製)にて測定し、測定結果はインテグレー
ター(モデルCR4A、島津製作所社製)を用いて解析し
た。その結果を、図1及び図2に示す。
【0039】(3) 酵素活性の測定 上記の如くしてトリプシンの反応液を蛍光検出キャピラ
リー等電点電気泳動により分析したところ、焦点化バン
ドの移動開始後約4分と5.3分に大きな蛍光ピークが見
られた(図1)。一方、トリプシンを加えない場合に
は、5.3分の位置に蛍光標識されたペプチド基質が見ら
れるのみであった(図2)。約4分の位置に現れるピー
クは、別途合成した蛍光標識ペプチド断片との比較によ
り、用いた蛍光標識ペプチド基質からArgよりC末端側
のペプチドがはずれた蛍光標識ペプチド断片であること
が確認され、トリプシンの触媒作用による生産物である
ことが確認された。この生産物は、計算によると基質よ
り高い等電点を有するが、実際にもその通りと成ってお
り、塩基性側から検出を行うと、基質より先に生産物が
検出された。また、ピークより計算すると、この生産物
の量は6.1×10-15molであり、1ngのトリプシンの活性
が満足に測定できた。この結果は、この測定法がさらに
少量の、例えば100 pg以下のトリプシンでも十分にその
活性を検出できることを示している。
【0040】
【発明の効果】以上の結果は、本発明の測定方法が、数
pM以下の濃度のペプチドを検出できることを示してお
り、本発明の酵素活性測定方法が、非常に高感度であ
り、特に微量の酵素の活性を測定するのに適しているこ
とを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】トリプシンを加えた系での、蛍光検出キャピラ
リー等電点電気泳動を行った際の移動時間と蛍光強度を
示す図である。ピーク1は、反応生成物であり、ピーク
2は、蛍光標識ペプチド基質である。
【図2】トリプシンを加えていない系での、蛍光検出キ
ャピラリー等電点電気泳動を行った際の移動時間と蛍光
強度を示す図である。ピーク2は、蛍光標識ペプチド基
質である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高本 尚宜 静岡県浜北市平口5000番地 株式会社分 子バイオホトニクス研究所内 (72)発明者 牧野 強 静岡県浜北市平口5000番地 株式会社分 子バイオホトニクス研究所内 (72)発明者 大須賀 慎二 静岡県浜北市平口5000番地 株式会社分 子バイオホトニクス研究所内 (56)参考文献 特開 平3−251598(JP,A) 国際公開94/28166(WO,A1) Analytical Bioche mistry Vol.25,No.2, (1995)p.341−345 生物物理化学 Vol.39,No.6 (1995)p.349−353 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/00 - 1/66 G01N 27/447 JICSTファイル(JOIS)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成オリゴペプチドを基質として用いる
    酵素活性測定方法において、 該合成オリゴペプチドが、ローダミン、フルオレセイ
    ン、シアニン(Cy3を除く)、インドシアニン、イン
    ドカルボシアニン、ピロニン、ルシファーイエロー、キ
    ナクリン、スクエア酸、クマリン、フルオロアンセニル
    メレイミド及びアントラセンからなる群より選ばれる少
    なくとも1つの発蛍光団色素と結合しており、 かつ、該合成オリゴぺプチドがプロテアーゼ、蛋白質リ
    ン酸化酵素及び転移酵素からなる群より選ばれるいずれ
    か一つの酵素の作用により、該合成オリゴペプチドと異
    なる等電点を有する1又は2以上のオリゴペプチドを生
    じるようなアミノ酸配列を有し、 該酵素の作用によって生じた該1又は2以上のオリゴペ
    プチドを蛍光検出等電点電気泳動法を用いて検出するこ
    とを特徴とする酵素活性測定方法。
  2. 【請求項2】 前記発蛍光団色素が結合基を介して前記
    合成オリゴペプチドに結合してなることを特徴とする請
    求項1に記載の酵素活性測定方法。
  3. 【請求項3】 前記蛍光検出等電点電気泳動法が蛍光検
    出キャピラリー電気泳動法であることを特徴とする請求
    項1又は2に記載の酵素活性測定方法。
  4. 【請求項4】 前記酵素がプロテアーゼであることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の酵素活性
    測定方法。
  5. 【請求項5】 前記合成オリゴペプチドが、トリプシン
    又はキモトリプシンの基質であることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか一つに記載の酵素活性測定方法。
  6. 【請求項6】 等電点電気泳動法を用いた酵素活性測定
    用の合成オリゴペプチド基質において、 該合成オリゴペプチドが、ローダミン、フルオレセイ
    ン、シアニン(Cy3を除く)、インドシアニン、イン
    ドカルボシアニン、ピロニン、ルシファーイエロー、キ
    ナクリン、スクエア酸、クマリン、フルオロアンセニル
    メレイミド及びアントラセンからなる群より選ばれる少
    なくとも1つの発蛍光団色素と結合しており、 かつ、該合成オリゴぺプチドがプロテアーゼ、蛋白質リ
    ン酸化酵素及び転移酵素からなる群より選ばれるいずれ
    か一つの酵素の作用により、該合成オリゴペプチドと異
    なる等電点を有する1又は2以上のオリゴペプチドを生
    じるようなアミノ酸配列を有していることを特徴とする
    合成オリゴペプチド基質。
  7. 【請求項7】 前記発蛍光団色素が、シアニン(Cy3
    を除く)、インドシアニン、インドカルボシアニン、ピ
    ロニン、キナクリン、スクエア酸、クマリン、フルオロ
    アンセニルメレイミド及びアントラセンのうちの少なく
    とも一つであることを特徴とする請求項6に記載の合成
    オリゴペプチド基質。
  8. 【請求項8】 前記発蛍光団色素が、ローダミン又はシ
    アニン(Cy3を除く)のいずれかであることを特徴と
    する請求項6に記載の合成オリゴペプチド基質。
  9. 【請求項9】 前記発蛍光団色素が、リサミンローダミ
    ンBであることを特徴とする請求項6に記載の合成オリ
    ゴペプチド基質。
  10. 【請求項10】 前記合成オリゴペプチド基質が、プロ
    テアーゼ活性測定用基質であることを特徴とする請求項
    6〜9のいずれか一項に記載の合成オリゴペプチド基
    質。
  11. 【請求項11】 前記合成オリゴペプチド基質が、トリ
    プシン又はキモトリプシンの基質であることを特徴とす
    る請求項6〜9のいずれか一項に記載の合成オリゴペプ
    チド基質。
JP19507996A 1996-07-24 1996-07-24 酵素活性測定方法 Expired - Fee Related JP3207120B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19507996A JP3207120B2 (ja) 1996-07-24 1996-07-24 酵素活性測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19507996A JP3207120B2 (ja) 1996-07-24 1996-07-24 酵素活性測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1033197A JPH1033197A (ja) 1998-02-10
JP3207120B2 true JP3207120B2 (ja) 2001-09-10

Family

ID=16335208

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19507996A Expired - Fee Related JP3207120B2 (ja) 1996-07-24 1996-07-24 酵素活性測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3207120B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6740497B2 (en) * 1998-03-06 2004-05-25 The Regents Of The University Of California Method and apparatus for detecting cancerous cells using molecules that change electrophoretic mobility
US6335201B1 (en) 1998-03-06 2002-01-01 The Regents Of The University Of California Method and apparatus for detecting enzymatic activity using molecules that change electrophoretic mobility
JP2001149081A (ja) 1999-11-29 2001-06-05 Cyclex Co Ltd 脱アセチル化酵素の活性測定方法、並びにこれら酵素の阻害剤もしくは促進剤のスクリーニング方法
CN102680442B (zh) * 2012-04-19 2014-02-26 太原理工大学 一种无标记荧光检测胰蛋白酶的方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Analytical Biochemistry Vol.25,No.2,(1995)p.341−345
生物物理化学 Vol.39,No.6(1995)p.349−353

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1033197A (ja) 1998-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11105812B2 (en) Identifying peptides at the single molecule level
Poreba et al. Selective imaging of cathepsin L in breast cancer by fluorescent activity-based probes
JP4451663B2 (ja) 生物発光プロテアーゼ分析方法
US5605809A (en) Compositions for the detection of proteases in biological samples and methods of use thereof
Swann et al. Nonspecific protease‐catalyzed hydrolysis/synthesis of a mixture of peptides: Product diversity and ligand amplification by a molecular trap
EP0428000A1 (en) Fluorogenic substrates for the detection of proteolytic enzyme activity
US5120644A (en) Peptide derivatives and activity measuring method of physiologically active substances using the same as substrates
JP2000503533A (ja) 蛍光消光基質を用いたタンパク質分解酵素のアッセイ方法
JP2008167757A (ja) 生物学的サンプル中のプロテアーゼの検出のための組成物及びその使用方法
JP2003511063A (ja) メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤の同定方法
US9733241B2 (en) Detection of degradative enzymes and biomolecules in bodily fluids
JP4713835B2 (ja) 酵素活性測定方法
KR20050034642A (ko) 펩티드 화합물 및 프로테아제 기질로서의 그의 용도
JP3207120B2 (ja) 酵素活性測定方法
JP4065931B2 (ja) 染料二量体化に基づく蛍光発生プロテアーゼ基質
EP1845155A1 (en) Particle for enzymatic activity detection and, utilizing the same, method of enzymatic activity detection and enzymatic activity detection tool
AU2001283988B2 (en) Two coloured fluorimetric protease assay
CN112080550B (zh) 一种检测基质金属蛋白酶的生物传感器及应用
JP4966469B2 (ja) プロテアーゼ又はペプチダーゼの蛍光検出
US20020123068A1 (en) Water-soluble, fluorescent, & electrophoretically mobile peptidic substrates for enzymatic reactions and methods for their use in high-throughput screening assays
Chen Characterization of protease-catalyzed hydrolysis of cyanine-labeled angiotensin using capillary electrophoresis with laser-induced fluorescence detection
Filippova et al. The multifaceted role of proteases and modern analytical methods for investigation of their catalytic activity
JP3815051B2 (ja) 新規なペプチド誘導体
CN109750082B (zh) 一种检测人明胶酶mmp-2的荧光多肽底物及其应用
US20110275524A1 (en) Methods and systems to detect an active protease in a sample

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees