JP3206089B2 - 導電塗料組成物 - Google Patents

導電塗料組成物

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JP3206089B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子写真複写機,プ
リンター等の現像ロール等に使用される導電ロールの形
成材料として用いられる導電塗料組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子写真複写機は、図5に示す
ように構成され、つぎのようにして複写が行われる。す
なわち、軸1aを中心に矢印方向に回転する感光ドラム
1がコロトロン2により一様に帯電される。3は露光機
構部でここを介して原稿光像のスリット露光8が感光ド
ラム1表面に到達し、原稿像に対応した静電潜像が感光
ドラム1表面に形成される。4はケース4a内に内蔵さ
れた現像ロールで、層形成部材12の摺接によって摩擦
帯電され、ケース4a内のトナーが付着される。そし
て、感光ドラム1表面の静電潜像に向かってトナーが飛
翔し、感光ドラム1表面にトナー像が形成される。この
トナー像が、給紙ローラ6によって矢印のように移送さ
れ、転写装置5を介して複写紙11上に転写され、定着
ロール7によって複写紙11上に定着される。このよう
にして複写が行われる。なお、図において9は感光ドラ
ム1表面の転写残像や残存トナーを除去するクリーナ
ー、10は感光ドラム1を零電化してつぎの帯電に備え
させるイレーサーランプである。
【0003】この種の現像ロール4は、トナーが非磁性
の場合は、一般に、図6に示すように、金属シャフト
(芯金)41aとその外周の導電層42aによって構成
され、トナーが磁性を有する場合は、図7に示すよう
に、金属スリーブ(芯金)41bとその両端部分のエン
ドキャップ41cと金属スリーブ41b内のマグネット
シャフト41dと、さらに金属スリーブ41bの外周の
導電層42bによって構成されている。図において、4
3は軸受である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記現像ロール4の導
電層42aおよび42bは、低コスト化等の観点から、
最近では、合成マトリックス(バインダー)にカーボン
粉末,導電性金属酸化物等の導電材を分散してなる塗料
を用い、これを金属スリーブ表面にコーティングして形
成されている。しかしながら、上記現像ロール4におい
て、導電層42aおよび42bの電気抵抗を制御するこ
とにより濃度むらのない複写画像は確保できても、トナ
ーの帯電性の不足により複写画像の濃度不足や環境によ
る変動が大きい、すなわち環境依存性が大きいという問
題を有している。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、高いトナー帯電性を有し、しかも充分な複写
画像濃度が安定して得られる導電ロールの導電層を製造
することができる導電塗料組成物の提供をその目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の導電塗料組成物は、バインダー樹脂中
に、導電性粉末と、導電性樹脂粉末とが分散含有され、
かつ下記の特性(A)〜 (C)を備えていることを特徴とする導電塗料組成物。 (A)導電性樹脂粉末の電気抵抗Rvfが1010Ω・c
m以下であること。 (B)バインダー樹脂および導電性粉末からなる組成物
の電気抵抗Rvrが108 Ω・cm以下であること。 (C)上記導電性樹脂粉末の電気抵抗Rvfとバインダ
ー樹脂および導電性粉末からなる組成物の電気抵抗Rv
rの関係が下記の不等式を満足すること。 Rvf>Rvr
【0007】
【作用】すなわち、本発明者らは、トナー帯電性が高
く、環境依存性の小さな導電ロール形成材料を得るため
に一連の研究を重ねた。その結果、トナーと導電ロール
の導電性高分子層表面との接触によって誘電された電荷
を導電性高分子層に蓄積するよう、導電性高分子層形成
材料に、それ自身の有する電気抵抗が特定値より低く、
かつバインダー樹脂と導電性粉末からなる組成物の電気
抵抗よりも高い特性を備えた導電性樹脂粉末を分散含有
した導電塗料組成物を用いると、上記誘電された電荷が
導電性樹脂粉末に蓄積されるため、適度に電荷が溜まり
トナーの帯電性が向上することを見出しこの発明に到達
した。
【0008】つぎに、この発明について詳しく説明す
る。
【0009】この発明の導電塗料組成物は、バインダー
樹脂と、導電性粉末と、導電性樹脂粉末とを用いて得ら
れる。
【0010】上記バインダー樹脂としては、特に限定す
るものではなく従来公知のものが得られるが、例えば、
アクリル樹脂,メラミン樹脂,フェノール樹脂,エポキ
シ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは併せて
用いられる。
【0011】上記導電性粉末としては、従来から用いら
れているカーボンブラック、c−ZnO等の金属酸化物
等があげられる。なお、上記「c−」は、導電性を有す
るという意味を表すものである。
【0012】上記導電性樹脂粉末は、合成樹脂と、導電
性粉末とを用い、これらを配合し混練して粉末状に粉砕
することにより作製される。上記合成樹脂としては、ポ
リアミド樹脂,ポリエチレン,ポリエステル樹脂,フェ
ノール樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは併
せて用いられる。また、上記導電性粉末としては、上記
と同様、カーボンブラック、c−ZnO等の金属酸化物
等があげられる。このような導電性樹脂粉末は、塗料に
用いられる溶剤には不溶である。また、上記導電性樹脂
粉末の配合量は、バインダー樹脂100重量部(以下
「部」と略す)に対して20〜200部の範囲内に設定
することが好ましい。すなわち、導電性樹脂粉末の配合
量が20部未満では充分なトナー帯電性の向上効果が得
られず、逆に200部を超えると塗膜の凹凸が著しく、
ロール表面粗さが大きくなりすぎ、トナー搬送量が増加
しすぎる傾向がみられるからである。
【0013】なお、上記導電塗料組成物には、上記成分
以外の他の添加材を必要に応じて適宜に配合することが
できる。上記他の添加材としては、酸化チタン,炭酸カ
ルシウム,タルク,クレー等があげられる。
【0014】この発明の導電塗料組成物は、例えばつぎ
のようにして得られる。すなわち、まず合成樹脂と、導
電性粉末とを用い、これらを配合し混練して粉末状に粉
砕することにより導電性樹脂粉末を作製する。つぎに、
バインダー樹脂に、導電性粉末および上記導電性樹脂粉
末、そして他の添加材を適宜配合し、ボールミル等を用
いて混合,攪拌し、この混合物を適当な溶剤(キシレ
ン,メタノール等)に溶解することにより得られる。
【0015】そして、上記導電性樹脂粉末の電気抵抗R
vfと、バインダー樹脂および導電性粉末からなる組成
物の電気抵抗Rvrとの関係が、下記の不等式を満足さ
せる必要がある。 Rvf>Rvr
【0016】さらに、上記導電性樹脂粉末の電気抵抗R
vfおよび上記バインダー樹脂および導電性粉末からな
る組成物の電気抵抗Rvrはそれぞれ下記のように設定
される必要がある。 Rvf≦1010Ω・cm Rvr≦108 Ω・cm
【0017】すなわち、上記両者の電気抵抗Rvf,R
vrの関係を上記のように設定することでトナー帯電性
が向上し、安定した画像濃度が得られる。また、上記導
電性樹脂粉末の電気抵抗Rvfが1010Ω・cmを超え
ると、誘電された電荷が導電性樹脂粉末中に溜まり過ぎ
複写画像濃度が低下するからである。
【0018】この発明の導電塗料組成物を用いての導電
ロールは、例えばつぎのようにして製造することができ
る。すなわち、上記導電塗料組成物を、金属スリーブの
外周面にディッピング等で塗工して乾燥することにより
導電性高分子層を形成する。より詳しく述べると、上記
導電塗料をディップ液として、図4に示すような槽17
に収容する。つぎに、金属スリーブ12を垂直に立て
て、上記導電塗料中に繰り返し浸漬することにより、金
属スリーブ12の外周面に導電性高分子層を形成させ
る。この際の導電塗料の粘度,昇降速度,昇降回数等の
条件は、導電塗料の液膜が50〜300μmの範囲内に
なるような条件に設定することが好ましい。このような
液膜が形成されたものについて60℃程度の温度で1時
間乾燥を施して溶剤を除去し、続いて150℃の温度で
30分間加熱することにより導電性高分子層化させる。
このようにして、図1に示すような構造の導電ロールを
製造することができる。図において、12は金属スリー
ブ、13は導電性高分子層である。
【0019】図2はこの発明の導電塗料組成物を用いて
得られる導電ロールの他の実施例である。14は金属製
の円筒体であり、この円筒体14の外周面に導電性高分
子層13が形成されている。15はエンドキャップであ
る。
【0020】図3はこの発明の導電塗料組成物を用いて
得られる導電ロールのさらに他の実施例である。41d
はマグネットシャフトであり、このマグネットシャフト
41dの外周に、空隙を設けた状態で同軸的に上記導電
性高分子層13の形成された金属スリーブ16が配設さ
れている。そして、その左右両端部分にエンドキャップ
41cが嵌入されている。図において、43は軸受けで
ある。
【0021】
【発明の効果】以上のように、この発明の導電塗料組成
物は、特定の特性を備えた導電性樹脂粉末が分散含有さ
れている。このため、この導電塗料組成物を用いて導電
性高分子層を形成した導電ロールにおいては、誘電され
た電荷が導電性樹脂粉末に蓄積されて高いトナー帯電性
を備えている。また、充分な複写画像濃度が安定して得
られる。したがって、この発明の導電塗料組成物は、電
子写真複写機,プリンター等の現像ロール等の導電ロー
ル形成材料として最適である。
【0022】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0023】まず、実施例に先立って、下記の表1に示
す各成分を同表に示す割合で配合し、混練した後、粉砕
することにより4種類の導電性樹脂粉末A〜Dを作製し
た。なお、これら導電性樹脂粉末の電気抵抗および粒度
を下記の表1に併せて示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【実施例1〜5、比較例1〜3】下記の表2および表3
に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ボールミルを
用いて混合,攪拌し、この混合物をメタノール100部
に溶解することにより導電塗料を作製した。ついで、芯
金となる金属スリーブの外周面にディッピング方式によ
り導電塗料を塗工して乾燥することにより導電性高分子
層を形成した。このようにして図1に示す構造の導電ロ
ールを得た。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】このようにして得られた実施例品および比
較例品の導電ロールにおいて、異なる条件下(25℃×
55%RH,35℃×80%RH)の複写画像濃度と、
トナー帯電性を測定した。その結果を下記の表4〜表6
に示した。また、上記各導電塗料の導電性樹脂粉末が含
有されていない状態(バインダー樹脂と導電性粉末の
み)での電気抵抗を測定した。その結果を下記の表4〜
表6に併せて示した。なお、上記画像濃度は、導電ロー
ルを現像ロールとして用い、電子写真複写機に組み込
み、異なる二つの条件下(25℃×55%RH、35℃
×80%RH)において画像出しを行った。そして、べ
た黒画像において濃度が充分で画像むらや白斑点ぬけの
無いものを○、濃度不充分,画像むら,白斑点のいずれ
か一つでも発生したものを×として評価した。また、上
記トナー帯電性は、導電ロールにおける帯電量を、異な
る二つの条件下(25℃×55%RH、35℃×80%
RH)においてつぎのようにして測定した。すなわち、
図8に示すように、導電ロール30表面上に現像剤(ト
ナー)32層を形成し、吸引ポンプ33により現像剤3
2を吸引しファラデーケージ34により測定した(ファ
ラデーケージ法)。図において、35はフィルター、3
6は絶縁体パイプ、37は電位計である。また、上記電
気抵抗は、図8(A)に示す形状の電極21をロール表
面上に20箇所形成して、図8(B)に示す測定系によ
り測定した。図において、20はロール、21aは主電
極、21bはガード電極である。そして、実施例および
比較例における電気抵抗値は20箇所の測定値の平均値
である。
【0020】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】上記表4および表5の結果から、比較例品
はいずれもトナー帯電性が低く、複写画像濃度において
も温度および湿度が高い環境下では満足のいくものでは
なかった。これに対して実施例品は環境に依存すること
なく充分な複写画像濃度が得られ、しかも高いトナー帯
電性を有している。このことから、実施例品は充分な画
像濃度が得られ、かつトナー帯電性に優れていることが
わかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の導電塗料組成物を用いて得られる導
電ロールの一実施例を示す断面図である。
【図2】この発明の導電塗料組成物を用いて得られる導
電ロールの他の実施例を示す断面図である。
【図3】この発明の導電塗料組成物を用いて得られる導
電ロールのさらに他の実施例を示す断面図である。
【図4】この発明の導電塗料組成物を用いて得られる導
電ロールの製法を示す説明図である。
【図5】電子写真複写機の複写機構を示す構成図であ
る。
【図6】従来の現像ロールを示す断面図である。
【図7】従来の他の現像ロールを示す断面図である。
【図8】トナー帯電量を測定するファラデーケージ法の
測定状態を示す構成図である。
【図9】(A)は導電ロールの電気抵抗を測定する際に
ロール表面に形成する電極の形状を示す説明図であり、
(B)はそれを用いての導電ロールの電気抵抗値の測定
系を示す説明図である。
【符号の説明】
12 金属スリーブ 13 導電性高分子層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加地 明彦 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600 東 海ゴム工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−20763(JP,A) 特開 昭61−126185(JP,A) 特許2888949(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダー樹脂中に、導電性粉末と、導
    電性樹脂粉末とが分散含有され、かつ下記の特性(A)
    〜(C)を備えていることを特徴とする導電塗料組成
    物。 (A)導電性樹脂粉末の電気抵抗Rvfが1010Ω・c
    m以下であること。 (B)バインダー樹脂および導電性粉末からなる組成物
    の電気抵抗Rvrが108 Ω・cm以下であること。 (C)上記導電性樹脂粉末の電気抵抗Rvfとバインダ
    ー樹脂および導電性粉末からなる組成物の電気抵抗Rv
    rの関係が下記の不等式を満足すること。 Rvf>Rvr
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