JP3205004B2 - 亜リン酸アルカリの製造方法 - Google Patents
亜リン酸アルカリの製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜リン酸アルカリの製
造方法に係り、詳しくは次亜リン酸ナトリウムの製造時
に副生する固形物を亜リン酸アルカリとして回収し、こ
れを原料として有効利用する亜リン酸アルカリの製造方
法に関する。
造方法に係り、詳しくは次亜リン酸ナトリウムの製造時
に副生する固形物を亜リン酸アルカリとして回収し、こ
れを原料として有効利用する亜リン酸アルカリの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、亜リン酸アルカリの製造技術には
各種の方法が知られているが、工業的に製造されている
手段は、(1) 亜リン酸にアルカリを加えて亜リン酸アル
カリとする方法、(2) 次亜リン酸アルカリを100℃以
上で加熱して亜リン酸アルカリとする方法である。
各種の方法が知られているが、工業的に製造されている
手段は、(1) 亜リン酸にアルカリを加えて亜リン酸アル
カリとする方法、(2) 次亜リン酸アルカリを100℃以
上で加熱して亜リン酸アルカリとする方法である。
【0003】しかし、上記(1) の方法は酸とアルカリの
典型的な中和反応の一つではあるが、原料に亜リン酸を
予め製造する必要があるため高価になること、また(2)
の方法は、次亜リン酸アルカリを経由して加熱製造する
ため同様に高価になる欠点がある。他方、次亜リン酸ア
ルカリはその強力な還元力のゆえに化学めっき用薬剤を
はじめ各種工業薬品として有用されており、工業的には
黄リン、水酸化ナトリウムおよび分散助剤とを水媒体中
で反応させて製造されているが、その際分散助剤として
用いられる有機または無機質粉末は、上記反応後に一部
もしくは全部が変質するため、固液分離されて廃棄され
ている。
典型的な中和反応の一つではあるが、原料に亜リン酸を
予め製造する必要があるため高価になること、また(2)
の方法は、次亜リン酸アルカリを経由して加熱製造する
ため同様に高価になる欠点がある。他方、次亜リン酸ア
ルカリはその強力な還元力のゆえに化学めっき用薬剤を
はじめ各種工業薬品として有用されており、工業的には
黄リン、水酸化ナトリウムおよび分散助剤とを水媒体中
で反応させて製造されているが、その際分散助剤として
用いられる有機または無機質粉末は、上記反応後に一部
もしくは全部が変質するため、固液分離されて廃棄され
ている。
【0004】例えば、分散剤として消石灰を用いた場
合、反応後の副生物は亜リン酸カルシウムを主組成とす
ることから、これに塩酸または硫酸を作用させて亜リン
酸として回収する試みがなされている。このうち、塩酸
を作用させる方法では、亜リン酸と同時に副生する塩化
カルシウムの混合水溶液から亜リン酸を分離することに
かなりの工程費と煩雑な操作を必要とするとともに、多
量に発生する塩化カルシウムの処分が困難となる欠点が
ある。また硫酸を作用させる方法は、亜リン酸と同時に
副生する硫酸および石膏の除去を効果的におこなうこと
が課題となるが、これらの成分は亜リン酸との分離が困
難であるうえ、多量の副生石膏の処分に問題が残る。
合、反応後の副生物は亜リン酸カルシウムを主組成とす
ることから、これに塩酸または硫酸を作用させて亜リン
酸として回収する試みがなされている。このうち、塩酸
を作用させる方法では、亜リン酸と同時に副生する塩化
カルシウムの混合水溶液から亜リン酸を分離することに
かなりの工程費と煩雑な操作を必要とするとともに、多
量に発生する塩化カルシウムの処分が困難となる欠点が
ある。また硫酸を作用させる方法は、亜リン酸と同時に
副生する硫酸および石膏の除去を効果的におこなうこと
が課題となるが、これらの成分は亜リン酸との分離が困
難であるうえ、多量の副生石膏の処分に問題が残る。
【0005】このようなことから、いずれの方法も多量
の酸消費と副生物の処理および操作面に難点があって工
業的実施はなされていなず、結局、副生物の有効利用は
図られないまま廃棄されているのが現状である。
の酸消費と副生物の処理および操作面に難点があって工
業的実施はなされていなず、結局、副生物の有効利用は
図られないまま廃棄されているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のような高価な亜リン酸または次亜リン酸アルカリを経
由して製造するプロセスを採らず、分散助剤に消石灰を
用いて次亜リン酸ナトリウムを製造の際に副生する固形
物を原料として工業的に有利な亜リン酸アルカリを製造
する方法を提供することにある。すなわち、本発明者ら
は、上記の副生物をアルカリ性アルカリ塩と加熱させる
と、意外にも容易に亜リン酸アルカリに転換できること
を知見したことが本発明の開発根拠となっている。
のような高価な亜リン酸または次亜リン酸アルカリを経
由して製造するプロセスを採らず、分散助剤に消石灰を
用いて次亜リン酸ナトリウムを製造の際に副生する固形
物を原料として工業的に有利な亜リン酸アルカリを製造
する方法を提供することにある。すなわち、本発明者ら
は、上記の副生物をアルカリ性アルカリ塩と加熱させる
と、意外にも容易に亜リン酸アルカリに転換できること
を知見したことが本発明の開発根拠となっている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による亜リン酸アルカリの製造方法は、黄リ
ンと水酸化ナトリウムおよび助剤としての消石灰を水媒
体中で反応させて次亜リン酸ナトリウムを生成させたの
ち固液分離して回収された固形物をスラリー化し、該ス
ラリーにアルカリ性アルカリ塩を加熱反応させることを
構成上の特徴とする。
めの本発明による亜リン酸アルカリの製造方法は、黄リ
ンと水酸化ナトリウムおよび助剤としての消石灰を水媒
体中で反応させて次亜リン酸ナトリウムを生成させたの
ち固液分離して回収された固形物をスラリー化し、該ス
ラリーにアルカリ性アルカリ塩を加熱反応させることを
構成上の特徴とする。
【0008】本発明において、次亜リン酸ナトリウムを
生成させる工程は、黄リンおよび消石灰を分散させた水
媒体中で水酸化ナトリウムと反応させる公知の方法でお
こなわれるが、この反応は後述するように副反応を伴う
固液気の複雑な反応系を形成する。なお、この工程はN
2 ガスでパージした実質的に無酸素雰囲気でおこなわれ
る。この場合、消石灰は表面張力の大きい黄リンを微細
な液滴として存在させるための分散剤としての機能と、
副生する亜リン酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムを
カルシウム塩として固定化して次亜リン酸ナトリウム液
中にこれら副生物が混入する現象を防止する機能を営
む。この工程で得られる次亜リン酸ナトリウムおよびホ
スフィンガスは精製して回収され、工業的な再利用が図
られる。
生成させる工程は、黄リンおよび消石灰を分散させた水
媒体中で水酸化ナトリウムと反応させる公知の方法でお
こなわれるが、この反応は後述するように副反応を伴う
固液気の複雑な反応系を形成する。なお、この工程はN
2 ガスでパージした実質的に無酸素雰囲気でおこなわれ
る。この場合、消石灰は表面張力の大きい黄リンを微細
な液滴として存在させるための分散剤としての機能と、
副生する亜リン酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムを
カルシウム塩として固定化して次亜リン酸ナトリウム液
中にこれら副生物が混入する現象を防止する機能を営
む。この工程で得られる次亜リン酸ナトリウムおよびホ
スフィンガスは精製して回収され、工業的な再利用が図
られる。
【0009】本発明の要点は、従来廃棄されていた消石
灰の固定による上記反応生成物を次工程で亜リン酸アル
カリの原料として回収利用するところにある。すなわ
ち、次亜リン酸ナトリウムの製造工程から固液分離され
た上記固形物のスラリーにアルカリ性アルカリ塩を加熱
反応させることが本発明の重要な構成的要件となる。
灰の固定による上記反応生成物を次工程で亜リン酸アル
カリの原料として回収利用するところにある。すなわ
ち、次亜リン酸ナトリウムの製造工程から固液分離され
た上記固形物のスラリーにアルカリ性アルカリ塩を加熱
反応させることが本発明の重要な構成的要件となる。
【0010】前工程の副反応により生成する亜リン酸お
よびリン酸分が消石灰で固定化される量は反応条件によ
って一様ではないが、概ね出発原料である黄リンの15〜
20wt%に相当する。アルカリ性アルカリ塩の添加量は該
固形物の物性上変化するが、基本的には固形物中の亜リ
ン酸およびリン酸の成分に対する反応当量またはその近
くでよい。
よびリン酸分が消石灰で固定化される量は反応条件によ
って一様ではないが、概ね出発原料である黄リンの15〜
20wt%に相当する。アルカリ性アルカリ塩の添加量は該
固形物の物性上変化するが、基本的には固形物中の亜リ
ン酸およびリン酸の成分に対する反応当量またはその近
くでよい。
【0011】本反応は後述するように固液を伴う可逆的
平衡反応ではあるが、温度60℃以上好ましくは80℃以上
乃至反応系の沸点以上の加熱により、若干存在する次亜
リン酸塩も亜リン酸アルカリへと転換して反応は好まし
く進行する。また、反応系が稀釈されるほどこの平衡反
応は右に進行すると共に、反応終了後の固液分離におけ
る固形物への亜リン酸アルカリの付着ロス等の低減を考
慮すれば好ましい。したがって、濃縮および濾過分離の
操作が合理的に進行し得る限りにおいて、反応系の濃度
を低減化することができる。また、本反応を多段方式で
行うことも亜リン酸アルカリへの収率向上の点から有利
であるが、これらの条件設定は限定されるものではな
い。
平衡反応ではあるが、温度60℃以上好ましくは80℃以上
乃至反応系の沸点以上の加熱により、若干存在する次亜
リン酸塩も亜リン酸アルカリへと転換して反応は好まし
く進行する。また、反応系が稀釈されるほどこの平衡反
応は右に進行すると共に、反応終了後の固液分離におけ
る固形物への亜リン酸アルカリの付着ロス等の低減を考
慮すれば好ましい。したがって、濃縮および濾過分離の
操作が合理的に進行し得る限りにおいて、反応系の濃度
を低減化することができる。また、本反応を多段方式で
行うことも亜リン酸アルカリへの収率向上の点から有利
であるが、これらの条件設定は限定されるものではな
い。
【0012】本反応では次亜リン酸工程からの固形物中
に含まれるリン酸分は少量であるのに加えて、アルカリ
に対するリン酸カルシウムの溶解度が小さいためPO4
3-は実質的に溶存せず、また前述のとおり次亜リン酸塩
は亜リン酸アルカリへと転換することと相俟って選択的
に亜リン酸アルカリが生成し、高純度で回収することが
できる。
に含まれるリン酸分は少量であるのに加えて、アルカリ
に対するリン酸カルシウムの溶解度が小さいためPO4
3-は実質的に溶存せず、また前述のとおり次亜リン酸塩
は亜リン酸アルカリへと転換することと相俟って選択的
に亜リン酸アルカリが生成し、高純度で回収することが
できる。
【0013】本反応は、上記条件で撹拌下に少なくとも
0.5 時間、好ましくは1〜3時間おこなったのち、固液
分離した母液を濃縮および晶析分離など常法の手段を用
いて亜リン酸アルカリを回収する。得られた亜リン酸ア
ルカリは必要に応じ120 ℃以上の温度で加熱し、リン酸
1アルカリまたはリン酸2アルカリに転換させて利用す
ることもできる。
0.5 時間、好ましくは1〜3時間おこなったのち、固液
分離した母液を濃縮および晶析分離など常法の手段を用
いて亜リン酸アルカリを回収する。得られた亜リン酸ア
ルカリは必要に応じ120 ℃以上の温度で加熱し、リン酸
1アルカリまたはリン酸2アルカリに転換させて利用す
ることもできる。
【0014】なお、本反応において用いるアルカリ性ア
ルカリ塩としては、例えば、ナトリウム又はカリウムの
水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩または珪酸塩な
どが挙げられるが、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリ
ウムの使用が好適である。また次亜リン酸ナトリウムか
らの副生固形物は、十分に粉砕してスラリー化したもの
を反応に供することが好ましい。
ルカリ塩としては、例えば、ナトリウム又はカリウムの
水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩または珪酸塩な
どが挙げられるが、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリ
ウムの使用が好適である。また次亜リン酸ナトリウムか
らの副生固形物は、十分に粉砕してスラリー化したもの
を反応に供することが好ましい。
【0015】本発明において、アルカリ性アルカリ塩と
して水酸化ナトリウムを用いた場合、亜リン酸アルカリ
への転換後に固液分離して回収される固形物は、消石灰
を主組成とするものであるため、これを再び前工程の次
亜リン酸ナトリウムの製造工程へ分散助剤として循環使
用できる。したがって、好ましいプロセス態様として実
施することができる。
して水酸化ナトリウムを用いた場合、亜リン酸アルカリ
への転換後に固液分離して回収される固形物は、消石灰
を主組成とするものであるため、これを再び前工程の次
亜リン酸ナトリウムの製造工程へ分散助剤として循環使
用できる。したがって、好ましいプロセス態様として実
施することができる。
【0016】
【作用】本発明において、黄リンおよび水酸化ナトリウ
ムとを反応させて次亜リン酸ナトリウムを製造する工程
は、理論上次式(1) の反応式で示される。 4P+3NaOH+3H2 O→3NaH2 P02 +PH3 ↑ …(1) しかしながら、この反応系においては不可避的に次の
副反応(2) および(3) が併起する。 4P+6NaOH+3H2 O→3Na2 HPO3 +PH3 ↑ …(2) 4P+9NaOH+3H2 O→3Na3 PO4 +PH3 ↑+6H2 …(3) この場合、硝石灰を助剤として分散させると上記副反応
(2) および(3) によって生成する亜リン酸およびリン酸
の各成分は、次式(4) および(5) によって固定化され
る。 NaHPO3 +Ca(OH)2 →CaHPO3 ↓+2NaOH …(4) 2Na3 PO4 +3Ca(OH)2 →Ca3 (PO4)2 ↓+6NaOH…(5)
ムとを反応させて次亜リン酸ナトリウムを製造する工程
は、理論上次式(1) の反応式で示される。 4P+3NaOH+3H2 O→3NaH2 P02 +PH3 ↑ …(1) しかしながら、この反応系においては不可避的に次の
副反応(2) および(3) が併起する。 4P+6NaOH+3H2 O→3Na2 HPO3 +PH3 ↑ …(2) 4P+9NaOH+3H2 O→3Na3 PO4 +PH3 ↑+6H2 …(3) この場合、硝石灰を助剤として分散させると上記副反応
(2) および(3) によって生成する亜リン酸およびリン酸
の各成分は、次式(4) および(5) によって固定化され
る。 NaHPO3 +Ca(OH)2 →CaHPO3 ↓+2NaOH …(4) 2Na3 PO4 +3Ca(OH)2 →Ca3 (PO4)2 ↓+6NaOH…(5)
【0017】次亜リン酸ナトリウムの製造工程から分離
された固形物は上記反応(4) の生成物が主組成として構
成されるが、反応(5) のほか、次亜リン酸塩の付着分お
よび未反応消石灰が若干混在する組成となっている。し
かして、この固形物のスラリーとアルカリ性アルカリ
塩、例えば代表的な水酸化ナトリウムをもって加熱反応
させると、次式(6),(7) および(8) が生じて亜リン酸ア
ルカリが選択的に生成し、他方カルシウム分は消石灰に
再生する。 CaHPO3 +2NaOH Na2 HPO3 +Ca(OH)2 ↓ …(6) Ca(HPO2)2 +4NaOH→2Na2 HPO3 +Ca(OH)2 ↓…(7) NaH2 PO2 +NaOH→Na2 HPO3 +H2 ↑ …(8)
された固形物は上記反応(4) の生成物が主組成として構
成されるが、反応(5) のほか、次亜リン酸塩の付着分お
よび未反応消石灰が若干混在する組成となっている。し
かして、この固形物のスラリーとアルカリ性アルカリ
塩、例えば代表的な水酸化ナトリウムをもって加熱反応
させると、次式(6),(7) および(8) が生じて亜リン酸ア
ルカリが選択的に生成し、他方カルシウム分は消石灰に
再生する。 CaHPO3 +2NaOH Na2 HPO3 +Ca(OH)2 ↓ …(6) Ca(HPO2)2 +4NaOH→2Na2 HPO3 +Ca(OH)2 ↓…(7) NaH2 PO2 +NaOH→Na2 HPO3 +H2 ↑ …(8)
【0018】すなわち、主反応(6) は平衡反応である
が、加熱により右に進行すると共に次亜リン酸塩が亜リ
ン酸アルカリへと転換し、また反応(5) のリン酸カルシ
ウムは溶解しないので結局、NaOHとの反応系では実
質的に亜リン酸ナトリウムのみの液相と消石灰を主組成
とする未反応亜リン酸カルシウムの固相となる。これら
を分離して、一方は製品として回収し、他方は、次亜リ
ン酸ナトリウムの製造工程へ分散助剤として循環使用す
ることができる。
が、加熱により右に進行すると共に次亜リン酸塩が亜リ
ン酸アルカリへと転換し、また反応(5) のリン酸カルシ
ウムは溶解しないので結局、NaOHとの反応系では実
質的に亜リン酸ナトリウムのみの液相と消石灰を主組成
とする未反応亜リン酸カルシウムの固相となる。これら
を分離して、一方は製品として回収し、他方は、次亜リ
ン酸ナトリウムの製造工程へ分散助剤として循環使用す
ることができる。
【0019】本発明に係る方法では、次亜リン酸ナトリ
ウムの収率は反応条件によって変動するが、反応(6) が
可逆的であるため少なくとも50%以上の未反応亜リン酸
カルシウムが消石灰中に残存する。したがって、これを
循環使用できる限り、一定レベルで亜リン酸カルシウム
が反応系で循環しているにすぎず、極めて合理的な方法
と言うことができる。
ウムの収率は反応条件によって変動するが、反応(6) が
可逆的であるため少なくとも50%以上の未反応亜リン酸
カルシウムが消石灰中に残存する。したがって、これを
循環使用できる限り、一定レベルで亜リン酸カルシウム
が反応系で循環しているにすぎず、極めて合理的な方法
と言うことができる。
【0020】
実施例1 重リン62kgおよび消石灰44.3kgの水性スラリーに窒素ガ
ス雰囲気下で水酸化ナトリウム60kgを添加反応させた。
反応終了後、ベルトフイルターにて濾過し、溶液を濃縮
して次亜リン酸ナトリウム1水塩(NaH2 PO2 ・H
2 O)の結晶127kg を得た。一方、回収した濾過ケーキ
の乾燥固形物を分析したところ、次の組成値を得た。 Ca :32.2wt% PO2 : 0.2wt% PO3 :43.1wt% PO4 : 1.3wt% Na : 0.1wt%
ス雰囲気下で水酸化ナトリウム60kgを添加反応させた。
反応終了後、ベルトフイルターにて濾過し、溶液を濃縮
して次亜リン酸ナトリウム1水塩(NaH2 PO2 ・H
2 O)の結晶127kg を得た。一方、回収した濾過ケーキ
の乾燥固形物を分析したところ、次の組成値を得た。 Ca :32.2wt% PO2 : 0.2wt% PO3 :43.1wt% PO4 : 1.3wt% Na : 0.1wt%
【0021】この数値から、濾過固形物はほぼ次の組成
からなる化合物の混合体であると推定された。 NaH2 PO2 ・H2 O : 0.35wt% CaHPO3 ・H2 O : 75.3wt% CaHPO4 : 5.8wt% Ca(OH)2 : 16.0wt%
からなる化合物の混合体であると推定された。 NaH2 PO2 ・H2 O : 0.35wt% CaHPO3 ・H2 O : 75.3wt% CaHPO4 : 5.8wt% Ca(OH)2 : 16.0wt%
【0022】この濾過固形物を十分に粉砕した粉末500g
を含有する水性スラリーに10wt%NaOH溶液の2180g
添加し、撹拌下、100 ℃で1時間十分に混合反応させた
のち、濾過して固液分離した。液の組成物は殆どが亜リ
ン酸ナトリウムと若干の水酸化ナトリウムであったが、
蒸発濃縮後に水酸化ナトリウムを分離して亜リン酸ナト
リウム5水塩(Na2 HPO3 ・5H2 O)を365g得
た。これは濾過固形物中の亜リン酸カルシウムからみた
収率として62%であり、原料黄リンからの収量は12.6%
に相当する。
を含有する水性スラリーに10wt%NaOH溶液の2180g
添加し、撹拌下、100 ℃で1時間十分に混合反応させた
のち、濾過して固液分離した。液の組成物は殆どが亜リ
ン酸ナトリウムと若干の水酸化ナトリウムであったが、
蒸発濃縮後に水酸化ナトリウムを分離して亜リン酸ナト
リウム5水塩(Na2 HPO3 ・5H2 O)を365g得
た。これは濾過固形物中の亜リン酸カルシウムからみた
収率として62%であり、原料黄リンからの収量は12.6%
に相当する。
【0023】実施例2 実施例1で得られた濾過ケーキの乾燥物500gを採り、そ
の水性スラリーに15wt%水酸化ナトリウム水溶液1455g
添加して 100℃、1時間撹拌しながら反応させた。次い
でフィルターで固液分離したのち、水溶液を濃縮して亜
リン酸ナトリウム5水塩(NaHPO3 ・5H2 O)の
結晶407g得た。これは、固形物中の亜リン酸カルシウム
からみた収率として69%、黄リンからの収率は14.0%で
あり、また得られた亜リン酸ナトリウムの純度は99%以
上であった。
の水性スラリーに15wt%水酸化ナトリウム水溶液1455g
添加して 100℃、1時間撹拌しながら反応させた。次い
でフィルターで固液分離したのち、水溶液を濃縮して亜
リン酸ナトリウム5水塩(NaHPO3 ・5H2 O)の
結晶407g得た。これは、固形物中の亜リン酸カルシウム
からみた収率として69%、黄リンからの収率は14.0%で
あり、また得られた亜リン酸ナトリウムの純度は99%以
上であった。
【0024】実施例3 実施例1で得られた乾燥濾過固形物500gの水性スラリー
に10wt%炭酸ナトリウム水溶液2892g 添加し、100 ℃で
1時間、撹拌しながら反応させた。ついでフィルターで
固液分離し、水溶液は蒸発濃縮して亜リン酸ナトリウム
5水塩(NaHPO3 ・5H2 O)の結晶を342g得た。
この収量は、固形物中の亜リン酸カルシウムからみた収
率として58%、黄リンからの収率は11.8%になる。
に10wt%炭酸ナトリウム水溶液2892g 添加し、100 ℃で
1時間、撹拌しながら反応させた。ついでフィルターで
固液分離し、水溶液は蒸発濃縮して亜リン酸ナトリウム
5水塩(NaHPO3 ・5H2 O)の結晶を342g得た。
この収量は、固形物中の亜リン酸カルシウムからみた収
率として58%、黄リンからの収率は11.8%になる。
【0025】実施例4 実施例1で亜リン酸ナトリウム溶液と固液分離した固形
物(亜リン酸カルシウムが38wt%残存する消石灰を主組
成となるもの)50重量部の水性スラリーに黄リン62重量
部を分散させたのち、水酸化ナトリウム60kgを窒素ガス
雰囲気下で徐々に添加反応させた。反応終了後、固液分
離し溶液を濃縮して次亜リン酸ナトリウム1水塩の結晶
125重量部を得た。
物(亜リン酸カルシウムが38wt%残存する消石灰を主組
成となるもの)50重量部の水性スラリーに黄リン62重量
部を分散させたのち、水酸化ナトリウム60kgを窒素ガス
雰囲気下で徐々に添加反応させた。反応終了後、固液分
離し溶液を濃縮して次亜リン酸ナトリウム1水塩の結晶
125重量部を得た。
【0026】回収した濾過ケーキを十分に粉砕したの
ち、1000重量部をスラリー化し、これに10wt%NaOH
溶液2530重量部を撹拌下に添加して 100℃の温度で2時
間反応を続けた。次いで、固液分離して溶液を濃縮後、
晶析分離して亜リン酸ナトリウム5水塩 513重量部を得
た。一方、固形物中の亜リン酸カルシウム分は35wt%で
あって、これは原料固形物とほぼ同等レベルの亜リン酸
カルシウム量であり、最終固形物は本プロセスで循環使
用できることが確認された。
ち、1000重量部をスラリー化し、これに10wt%NaOH
溶液2530重量部を撹拌下に添加して 100℃の温度で2時
間反応を続けた。次いで、固液分離して溶液を濃縮後、
晶析分離して亜リン酸ナトリウム5水塩 513重量部を得
た。一方、固形物中の亜リン酸カルシウム分は35wt%で
あって、これは原料固形物とほぼ同等レベルの亜リン酸
カルシウム量であり、最終固形物は本プロセスで循環使
用できることが確認された。
【0027】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば消石灰を
助剤とする黄リンと水酸化ナトリウムとの反応で次亜リ
ン酸ナトリウムを製造する過程で副生する固形物から亜
リン酸アルカリの有価物を合理的に回収し、この固形物
を先の工程である次亜リン酸ナトリウムの製造における
助剤として循環使用することができる。したがって、黄
リン、水酸化ナトリウム、消石灰との反応において、水
酸化ナトリウムを固形物に対し2つの工程で使用するこ
とにより、副生固形物を実質的に破棄することなく、工
程に循環させながら次亜リン酸ナトリウムと亜リン酸ナ
トリウムとを工業的に有利に併産することが可能とな
る。
助剤とする黄リンと水酸化ナトリウムとの反応で次亜リ
ン酸ナトリウムを製造する過程で副生する固形物から亜
リン酸アルカリの有価物を合理的に回収し、この固形物
を先の工程である次亜リン酸ナトリウムの製造における
助剤として循環使用することができる。したがって、黄
リン、水酸化ナトリウム、消石灰との反応において、水
酸化ナトリウムを固形物に対し2つの工程で使用するこ
とにより、副生固形物を実質的に破棄することなく、工
程に循環させながら次亜リン酸ナトリウムと亜リン酸ナ
トリウムとを工業的に有利に併産することが可能とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 米国特許4521391(US,A) 米国特許4552737(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 25/163
Claims (2)
- 【請求項1】 黄リンと水酸化ナトリウムおよび助剤と
しての消石灰を水媒体中で反応させて次亜リン酸ナトリ
ウムを生成させたのち固液分離して回収された固形物を
スラリー化し、該スラリーにアルカリ性アルカリ塩を加
熱反応させることを特徴とする亜リン酸アルカリの製造
方法。 - 【請求項2】 固形物のスラリーに水酸化ナトリウムを
加熱反応させて亜リン酸アルカリを生成する際に副生す
る消石灰含有固形物を、次亜リン酸アルカリの製造工程
における助剤として循環使用する請求項1記載の亜リン
酸アルカリの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14142391A JP3205004B2 (ja) | 1991-05-17 | 1991-05-17 | 亜リン酸アルカリの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14142391A JP3205004B2 (ja) | 1991-05-17 | 1991-05-17 | 亜リン酸アルカリの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04342405A JPH04342405A (ja) | 1992-11-27 |
JP3205004B2 true JP3205004B2 (ja) | 2001-09-04 |
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ID=15291653
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP14142391A Expired - Fee Related JP3205004B2 (ja) | 1991-05-17 | 1991-05-17 | 亜リン酸アルカリの製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3205004B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9976010B2 (en) * | 2012-04-06 | 2018-05-22 | Rhodia Operations | Process for the production of hypophosphite salts |
-
1991
- 1991-05-17 JP JP14142391A patent/JP3205004B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04342405A (ja) | 1992-11-27 |
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