JP3203305B2 - 金型スプレイロボットの簡易干渉チェック方法 - Google Patents

金型スプレイロボットの簡易干渉チェック方法

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JP3203305B2
JP3203305B2 JP13344496A JP13344496A JP3203305B2 JP 3203305 B2 JP3203305 B2 JP 3203305B2 JP 13344496 A JP13344496 A JP 13344496A JP 13344496 A JP13344496 A JP 13344496A JP 3203305 B2 JP3203305 B2 JP 3203305B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、アルミ
ニウム合金またはマグネシウム合金を金型に鋳造するダ
イカストマシン等の成形装置における金型スプレイロボ
ットヘスプレイ作業手順を指示する際の金型スプレイロ
ボットの簡易干渉チェック方法に係り、特に簡便容易
に、かつ、効率良く、金型スプレイロボット動作中に機
器(金型を含む)との干渉をチェックし、接触干渉によ
る損傷を防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ダイカストマシンの金型キャビテ
ィ面へ離型剤や保温剤などのスプレイ剤を噴霧塗布する
方法は、たとえば、図12に示すように、タンク1の上
方からコンプレッサ2によって供給される加圧用空気を
吹き込んでスプレイ剤をフィルタ3より加圧圧送すると
ともに、電磁弁4および流量調整弁5を経由してスプレ
イ装置10へ送り、コンプレッサ6から供給される噴霧
用エアを電磁弁7および配管8を経由してスプレイ装置
10へ送ってスプレイ剤Lを噴霧したうえスプレイノズ
ル10aより左右一対のプラテン(固定プラテン11
A、可動プラテン11B)に取り付けた金型12(固定
金型12A、可動金型12B)の表面に噴霧していた。
スプレイ装置10は油圧シリンダ9などのアクチュエー
タで開状態にある両金型12A、12Bの中央上下方向
に上下往復動できるよう構成され、スプレイ装置10の
スプレイヘッド10Aの側面に取り付けた複数個のスプ
レイノズル10aにより、金型12の被スプレイ面の全
面に均等に隈なく塗布されるよう配慮されていた。ま
た、金型12へ噴霧塗布するスプレイ剤Lの供給量の調
整は、スプレイ剤Lのタンク1とスプレイ装置10との
間に設けられた流量調整弁5の開度調整でコントロール
していた。
【0003】このように、従来のダイカストマシンのス
プレイ方法は、スプレイ剤の流量やスプレイノズルと金
型キャビティ面との間のスプレイ距離を一定に保つよう
にして、金型に対して一定のスプレイ条件でスプレイ剤
を噴霧していた。一方、近年、金型のスプレイ作業に金
型スプレイロボットが使用され始めており、この場合に
は、金型スプレイロボットに付属のロボット制御装置に
スプレイ作業の動作を前もって教示しておく必要があっ
た。また、金型スプレイロボットがスプレイ動作中に金
型や金型周辺の機器に接触干渉しないように配慮する必
要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような金型スプレ
イロボットの教示方法は、通常は、オンラインティーチ
ング、すなわち、いわゆるティーチングプレイバックに
より教示することが多い。しかしながら、この作業は極
めて煩雑でしかも長時間を要する作業である。また、多
品種少量生産へのティーチング作業は、製品が変わる度
毎に毎回事前にスプレイ作業のティーチング作業が必要
となり、金型スプレイロボットに不向きである。このた
め、最近では、コンピュータとロボットを接続し、オフ
ラインによる教示が主流となっている。
【0005】オフライン教示では、ユーザ(オペレー
タ)がコンピュータ画面上でロボットが作業するワーク
エリアを3次元に構築し、ロボットの動作経路を3次元
的に設定しており、設定時間が長くなることや設定方法
に熟練を要する等の問題があった。さらに、このように
して設定した金型スプレイロボットの動作経路が、実在
する金型や周辺機器に接触干渉するかしないかをチェッ
クする簡便な方法がなく、これまでの干渉チェックは、
スプレイノズルおよびこれと連結されて動作する金型ス
プレイロボットのアーム等の可動部分が、周辺の全ての
機器と接触干渉するかどうかを判定するために、膨大な
演算処理を要し、この演算アルゴリズムを作成するのに
多大の時間と労力を費消していた。本発明は、これらの
問題を解決して、簡便容易に、かつ、能率的にスプレイ
作業における金型スプレイロボットの簡易干渉チェック
方法を見出すことを意図している。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明においては、第1の発明では、多関節ロボ
ットのロボット手首先端点にスプレイノズルを備えたス
プレイ装置を回転自在に接続してダイカストマシンの金
型キャビティ面にスプレイ剤を噴霧する金型スプレイロ
ボットへ、スプレイ作業手順を指示する際の金型スプレ
イロボットの簡易干渉チェック方法であって、型開時の
金型隙間とロボット動作範囲から、あらかじめ該金型ス
プレイロボットのスプレイノズル先端点が該金型ならび
に金型周辺の機器と接触干渉しないためのスプレイノズ
ル先端点動作可能領域と、ロボット手首先端点が金型な
らびに金型周辺の機器と接触干渉しないためのロボット
手首先端点動作可能領域とを、円筒または直方体などの
単純モデル空間で形成された3次元座標領域として設定
するとともに、スプレイ作業経路として設定されたスプ
レイノズル先端点動作経路とロボット手首先端点動作経
路がそれぞれ前記スプレイノズル先端点動作可能領域と
前記ロボット手首先端点動作可能領域を逸脱しないかど
うかを判定して、スプレイ作業動作中の金型スプレイロ
ボットの金型ならびに周辺機器への接触干渉を防止する
ようにした。
【0007】また、第2の発明では、第1の発明におい
て、金型形状が3次元的に複雑な形状で形成されている
場合には、2次元表示面表示と断面形状表示面表示の2
つの機能を同時に保有した該ロボット制御装置に備えら
れた画面表示装置の画面を用いて、あらかじめ用意され
た種々の単一形状の中から必要な単一形状を抽出して組
み合わせることによって、前記複雑な金型作業面3次元
形状を単純なモデルに変換したうえ該金型モデルを該ロ
ボット制御装置へ入力した後、該金型モデルを表示した
前記画面表示装置の画面にスプレイ作業経路を指示する
こととした。
【0008】さらに、第3の発明では、第1や第2の発
明において、スプレイ作業経路の設定は、ロボット制御
装置に備えられた画面表示装置の画面を用いて、2次元
表示画面にスプレイ始点ならびにスプレイ終点の設定を
行ない、該スプレイ始点から該スプレイ終点に到る経路
タイプ(直線か非直線か)の設定を行なうとともに、該
ロボット制御装置に実施させる設定経路と設定モデルと
の交差判定の結果、交差接触する場合には該経路の交差
接触する領域を、該2次元表示画面上の経路を変更する
ことなく、あらかじめ入力された経路修正プログラムに
基づいて該2次元表示画面と直交する方向へ迂回変更さ
せて最終スプレイ作業経路を設定するようにした。
【0009】そして、第4の発明では、第1〜第3の発
明において、設定したスプレイ作業経路にしたがって行
なうスプレイ作業中の金型スプレイロボットのロボット
制御装置へ、スプレイ距離、スプレイ移動速度、スプレ
イ姿勢などのスプレイ動作ばかりでなく、所望のスプレ
イ流量やスプレイ噴霧タイミングをあらかじめプログラ
ム設定して与えるようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の態様】本発明においては、第1の発明で
は、多関節ロボットのロボット手首先端点にスプレイノ
ズルを備えたスプレイ装置を回転自在に接続してダイカ
ストマシンの金型キャビティ面にスプレイ剤を噴霧する
金型スプレイロボットへ、スプレイ作業手順を指示する
際の金型スプレイロボットの簡易干渉チェック方法であ
って、型開時の金型隙間とロボット動作範囲から、あら
かじめ該金型スプレイロボットのスプレイノズル先端点
が該金型ならびに金型周辺の機器と接触干渉しないため
のスプレイノズル先端点動作可能領域と、ロボット手首
先端点が金型ならびに金型周辺の機器と接触干渉しない
ためのロボット手首先端点動作可能領域とを、円筒また
は直方体などの単純モデル空間で形成された3次元座標
領域として設定するとともに、スプレイ作業経路として
設定されたスプレイノズル先端点動作経路とロボット手
首先端点動作経路がそれぞれ前記スプレイノズル先端点
動作可能領域と前記ロボット手首先端点動作可能領域を
逸脱しないかどうかを判定して、スプレイ作業動作中の
金型スプレイロボットの金型ならびに周辺機器への接触
干渉を防止するようにしたので、簡便容易に両動作可能
領域が設定できる結果、極めて簡単にスプレイ動作中の
接触干渉が回避される。
【0011】すなわち、これまでの干渉チェックが、ロ
ボットやロボットに連結されたスプレイ装置(スプレイ
ヘッドおよびスプレイノズル等)の全てのツールが複雑
な形状をした金型や金型周辺の機器と干渉するかどうか
を3次元座標を媒介として数値演算して判定していたの
で、演算アルゴリズムが複雑で、かつ、その演算量も膨
大であったため、干渉チェックに要する労力や時間が大
きいという難点があったが、本発明の干渉チェック方法
では、上述のように、金型間隙やロボット動作領域より
も小さく、かつ、シンプルな形状とした2つの動作可能
領域をあらたに設定して、ロボット手首先端点やスプレ
イノズル先端点が少なくともこの領域内に入っていれ
ば、機器との接触干渉を起こさないという点に着目し
て、干渉チェック判定の基準とした。この判定では、動
作可能領域が円柱や角柱といった単純モデルとされてい
るので数値計算が容易で、演算量も少なく、容易に判定
結果が得られる。
【0012】また、第2の発明では、金型形状が3次元
的に複雑な形状で形成されている場合におけるスプレイ
作業経路の設定に際して、2次元表示面表示と断面形状
表示面表示の2つの機能を同時に保有した該ロボット制
御装置に備えられた画面表示装置の画面を用いて、あら
かじめ用意された種々の単一形状の中から必要な単一形
状を抽出して組み合わせることによって、前記複雑な金
型作業面3次元形状を単純なモデルに変換したうえ該金
型モデルを該ロボット制御装置へ入力した後、該金型モ
デルを表示した前記画面表示装置の画面にスプレイ作業
経路を指示するようにしたため、干渉チェックの前作業
として行なうスプレイ作業経路の設定が容易になる。
【0013】さらに、第3の発明では、スプレイ作業経
路の設定は、ロボット制御装置に備えられた画面表示装
置の画面を用いて、2次元表示画面にスプレイ始点なら
びにスプレイ終点の設定を行ない、該スプレイ始点から
該スプレイ終点に到る経路タイプ(直線か非直線か)の
設定を行なうとともに、該ロボット制御装置に実施させ
る設定経路と設定モデルとの交差判定の結果、交差接触
する場合には該経路の交差接触する領域を、該2次元表
示画面上の経路を変更することなく、あらかじめ入力さ
れた経路修正プログラムに基づいて該2次元表示画面と
直交する方向へ迂回変更させて最終スプレイ作業経路を
設定するようにしたため、その結果、複雑な形状の金型
キャビティ形状を単純なモデルに簡便容易に作成し、こ
の作成されたモデルを画面表示装置の画面上に描いて、
スプレイ作業の始点、終点およびその経路を簡単に設定
することが出来るとともに、設定した経路が実際の機器
(金型等)と干渉する場合にはこれを回避するように適
切に迂回修正した経路を変更するようになっており、ス
プレイ作業経路の設定作業や変更作業が一層楽になる。
【0014】そして、第4の発明では、設定したスプレ
イ作業経路にしたがって行なうスプレイ作業中の金型ス
プレイロボットのロボット制御装置へ、スプレイ距離、
スプレイ移動速度、スプレイ姿勢などのスプレイ動作ば
かりでなく、所望のスプレイ流量やスプレイ噴霧タイミ
ングをあらかじめプログラム設定して与えるようにした
ものであり、金型スプレイロボットの動作とスプレイ剤
の供給動作をリンクさせてスプレイ作業全体を総合的に
制御することとなり、極めて合理的なスプレイ作業が達
成され、ほぼ全自動的にスプレイ作業を遂行できる。
【0015】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例について
詳細に説明する。図1〜図11は本発明の実施例に係
り、図1はダイカストマシンの全体構成図、図2は制御
装置の構成図、図3は画面表示装置の表示画面図、図4
はスプレイ経路設定方法を説明する表示画面図、図5は
スプレイ経路設定のフローチャート、図6はスプレイ動
作条件設定時における外部入出力信号の割付けを説明す
るフローチャート、図7はスプレイ動作条件の設定方法
を示す説明図、図8は経路に対するスプレイ動作条件設
定を示すフローチャート、図9はワーク生成画面および
スプレイ経路設定画面を示す表示画面図、図10は金型
スプレイロボットの動作可能領域説明図、図11は簡易
干渉チェック作業手順のフローチャートである。
【0016】図1は本発明のダイカストマシン100の
全体構成の1実施例を示すもので、ダイカストマシン1
00は、金型スプレイロボット200と金型スプレイロ
ボット200の制御を司る制御装置300が付帯装置と
して装備される。金型スプレイロボット200は、多関
節型のスプレイロボットであり、固定プラテン11Aの
頂部に立設され、モータ210aにより竪軸回りに旋回
する回転座210と、これに水平軸でピン接合された第
1アーム220および第2アーム230と、第2アーム
230の下端にピン接合されたモータ240およびこれ
に接続され竪軸回りに旋回自在な竪軸250と、この下
端に連結されたスプレイヘッド260とからなり、スプ
レイヘッド260にはスプレイノズル(スプレイガンと
もいう)260aが金型表面に対向して左右一対または
複数対取り付けられている。そして、図示したスプレイ
配管によって所要のスプレイ流量でスプレイ剤を金型キ
ャビティ面に向けて噴霧塗布する。
【0017】一方、金型スプレイロボット200の作動
を司る制御装置300は、金型スプレイロボット200
の操作を司るロボット制御装置310と、ロボット制御
装置310にオフラインでスプレイ作業指令を与えるパ
ーソナルコンピュータ(パソコン)320と、金型スプ
レイロボット200の順序起動を制御するシーケンサ3
30と、シーケンサ330の操作指令の基づいてスプレ
イ剤ならびに圧縮エアの供給の連通遮断を行なうバルブ
340とダイカストマシン操作盤350等から構成され
る。
【0018】図2は制御装置300の詳細構成を示した
ものであり、パーソナルコンピュータ320の代わりに
使用されるオフラインプログラミング装置320には、
図示したように、マウス320aやキーボード320b
などの入力装置と、記憶装置320cと、画面表示装置
(CRT画面)320dと、プリンタ320eが備えら
れる。
【0019】以上のように構成された図1や図2のダイ
カストマシン100の金型スプレイロボットの教示方法
について説明する。まず、パーソナルコンピュータ32
0に付属の画面表示装置320dの表示画面は、図3に
示すように、ワークである金型の正面を表示した作業エ
リア表示画面Aと、その側方ならびに下方に任意に移動
指定できる垂直縦線および水平横線の断面形状表示カー
ソル線mで切断された断面形状を示す縦軸方向断面形状
表示エリアBと、横軸方向断面形状表示エリアCを形成
表示できるように構成する。そして、複雑な形状をした
実際の金型を単純なモデルにモデル化するために、たと
えば、円柱、角柱、直方体、立方体、球等の単一形状を
あらかじめパーソナルコンピュータ(またはオフライン
プログラミング装置)320に記憶させておき、必要に
応じて呼び出しそれらを合成して複雑な金型形状を単純
な形状にモデル化する。図3の場合のモデルMは、四角
平板に円柱状穴を有する角柱を斜めに取りつけたものに
なっている。そして、縦軸方向断面形状表示エリアBと
横軸方向断面形状表示エリアCには、それぞれ、作業エ
リア表示画面Aに任意に指定した断面形状表示カーソル
線mで切断された断面が、縦軸方向断面形状表示エリア
Bと横軸方向断面形状表示エリアCとして表示される。
以上が金型形状を簡単なモデルに変換するワーク作成作
業(ワークのモデル化)である。
【0020】次に、スプレイ動作経路の設定方法につい
て、図4〜図5を参照しつつ、説明する。スプレイ動作
経路設定の手順は、図4や図5に示すフローチャートに
したがって設定していく。すなわち、スプレイ動作設定
で、オペレータが行なうことは、 スプレイ始点の設定 スプレイ経路の指定 スプレイ終点の指定 であり、この入力情報に基づいて、パーソナルコンピュ
ータ320は、あらかじめ与えられたプログラムによ
り、設定された経路と設定モデル(実際の金型を化体し
たもの)との交差判定を行なう。交差判定の結果、設定
経路と設定モデルとに交差接触がない場合は、設定経路
が最終のものとなり、設定経路が確定する。
【0021】しかし、交差判定の結果、交差接触が生じ
ている場合には、この交差接触を回避するために経路の
変更を行わなければならない。交差判定では、設定した
経路とモデルとの交差判定を行ない、交差する場合は経
路とモデルとの2次元表示画面上の交点を求め、その交
点を交点S1、2 とし、2次元表示画面上の経路に交点
1、2 を追加する。一方、モデルは2次元表示画面と
直交方向(高さ方向)にある高さをもっており、このモ
デルの高さhを回避するため交点S1、2 に、それぞ
れ、この高さhを加算した点S1 a 、S2 a を断面形状
表示画面に追加する。このようにして、経路とモデルと
が交差するときには、図4に示した屈曲した修正設定経
路Yが得られる。図4は、交差した初期の設定経路X
を、直角に屈曲して回避し経路を変更した状況(修正変
更した設定経路Y)を示している。
【0022】修正経路は、上述のように直角に屈曲させ
るばかりでなく、円弧やその他の曲線にしたがって滑ら
かに迂回させてもよく、またこの迂回経路をあらかじめ
プログラミングし記憶させた経路修正プログラムにした
がって自動的にパーソナルコンピュータ320に設定さ
せて修正経路を求めるようにしてもよい。図7にその実
施例を示した。図中、経路の編集とは、スプレイ動作の
際のスプレイ距離、スプレイ移動速度、スプレイ噴射角
度等の詳細な使用の設定を意味する。また、位置決め度
とは、変更する経路の滑らか度をあらわしており、0%
は直角に屈曲した場合であり、位置決め度x%の値が増
加するにしたがって曲線の曲がり方が滑らかになるよう
にしてある。
【0023】図5のフローチャートは、上述の教示手順
を詳しく説明したもので、上記ののスプレイ経路の指
定は、実際には、あらかじめプログラム化された経路タ
イプの中から所望の経路を選択するようになっている。
図5の場合には、直線か非直線の選択となっており、直
線の場合は終点を指定することで設定は完結し、非直線
の場合は円弧となっており、円弧の場合は、円弧の中心
点と円弧の回転角度を指定して入力することにより、終
点は自動的に計算され設定される。そして、その後に設
定経路とモデルとの交差判定を行なう。交差判定の結果
の処理については、上述したとおりである。このように
して、最終設定経路が確定した後、次工程の動作条件設
定に移る。
【0024】スプレイ動作条件設定は、設定された最終
設定経路にしたがって金型スプレイロボット300がス
プレイ作業を実施するに際して、その動作を細かく規定
するもので、たとえば、スプレイ距離(スプレイノズル
と金型表面間の距離)、スプレイ移動速度、スプレイ角
度(塗布面に対して何度で噴射するか)、スプレイ流量
などを経時的に指定していくものである。具体的には、
図8に示した動作条件設定フローチャートにしたがっ
て、各種スプレイ動作項目を設定していく。図6に示す
動作条件設定時における外部入出力信号の割付けを説明
するフローチャートを見ると判るように、設定された経
路に対して上述のロボットの動作(距離、速度、姿勢)
とともに、噴射動作(スプレイ剤流量、エア流量、バル
ブ開閉タイミングなど)も細かく指定してより肌理の細
かい高度なスプレイ作業を実施することができる。
【0025】スプレイ動作条件設定は、事前に割り付け
られた外部入出力信号の略称がメニューとして表示さ
れ、付加したい経路に対してマウス等の入力装置で選択
することにより、動作経路の付加条件として登録され
る。これにより、ユーザのオペレータはティーチングさ
れたプログラムに対していちいちバルブ開閉などのスプ
レイ動作の設定をプログラムに付け加える必要がなくな
り、効率的にティーチング作業(教示作業)を行なうこ
とが出来る。以上のようにして、ワークのモデル化、ス
プレイ作業経路の設定、スプレイ動作条件設定からなる
本発明の金型スプレイロボットの教示方法の詳細を説明
したが、実際に行なった例を図9に示した。図9(a)
はワーク生成画面を示し、図9(b)はスプレイ経路設
定画面を示している。
【0026】金型スプレイ作業は、ある距離ほど離れた
位置からある拡がりをもってスプレイ剤を金型表面に噴
射する作業であり、物体の把持や加工等のような正確な
位置ぎめ精度は不要であり、1mm単位程度の精度で十
分であり複雑な現実の金型形状をそのまま正確にパーソ
ナルコンピュータに入力する必要はない。このことか
ら、ワーク、すなわち、金型表面形状を単純な単一形状
を適宜組み合わせて近似的なシンプルなモデルを作成し
て入力し、このモデルを画面に表示して動作経路の設定
に使用するようにした。
【0027】次に、本発明の金型スプレイロボットの簡
易干渉チェック方法について説明する。図10は、金型
スプレイロボットの動作可能領域説明図である。図10
において、多関節ロボットのスプレイロボット200の
ロボット手首先端点232(この下部位置には縦軸25
0の回転用のモータ240が配設される)の動き得る動
作領域がロボット動作領域Pであり、一方、ロボット手
首先端点232の下方には縦軸250を介してスプレイ
ヘッド260が懸架され、型開した両金型12A、12
Bで形成された金型隙間Rが有る。そこで、これらのロ
ボット動作領域Pと金型隙間Rのうち、ロボット手首先
端点232およびスプレイノズル260aが、各々、金
型表面やタイバー等の金型周辺の機器に接触しないよう
に、簡単な構造をした、たとえば円柱や角柱状の空間モ
デルにより、図10に示すように、手首先端点動作可能
領域Qやスプレイノズル先端点動作可能領域Sを画面上
で設定する。設定の方法は、マウスやポインティング・
デバイスを使用するか、あるいは、キーボードを使って
3次元の座標で設定してもよい。
【0028】図11は、両動作可能領域Q、Sを設定
し、干渉チェックを行なう作業手順を説明するフローチ
ャートを示す。すなわち、動作可能領域設定として、手
首先端点動作可能領域Qと、スプレイノズル先端点動作
可能領域Sを設定し、その後、既に設定済みのスプレイ
動作経路がこの2つの動作可能領域QまたはSの範囲か
ら逸脱していないかどうかをパーソナルコンピュータ3
20で判定させ、確認する。その結果、この2つのどち
らの領域も逸脱していない場合は、初期に設定したスプ
レイ動作経路が最終のスプレイ動作経路として確定す
る。もし、このどちらかの少なくとも一方の動作可能領
域Q、Sを逸脱している場合には、あらためて前述した
スプレイ動作経路の修正を実施し、動作可能領域内に収
まるまで修正する。
【0029】また、これら2つの干渉チェック(I)、
(II)が済んだ後、念の為に行なう第3の干渉チェック
(III) として、ツールフランジ(ロボット手首先端点)
とツール先端(スプレイノズル先端点)とを結んだ1次
近似式とマシン各部(金型面および金型周辺機器)との
交差判定を実施する。この場合の交差判定における演算
も線(1次近似式)と面(金型面)との交差判定だけで
あるから、短時間で単純な計算で干渉チェックが可能と
なる。
【0030】以上のようにして、比較的簡便な方法でス
プレイ動作経路の干渉チェックを実施するが、このスプ
レイ動作経路の干渉チェックと前述した交差判定と合わ
せて実施してしてもよいが、このスプレイ動作経路の干
渉チェック(第3の干渉チェック)を行なうことにより
自動的に交差判定を行なったことになる場合は、前述の
交差判定を省略し得ることになる。
【0031】以上述べたように、本発明においては、金
型スプレイロボットの干渉チェックを行なう場合に、単
純化された形状の動作可能領域をあらかじめ設定して、
作業中のロボット手首先端点やスプレイノズル先端点が
この領域から逸脱しないかどうかで干渉チェックを行な
うようにしたので、演算量の比較的少ない演算で短時間
に干渉チェックが可能となる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、下記のような優れた効果を奏することができる。す
なわち、 (1)ロボットの干渉チェック作業を簡便容易に、か
つ、効率的に実施できることになる。たとえば、 複雑な金型面形状であっても、動作可能領域を金型
隙間やロボット動作領域よりもひとまわり小さな単純形
状のモデルに単純モデル化することによって、演算処理
の迅速化を促進できる。 動作可能領域の設定が容易である。 (2)ティーチング、実スプレイ作業、経路変更作業、
干渉チェック作業等の繰り返し作業が速く、かつ、正確
に実行できるから、従来のようなトライアル・アンド・
エラーの無駄時間が節約でき、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るダイカストマシンの全体
構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る制御装置の構成図であ
る。
【図3】本発明の実施例に係る画面表示装置の表示画面
図である。
【図4】本発明の実施例に係るスプレイ経路設定方法を
説明する表示画面図である。
【図5】本発明の実施例に係るスプレイ経路設定のフロ
ーチャートである。
【図6】本発明の実施例に係るスプレイ動作条件設定時
における外部入出力信号の割付けを説明するフローチャ
ートである。
【図7】本発明の実施例に係るスプレイ動作条件の設定
方法を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例に係る経路に対するスプレイ動
作条件設定を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例に係るワーク生成画面およびス
プレイ経路設定画面を示す表示画面図である。
【図10】本発明の実施例の係る金型スプレイロボット
の動作可能領域説明図である。
【図11】本発明の実施例に係る金型スプレイロボット
の簡易干渉チェック作業手順のフローチャートである。
【図12】従来のダイカストマシンの全体構成図であ
る。
【符号の説明】
1 タンク 2 圧気源(コンプレッサ) 3 フィルタ 4 電磁弁 5 流量調整弁 6 圧気源(コンプレッサ) 7 電磁弁 8 配管 9 油圧シリンダ 10 スプレイ装置 11 プラテン 11A 固定プラテン 11B 可動プラテン 12 金型 12A 固定金型 12B 可動金型 100 ダイカストマシン 200 スプレイロボット 210 回転座 210a モータ 220 第1アーム 230 第2アーム 232 ロボット手首先端点 240 モータ 250 竪軸 260 スプレイヘッド 260a スプレイノズル(スプレイガン) 300 制御装置 310 ロボット制御装置 320 パーソナルコンピュータ(オフラインプログラ
ミング装置) 320a マウス 320b キーボード 320c 記憶装置 320d CRT画面 320e プリンタ 330 シーケンサ 340 バルブ 350 ダイカストマシン操作盤 A 作業エリア B 縦軸方向断面 C 横軸方向断面 M モデル m 断面形状表示用カーソル線 P ロボット動作領域 Q ロボット手首先端点動作可能領域 R 金型隙間 S スプレイノズル先端点動作可能領域 X 初期の設定経路 Y 修正変更した設定経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/20 B05B 13/06 B22C 23/02 B25J 9/22 B25J 19/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多関節ロボットのロボット手首先端点に
    スプレイノズルを備えたスプレイ装置を回転自在に接続
    してダイカストマシンの金型キャビティ面にスプレイ剤
    を噴霧する金型スプレイロボットへ、スプレイ作業手順
    を指示する際の金型スプレイロボットの簡易干渉チェッ
    ク方法であって、 型開時の金型隙間とロボット動作範囲から、あらかじめ
    該金型スプレイロボットのスプレイノズル先端点が該金
    型ならびに金型周辺の機器と接触干渉しないためのスプ
    レイノズル先端点動作可能領域と、ロボット手首先端点
    が金型ならびに金型周辺の機器と接触干渉しないための
    ロボット手首先端点動作可能領域とを、円筒または直方
    体などの単純モデル空間で形成された3次元座標領域と
    して設定するとともに、 スプレイ作業経路として設定されたスプレイノズル先端
    点動作経路とロボット手首先端点動作経路がそれぞれ前
    記スプレイノズル先端点動作可能領域と前記ロボット手
    首先端点動作可能領域を逸脱しないかどうかを判定し
    て、スプレイ作業動作中の金型スプレイロボットの金型
    ならびに周辺機器への接触干渉を防止する金型スプレイ
    ロボットの簡易干渉チェック方法。
  2. 【請求項2】 金型形状が3次元的に複雑な形状で形成
    されている場合には、2次元表示面表示と断面形状表示
    面表示の2つの機能を同時に保有した該ロボット制御装
    置に備えられた画面表示装置の画面を用いて、 あらかじめ用意された種々の単一形状の中から必要な単
    一形状を抽出して組み合わせることによって、前記複雑
    な金型作業面3次元形状を単純なモデルに変換したうえ
    該金型モデルを該ロボット制御装置へ入力した後、 該金型モデルを表示した前記画面表示装置の画面にスプ
    レイ作業経路を指示することを特徴とする請求項1記載
    の金型スプレイロボットの簡易干渉チェック方法。
  3. 【請求項3】 スプレイ作業経路の設定は、ロボット制
    御装置に備えられた画面表示装置の画面を用いて、 2次元表示画面にスプレイ始点ならびにスプレイ終点の
    設定を行ない、該スプレイ始点から該スプレイ終点に到
    る経路タイプ(直線か非直線か)の設定を行なうととも
    に、 該ロボット制御装置に実施させる設定経路と設定モデル
    との交差判定の結果、交差接触する場合には該経路の交
    差接触する領域を、該2次元表示画面上の経路を変更す
    ることなく、あらかじめ入力された経路修正プログラム
    に基づいて該2次元表示画面と直交する方向へ迂回変更
    させて最終スプレイ作業経路を設定することを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の金型スプレイロボット
    の簡易干渉チェック方法。
  4. 【請求項4】 設定したスプレイ作業経路にしたがって
    行なうスプレイ作業中の金型スプレイロボットのロボッ
    ト制御装置へ、スプレイ距離、スプレイ移動速度、スプ
    レイ姿勢などのスプレイ動作ばかりでなく、所望のスプ
    レイ流量やスプレイ噴霧タイミングをあらかじめプログ
    ラム設定して与えるようにした請求項1ないし請求項3
    記載の金型スプレイロボットの簡易干渉チェック方法。
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