JP3202089U - 戻りコン処理材及び戻りコン処理体 - Google Patents
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Abstract
【課題】余分な作業スペースを必要とせず、短時間かつ低コストで効率よく、生コン車での撹拌のみではなくより簡単な方法で、しかも水分が多い戻りコンについても、容易に処理するための戻りコン処理材及び、その処理によって得られる再資源化可能な戻りコン処理体を提供するものである。【解決手段】生コンクリートに投入される戻りコン処理材10であって、袋状に形成された包装体2と、包装体2の内部に充填された粉末状の無機固化材及び吸水材の混合物1とを具備する。戻りコン処理材10による戻りコンの処理によって得られる戻りコン処理体は、セメントを核にその周辺を骨材で覆われている集合体の複数からなる。【選択図】図1
Description
本考案は、使用されずに余った生コンクリートを処理する戻りコン処理材及び、当該戻りコン処理材によって再資源化された戻りコン処理体に関するものである。
コンクリート製造事業所から出荷された生コンクリートのうち、何らかの理由で余った生コンクリート、いわゆる「戻りコン」と呼ばれる生コンクリートは、多くの場合コンクリート製造事業所に返却される。このような戻りコンは、その全てを生コンクリートとして再利用することが困難であり、産業廃棄物として処分することが多い。したがって、このような戻りコンの発生は、コンクリート製造事業所にとって、無駄な処理費用がかかるという問題があった。
このような問題に対して、戻りコンを何らかの方法で処理することで、産業廃棄物として処分するのではなく、再資源化により有効利用しようということが考えられる。その方法としては、戻りコンから骨材を回収する方法や、二次製品等を製造する方法、戻りコンを硬化させたあと砕いて再生路盤材として利用する方法が現在行われている。
しかしながら、戻りコンから骨材を回収する方法では、そのための設備が必要となる上、処理の際に発生した廃水をやはり産業廃棄物として処分しなければいけないという問題がある。また、二次製品等を製造する方法も、やはりそのための設備が必要であるという問題がある。戻りコンを硬化させたあと砕いて再生路盤材とする方法も、破砕設備が必要となる上、硬化させるためのスペースが必要となるという問題がある。
そこで、破砕機を使用することなく、吸水性高分子体から成る処理剤を用いることで、よりスペースや時間を要することなく、路盤材として再使用する方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載された吸水性高分子体で処理する方法は、さほどの労力をかけずに路盤材ができる利点はあったが、戻りコンに多量の水分が含まれると処理能力が落ちるという問題点や、生コン車等で撹拌しないと吸水性高分子体が十分に戻りコン全体にいきわたらず、その能力を十分に発揮できないという課題があった。
そこで本考案は、余分な作業スペースを必要とせず、短時間かつ低コストで効率よく、生コン車での撹拌のみではなくより簡単な方法で、しかも水分が多い戻りコンについても、容易に処理するための戻りコン処理材及び、その処理によって得られる再資源化可能な戻りコン処理体を提供するものである。
上記の課題を解決するため、本考案にかかる戻りコン処理材は、生コンクリートに投入あるいはそれにふりかけて使用する戻りコン処理材であって、粉末状の無機固化材を具備することを特徴とする。
請求項2記載の戻りコン処理材は、無機固化材が無機質材料であることを特徴とする。
請求項3記載の戻りコン処理材は、無機質材料が、酸化カルシウム、二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムのいずれかのうち1つ又は複数を含むことを特徴とする。
請求項4記載の戻りコン処理材は、無機固化材に加えてさらに、吸水材を具備することを特徴とする。
請求項5記載の戻りコン処理材は、吸水材が、ペーパースラッジ焼却灰であることを特徴とする。
請求項6記載の戻りコン処理材は、粉末状の無機固化材や吸水材を簡単な紙の包装体の内部に封入することを特徴とする。
請求項7記載の戻りコン処理体は、生コンクリートを上記戻りコン処理材により処理されて形成された戻りコン処理体であって、セメントを核にその周辺を骨材で覆われている集合体の複数からなることを特徴とする。
本考案の戻りコン処理材に含まれる無機固化材が戻りコンと接触すると、セメントの粒子表面が砂の微粒分に覆われ、本来コンクリート内でおこるはずのセメントの密な凝結ではない、密度の荒い固化が始まり、セメントの通常の凝結反応が阻害される。この密度の荒い固化によって微細な空隙ができ、その空隙に自由水が取り込まれていく。自由水が取り込まれることにより戻りコンのスランプが瞬時に固くなりぱらぱらしてくる。取り込まれた自由水は、時間の経過とともにセメントの水和反応の水となる。通常セメントの凝結反応によってセメントは密な構造となるが、セメント粒子間に空隙ができる構造となることにより、セメント粒子間での本来の硬化は起こらない。したがって、処理で得られた戻り処理体は、通常のコンクリートと異なり、簡単に破砕が可能であり、他の設備を何ら要することなく、路盤材等の再資源化が可能となる。
以上のように、本考案によれば、余分な作業スペースを必要とせず、短時間かつ低コストで効率よく、生コン車での撹拌のみではなくより簡単な方法で、しかも水分が多い戻りコンについても、容易に処理するための戻りコン処理材及び、その処理によって得られる再資源化可能な戻りコン処理体を提供することができる。
以下、本考案の実施形態である戻りコン処理材及び戻りコン処理体について、図1ないし図4に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の戻りコン処理材10である。戻りコン処理材10は、袋状に形成された水溶性あるいは簡単に破れる構造を有する包装体2と、包装体2の内部に封入された粉末状の無機固化材及び吸水材の混合物1とを具備する。無機固化材は、無機質材料から成っており、例えば、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどを含む。吸水材は、例えば、ペーパースラッジ焼却灰などを含む。無機固化材と吸水材とは、混合されていてもいいし、分離して充填されてもいい。なお後述のとおり、無機固化材と吸水材を常に具備する必要はなく、無機固化材のみでも本考案を実施することができる。当然ながら、包装体2の内部に、粉末状の無機固化材及び吸水材の混合物1は隙間なく完全充填する必要はなく、隙間があっても本考案の効果に影響はない。
吸水材としてペーパースラッジ焼却灰を利用すると、製紙業界の産業廃棄物の低減にも寄与することとなる。
包装体2は、粉末状である無機固化材を扱いやすくするための一つの方法であり、生コンクリート内への投入を容易にするためのものである。投入後は、撹拌により簡単に破れるあるいは生コンクリート内の水分で簡単に溶けるなどによって、包装体内部の無機固化材が生コンクリートと素早く接触するようになっていることが望ましい。生コンクリートへの投入が困難でなければ、包装体とせず、そのまま生コンクリートにふりかけてもよい。
本考案にかかる戻りコン処理体は、戻りコンに対し均一に混合されることが望ましい。そこで、戻りコンに投入する方法としては、簡単にやぶける紙で包装した戻りコン処理体を投入後、撹拌することが望ましい。別の方法としては、戻りコンの上部からまんべんなくふりかけてからショベルや重機で軽くかきまわす方法が考えられる。
投入する戻りコン処理材10は、戻りコン1平方メートルに対し戻りコン処理材10を2袋(2キログラム)の割合で投入するのが望ましい。
上記構成の戻りコン処理材10を戻りコンに投入すると、無機固化材が戻りコンと接触する。そして戻りコンが撹拌されると、戻りコンと混ざり合った無機固化材によって、セメントの粒子表面が砂の微粒分に覆われ、本来コンクリート内でおこるはずのセメントの密な凝結ではない、密度の荒い固化が始まり、セメントの通常の凝結反応が阻害される。この密度の荒い固化によって微細な空隙ができ、その空隙に自由水が取り込まれていく。自由水が取り込まれることにより戻りコンのスランプが瞬時に固くなりぱらぱらしてくる。取り込まれた自由水は、時間の経過とともにセメントの水和反応の水として反応し、なくなっていく。
通常セメントの凝結反応によってセメントは密な構造となるが、セメント粒子間に空隙ができる構造となることにより、セメント粒子間での本来の硬化は起こらない。
密度の荒い固化によって発生する空隙により、本来コンクリート内でのセメントの密な凝結が得られなくなり、荒い集合体となる。当該集合体が得られるまでの時間は、上記添加割合の場合、数分であった。集合体は、粘着性を有しないぱらぱらした状態になることから、生コン車のドラムなどから容易に排出が可能である。
以上のとおり、本考案の戻りコン処理材によれば、戻りコンに投入し撹拌するか、あるいは生コン車より排出された戻りコンにふりかけて少し混ぜるだけで、セメントを核とし、その核に砂の微粒分が覆い、それが砂利の周りに付着した集合体を得ることができる。
スペースも手間も設備も不要であることから、戻りコン処理材により得られた集合体は、低廉に製造することができる。そして、通常のコンクリートと異なり、この集合体は簡単に破砕が可能であり、他の設備を何ら要することなく、そのまま路盤材として使用することができる。
生コンクリート製造事業所に戻ってきた戻りコンには、規定量より多くの水分を含んでいることが少なくない。この場合、従来の吸水性高分子体を用いる方法では、水の吸水量に限界が生じ、処理能力が落ちてしまっていた。これに対し、本考案の戻りコン処理材によれば、そのような場合であっても、セメントの凝結反応ではなく荒い固化はおこるので問題なく処理は可能となる。また、ペーパースラッジ焼却灰などの吸水材を加えることにより、より多くの水分を含んだ戻りコンに対しても、より短時間に効率よく処理をすることが可能となる。
このようにして形成された集合体20は、図2に模式的な断面図を示すように、セメント21を核にし、その周辺に骨材22がセメント21を覆うような構造となり団粒化し空隙ができている。図3(a)の集合体20の顕微鏡写真と、図3(b)の生コンの顕微鏡写真とを比較すればわかるように、本実施形態で得られた戻りコン処理体は密な凝結ではなく、団粒化し空隙がたくさんできている。また、セメントを核とし、その核を砂の微粒分が覆い、それが砂利の周りに付着した集合体が多数形成されることがわかる。
かかる構成の本考案の戻りコン処理体は、隣接した集合体同士がセメント本来の密の硬化ではないため強度が得られないことから、破砕設備を使うことなく、簡単に路盤材として使用可能な大きさを有することが可能である。また、本考案の戻りコン処理体は、砂利のまわりにセメントが核となった砂の微粒分で覆われたものが付着した状態なので、丸みを帯びた構造を有し、その大きさも骨材の大きさに応じてバラバラであることから、充填性が良く、そのまま路盤材として使用することができる。
以上のように、本実施形態の戻りコン処理材10によれば、戻りコンを持ち帰った生コン車のドラム内の戻りコンに投入するだけで、短時間で戻りコン処理体を得ることができる。これにより、新たな設備投資を何ら要することなく、かつ、時間やスペースを要することなく、労力及び経費を低減して戻りコンを再資源化することができる。
また、本実施形態の戻りコン処理材10の包装体2は、その大きさ及び形状により、作業者が手で投入し易く、戻りコン処理材を戻りコンの量に対して適した量に調整し易いものとなっている。
そして、戻りコン処理材10を用いた戻りコンの処理により得られた戻りコン処理体は、そのまま路盤材として利用することができるため、硬化させた戻りコンを破砕して路盤材とした従来とは異なり、破砕するための装置や労力を要しない。また、本実施形態の戻りコン処理体は、ほぼ球形で大きさが種々である集合体20の多数からなるため、充填性が良く路盤材として有用である。
以上、本考案について好適な実施形態を挙げて説明したが、本考案は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本考案の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では反応の効率をよくするために吸水材を具備していた。吸水材は、それを加えることにより、より多くの水分を含んだ戻りコンに対しても、より短時間に効率よく処理をすることが可能となるものである。すなわち、より反応を促進させるものであって、吸水材がなくとも、本考案の効果を得ることができ、図4のように、無機固化材と吸水材の混合物ではなく、無機固化材3のみを内包した包装体2からなる戻りコン処理材でもよい。
1 無機固化材と吸水材の混合物
2 包装体
3 無機固化材
10 戻りコン処理材
20 集合体
21 セメント
22 骨材
2 包装体
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10 戻りコン処理材
20 集合体
21 セメント
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Claims (7)
- 生コンクリートに投入あるいはそれにふりかけて使用する戻りコン処理材であって、粉末状の無機固化材を具備することを特徴とする戻りコン処理材。
- 前記無機固化材は、無機質材料であることを特徴とする請求項1に記載の戻りコン処理材
- 前記無機質材料は、酸化カルシウム、二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項2に記載の戻りコン処理材
- 前記戻りコン処理材として、さらに吸水材を具備することを特徴とする請求項1ないし3に記載の戻りコン処理材。
- 前記吸水材は、ペーパースラッジ焼却灰であることを特徴とする請求項4に記載の戻りコン処理材
- 簡単な紙の包装体の内部に充填することを特徴とする請求項1ないし5に記載の戻りコン処理材。
- 生コンクリートが請求項1ないし6に記載の戻りコン処理材により処理されて形成された戻りコン処理体であって、セメントを核にその周辺を骨材で覆われている集合体の複数からなることを特徴とする戻りコン処理体。
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JP2015003968U JP3202089U (ja) | 2015-07-16 | 2015-07-16 | 戻りコン処理材及び戻りコン処理体 |
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JP2015003968U JP3202089U (ja) | 2015-07-16 | 2015-07-16 | 戻りコン処理材及び戻りコン処理体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7560017B2 (ja) | 2022-04-05 | 2024-10-02 | アサノ有明生コン株式会社 | 生コンクリート用の処理剤、生コンクリート用の処理剤の製造方法、及び生コンクリートの処理方法 |
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2015
- 2015-07-16 JP JP2015003968U patent/JP3202089U/ja not_active Expired - Fee Related
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