JP3202033U - 反物 - Google Patents

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Abstract

【課題】着物等の和服を仕立てるときの柄合わせの負担を軽減できる反物を提供する。【解決手段】反物10は、互いに異なる柄A,Bを有し、共に仕立てようとする和服の身頃の長さLを2以上の自然数で除した長さMを有する第1部分11と第2部分12が長手方向に交互に配置されて成る。【選択図】図1

Description

本考案は、反物(すなわち、着物や羽織等の和服を1着仕立てるのに必要な長さおよび幅をもつ布地)に関するもので、特に、柄物の反物に関する。
1着の着物は、1枚の反物(所謂、着尺地)を決まった位置で裁断して縫製することによって仕立てられている(例えば、特許文献1参照)。一般に、着尺地は、全体の長さが鯨尺で約3丈(約11m)であり、例えば、端から順に、「9尺6寸」の長さ部分が2個切り出されて、それぞれが身頃(右身頃と左身頃)になり、同じ「9尺6寸」の長さ部分が1個切り出されて衿およびおくみになり、3分の1の「3尺2寸」の長さ部分が2個切り出されて、それぞれが袖(右袖と左袖)になる。
特開平8−209407号公報
反物には柄付きのものもあり、柄付きの反物を用いれば、柄のある着物や羽織を仕立てることができる。従来、柄のある反物を織る段階では、それが着物等に仕立てられたときに柄がどのように配置されるか細かくは計算されておらず、反物から着物等を仕立てる段階において、仕立て人が、出来上がった着物等の縫製位置で柄がちぐはぐにならないように、柄の位置を合わせる作業(所謂、柄合わせ)を行っていた。この作業は、熟練の仕立て人であっても容易ではなく、手間と時間がかかる難しい作業であった。
本考案が解決しようとする課題は、着物等の和服を仕立てるときの柄合わせの負担を軽減できる反物を提供することである。
上記課題を解決するために成された本考案に係る反物は、
互いに異なる柄を有し、共に仕立てようとする和服の身頃の長さを2以上の自然数で除した長さを有する第1部分と第2部分が長手方向に交互に配置されて成る
ことを特徴とする。
ただし、ここでいう「反物」とは、1着の和服を仕立てるのに必要な長さおよび幅を有する布地を指す。また、「身頃」とは、前身頃と後ろ身頃とが連なった布部分を指す。
この構成によると、反物に、ある柄(以下「第1柄」とも呼ぶ)が配置された第1部分と、第1柄とは異なる柄(以下「第2柄」とも呼ぶ)が配置された第2部分とが長手方向に交互に配置されており、第1部分および第2部分各々の長さ(以下「柄の単位長さ」とも呼ぶ)が、身頃の長さを2以上の自然数で除した長さとなっている。換言すると、身頃の長さは、柄の単位長さの自然数倍となっている。したがって、反物から身頃を切り出すときの裁断位置が第1部分と第2部分の境界になり、第1柄あるいは第2柄の途中で反物が裁断されることがない。これによって、着物等の和服を仕立てるときの柄合わせの負担が小さくなる。
好ましくは、前記反物は、
前記第1部分および前記第2部分各々の長さが、鯨尺で1尺2寸である。
ただし、周知の通り、「鯨尺」は和服の仕立てに用いられる単位であり、鯨尺の1尺は曲尺の1尺2寸5分に相当する。また、曲尺の「1尺」は、「(10/33)メートル」に相当する。したがって、鯨尺で「1尺2寸」は、曲尺の「1尺5寸」に相当し、「15/33(=約0.4545)メートル」である。
また、好ましくは、前記反物は、
前記第1部分と前記第2部分の境界において、前記第1部分に配置された柄と前記第2部分に配置された柄が連続性を有する。
この構成によると、第1部分と第2部分の境界において、第1柄と第2柄が連続性を有するので、仕立てられた和服において、当該境界が目立たない。ただし、本明細書でいう「柄の連続性」では、境界における図や文字の有無を問わない。つまり、境界で図や文字がつながることによって第1柄と第2柄の連続性が担保されてもよいし、境界に図が存在せず色調等の連続性によって第1柄と第2柄の連続性が担保されてもよい。
好ましくは、前記反物は、
前記長手方向を上下方向と呼び、幅方向を左右方向と呼ぶ場合、
前記第1部分の右あるいは左に前記第2部分が上下逆に配置された場合に、前記第1部分と前記第2部分の境界において、前記第1部分に配置された柄と前記第2部分に配置された柄が連続性を有する。
この構成によると、第1部分の右あるいは左に第2部分が上下逆に配置された場合に、第1部分と第2部分との境界において、第1柄と第2柄が連続性を有するので、仕立てられた和服において、第1部分と第2部分とが当該位置関係で配置された場合に、第1部分と第2部分との境界が目立たない。
この考案によると、反物から身頃を切り出すときの裁断位置が、第1部分と第2部分との境界になり、第1部分の柄あるいは第2部分の柄の途中で反物が裁断されることがない。したがって、着物等の和服を仕立てるときの柄合わせの負担が小さくなる。
実施形態に係る反物の全体構成を説明するための図。 前記反物から仕立てられる着物を示す模式図。 第1部分と第2部分の柄の連続性を説明するための図。 第1部分とその周囲に配置される第2部分の柄の連続性を説明するための図。 第2部分とその周囲に配置される第1部分の柄の連続性を説明するための図。 第1部分および第2部分の構成例を示す図。 図6に例示される第1部分および第2部分を有する反物から仕立てられる着物の一部分を示す図。
以下、本考案に係る反物について実施形態を用いて説明する。
<1.全体構成>
実施形態に係る反物10の全体構成について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、反物10の全体構成を説明するための図である。図2は、反物10から仕立てられる着物100を示す模式図である。なお、図1、図2および以下に参照する各図では、反物10あるいは着物100の身頃の各部分における柄の種類を示す符号「A」「B」が適宜付されている。ここで符号が上下逆になっている部分は、柄も上下逆になっていることを意味している。なお、図示の便宜上、図2では、袖、衿、おくみについては、柄の種類を示す符号の図示を省略している。
反物10は、1着の着物100を仕立てるのに必要な長さと幅をもつ布地(所謂、着尺地)である。なお、本明細書において単に「長さ」と呼ぶ場合は、反物10の長手方向に沿う寸法を指す。また、「幅」は、反物10の長手方向と直交する方向に沿う寸法を指す。実施形態に係る反物10は、長さが鯨尺で例えば約3丈6尺(約13.64m)であり、幅が例えば並幅(約36cm)である。
この反物10を着物100に仕立てる際には、例えば、反物10の端から順に、定められた長さLの部分101が2個切り出されて、それぞれが身頃(右身頃と左身頃)とされ、当該部分101と同じ長さLの部分102が1個切り出されて、衿およびおくみとされ、当該長さLの例えば8分の3の長さの部分103が2個切り出されて、それぞれが袖(右袖と左袖)とされる。
以下において、身頃として切り出される部分101を、単に「身頃部分101」とも呼ぶ。身頃部分101は、前身頃と後ろ身頃とが連なった布部分である。すなわち、身頃部分101を長手方向の中央を境にした一方の部分(長さがL/2の部分)が前身頃となり、他方の部分が後ろ身頃となる。
反物10には、長手方向に沿って、第1柄Aが配置された第1部分11と、第1柄Aとは異なる第2柄Bが配置された第2部分12とが、交互に配置されている。これらの柄A,Bは、例えば反物10を織る段階で、柄として織り込まれる。
第1部分11の幅と第2部分11の幅とは互いに等しく、当該幅は、反物10の幅と同じ寸法である。
また、第1部分11の長さと第2部分11の長さとは互いに等しく、当該長さ(以下、「柄の単位長さ」と呼ぶ)Mは、身頃部分101の長さLを2以上の自然数で除した長さとなっている。この実施形態に係る反物10では、例えば、身頃部分101の長さLは、鯨尺で9尺6寸(約3.636メートル)であり、柄の単位長さMは、鯨尺で1尺2寸(約45.45センチメートル)(つまり、身頃部分101の長さLを「8」で除した値)である。もっとも、各長さL,Mはこれらの数値に限られるものではない。
この構成によると、柄の単位長さ(すなわち、第1部分11および第2部分12各々の長さ)Mが、身頃部分101の長さLを2以上の自然数で除した長さとなっている(つまり、身頃部分101の長さLは、柄の単位長さMの自然数倍となっている)ので、反物10から身頃部分101を切り出すときの裁断位置が、第1部分11と第2部分12との境界になり、第1柄Aあるいは第2柄Bの途中で反物10が裁断されることがない。したがって、着物100を仕立てるときの柄合わせの負担が小さくなる。
<2.第1柄Aと第2柄Bの連続性>
第1部分11に配置される柄(第1柄)Aと第2部分12に配置される柄(第2柄)Bとは、連続性をもつような図柄となっている。当該連続性について、図1、図2に加えて、図3〜図5を参照しながら説明する。図3は、第1部分11と第2部分12の柄の連続性を説明するための図である。図4は、第1部分11とその周囲に配置される第2部分12の柄の連続性を説明するための図である。図5は、第2部分12とその周囲に配置される第1部分11の柄の連続性を説明するための図である。
以下の説明において、反物10の長手方向を上下方向と呼び、反物10の幅方向を左右方向と呼ぶ。
第1柄Aと第2柄Bとは、反物10における第1部分11と第2部分12の境界において連続性を有する。つまり、第1部分11の上端縁T1と第2部分12の下端縁T1において、第1柄Aと第2柄Bは連続性を有する。また、第1部分11の下端縁T2と第2部分12の上端縁T2において、第1柄Aと第2柄Bは連続性を有する。したがって、反物10から仕立てられた着物100において、第1部分11と第2部分12との境界が目立たない。
特に好ましくは、第1部分11の右あるいは左に第2部分12が上下逆に配置された場合に、第1部分11と第2部分12の境界において、第1柄Aと第2柄Bが連続性を有する。つまり、第1部分11の右端縁T3と第2部分12の右端縁T3において、第1柄Aと第2柄Bは逆向きの連続性を有する。また、第1部分11の左端縁T4と第2部分12の左端縁T4において、第1柄Aと第2柄Bは逆向きの連続性を有する。したがって、反物10から仕立てられた着物100において、第1部分11と第2部分12とが当該位置関係で配置された場合に、第1部分11と第2部分12との境界が目立たない。
なお、ここでいう「柄の連続性」では、境界における図や文字の有無を問わない。つまり、境界で図や文字がつながることによって第1柄Aと第2柄Bの連続性が担保されてもよいし、境界に図が存在せず色調等の連続性によって第1柄Aと第2柄Bの連続性が担保されてもよい。
<3.柄の具体例>
図6には、第1柄Aが配置された第1部分11および第2柄Bが配置された第2部分12の具体例が示されている。また、図7には、図6に例示される第1部分11および第2部分12を有する反物10から仕立てられる着物100の一部分が示されている。なお、図6、図7では、理解を助けるために、柄の種類と向きを示す符号「A」「B」が付されているが、これらの符号は実際の柄を構成する要素ではない。
ここに示されるように、反物10を用いれば、仕立て人が複雑な柄合わせを行わずとも柄がちぐはぐになることが無く、柄が整然と並んだ着物100を容易に仕立てることができる。
<4.他の実施形態>
上記の実施形態において、第1柄Aと第2柄Bとが、上下の境界T1,T2や左右の境界T3,T4において連続性を有することは必須ではない。また、第1柄Aと第2柄Bとは、上下の境界T1,T2および左右の境界T3,T4のうちの少なくとも1つにおいて連続性を有するものであってもよい。例えば、第1柄Aと第2柄Bとは、上下の境界T1,T2のみにおいて連続性を有し、左右の境界T3,T4においては連続性を有さないものであってもよい。
上記の実施形態において、反物10からは着物100が仕立てられるものとしたが、本考案は、着物以外の各種の和服(例えば、羽織)を仕立てるための反物に適用することもできる。
上記の実施形態においては、反物10には織りの段階で柄A,Bが織り込まれるものとしたが、染めの段階で柄A,Bが描かれてもよい。
10 反物
101 身頃部分
102 衿およびおくみになる部分
103 袖になる部分
11 第1部分
12 第2部分
A 第1柄
B 第2柄
L 身頃になる部分の長さ
M 柄の単位長さ
100 着物

Claims (4)

  1. 互いに異なる柄を有し、共に仕立てようとする和服の身頃の長さを2以上の自然数で除した長さを有する第1部分と第2部分が長手方向に交互に配置されて成る
    ことを特徴とする反物。
  2. 請求項1に記載の反物であって、
    前記第1部分および前記第2部分各々の長さが、鯨尺で1尺2寸である
    ことを特徴とする反物。
  3. 請求項1または2に記載の反物であって、
    前記第1部分と前記第2部分の境界において、前記第1部分に配置された柄と前記第2部分に配置された柄が連続性を有する
    ことを特徴とする反物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の反物であって、
    前記長手方向を上下方向と呼び、幅方向を左右方向と呼ぶ場合、
    前記第1部分の右あるいは左に前記第2部分が上下逆に配置された場合に、前記第1部分と前記第2部分の境界において、前記第1部分に配置された柄と前記第2部分に配置された柄が連続性を有する
    ことを特徴とする反物。
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