JP3201268B2 - 音声通信装置 - Google Patents

音声通信装置

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JP3201268B2
JP3201268B2 JP16939096A JP16939096A JP3201268B2 JP 3201268 B2 JP3201268 B2 JP 3201268B2 JP 16939096 A JP16939096 A JP 16939096A JP 16939096 A JP16939096 A JP 16939096A JP 3201268 B2 JP3201268 B2 JP 3201268B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は音声通信装置に係
り、特に線形予測符号化(LPC)分析・合成方式を用
いた音声通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】LPC係数と残差信号を用いたLPC分
析・合成方式の音声通信装置として、従来よりピッチ励
振型LPCボコーダが知られている。図2はこの従来の
音声通信装置としてのピッチ励振型LPCボコーダの一
例のブロック図を示す。同図中、入力音声信号は音声帯
域制限用ローパスフィルタ(LPF)21により例えば
300Hz〜3.4kHzの電話音声帯域に制限された
後、A/D変換器22に供給されて所定の標本化周波数
で標本化された、所定量子化ビット数の音声データに変
換される。
【0003】この音声データは、線形予測分析器(LP
C分析器)23に供給され、ここで公知の線形予測分析
によりkパラメータ、αパラメータ等の8ケ〜12ケ程
度のLPC係数に変換される。音源分析器24はこのL
PC係数を用いて公知の方法で残差信号を抽出し、更に
これを2乗和して音源信号(電力)を算出する。また、
上記の音声データは、ピッチ抽出器25に供給されて、
音源データのピッチ周波数(声帯振動数)が抽出され
る。以上のLPC分析器23から出力されたLPC係数
と、音源分析器24から出力された音源信号(電力)
と、ピッチ抽出器25から出力されたピッチ周波数と
は、それぞれ多重化器26に供給され、ここで多重化さ
れた後、伝送路を介して合成側へ送出される。
【0004】合成側(受信側)では入力された信号を分
離器27で上記のLPC係数、音源信号(電力)及びピ
ッチ周波数をそれぞれ分離する。パルス列発生器28は
分離器27よりのピッチ周波数に応じたインパルス列を
発生する。有声/無声判定器29は分離器27よりのピ
ッチ周波数及び電力から有声音声か無声音声かを判定
し、その判定結果をスイッチ回路31へスイッチング信
号として供給する。
【0005】スイッチ回路31は、有声音声判定時は上
記のスイッチング信号に基づき、パルス列発生器28か
らピッチ周期に対応した固定周期(固定間隔)で取り出
されたインパルス列を選択して音源復調器32へ供給
し、無声音声判定時は声帯振動が無くピッチ周波数が存
在しないため、前記ピッチ周波数に基づき固定周期的に
励振されるインパルス列の代わりに、上記のスイッチン
グ信号に基づき、雑音発生器30から取り出された白色
雑音信号に応じたランダムパルス列を選択して音源復調
器32へ供給する。
【0006】音源復調器32は、スイッチ回路からのパ
ルス列と分離器27により分離された電力とに基づいて
音源信号を復調する。LPC合成フィルタ33はこの復
調音源信号に励振され、分離器27により分離されたL
PC係数により係数が制御されてディジタル合成音声信
号を出力する。このディジタル合成音声信号は、D/A
変換器34に供給されてアナログ信号に変換された後、
LPF35により不要周波数成分が除去されて電話音声
帯域の音声信号とされて出力される。
【0007】このように、従来の音声通信装置では、有
声音声の合成に際し、音源情報を電話音声帯域(300
Hz〜3.4kHz)で一括分析し、その結果得られた
ピッチ周波数に応じた固定周期でパルス列発生器28か
らインパルス列を発生している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本来の自然音
声(有声音声)声帯振動は、一定(固定周期)ではな
く、肉声の変化に応じた時間的、周波数的揺らぎ、瞬時
変動を伴う準周期的な動作をしている。しかるに、上記
の従来の音声通信装置では、音源情報(ピッチ周波数)
を分析するにあたって、上述した肉声の周波数的揺ら
ぎ、時間的揺らぎを無視して、電話音声帯域(300H
z〜3.4kHz)を定常信号とみなし、全帯域を一括
して分析しているため、その肉声の変動に伴う時間的、
周波数的な揺らぎを表現し得ず、このため、自然性に乏
しい機械的合成音声しか生成できないという問題があ
る。
【0009】また、従来、音声信号(残差信号)の帯域
内信号を一括して有声・無声と判定しているが、帯域内
すべてが同じ状態(有声・無声)でいることは無く、周
波数帯域毎に有声・無声が混在することがある。また、
有声音声時においても、各周波数帯域毎にピッチ周期が
異なることがある。
【0010】更に、上記の従来の音声通信装置では、L
PC分析は帯域内スペクトルを一括して表現させるた
め、通常使用する8ケ〜12ケ程度のLPC係数では、
エネルギーが集中している低域周波数帯に割り当てら
れ、高域周波数帯の表現精度が不十分になるため、フォ
ルマント帯域幅の過小推定、高次(第3次)フォルマン
トの近似性に劣り、忠実なスペクトルの再現ができない
場合がある。
【0011】なお、スペクトル精度の向上を図るため、
LPC係数を増加させることも考えられるが、LPC係
数の増加は、通信情報量の増加にもつながるため、12
ケを越えるLPC係数の使用は望ましくなく、実際に狭
帯域通信を行う音声通信装置においては、12ケを越え
るLPC係数の使用は現状では困難である。
【0012】本発明は以上の点に鑑みなされたもので、
より自然性の高い音声合成が再現できる音声通信装置を
提供することを目的とする。
【0013】また、本発明の他の目的は、LPC係数を
増加させることなく、より忠実なスペクトルの再現がで
きる音声通信装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、入力音声信号の予め定めた音声帯域を第
1の分割数に分割する第1のフィルタ群と、第1のフィ
ルタ群より取り出された帯域分割音声信号のそれぞれに
ついて別々に線形予測分析して線形予測係数を出力す
、全部で第1の分割数と同じ数設けられた線形予測分
析器と、線形予測分析器から出力された分割帯域毎の線
形予測係数と、第1のフィルタ群の入力音声信号とを受
け、分割帯域毎の線形予測係数を用いて線形予測分析の
スペクトル包絡特性とは逆のフィルタ特性を付与して
差信号を抽出する逆フィルタと、予め定めた音声帯域を
第2の分割数に分割する特性を有し、逆フィルタから取
り出された残差信号を受けて第2の分割数の帯域に分割
する第2のフィルタ群と、第2のフィルタ群より取り出
された帯域分割残差信号のそれぞれについて別々に音源
信号を抽出する、全部で第2の分割数と同じ数設けられ
た音源分析器と、線形予測分析から出力された分割帯
域毎の線形予測係数と音源分析から出力された分割帯
域毎の音源信号とをそれぞれ多重化して伝送路へ出力す
る多重化器と、伝送路を経て入力された信号から分割帯
域毎の線形予測係数と分割帯域毎の音源信号とをそれぞ
れ分離する分離器と、分離器からの線形予測係数と音源
信号とから合成音声信号を再生する合成手段とを有する
ことを特徴とする。
【0015】この発明では、分割帯域のそれぞれについ
て入力音声信号を線形予測分析して線形予測係数(LP
C係数)を得るようにしたため、従来のLPC分析の欠
点といわれていたフォルマント帯域幅の過小推定、
第3フォルマントの近似性の悪さをそれぞれ改善でき、
このLPC係数を用いて逆フィルタにより高精度の残差
信号を抽出することができる。
【0016】また、本発明は、この高精度の残差信号を
更に帯域分割し、それぞれについて音源分析手段にて音
源信号を得るようにしたため、各帯域毎に混在している
有声音声/無声音声を分離し、有声音声においては各帯
域毎に最適な音源情報の抽出ができる。従って、この発
明では、個々の特性に合わせた精度の良い音源情報を抽
出することができるため、本来の人間の発声機構に忠実
な音声分析・合成ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。
【0018】図1は本発明になる音声通信装置の一実施
の形態のブロック図を示す。同図において、入力音声信
号は音声帯域制限用ローパスフィルタ(LPF)1によ
り例えば300Hz〜3.4kHzの電話音声帯域に制
限された後、A/D変換器2に供給されて所定の標本化
周波数(例えば8kHz)で標本化された、所定量子化
ビット数(例えば16ビット)の音声データに変換され
る。
【0019】この音声データは、バンドパスフィルタ群
3に供給されて1.2kHzを中心に帯域を2分割され
る。すなわち、音声データはバンドパスフィルタ群3を
構成するバンドパスフィルタ(BPF)31及び32にそ
れぞれ供給され、BPF 1から帯域が300Hz〜
1.2kHzとされて取り出される一方、BPF32
ら帯域が1.2kHz〜3.4kHzとされて取り出さ
れる。
【0020】BPF31及び32から出力された帯域分割
音声データは、分割帯域毎に対応して設けられた線形予
測分析器(LPC分析器)41及び42に供給され、公知
の線形予測分析によりkパラメータ、αパラメータ等の
LPC係数に変換された後、LPC逆フィルタ5にA/
D変換器2の出力音声データと共に入力される。ここ
で、LPC分析器41及び42によりそれぞれ得られるL
PC係数の数は4ケ〜8ケ程度で、それらLPC係数の
合計数が従来と同じ8ケ〜12ケ程度とされているた
め、LPC係数の増加はない。
【0021】LPC逆フィルタ5はA/D変換器2の出
力音声データに対し、LPC分析器41及び42からの2
つの分割帯域のLPC係数を用いて線形予測分析のスペ
クトル包絡特性とは逆のフィルタ特性を付与し、残差信
号を出力する。この残差信号は、バンドパスフィルタ群
6に供給されて1.5kHzと2.5kHzを境にして
帯域が3分割される。すなわち、残差信号は、バンドパ
スフィルタ群6を構成するBPF61、62及び63にそ
れぞれ供給され、BPF 1から300Hz〜1.5k
Hzの周波数成分が取り出され、BPF62から1.5
kHz〜2.5kHzの周波数成分が取り出され、BP
F63から2.5kHz〜3.4kHzの周波数成分が
取り出される。
【0022】BPF61、62及び63からそれぞれ取り
出された帯域分割残差信号は、分割帯域毎に対応して設
けられた音源分析器71、72及び73にそれぞれ供給さ
れ、ここで2乗和されて分割帯域毎の音源信号(電力)
として取り出される。多重化器8は、音源分析器71
2及び73からそれぞれ取り出された分割帯域毎の音源
信号(電力)と、LPC分析器41及び42からそれぞれ
取り出された2つの分割帯域のLPC係数とをそれぞれ
多重化して伝送路へ出力する。
【0023】合成側(受信側)では入力された多重化信
号を、分離器10で上記の3つの分割帯域の音源信号
(電力)と2つの分割帯域のLPC係数にそれぞれ分離
する。このうち、LPC係数はLPC補間器11に供給
され、ここで一定周期(例えば20msec)毎に入力
されるLPC係数の前回の入力値と今回の入力値とを利
用した線形補間値から、例えば5msec単位のLPC
係数に修正される(換言すると、20msec単位で変
化するLPC係数が、5msec単位で変化するLPC
係数に変換される。)。
【0024】また、分離器10により分離された分割帯
域毎の音源信号(電力)は音源復調器12に供給され、
ここで帯域毎の音源信号(電力)を補間処理して全帯域
(300Hz〜3.4kHz)のピッチ情報に復元され
る。LPC合成フィルタ13は、LPC補間器11から
出力された修正後のLPC係数をフィルタ係数とし、音
源復調器12から出力された復調後のピッチ情報を入力
エネルギーとしたディジタル合成音声データを再生す
る。
【0025】このディジタル合成音声データは、D/A
変換器14に供給されてディジタル・アナログ変換され
てアナログ信号の合成音声信号として取り出され、次段
のLPF15により不要周波数成分を除去された後、再
生合成音声信号として出力される。
【0026】このように、この実施の形態では、音声信
号帯域を2分割して得られたLPC係数を用いてLPC
逆フィルタ5により抽出した高精度の残差信号を更に3
つの帯域に分割し、それぞれについて音源分析器71
2及び73にて音源信号を得ることにより、各帯域毎に
混在している有声音声/無声音声を分離し、個々の特性
に合わせた精度の良い音源情報を抽出することができ
る。従って、本来の人間の発声機構に忠実な音声分析・
合成ができる。
【0027】なお、本発明は上記の実施の形態に限定さ
れるものではなく、例えばバンドパスフィルタ群3及び
6の各BPFの特性は固定として説明したが、入力情報
を基に中心周波数を可変することもでき、また、分割数
も2分割から4分割程度まで可能であることが実験的に
確認されている。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
分割帯域のそれぞれについて入力音声信号を線形予測分
析して線形予測係数(LPC係数)を用いて逆フィルタ
により高精度の残差信号を抽出した後、この高精度の残
差信号を更に帯域分割し、それぞれについて音源分析手
段にて音源信号を得ることにより、各帯域毎に混在して
いる有声音声/無声音声を分離するようにしたため、個
々の特性に合わせた(各周波数帯域毎に最適な)精度の
良い音源情報を抽出することができ、本来の人間の発声
機構に忠実な音声分析・合成ができ、より自然性の高い
合成音声を得ることができる。また、本発明によれば、
LPC係数を増加させることなく、より忠実なスペクト
ルの再現ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のブロック図である。
【図2】従来の一例のブロック図である。
【符号の説明】
1 音声帯域制限用ローパスフィルタ(LPF) 2 A/D変換器 3、6 パンドパスフィルタ群 31、32、61、62、63 パンドパスフィルタ(BP
F) 41、42 LPC分析器 5 LPC逆フィルタ 71、72、73 音源分析器 8 多重化器 10 分離器 11 LPC補間器 12 音源復調器 13 LPC合成フィルタ 14 D/A変換器 15 ローパスフィルタ(LPF)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04B 14/04 G10L 7/04 G

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力音声信号の予め定めた音声帯域を第
    1の分割数に分割する第1のフィルタ群と、 該第1のフィルタ群より取り出された帯域分割音声信号
    のそれぞれについて別々に線形 予測分析して線形予測係
    数を出力する、全部で前記第1の分割数と同じ数設けら
    れた線形予測分析器と、 前記線形予測分析器から出力された分割帯域毎の前記線
    形予測係数と、前記第1のフィルタ群の入力音声信号と
    を受け、該分割帯域毎の線形予測係数を用いて線形予測
    分析のスペクトル包絡特性とは逆のフィルタ特性を付与
    して残差信号を抽出する逆フィルタと、前記予め定めた音声帯域を第2の分割数に分割する特性
    を有し、前記逆フィルタから取り出された前記残差信号
    を受けて該第2の分割数の帯域に分割する第2のフィル
    タ群と、 前記第2のフィルタ群より取り出された帯域分割残差信
    号のそれぞれについて別々に音源信号を抽出する、全部
    で前記第2の分割数と同じ数設けられた音源分析器と、 前記線形予測分析から出力された分割帯域毎の前記線
    形予測係数と前記音源分析から出力された分割帯域毎
    の前記音源信号とをそれぞれ多重化して伝送路へ出力す
    る多重化器と、 前記伝送路を経て入力された信号から前記分割帯域毎の
    線形予測係数と分割帯域毎の音源信号とをそれぞれ分離
    する分離器と、 前記分離器からの前記線形予測係数と音源信号とから合
    成音声信号を再生する合成手段とを有することを特徴と
    する音声通信装置。
  2. 【請求項2】 前記合成手段は、前記分離器からの前記
    分割帯域毎の音源信号を補間処理して前記予め定めた音
    声帯域のピッチ情報を復元する音源復調器と、前記分離
    器により分離された前記線形予測係数をフィルタ係数と
    し、前記音源復調器からのピッチ情報を入力エネルギー
    として前記合成音声信号を再生する合成フィルタとを有
    することを特徴とする請求項1記載の音声通信装置。
  3. 【請求項3】 前記分離器により分離された前記分割帯
    域毎の線形予測係数を入力信号として受け、該入力信号
    の前回の値と今回の値との線形補間値から入力信号間隔
    よりも短い時間間隔で値が変化する線形予測係数に修正
    して前記合成フィルタへ前記フイルタ係数として出力す
    るLPC補間器を有することを特徴とする請求項2記載
    の音声通信装置。
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