JP3198843B2 - 減衰力可変式ショックアブソーバ - Google Patents

減衰力可変式ショックアブソーバ

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JP3198843B2 JP31706894A JP31706894A JP3198843B2 JP 3198843 B2 JP3198843 B2 JP 3198843B2 JP 31706894 A JP31706894 A JP 31706894A JP 31706894 A JP31706894 A JP 31706894A JP 3198843 B2 JP3198843 B2 JP 3198843B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は減衰力可変式ショックア
ブソーバに係り、特に内設されたスプール弁によりバイ
パス通路を流れる作動液体の流量制御を行うことにより
減衰力を可変する減衰力可変式ショックアブソーバに関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両の減衰力可変式ショック
アブソーバの一つとして、例えば特開平4−29634
号公報に開示されたものが知られている。同公報に開示
された減衰力可変式ショックアブソーバは、大略すると
シリンダ,ピストン,減衰力発生装置,バイパス通路,
弁孔,スプール弁,アクチュエータ等により構成されて
いる。ピストンは、シリンダに摺動可能にかつ液密に装
着されており、これによりシリンダ内を上室と下室に画
成する構成とされている。このピストンは一端部が車体
に接続されるピストンロッドの他端に接続されており、
またピストンのピストンロッドが挿入される端部と異な
る側の端部はサスペンションに接続されている。
【0003】また、減衰力発生装置は、シリンダに対す
るピストンの相対運動に伴い流通する作動液体(オイ
ル)に流通抵抗を付与することにより減衰力を発生する
構成とされている。またピストンには、シリンダに形成
された前記上室と下室を連通接続するバイパス通路が形
成されており、このバイパス通路の途中位置に設けられ
た弁孔には往復動可能に嵌合することによりバイパス通
路を流れるオイルの流量を制御するスプール弁が設けら
れている。このスプール弁は、アクチュエータにより往
復移動する構成とされており、アクチュエータの駆動制
御を行うことによりスプール弁の往復動、即ちバイパス
通路を流れるオイルの流量を制御しうる構成とされてい
る。
【0004】上記構成とされた減衰力可変式ショックア
ブソーバは、アクチュエータによってスプール弁の位置
が制御され、これによりバイパス通路の連通度合いが制
御されることにより、バイパス通路を経てシリンダ上室
とシリンダ下室との間を流れるオイルの流量が制御され
るため、減衰力発生装置を通過するオイルの流量が変化
され、これにより減衰力発生装置により発生する減衰力
を可変制御することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図10は、上記した従
来構成の減衰力可変式ショックアブソーバに配設される
スプール弁近傍を拡大して示す図である。同図に示され
るように、スプール弁101はピストン102の内部に
形成された挿入孔103に配設されており、アクチュエ
ータ(同図には現れず)に接続された駆動シャフトによ
り上下方向に摺動する構成とされている。また、スプー
ル弁101は、上部ランド部104と、下部ランド部1
05と、この上部ランド部104と下部ランド部105
との間に形成された流体通過溝106とが形成された構
成とされている。従来では、この上部ランド部104の
径寸法H1と下部ランド部105の径寸法H2は等しく
設定されていた(H1=H2)。
【0006】また、ピストン102には、スプール弁1
01の移動方向に対し直角方向に開口するよう形成され
たバイパスポート107と、挿入孔103のピストン1
02の位置よりも下方部分に該当する流路108とが形
成され、このバイパスポート107と流路108とによ
りバイパス通路113が形成される。アクチュエータの
動作により、スプール弁101がバイパス通路113を
開弁した状態では、オイルは図示しない減衰力発生装置
をバイパスしてバイパスポート107から流路108へ
と流れる(図10に、オイルの流れを矢印で示す)。
【0007】ここで、図11を用いてバイパスポート1
07から流路108へと流れるオイルがスプール弁10
1に作用する力について考察する。バイパスポート10
7からスプール弁101の流体通過溝106にオイルが
流入することにより、上部ランド部104と流体通過溝
106との境界部分に形成された上部傾斜壁109、及
び下部ランド部105と流体通過溝106との境界部分
に形成された下部傾斜壁110には、夫々流体通過溝1
06に流入したオイルの流体圧が印加される。いま、上
部傾斜壁109に印加される流体圧の上方成分力をFC
(以下、上方流体圧FC という)とし、下部傾斜壁11
0に印加される流体圧の下方成分力をFO (以下、下方
流体圧FO という)とする。
【0008】すると、上記のように従来構成の減衰力可
変式ショックアブソーバでは、上部ランド部104の径
寸法H1と下部ランド部105の径寸法H2は等しく設
定されていた(H1=H2)ため、流体通過溝106に
流入したオイルの受圧面積は等しくなる。また、スプー
ル弁101がある程度閉弁した状態では、スプール弁1
01に形成された下部ランド部105の絞り部112と
ピストン102に形成されたくびれ部111とにより形
成される間隙部13における圧力が上昇する。
【0009】ここで、下部傾斜壁110では絞り縮流部
近傍の圧力が低下するため、その低下分だけ反対側の面
である上部傾斜壁109に作用する圧力が大きくなり
(FC>FO )、よって上記したオイルの流体力の作用
によりスプール弁101は閉弁方向(上方向)に付勢さ
れることとなる。この閉弁方向に作用する流体力は、ピ
ストンロッドを介してアクチュエータに作用し、スプー
ル弁101の作動操作が不正確となるおそれがある。具
体的には、アクチュエータとしてステップモータを用い
た場合を例に取ると、上記流体力によりステップモータ
の脱調,零点ずれが発生するおそれがあり、また流体力
に抗してスプール弁101を動作させるためにはステッ
プモータの容量を大型化する必要が生じてしまう。
【0010】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、スプール弁を構成する上部ランド部の径寸法を下
部ランド部の径寸法に対して小さく設定しスプール弁に
作用する流体力を上下方向に均衡させることにより、ス
プール弁を精度よく作動させうる構成とした減衰力可変
式ショックアブソーバを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では下記の手段を講じたことを特徴とするも
のである。請求項1記載の発明では、作動液体が封入さ
れたシリンダ内に液密に摺動可能な状態で配設されるこ
とにより前記シリンダを上室と下室に画成すると共に、
接続されたピストンロッドに付勢されて前記シリンダ内
を上下に摺動する構成とされたピストンと、前記ピスト
ン内に減衰力を発生させるために設けられており、前記
上室と下室とを連通する主通路と、前記ピストンの動作
に伴い前記主通路を開閉する弁体とにより構成される減
衰力発生機構と、前記主通路を流れる前記作動液体を前
記シリンダ内にバイパスするバイパス通路と、前記ピス
トン内に形成された挿入孔に液密に摺動可能な状態で配
設されると共に、駆動装置により付勢されて前記挿入孔
内を上下に摺動することにより前記バイパス通路を流れ
る作動液体の流量を制御するスプール弁とを設けた構成
とされており、前記スプール弁に、上部ランド部と、下
部ランド部と、前記上部ランド部と下部ランド部との間
に形成された流体通過溝とを構成し、かつ、前記上部ラ
ンド部の径寸法を前記下部ランド部の径寸法よりも小さ
く設定したことを特徴とするものである。
【0012】また、請求項2記載の発明では、上記の請
求項1記載の減衰力可変式ショックアブソーバにおい
て、前記挿入孔の径寸法を少なくとも前記スプール弁と
対向する範囲において均一径とすると共に、前記挿入孔
の前記上部ランド部と対向する内周位置に、外周面が前
記挿入孔の内壁と当接し、かつ内周面が前記スプール弁
と液密に摺接する円筒形状のスペーサを配設したことを
特徴とするものである。
【0013】
【0014】
【作用】請求項1記載の発明によれば、スプール弁に形
成された上部ランド部の径寸法を下部ランド部の径寸法
よりも小さく設定したことにより、流体通過溝と上部ラ
ンド部との境界部に形成される壁面(上部壁面)の面積
は、流体通過溝と下部ランド部との境界部に形成される
壁面(下部壁面)の面積に対し小さくなる。
【0015】上部壁面及び下部壁面は作動液体の上下方
向に対する受圧面となり、かつ流体通過溝内における作
動液体の内圧は等しいため、上部壁面に上方向に作用す
る液体圧は下部壁面に下方向に作用する液体圧に対して
小さくなる。よって、スプール弁がある程度閉弁した状
態となり、下部壁面と挿入孔内壁との間に形成される間
隙部を流れる流体圧力が低下したとしても、上記のよう
に上部壁面に作用する液体圧は小さいため、スプール弁
を上方に付勢しようとする流体圧と、スプール弁を下方
に付勢しようとする流体圧は均衡し、結果としてスプー
ル弁に作用する流体圧の影響を低減することができる。
【0016】また、請求項2記載の発明によれば、挿入
孔の径寸法を均一径とすることができるため、挿入孔の
形成を容易に行うことができる。また、挿入孔の上部ラ
ンド部と対向する内周位置に、外周面が挿入孔の内壁と
当接しかつ内周面がスプール弁と液密に摺接する円筒形
状のスペーサを配設することにより、挿入孔の径寸法を
均一径としつつ、上部ランド部の径寸法を下部ランド部
の径寸法よりも小さく設定することが可能となる。
【0017】
【0018】
【実施例】次に本発明の実施例について図面と共に説明
する。図1はツインチューブ式ショックアブソーバとし
て構成された本発明によるショックアブソーバの第1実
施例の要部を示す縦断面図、図2は図1に示された第1
実施例のピストンの要部をスプール弁が全開位置にある
状態にて示す拡大部分縦断面図、図3は図1及び図2に
示された第1実施例のスプール弁を全開位置にて示す拡
大部分縦断面図である。
【0019】図1に於て、10及び12は軸線14に沿
って同心に延在するインナシリンダ及びアウタシリンダ
を示しており、これらのシリンダの両端は図には示され
ていないエンドキャップにより閉じられている。シリン
ダ10,12及びエンドキャップは互いに共働して環状
室16を形成している。インナシリンダ10内には軸線
14に沿って往復動可能にピストン18が配置されてい
る。ピストン18はインナシリンダ10の内部をシリン
ダ上室20とシリンダ下室22とに分離するピストン本
体24と、該本体24に一体的に連結され上端のエンド
キャップを貫通して軸線14に沿って延在するピストン
ロッド26とよりなっている。ピストン本体24はナッ
ト28によりピストンロッド26の先端部に固定されて
おり、ピストン本体24には周知の構造を有する伸び行
程用の減衰力発生装置(逆止弁30及び減衰力発生弁3
2、図2参照)が設けられている。
【0020】尚図1には示されていないが、インナシリ
ンダ10内の下方部にはそれ自身周知の構造を有するベ
ースバルブ組立体が設けられており、該ベースバルブ組
立体には伸び行程用の減衰力発生装置と同様の縮み行程
用減衰力発生装置が設けられている。またシリンダ上室
20、シリンダ下室22、環状室16の一部には作動液
体としてのオイル34が充填されており、環状室16の
上方部分には高圧ガスが封入されている。また図1には
示されていないが、ピストンロッド26の上端はばね上
としての車体に連結され、アウタシリンダ12又は下端
のエンドキャップは図には示されていないばね下として
のサスペンション部材に連結されるようになっている。
【0021】図2に示されている如く、ピストンロッド
26は軸線14に沿って延在する中空孔40を有するロ
ッド部材42を含んでいる。ロッド部材42の下端には
弁ハウジング44がねじ込みにより固定されており、中
空孔40内にはアクチュエータ46が収容されている。
図示の実施例に於てはアクチュエータ46はステップモ
ータ48とボールねじ装置50とを含み、ボールねじ装
置はステップモータ48の回転運動をシャフト52の往
復運動に変換する運動変換装置として機能するようにな
っている。
【0022】弁ハウジング44はロッド部44aを有
し、このロッド部44aはロッド部材42の下端より下
方へ軸線14に沿って突出している。ナット28はロッ
ド部44aの下端にねじ込みにより固定されている。ロ
ッド部44aは軸線14に沿って延在する中空孔54を
有し、この中空孔54の上方部分はスプール弁56を軸
線14に沿って往復動可能に挿入する挿入孔58を形成
している。ピストン本体24と弁ハウジング44との間
にはストッパ60、スペーサ62、バイパス装置64が
ロッド部44aに嵌合する状態にて固定されている。
【0023】バイパス装置64はハウジング66とリン
グ部材68とエンドキャップ70とを含み、これらの部
材は互いに共働して軸線14の周りに環状に延在する内
部空間72を形成している。ハウジング66には内部空
間72と連通し径方向に延在する複数個の溝74が設け
られており、またその端壁には図にて上下方向に延在す
る複数個の通路76が設けられている。エンドキャップ
70には図にて上下方向に延在する複数個の通路78が
設けられている。リング部材68はハウジング66と共
働して溝74と連通する環状ポート80を形成してい
る。弁ハウジング44のロッド部44aには一端が環状
ポート80と連通すると共に他端が挿入孔58に開口す
るバイパスポート84とが設けられている。
【0024】ハウジング66の端壁及びエンドキャップ
70にはそれぞれそれらの上面に当接して逆止弁86及
び88が設けられている。逆止弁86は内部空間72及
び溝74よりシリンダ上室20へ向うオイルの流れのみ
を許すようになっており、逆止弁88はシリンダ上室2
0より内部空間72及び溝74へ向うオイルの流れのみ
を許すようになっている。
【0025】図3に拡大して示すように、スプール弁5
6は弁ハウジング44のロッド部44aに形成された挿
入孔58内に、液密状態を維持しつつ上下方向に摺動可
能な構成で挿入されている。また、スプール弁56の上
端部にはボールねじ装置50のシャフト52が一体的に
接続されている。従って、アクチュエータ46を構成す
るステップモータ48が回動し、この回動力をボールね
じ装置50がシャフト52の上下方向移動に変換するこ
とにより、スプール弁56は挿入孔58内を上下方向に
往復動する。
【0026】スプール弁56は、上部ランド部90と、
下部ランド部92と、この上部ランド部90と下部ラン
ド部92との間に形成された流体通過溝94とが形成さ
れた構成とされている。本発明では、この上部ランド部
90の径寸法H1を下部ランド部92の径寸法H2に対
して小さく設定したことを特徴とするものである(H1
<H2)。尚、説明の便宜上、この構成についての作用
効果については後に詳述するものとする。
【0027】また、上記のように、上部ランド部90の
径寸法H1が下部ランド部92の径寸法H2に対して小
さいことにより、挿入孔58の上部ランド部90と対向
する部分には環状突出部96が形成されており、よって
上部ランド部90の径寸法H1が小さくても上部ランド
部90は挿入孔58内を液密状態を維持しつつ上下方向
に往復動しうる構成となっている。
【0028】上記構成とされたスプール弁56は、アク
チュエータ46の動作により上動し、下部ランド部92
がロッド部44aに形成された弁座部97(バイパスポ
ート84の下部位置に形成されている)と対向した状態
で、バイパスポート84と中空孔54との連通を閉塞す
る。また、スプール弁56が下動することにより下部ラ
ンド部92は弁座部97から離間し、バイパスポート8
4と中空孔54とは連通された状態となる。
【0029】上記した構成において、通路76,通路7
8,内部空間72,溝74,環状ポート80,及びバイ
パスポート84は、協働して挿入孔58とシリンダ上室
20とを連通させる第1のバイパス通路部を形成する。
また、中空孔54は、挿入孔58とシリンダ下室22と
を連通させる第2のバイパス通路部を形成する。そし
て、スプール弁56はこの第1のバイパス通路部と第2
のバイパス通路部との間に配設された構成とされてお
り、よって第1のバイパス通路部と第2のバイパス通路
部とにより構成されるバイパス通路を流れるオイルの流
量は、スプール弁56の弁開度に応じて可変制御しうる
構成とされている。
【0030】図示の実施例の作動に於ては、ピストンの
伸び行程に於てはシリンダ下室22内の圧力がシリンダ
上室20及び環状室16内の圧力よりも低くなることに
よりシリンダ上室及び環状室内のオイルの一部がシリン
ダ下室へ流通し、その際にピストンに設けられた伸び行
程用の減衰力発生装置及び30及び32によりオイルに
対し流通抵抗が与えられ、これにより減衰力が発生され
る。
【0031】同様にピストンの縮み行程に於てはシリン
ダ下室22内の圧力がシリンダ上室20及び環状室16
内の圧力よりも高くなることによりシリンダ下室内のオ
イルの一部がシリンダ上室及び環状室へ流通し、その際
にベースバルブ組立体に設けられた縮み行程用の減衰力
発生装置によりオイルに対し流通抵抗が与えられ、これ
により減衰力が発生される。
【0032】またピストンの伸び行程及び縮み行程の何
れに於ても、スプール弁56が全閉位置にあるときには
バイパス通路が遮断された状態にあるので、オイルがバ
イパス通路を経てシリンダ上室20とシリンダ下室22
との間を流通することがなく、必ずピストン18に設け
られた減衰力発生装置30,32及びベースバルブ組立
体に設けられた減衰力発生装置を通過し、これらの減衰
力発生装置により高い減衰力が発生され、これによりシ
ョックアブソーバは所謂ハードモードにて作動する。
【0033】これに対しステップモータ48のコイルに
通電がされてスプール弁56が図3に示された全開位置
又は全閉位置と全開位置との間の中間位置に切換えられ
ると、バイパス通路は相互に連通された状態になるの
で、シリンダ上室20及びシリンダ下室22内のオイル
の一部がバイパス通路を経て相互に流通し、減衰力発生
装置30,32により発生される減衰力が低減され、こ
れによりショックアブソーバはスプール弁の開弁位置に
応じて所謂ソフトモード又はソフトモードとハードモー
ドとの間の中間モードにて作動する。
【0034】続いて、上記した上部ランド部90の径寸
法H1を下部ランド部92の径寸法H2に対して小さく
設定した(H1<H2)ことによる作用効果について、
図3及び図4を用いて説明する。上記のように、スプー
ル弁56に形成された上部ランド部90の径寸法H1を
下部ランド部92の径寸法H2よりも小さく設定したこ
とにより、流体通過溝94と上部ランド部90との境界
部に形成される壁面91(以下、上部壁面91という)
の面積は、流体通過溝94と下部ランド部92との境界
部に形成される壁面93(以下、下部壁面93という)
の面積に対し小さくなる。
【0035】上部壁面91及び下部壁面93はオイルの
上下方向に対する受圧面となり、かつ流体通過溝94内
におけるオイルの内圧は等しいため、上部壁面91に上
方向に作用する液体圧Fc1は下部壁面93に下方向に作
用する液体圧FO に対して小さくなる。これを更に詳述
すれば、オイルによるスプール弁56を上方向に付勢す
る総力をFc とすると、この上方付勢総力Fc は、上部
壁面91を上方向に押圧しようとする液体圧Fc1と、環
状突出部96の下端面を上方向に押圧しようとする液体
圧Fc2との合力となる(Fc =Fc1+Fc2)。しかる
に、環状突出部96はハウジング44に一体的に形成さ
れた構成物であるため、環状突出部96の下端面を上方
向に押圧しようとする液体圧Fc2はスプール弁56に作
用しない。このため、上部壁面91に上方向に作用する
液体圧Fc1は、下部壁面93に下方向に作用する液体圧
O に対して小さくなる。
【0036】よって、スプール弁56がある程度閉弁し
た状態となり、下部ランド部92と弁座部97との間に
形成される間隙部を流れる流体圧力が低下したとして
も、上記のように上部壁面91に作用する液体圧Fc1
小さいため、スプール弁56を上方に付勢しようとする
流体圧Fc1と、スプール弁56を下方に付勢しようとす
る流体圧FO は略均衡(Fc1≒FO )し、結果としてス
プール弁56に作用する流体圧の影響を低減することが
できる。
【0037】これにより、アクチュエータ46を構成す
るステップモータ48の脱調,零点ずれの発生を防止す
ることができる。また、流体力に抗してスプール弁56
を動作させるためにステップモータ48の容量を大型化
する必要もなくなるため、減衰力可変式ショックアブソ
ーバの小型化及び小電力化を図ることができる。図5及
び図6は、本発明の第2実施例である減衰力可変式ショ
ックアブソーバのスプール弁近傍を拡大して示してい
る。尚、本実施例において、図1乃至図4を用いて説明
した第1実施例に係る減衰力可変式ショックアブソーバ
と同一構成については同一符号を付してその説明を省略
する。
【0038】本実施例においても、スプール弁56は、
上部ランド部90の径寸法H1を下部ランド部92の径
寸法H2に対して小さく設定した(H1<H2)構成と
されている。しかるに、前記した第1実施例では上部ラ
ンド部90が挿入孔58内で液密に往復動を行うため
に、挿入孔58の内部に環状突出部96をハウジング4
4と一体的に形成した構成とされていた。
【0039】しかるに、ハウジング44に形成された筒
状のロッド部44a内に、スプール弁56と液密となる
よう高精度に径寸法の異なる挿入孔58及び環状突出部
96を形成するのは面倒な作業となる。そこで、本実施
例では、挿入孔58の径寸法はスプール弁56と対向す
る範囲において均一径とすると共に、挿入孔58の上部
ランド部90と対向する内周位置にスペーサ98を配設
したことを特徴とするものである。このスペーサ98は
円筒形状とされており、その外周面は挿入孔58の内壁
と嵌合し、かつ内周面は前記スプール弁56の上部ラン
ド部90と液密に摺接する構成とされている。このスペ
ーサ98は、例えば挿入孔58内に圧入することにより
固定される。
【0040】本実施例の構成によれば、挿入孔58の径
寸法を均一径とすることができるため、挿入孔58の形
成を容易かつ精度よく行うことができる。また、スペー
サ98も環状形状を有したパイプ状部材であるため、容
易にかつ精度よく形成することができる。尚、本実施例
の構成としても、図6に示されるように、オイルによる
スプール弁56を上方向に付勢する上方付勢総力Fc
一部は、スペーサ98を上方に付勢する力Fc2として作
用する。このため、第1実施例で説明したと同様の理由
により、上部壁面91に上方向に作用する液体圧F
c1は、下部壁面93に下方向に作用する液体圧FO に対
して小さくなる。
【0041】よって、スプール弁56がある程度閉弁し
た状態となり、下部ランド部92と弁座部97との間に
形成される間隙部を流れる流体圧力が低下したとして
も、スプール弁56を上方に付勢しようとする流体圧F
c1と、スプール弁56を下方に付勢しようとする流体圧
O とを略均衡(Fc1≒FO )させることができ、スプ
ール弁56に作用する流体圧の影響を低減することがで
きる。
【0042】図7は、本発明の第3実施例である減衰力
可変式ショックアブソーバのスプール弁近傍を拡大して
示している。尚、本実施例において、図1乃至図6を用
いて説明した第1及び第2実施例に係る減衰力可変式シ
ョックアブソーバと同一構成については同一符号を付し
てその説明を省略する。前記した第2実施例に係る減衰
力可変式ショックアブソーバは、挿入孔58の径寸法を
均一化するために筒形状のスペーサ98を挿入孔58の
内部に配設した構成とした。
【0043】しかるに、単にスペーサ98が筒形状の場
合には、スペーサ98の材質とハウジング44の材料の
熱膨張差や、或いは大きな衝撃等が印加された場合に、
スペーサ98が挿入孔58内で変位するおそれがあり、
最悪の場合にはバイパスポート84を塞いでしまうおそ
れがある。そこで、本実施例においては、スペーサ99
の上部に鍔状のフランジ部99aを形成し、このフラン
ジ部99aがハウジング44の上面とステップモータ4
8のハウジング下面との間に挟持されることによりスペ
ーサ99を固定する構成とした。この構成とすることに
より、スペーサ99の挿入孔58内における変位発生を
確実に防止することができ、上記した不都合を防止する
ことができる。
【0044】図8及び図9は、参考例である減衰力可変
式ショックアブソーバのスプール弁近傍を拡大して示し
ている。尚、本参考例において、図1乃至図7を用いて
説明した第1乃至第3実施例に係る減衰力可変式ショッ
クアブソーバと同一構成については同一符号を付してそ
の説明を省略する。本参考例に係るスプール弁57は、
上部ランド部81,中部ランド部83,下部ランド部8
5,及び上部ランド部81と中部ランド部83との間に
形成された流体通過溝94とを形成した構成とされてい
る。また、本参考例においては上部ランド部81の径寸
法H1と中部ランド部83の径寸法H2は等しい径寸法
とされている(H1=H2)。更に、下部ランド部85
は中部ランド部83の下部に設けられた柱部87により
中部ランド部83から所定距離下方に離間した位置に配
設されている。
【0045】この下部ランド部85は、中部ランド部8
3と対向する側に受液面85aを形成している。この受
液面85aは、弁座部97と中部ランド部83との間隙
部分を通過したオイルが流れる流れ軌跡上に位置するよ
う構成されている。この受液面85aの位置は、挿入孔
58の内壁に形成されたテーパ状の案内部89及び上記
柱部87の長さにより決定される。
【0046】また、弁座部97と中部ランド部83との
間隙部分を通過したオイルには、コアンダ効果が作用
し、よって挿入孔58の内壁に沿った流れ軌跡を形成す
る。よって、受液面85aの位置設定においては、この
コアンダ効果を考慮して設定されている。続いて、スプ
ール弁57を上記構成とした時の作用効果について図9
を用いて説明する。
【0047】先ず、前記したようにスプール弁57に形
成された上部ランド部81の径寸法H1と中部ランド部
83の径寸法H2を等しくしたことにより、挿入孔58
の径寸法を均一化できるため挿入孔58の形成を容易に
行うことができる。また、第2及び第3実施例と異なり
スペーサ98,99も不要となるため、部品点数の削減
を図ることができる。
【0048】また、上記構成とすることにより、弁座部
97と中部ランド部83との間隙部分を通過したオイル
は下部ランド部85に形成された受液面85aに当接
し、受液面85aを下方に向けて付勢する付勢力を発生
させる。いま、オイルが受液面85aを下方に向けて付
勢する流体圧をFO2とすると、この流体圧をFO2は受液
面85aの面積を可変させることにより調整することが
可能である。
【0049】ここで、オイルが受液面85aを下方に向
けて付勢する流体圧をFO2, オイルが上部ランド部81
を上方に向けて付勢する流体圧をFC とすると、本実施
例においては、受液面85aの面積をFC ≒FO1+FO2
が成立する面積に設定されている。よって、スプール弁
57がある程度閉弁した状態となり、中部ランド部83
と弁座部97との間に形成される間隙部を流れる流体圧
力が低下したとしても、スプール弁57を上方に向け移
動させようとする流体圧FC と、スプール弁57を下方
に向け移動させようとする流体圧(FO1+FO2)は略均
衡(FC ≒FO1+F O2)し、結果としてスプール弁57
に作用する流体圧の影響を低減することができる。
【0050】これにより、本参考例においても、アクチ
ュエータ46を構成するステップモータ48の脱調,零
点ずれの発生を防止することができる。また、流体力に
抗してスプール弁57を動作させるためにステップモー
タ48の容量を大型化する必要もなくなるため、減衰力
可変式ショックアブソーバの小型化及び小電力化を図る
ことができる。
【0051】尚、上記した各実施例の説明に用いて各図
において、実線で示す矢印は作動流体の流れを示してい
る。
【0052】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、下記の種々
の効果を実現することができる。請求項1記載の発明に
よれば、スプール弁がある程度閉弁した状態となり、下
部壁面と挿入孔内壁との間に形成される間隙部を流れる
流体圧力が低下したとしても、上記のように上部壁面に
作用する液体圧は小さいため、スプール弁を上方に付勢
しようとする流体圧と、スプール弁を下方に付勢しよう
とする流体圧は均衡し、結果としてスプール弁に作用す
る流体圧の影響を低減することができる。
【0053】また、請求項2記載の発明によれば、挿入
孔の径寸法を均一径とすることができるため、挿入孔の
形成を容易に行うことができる。また、挿入孔の径寸法
を均一径としつつ、上部ランド部の径寸法を下部ランド
部の径寸法よりも小さく設定することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である減衰力可変式ショッ
クアブソーバの断面図である。
【図2】本発明の第1実施例である減衰力可変式ショッ
クアブソーバのピストン近傍を拡大して示す断面図であ
る。
【図3】本発明の第1実施例である減衰力可変式ショッ
クアブソーバのスプール弁近傍を拡大して示す断面図で
ある。
【図4】本発明の第1実施例である減衰力可変式ショッ
クアブソーバのスプール弁に作用する液体圧の関係を説
明するための図である。
【図5】本発明の第2実施例である減衰力可変式ショッ
クアブソーバのスプール弁近傍を拡大して示す断面図で
ある。
【図6】本発明の第2実施例である減衰力可変式ショッ
クアブソーバのスプール弁に作用する液体圧の関係を説
明するための図である。
【図7】本発明の第3実施例である減衰力可変式ショッ
クアブソーバのスプール弁近傍を拡大して示す断面図で
ある。
【図8】参考例である減衰力可変式ショックアブソーバ
のスプール弁近傍を拡大して示す断面図である。
【図9】参考例である減衰力可変式ショックアブソーバ
のスプール弁に作用する液体圧の関係を説明するための
図である。
【図10】従来の減衰力可変式ショックアブソーバのス
プール弁近傍を拡大して示す断面図である。
【図11】従来の減衰力可変式ショックアブソーバのス
プール弁に作用する液体圧の関係を説明するための図で
ある。
【符号の説明】
18 ピストン 20 シリンダ上室 22 シリンダ下室 24 ピストン本体 26 ピストンロッド 30 逆止弁(減衰力発生装置) 32 減衰力発生弁(減衰力発生装置) 34 作動液(オイル) 44 ハウジング 44a ロッド部 46 アクチュエータ 48 ステップモータ 50 ボールねじ装置 52 シャフト 56 スプール弁 58 挿入孔 76,77 通路 80 環状ポート 84 バイパスポート 90 上部ランド部 91 上部壁面 92 下部ランド部 93 下部壁面 94 流体通過溝 96 環状突出部 97 弁座部 98,99 スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 9/34 F16F 9/46 B60G 17/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動液体が封入されたシリンダ内に液密
    に摺動可能な状態で配設されることにより前記シリンダ
    を上室と下室に画成すると共に、接続されたピストンロ
    ッドに付勢されて前記シリンダ内を上下に摺動する構成
    とされたピストンと、 前記ピストン内に減衰力を発生させるために設けられて
    おり、前記上室と下室とを連通する主通路と、前記ピス
    トンの動作に伴い前記主通路を開閉する弁体とにより構
    成される減衰力発生機構と、 前記主通路を流れる前記作動液体を前記シリンダ内にバ
    イパスするバイパス通路と、 前記ピストン内に形成された挿入孔に液密に摺動可能な
    状態で配設されると共に、駆動装置により付勢されて前
    記挿入孔内を上下に摺動することにより前記バイパス通
    路を流れる作動液体の流量を制御するスプール弁とを設
    けた構成とされており、 前記スプール弁に、上部ランド部と、下部ランド部と、
    前記上部ランド部と下部ランド部との間に形成された流
    体通過溝とを形成し、 かつ、前記上部ランド部の径寸法を前記下部ランド部の
    径寸法よりも小さく設定したことを特徴とする減衰力可
    変式ショックアブソーバ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の減衰力可変式ショックア
    ブソーバにおいて、 前記挿入孔の径寸法を少なくとも前記スプール弁と対向
    する範囲において均一径とすると共に、 前記挿入孔の前記上部ランド部と対向する内周位置に、
    外周面が前記挿入孔の内壁と当接し、かつ内周面が前記
    スプール弁と液密に摺接する円筒形状のスペーサを配設
    したことを特徴とする減衰力可変式ショックアブソー
    バ。
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