JP3198390B2 - 経粘膜用製剤 - Google Patents

経粘膜用製剤

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JP3198390B2
JP3198390B2 JP22025091A JP22025091A JP3198390B2 JP 3198390 B2 JP3198390 B2 JP 3198390B2 JP 22025091 A JP22025091 A JP 22025091A JP 22025091 A JP22025091 A JP 22025091A JP 3198390 B2 JP3198390 B2 JP 3198390B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生理活性を有するペプ
チドまたは蛋白質と易熱性エンテロトキシンBサブユニ
ット(以下、LTBと略称)とを含有する経粘膜用製剤、
とりわけ経鼻投与用製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、親水性が強く油水分配率の小さい
医薬化合物は消化管から吸収されないか、極めて吸収さ
れ難いことが知られている。生理活性を有するペプチド
および蛋白質は一般に親水性が強く油水分配率が小さい
ばかりでなく、消化管内あるいは消化管壁の酵素により
加水分解をうけるため、消化管からの吸収はきわめて困
難である。したがって十分な薬効を期待するためには、
これら生理活性を有するペプチドおよび蛋白質の投与は
注射剤投与に限られていた。しかし注射による投与は専
門家に限られる上に、被投与者に疼痛を伴うので、殊に
連続投与時においては、より簡便で適用し易い製剤が望
まれる。一方、LTBは毒素原性大腸菌の産生する易熱
性エンテロトキシン(LT)の無毒成分(Bサブユニット)
で、103のアミノ酸残基からなる分子量11500の
単純蛋白で、コレラトキシンBサブユニット(CTB)と
アミノ酸レベルで83%の相同性を示すものである。最
近、CTやCTのBサブユニットは腸管や呼吸器の粘膜
においてアジュバント作用を発揮することが明らかにさ
れた。すなわち、CTやCTBには、他の抗原を粘膜内
に侵入しやすくし、さらに粘膜局所の免疫系の感作初期
の反応を増強する作用のあることが示唆された。かかる
作用は同様にLTBにおいても推察され、医薬への応用
が期待される。即ちLTBと共存する医薬としての生理
活性物質の粘膜からの透過性を補助し、薬理効果を高め
る補助剤としての応用が期待される。
【0003】
【発明が解決すべき課題】消化管吸収が困難な生理活性
ペプチドまたは蛋白質を患者にとう痛を与えることな
く、簡便に投与し得る製剤を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、LTBの
上記、粘膜における作用に着目し、かかる消化管吸収性
に乏しい生理活性を有するペプチドおよび蛋白質の薬理
効果を有効に発揮させるべく、バイオアベイラビリティ
を改善する製剤について鋭意研究した結果、該生理活性
ペプチドまたは生理活性蛋白質とLTBとを併用するこ
とにより、経鼻投与において該生理活性ペプチドおよび
生理活性蛋白質の吸収が著しく増大することを見出し、
これに基づいてさらに研究した結果本発明を完成した。
本発明は、生理活性を有するペプチドまたは生理活性を
有する蛋白質とLTBとを含有する経粘膜用製剤であ
る。
【0005】本発明で用いられる生理活性ペプチドおよ
び生理活性蛋白質としては、2以上のアミノ酸残基から
構成されるペプチドが挙げられ、糖が配位していてもよ
い。該生理活性ペプチドおよび生理活性蛋白質は、親水
性が強く油水分配率の小さいものが挙げられる。さらに
詳しくはオクタノール−水間の油水分配率が約0.1以
下のものが挙げられる。該生理活性ペプチドおよび生理
活性蛋白質としては、分子量約200〜60000のも
のが好ましい。このような生理活性ペプチドおよび蛋白
質としては、ホルモン、鎮痛物質、リンホカイン、血球
作用因子、酵素、神経伝達因子、 成長因子などが挙げら
れる。該生理活性ペプチドの具体例として、たとえば、
ホルモンとしては、L−ピログルタミル−L−ヒスチジ
ル−L−プロリンアミド(サイロトロピン・リリージン
グ・ホルモン;以下、「TRH」と略称する。)または
これらの塩、特に酒石酸塩(特開昭50−121273
号公報参照)や、式(I)
【化1】 〔式中、Aは水素,炭素数1〜6程度の低級アルキル,ア
ルキル部の炭素数が1〜6程度のフェニル低級アルキル
などのアラルキル,アルコキシ部およびアルキル部の炭
素数がともに1〜6程度である低級アルコキシ低級アル
キル,炭素数1〜6程度のハイドロキシ低級アルキルま
たは炭素数1〜6程度の低級アルコキシを示す。Rは
【化2】 を示し、Xは−CH2−,−CH2CH2−または−S−を
示す。Rおよびその他の構成アミノ酸残基の各々は、L
体,D体またはラセミ体のいずれであってもよい。〕ま
たはその塩(特開昭52−116465号公報参照)で表
わされるペプチドが挙げられる。なお、本明細書におい
ては、上記式(I)で表わされる化合物中、下 式
【化3】 で表わされる化合物を「DN−1417」と称する。
【0006】さらに、該生理活性ペプチドとしては、黄
体形成ホルモン放出ホルモン(以下、「LH−RH」と
略称する。),またはこれと同様の作用を有する同族体で
あって、式(II) (Pyr)Glu-R1-Trp-Ser-R2-R3-R4-Arg-Pro-R5 (II) (配列番号1) 〔R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2−Phe,R2はTy
rまたはPhe,R3はGlyまたはD型のアミノ酸残基,R4
はLeu,IleまたはNle,R5はGly−NH−R6(R6はH
または水酸基を有しまたは有しない炭素数1〜6程度の
低級アルキル基)またはNH−R6(R6は前記と同意義)
を示す。〕で表わされるペプチドまたはその塩が挙げら
れる〔米国特許第3,853,837,同第4,008,2
09,同第3, 972,859,英国特許第1,423,0
83,プロシーディングス・オブ・ザ・ ナショナル・ア
カデミー・オブ・サイエンス(Proceedings of the Nati
onalAcademy of Sciences of the United States of A
merica)第78巻第6509〜6512頁(1981年)
参照〕。
【0007】上記式(II)において、R3で示されるD型
のアミノ酸残基としては、たとえば炭素数が9までのα
−D−アミノ酸(例、D−Leu,Ile,Nle,Val,Nval,
Abu,Phe,Phg,Ser,Thr,Met,Ala,Trp,α−Aibu
などがあげられ、 それらは適宜保護基(例、t−ブチル,t
−ブトキシ,t−ブトキシカルボニルなど)を有していて
もよい。勿論ペプチド(II)の酸塩,金属錯体化合物もペ
プチド(II)と同様に使用しうる。式(II)で表わされるペ
プチドにおけるアミノ酸,ペプチド,保護基等に関し、略
号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on
Biological Nomenclatureによる略号あるいは当該分野
における慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に
関し光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければ
L体を示すものとする。なお、本明細書においては、上
記(II)式においてR1=His,R2=Tyr,R3=D−Le
u,R4=Leu,R5=NHCH2−CH3であるペプチド
を「TAP−144」と称する。また、さらにホルモン
活性を有する生理活性ペプチドおよび生理活性蛋白質と
しては、たとえばインスリン,ソマトスタチン,成長ホル
モン,プロラクチン,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),
メラノサイト刺激ホルモン(MSH),甲状腺刺激ホルモ
ン(TSH),黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン
(FSH),バソプレシン,バソプレシン誘導体{デスモプ
レシン〔日本内分泌学会雑誌,第54巻第5号第676
〜691頁(1978)〕参照},オキシトシン,カルシト
ニン,副甲状腺ホルモン,グルカゴン,ガストリン,セクレ
チン,パンクレオザイミン,コレシストキニン,アンジオ
テンシン,ヒト胎盤ラクトーゲン,ヒト絨毛性ゴナドトロ
ピン(HCG),セルレイン,モチリンなどが挙げられ
る。鎮痛物質としては、エンケファリン,エンケファリ
ン誘導体〔米国特許第4277394号,ヨーロッパ特
許出願公開第31567号公報参照〕,エンドルフィン,
ディノルフィン,キョウトルフィンなどが挙げられる。
リンホカインとしては、インターフエロン(α型,β型,
γ型),インターロイキン類(IL−1,−2,−3,−4,
−5,−6,−7,−8,−9,−10,−11など)な
どが挙げられる。血球作用因子としては、顆粒球コロニ
ー刺激因子,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子,マ
クロファージコロニー刺激因子,エリスロポイエチン,サ
イモポイエチン,サイモシンなどが挙げられる。酵素と
しては、ウロキナーゼ,ティッシュ・プラスミノーゲン
・アクチベータ,カリクレインなどが挙げられる。神経
伝達物質としては、ボムベシン,ニュウロテンシン,ブラ
デイキニン,サブスタンスPなどが挙げられる。成長因
子としては、神経成長因子,上皮細胞増殖因子,塩基性繊
維芽細胞増殖因子などが挙げられる。
【0008】本発明で用いられるLTBとしては、毒素
原性大腸菌の産生する易熱性エンテロトキシン(LT)の
無毒成分(Bサブユニット)で、103アミノ酸残基から
成る分子量11500の単純蛋白で、コレラトキシンB
サブユニット(CTB)とアミノ酸レベルで83%相同性
を示すものである。より詳しくは、易熱性エンテロトキ
シン(LT)は、下痢原因菌である毒素原性大腸菌の産生
するエンテロトキシンの一種である。毒素原性大腸菌の
産生するLTには、家畜の下痢の原因となる菌の産生す
るLTpとヒトの下痢原因菌の産生するLThとが知ら
れている〔Honda, T. ら、インフェクション・アンド・
イムノロジー(Infect.Immun.),34,337(198
1);Tsuji, T. ら、インフェクション・アンド・イム
ノロジー,38,444 (1982);Geary, S. J.
ら、インフェクション・アンド・イムノロジー,36,2
15(1982)〕。
【0009】LTは分子量28,000のAサブユニッ
トと、分子量11,500のBサブユニットから構成さ
れ〔Clements, J. D. & Finkelstein, R. A.,インフェ
クション・アンド・イムノロジー,24, 760(19
79)〕、LT1分子は1分子のAサブユニットと5分
子のBサブユニットから構成されており、Aサブユニッ
トが毒素としての活性を有し、Bサブユニットは細胞レ
セプターへの結合に働いているものと考えられている
〔Gill, D. M.ら、インフェクション・アンド・イムノ
ロジー,33,677(1981)〕。
【0010】LThおよびLTpのA,B両サブユニット
遺伝子の全塩基配列は決定され〔Dallas, W. S. & Fal
kow, S.,ネイチャー(Nature),277,406 (197
9);Yamamoto, T. & Yokota, T., ジャーナル・オブ
・バクテリオロジー(J. Bacteriol.),155,728(1
983);Yamamoto, T. ら、ジャーナル・オブ・バイオ
ロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem),259,50
37(1984);Leong, J.ら、インフェクション・ア
ンド・イムノロジー,48,73(1985)〕、これらの
塩基配列の結果から、LThとLTpのAサブユニットは
240のアミノ酸残基、またBサブユニットは103の
アミノ酸残基から構成されていることが推定されてい
る。LTの物理化学的性状や免疫学的性状がコレラトキ
シン(以下、CTと略称)のそれらと類似していることか
ら、LTの作用機構については詳細な研究は報告されて
いないが、CTのそれと同じであると推定されている。
かかるLTBは、遺伝子組換え技術によって大量に得る
ことができる。より具体的には(1)LT遺伝子がクロー
ニングされたプラスミドからLTB遺伝子を含む領域を
調製し、(2)該遺伝子をλPLプロモーター,λPRプロモ
ーター,trpプロモーター,tacプロモーター,T7プロモ
ーターのうちのいずれかのプロモーターを含む発現ベク
ターにプロモーターと順方向に挿入して、LTBの発現
プラスミドを作成し、(3)該プラスミドで大腸菌を形
質転換し、(4)該形質転換体の培養物中にLTBが大量
に産生される。
【0011】本発明の経粘膜用製剤は自体公知の方法に
従って製造し得る。たとえば少量のpH調整剤,防腐剤あ
るいは増粘剤(たとえば天然ガム類,セルロース誘導体,
アクリル酸重合体,ビニール重合体など)あるいは賦形剤
が添加される。 本発明の経粘膜用生理活性ペプチドまたは生理活性蛋白
質含有製剤は固状,液体あるいは半固状のものに成形さ
れる。固状の場合は、上記の各成分を混合し単なる粉状
の組成物としてもよいが、凍結乾燥品としてもよく、粒
子径約5〜250ミクロンにあるものが良い。液状の場
合は、水溶液,水性懸濁剤あるいは油性懸濁剤のものが
よい。半固状の場合は、水性または油性のゲル剤あるい
は軟こう剤のものが良い。
【0012】製剤中の各成分の割合は、固状の場合に
は、製剤中の生理活性ペプチドまたは生理活性蛋白質の
量は約0.005〜50W/V%,さらに好ましくは約
0.01〜30W/V%であり、LTBは約0.1〜9
9.995W/V%,さらに好ましくは約1〜50W/V
%である。液状あるいは半固状の場合には、製剤中の生
理活性ペプチドまたは生理活性蛋白質の量は、約0.0
1〜50W/V%,さらに好ましくは約0.05〜40W
/V%であり、LTBの量は、約0.5〜50W/V%,
さらに好ましくは約1〜30W/V%である。固状製剤
は自体公知の方法により製造し得る。 たとえば、ミキサ
ーに賦形剤を入れ、該生理活性ペプチドまたは生理活性
蛋白質とLTBとを少量の水に溶解したものを徐々に加
え練合をおこなう。その後これを適当な温度、真空下で
乾燥し、乾燥物を粉砕し固状製剤を得る。あるいは該生
理活性ペプチドまたは生理活性蛋白質およびLTBさら
に必要な場合には賦形剤の混合末に水を加え完全に溶解
したのち、凍結乾燥あるいはスプレードライにより脱水
乾燥し、乾燥物を適当に粉砕し固状製剤を得る。
【0013】該賦形剤としてはたとえば、グルコース,
マンニトール,イノシトール,蔗糖,乳糖,フラクトース,
でんぷん,コーンスターチ,微結晶セルロース,ハイドロ
オキシプロピルセルロース,ハイドロオキシプロピルメ
チルセルロース,ポリビニルピロリドンなどが挙げられ
る。液状製剤の製造法としては自体公知の手段に従って
製造することができる。たとえば経粘膜用水性液剤は、
該生理活性ペプチドまたは生理活性蛋白質およびLTB
を水,緩衝液,含水溶液に溶解,懸濁あるいは乳化するこ
とによって製造できる。また、経粘膜用油性懸濁剤は該
生理活性ペプチドまたは生理活性蛋白質とLTBとを油
性基剤に懸濁あるいは乳化することによって製造でき
る。 該緩衝液としてはたとえばゼーレンゼン(Soerensen)緩
衝液〔Ergeb. Physiol12,393(1912)〕,クラー
クルブス(Clark-Lubs)緩衝液〔J. Bact. ,(1),10
9,191(1917)〕,マクルベイン(MacIlvaine)緩衝
液〔J. Biol. Chem. 49,183(1921)〕,ミカエ
リス(Michaelis)緩衝液〔Die Wasserstoffionenkonzent
ration, p. 186(1914)〕,コルソフ(Kolthoff)緩
衝液〔Biochem. Z, 179,410(1926)〕などが
挙げられる。油性基剤としては、例えばゴマ油,オリー
ブ油,トウモロコシ油,大豆油,綿実油,落花生油,ラノリ
ン,ワセリン,パラフィン,アイソパー,シリコン油、さら
に炭素数6ないし30の脂肪酸あるいはそれらのグリセ
リンまたはアルコールのエステルなどがあげられ、これ
らを単独で使用しても2種以上を混合して用いても良
い。
【0014】半固状製剤の製造法としては自体公知の手
段に従って、水性または油性のゲル剤あるいは軟こう剤
を製造することができる。たとえば経粘膜用水性ゲル剤
はLTBの水溶液または水性懸濁液を調製し、これに必
要あればpH調整剤,防腐剤等を加える。この溶液を二分
し、その一方に水性ゲル基剤を溶解または分散させ、適
度に加温あるいは冷却して安定なゲルを形成させる。他
方の溶液に該生理活性ペプチドまたは生理活性蛋白質を
溶解し、両者を均一に混合して水性ゲル剤を製造しう
る。上記におけるpHの調整は、たとえば酸,塩基,緩衝液
などを製剤の製造工程中に添加することにより行なうこ
とができる。pHの調整に用いられる酸としては、たと
えば無機酸(例、塩酸,ホウ酸,リン酸,炭酸,重炭酸な
ど),アミノ酸あるいは 有機酸(例、モノカルボン酸,オ
キシカルボン酸,ポリカルボン酸)などが挙げられ、塩基
としてはたとえば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭
酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウムなどが挙げられ、緩
衝液としては前記した緩衝液と同様のもの が挙げられ
る。
【0015】該水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム
類(例、トラガカントガム,アカシヤガム,カラヤガム,ア
イルランド苔,グアヤクガム,キサンタンガム,ローカス
トビーンガム等),セルロース誘導体(例、メチルセルロー
ス,カルボキシルメチルセルロース等),アクリル酸重合
体(例、 ポリアクリル酸,ポリメタアクリル酸等),ビニー
ル重合体(例、 ポリビニルピロリドン,ポリビニルアルコ
ール,ポリビニルメチルエーテル,カルボキシポリメチレ
ン等),合成多糖類(例、 ポリシュークロース,ポリグルコ
ース,ポリラクトース等),でんぷん,デキストリン,ペク
チン,アルギン酸ソーダ,蛋白質類(ゼラチン,コラーゲ
ン)等があげられる。これらの基剤は適宜、2種以上の
混合物としても使用しうる。
【0016】経粘膜用油性軟こう剤は、加熱溶融した油
性基剤にLTBおよび該生理活性ペプチドまたは生理活
性蛋白質を均一に分散し撹拌しながら冷却することによ
って製造できる。油性基剤としては、前記したそれと同
様のものが挙げられる。 本製剤に防腐剤を添加して
もよく、該防腐剤としてはたとえば、パラオキシ安息香
酸エステル類,フェノール,クレゾール等のフェノール性
物質,クロロブタノール,フェニチルエチルアルコール,
プロピレングリコール等のアルコール類,塩化ベンザル
コニウム,塩化ベンゼトニウム等の逆性石けん,安息香
酸,ソルビン酸,デヒドロ酢酸,亜硫酸およびそれらの塩,
亜硫酸水素ナトリウム等の酸あるいはその塩を用いるこ
とができる。
【0017】本発明の製剤、たとえば経鼻投与製剤を投
与する方法としては、固状製剤の場合、粉末を充填した
カプセルを、針を備えた専用のスプレー器具にセットし
て針を貫通させ、それによりカプセルの上下に微小な孔
をあけ、次いで空気をゴム球で送りこんで粉末を鼻腔内
に噴出させる方法などが挙げられる。液状製剤の場合、
製剤を点鼻容器,スプレー容器およびこのような液剤を
鼻腔内に適用するのに適した同様な容器に入れ、鼻腔内
に滴下あるいは噴霧投与する方法などが挙げられる。半
固状製剤の場合、製剤をチューブに充填し投与時にチュ
ーブの口にアプリケーターを付け直接鼻腔内に投与する
か、あるいは鼻腔内挿入具を用いそれに製剤を一定量取
って鼻腔内に投与する方法などが挙げられる。生理活性
ペプチドまたは生理活性蛋白質の投与量は、種類あるい
は疾病の状態により異なるが、製剤の量としては1回あ
たり固状製剤の場合約5mg〜100mg,液状製剤の場合
は約0.05ml〜0.5ml,半固状製剤の場合は約50mg
〜500mgが適当な範囲である。
【0018】本発明は下記の特徴を有する。 1) 消化管吸収性に乏しい生理活性を有するペプチドお
よび蛋白質を注射以外の投与経路から投与し、高い生物
学的利用率(bioavailability)を得ることができる。 2) 投与時の疼痛がなく、簡便に生理活性を有するペプ
チドおよび蛋白質を投与しうる。 3) 連続多回投与の必要な場合には、患者自ら容易に投
与でき自宅療法が可能になる。 4) 吸収促進剤として用いたLTBは、無味,無臭で毒性
も少なく、粘膜刺激性もほとんどみとめられないので、
多回投与してもきわめて安全な製剤を製することができ
る。
【0019】
【実施例】以下、実験例,参考例,実施例を挙げて、本発
明をさらに具体的に説明する。なお、以下において濃度
を表わすパーセント(%)は、重量/容量パーセント(W
/V%)を表わす。 参考例1 特開平3−187383号公報に記載の実施例2によっ
て得られた形質転換体E. coli MM294(DE3)/p
LTB101(IFO:IFO 14933;FRI:
FERM BP−2583)を100μg/mlのアンピシ
リンを含む40mlのLB培地に植菌し、200ml容フラ
スコで、37℃,一晩振盪培養した。この培養液10ml
を100μg/mlのアンピシリンを含む200mlのM9
CA培地〔Miller, Journal of Experi- ments in Mole
cular Genetics, 431−433, Cold Spring Harbor
Laboratory, New York (1972)〕に加え、1リツ
トル 容フラスコで、37℃,3.5時間培養後、イソプ
ロピルチオガラクトシドを最終濃度が0.4mMになるよ
うに加え、更に一晩振盪培養した。培養液はSS34ロ
ーターを用いてサーバルRC−5B遠心機により11,
000rpm,4℃,20分遠心し、上清を回収した。同様
の操作を繰り返し、計5リツトルの培養上清を得た。こ
の培養上清を20mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化
したCM−Toyopearl 650Mカラム(ベッド容量52
0ml,φ4.2×37.5cm)にかけた後、同緩衝液でカラ
ムを洗浄した。続いて、0.5M NaClを含む同緩衝液
で溶出し分画した(12ml/フラクション)。LThB溶
出画分は、SDS−PAGE後、銀染色 およびヤギ抗
コレラトキシン抗体[リスト・バイオロジカル・ラボ社]
およびペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヤギIgG抗体[カ
ッペル社]を用いるWestern blottingにより同定した。
LThB溶出画分を限外ろ過で5mlに濃縮し、0.85%
NaClを含む10mMリン酸緩衝液pH7.0で平衡化し
たSephacryl S−100HRカラム(ベッド容量130m
l,φ1.6×65cm)にかけた。LThB溶出画分は、S
DS−PAGE後、銀染色およびWestern blottingに
より同定した。LThBは分子量約35,000の位置に
溶出されることからこの条件下ではトリマーを形 成し
ている可能性が示唆された。LThB溶出画分を集めた
後、限外ろ過により 濃縮し、精製標品(2.4mg/ml)と
した。
【0020】実施例1 ブタインスリン5000U(約200mg)をpH7.4の等
張リン酸緩衝液8mlに溶解し、さらにLThB50mgと
クロロブタノール20mgとを加え完全に溶解したのち、
生理食塩水で10mlの溶液とした。これを点鼻容器に入
れ、1回約0.1mlを噴霧投与する。
【0021】実施例2 DN−1417 200mg,マンニトール200mgおよび
LThB200mgを精製水40mlに溶解し凍結乾燥し
た。得られた乾燥物を粉砕し約20〜250ミクロンの
粒子径の粉末とした。その内の30mgを4号のハードゼ
ラチンカプセルに充填した。投与の際はこのカプセル
を、カプセルに孔を開けるための針と空気を送るための
ゴム球のついた専用のスプレー用具にセットし、カプセ
ルの両端に孔を開け次いでゴム球を押して空気を送り先
端より粉末を鼻腔内に投与する。
【0022】実施例3 メチルパラベン0.12%,プロピルパラベン0.01%
を溶解したpH7.4等張緩衝液16mlに LThB1gお
よびTAP−144の2gを溶解し、これにメチルセル
ロース(メトローズ90SH 4000,信越化学株式会
社製)200mgを加えよく撹拌し均一な粘調溶液とし、
緩衝液で全重量を20gとした。このもの100mgを経
鼻投与用アプリケーターに充填し鼻腔内に投与する。
【0023】実施例4 天然型LH−RH〔一般式(II)において、R1=His,R
2=Tyr,R3=Gly,R4=Leu,R5=Gly−NH2である
ペプチド〕500mgとLThB1gとを乳鉢にとり、加温
溶解したラノリン1gを加えよく混合分散した。次に撹
拌下ミグリオール812〔ダイナミト・ノベル(Dynamit
Nobel)社製,西ドイツ〕を徐々に加え全重量を10gと
し、油性懸濁剤とした。これをスポイドのついた容器に
入れ、毎回0.1gを鼻腔内に直接投与する。
【0024】実施例5 LThB50mgとα−インターフエロン100000U
(ヒト白血球由来インターフエロン)を生理食塩水1mlに
溶解し、溶液とした。これをスポイド付点鼻容器に入
れ、0.1mlを鼻腔内に投与する。
【0025】実施例6 デスモプレシン2mgとLThB500mgとを生理食塩水
10mlに溶解し、メチルセルロース 100mgを加え
て粘調な液とした。この内の0.2mlをアプリケーター
にとり直接鼻腔内に投与する。
【0026】実施例7 エンケファリン1gとLThB1gを生理食塩水20mlに
溶解し溶液とした。これを噴霧容器に入れ、毎回0.2m
lを鼻腔内に噴霧投与する。
【0027】実施例8 副甲状腺ホルモン(PTH)誘導体(N末端34アミノ
酸残基からなるペプチド)500mgとLThB1gを
生理食塩水1mlに溶解し、溶液とした。これを噴霧容
器に入れ、毎回0.2mlを鼻腟内に噴霧投与する。
【0028】実験例1 16時間絶食させた体重約220gのSD系雄性ラット
(各群5匹)をペントバルビタール麻酔をし、インターナ
ショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティクス
(International Journal of Pharmaceutics)第7巻第3
17頁(1981年)に記載の方法に従い、経鼻投与のた
めの手術を施した後、マイクロピペットで0.1ml/kg
の容量のインスリン投与液を外鼻孔より直接鼻腔内に投
与し、経時的に尾静脈より採血し、血糖値及びインスリ
ンの濃度を測定した。 なおインスリン投与液としては、ブタインスリン10U
(約0.38mg)と、 LThBを0mg〜5mg〔5%に相当〕
をpH7.4等張緩衝液0.1mlに溶解したものを用い
た。 結果を〔表1〕に示す。〔表1〕に示す通り、L
ThBの添加により、無添加の場合に比べ、著しい血糖
降下を認め、血中のインスリン濃度からも、明らかにイ
ンスリンが有効に鼻粘膜から吸収されていることがわか
る。
【0029】
【表1】 Insulinのラット経鼻吸収におけるLThBの吸収促進効果 ──────────────────────────────── Time Glucose (%)* Insulin (μU/ml) ───────────── ──────────── (hr) no addition 5%LThB no addition 5%LThB ──────────────────────────────── 0.5 135.9(10.5) 115.3( 4.2) 0.83 15.1 1.0 141.7( 8.6) 97.2(11.5) 0.0 43.2 1.5 133.4(11.2) 92.9(11.6) 0.0 540.2 2.0 127.3( 9.1) 92.2(19.8) 0.0 26.8 3.0 132.9(11.4) 110.9(23.0) 4.51 21.5 4.0 136.3(13.5) 113.2(19.8) 0.0 10.0 ──────────────────────────────── Insulin dose : 10U/Kg, SD rats, 7W, ♂, 220g Plasma insulin level : EIA (GLAZYME Kit, Wako) * : 投与前(手術前)の血糖値に対する% (mean (SE)
n=5)
【0030】
【配列表】
配列番号(SEQ ID NO):1 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH):11 配列の型(SEQUENCE TYPE):amino acid トポロジ−(TOPOLOGY):linear 配列の種類(MOLECULE TYPE):peptide ハイポセティカル配列(HIPOTHTICAL):No 配列の特徴(FEATURE) 存在位置(LOCATION):3 他の特徴(OTHER INFORMATION):Xa
a = Tyr or Trp or p-NH2-Phe 存在位置(LOCATION):6 他の特徴(OTHER INFORMATION):Xaa = Tyr or Phe 存在位置(LOCATION):7 他の特徴(OTHER INFORMATION):Xaa = Gly or D-amino
acid 存在位置(LOCATION):8 他の特徴(OTHER INFORMATION):Xaa = Leu or Ile or N
le 存在位置(LOCATION):11 他の特徴(OTHER INFORMATION):Xaa = Gly-NH2-R6(R6
はHまたは水酸基を有しまたは有していない炭素数1〜
6程度の低級アルキル基)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 38/22 A61K 37/30 38/23 37/34 38/26 37/42 38/43 37/48 47/42 37/66 H (56)参考文献 特開 平2−243633(JP,A) 特表 昭62−503031(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/00 - 38/58 BIOSIS(STN) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生理活性を有するペプチドまたは蛋白質と
    易熱性エンテロトキシンBサブユニットとの混合物を含
    有する経鼻投与製剤(但しワクチン製剤を除く)
  2. 【請求項2】生理活性を有するペプチドまたは蛋白質が
    易熱性エンテロトキシンBサブユニット1重合部に対し
    て0.004〜4.0重量部含有する請求項1記載の製
    剤。
  3. 【請求項3】生理活性を有するペプチドまたは蛋白質
    が、生理活性を有する親水性ペプチドまたは親水性蛋白
    質である請求項1記載の製剤。
  4. 【請求項4】生理活性を有するペプチドまたは蛋白質が
    ホルモン、鎮痛物質、リンホカイン、血球作用因子、酵
    素、神経伝達因子又は成長因子である請求項1記載の製
    剤。
  5. 【請求項5】生理活性を有するペプチドまたは蛋白質が
    ホルモンである請求項1記載の製剤。
  6. 【請求項6】生理活性を有するペプチドまたは蛋白質が
    インスリンである請求項1記載の製剤。
  7. 【請求項7】生理活性を有するペプチドまたは蛋白質と
    易熱性エンテロトキシンBサブユニットとの混合物を使
    することを特徴とする、ペプチドまたは蛋白質のバ
    イオアベイラビリティが改善された経鼻投与製剤(但し
    ワクチン製剤は除く)
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