JP3197562B2 - 骨形成促進剤ならびに骨粗鬆症治療剤 - Google Patents

骨形成促進剤ならびに骨粗鬆症治療剤

Info

Publication number
JP3197562B2
JP3197562B2 JP52524894A JP52524894A JP3197562B2 JP 3197562 B2 JP3197562 B2 JP 3197562B2 JP 52524894 A JP52524894 A JP 52524894A JP 52524894 A JP52524894 A JP 52524894A JP 3197562 B2 JP3197562 B2 JP 3197562B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
osteoporosis
bone
osteogenesis
present
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP52524894A
Other languages
English (en)
Inventor
康夫 鈴木
裕 水島
Original Assignee
株式会社エルティーティー研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社エルティーティー研究所 filed Critical 株式会社エルティーティー研究所
Application granted granted Critical
Publication of JP3197562B2 publication Critical patent/JP3197562B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/56Compounds containing cyclopenta[a]hydrophenanthrene ring systems; Derivatives thereof, e.g. steroids
    • A61K31/565Compounds containing cyclopenta[a]hydrophenanthrene ring systems; Derivatives thereof, e.g. steroids not substituted in position 17 beta by a carbon atom, e.g. estrane, estradiol
    • A61K31/568Compounds containing cyclopenta[a]hydrophenanthrene ring systems; Derivatives thereof, e.g. steroids not substituted in position 17 beta by a carbon atom, e.g. estrane, estradiol substituted in positions 10 and 13 by a chain having at least one carbon atom, e.g. androstanes, e.g. testosterone
    • A61K31/5685Compounds containing cyclopenta[a]hydrophenanthrene ring systems; Derivatives thereof, e.g. steroids not substituted in position 17 beta by a carbon atom, e.g. estrane, estradiol substituted in positions 10 and 13 by a chain having at least one carbon atom, e.g. androstanes, e.g. testosterone having an oxo group in position 17, e.g. androsterone
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/56Compounds containing cyclopenta[a]hydrophenanthrene ring systems; Derivatives thereof, e.g. steroids
    • A61K31/565Compounds containing cyclopenta[a]hydrophenanthrene ring systems; Derivatives thereof, e.g. steroids not substituted in position 17 beta by a carbon atom, e.g. estrane, estradiol
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/08Drugs for skeletal disorders for bone diseases, e.g. rachitism, Paget's disease
    • A61P19/10Drugs for skeletal disorders for bone diseases, e.g. rachitism, Paget's disease for osteoporosis

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、新規な骨形成促進剤ならびに骨粗鬆症治療
剤に関する。
背景技術 近年、人口の老齢化に伴い骨粗鬆症の頻度が急激に増
加し、大腿骨の頸部骨折の増加等、健康に対する脅威と
なりつつある。
この骨粗鬆症は、骨の成分が正常に保たれたままでい
ながら骨の量が減少する状態であり、正常の老化現象と
は区別されている。しかしながら厄介なことに、この状
態がある程度以上に進行すると、自己の体重を支えるこ
とが困難になり、腰痛、背柱の変形、さらに身体各所の
骨が軽い衝撃によって骨折を起こしやすいといった問題
を引き起こしている。
ところでこの骨粗鬆症といわれる症状は、一つの状態
または症候群であって、種々の原因によって起こり、ま
たいろいろな疾患の症状の一つとして現れる。
特に、女性は、閉経後に骨の減少が急激に起こり、骨
粗鬆症となりやすいとされている。すなわち、エストロ
ゲンの欠乏が骨粗鬆症の発生を引き起こすものと考えら
れている。
さらに、骨は人体を外力から守り、また筋肉の支点と
なってこれを支えるために、常に圧迫や引張り等の物理
的な力にさらされている。こうした物理的な力に抗する
ことは骨の存在意義であることから、このような物理的
刺激がなくなると、急激な骨量の減少と共に強度までが
低下し、その結果骨粗鬆症を引き起こすとされている。
すなわち、骨に対する物理的な刺激が失われることによ
り骨量が減少し、それによって生じる骨粗鬆症は、不動
性骨粗鬆症といわれる。
また一方、骨粗鬆症は老化の現象の一つの側面とし
て、カルシウム代謝異常の一つの表現であると考えられ
ている。すなわち、骨の全身のカルシウムの99%を占め
ていることより、骨量の減少は全身のカルシウムの減少
となる。加齢に伴う持続的なカルシウムの欠乏の結果
は、副甲状腺ホルモンの分泌の亢進と、骨吸収の亢進に
よる骨の減少、骨から放出されたカルシウムの軟部組
織、ことに血管や脳への沈着をみる。これが骨粗鬆症、
高血圧症、動脈硬化症、または老人性痴呆症の誘引とな
るのである。すなわち、骨粗鬆症は単に骨だけの病気で
はなく、人体の老化とこれに伴うカルシウム代謝異常の
表現であり、体内のカルシウム分布異常を示す指標であ
るともいわれている。
このように骨粗鬆症の重要性は、種々の老年病の指標
となり、カルシウム欠乏の程度の表現であることによ
り、逆に骨粗鬆症を予防し、カルシウム代謝を正常化す
ることは、老化防止と老年病の予防につながるといえ
る。
ところで、現在臨床的に使用されている骨粗鬆症治療
剤としては、カルシウム製剤、ビタミンD誘導体、カル
シトニン、イプリフラボン等があるが、これらの薬剤の
主作用としては、骨吸収の抑制を対象とするものであ
る。また、閉経後骨粗鬆症に対してはエストロゲン製剤
も投与されているが、この製剤の作用は、高い骨代謝回
転に伴う骨吸収亢進を抑制するという作用機序による。
一方、老人性骨粗鬆症、不動性骨粗鬆症、糖質コルチ
コイド剤投与に伴う骨粗鬆症にあっては、骨形成の低下
が重要な病態である。この骨形成低下に対して、欧米に
おいてはフッ化ナトリウムが骨形成促進剤として使用さ
れたものの、副作用が多く、現在はあまり使用されてい
ない。
また、蛋白同化ステロイド剤は、骨形成を促進させる
との報告により、一時期骨粗鬆症に対して使用されたも
のの、その副作用として男性化作用という問題があるう
え、骨粗鬆症に対する作用自体がそれほど明確でないた
め、現在は臨床的に使用されていない。
卵巣摘出した動物の骨量減少に対して、治療効果が明
らかなのはエストロゲンだけである。しかし、エストロ
ゲンは閉経後骨粗鬆症にしか適応がなく、また不正出
血、乳癌や子宮癌の発生など深刻な副作用もある。この
ように、副作用が少なく骨形成を促進し骨量を増加させ
る骨粗鬆症治療剤はないのが現状である。また生体内に
存在する内因性のステロイドのなかではジヒドロエピア
ンドロステロン(DHEA)に骨量改善作用があることが報
告されているが、卵巣摘出した動物に対する効果は極め
て弱い。
骨粗鬆症治療薬として現在使用されているカルシウム
剤、ビタミンD誘導体、カルシトニン、イプリフラボン
等では、前記した如く減少した骨量それ自体を増加させ
ることは困難であって、骨量減少を防止するのがせいぜ
いである。これは、これらの薬剤が骨吸収を抑制するこ
とが主作用であるためと考えられる。一方、骨形成を促
進するフッ化ナトリウムや蛋白同化ステロイドとの併用
で骨量増加も報告されているが、これら薬剤は副作用が
多く、使用し難いものである。
したがって、副作用が少なく、骨形成そのものを促進
する薬剤の開発が望まれていた。
そこで本発明の目的は、男性化等の副作用が極めて少
なく、骨形成促進および骨量増加作用がある骨粗鬆症治
療剤を提供することにある。
発明の開示 本発明者らは、かかる有効な骨粗鬆症治療用薬剤につ
いて鋭意研究した結果、後記一般式(1)で表わされる
アンドロゲン誘導体またはその塩が、骨形成促進作用や
骨量増加作用を有し、安全性が高く、骨粗鬆症治療剤と
して有用であることを見いだし、本発明を完成させるに
至った。
すなわち、本発明は一般式(1) (式中、破線は当該炭素間の結合が単結合又は二重結合
のいずれかであることを示す) で表わされるアンドロゲン誘導体またはその塩を有効成
分とする骨形成促進及び/又は骨粗鬆症治療剤に係るも
のである。
さらにまた本発明は、上記一般式(1)で表わされる
アンドロゲン誘導体またはその塩、及び医薬用担体を含
有する骨形成促進及び/又は骨粗鬆症治療剤組成物に係
るものである。
本発明により提供される骨形成促進剤および骨粗鬆症
治療剤は、その有効成分であるアンドロゲン誘導体また
はその塩が骨芽細胞を活性化し、骨形成を促進し、骨量
を増加させることから、加齢に伴う骨形成低下、不動に
伴う骨形成低下、糖質コルチコイド剤投与に伴う骨形成
低下などの骨形成が低下している病態の治療に用いるこ
とができる。さらに、その骨形成促進作用により骨量を
増加させることから、上記病態に伴う骨粗鬆症や卵巣摘
出後や閉経後骨粗鬆症の治療にも有用である。
図面の簡単な説明 図1は本発明化合物の骨芽細胞のアルカリホスファタ
ーゼ活性に対する作用を示す。図2は本発明化合物の卵
巣摘出後のFCFU形成能に対する作用を示す。図3〜図6
は、本発明化合物の大腿骨近位骨端部、大腿骨骨幹部、
大腿骨遠位骨端部および大腿骨全骨における骨塩量増加
作用をそれぞれ示す。図7は本発明化合物の大腿骨近位
端骨端部における骨塩量増加作用を示す。図8〜図10
は、本発明化合物の男性ホルモン作用および蛋白同化作
用を示す。図11および図12は、本発明化合物の卵胞ホル
モン作用を示す。
発明を実施するための最良の形態 本発明薬剤の有効成分であるアンドロゲン誘導体
(1)は、破線部分の結合の有無により、11β−ヒドロ
キシアンドロスタン−3,17−ジオン、11β−ヒドロキシ
−1−アンドロステン−3,17−ジオン、11β−ヒドロキ
シ−4−アンドロステン−3,17−ジオン及び11β−ヒド
ロキシ−1,4−アンドロスタジェン−3,17−ジオンの4
種の化合物が挙げられるが、このうち、11β−ヒドロキ
シ−4−アンドロステン−3,17−ジオン(以下、11β−
OH−Δ−Aという)または11β−ヒドロキシ−1,4−
アンドロスタジエン−3,17−ジオン(以下、11β−OH−
Δ1.4−Aという)が特に好ましい。従って、本発明に
おいては11β−OH−Δ−A又は11β−OH−Δ1.4−A
を有効成分とする骨形成促進剤;及び11β−OH−Δ
A又は11β−OH−Δ1.4−Aを有効成分とする骨粗鬆症
治療剤が特に好ましい。
これらのアンドロゲン誘導体(1)の塩としては、医
学的に許容される塩であって、11位の水酸基と塩を形成
するものであれば特に制限されない。また、このアンド
ロゲン誘導体(1)またはその塩は、生体内では副腎皮
質に存在する11β水酸化酵素によりアンドロステンジオ
ン(4−アンドロステン−3,17−ジオン)から生成され
るほか、糖質コルチコイドであるコルチゾールの17位の
側鎖切断によっても生成されるが、また化学的に合成す
ることもできる。このうち、11β−OH−Δ−Aについ
ては、J.Steroid Biochem.Mol.Biol.40,731−733(199
1)に骨粗鬆症患者(婦人)の血中濃度の平均値は1.75n
g/mlであるのに対し、正常婦人における血中濃度は2.20
ng/mlであったと記載されている。
しかしながら、この文献には11β−OH−Δ−Aが骨
形成促進作用や骨重量増加作用を有するか否かについて
は全く記載されていない。
本発明における有効成分であるアンドロゲン誘導体
(1)およびその塩(以下、本発明化合物という)は、
骨芽細胞の分化・増殖を促進し、骨形成を高め、骨量を
増加させることにより、骨粗鬆症を改善する。そのう
え、性ホルモン作用は極めて少ないことが判明した。
以下に、本発明化合物の骨代謝改善作用、骨粗鬆症改
善作用、性ホルモン作用、蛋白同化作用、卵胞ホルモン
作用の試験結果を示す。
試験例1: 骨髄における骨芽細胞前駆細胞(osteogenic precursor
cell)数に対する効果: 7週齢のWistar系あるいはLewis系ラットの腹腔内
(実験1)あるいは背部皮下(実験2)に本発明化合物
を7日間連日投与した後、ラットより大腿骨、脛骨を採
取した。摘出した骨より骨髄細胞を採取し、25cm2培養
フラスコ内で7日間培養した。培養には15%牛胎児血清
を含むαMEM培地を用いた。培養フラスコ上の線維芽細
胞様細胞のコロニー数をギムザ染色あるいはアルカリホ
スファターゼ染色後算定した。線維芽細胞様細胞のコロ
ニー(fibroblast colony forming unit=FCFU)数は、
in vitroの骨形成能と相関することが知られている。表
1および表2に総FCFU数およびアルカリホスファターゼ
陽性FCFU数の結果を示す。
以上の結果から、本発明化合物は、骨髄中の骨芽細胞
前駆細胞数を有意に増加させることにより、骨形成促進
作用があると考えられ、その作用は、男性ホルモンであ
るテストステロンと比較し、強力なものであった。
試験例2: 血清アステオカルシン濃度に対する効果: 7週齢のWistarラットの腹腔内に11β−OH−Δ−A
を0.1mg/kg連日投与し、血清オステオカルシン濃度をラ
ジオイムノアッセイで測定した。
その結果を、表3に示す。
以上の結果から、11β−OH−Δ−Aの連続投与によ
って、血清オステオカルシン濃度の増加が認められ、骨
形成を促進することが示唆された。
試験例3: マウス株化骨芽細胞MC3T3−E1のアルカリホスファター
ゼ活性に対する作用: マウス頭蓋骨由来株化骨芽細胞MC3T3−E1を24well培
養プレート内で5%牛胎児血清αMEM培地で2日間培養
した。細胞がsemi−confluentになったところで、培地
を1%牛胎児血清添加培地に交換し、さらに3日間培養
した。その後、0.1%牛血清アルブミンを含むαMEM培地
(血清無添加培地)に交換後、1日間培養した。次いで
被験化合物を添加し、さらに2日間培養した。細胞をス
クレイプし、ソニケーターを用いて細胞を破砕した後、
細胞破砕液のアルカリホスファターゼ活性を測定した。
アルカリホスファターゼ活性は、基質(2−アミノ−2
−メチル−1−プロパノール中ジソジウム p−ニトロ
フェニル フォスフェート含有緩衝液)、細胞破砕液を
30分間反応させ、p−ニトロフェノール標準液の吸光度
と比較し、測定した。
被験化合物として、11β−OH−Δ−A及び11β−OH
−Δ1.4−Aを用い、比較化合物としてアンドロステン
ジオンを用い、その結果を図1に示した。
その結果から、本発明化合物は骨芽細胞のアルカリホ
スファターゼ活性を亢進させ、骨芽細胞活性化作用を有
することから骨形成促進作用を有することが明らかであ
る。
試験例4: 卵巣摘出後骨粗鬆症における骨形成低下に対する改善効
果: 7週齢の雌性Wistarラットの両側卵巣を摘出し、3か
月後より薬物投与を行った。11β−OH−Δ−A 0.1m
g/kg、1mg/kgを週3回背部に皮下投与した。1か月間薬
物投与を行った後、大腿骨、脛骨を採取した。右大 腿
骨および両脛骨より骨髄細胞を採取し、骨芽細胞前駆細
胞のコロニー形成(FCFU)を観察した。その結果を図2
に示した。
図より明らかな如く、卵巣摘出後のFCFU形成能はsham
手術群に比較し有意に低下しており、卵巣摘出群(OV
X)では骨形成能が低下していることが示された。これ
に対して、11β−OH−Δ−A0.1mg/kg投与群ではFCFU
形成増加は顕著であった。以上の結果より、0.1mg/kg、
週3回、1か月投与という少量投与においても11β−OH
−Δ−Aは卵巣摘出後に見られる骨形成低下を正常に
もどしたことがわかる。後述するようにこの量における
11β−OH−Δ−Aの性ホルモン作用は極めて微弱と考
えられる。
試験例5: 卵巣摘出後骨粗鬆症における骨量減少に対する改善効
果: 7週齢の雌性Wistarラットの両側卵巣を摘出し、3か
月後より薬物投与を行った。11β−OH−Δ−Aおよび
ジヒドロエピアンドロステロン(DHEA)1mg/kgを週3回
背部に皮下投与した。3か月間薬物投与を行った後、大
腿骨、脛骨を採取し、大腿骨の骨塩量を近位骨端部、骨
幹部、遠位骨端部の3か所で測定した。骨塩量の測定
は、Aloka DCS−600モデルを用い、dualenergy X−ray
absorptiometry(DEXA)にて行った。その結果を図3〜
図6に示した。
図より明らかなとおり、卵巣摘出群(OVX)の骨塩量
は、大腿骨の各部位で減少していたが、11β−OH−Δ
−A投与により、Shma手術ラットの骨塩量と同等まで各
部位で回復した。この効果は、すでに卵巣摘出後ラット
の骨塩量改善効果が報告されているジヒドロエピアンド
ロステロンの効果より強力であった。
同様にして、ナンドロロンと比較した結果を図7に示
した。
この結果から、11β−OH−Δ−Aは、ナンドロロン
と同等の大腿骨近位骨端部骨塩量増加作用を有すること
が判明した。
試験例6: 男性ホルモン作用および蛋白同化作用: (1)Hershberge法に準じ、去勢した4週齢のWistar系
雄性ラット(1群6匹)に11β−OH−Δ−Aを0.1〜
0.3mg/ラット/日で、連日10日間皮下投与した。Sham手
術群およびコントロール群には、ビークル(胡麻油)
を、陽性投与対照薬としてテストステロンプロピオネー
ト(T.P.)0.1mg/ラット/日を同様に投与した。投与終
了翌日に、前立腺前葉および肛門挙筋を摘出し、その重
量を秤量した。前立腺前葉重量の変化より男性ホルモン
作用を、肛門挙筋重量の変化より蛋白同化作用を検討し
た。
その結果を、図8に示す。
図の結果より以下のことが判明した。
男性ホルモン作用:11β−OH−Δ−Aの0.1〜0.3mg/ラ
ット/日(0.6〜1.8mg/kg/日)投与において、前立腺重
量の有意な増加が認められ、男性ホルモン作用を有して
いると考えらるが、その程度は極めて弱く、テストステ
ロンと比較すると1:0.07程度であった。
蛋白同化作用:11β−OH−Δ−Aの0.3mg/ラット/日
投与において、蛋白同化作用の指標となる肛門挙筋重量
の増加が認められた。
(2)Hershberge法に準じ、去勢した4週齢のSD系雄性
ラット(1群6匹)に11β−OH−Δ1.4−Aを1,10mg/kg
/日で連日7日間皮下投与した。Sham手術群およびコン
トロール群(Cestration)にはビークル(胡麻油)を、
陽性対照薬としてテストステロンプロピオネートを0.1,
1mg/kg/日で、比較化合物としてナンドロロンを0.1,1,1
0mg/kg/日で同様に投与した。
以下、上記(1)と同様にして、男性ホルモン作用お
よび蛋白同化作用を検討した結果を図9及び図10に示
す。
以上より、本発明化合物は、程度が非常に弱いが、男
性ホルモン作用、蛋白同化作用を有していた。
また、ナンドロロン、テストステロンと比較しても、
男性ホルモン作用、蛋白同化作用は極めて弱く、骨疾患
治療剤として投与した場合の副作用発現の危険性がない
薬剤であることが判明した。
試験例7: 卵胞ホルモン作用: (1)Louson法に準じ、21日齢のWistar系雌性ラット
(1群6匹)に、11β−OH−Δ−Aを0.1〜3.0mg/ラ
ット/日で1日2回、3日間皮下投与した。コントロー
ル群にはビークル(胡麻油)を、陽性対照薬としてエス
トラジオールベンゾエート0.1μg/ラット/日を同様に
投与した。最終投与終了の翌日に子宮を摘出し、その重
量を秤量することにより卵胞ホルモン作用の検討をし
た。
その結果を図11に示した。
(2)3週齢のSD系雌性ラットの両側卵巣を摘出し、11
日間飼育後、11β−OH−Δ1.4−Aを1,10mg/kg/日で連
日3日間皮下投与した。
Sham群およびコントロール群にはビークル(胡麻油)
を、陽性対照薬として、17β−エストラジオールを、比
較化合物としてナンドロロンを同様に投与した。以下、
上記(1)と同様に処置し卵胞ホルモン作用を検討し
た。
その結果を図12に示した。
以上の結果から、本発明化合物は、卵胞ホルモン作用
の指標となる子宮重量に対する作用はほとんど示さず、
エストラジオール、ナンドロロンと比較して極めて微弱
な卵胞ホルモン作用を示すに過ぎないことが判明した。
試験例8: 毒性試験: 本発明化合物である11β−OH−Δ−Aの急性毒性試
験を下記の方法で行った。
Wistar系ラットを用い、11β−OH−Δ−Aの中毒量
と考えられる量を皮下投与し、そのラットの症状観察を
行うとともに、LD50値を求めた。
その結果、11β−OH−Δ−AのLD50値は1000mg/kg
以上であることが判明した。
以上の試験結果から明らかなように本発明化合物は、
優れた骨形成促進作用、骨重量増加作用を有し、かつ男
性ホルモン作用、蛋白同化作用及び卵胞ホルモン作用が
弱いため副作用が少なく、カルシウム代謝異常症及び骨
粗鬆症の治療に用いることができる。
本発明化合物は、通常使用される医薬担体とともに医
薬組成物としてヒトに投与することができる。そのよう
な医薬組成物の形態としては、例えば錠剤、カプセル
剤、散剤、トローチ剤、液剤等の経口投与用製剤を挙げ
ることができる。また、注射剤として投与することもで
きる。上記経口投与用製剤の製剤化は、自体公知の方法
によってなし得る。たとえば、本発明化合物11β−OH−
Δ−A、11β−OH−Δ1.4−Aまたはその塩を、デン
プン、マンニトール、乳糖等の賦形剤;カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロー
ス等の結合剤;結晶セルロース、カルボキシメチルセル
ロースカルシウム等の崩壊剤;タルク、ステアリン酸マ
グネシウム等の滑沢剤;軽質無水ケイ酸等の流動性向上
剤等を適宜組み合わせて処方することにより錠剤、カプ
セル剤、散剤、顆粒剤等を製造することができる。
本発明の骨形成促進及び/又は骨粗鬆症治療剤のヒト
に対する投与量は、年齢、および症状等によっても異な
るが、アンドロゲン誘導体(1)またはその塩の有効
量、例えば、通常1日に0.1〜10mg、好ましくは0.1〜5m
gを1〜3回に分けて投与するのが良い。
実施例 以下製剤例を示す。
錠剤 組成:本発明化合物 3g 乳糖 140g 結晶セルロース 26g トウモロコシ澱粉 26g 3%ヒドロキシプロピルセルロース 100ml ステアリン酸マグネシウム 2g 製法:本発明化合物に乳糖、結晶セルロースおよびト
ウモロコシ澱粉を60メッシュふるいで篩過し、均一に混
合したのち練合機に入れ、3%ヒドロキシプロピルセル
ロース水溶液を注加して練合した。次いで16メッシュふ
るいで篩過造粒し、50℃で送風乾燥した。乾燥後、16メ
ッシュふるいを通して整粒を行い、ステアリン酸マグネ
シウムを混合し、打錠機で重量200mgの錠剤にした。
カプセル剤: 組成:本発明化合物 3g 乳糖 145g コーンスターチ 50g ステアリン酸マグネシウム 2g 製法:上記成分を細かく粉末にし、均一な混合物にな
るように充分攪拌したのち、これを0.2gずつゼラチンカ
プセルに充填し、カプセル剤とした。
産業上の利用可能性 本発明によって提供される骨形成促進剤及び/又は骨
粗鬆症治療剤は、その有効成分であるアンドロゲン誘導
体(1)またはその塩、中でも11β−OH−Δ−A、11
β−OH−Δ1.4−A又はその塩が骨芽細胞を活性化し、
骨形成を促進し、骨量を増加させることから、加齢に伴
う骨形成の低下、不動に伴う骨形成低下、糖質コルチコ
イド剤投与に伴う骨形成低下など、骨形成が低下してい
る病態の治療に用いられる。さらに、その骨形成促進作
用により、骨量を増加させることから、上記病態に伴う
骨粗鬆症や卵巣摘出後や閉経後骨粗鬆症の治療にも有用
である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1): (式中、破線は当該炭素間の結合が単結合又は二重結合
    のいずれかであることを示す) で表わされるアンドロゲン誘導体またはその塩を有効成
    分とする骨形成促進及び/又は骨粗鬆症治療剤。
  2. 【請求項2】アンドロゲン誘導体(1)が、11β−ヒド
    ロキシ−4−アンドロステン−3,17−ジオン又は11β−
    ヒドロキシ−1,4−アンドロスタジエン−3,17−ジオン
    である請求項1記載の骨形成促進及び/又は骨粗鬆症治
    療剤。
  3. 【請求項3】一般式(1) (式中、破線は当該炭素間の結合が単結合又は二重結合
    のいずれかであることを示す) で表わされるアンドロゲン誘導体またはその塩、及び医
    薬用担体を含有する骨形成促進及び/又は骨粗鬆症治療
    剤組成物。
JP52524894A 1993-05-18 1994-05-18 骨形成促進剤ならびに骨粗鬆症治療剤 Expired - Fee Related JP3197562B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-149693 1993-05-18
JP14969393 1993-05-18
PCT/JP1994/000798 WO1994026768A1 (en) 1993-05-18 1994-05-18 Osteogenesis promoter and osteoporosis remedy

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3197562B2 true JP3197562B2 (ja) 2001-08-13

Family

ID=15480752

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP52524894A Expired - Fee Related JP3197562B2 (ja) 1993-05-18 1994-05-18 骨形成促進剤ならびに骨粗鬆症治療剤

Country Status (11)

Country Link
US (1) US5565444A (ja)
EP (1) EP0698612B1 (ja)
JP (1) JP3197562B2 (ja)
AT (1) ATE203544T1 (ja)
AU (1) AU6657894A (ja)
CA (1) CA2162604C (ja)
DE (1) DE69427815T2 (ja)
ES (1) ES2163439T3 (ja)
GR (1) GR3036736T3 (ja)
PT (1) PT698612E (ja)
WO (1) WO1994026768A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6579936B1 (en) 1998-07-30 2003-06-17 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Composition of polyarylenesulfide, epoxy resin and oxazoline polymer

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999007381A1 (en) * 1997-08-11 1999-02-18 Weider Nutrition International, Inc. Compositions and treatments to reduce side effects of administration of androgenic testosterone precursors
WO2000019823A1 (en) * 1998-10-07 2000-04-13 The Board Of Trustees Of The University Of Arkansas Methods of screening for apoptosis-controlling agents for bone anabolic therapies and uses thereof
AU1525700A (en) 1998-11-19 2000-06-05 Board Of Trustees Of The University Of Arkansas, The Increasing bone strength with selected bisphosphonates
JP4490689B2 (ja) * 2001-10-03 2010-06-30 メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション アンドロゲン受容体調節剤としてのアンドロスタン17β−カルボキサミド類
EP1734963A4 (en) 2004-04-02 2008-06-18 Merck & Co Inc METHOD FOR TREATING PEOPLE WITH METABOLIC AND ANTHROPOMETRIC DISORDER
GB0409498D0 (en) * 2004-04-28 2004-06-02 Hunter Fleming Ltd Transdermal steroid formulation
GB0523550D0 (en) * 2005-11-18 2005-12-28 Hunter Fleming Ltd Therapeutic uses of steroidal compounds

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3271426A (en) * 1963-06-28 1966-09-06 Schering Corp Novel androstane oximino ethers and methods for their manufacture
US3741990A (en) * 1969-07-28 1973-06-26 Upjohn Co Organic compounds and processes
EP0496520A1 (en) * 1991-01-22 1992-07-29 Merck & Co. Inc. Novel bone acting agents
US5183815A (en) * 1991-01-22 1993-02-02 Merck & Co., Inc. Bone acting agents

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6579936B1 (en) 1998-07-30 2003-06-17 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Composition of polyarylenesulfide, epoxy resin and oxazoline polymer

Also Published As

Publication number Publication date
EP0698612A4 (en) 1998-05-27
ATE203544T1 (de) 2001-08-15
CA2162604A1 (en) 1994-11-24
DE69427815T2 (de) 2001-11-08
EP0698612B1 (en) 2001-07-25
GR3036736T3 (en) 2001-12-31
CA2162604C (en) 2002-09-17
EP0698612A1 (en) 1996-02-28
AU6657894A (en) 1994-12-12
US5565444A (en) 1996-10-15
PT698612E (pt) 2001-11-30
WO1994026768A1 (en) 1994-11-24
DE69427815D1 (de) 2001-08-30
ES2163439T3 (es) 2002-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5116828A (en) Pharmaceutical composition for treatment of osteoporosis
BG107095A (bg) Използване на комбинация от конюгирани естрогени и медроксипрогестерон ацетат за хормонална заместителна терапия
EP2116250B1 (en) Combination of an estrogen and an androgen for treating hormonal deficiencies in women undergoing estrogen replacement therapy
AU2001250034A1 (en) Hormone replacement therapy using a combination of conjugated estrogens and medroxyprogesterone acetate
HU214598B (hu) Eljárás fogamzásgátló és hormonterápiához alkalmazható, ösztrogént és progesztint tartalmazó gyógyszerkészítmények előállítására
JP4891479B2 (ja) ホルモン代替治療のための生物由来エストロゲンスルファメートの使用
BG63273B1 (bg) Фармацевтичен препарат съдържащ естра-1,3,5(10)-tриенови производни
WO2002074292A2 (en) Hormone replacement therapy
JP3197562B2 (ja) 骨形成促進剤ならびに骨粗鬆症治療剤
RU2360681C2 (ru) Композиция, содержащая комбинацию ингибитора ароматазы, прогестина и эстрогена, и ее применение для лечения эндометриоза
JPH093092A (ja) 骨損失抑制用医薬製剤
Hirvonen et al. Comparison of two hormone replacement regimens—influence on lipoproteins and bone mineral content
EP1505982A1 (en) Trimegestone and estrogens for treating post menopausal disorders
EP1490070A2 (en) Use of conjugated estrogens in combination with trimegestone in hormone replacement therapy
US20030191097A1 (en) Hormone replacement therapy
Nishibe et al. Comparison of effects of estriol on bone mineral density of vertebrae between elderly and postmenopausal women
EP1499322A1 (en) Use of conjugated estrogens in combination with trimegestone in hormone replacement therapy
JPH10279483A (ja) 骨密度増加剤

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090608

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees