JP3197549B2 - 非a非b型肝炎ウイルス遺伝子断片およびウイルスの検出方法 - Google Patents

非a非b型肝炎ウイルス遺伝子断片およびウイルスの検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、非A非B型肝炎ウイルス遺伝子断片および
これを利用した非A非B型肝炎ウイルスの検出方法に関
する。
発明の背景および従来技術 ウイルス性肝炎にはA型肝炎(伝染性肝炎)とB型肝
炎(血清肝炎)の2種類があることは古くから知られて
いた。これは主として感染経路の相違に基づいたもの
で、A型肝炎は経口感染で流行を起こし、B型肝炎は主
として血液を介して伝播されるものであることが確認さ
れていた。これら二つの肝炎の起因ウイルスは既に分離
同定され、A型肝炎ウイルスは、ピコルナウイルスに属
する。直径27nmのRNAウイルスであり[Fineston,S.M.
ら,Science 182 p1026(1973)]、一方B型肝炎ウイル
スは、ヘパドナウイルスに属する直径42nmのエンベロー
プを持つDNAウイルスであることが突き止められた[Dan
e,O.S.ら,Lancet,I p695(1970)]。また、現在では、
これらの肝炎ウイルスの免疫血清学的診断方法が確立さ
れるに至っている。
これら2つの肝炎ウイルスの確定診断方法が確立され
るに従い、このいずれにも属さない非A非B型肝炎の存
在が明らかになってきた[Prince,A.M.ら,Lancet.I p24
1(1974)]。
輸血後肝炎は、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)
のスクリーニング方法の導入により大幅に減少したがゼ
ロにはならず、しかも、発生した肝炎患者からは、A
型、B型肝炎の感染の証拠は得られなかった。このこと
から、この肝炎は一般に非A非B型肝炎と呼ばれてい
る。
この肝炎は、我国では散発性肝炎の約50%、輸血後肝
炎の90%以上にのぼり、更に慢性肝炎、肝硬変、肝癌の
50%以上が非A非B型肝炎に起因すると推定されてお
り、大きな社会問題となっている。
最近になって、この主に血液を介して感染する非A非
B型肝炎ウイルスに関して、HCV(C型肝炎ウイルス)
という呼称が定着しつつあり、HCVに関係した抗体のス
クリーニング方法も既に開発されているが、その詳しい
ウイルス学的性状等については未だ不明である[Choo
ら、Science,244,359−362(1989)、Kuoら、Science,2
44,362−364(1989)]。
これとは別に、インド、ミャンマー、アフガニスタ
ン、または、北アフリカなどで経口感染で流行する、第
二のウイルス性非A非B型肝炎があることが明らかにな
った[Khuroo,M.S.Am.J.Med.,68 p818−824,(198
0)]。これは、一般には水系、または流行性非A非B
型肝炎と呼ばれている。我国では、この肝炎の流行は見
られていないが、渡航者の流行地からの肝炎の輸入は若
干見られるようである[福原ら、第25回日本肝臓学会総
会講演要旨集151頁(1989)]。
本発明は、上記で言う後者の、主に水を介して感染す
る流行性非A非B型肝炎ウイルスに関するものであり、
本明細書中では、HAV、HBVまたはHCVでないこのウイル
スを非A非B型肝炎ウイルスと言う。
この非A非B型肝炎についてはウイルス本体の分離同
定はされておらず、このため、この肝炎の診断方法、治
療法、予防法は確立されていない。また、この肝炎の診
断は除外診断によるしかなかった。即ち、患者の血清に
ついて、診断方法が確立されているA型、B型肝炎の検
査を行い、これらの肝炎であることを否定し、更に、全
身感染の一部の症状として肝炎症状を示す、ヘルペス、
サイトメガロ、エプスタインバーウイルス感染の可能性
を否定し、薬物性や、アルコール性肝炎、自己免疫性肝
炎を否定して非A非B型肝炎として診断されていた。
本発明の対象となる非A非B型肝炎は、インド、ネパ
ール、ミャンマーおよび北アフリカ等をその主な流行地
としている。感染経路としては、飲料水や野菜を通じた
ものが主な経路であり、感染後の症状としては、通常一
過性の感染、すなわち急性肝炎を起こすだけで持続感染
は一般にないことが知られている。しかしながら、妊婦
がこのウイルスに感染すると死亡率が20%と非常に高い
ことが知られており[Tandonら、Indian J.Med.Res.75,
p739−744(1982)]、しばしば飲料水の汚染によって
大流行を起こすこともある。最近の例としては、1986年
から1988年にかけて中国のウルムチ自治区の西南部にお
いて12万人の患者が発生するという大流行が報告されて
いる[現代化学,1987年7月号 p62−67、感染症学雑
誌,64,p105−111(1990)]。したがって、このような
流行地に渡航する人々にとって、有効なワクチンの開発
並びに抗体、抗原またはウイルスそのものの保有状態を
容易に検出できる診断試薬の開発が望まれている。
これまでの報告によれば、免疫電顕によるウイルス様
粒子の検出が報告されており[SreenivasanらJ.Gen.Vir
ol.,65,p1005−1007(1984)]さらにサルを用いた動物
モデルにおいて感染実験が成功したことが報告されてい
る[Kaneら,JAMA 252,p3140−3145(1984)]。
本発明者らにおいても、流行地における急性期患者の
糞便から調製したウイルス液をカニクイザルの静脈に接
種したところ感染が成立し、その継代感染にも成功し
た。又、感染したサルの糞便およびサル肝臓細胞中にウ
イルス様粒子を検出した[Soeら,Liver 9,p135−145(1
989)]。さらにサル胆汁中に多量のウイルス様粒子が
検出されることを確認した[現代化学、1989年7月号、
p62−67]。
しかしながら、本非A非B型肝炎の原因ウイルスの具
体的な性状ならびにウイルス遺伝子の塩基配列等につい
ては、未だ報告されておらず、この原因ウイルスを直接
検出するような検出方法は確立されていなかった。
発明の目的 このような状況において、本発明者らは非A非B型肝
炎ウイルスを単離すべく鋭意研究を重ねた結果、非A非
B型肝炎ウイルスに特異的な核酸配列を同定することに
成功した。さらに本発明者らは、このような非A非B型
肝炎ウイルスに特異的な遺伝子断片を用いることによっ
て、これまでに検出不可能であった非A非B型肝炎ウイ
ルスを検出することが可能であることを見いだし、さら
にこの様な検出方法はヒト血清を検査対象として用いる
ことができることを見いだし本発明を完成するに至っ
た。すなわち本発明は、これまで不可能とされていた非
A非B型肝炎ウイルスの検出等に有効な非A非B型肝炎
ウイルス遺伝子断片を提供するものである。
発明の構成及び効果 本発明の非A非B型肝炎ウイルス遺伝子断片は、非A
非B型肝炎ウイルス感染カニクイザルの胆汁から、抽出
・単離することが可能である。まず、胆汁を生理食塩水
で希釈し、低速遠心で組織片等を除く。次に20%ショ糖
を含む生理食塩水の上に重層し超遠心を行う。このこと
によりペレットにウイルス粒子を回収することができ
る。このウイルス粒子をグアニジンチオシアネート処理
することによってRNAを抽出し、これを鋳型としてcDNA
を合成する。
しかしながら、目的の非A非B型肝炎ウイルスはサン
プル中には量的にも少なく、このウイルス由来RNAからc
DNAを合成し単離することは容易ではない。この問題を
克服するために本発明者らは、合成リンカーDNAを用い
たポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を応用した。すなわ
ち、本発明者らが、先に開発した未知核酸配列の増幅方
法(特願平1−189875号)に基づき、前述した非A非B
型肝炎ウイルス遺伝子cDNAの両端に合成リンカーを付加
し、リンカー部分の塩基配列をプライマーにしてPCRを
行う。この操作により、微量しか存在しなかった非A非
B型肝炎ウイルス遺伝子断片を単離可能な量まで増幅す
ることができる。次にリンカー部位に含まれている制限
酵素Not I認識部位を利用して、プラスミドベクターpBl
uescript II(KS+)[ストラテジーン社]のNot I部位
に挿入し単離することが可能である。しかしながら、こ
の方法では共存しているカニクイザル染色体由来のDNA
断片もウイルス遺伝子断片と同様に増幅されるために、
本発明においては、次の3段階のステップによりカニク
イザル染色体由来DNAを除去することができる。(1)
まず、サル染色体DNAに特有の繰り返し配列をプローブ
にしてコロニーハイブリダイゼーションを行う。(2)
次に上記コロニーハイブリダイゼーションで反応しなか
ったプラスミドクローンからインサートDNAを回収し、
それをプローブにして正常カニクイザル肝臓DNAのサザ
ーンハイブリダイゼーションを行う。陽性を示すプロー
ブは、サル染色体由来と考えられるので除去する。
(3)残ったプラスミドクローンのインサートDNAの塩
基配列を決定する。得られた塩基配列をもとにしてプラ
イマーを合成し、正常カニクイザル肝臓DNAをサンプル
にしたPCRを行う。エチジウムブロマイド染色及びイン
サート全長をプローブにしたサザーンハイブリダイゼー
ションにより陽性バンドが現れたクローンを除く。尚、
ここで使用するサル染色体DNAに特有な繰り返し配列
は、別の機会に正常サル肝臓DNAから単離し、塩基配列
を決定して、データベースでホモロジーが高いことを確
認したものを用いる[Proc.Natl.Acad.Sci.USA vol.77
p2129−2133(1980),Nucl.Acids Res.Vol.13 p7813−7
827(1985),同Vol.12,p5823−5836(1984)]。上記
(2)(3)のステップを経た後に残ったプラスミドク
ローンpWB6−352について、そのインサートDNAの非A非
B型肝炎ウイルス特異性を検討したところ次のようなこ
とが判明した。
すなわち、pMB6−352の塩基配列に基づきプライマー
を調製し、これを用いて各種のcDNAに対してPCR反応を
行い、pWB6−352の一部塩基配列をプローブにしてサザ
ーンハイブリダイゼーションを行うと、正常サル胆汁由
来cDNAから陽性バンドは検出されないが、感染サル胆汁
由来cDNAからは陽性バンドが検出される。さらに、正常
サル糞便由来cDNAではサザーンハイブリダイゼーション
で陽性バンドは検出されないが、感染サル糞便由来cDNA
では陽性バンドが検出される。
また非A非B型肝炎患者10人(ミャンマー)及び正常
人5人(日本)の糞便からそれぞれcDNAを調製しPCRを
行ったところ、サザーンハイブリダイゼーションで陽性
なシグナルを検出したのは、非A非B型肝炎患者10人中
7人であり、正常人5人からは検出されなかった。
また、このようにして単離した本発明のcDNAを、デー
タベースを用いてこれまでに報告されている遺伝子の塩
基配列とのホモロジー検索を行ったところ、報告されて
いるどの遺伝子の塩基配列ともホモロジーはなかった。
以上の結果からプラスミドpWB6−352に含まれるイン
サートDNAは非A非B型肝炎ウイルス由来の遺伝子断片
であることが判明した。
このような非A非B型肝炎ウイルス遺伝子断片の塩基
配列は、この配列をもとにPCRプライマー、プローブを
作ることによって、非A非B型肝炎ウイルスの遺伝子診
断に利用することができる。又、ウイルスの含有量が比
較的多い検体については、この塩基配列をもとにしたプ
ローブにより、PCRを経ずに直接非A非B型肝炎ウイル
ス遺伝子を検出することも可能である。その際に使用す
る測定対象物質としては、血清、糞便、肝臓および胆汁
等が挙げられる。
PCR法は、通常用いられている方法により実施するこ
とができる[Saikiら,Science,Vol.239,p487−491(198
8)]。本発明で示された非A非B型肝炎ウイルス遺伝
子断片の塩基配列に基づいてPCRプライマーを合成した
場合、それぞれ10塩基以上の2箇所を自由に選ぶことが
できる。本実施例ではその一例を示した。
さらに、この非A非B型肝炎ウイルス遺伝子断片の塩
基配列がコードするペプチドを用いて、抗原抗体反応を
利用した非A非B型肝炎ウイルスに対する抗体のスクリ
ーニングを行うことも可能である。このような抗原抗体
反応を利用したウイルス検出方法についても、通常の酵
素その他の標識物質を用いた方法、例えばELISA等を応
用することが可能である。
このようなペプチドは、適当なベクターとこれに適し
た宿主細胞を用い遺伝子組換え技術の常法に従い大量に
発現・回収することができる。また、化学的に合成した
ペプチドも使用可能である。
さらに、本発明は、非A非B型肝炎ウイルスの検出法
として、血液を測定対象として各種のウイルス測定法が
可能であることを開示するものである。すなわち、これ
までの報告では、本発明の対象とする非A非B型肝炎ウ
イルスは、感染患者の糞便や胆汁中にはその存在が報告
されていたものの、血液中にウイルス粒子が現れること
については一切確認されていなかった。この事実は、本
発明によって初めて報告されるものであり、患者血清を
その測定対象とすることで、容易に非A非B型肝炎ウイ
ルスの存在を確認することが可能となる。
本発明において、血液中にも非A非B型肝炎ウイルス
が検出されることが開示されたことにより、これまでA
型、B型、C型肝炎ウイルスのアッセイを行っても除去
しきれなかった血液中の肝炎原因ウイルスをさらに除去
することが可能となった。
この知見と本発明により開示された非A非B型肝炎ウ
イルス特異的DNA配列を用いてPCR等の手段を応用するこ
とにより、血液や糞便などの検体中のウイルスの同定が
非常に容易になった。
以下、実施例に沿って本発明をさらに詳細に説明す
る。
実施例 (1)非A非B型肝炎ウイルスの調製 非A非B型肝炎患者の急性期糞便より調製したウイル
ス液を、カニクイザルの静脈に接種したところ感染が成
立した。さらに、感染したサルの糞便を用いての継代感
染も成立した[Liver 9,p135−145(1989)]。
感染したサルの胆汁を電子顕微鏡で観察したところ、
直径約27nmのウイルス粒子が検出された(現代化学1989
年7月号、p62−67)。この胆汁約2mlからウイルス粒子
を精製し、以下の実験に用いた。
(2)非A非B型肝炎ウイルス遺伝子断片のクローニン
グ (1)で得られたウイルス粒子を、5.5Mグアニジンチ
オシアネートで処理し、ウイルスゲノム由来の核酸を抽
出した。逆転写酵素およびランダムプライマーを用いて
cDNAを合成し、二本鎖直鎖状DNAの形にした。両端に合
成リンカー[DNA1;5′−ATTGCGGCCGCTTAA−3′,DNA2;
5′−CCCTTTAAGCGGCCGCAAT−3′]を結合させた後、リ
ンカー部分をプライマー[DNA3;5′−TTAAGCGGCCGCAAT
−3′]にしてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った
[特願平1−189875号]。得られたPCR産物を制限酵素N
ot Iで消化し、プラスミドベクターpBluescript II[ス
トラテジーン社]を用いてcDNAライブラリーを作成し
た。このプラスミドライブラリーから、以下の様な操作
でウイルス特異的核酸のスクリーニングを行った。
まず、サル染色体DNAに特異的な繰り返し配列をプロ
ーブにしたコロニーハイブリダイゼーションで陽性を示
すプラスミドを除外した。ここで使用したサル染色体DN
Aに特異的に繰り返し配列は、正常カニクイザル肝臓DNA
から単離し、塩基配列を決定したものを用いた。これを
これまでに報告されている繰り返し配列とホモロジーが
高いことを確認したものを3種類混合して用いた[Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA Vol.77 p2129−2133(1980),Ncu
1.Acid Res.,Vol.12 p5823−5836(1984),Nucl.Acid.R
es.Vol.13 p7813−7827(1985)]。残ったプラスミド
のインサートサイズを調べ、インサートの長いプラスミ
ドからインサートDNAを調製した。得られたインサートD
NAをプローブにして、正常カニクイサル肝臓DNAのサザ
ーンハイブリダイゼーションを行った。この結果、陽性
を示すプローブは、サル染色体由来と考えられるので除
外した。
さらに残ったプラスミドのインサートDNAの塩基配列
を決定した。得られた塩基配列をもとにしてプライマー
を合成し、正常サル肝臓DNAをサンプルにしたPCRを行っ
た。エチジウムブロマイド染色及びインサート全長をプ
ローブにしたサザーンハイブリダイゼーションにより陽
性バンドが現れたプラスミドは除外した。
このようにして、最終的に360bpの遺伝子断片がイン
サートされたプラスミドpWB6−352が残った。
(3)プラスミドpWB6−352に含まれる遺伝子断片の非
A非B型肝炎ウイルス特異性の確認 まず、非A非B型肝炎ウイルス感染サル胆汁と正常サ
ル胆汁からそれぞれRNA抽出、cDNA合成を行った。
プラスミドpWB6−352のインサート塩基配列に基づく
プライマー352−A[5′−ACCTGTGGTGAACTTGTT−
3′]および352−B[5′−AACCAGCGCAAGGCCGTG−
3′]を用いてPCRを行い、352−C[5′−GCTCGTACAG
TTCACAAGTT−3′]をプローブにしたサザーンハイブリ
ダイゼーションを行った。その結果、正常サル胆汁由来
cDNAから陽性バンドは検出されなかった。一方、感染サ
ル胆汁由来cDNAからは、サザーンハイブリダイゼーショ
ンにおいて陽性バンドが検出され、そのバンドは予想ど
うりの分子サイズ(約280bp)を示していた。
次に、感染サル糞便と正常サル糞便からそれぞれcDNA
を調製し、上記と同様にしてPCRを行った。正常サル糞
便由来cDNAの方は、サザーンハイブリダイゼーションで
プローブ352−Cとハイブリダイズするバンドは検出さ
れなかったが、感染サル糞便由来cDNAでは、サザーンハ
イブリダイゼーションにおいて予想通りのサイズの陽性
バンドが検出された。
最後に非A非B型肝炎患者10人(ミャンマー)及び正
常人5人(日本)の糞便からそれぞれcDNAを調製しPCR
を行った。その結果、サザーンハイブリダイゼーション
で陽性なシグナルを検出したのは、非A非B型肝炎患者
10人中7人であり、正常人5人からは検出されなかっ
た。
また、pWB6−352のインサートDNAの塩基配列は、デー
タベースに報告されているどの遺伝子の塩基配列ともホ
モロジーはなかった。
以上の結果から、プラスミドpWB6−352に含まれる遺
伝子は非A非B型肝炎ウイルス由来であることが判明し
た。
(4)PCRを用いた血中ウイルスの検出 (3)で得られた非A非B型肝炎ウイルス遺伝子断片
の塩基配列に基いて、感染カニクイサルの血中ウイルス
の検出を試みた。まず、非A非B型肝炎ウイルスの感染
実験を行った4頭のカニクイサル(No.5578,5975,6201
および6205)のウイルス接種前から、肝炎回復後までの
血清を採取した。
次に、各血清100μに5M NaCl 10.7μと40%PEG2
3.4μを添加し、0℃1時間静置後、遠心してペレッ
トを回収した。5.5Mグアニジンチオシアネートでウイル
ス核酸を抽出し、逆転写酵素及びランダムプライマーを
用いてcDNAを合成した。352−A及び352−Bをプライマ
ーとしてPCRを35サイクル行った後、2%アガロースゲ
ル電気泳動、エチジウムブロマイド染色を行った。さら
に352−Cをプローブとしたサザーンハイブリダイゼー
ションにより約280bpのバンドを検出した。結果を第2
図に示した。第2図は、カニクイザル感染実験における
GOT値(□)、GPT値(◆)、電子顕微鏡観察による胆汁
中のウイルス粒子の出現(+)及びPCRによる血清中ウ
イルス核酸の検出結果(P:陽性、N:陰性)を示してい
る。検出した4頭とも接種後、7日目ごとから血清中に
ウイルス核酸が検出され、肝炎回復後は検出されなくな
ることが判明した。この変化は、電子顕微鏡観察による
胆汁中のウイルス粒子の出現と対応していた。
以上の結果から、主に水を介して感染する流行性非A
非B型肝炎ウイルスも、感染初期には血液中にも存在す
ること、およびその血中ウイルスの存在を、本発明によ
って得られた非A非B型肝炎ウイルス遺伝子断片の塩基
配列に基づくPCR法によって検出することが判明した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明においてクローニングされたpWB6−35
2の塩基配列ならびにこの遺伝子によってコードされう
るアミノ酸配列を一文字表記法によって示す。 第2図は、実施例(4)における4頭のカニクイサルを
用いた感染実験におけるGOT値(□)、GPT値(◆)、電
子顕微鏡観察による胆汁中のウイルス粒子の出現(+)
及びPCR法による血清中ウイルス核酸の検出結果(P:陽
性、N:陰性)を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 坂崎 恵美子 (56)参考文献 特開 昭64−47383(JP,A) 欧州特許出願公開318216(EP,A 1) Proc.Japan Acad., Vol.65,p.219−223(1989) 現代化学,7月号,p.62−67 (1989) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 C12Q 1/68 G01N 33/569 G01N 33/576 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の塩基配列又は該塩基配列に相補的な
    配列で表され、流行性非A非B型肝炎ウイルス遺伝子に
    特異的に結合し得る核酸断片。
  2. 【請求項2】流行性非A非B型肝炎ウイルス遺伝子を検
    出するための核酸プローブであって、下記の塩基配列又
    は該塩基配列に相補的な配列で表される核酸断片からな
    ることを特徴とする前記核酸プローブ。
  3. 【請求項3】前記第(2)項記載の核酸プローブを、対
    象となるサンプルの核酸断片にハイブリダイズさせるこ
    とを特徴とする流行性非A非B型肝炎ウイルスの検出方
    法。
  4. 【請求項4】前記(1)項記載の核酸断片によりコード
    される流行性非A非B型肝炎ウイルスペプチド。
  5. 【請求項5】前記(4)項記載のペプチドを用いた抗原
    抗体反応系を利用することを特徴とする流行性非A非B
    型肝炎ウイルス抗体の検出方法。
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Proc.Japan Acad.,Vol.65,p.219−223(1989)
現代化学,7月号,p.62−67(1989)

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