JP2818762B2 - 非a非b型肝炎ウイルス抗原ペプチドをコードする核酸断片およびその利用法 - Google Patents
非a非b型肝炎ウイルス抗原ペプチドをコードする核酸断片およびその利用法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、A型でもB型でもない血清型肝炎の原因ウ
イルス(非A非B型肝炎ウイルス)のウイルス抗原をコ
ードする遺伝子断片、非A非B型肝炎ウイルス抗原ペプ
チド、およびこれら利用法に関する。
イルス(非A非B型肝炎ウイルス)のウイルス抗原をコ
ードする遺伝子断片、非A非B型肝炎ウイルス抗原ペプ
チド、およびこれら利用法に関する。
発明の背景および従来技術 ウイルス性肝炎にはA型肝炎(伝染性肝炎)とB型肝
炎(血清肝炎)の2種類があることは古くから知られて
いた。これは主として感染経路の相違に基づいたもの
で、A型肝炎は経口感染で流行を起こし、B型肝炎は主
として血液を介して伝播されるものであることが確認さ
れていた。これら二つの肝炎の起因ウイルスは既に分離
同定され、A型肝炎ウイルスは、ピコルナウイルスに属
する、直径27nmのRNAウイルスであり[Fineston,S.M.et
al.,Science 182 p1026(1973)]、一方B型肝炎ウイ
ルスは、ヘパドナウイルスに属する直径42nmのエンベロ
ープを持つDNAウイルスであることが突き止められた。
[Dane,O.S.,et al.,Lancet,I p695(1970)]また、現
在では、これらの肝炎ウイルスの免疫血清学的診断方法
が確立されるに至っている。
炎(血清肝炎)の2種類があることは古くから知られて
いた。これは主として感染経路の相違に基づいたもの
で、A型肝炎は経口感染で流行を起こし、B型肝炎は主
として血液を介して伝播されるものであることが確認さ
れていた。これら二つの肝炎の起因ウイルスは既に分離
同定され、A型肝炎ウイルスは、ピコルナウイルスに属
する、直径27nmのRNAウイルスであり[Fineston,S.M.et
al.,Science 182 p1026(1973)]、一方B型肝炎ウイ
ルスは、ヘパドナウイルスに属する直径42nmのエンベロ
ープを持つDNAウイルスであることが突き止められた。
[Dane,O.S.,et al.,Lancet,I p695(1970)]また、現
在では、これらの肝炎ウイルスの免疫血清学的診断方法
が確立されるに至っている。
これら2つの肝炎ウイルスの確定診断方法が確立され
るに従い、このいずれにも属さない非A非B型肝炎の存
在が明らかになってきた[Prince,A.M.,et al.,Lancet.
I p241(1974)]。
るに従い、このいずれにも属さない非A非B型肝炎の存
在が明らかになってきた[Prince,A.M.,et al.,Lancet.
I p241(1974)]。
輸血後肝炎は、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)
のスクリーニング方法の導入により大幅に減少したがゼ
ロにはならず、しかも、発生した肝炎患者からは、A
型、B型肝炎の感染の証拠は得られなかった。このこと
から、この肝炎は一般に非A非B型肝炎と呼ばれてい
る。
のスクリーニング方法の導入により大幅に減少したがゼ
ロにはならず、しかも、発生した肝炎患者からは、A
型、B型肝炎の感染の証拠は得られなかった。このこと
から、この肝炎は一般に非A非B型肝炎と呼ばれてい
る。
この肝炎は、我国では散発性肝炎の約50%、輸血後肝
炎の90%以上にのぼり、更に慢性肝炎、肝硬変、肝癌の
50%以上が非A非B型肝炎に起因すると推定されてお
り、大きな社会問題となっている。
炎の90%以上にのぼり、更に慢性肝炎、肝硬変、肝癌の
50%以上が非A非B型肝炎に起因すると推定されてお
り、大きな社会問題となっている。
これとは別に、インド、ビルマ、アフガニスタン、ま
たは、北アフリカなどで経口感染で流行する、第二のウ
イルス性非A非B型肝炎があることが明らかになった
[Khuroo,M.S.Am.J.Med.,68 p818−824,(1980)]。こ
れは、一般には水系、または流行性非A非B型肝炎と呼
ばれている。我国では、この肝炎の流行は見られていな
いが、渡航者の流行地からの肝炎の輸入は若干見られる
ようである[福島ら、第25回日本肝臓学会総会講演要旨
集151頁(1989)]。
たは、北アフリカなどで経口感染で流行する、第二のウ
イルス性非A非B型肝炎があることが明らかになった
[Khuroo,M.S.Am.J.Med.,68 p818−824,(1980)]。こ
れは、一般には水系、または流行性非A非B型肝炎と呼
ばれている。我国では、この肝炎の流行は見られていな
いが、渡航者の流行地からの肝炎の輸入は若干見られる
ようである[福島ら、第25回日本肝臓学会総会講演要旨
集151頁(1989)]。
本発明は、上記で言う前者の、主に血液を介して感染
する血液型非A非B型肝炎ウイルスに関するものであ
り、本明細書中では、このウイルスを非A非B型肝炎ウ
イルスと言う。
する血液型非A非B型肝炎ウイルスに関するものであ
り、本明細書中では、このウイルスを非A非B型肝炎ウ
イルスと言う。
この非A非B型肝炎についてはウイルス本体の分離同
定はされておらず、このため、この肝炎の診断方法、治
療法、予防法は確立されていない。また、この肝炎の診
断は除外診断によるしかなかった。即ち、患者の血清に
ついて、診断方法が確立されているA型、B型肝炎の検
査を行い、これらの肝炎であることを否定し、更に、全
身感染の一部の症状として肝炎症状を示す、ヘルペス、
サイトメガロ、エプスタインバーウイルス感染の可能性
を否定し、薬物性や、アルコール性肝炎、自己免疫性肝
炎を否定して非A非B型肝炎として診断されていた。
定はされておらず、このため、この肝炎の診断方法、治
療法、予防法は確立されていない。また、この肝炎の診
断は除外診断によるしかなかった。即ち、患者の血清に
ついて、診断方法が確立されているA型、B型肝炎の検
査を行い、これらの肝炎であることを否定し、更に、全
身感染の一部の症状として肝炎症状を示す、ヘルペス、
サイトメガロ、エプスタインバーウイルス感染の可能性
を否定し、薬物性や、アルコール性肝炎、自己免疫性肝
炎を否定して非A非B型肝炎として診断されていた。
この肝炎の原因ウイルスが感染性を持つことは、1978
年アメリカの研究グループにより、チンパンジーを用い
た感染実験で証明された[Tabor,E.,et al.,Lancet.I p
463(1978)]。しかし世界中の多くの努力にもかかわ
らず、10年以上経た今も、原因ウイルスの実態はわかっ
ていない。患者感染チンパンジーの血液や肝組織を材料
として、寒天ゲル内沈降反応、免疫電流向流法、ラジオ
イムノアッセイ、蛍光抗体法、電顕法などのA型および
B型肝炎の研究で用いられたほとんどすべてのアプロー
チにより、ウイルスや関連抗原抗体系捜しが行われたき
たが、いまだ確実といわれるものは得られていない。
年アメリカの研究グループにより、チンパンジーを用い
た感染実験で証明された[Tabor,E.,et al.,Lancet.I p
463(1978)]。しかし世界中の多くの努力にもかかわ
らず、10年以上経た今も、原因ウイルスの実態はわかっ
ていない。患者感染チンパンジーの血液や肝組織を材料
として、寒天ゲル内沈降反応、免疫電流向流法、ラジオ
イムノアッセイ、蛍光抗体法、電顕法などのA型および
B型肝炎の研究で用いられたほとんどすべてのアプロー
チにより、ウイルスや関連抗原抗体系捜しが行われたき
たが、いまだ確実といわれるものは得られていない。
非A非B型肝炎ウイルス究明の歴史は、期待と失望の
歴史であったともいえる。数多くのウイルスあるいは抗
原抗体系の候補が浮かび上がってきたが、それらは次々
に否定されていった[Prince,A.M.,Ann.Rev.Microbio
l.,37,p217(1983)]。
歴史であったともいえる。数多くのウイルスあるいは抗
原抗体系の候補が浮かび上がってきたが、それらは次々
に否定されていった[Prince,A.M.,Ann.Rev.Microbio
l.,37,p217(1983)]。
最近の例では、Setoらのレトロウイルス説があり[Se
to,B.et al.:Lancet.I p941−943(1984)]、彼等によ
ると、チンパンジーに非A非B型肝炎を起こすことが証
明されている血清や血液製剤に逆転写酵素活性が検出さ
れ、ショ糖密度勾配遠心ではこの酵素は、1.14g/mlの部
分にくる、すなわちレトロウイルスと似た浮上密度を持
つというものであった。続いて、Princeらは、チンパン
ジー肝初代培養細胞に患者血清を接種して、レトロウイ
ルス様粒子が見られたと報告した[Prince,A.M.et al.:
Lancet.I p1071−1075(1984)]。しかしながら、逆転
写酵素活性はHollingerらの追試により否定された[Hol
linger et al.,Lancet,I p41(1986)]。更に、prince
らの観察したウイルス粒子はミクソウイルスの混入とし
て否定された。
to,B.et al.:Lancet.I p941−943(1984)]、彼等によ
ると、チンパンジーに非A非B型肝炎を起こすことが証
明されている血清や血液製剤に逆転写酵素活性が検出さ
れ、ショ糖密度勾配遠心ではこの酵素は、1.14g/mlの部
分にくる、すなわちレトロウイルスと似た浮上密度を持
つというものであった。続いて、Princeらは、チンパン
ジー肝初代培養細胞に患者血清を接種して、レトロウイ
ルス様粒子が見られたと報告した[Prince,A.M.et al.:
Lancet.I p1071−1075(1984)]。しかしながら、逆転
写酵素活性はHollingerらの追試により否定された[Hol
linger et al.,Lancet,I p41(1986)]。更に、prince
らの観察したウイルス粒子はミクソウイルスの混入とし
て否定された。
非A非B型肝炎の研究を困難にしている問題点は、血
清中のウイルス濃度が102〜103と低いこと、同じ接種材
料で最感染を起こしたチンパンジーがあるなど、抗体の
存在が疑がわしいこと、感染実験モデルがチンパンジ
ー、マーモセッットしかいないことなどである。
清中のウイルス濃度が102〜103と低いこと、同じ接種材
料で最感染を起こしたチンパンジーがあるなど、抗体の
存在が疑がわしいこと、感染実験モデルがチンパンジ
ー、マーモセッットしかいないことなどである。
最近になって英国のカイロン社が、非A非B型肝炎ウ
イルスのcDNAを捕らえたという報告があったが[Choo,Q
et al.,Science,224.p359−362(1989),Kuo,G.et a
l.,Science,244,p362−364(1989)]、ウイルスそのも
のの性状、ウイルス構成淡白の性状などはまだ明らかに
されていない。
イルスのcDNAを捕らえたという報告があったが[Choo,Q
et al.,Science,224.p359−362(1989),Kuo,G.et a
l.,Science,244,p362−364(1989)]、ウイルスそのも
のの性状、ウイルス構成淡白の性状などはまだ明らかに
されていない。
一般に、ウイルスの違いは、その免疫血清学的性状の
違い、分子遺伝学的性状の違いより診断方向がまったく
異なってくる。また、株の違いは、免疫血清学的性状が
一部異なるため同一の診断方法では株間の違いにより検
出感度の違い、ワクチンでは免疫原性、感染防御能の違
いが出てくる。分子遺伝学的診断方法、たとえばDNAプ
ローブ診断においては、プローブとウイルス核酸の間の
ハイブリダイゼーションは核酸レベルでのホモロジーが
非常に高くないと実用的ではないことが一般に知られて
いる。すなわち、株間での核酸レベルでの差異により、
DNAのハイブリダイゼーションが起こらず、DNAプローブ
診断が効果的にできないケースが考えられる。
違い、分子遺伝学的性状の違いより診断方向がまったく
異なってくる。また、株の違いは、免疫血清学的性状が
一部異なるため同一の診断方法では株間の違いにより検
出感度の違い、ワクチンでは免疫原性、感染防御能の違
いが出てくる。分子遺伝学的診断方法、たとえばDNAプ
ローブ診断においては、プローブとウイルス核酸の間の
ハイブリダイゼーションは核酸レベルでのホモロジーが
非常に高くないと実用的ではないことが一般に知られて
いる。すなわち、株間での核酸レベルでの差異により、
DNAのハイブリダイゼーションが起こらず、DNAプローブ
診断が効果的にできないケースが考えられる。
血清型の肝炎として、よく知られ、既によく解析され
ているB型肝炎においては、欧米、東南アジア等の地域
ごとのメジャーなB型肝炎ウイルスのサブタイプ、すな
わちその地域に特徴的な流行株(サブタイプ)が存在す
ることが知られていることから、本発明の対象となる非
A非B型肝炎ウイルスにおいても地域に特有なウイルス
種、もしくはウイルス株等が存在することが考えられ
る。
ているB型肝炎においては、欧米、東南アジア等の地域
ごとのメジャーなB型肝炎ウイルスのサブタイプ、すな
わちその地域に特徴的な流行株(サブタイプ)が存在す
ることが知られていることから、本発明の対象となる非
A非B型肝炎ウイルスにおいても地域に特有なウイルス
種、もしくはウイルス株等が存在することが考えられ
る。
したがって、特定の地域、例えば特に日本で流行して
いる非A非B型肝炎ウイルスの診断方法、予防方法を確
立するには、日本でメジャーな非A非B型肝炎ウイルス
株を捕える必要がある。
いる非A非B型肝炎ウイルスの診断方法、予防方法を確
立するには、日本でメジャーな非A非B型肝炎ウイルス
株を捕える必要がある。
発明の目的 このような状況のもとに、本発明者らは、非A非B型
肝炎の原因ウイルスもしくはそのウイルス遺伝子のクロ
ーニングを目的として研究を重ねた結果、肝炎患者血清
より非A非B型肝炎ウイルスの抗原ペプチド配列をコー
ドしている遺伝子をクローニングすることに成功した。
肝炎の原因ウイルスもしくはそのウイルス遺伝子のクロ
ーニングを目的として研究を重ねた結果、肝炎患者血清
より非A非B型肝炎ウイルスの抗原ペプチド配列をコー
ドしている遺伝子をクローニングすることに成功した。
すなわち、本発明者らは、献血者のGPT高値血漿を用
いて、従来の免疫血清学的方法とは違った新しい分子遺
伝学的手法を取り入れたイムノスクリーニング法によ
り、非A非B型肝炎ウイルスに特有なペプチドをコード
している遺伝子をクローニングした。さらに、この遺伝
子断片を遺伝子組換え技術を用いて発現させ得られた発
現産物が、非A非B型肝炎患者血清と蛋白レベルにおい
ても特異的に反応することを確認し、本発明を完成する
に至った。
いて、従来の免疫血清学的方法とは違った新しい分子遺
伝学的手法を取り入れたイムノスクリーニング法によ
り、非A非B型肝炎ウイルスに特有なペプチドをコード
している遺伝子をクローニングした。さらに、この遺伝
子断片を遺伝子組換え技術を用いて発現させ得られた発
現産物が、非A非B型肝炎患者血清と蛋白レベルにおい
ても特異的に反応することを確認し、本発明を完成する
に至った。
発明の構成および効果 本発明の目的とするような核酸断片をクローニングす
るに際しては、研究材料として非A非B型肝炎に感染し
た日本人の肝臓、並びに非A非B型肝炎を感染させたチ
ンパンジーの肝臓を用い、mRNAを抽出しcDNAを合成し
て、その中から、染色体DNAとのサブトラクションによ
りウイルス特異的cDNAを選択してくることが考えられ
る。しかしながら、これに必要な良い実験材料を十分な
量確保することはきわめて困難である。
るに際しては、研究材料として非A非B型肝炎に感染し
た日本人の肝臓、並びに非A非B型肝炎を感染させたチ
ンパンジーの肝臓を用い、mRNAを抽出しcDNAを合成し
て、その中から、染色体DNAとのサブトラクションによ
りウイルス特異的cDNAを選択してくることが考えられ
る。しかしながら、これに必要な良い実験材料を十分な
量確保することはきわめて困難である。
もう一つの研究材料として非A非B型肝炎感染者ある
いは感染チンパンジーのの血漿が考えられる。ヒトでは
非A非B型肝炎のキャリアーの存在が確認されており、
輸血において供血者のGPT値が高い程輸血後非A非B型
肝炎の発生頻度が高いことからGPT高値の血漿はキャリ
アーの頻度が高いと推定されている。そこで我々は比較
的多量に入手可能である、日本の献血者のGPT高値血漿
をプールとし、研究材料とした。このほか、日本人の非
A非B型肝炎患者の血清を接種し非A非B型肝炎を発症
させたチンパンジーの血漿も用いることができるが、現
在ではチンパンジーの入手性から多少問題が残る。
いは感染チンパンジーのの血漿が考えられる。ヒトでは
非A非B型肝炎のキャリアーの存在が確認されており、
輸血において供血者のGPT値が高い程輸血後非A非B型
肝炎の発生頻度が高いことからGPT高値の血漿はキャリ
アーの頻度が高いと推定されている。そこで我々は比較
的多量に入手可能である、日本の献血者のGPT高値血漿
をプールとし、研究材料とした。このほか、日本人の非
A非B型肝炎患者の血清を接種し非A非B型肝炎を発症
させたチンパンジーの血漿も用いることができるが、現
在ではチンパンジーの入手性から多少問題が残る。
血漿中の非A非B型肝炎ウイルス濃度は先に述べたよ
うに102〜103程度しかないと推定されていることから、
ウイルス核酸の抽出およびcDNAの合成には1000倍程度ウ
イルスを濃縮する必要がある。しかしながら、ヒト血漿
は7%前後の蛋白溶液であり、ただ単に濃縮することは
不可能であり、除蛋白をしながらウイルスを濃縮する必
要がある。我々が用いたポリエチレングリコール(PE
G)などの沈澱剤による沈澱形成は、比較的簡便に行う
ことができ、大量の血漿の処理にも適しており、ウイル
スの失活も少ないマイルドな方法である。このほかに
は、超遠心によるペレッティング、硫安などの塩類の添
加による塩析、限外濾過、ゲルクロマトグラフィーなど
が用いられうる。
うに102〜103程度しかないと推定されていることから、
ウイルス核酸の抽出およびcDNAの合成には1000倍程度ウ
イルスを濃縮する必要がある。しかしながら、ヒト血漿
は7%前後の蛋白溶液であり、ただ単に濃縮することは
不可能であり、除蛋白をしながらウイルスを濃縮する必
要がある。我々が用いたポリエチレングリコール(PE
G)などの沈澱剤による沈澱形成は、比較的簡便に行う
ことができ、大量の血漿の処理にも適しており、ウイル
スの失活も少ないマイルドな方法である。このほかに
は、超遠心によるペレッティング、硫安などの塩類の添
加による塩析、限外濾過、ゲルクロマトグラフィーなど
が用いられうる。
このように1000倍程度に濃縮した血漿をグアニジウム
チオシアネートで処理し、フェノール/クロロホルムで
抽出をおこない、エタノール沈澱により濃縮血漿中の全
核酸を精製する。次にDNA分解酵素で混入しているヒト
由来のDNAを分解し、フェノール/クロロホルム抽出と
エタノール沈澱によりRNAを精製する。
チオシアネートで処理し、フェノール/クロロホルムで
抽出をおこない、エタノール沈澱により濃縮血漿中の全
核酸を精製する。次にDNA分解酵素で混入しているヒト
由来のDNAを分解し、フェノール/クロロホルム抽出と
エタノール沈澱によりRNAを精製する。
精製したRNAよりcDNAを合成し、λgt11ベクターに挿
入しcDNAライブラリーを作成する。
入しcDNAライブラリーを作成する。
λファージを大腸菌に感染させ、細菌培養プレートに
まき、42℃で数時間培養する。その後ニトロセルロース
フィルター(NCフィルター)をかぶせ数時間培養し、NC
フィルターをはがしレプリカをとる。
まき、42℃で数時間培養する。その後ニトロセルロース
フィルター(NCフィルター)をかぶせ数時間培養し、NC
フィルターをはがしレプリカをとる。
このレプリカをブロキッング液で処理し、PBSなどで
洗浄した後イムノスクリーニングを行う。すなわち、レ
プリカを非A非B型肝炎回復期あるいは急性期のヒトま
たはチンパンジー血清と反応させ、PBSなどで洗浄後、
酵素標識抗ヒトIgGまたはIgMと反応させ、洗浄後、基質
溶液と反応させて発色させる。発色したプラークに対応
するファージを選び二次スクリーニングを行い、再現性
のあるクローンを得た。
洗浄した後イムノスクリーニングを行う。すなわち、レ
プリカを非A非B型肝炎回復期あるいは急性期のヒトま
たはチンパンジー血清と反応させ、PBSなどで洗浄後、
酵素標識抗ヒトIgGまたはIgMと反応させ、洗浄後、基質
溶液と反応させて発色させる。発色したプラークに対応
するファージを選び二次スクリーニングを行い、再現性
のあるクローンを得た。
このクローンについて非A非B型肝炎特異性を調べ
た。
た。
非A非B型肝炎回復期、キャリアー期、および正常期
のチンパンジーのIgGを用いてプラークイムノアッセイ
を行った結果非A非B型肝炎キャリアー期に特異性の高
いクローンを得ることができた。このクローンをサブク
ローニングし、アクリルアミドゲル電気泳動で約90bpの
挿入断片(jnh1−1)を確認した。
のチンパンジーのIgGを用いてプラークイムノアッセイ
を行った結果非A非B型肝炎キャリアー期に特異性の高
いクローンを得ることができた。このクローンをサブク
ローニングし、アクリルアミドゲル電気泳動で約90bpの
挿入断片(jnh1−1)を確認した。
チンパンジーの正常及び非A非B型肝炎急性期の肝
臓、並びに正常人の白血球より染色体DNAを精製し、ア
ガロース電気泳動を行った後、32P標識したjnh1−1ク
ローンを用いてサザンハイブリダイゼーションを行っ
た。jnh1−1はいずれのDNAとも反応せず、したがってj
nh1−1は染色体由来DNAでないと判明した。
臓、並びに正常人の白血球より染色体DNAを精製し、ア
ガロース電気泳動を行った後、32P標識したjnh1−1ク
ローンを用いてサザンハイブリダイゼーションを行っ
た。jnh1−1はいずれのDNAとも反応せず、したがってj
nh1−1は染色体由来DNAでないと判明した。
また、日本人のGOT、GPT高値血漿のプール(非A非B
型肝炎感染性がチンパンジー感染実験で確認されてい
る)、アメリカNIH由来F株の非A非B型肝炎を継代し
たチンパンジー血漿および日本の正常人血漿からRNAを
抽出し、cDNAを合成し、jnh1−1クローンの塩基配列の
一部をプライマーとしてPCR反応[Saiki et al.Science
239,p487−(1988)]を行った。同様に正常ヒト肝臓
よりDNAを抽出し同じプライマーを用いてPCR反応を行っ
た。その結果、日本人のGOT,GPT高値血漿のプールのみ
からjnh1−1塩基配列が検出された。このことは、我々
が捕らえたjnh1−1の塩基配列を含む非A非B型肝炎ウ
イルスは、米国NIH由来F株の非A非B型肝炎ウイルス
と核酸配列上かなり相違があることを示唆している。
型肝炎感染性がチンパンジー感染実験で確認されてい
る)、アメリカNIH由来F株の非A非B型肝炎を継代し
たチンパンジー血漿および日本の正常人血漿からRNAを
抽出し、cDNAを合成し、jnh1−1クローンの塩基配列の
一部をプライマーとしてPCR反応[Saiki et al.Science
239,p487−(1988)]を行った。同様に正常ヒト肝臓
よりDNAを抽出し同じプライマーを用いてPCR反応を行っ
た。その結果、日本人のGOT,GPT高値血漿のプールのみ
からjnh1−1塩基配列が検出された。このことは、我々
が捕らえたjnh1−1の塩基配列を含む非A非B型肝炎ウ
イルスは、米国NIH由来F株の非A非B型肝炎ウイルス
と核酸配列上かなり相違があることを示唆している。
本発明のjnh1−1クローンのDNA配列は、ジデオキシ
法により決定された。その結果jnh1−1クローンは非A
非B型肝炎ウイルス遺伝子由来の計80bpのcDNA断片であ
り、その塩基配列は第3図の中に示される通りであっ
た。この塩基配列とこれから推定されるアミノ酸配列を
データベース(Genetyx−CD ソフトウェア開発 1989)
で検索したところ、現在まで知られているウイルス、細
菌、その他ホモロジーを示すものはなかった。
法により決定された。その結果jnh1−1クローンは非A
非B型肝炎ウイルス遺伝子由来の計80bpのcDNA断片であ
り、その塩基配列は第3図の中に示される通りであっ
た。この塩基配列とこれから推定されるアミノ酸配列を
データベース(Genetyx−CD ソフトウェア開発 1989)
で検索したところ、現在まで知られているウイルス、細
菌、その他ホモロジーを示すものはなかった。
このアミノ酸配列から、HOPP&WOODらの手法に基づ
き、jnh1−1がコードするペプチドの親水性・疎水性の
パターンを解析した。その結果、第5図に示すような結
果が得られ、このペプチド領域は、全体的に親水性の強
いペプチドであることが確認された。
き、jnh1−1がコードするペプチドの親水性・疎水性の
パターンを解析した。その結果、第5図に示すような結
果が得られ、このペプチド領域は、全体的に親水性の強
いペプチドであることが確認された。
このように、本発明で得られたcDNA断片が、非A非B
型肝炎ウイルス抗原のうち親水性の強いペプチド領域を
コードするものであったことは、免疫学的見地からも非
常に意義深いものと思われた。また、このような親水性
のペプチドは取扱が容易になることから、実用性の面か
らも非常に有用である。
型肝炎ウイルス抗原のうち親水性の強いペプチド領域を
コードするものであったことは、免疫学的見地からも非
常に意義深いものと思われた。また、このような親水性
のペプチドは取扱が容易になることから、実用性の面か
らも非常に有用である。
非A非B型肝炎との関連性をさらに確認するために、
多数の肝炎患者、正常人の血清を用いてjnh1−1に対す
るプラークイムノアッセイ及びドットイムノアッセイを
行った。その結果、正常人、B型肝炎、その他の肝炎の
群に比べ非A非B型肝炎患者で高率に抗体陽性者が検出
され、イムノアッセイにより蛋白レベルでも非A非B型
肝炎に対する特異性が証明された。
多数の肝炎患者、正常人の血清を用いてjnh1−1に対す
るプラークイムノアッセイ及びドットイムノアッセイを
行った。その結果、正常人、B型肝炎、その他の肝炎の
群に比べ非A非B型肝炎患者で高率に抗体陽性者が検出
され、イムノアッセイにより蛋白レベルでも非A非B型
肝炎に対する特異性が証明された。
非A非B型肝炎には複数の因子が関与しているとも考
えられているので次にjnh1−1の塩基配列の一部を参考
にプライマーを合成してGOT・GPT高値ヒトプール血漿に
ついてPCR反応を行いサブタイプのクローニングを実施
した。PCR反応後の産物をλgt11ベクターに挿入し、in
vitroパッケージングを行い感染性ファージ液を調製
後、抗体によるスクリーニング、あるいはjnh1−1内の
オリゴプローブを用いたハイブリダイゼーションを行っ
た。その結果、抗体と反応するファージを2クローン
(jnh1−8、jnh1−16)、オリゴプローブと反応するフ
ァージを4クローン(jnh1−2、jnh1−4、jnh1−5、
jnh1−6)を得た。これら6クローンについても同様に
ジデオキシ法により塩基配列を決定し(第3図参照)、
推定されるアミノ酸配列を比較した(第4図参照)。
えられているので次にjnh1−1の塩基配列の一部を参考
にプライマーを合成してGOT・GPT高値ヒトプール血漿に
ついてPCR反応を行いサブタイプのクローニングを実施
した。PCR反応後の産物をλgt11ベクターに挿入し、in
vitroパッケージングを行い感染性ファージ液を調製
後、抗体によるスクリーニング、あるいはjnh1−1内の
オリゴプローブを用いたハイブリダイゼーションを行っ
た。その結果、抗体と反応するファージを2クローン
(jnh1−8、jnh1−16)、オリゴプローブと反応するフ
ァージを4クローン(jnh1−2、jnh1−4、jnh1−5、
jnh1−6)を得た。これら6クローンについても同様に
ジデオキシ法により塩基配列を決定し(第3図参照)、
推定されるアミノ酸配列を比較した(第4図参照)。
本発明の遺伝子配列は、これを適当な発現系を用いて
発現させ、非A非B型肝炎ウイルスの抗体検査に使用す
ることができるし、また、発現した蛋白を動物に免疫し
て抗体を作らせ、これを用いて非A非B型肝炎感染患者
の肝組織中の非A非B型肝炎ウイルスを検出することも
可能である。
発現させ、非A非B型肝炎ウイルスの抗体検査に使用す
ることができるし、また、発現した蛋白を動物に免疫し
て抗体を作らせ、これを用いて非A非B型肝炎感染患者
の肝組織中の非A非B型肝炎ウイルスを検出することも
可能である。
さらに、本発明で得られた非A非B型肝炎ウイルス
は、感染予防のためのワクチンの作製に極めて有用であ
る。
は、感染予防のためのワクチンの作製に極めて有用であ
る。
また、遺伝子配列そのものは、非A非B型肝炎のDNA
プローブ診断キットの開発に極めて有用である。
プローブ診断キットの開発に極めて有用である。
このような、本発明の非A非B型肝炎ウイルス抗原ペ
プチドをコードする核酸断片、非A非B型肝炎ウイルス
抗原ペプチドおよびこれらを利用した非A非B型肝炎ウ
イルスの各種検出方法は、特に日本における非A非B型
肝炎ウイルスの検出において極めて有用であると考えら
れる。
プチドをコードする核酸断片、非A非B型肝炎ウイルス
抗原ペプチドおよびこれらを利用した非A非B型肝炎ウ
イルスの各種検出方法は、特に日本における非A非B型
肝炎ウイルスの検出において極めて有用であると考えら
れる。
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
実施例 (1)GOT、GPT高値ヒトプール血漿の濃縮 日本赤十字社より供与された、HBs抗原陰性でGPT値10
0以上のヒトプール血漿(8.5)を以下の方法で1000倍
に濃縮した。まず、ヒトプール血漿を粗遠心し、不溶物
を除去した。これに1/10量の5M塩化ナトリウム液、次い
で1/10量の40%(W/W)ポリエチレングリコール液(PEG
6000、和光純薬社製、平均分子量7500)を4℃にて撹拌
しながら添加した。一時間静置したのち、7000回転、20
分間遠心分離して上清を除き、沈渣に元の血漿の約1/20
量のTNE液(10mM Tris−HCl、pH7.4、1mM EDTA、140mM
NaCl)を加え、再溶解した。この溶液を、庶糖の20%、
15%、10%および5%TNE液を段階的に重層した遠心管
の頂部に重層し、4℃、80000×Gで、12時間超遠心分
離した。分離後、上清を除去し、沈渣を8mlのPBSに溶解
してGOT、GPT高値ヒトプール血漿の1000倍濃縮物とし
た。
0以上のヒトプール血漿(8.5)を以下の方法で1000倍
に濃縮した。まず、ヒトプール血漿を粗遠心し、不溶物
を除去した。これに1/10量の5M塩化ナトリウム液、次い
で1/10量の40%(W/W)ポリエチレングリコール液(PEG
6000、和光純薬社製、平均分子量7500)を4℃にて撹拌
しながら添加した。一時間静置したのち、7000回転、20
分間遠心分離して上清を除き、沈渣に元の血漿の約1/20
量のTNE液(10mM Tris−HCl、pH7.4、1mM EDTA、140mM
NaCl)を加え、再溶解した。この溶液を、庶糖の20%、
15%、10%および5%TNE液を段階的に重層した遠心管
の頂部に重層し、4℃、80000×Gで、12時間超遠心分
離した。分離後、上清を除去し、沈渣を8mlのPBSに溶解
してGOT、GPT高値ヒトプール血漿の1000倍濃縮物とし
た。
(2)GOT、GPT高値ヒトプール血漿濃縮物からのRNAの
精製 まず、前記の1000倍濃縮血漿8mlに5倍量のグアニジ
ウムチオシアネート溶液(4mグアニジウムチオシアネー
ト、50mM Tris−HCl、pH7.6、10mM EDTA、0.1M 2−メル
カプトエタノール、2%ザルコシル)を加え、撹拌した
後フェノール/クロロホルム抽出し、グリコーゲンをキ
ャリアーとしてエタノール沈澱により濃縮血漿中の全核
酸を精製した。次に、この全核酸中に存在するヒト由来
のDNAを分解するために、2mMバナジルリボヌクレオチッ
ドコンプレックス存在下、RNaseフリーDNase 1.15KU/ml
(ベーリンガー/マンハイム社製)、50mM Tris−HCl、
pH7.4、1mM EDTA、10mM MgCl2の混液400μ中にて、37
℃、30分間処理した。その後、250mM EDTA液16μ、10
%SDS液8μを加え反応を停止し、フェノール/クロ
ロホルム抽出とエタノール沈澱によりRNAを精製した。
さらに、このRNA中に存在する多量のグリコーゲン及び
微量に存在すると思われる不純物を除くために、QIAGEN
pack−100(DIAGEN社製)を用いて精製操作を行った。
精製 まず、前記の1000倍濃縮血漿8mlに5倍量のグアニジ
ウムチオシアネート溶液(4mグアニジウムチオシアネー
ト、50mM Tris−HCl、pH7.6、10mM EDTA、0.1M 2−メル
カプトエタノール、2%ザルコシル)を加え、撹拌した
後フェノール/クロロホルム抽出し、グリコーゲンをキ
ャリアーとしてエタノール沈澱により濃縮血漿中の全核
酸を精製した。次に、この全核酸中に存在するヒト由来
のDNAを分解するために、2mMバナジルリボヌクレオチッ
ドコンプレックス存在下、RNaseフリーDNase 1.15KU/ml
(ベーリンガー/マンハイム社製)、50mM Tris−HCl、
pH7.4、1mM EDTA、10mM MgCl2の混液400μ中にて、37
℃、30分間処理した。その後、250mM EDTA液16μ、10
%SDS液8μを加え反応を停止し、フェノール/クロ
ロホルム抽出とエタノール沈澱によりRNAを精製した。
さらに、このRNA中に存在する多量のグリコーゲン及び
微量に存在すると思われる不純物を除くために、QIAGEN
pack−100(DIAGEN社製)を用いて精製操作を行った。
(3)cDNAライブラリーの構築 前記までの方法で精製したRNAすべてを、cDNA合成シ
ステムプラス(アマシャム社製)を用いてcDNA合成を行
った。次に、合成したcDNAをcDNAクローニングλgt11
(アマシャム社製)によりλgt11ベクターにクローニン
グした。in vitroパッケージングの結果、1.8×106プラ
ークフォーミングユニット(PFU)のライブラリーを得
た。
ステムプラス(アマシャム社製)を用いてcDNA合成を行
った。次に、合成したcDNAをcDNAクローニングλgt11
(アマシャム社製)によりλgt11ベクターにクローニン
グした。in vitroパッケージングの結果、1.8×106プラ
ークフォーミングユニット(PFU)のライブラリーを得
た。
(4)非A非B型肝炎(NANBH)回復期及びキャリアー
期のチンパンジー血清によるNANBHウイルス関連クロー
ンのスクリーニング (A)大腸菌ライゼートの調製 cDNAライブラリーのスクリーニングに用いる一次抗体
はNABH回復期及びキャリアー期のチンパンジー血漿であ
ることから、高い非特異反応が予想された。そこで、こ
の非特異反応を抑えるためにスクリーニング用チンパン
ジー血漿の吸収操作に用いる大腸菌Y1090のライゼート
を調製した。即ち、単一コロニーからアンピシリン50μ
g/mlを含むLB倍地[1%Bacto−trytone(ジフコ社
製)、0.5%Bacto−yeast extract(ジフコ社製)、1
%NaCl、pH7.5]中で37℃、一夜培養した大腸菌Y1090培
養液20mlを2のLB倍地に加え、さらに37℃で一夜培養
した。この培養液を遠心管に移し、9000回転、10分間、
4℃で遠心分離し、上清を除去して沈渣を得た。この沈
渣1g当り4mlのRIPA液(1%デオキシコール酸ナトリウ
ム、1%Triton X−100、0.3MNaCl、0.1%SDS、0.1M Tr
is−HCl pH7.5、1mM PMSF)を加えて可溶化し、これを
さらに9000回転、10分間、4℃で遠心分離してその上清
を大腸菌ライゼートとした。
期のチンパンジー血清によるNANBHウイルス関連クロー
ンのスクリーニング (A)大腸菌ライゼートの調製 cDNAライブラリーのスクリーニングに用いる一次抗体
はNABH回復期及びキャリアー期のチンパンジー血漿であ
ることから、高い非特異反応が予想された。そこで、こ
の非特異反応を抑えるためにスクリーニング用チンパン
ジー血漿の吸収操作に用いる大腸菌Y1090のライゼート
を調製した。即ち、単一コロニーからアンピシリン50μ
g/mlを含むLB倍地[1%Bacto−trytone(ジフコ社
製)、0.5%Bacto−yeast extract(ジフコ社製)、1
%NaCl、pH7.5]中で37℃、一夜培養した大腸菌Y1090培
養液20mlを2のLB倍地に加え、さらに37℃で一夜培養
した。この培養液を遠心管に移し、9000回転、10分間、
4℃で遠心分離し、上清を除去して沈渣を得た。この沈
渣1g当り4mlのRIPA液(1%デオキシコール酸ナトリウ
ム、1%Triton X−100、0.3MNaCl、0.1%SDS、0.1M Tr
is−HCl pH7.5、1mM PMSF)を加えて可溶化し、これを
さらに9000回転、10分間、4℃で遠心分離してその上清
を大腸菌ライゼートとした。
(B)抗体スクリーニング用レプリカフィルターの作製 GOT、GPT高値ヒトプール血漿濃縮物中のRNAより構築
したcDNAライブラリーから、一枚のLBプレート[1.5%A
gar(日本製薬社製)、1%Bacto−tryptone、0.5%Bac
to−yeast extract、1%NaCl pH7.5、50μg/mlアンピ
シリンの入った細菌培養用プレート(ヌンク社製;23cm
×23cm)]当り10000PFUのファージをとり、大腸菌Y109
0に37℃で15分間感染させて、Top Agar 40ml(0.7%Aga
r、1%Bacto−tryptone、0.5%Bacto−yeast extrac
t、1%NaCl、pH7.5、50μg/mlアンピシリン)と共にま
き、42℃で4〜5時間培養した。その後、10mM IPTG
(シグマ社製)を染みこませたニトロセルロースフィル
ター(NCフィルター:S&S社製、Code BA85、23cm×23c
m)をかぶせ、さらに37℃で培養を続けた。3時間後NC
フィルターをプレートからはがし、PBSで粗い、Blockin
g液(5%スキムミルク、0.05%NaN3を含むPBS溶液)に
浸し、4℃で一夜振とうした。
したcDNAライブラリーから、一枚のLBプレート[1.5%A
gar(日本製薬社製)、1%Bacto−tryptone、0.5%Bac
to−yeast extract、1%NaCl pH7.5、50μg/mlアンピ
シリンの入った細菌培養用プレート(ヌンク社製;23cm
×23cm)]当り10000PFUのファージをとり、大腸菌Y109
0に37℃で15分間感染させて、Top Agar 40ml(0.7%Aga
r、1%Bacto−tryptone、0.5%Bacto−yeast extrac
t、1%NaCl、pH7.5、50μg/mlアンピシリン)と共にま
き、42℃で4〜5時間培養した。その後、10mM IPTG
(シグマ社製)を染みこませたニトロセルロースフィル
ター(NCフィルター:S&S社製、Code BA85、23cm×23c
m)をかぶせ、さらに37℃で培養を続けた。3時間後NC
フィルターをプレートからはがし、PBSで粗い、Blockin
g液(5%スキムミルク、0.05%NaN3を含むPBS溶液)に
浸し、4℃で一夜振とうした。
(C)抗体スクリーニング ブロッキング液中で一夜浸したレプリカフィルターを
PBSで洗浄後、PBSで10倍に希釈したNANBH回復期及びキ
ャリアー期のチンパンジープール血漿(スクリーニング
用血漿)[NANBH回復期及びキャリアー期のチンパンジ
ープール血漿をPBSで5倍希釈し、1/20量の大腸菌ライ
ゼートを加えて4℃で一夜非特異反応の吸収操作を行
い、さらにPBSで2倍希釈した。]に浸し、室温で振と
うしながら反応させた。2時間後、PBS−T(0.05% Tw
een20を含むPBS溶液)で、一回につき15分間、計3回レ
プリカフィルターを洗浄の後、各々1000倍希釈したペル
オキシダーゼ標識抗ヒトIgGとIgMヤギ抗体(MBL社製、F
ab)の入ったインキュベーションバッファー(1%牛血
清アルブミンを含むPBS溶液)に浸し、37℃で振とうし
ながら反応させた。1時間後、PBS−Tで一回につき15
分間、計4回、その後PBSで5分間洗浄後、発色液[0.0
2%DAB(シグマ社製)、0.1%NiCl2・6H20、0.005%H2O
2]に浸し発色させた。NCフィルター上で発色したプラ
ークに対応するファージを選び、二次スクリーニングを
行った。即ち、一次スクリーニングで選択した各ファー
ジ200PFUを別々に挿入断片のないファージ200PFUと共に
大腸菌Y1090に感染させ、90mmシャーレ(ベクトンディ
ッキンソン社製)のLBプレートにまき直し、レプリカフ
ィルターを作製した。これらを上述の方法で抗体スクリ
ーニングし、NANBH回復期及びキャリアー期のチンパン
ジー血漿と再現性よく反応するファージを1クローン
(jnh1)得た。
PBSで洗浄後、PBSで10倍に希釈したNANBH回復期及びキ
ャリアー期のチンパンジープール血漿(スクリーニング
用血漿)[NANBH回復期及びキャリアー期のチンパンジ
ープール血漿をPBSで5倍希釈し、1/20量の大腸菌ライ
ゼートを加えて4℃で一夜非特異反応の吸収操作を行
い、さらにPBSで2倍希釈した。]に浸し、室温で振と
うしながら反応させた。2時間後、PBS−T(0.05% Tw
een20を含むPBS溶液)で、一回につき15分間、計3回レ
プリカフィルターを洗浄の後、各々1000倍希釈したペル
オキシダーゼ標識抗ヒトIgGとIgMヤギ抗体(MBL社製、F
ab)の入ったインキュベーションバッファー(1%牛血
清アルブミンを含むPBS溶液)に浸し、37℃で振とうし
ながら反応させた。1時間後、PBS−Tで一回につき15
分間、計4回、その後PBSで5分間洗浄後、発色液[0.0
2%DAB(シグマ社製)、0.1%NiCl2・6H20、0.005%H2O
2]に浸し発色させた。NCフィルター上で発色したプラ
ークに対応するファージを選び、二次スクリーニングを
行った。即ち、一次スクリーニングで選択した各ファー
ジ200PFUを別々に挿入断片のないファージ200PFUと共に
大腸菌Y1090に感染させ、90mmシャーレ(ベクトンディ
ッキンソン社製)のLBプレートにまき直し、レプリカフ
ィルターを作製した。これらを上述の方法で抗体スクリ
ーニングし、NANBH回復期及びキャリアー期のチンパン
ジー血漿と再現性よく反応するファージを1クローン
(jnh1)得た。
(5)チンパンジー血清中の抗体を用いた各クローンの
NANBHに対する特異性の検討 (4)で得たクローンについて、(4).Cの2次スク
リーニングと同様にレプリカフィルターを作製し、NANB
H回復期、キャリアー期及び正常のチンパンジー血清又
は、硫安沈澱後DEAE−セルロファインカラム(生化学工
業社製)で精製したIgG分画を用いてプラークアッセイ
を行った。その方法は抗体スクリーニングの場合と同様
であるが、一次抗体反応にチンパンジーのIgG分画を用
いる場合には50μg/mlの濃度にPBSで希釈し、1/20量の
大腸菌ライゼートを加え、4℃で一夜非特異反応の吸収
処理をして使用した。
NANBHに対する特異性の検討 (4)で得たクローンについて、(4).Cの2次スク
リーニングと同様にレプリカフィルターを作製し、NANB
H回復期、キャリアー期及び正常のチンパンジー血清又
は、硫安沈澱後DEAE−セルロファインカラム(生化学工
業社製)で精製したIgG分画を用いてプラークアッセイ
を行った。その方法は抗体スクリーニングの場合と同様
であるが、一次抗体反応にチンパンジーのIgG分画を用
いる場合には50μg/mlの濃度にPBSで希釈し、1/20量の
大腸菌ライゼートを加え、4℃で一夜非特異反応の吸収
処理をして使用した。
プラークアッセイの結果、jnh1はNANBHキャリアー期
のチンパンジー血清あるいはIgG分画と高率に反応し、
正常チンパンジーの血清あるいはIgG分画とは全く反応
しなかった。
のチンパンジー血清あるいはIgG分画と高率に反応し、
正常チンパンジーの血清あるいはIgG分画とは全く反応
しなかった。
この結果から、jnh1は特にNANBHキャリアー期のチン
パンジー血清に特異性の高いクローンであるといえる。
パンジー血清に特異性の高いクローンであるといえる。
このjnh1のファージDNAを精製[実験医学 臨時増刊
号、遺伝子工学総集編5(11)、P31−32(1987)参
照]し、制限酵素EcoR I(東洋紡社製)切断後pUC118ベ
クターのEcoR I部位に挿入し、サブクローニングを行っ
た[Douglas Hanahan,J.Mol.Biol.166,P557−580(198
3)参照]。このサブクローニングしたプラスミドpjnh1
−1をEcoR I切断後、電気泳動で5%アクリルアミドゲ
ルに展開したところ、約90bpの挿入断片(jnh1−1)が
確認できた(第1図)。
号、遺伝子工学総集編5(11)、P31−32(1987)参
照]し、制限酵素EcoR I(東洋紡社製)切断後pUC118ベ
クターのEcoR I部位に挿入し、サブクローニングを行っ
た[Douglas Hanahan,J.Mol.Biol.166,P557−580(198
3)参照]。このサブクローニングしたプラスミドpjnh1
−1をEcoR I切断後、電気泳動で5%アクリルアミドゲ
ルに展開したところ、約90bpの挿入断片(jnh1−1)が
確認できた(第1図)。
(6)jnh1−1を用いたサザンブロット分析 下記のとうり、jnh1−1を用いたサザンブロット分析
を行った。チンパンジーの正常及び米国NIH由来F株感
染NANBH急性期(NANBHウイルス接種後8週目)の肝臓、
さらに正常人の白血球より染色体DNAを精製し、各々20
μgをEcoR Iで切断後、電気泳動で2%アガロースゲル
に展開し、NCフィルターに転写した。このフィルターを
マルチプライム法で[32P]標識したjnh1−1プローブ
を用いサザンハイブリダイゼーションを行った(第2
図)。この図からわかるように、jnh1−1プローブは、
一週間オートラジオグラフィーすると、サブクローニン
グ前のjnh1クローンとは反応するが、正常及びNANBH急
性期のチンパンジーの染色体DNAあるいは正常なヒトの
染色体DNAとは反応しなかった。このことから、jnh1−
1はヒトの染色体DNA由来のクローンではなく、ウイル
ス等の外来性の核酸由来のものであると考えられる。
を行った。チンパンジーの正常及び米国NIH由来F株感
染NANBH急性期(NANBHウイルス接種後8週目)の肝臓、
さらに正常人の白血球より染色体DNAを精製し、各々20
μgをEcoR Iで切断後、電気泳動で2%アガロースゲル
に展開し、NCフィルターに転写した。このフィルターを
マルチプライム法で[32P]標識したjnh1−1プローブ
を用いサザンハイブリダイゼーションを行った(第2
図)。この図からわかるように、jnh1−1プローブは、
一週間オートラジオグラフィーすると、サブクローニン
グ前のjnh1クローンとは反応するが、正常及びNANBH急
性期のチンパンジーの染色体DNAあるいは正常なヒトの
染色体DNAとは反応しなかった。このことから、jnh1−
1はヒトの染色体DNA由来のクローンではなく、ウイル
ス等の外来性の核酸由来のものであると考えられる。
(7)jnh1−1の核酸塩基配列とアミノ酸配列 (A)jnh1−1クローンの塩基配列の決定 jnh1−1の遺伝子断片を組み込んだプラスミドDNAを
鋳型とし、[α−32P]dCTP(800Ci/m mol)を反応に用
いた。Klenow fragmentによるポリメラーゼ反応は宝酒
造の7DEAZAシーケンシングキットによって行った。8%
のポリアクリルアミド−8Mウレアゲルを用いて、4時間
1800Vで電気泳動し16時間感光した。
鋳型とし、[α−32P]dCTP(800Ci/m mol)を反応に用
いた。Klenow fragmentによるポリメラーゼ反応は宝酒
造の7DEAZAシーケンシングキットによって行った。8%
のポリアクリルアミド−8Mウレアゲルを用いて、4時間
1800Vで電気泳動し16時間感光した。
(B)得られた塩基配列と予測されるアミノ酸配列 上記の結果得られた塩基配列とそれから予測されるア
ミノ酸配列の解読の結果をそれぞれ第3図および第4図
に示した。
ミノ酸配列の解読の結果をそれぞれ第3図および第4図
に示した。
jnh1−1の予測されるアミノ酸配列の親水性/疎水性
プロフィールを第5図に示す。
プロフィールを第5図に示す。
得られた塩基配列及びアミノ酸配列をデータベース
(前述)で検索した結果、ウイルス、細菌その他高いホ
モロジーを示すものはなかった。
(前述)で検索した結果、ウイルス、細菌その他高いホ
モロジーを示すものはなかった。
(8)Polymerase Chain Reaction(PCR)を利用したjn
h1−1塩基配列の検出 jnh1−1クローンを取るための材料となったGOT、GPT
多値ヒトプール血漿、米国NIH由来のNANBHのF株を接種
し慢性化したチンパンジーの血漿(感染性は確認ず
み)、正常ヒト血漿およびヒト肝臓由来の染色体DNAに
ついて、PCR反応を用いてjnh1−1塩基配列の検出を行
った。まず、各血漿については、各々1mlを(1)項と
同様に、5M塩化ナトリウム液と40%(w/w)ポリエチレ
ングリコール液を用いて沈澱させ、この沈渣に500μ
のグアニジウムチオシアネート溶液を加え、フェノール
/クロロホルム抽出とエタノール沈澱により全核酸を精
製した。これを、50mM Tris−HCl pH8.3、6mM MgCl2、4
0mM KCl、1mM DTT、1mM dNTPs、1.3KU/ml RNasin、30mg
/mlランダムプライマー、4KU/mL逆転写酵素(BRL社製)
の混液20μ中で、37℃、1時間30分間反応させた。こ
の反応液1μをとり10mM Tris−HCl pH8.3、50mM KC
l、1.5mM MgCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、100nM dNTP
s、250nMプライマー(第6図にその位置を示す)20U/ml
Taq polymeraseの混液50μ中で、94℃;30秒、55℃;3
0秒、72℃;1分を1サイクルとして40サイクル反応させ
た(パーキン・エルマー・シータス社製のサーマルサイ
クラーを使用)。またヒト肝臓由来の染色体DNAについ
ては、10μgを上記組成の反応液中で、上記と同一条件
下でPCR反応を行った。PCR反応後、各サンプル共5μ
を取り、電気泳動により2%アガロースゲルに展開し、
NCフィルターに転写した。このフィルターを[32P]標
識したjnh1−1内のオリゴプローブ(第6図にその位置
を示す)を用いてハイブリダイゼーションを行った。そ
の結果jnh1−1塩基配列は、材料となったGOT、GPT高値
ヒトプール血漿からは検出されたが、正常ヒト血漿、米
国NIH由来F株のチンパンジー血漿及び染色体DNA中には
検出されなかった(第8図) (9)jnh1−1クローンの非A非B型肝炎に対する特異
性の検討 jnh1−1のcDNA断片を発現プラスミドpUEX2に読み枠
が一致するように挿入し、大腸菌JM109形質転換後ドッ
トイムノアッセイを行った。この発現プラスミドは30℃
から42℃への温度シフトにより発現に誘導がかかるので
以下の方法で行った。
h1−1塩基配列の検出 jnh1−1クローンを取るための材料となったGOT、GPT
多値ヒトプール血漿、米国NIH由来のNANBHのF株を接種
し慢性化したチンパンジーの血漿(感染性は確認ず
み)、正常ヒト血漿およびヒト肝臓由来の染色体DNAに
ついて、PCR反応を用いてjnh1−1塩基配列の検出を行
った。まず、各血漿については、各々1mlを(1)項と
同様に、5M塩化ナトリウム液と40%(w/w)ポリエチレ
ングリコール液を用いて沈澱させ、この沈渣に500μ
のグアニジウムチオシアネート溶液を加え、フェノール
/クロロホルム抽出とエタノール沈澱により全核酸を精
製した。これを、50mM Tris−HCl pH8.3、6mM MgCl2、4
0mM KCl、1mM DTT、1mM dNTPs、1.3KU/ml RNasin、30mg
/mlランダムプライマー、4KU/mL逆転写酵素(BRL社製)
の混液20μ中で、37℃、1時間30分間反応させた。こ
の反応液1μをとり10mM Tris−HCl pH8.3、50mM KC
l、1.5mM MgCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、100nM dNTP
s、250nMプライマー(第6図にその位置を示す)20U/ml
Taq polymeraseの混液50μ中で、94℃;30秒、55℃;3
0秒、72℃;1分を1サイクルとして40サイクル反応させ
た(パーキン・エルマー・シータス社製のサーマルサイ
クラーを使用)。またヒト肝臓由来の染色体DNAについ
ては、10μgを上記組成の反応液中で、上記と同一条件
下でPCR反応を行った。PCR反応後、各サンプル共5μ
を取り、電気泳動により2%アガロースゲルに展開し、
NCフィルターに転写した。このフィルターを[32P]標
識したjnh1−1内のオリゴプローブ(第6図にその位置
を示す)を用いてハイブリダイゼーションを行った。そ
の結果jnh1−1塩基配列は、材料となったGOT、GPT高値
ヒトプール血漿からは検出されたが、正常ヒト血漿、米
国NIH由来F株のチンパンジー血漿及び染色体DNA中には
検出されなかった(第8図) (9)jnh1−1クローンの非A非B型肝炎に対する特異
性の検討 jnh1−1のcDNA断片を発現プラスミドpUEX2に読み枠
が一致するように挿入し、大腸菌JM109形質転換後ドッ
トイムノアッセイを行った。この発現プラスミドは30℃
から42℃への温度シフトにより発現に誘導がかかるので
以下の方法で行った。
形質転換した大腸菌をアンピシリン(Ap)含有(50μ
g/ml)LBで30℃一夜培養し、翌日クレット値が80となる
ようにLBで希釈後、30℃1.5時間さらに42℃へ移して2
時間培養し発現を誘導した。その後集菌し菌体を1mlPBS
−Tに溶解し、1gのガラスビーズを加えボルテックスミ
キサーで破砕し、そのペレットを1mlの50mM TrisHCl,pH
8.0、10mM EDTAに懸濁してドットアッセイに用いた。こ
の懸濁液をニトロセルロースフィルターに5μスポッ
トした。乾燥後ブロッキング反応から発色反応までは
(4)cと同様に行った。その結果を表1に示す。 表 1 血 清 陽性/検体 陽性率(%) 正常人 0/20 0.0 非A非B型肝炎患者 17/30 56.7 B型肝炎患者 1/9 11.0 その他の肝炎患者 0/10 0.0 以上のように、非A非B型肝炎の患者群においては陽
性率が56.7%と非常に高率であるの対し、正常人、B型
肝炎患者およびその他の肝炎では陽性率0.0%、11.0
%、0.0%と極めて低く、本発明のjnh1−1クローンが
非A非B型肝炎特異的である事が示された。
g/ml)LBで30℃一夜培養し、翌日クレット値が80となる
ようにLBで希釈後、30℃1.5時間さらに42℃へ移して2
時間培養し発現を誘導した。その後集菌し菌体を1mlPBS
−Tに溶解し、1gのガラスビーズを加えボルテックスミ
キサーで破砕し、そのペレットを1mlの50mM TrisHCl,pH
8.0、10mM EDTAに懸濁してドットアッセイに用いた。こ
の懸濁液をニトロセルロースフィルターに5μスポッ
トした。乾燥後ブロッキング反応から発色反応までは
(4)cと同様に行った。その結果を表1に示す。 表 1 血 清 陽性/検体 陽性率(%) 正常人 0/20 0.0 非A非B型肝炎患者 17/30 56.7 B型肝炎患者 1/9 11.0 その他の肝炎患者 0/10 0.0 以上のように、非A非B型肝炎の患者群においては陽
性率が56.7%と非常に高率であるの対し、正常人、B型
肝炎患者およびその他の肝炎では陽性率0.0%、11.0
%、0.0%と極めて低く、本発明のjnh1−1クローンが
非A非B型肝炎特異的である事が示された。
(10)Polymerase Chain Reaction(PCR)を利用したjn
h1−1サブタイプのクローニング 非A非B型肝炎には複数の因子が関与しているとも考
えられているのでjnh1−1の塩基配列の一部を参考にプ
ライマー(第7図参照)を合成し、これを用いてjnh1−
1のクローンを取る材料となったGOT・GPT高値ヒトプー
ル血漿(日本人由来)についてPCR反応を行いクローニ
ングを実施した。PCR反応条件は(8)に記載してある
方法に準じて行った。PCR反応後の産物をcDNAクローニ
ングλgt11(アマーシャム社製)によりλgt11ベクター
にクローニングし、in vitroパッケージングを行い感染
性ファージ液を調製した。次に、(4)Bの方法に従っ
てスクリーニング用のレプリカフィルターを作製し、抗
体によるスクリーニングあるいはjnh1−1内の混合オリ
ゴプローブ(第7図にその位置を示す)を用いてのハイ
ブリダイゼーションによるスクリーニングを行った。抗
体スクリーニング用血漿としてはキャリア期のチンパン
ジープール血漿を用いて(4)Cの二次スクリーニング
の場合と同様に行った。スクリーニングの結果オリゴプ
ローブと反応するクローンを4クローン(jnh1−2,jnh1
−4,jnh1−5,jnh1−6)、キャリアー期のチンパンジー
血漿と反応するファージを2クローン(jnh1−8、jnh1
−16)おのおの得た。これらの6クローンの塩基配列な
らびにアミノ酸配列を第3図ならびに第4図に示す。
h1−1サブタイプのクローニング 非A非B型肝炎には複数の因子が関与しているとも考
えられているのでjnh1−1の塩基配列の一部を参考にプ
ライマー(第7図参照)を合成し、これを用いてjnh1−
1のクローンを取る材料となったGOT・GPT高値ヒトプー
ル血漿(日本人由来)についてPCR反応を行いクローニ
ングを実施した。PCR反応条件は(8)に記載してある
方法に準じて行った。PCR反応後の産物をcDNAクローニ
ングλgt11(アマーシャム社製)によりλgt11ベクター
にクローニングし、in vitroパッケージングを行い感染
性ファージ液を調製した。次に、(4)Bの方法に従っ
てスクリーニング用のレプリカフィルターを作製し、抗
体によるスクリーニングあるいはjnh1−1内の混合オリ
ゴプローブ(第7図にその位置を示す)を用いてのハイ
ブリダイゼーションによるスクリーニングを行った。抗
体スクリーニング用血漿としてはキャリア期のチンパン
ジープール血漿を用いて(4)Cの二次スクリーニング
の場合と同様に行った。スクリーニングの結果オリゴプ
ローブと反応するクローンを4クローン(jnh1−2,jnh1
−4,jnh1−5,jnh1−6)、キャリアー期のチンパンジー
血漿と反応するファージを2クローン(jnh1−8、jnh1
−16)おのおの得た。これらの6クローンの塩基配列な
らびにアミノ酸配列を第3図ならびに第4図に示す。
第1図は、本発明においてクローニングしたpjnh1−1
のEcoR I挿入断片の5%アクリルアミドゲル電気泳動展
開後の模式図である。 第2図は、本発明においてクローニングしたjnh1−1と
ヒト及びチンパンジーの染色体DNAとのサザンハイブリ
ダイゼーションの模式図である。 第3図は、本発明でクローニングした非A非B型肝炎ウ
イルス抗原をコードする核酸断片の塩基配列を示す。 第4図は、本発明でクローニングした非A非B型肝炎ウ
イルス核酸断片がコードするアミノ酸配列を示す。 第5図は、アミノ酸配列を基に解析した、jnh1−1がコ
ードするペプチドの親水性・疎水性プロフィールを示
す。 第6図は、実施例(8)におけるPCR反応に使用したjnh
1−1塩基配列中のプライマー及びオリゴプローブの位
置を示したものである。 第7図は、実施例(10)におけるPCR反応に使用したjnh
1−1の塩基配列を参考とした混合プライマー及び混合
オリゴプローブの位置と塩基配列を示したものである。 第8図は、本発明でクローニングしたjnh1−1の塩基配
列中のプライマーを用い、PCR反応を利用して、ヒトの
染色体DNA及び血清中の核酸から増幅した遺伝子のハイ
ブリダイゼーションの模式図である。
のEcoR I挿入断片の5%アクリルアミドゲル電気泳動展
開後の模式図である。 第2図は、本発明においてクローニングしたjnh1−1と
ヒト及びチンパンジーの染色体DNAとのサザンハイブリ
ダイゼーションの模式図である。 第3図は、本発明でクローニングした非A非B型肝炎ウ
イルス抗原をコードする核酸断片の塩基配列を示す。 第4図は、本発明でクローニングした非A非B型肝炎ウ
イルス核酸断片がコードするアミノ酸配列を示す。 第5図は、アミノ酸配列を基に解析した、jnh1−1がコ
ードするペプチドの親水性・疎水性プロフィールを示
す。 第6図は、実施例(8)におけるPCR反応に使用したjnh
1−1塩基配列中のプライマー及びオリゴプローブの位
置を示したものである。 第7図は、実施例(10)におけるPCR反応に使用したjnh
1−1の塩基配列を参考とした混合プライマー及び混合
オリゴプローブの位置と塩基配列を示したものである。 第8図は、本発明でクローニングしたjnh1−1の塩基配
列中のプライマーを用い、PCR反応を利用して、ヒトの
染色体DNA及び血清中の核酸から増幅した遺伝子のハイ
ブリダイゼーションの模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 G01N 33/53 M 33/566 33/566 33/576 33/576 Z 審査官 斎藤 真由美 (56)参考文献 特開 平3−103180(JP,A) 国際公開89/4669(WO,A) 国際公開91/1376(WO,A) SCIENCE,Vol.244,(21 April 1989),P.359〜362 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C07K 14/18 C07K 16/10 C12Q 1/68 G01N 33/53 - 33/576 C12P 21/00 - 21/08 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)
Claims (9)
- 【請求項1】下記(A)から(C)のいずれかのアミノ
酸配列、又は該アミノ酸配列において1若しくは数個の
アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
からなることを特徴とする非A非B型肝炎ウイルス抗原
ペプチドをコードする核酸断片。 - 【請求項2】下記(A)から(G)のいずれかの塩基配
列、又は該塩基配列において1若しくは数個の核酸が欠
失、置換若しくは付加された塩基配列からなることを特
徴とする前記第(1)項記載の核酸断片。 - 【請求項3】下記(A)から(C)のいずれかのアミノ
酸配列、又は該アミノ酸配列において1若しくは数個の
アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
からなることを特徴とする非A非B型肝炎ウイルス抗原
ペプチド。 - 【請求項4】該ペプチドが、化学的に合成されたペプチ
ドである前記第(3)項記載の非A非B型肝炎ウイルス
抗原ペプチド。 - 【請求項5】該ペプチドが、前記第(1)項又は第
(2)項の核酸断片を適当な発現ベクターに組み込み、
これを宿主細胞内で発現させることにより得られるペプ
チドである前記第(3)項記載の非A非B型肝炎ウイル
ス抗原ペプチド。 - 【請求項6】下記(A)から(G)のいずれかの塩基配
列で表される核酸断片からなることを特徴とする非A非
B型肝炎ウイルス遺伝子検出用核酸プローブ。 - 【請求項7】上記第(6)項記載の核酸プローブを用い
て、対象となるサンプルの核酸とハイブリダイズさせる
ことを特徴とする非A非B型肝炎ウイルスの検出方法。 - 【請求項8】上記第(3)から第(5)項記載のいずれ
かのペプチドを抗原として調製される抗非A非B型肝炎
ウイルス抗体。 - 【請求項9】上記第(8)項記載の抗体を用いることを
特徴とする非A非B型肝炎ウイルスの免疫学的検出方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2254990A JP2818762B2 (ja) | 1990-01-31 | 1990-01-31 | 非a非b型肝炎ウイルス抗原ペプチドをコードする核酸断片およびその利用法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2254990A JP2818762B2 (ja) | 1990-01-31 | 1990-01-31 | 非a非b型肝炎ウイルス抗原ペプチドをコードする核酸断片およびその利用法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03228681A JPH03228681A (ja) | 1991-10-09 |
JP2818762B2 true JP2818762B2 (ja) | 1998-10-30 |
Family
ID=12085921
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2254990A Expired - Fee Related JP2818762B2 (ja) | 1990-01-31 | 1990-01-31 | 非a非b型肝炎ウイルス抗原ペプチドをコードする核酸断片およびその利用法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2818762B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0879894A3 (en) * | 1997-05-20 | 1999-08-04 | F. Hoffmann-La Roche Ag | Sample preparation for nucleic acid based diagnostic tests |
WO2005028503A1 (ja) * | 2003-09-22 | 2005-03-31 | Green Peptide Co., Ltd. | C型肝炎ウイルス由来ペプチド |
-
1990
- 1990-01-31 JP JP2254990A patent/JP2818762B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
SCIENCE,Vol.244,(21 April 1989),P.359〜362 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03228681A (ja) | 1991-10-09 |
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Legal Events
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