JP3197026B2 - 遅延試験能力を有する走査可能なレジスタ - Google Patents

遅延試験能力を有する走査可能なレジスタ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は走査可能なラッチの
分野に関する。さらに詳しくはこの発明は走査遅延試験
を容易にするように設計された走査可能なラッチに関す
る。
【0002】
【従来の技術】大きなコンピュータシステムの中央演算
処理装置(CPU)は基本的にはメモリ素子、組合わせ
論理、およびクロッキング(クロックによる同期)シス
テムからなる。メモリ素子はそのコンピュータシステム
に用いられるワードサイズに対応した、レジスタと呼ば
れるセットの中に配置されている。メモリ素子のセット
の間には組合わせ論理がある。
【0003】クロック周期の最後(これはまた次のクロ
ック周期の始めでもある)に組合わせ論理回路の出力の
データは第1のメモリ素子のセットに格納される。この
データはこのメモリ素子のセットの出力となり、したが
ってこの第1のメモリ素子のセットの出力に接続された
他の組合わせ論理回路の入力となる。この他の論理回路
はこのデータに所定の論理機能を施し、クロック周期の
最後にはこの組合わせ論理回路の出力が次のメモリ素子
のセットに格納され、そのセットのうちの少なくともい
くつかはこの組み合わせ論理回路への入力を提供するラ
ッチのセットを備えることができる。コンピュータシス
テムが動作する間この処理が繰り返される。すなわち、
データは組合わせ論理回路によって処理され、格納さ
れ、次の組合わせ論理回路のセットに送られ、再び処
理、格納され、これが繰り返される。
【0004】今日の大型コンピュータシステムに採用さ
れた機能の1つに「走査可能ラッチ(scannable latc
h)」がある。走査可能ラッチは適当なクロック信号を
用いてシフトレジスタの段に変換することのできるラッ
チを備えている。走査可能ラッチによれば、結果として
得られるシフトレジスタの内容を試験用にシフトアウト
することによって「走査する」ことが可能である。この
シフトレジスタ、したがってラッチにはまた新たなデー
タをシフトインすることによって新たな内容をロードす
ることもできる。たとえば、米国特許第4,495,629号を
参照されたい。また、同期順序回路のタイミング障害を
試験するための回路が、マレーシアで1983年インターナ
ショナル・テスト・コンファレンス(International Te
st Conference(CH1933-1/83/0000/0560$0100 IEEE))の
ワイ・ケー(Y.K.)とナラヤナスワミ(Narayanaswam
y)の論文19.3、「Testing for Timing Faults in Sync
hronous Sequential Integrated Circuits(同期型順序
集積回路におけるタイミング誤りの試験)」の560-571
ページに開示、説明されている。この発明がこれらより
優れているのはフレキシビリティ、使い易さ、そして簡
単な構造を有しているからである。
【0005】図1には周知の「ゲートラッチ(gated la
tch)」回路10を示し、この回路ではゲート信号Gが
「ハイ」のとき(すなわち、論理的に高レベルにあると
き)、ゲートラッチの出力Qがデータ入力Dに続く(す
なわち、同じ値に設定される)。ゲート信号Gが「ロ
ー」に変わるとQの変更は阻止され、QはDが変わって
もその最後の値を保持する。相補ゲートラッチ出力QN
は常にQ出力値の反対に設定される。
【0006】図2には周知の「2ポート付きのゲートラ
ッチ」回路12を示す。この回路では、第1のポートのゲ
ート信号CLKと第2のポートのゲート信号S_CLK
のどちらがハイであるかに応じて、ゲートラッチの出力
Qが第1のポートのデータ入力Dあるいは第2のポート
のデータ入力SINに続く。CLKとS_CLKがいず
れもローである場合、DあるいはSINが変わっても出
力Qは変化しない。相補ゲートラッチ出力QNは常にQ
の反対に設定される。CLKとS_CLKがいずれもハ
イで、DとSINが反対の値を有する場合は、ラッチ出
力QおよびQNはともにハイである。
【0007】図3には第1のゲートラッチ10A、第2の
ゲートラッチ10B、およびゲートラッチ10Aに接続された
ゲート信号SYS_CLKを反転するインバータ11から
なる「マスター/スレーブ」レジスタを示す。通常、ゲ
ートラッチ10Aを「マスターラッチ」と呼び、ゲートラ
ッチ10Bを「スレーブラッチ」と呼ぶ。
【0008】SYS_CLKがローであるとき、マスタ
ーラッチ10Aへのゲート信号Gはハイであり、それによ
ってマスターラッチの出力QはSYS_DATA入力に
続く。この間(すなわち、SYS_CLKがローである
間)、スレーブラッチ10Bへのゲート信号Gはローであ
り、それによってスレーブラッチ10Bの出力Qの変化が
防止される。SYS_CLKが論理的に高レベルに変わ
るとマスターラッチ10Aのゲート信号Gが論理的に低レ
ベルになり、それによってマスターラッチのデータ入力
D(SYS_DATAに接続されている)が変わっても
マスターラッチのQ出力の変化が防止される。この間
(すなわちSYS_CLKがハイのとき)、スレーブラ
ッチ10Bへのゲート信号はハイであり、それによってス
レーブラッチのQ出力がマスターラッチのQ出力と同じ
値をとる。このように、スレーブラッチの出力QはSY
S_CLKがローからハイに変わるのに応じて1クロッ
ク周期あたり1度だけ変化することができる。SYS_
CLKがローからハイに変わるとき、スレーブラッチの
Q出力は、ハイになるSYS_CLKの直前のSYS_
DATA入力の値に設定される。
【0009】従来の走査可能なレジスタの設計は機能試
験の問題に重点を置いていた。例えば、1978年5月の
「ジャーナル・オブ・デザイン・オートメーション・ア
ンド・フォルト・トレラント・コンピューティング(Jo
urnal of Design Automation and Fault Tolerant Comp
uting)」の165ページから178ページのエイチェルベル
ガー,イー・ビー(Eichelberger,E.B.)とウィリアム
ス,ティ・ダブリュ(Williams,T.W.)による「A Logic
Design Structure for LSI Testability(LSI試験
性に関する論理設計構造)」を参照されたい。この発明
は特定の経路に関連した遅延の試験の問題を対象とする
ものである。特定の装置を特定の速度で動作させること
ができるかどうかを試験するのに特殊処理の試験装置が
用いられるが、チップあるいはウェハ上の欠陥やばらつ
きはかかる装置では検出されない。チップのピンに高速
で試験ベクトルを加えるとある程度の遅延試験範囲が得
られるが、チップ内の特定の通路に必要なベクトルを発
生することは困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって、この発明
の目的は2つの走査可能なレジスタ間の遅延通路試験を
容易にする手段を提供することである。さらにこの発明
の目的は、走査可能なレジスタ内に2つの異なる値を格
納することができ、一方の値が、立ち上がりクロックエ
ッジでレジスタの出力に転送され、組合わせ論理(すな
わち遅延通路)を伝搬して、次の立ち上がりクロックエ
ッジで走査可能なレジスタに捕捉される該走査可能なレ
ジスタを提供することである。さらに、この発明の他の
目的は初期値が走査可能なレジスタのスレーブラッチ部
分にロードされ、それらに換わるべき値が同じレジスタ
のマスターラッチ部分にロードされる該走査可能なレジ
スタを提供することである。これらの2つの値をレジス
タにロードすることを可能とする特殊な試験信号を提供
しなければならない。これらの特殊試験信号はまた、遅
延通路を通りレジスタに入るマスターラッチからスレー
ブラッチへのデータ値の転送をトリガーする手段を提供
しなければならない。2つのクロックパルスの立ち上が
りエッジ間の過度の時間遅延を有する経路の遅延を明ら
かにしなければならない。本発明によれば、これらの目
的が達成される。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は「マスターロ
ード付きの走査レジスタ(scan-register with master-
load)」(あるいは「走査レジスタ」)を提供すること
によって上述の目的を達成する。
【0012】この発明による走査レジスタは少なくとも
2つのデータ入力ポート、少なくとも1つのデータ出力
ポート、および少なくとも第1、第2、第3および第4
の制御信号用の入力からなる。走査レジスタにおいて、
データ入力ポートに結合された入力を有する第1の手段
が第1および第2の制御信号の状態の所定の組合せの発
生に応じて現れるデータを選択的に格納する。第2の手
段が第3の制御信号の所定の状態の発生に応じて第2の
データ入力ポートに現れるデータを選択的に格納し、少
なくとも前記第1あるいは第2の手段の出力に結合され
た、少なくとも1つの入力を有し、さらにデータ出力ポ
ートに結合された出力を有する第3の手段が、第4の制
御信号の所定の状態の発生に応じて、第1および第2の
手段に格納されたデータを選択的に格納する。第3の手
段に格納されたデータはデータ出力ポートに与えられ
る。
【0013】この発明によれば、いずれかのデータ入力
ポートに現れるデータは第1、第2および第3の手段の
うち選択されたものを介して順次シフトすることができ
る。このデータは制御信号の所定の状態が所定の順序で
発生するのに応じて選択された入力ポートから出力ポー
トにシフトされる。
【0014】この発明の第1の好ましい実施例によれ
ば、制御信号の所定の状態が第1の所定の順序で発生す
るのに応じて第1の動作モードを選択することができ
る。このモードではデータは第1および第3の手段を介
して第1あるいは第2のいずれかのデータ入力ポートか
らデータ出力ポートに順次シフト可能であり、一方、別
のデータが第2の手段に格納される。制御信号の所定の
状態が第2の所定の順序で発生するのに応じて第2の動
作モードを選択することができる。この第2の動作モー
ドでは、データは第2および第3の手段を介して第2の
データ入力ポートから出力データポートに順次シフト可
能であり、一方、別のデータが第1の手段に格納され
る。
【0015】第1の好ましい実施例の第1の動作モード
では、第1の制御信号の連続する所定の状態に応じて、
データが第1のデータ入力ポートからデータ出力ポート
にシフトされる。データは、さらに、第2の制御信号の
所定の状態とそれに続く第1の制御信号の所定の状態に
応じて第2のデータ入力ポートからデータ出力ポートに
シフトされる。
【0016】第1の好ましい実施例の第2の動作モード
では、第3の制御信号の所定の状態とそれに続く第4の
制御信号の所定の状態に応じて、データは、第2のデー
タ入力ポートから第2および第3の手段のみを介して、
直接データ出力ポートにシフトされる。
【0017】他の好ましい実施例と動作モードを次に詳
細に説明する。
【0018】
【発明の実施の形態】この発明の好ましい実施例を図4
−図12を参照して説明する。図中同一の参照数字は同
一の要素を指す。
【0019】図4はこの発明の第1の好ましい実施例を
示す。ここではこの実施例を「マスターロード付きの走
査レジスタ」と呼び、マスターラッチ12A、スレーブラ
ッチ12B、走査ラッチ10AおよびNORゲート13からな
る。
【0020】図4および図6の実施例の動作の概略を説
明する。ここでは図4を参照するが図6の実施例の動作
は実質的に同じである。(相違点は図6の説明から容易
に明らかとなる。)2つの動作モードがある。第1の動
作モードは特定のクロック信号の所定の状態の第1の所
定の順序にしたがって選択される。クロック信号はこの
装置の動作を制御するので、基本的な制御信号である。
この第1の動作モードでは、データは「SYS_DAT
A」あるいは「SCAN_IN」データ入力ポートか
ら、マスターラッチ12Aおよびスレーブラッチ12Bを介し
て出力データポート(すなわち「Q_OUT」)に順次
シフトされ、異なるデータが走査ラッチ10Aに格納され
る。
【0021】この第1の動作モードでは、データはSY
S_CLK信号の立ち上がりエッジが順次発生するのに
応答して、SYS_DATA入力ポートからQ_OUT
出力ポートにシフトされる。データはM_LOAD信号
のパルスがハイになるのに続き、SYS_CLK信号の
パルスがハイになるのに応答してSCAN_INデータ
入力ポートからQ_OUT出力ポートにシフトされる。
【0022】第2の動作モードは制御信号の所定の状態
の第2の所定の順序にしたがって選択される。この動作
モードでは、データはSCAN_INデータ入力ポート
から走査ラッチ10A及びスレーブラッチ12Bを介してSC
AN_OUTデータポートに順次シフトされ、異なるデ
ータがマスターラッチ12Aに格納される。
【0023】この第2の動作モード中、データはCLK
_B信号のパルスがハイになるのに続き、CLK_A信
号のパルスがハイになるのに応じて、SCAN_IN入
力ポートから走査ラッチ10Aとスレーブラッチ12Bのみを
介して、直接SCAN_OUT出力ポートにシフトされ
る。
【0024】図4の回路を詳細に説明する。マスターラ
ッチ12Aとスレーブラッチ12Bはそれぞれが2つのポート
を有するゲートラッチ回路であり、走査ラッチ10Aはゲ
ートラッチである。これらはそれぞれ発明の背景の部分
で説明した。3つの信号M_LOAD、D_STRBお
よびSYS_CLKがすべてローであるとき、マスター
ラッチ12Aの出力QがSYS_DATA入力に続く。マ
スターラッチ12Aの出力Qは、SYS_CLKがローか
らハイに変わるときにCLK_Aをローに維持すること
によって、スレーブラッチ12Bの出力Q(これはまたマ
スターロード付き走査レジスタ回路14全体のQ_OUT
出力でもある)に移動する。これによってマスターラッ
チとスレーブラッチの対は図3に示し、また図3を参照
して上述したようなマスタースレーブレジスタ回路のよ
うに動作する。
【0025】走査ラッチ10AはCLK_Bがハイに設定
されているとき、走査ラッチ出力QがSCAN_INに
続くように別途動作させることができる。CLK_Bが
ローに変わったとき、SCAN_INが変わっても走査
ラッチ10Aの出力Qの最後の値が保存される。走査ラッ
チ10AのQ出力からの値は、SYS_CLKがローであ
ることを前提として、スレーブラッチ12BへのCLK_
A信号がハイであるときCLK_Bをローに維持するこ
とによってスレーブラッチ12BのQ出力に転送すること
ができる。
【0026】M_LOADはマスターラッチ12Aの第2
のポートのゲート信号として用いられる。SYS_CL
KあるいはD_STRBがハイに設定された状態で、M
_LOADがハイに設定されているとき、マスターラッ
チ12Aの出力QはSCAN_INの値に続く。D_ST
RBはマスターラッチ12Aに入るSYS_CLK信号を
不能にする信号として用いられる。D_STRBがハイ
に設定されているとき、マスターラッチ12Aの第1のポ
ートのゲート信号CLKはローとなり、マスターラッチ
12AはSYS_DATAおよびSYS_CLKの変化の
影響は受けない。
【0027】マスターロード付き走査レジスタ14の注目
すべき特徴として、まずSYS_CLKがローからハイ
に変わるとき、スレーブラッチ12Bがマスターラッチ12A
からロードされる前にマスターラッチ12AのQ出力が変
化するのを防止する能力がある。これはD_STRBを
ハイに維持することによって達成される。第2の特徴は
システムデータ入力(SYS_DATA)と異なるデー
タ入力源(すなわちSCAN_IN)からマスターラッ
チ12AのQ出力を設定する能力である。
【0028】これら2つの特徴は、SCAN_INおよ
びM_LOAD信号を用いて所望の値をマスターラッチ
12AのQ出力にロードし、D_STRBをハイに維持す
ることによって、SYS_CLKのローからハイへの変
化とともに、Q_OUT出力での任意の所望の値(現在
の値の補数を含む)への遷移を起こすことを可能とす
る。D_STRB信号がないと、SYS_CLKがハイ
に設定される前にSYS_DATAが変わるようなこと
があった場合、マスターラッチ12AのQ出力にロードさ
れた値が変化するおそれがある。
【0029】上述したタイプの走査レジスタ14は通常、
デジタルシステムにおいてそのシステムの内部状態変数
を実装するために用いられる。さらに、個々の走査レジ
スタ14は、走査レジスタ「i」からのSCAN_OUT
出力信号が走査レジスタ「i+1」のSCAN_IN入
力に接続され、それによって集合的に「走査通路」と呼
ばれる走査レジスタの連鎖を形成するように互いに接続
される。
【0030】図5の走査レジスタの連鎖状接続構成にお
いて、最初の走査レジスタ14A(最低の序数「i」の付
いた走査レジスタ)のSCAN_INと最後の走査レジ
スタ14C(最高の序数「n」の付いた走査レジスタ)の
SCAN_OUTは、走査通路が実装された集積回路全
体のSCAN_INPUTピンとSCAN_OUTPU
Tピンにそれぞれ接続される。すべての走査レジスタは
CLK_A、CLK_B、D_STRBおよびM_LO
AD信号を共有する。このようにして、個々の走査レジ
スタ回路14A、14Bなどのマスターラッチ部分12Aは、D
_STRBおよびM_LOADをハイに、SYSCLK
をローに設定し、集積回路全体へのSCAN_IN信号
と協力して交互の(重なり合わない)CLK_Aおよび
CLK_B信号を用いて所定の値に設定することができ
る。行先の走査レジスタが走査通路に沿って接続される
のと同じ順序でSCAN_IN端子に所望の値が現れ
る。走査レジスタ14A、14B、14Cなどに所定の値をシリ
アルにシフトインする動作は「スキャンイン」動作と呼
ばれる。これを行った後はM_LOAD信号がローに設
定され、D_STRBをハイに維持しつつもう1度スキ
ャンインが行われてそれぞれのスレーブラッチ12Bを設
定する。
【0031】2度目のスキャンインの間、走査レジスタ
14A、14Bなどのマスターラッチ12A部分は、M_LOA
Dがローであり、D_STRBがハイであるため変更さ
れない。この段階で2つの連続するSYS_CLKパル
スが全回路に加えられ、D_STRBは2つのSYS_
CLKのローからハイへの遷移の間に論理的に低レベル
に変化する。これは別のラッチあるいはラッチの対を用
いてこのラッチ(あるいはラッチ対)がSYS_CLK
の立ち上がりエッジに続いてリセットされる(すなわち
D_STRBがローに設定される)ようにD_STRB
信号を提供することによって達成される。正しく動作さ
せるためには、SYS_CLKの第1の立ち上がりエッ
ジに続くD_STRBの新しい値は第2のSYS_CL
Kパルスの前にすべての走査レジスタ回路にとって利用
可能でなければならない。さらにD_STRBレジスタ
は走査通路上の信号に接続されていてはならない。なぜ
なら、走査通路上の信号に接続されていると走査動作
中にそれらの信号によってその値が変化し、このために
マスターラッチ回路のデータが失われるおそれがあるた
めである。図14はフリップフロップ回路を用いてD_
STRBを実施する方法を示す。この方法では第1のS
YS_CLKパルスによって、走査レジスタ14A、14B、
14Cなどのスレーブラッチ12Bの部分をそれぞれのマスタ
ーラッチ部分12Aにある所定の値から更新することが可
能となる。D_STRBを第2のSYS_CLKパルス
の前に論理的に低レベルに設定することによって、レジ
スタをSYS_CLKの第2の立ち上がりエッジのその
通常のシステム入力SYS_DATAで更新することが
可能となる。
【0032】デジタルシステムの組合わせ論理が、第2
のSYS_CLKパルスの到着前に第1のSYS_CL
Kパルスでスレーブラッチ12B回路の出力Q_OUTに
設定された値に適切に応答するのに十分な時間を有しな
いほど第1および第2のSYS_CLKパルスの間隔が
小さくなるまで、第1および第2のSYS_CLKパル
スの時間間隔を徐々に短くすることによって所定の実験
を何回かくり返すことが可能である。この故障ポイント
がこの組合わせ回路の伝搬遅延の測定値となる。 図6
はマスターロード回路付き走査レジスタの別の実施例16
を示す。この実施例は「マスターロードおよび2重反転
付き走査レジスタ」と呼ばれる。図6の回路において、
ラッチ回路12A'および12B'の反転出力QNが非反転Q出
力の代わりに用いられており、走査レジスタ16の出力S
CAN_OUTはスレーブラッチ12B'のQ出力から得ら
れる。この信号の交換の効果はマスターラッチ12A'ある
いは走査ラッチ10A'からスレーブラッチ12B'へのデータ
転送、並びに走査レジスタ16の入力SYS_DATAあ
るいはSCAN_INからマスターラッチ12A'へのデー
タ転送の度にデータ極性の反転が起こることである。こ
れは走査レジスタ16の入力SYS_DATAから走査レ
ジスタ16の出力Q_OUTへのデータ転送には影響しな
い。それは反転が偶数回起こり互いの出力を打ち消し合
うためである。走査レジスタ16の出力SCAN_OUT
は常に走査レジスタ16の出力Q_OUTの補数を格納す
る。走査レジスタ16の入力SCAN_INから走査レジ
スタ16の出力SCAN_OUTへのデータ転送は、この
転送がマスターラッチ12A'を介して行われる場合にのみ
データ極性の反転を伴う。
【0033】図6の回路は図4の回路にはない重要な機
能を有する。それは、図6のマスターラッチ12A'にラッ
チされた(及び、D_STRBをハイに設定することに
よりそこにセーブされた)データが後にスレーブラッチ
12B'に移される際に反転されるためである。マスターラ
ッチ12A'とスレーブラッチ12B'のQ出力を同じ値に初期
設定することが可能である。Q_OUTがQの値に初期
設定され、次にSYS_CLKがローからハイに変わる
ときにQの値の補数に変わることがわかる。したがっ
て、D_STRBとM_LOADをハイに設定してスキ
ャンインを行った場合、M_LOADがローへ降下し、
次に2つの連続するSYS_CLKパルスを加え、D_
STRBが立ち上がりエッジの間で変化しうるようにす
ることによってすべてのQ_OUT信号を反対の状態に
変えるように、すべての走査レジスタは、スレーブラッ
チ12B'中の値と同じ値をマスターラッチ12A'に有するよ
うに設定される。多くの場合、これは望ましい効果であ
る。なぜならこれによってチップの組合わせ回路への効
果を後続のSYS_CLKパルスによって捕捉すること
のできる信号遷移を作り出すことが可能になるためであ
る。遅延通路試験は2つのSYS_CLKパルスが加え
られる前に第2のスキャンイン動作を行う必要なく実行
することができる。
【0034】図7および図8はそれぞれ図4および図6
の回路と同様に動作するこの発明のさらに別の実施例を
示す。図7および図8の実施例はマスターラッチ12
A''、スレーブラッチ12B''、および走査ラッチ10A''の
間の相互接続の点で図4および図6に示すものと異な
る。図7において、マスターラッチとスレーブラッチの
対は図4に示す通常のマスタースレーブレジスタと同様
な方法で相互接続されている。別の走査ラッチ10A''が
スレーブラッチ12B''のQ端子から駆動される。
【0035】図8の回路は図7の回路と同様である。た
だし、各ラッチ12A'''、12B'''、10A'''の反転出力QN
がその非反転Q出力の代わりに用いられている点で異な
る。これによって図6の回路に関して上に述べたのと同
じ効果が生まれる。
【0036】図7および図8の実施例の動作を図7を参
照して説明する。(図4と図6の場合と同様に、図7と
図8の実施例の動作の相違点は容易に理解できよう。)
ここでも2つの動作モードがある。第1の動作モードは
制御信号SYS_CLKおよびM_LOADの所定の状
態の第1の所定の順序にしたがって選択される。データ
はSYS_DATAあるいはSCAN_IN入力ポート
からマスターラッチ12A''およびスレーブラッチ12B''を
介してQ_OUTデータ出力ポートに順次シフトされ
る。このデータはまた格納およびSCAN_OUTデー
タ出力ポートに出力(出現)するように、走査ラッチ10
A''でも利用可能である。
【0037】第1の動作モードによれば、データはSY
S_CLK信号の立ち上がりエッジが順次発生するのに
応じてSYS_DATA入力ポートからQ_OUT出力
ポートにシフトされる。さらに、データはM_LOAD
信号のパルスがハイになるのに続いてSYS_CLK信
号がハイになるのに応じてSCAN_INポートからQ
_OUTポートにシフトされる。
【0038】第2の動作モードは制御信号の所定の状態
の第2の所定の順序にしたがって選択される。このモー
ドでは、データはCLK_B信号のパルスがハイになる
のに続いてCLK_A信号がハイになるのに応じてSC
AN_INポートからスレーブラッチ12B''および走査
ラッチ10A''のみを介して、直接Q_OUTおよびSC
AN_OUT出力ポートにシフトされる。
【0039】各種の実施例のマスターラッチ12、12A'、
12A''に関連するNORゲートは添付の特許請求の範囲
によって定義される本発明におけるマスターラッチの一
部と考えることができるが、特許請求の範囲は特許請求
の範囲に明記されている場合を除き、図示したNORゲ
ートあるいはNOR機能を有するマスターラッチを使用
する範囲に限定されないことに注意を要する。
【0040】図9〜図11は試験信号CLK_A、CL
K_B、M_LOADおよびD_STRBのタイミング
図を示す。Q1はスレーブラッチ12B'''に走査された
値、Q2はマスターラッチ12A'''に走査された値、また
Q3はレジスタ20内に捕捉されたシステム入力データを
表す。
【0041】図12にはENABLE機能を有するマス
ターロードおよび2重反転付き走査レジスタ20のCMO
Sへの具体的な実施例を示す。図13、図14、図15
および図16は図12に用いる各種の制御信号を発生さ
せる方法を示す。図17の表は図8に示すレジスタの動
作を表で説明したものである。
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、2つの走
査可能なレジスタ間の遅延通路試験を容易にする手段が
提供される。さらに、本発明によれば、走査レジスタ内
に2つの異なる値を格納することができ、その第2の値
が組合わせ論理(すなわち遅延通路)を伝搬して立ち上
がりクロックエッジでレジスタの出力に転送され、次の
立ち上がりクロックエッジで走査可能なレジスタに捕捉
される走査可能なレジスタが提供される。さらにまた、
本発明によれば、初期値が走査可能なレジスタのスレー
ブラッチ部分にロードされ、それらに換わるべき値が同
じレジスタのマスターラッチ部分にロードされる走査可
能なレジスタが提供される。さらに、本発明によれば、
これらの2つの値をレジスタにロードすることを可能と
する特殊な試験信号が提供可能である。さらに、また、
本発明によれば、これらの特殊試験信号に関し、遅延通
路を通りレジスタに入るマスターラッチからスレーブラ
ッチへのデータ値の転送をトリガーする手段が提供され
る。
【0043】本明細書および添付図面を検討することに
よって、当業者には、実施例に多くの変更、修正、及び
改造を成し得ることが明白であろう。本発明の精神と範
囲に含まれるかかる変更、修正及び改造はすべてこの発
明に含まれるものと考えられ、本発明は添付の特許請求
の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の「ゲートラッチ」回路のブロック図であ
る。
【図2】従来の「2ポート付きのゲートラッチ」回路の
ブロック図である。
【図3】従来の「マスター/スレーブ」レジスタ回路の
ブロック図である。
【図4】本発明による「マスターロード付き走査レジス
タ」回路のブロック図である。
【図5】本発明による走査経路のブロック図である。
【図6】図4の回路の代替実施例のブロック図である。
【図7】図4の回路の代替実施例のブロック図である。
【図8】図6の回路の代替実施例のブロック図である。
【図9】図8の回路のタイミング図である。
【図10】図8の回路のタイミング図である。
【図11】図8の回路のタイミング図である。
【図12】CMOSに実装されENABLE機能を有す
る図8の回路の概略図である。
【図13】図12において用いられる各種制御信号を生
成する方法を示している。
【図14】図12において用いられる各種制御信号を生
成する方法を示している。
【図15】図12において用いられる各種制御信号を生
成する方法を示している。
【図16】図12において用いられる各種制御信号を生
成する方法を示している。
【図17】図8の回路の動作を説明する表である。
【符号の説明】
10A 走査ラッチ 12A マスターラッチ 12B スレーブラッチ 13 NORゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 399117121 395 Page Mill Road Palo Alto,Californ ia U.S.A. (72)発明者 ゲイヴィン・イー・ストング アメリカ合衆国コロラド州80526フォー ト・コリンズ,バーミンガム・ドライ ヴ・3300 (56)参考文献 特開 昭62−109337(JP,A) 特表 昭60−500357(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11C 19/00 G01R 31/28 G06F 11/22

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも第1及び第2のデータ入力ポー
    トと、少なくとも1つのデータ出力ポートと、少なくと
    も第1、第2、第3及び第4の制御信号用入力とを備え
    た、走査レジスタであって、 (a)少なくとも前記第1及び第2の制御信号の予め設定
    された状態の組合わせの発生に従って、前記データ入力
    ポートの一つに現れるデータを選択的に格納するべく、
    前記第1及び第2のデータ入力ポートに接続された入力
    を備える第1の手段と、 (b)少なくとも前記第3の制御信号の予め設定された状
    態の発生に従って、前記第2のデータ入力ポートに現れ
    るデータを選択的に格納するべく、前記第2のデータ入
    力ポートに接続された少なくとも1つの入力を備える第
    2の手段と、 (c)少なくとも前記第1及び第2の手段の一つの出力に
    接続された少なくとも1つの入力ポートを備え、さら
    に、少なくとも前記第4の制御信号の予め設定された状
    態の発生に従って、前記第1及び第2の手段の一方に格
    納されたデータを選択的に格納するべく、前記データ出
    力ポートに接続された出力を備え、そして、格納したデ
    ータを前記データ出力ポートに供給することからなる第
    3の手段と、 (d)前記第1及び第2のデータ入力ポートの一つに現れ
    るデータは、少なくとも前記制御信号の内から選択され
    たものの予め設定された状態の予め設定された順序の発
    生に従って、前記第1、第2及び第3の手段の内から選
    択されたものを介して、前記出力ポートに順次シフト可
    能であることとからなる走査レジスタ。
  2. 【請求項2】少なくとも第1及び第2のデータ入力ポー
    トと、少なくとも1つのデータ出力ポートと、少なくと
    も第1、第2、第3及び第4の制御信号用入力とを備え
    た、走査レジスタであって、 (a)少なくとも前記第1及び第2の制御信号の予め設定
    された状態の組合わせの発生に従って、前記データ入力
    ポートの一つに現れるデータを選択的に格納するべく、
    前記第1及び第2のデータ入力ポートに接続された2つ
    のデータ入力を有するゲートラッチからなるマスターラ
    ッチ手段と、 (b)少なくとも前記第3の制御信号の予め設定された状
    態の発生に従って、前記第2のデータ入力ポートに現れ
    るデータを選択的に格納するべく、前記第2のデータ入
    力ポートに接続された少なくとも1つの入力を備えた第
    一のラッチ手段と、 (c)少なくとも前記マスターラッチ手段及び前記第1の
    ラッチ手段の一つの出力に接続された少なくとも1つの
    入力を備え、さらに、少なくとも第4の制御信号の予め
    設定された状態の発生に従って、前記マスターラッチ手
    段及び前記第1のラッチ手段の一方に格納されたデータ
    を選択的に格納するべく、前記データ出力ポートに接続
    された出力を備え、そして、格納したデータを前記デー
    タ出力ポートに供給することからなる第2のラッチ手段
    と、 (d)前記第1及び第2のデータ入力ポートの一つに現れ
    るデータは、少なくとも前記制御信号の内から選択され
    たものの予め設定された状態の予め設定された順序の発
    生に従って、前記マスターラッチ手段、前記第1及び第
    2のラッチ手段の内から選択されたものを介して、前記
    出力ポートに順次シフト可能であり、一方、前記マスタ
    ーラッチ手段、前記第1及び第2のラッチ手段の内の選
    択されていないものには異なるデータを格納することと
    からなる走査レジスタ。
  3. 【請求項3】少なくとも第1及び第2のデータ入力ポー
    トと、少なくとも1つのデータ出力ポートと、少なくと
    も第1、第2、第3及び第4の制御信号用入力とを備え
    た、走査レジスタであって、 (a)少なくとも前記第1及び第2の制御信号の予め設定
    された状態の組合わせの発生に従って、前記データ入力
    ポートの一つに現れるデータを選択的に格納するべく、
    前記第1及び第2のデータ入力ポートに接続された2つ
    のデータ入力を有するゲートラッチからなるマスターラ
    ッチ手段と、 (b)2つのデータ入力を有するゲートラッチからなるス
    レーブラッチ手段であって、該スレーブラッチ手段の第
    1の入力は、前記マスターラッチ手段の出力に接続さ
    れ、該スレーブラッチ手段の第2の入力は、前記第2の
    データ入力ポートに接続され、該スレーブラッチ手段の
    出力は、第1のデータ出力ポートに接続され、該スレー
    ブラッチ手段は、前記第1の制御信号の予め設定された
    状態の発生に従って、前記マスターラッチ手段にのみ格
    納されたデータを格納し、前記第3の制御信号の予め設
    定された状態の発生に従って、前記第2のデータ入力ポ
    ートに現れるデータを格納することからなるスレーブラ
    ッチ手段と、 (c)少なくとも前記第4の制御信号の予め設定された状
    態の発生に従って、前記第1の出力ポートに現れるデー
    タを選択的に格納するべく、前記スレーブラッチ手段の
    出力に接続された少なくとも1つの入力を備える走査ラ
    ッチ手段と、 (d)前記マスターラッチ手段が前記第1の制御信号の発
    生に応答することを禁止すための、前記マスターラッチ
    手段に接続された禁止手段であって、前記制御信号の予
    め設定された状態の第1の予め設定された順序に従って
    選択される第1の動作モードでは、前記走査ラッチ手段
    への格納と第2のデータ出力ポートでの出力のために、
    データは、前記第1及び第2のデータ入力ポートの一つ
    から、前記マスターラッチ及びスレーブラッチ手段を介
    して、前記第1のデータ出力ポート及び前記走査ラッチ
    手段へ順次シフト可能であり、前記制御信号の予め設定
    された状態の第2の予め設定された順序に従って選択さ
    れる第2の動作モードでは、データは、前記第1及び第
    2のデータ入力ポートの一つから、前記マスターラッチ
    及びスレーブラッチ手段のみを介して、前記第1のデー
    タ出力ポートのみへ順次シフト可能であり、一方、前記
    走査ラッチ手段には異なるデータが格納されることから
    なる禁止手段とからなる走査レジスタ。
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