JP3196758U - 携帯型塗装装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的小型・小面積の対象物に対する噴霧塗装を容易に行い得る携帯型塗装装置を提供する。【解決手段】スプレーガン本体2と、これの上部に備えられた塗料タンク5と、これの下部に備えられたコンプレッサーユニット4から一体の携帯型塗装装置1とする。コンプレッサーユニットには、エアポンプとリチウムイオン二次電池とエアポンプの動作スイッチ8を備え、コンプレッサーユニットとスプレーガン本体は接続・分離自在とする。また、好ましくはエアポンプの動作スイッチはラッチタイプスイッチとし、コンプレッサーユニット上部に設けた把持部9を片手で握った際にスプレーガン本体の備えるトリガー7を人差指で、コンプレッサーユニットの備えるエアポンプ動作スイッチを小指または薬指で操作することが可能とされている。【選択図】図1
Description
本考案は、塗料を霧化(微細な粒状化)して吹き付けることによって対象物表面を塗装等する塗装装置に関する。より詳しくは、塗料容器、空気ポンプ、霧化ノズル、及び、塗料や空気の吐出の有無や流量を調整する弁手段を一体に組み込んだ、携帯型塗装装置に関するものである。
従来より、斑のない美しい仕上がりを得られる塗装方法として、エアスプレーガンによる噴霧塗装が広く行われている。これは、典型的にはエアコンプレッサで発生した高圧空気を耐圧エアホースで霧化ノズルを備えたハンドピースに導き、これによって、同じくハンドピースに備えたまたはこれとチューブ接続された塗料タンクの塗料を霧化して噴出させ、対象物に霧化した塗料を付着させることによって塗装するというものである。噴霧塗装は作業者が熟練すれば、斑のない美しい仕上がりを比較的短時間で得ることが可能であり、また、対象物に多少の凹凸がある場合であっても塗装を行うが可能であるなど優れた特徴を有しており、多くの分野で使用されるに至っている。
しかし、従来より使用されているエアスプレーガンは塗装対象が比較的小面積である場合には扱いが不便な場合がある。たとえば、特開2003−190851号公開特許公報には、塗料と高圧空気を霧化して噴出させるハンドピースと塗料チューブによって接続された塗料タンクと、同じくハンドピースと耐圧エアホースで接続されたエアコンプレッサとを備え、さらに、塗料や空気の吐出の有無を制御するバルブをもハンドピースに備えたエアスプレーガンが開示されている。これは、ハンドピースと分離されて定置されているために大容量の塗料タンクが利用可能であり、また、同じくハンドピースと分離されて定置されているために大流量のエアコンプレッサーが利用可能であるから、大量の塗料を霧化・噴出して大面積の対象物を速やかに塗装可能である。一方で、対象物が小型で小面積なものである場合や細かな描画を行う場合には、ハンドピースの微妙な操作が必要であることは言うまでもないことであり、塗料チューブや耐圧エアホースが接続されたハンドピースでは非常に作業性が悪くなってしまうという課題がある。修理・補修といった目的で塗装を行う際には、対象物が実使用状態である状態での現場作業が必要な場合もあり、大掛かりなエアスプレーガンシステムを現場に搬送して使用することが現実的でない場合もある。例えば、エアコンプレッサを駆動する電源が利用できない場合すらあり、この場合は発電機までをも搬送・設置しなければならないなど、塗装作業の規模に対して作業環境の整備等が大げさになりすぎるという問題が生じるのである。
対象物が小さい場合に、比較的容易に持ち運んで塗装作業を行うことができる技術として、高圧の液化ガスを缶に収めたエアボンベを高圧空気源として駆動するエアスプレーガンも広く実用に供されており、個人レベルでも趣味の工作物の塗装作業等で活用されている(エアブラシともいわれる)。しかし、エアボンベを日常業務的に高圧空気源として使用することはかなりの費用を要するために好ましいことではない。また、エアボンベは気化熱によってボンベ内の液化ガスの温度が下がり発生圧力が低下するなど、発生圧力が不安定になり易いことも問題である。
また、エアボンベに使用される高圧ガスとは、通常はR−134a等の代替フロンやLPG、DMEのような燃料ガスであり、これを日常的に大気中に噴出することは近年の環境意識の高まり(たとえば、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書による規制など)等を例に挙げるまでも好ましいこととは考え難く、また、後者のような可燃性ガスの場合には重篤な災害を将来しかねないという点でも好ましくない。また、これらガスが匂いを有する場合にはこのことが現場作業の可否を左右してしまうことすらある。
また、同様に対象物が小さい場合に、比較的容易に持ち運んで塗装作業を行うことができる技術として、特開2002−224603号公開特許公報に開示された発明を挙げることができる。これは、高圧空気ではなく、微細孔に導入した塗料を圧電素子の発生する超音波振動によって弾き飛ばすことによって独立した微粒子を得て、これを対象物表面に付着させることによって塗装を行えるというものである。この発明はエアコンプレッサに頼らずに霧化塗料を得るので、小型・軽量を実現することができ、携帯性という点では極めて優れているといえる。しかし、霧化した塗料を強い気流に乗せて噴出させるからこそ、塗料の方向や密度が安定し、思い通りの塗装・描画が容易になるのであるから、塗装装置としての機能として満足できるものではなかった。
本考案が解決しようとする課題は、上記説明したような問題点を解決した塗装装置を提供することである。すなわち、小型・軽量で携帯容易であり、かつ、外部電源、塗料タンク、コンプレッサ等と接続するケーブル類やホース類が不要で、繊細な塗装・描画作業を可能とし、さらに、高額かつ温暖効果ガスを噴霧剤として使用しない一体独立タイプの携帯型塗装装置を提供することを、解決しようとする課題としている。
(1)上記説明した課題を解決するため、本考案においては、
高圧空気と塗料を導入すると霧化した塗料を噴出可能とされたスプレーガン本体と、
該スプレーガンの上部に備えられた塗料タンクと、
該スプレーガン下部に備えられて圧縮空気を該スプレーガンに供給するコンプレッサーユニットを備え、
該スプレーガンには少なくとも塗料の流量を変化可能なトリガーを備え、
該コンプレッサーユニットには、エアポンプと、リチウムイオン二次電池と、該エアポンプの動作スイッチとを備えている、
ことを特徴とする、携帯型塗装装置としている。
高圧空気と塗料を導入すると霧化した塗料を噴出可能とされたスプレーガン本体と、
該スプレーガンの上部に備えられた塗料タンクと、
該スプレーガン下部に備えられて圧縮空気を該スプレーガンに供給するコンプレッサーユニットを備え、
該スプレーガンには少なくとも塗料の流量を変化可能なトリガーを備え、
該コンプレッサーユニットには、エアポンプと、リチウムイオン二次電池と、該エアポンプの動作スイッチとを備えている、
ことを特徴とする、携帯型塗装装置としている。
スプレーガン本体、塗料タンク、エアポンプ、及び、エアポンプを駆動させる電力源であるリチウムイオン二次電池を一体に組み込んだので、この携帯型塗装装置単体で霧化した塗料の噴出が可能であり、外部電源や燃料タンク、エアコンプレッサと接続する電線やチューブ類が全く不要である。したがって、作業中に電線やチューブ等の張力や重量によって手元が狂うというような不具合が発生し得ず、繊細な塗装・描画作業が可能になる。
小型軽量な塗装装置としている以上、塗料タンクの容量やリチウムイオン二次電池の電力量は限られており、連続して長時間にわたる大面積の塗装作業には適さない場合があるものの、本携帯型塗装装置はそもそも小型・小面積の対象物に対して繊細な塗装・描画作業を行ったり、あるいは、実使用状態であるような対象物の一部の修理・補修を行うことを念頭に考案されたものであり、この目的において前記のような課題は実用上の問題にはなり得ない。また、本考案は、いわゆるネイルアートのような美容分野で使用することも念頭に考案されたものであるが、このような目的においても前記のような課題が発生しないことは明らかである。
一般にスプレーガンに対して塗料タンク(この場合、「塗料カップ」とも呼ばれる)を上部に配する重力式と、塗料タンクを下側に配してここから塗料を吸い上げる吸上式の2種類が知られているが、本考案では重力式とすることが好ましい。そもそも小型・小面積の対象物を想定している為、塗料タンクの容量が小さいことが問題にならず、むしろ、少量の塗料でも最後まで噴出しきることができる点で合理的だからである。また、携帯型塗装装置とするため、小型・軽量なエアポンプを採用しなければならず、これによって発生できる高圧空気の圧力・流量が限られている為、塗料の吸い上げに余分な圧力・流量が必要となる吸上式は好ましくないからである。さらに、スプレーガン本体の下部にある程度の重量のあるコンプレッサーユニットを配したので、スプレーガン本体の上部に塗料タンクを配することで重量のバランスが適正となり、片手でもより自由に取り扱いのできる携帯型塗装装置とできるからである。
コンプレッサーユニットにはリチウムイオン二次電池とエアポンプと該エアポンプの動作スイッチとを備えるが、リチウムイオン二次電池は体積・重量当たりに蓄えることのできるエネルギー量が多いために、小型軽量の割に長時間動作のできる携帯型塗装装置を実現できるという利点がある。特に、近年では充電式ドリルや充電式ドライバーのような電動工具向けに大きな出力を行っても温度上昇の少ない安全なものが比較的安価に入手可能となっている為、安全でありつつ十分な量の塗料を霧化して噴出できる携帯型塗装装置を実現できる。さらに、二次電池であるので多くの回数充電して再使用することが可能であり、エアボンベを高圧空気源とする場合と比較して大幅にランニングコストの低減を実現できるという利点もある。なお、使用するリチウムイオン二次電池のタイプは問わないが、入手性や価格の点で、汎用の18650タイプ(直径約18mm、長さ約65mmの円筒形の缶タイプ電池)を利用することができ、エアポンプを安定的に駆動する電圧を得るために、これを3直列乃至6直列にして使用することが好ましい。さらに、リチウムイオン二次電池が満充電に近い状態から放電末期に近い状態までの間を通して、エアポンプの発生する圧力の変化が少ないことが好ましいため、この間の端子電圧変化が小さい種類のリチウムイオン二次電池を使用するべきである。この目的のため、例えば、リチウムイオン二次電池の主な活物質として、正極に燐酸鉄リチウム、負極にグラファイトを使用したリチウムイオン二次電池を選択することが特に好ましく、例えば、A123 SYSTEMS社のAPR18650M1−Aなどが利用可能である。
エアポンプは、大小さまざまなものが流通しているが、本考案においては携帯型塗装装置としての実用性を損なわないため、リチウムイオン二次電池によって駆動可能であり、かつ、小型・軽量であるものがこのましいことはいうまでもない。具体的には、卓上血圧計のカフ加圧用のエアポンプや小型の水槽のエアレーションに使用するエアポンプで、12V乃至18V程度の直流電圧を与えることで静圧が数10kPa乃至200kPa程度、無負荷流用が数リットル/分乃至数10リットル/分程度の性能が得られるものを選択すればよい。
コンプレッサーユニット内では、リチウムイオン二次電池を3直列乃至6直列にしたモジュールと、エアポンプと、エアポンプの動作スイッチを直列に接続した回路を内蔵している。コンプレッサーユニット内で電気回路が閉じており、また、塗料タンクはスプレーガンの上部に直接備えられているために塗料の供給路はコンプレッサーユニットと独立しているので、スプレーガン本体とコンプレッサーユニットは圧縮空気の配管のみによって着脱自在とすることができる。スプレーガン本体は対象物の大きさや表面状態によって最適なものを選択して適宜交換使用できることが好ましいので、スプレーガン本体とコンプレッサーユニットを簡単に分離・接続することができることは作業効率上有利な特徴である。
また、コンプレッサーユニットに設けたエアポンプの動作スイッチは、片手で本考案に係る携帯型塗装装置を把持した際に指先にて動作・停止を簡単に操作できることが好ましい。良好な塗装結果を得るためには、あらかじめスプレーガンから安定的に空気の噴出を行なっておき、ここにスプレーガンの備えたトリガーを操作することで必要なだけの塗料を送り込んで霧化した塗料を噴出することが好ましいのだが、リチウムイオン二次電池で駆動する都合上、限りある充電容量を無駄に使用しないためにこまめにエアポンプの動作・停止を行なえることが好ましいためである。また、塗装作業後にはスプレーガンのノズル部などの詰まりを防止するために空気のみをしばらく噴出させたい場合があるなど、塗料と空気は別個独立に操作できることが好ましい一方、前記のとおり、電気回路はスプレーガンから独立してコンプレッサーユニット内で独立していることが、スプレーガンの交換などの都合上好ましいため、この意味でもコンプレッサーユニットにエアポンプの動作スイッチを備えることが合理的である。
加えて、エアポンプの動作スイッチをアンラッチタイプスイッチ(手指等で操作している時のみ動作状態となり、手指を離すと動作停止状態になるタイプのスイッチ)とする場合は、本考案に係る携帯型塗装装置を把持することでエアポンプの動作スイッチを動作状態とすることができることが好ましい。エアポンプの動作スイッチを動作状態に保つことに作業者が注意を払うことなく、塗装作業に集中できることが好ましいからである。このような機能は、例えばエアポンプの動作スイッチを押しボタンスイッチとし、本考案に係る携帯型塗装装置をこのスイッチを押し込みつつ把持することが可能なような位置に押しボタンスイッチを設けることによって実現されるが、これに限られず任意の常法によることができることは言うまでもない。
加えて、エアポンプの動作スイッチをアンラッチタイプスイッチ(手指等で操作している時のみ動作状態となり、手指を離すと動作停止状態になるタイプのスイッチ)とする場合は、本考案に係る携帯型塗装装置を把持することでエアポンプの動作スイッチを動作状態とすることができることが好ましい。エアポンプの動作スイッチを動作状態に保つことに作業者が注意を払うことなく、塗装作業に集中できることが好ましいからである。このような機能は、例えばエアポンプの動作スイッチを押しボタンスイッチとし、本考案に係る携帯型塗装装置をこのスイッチを押し込みつつ把持することが可能なような位置に押しボタンスイッチを設けることによって実現されるが、これに限られず任意の常法によることができることは言うまでもない。
(2)上記説明した課題を解決するため、本考案においては、
前記エアポンプの動作スイッチはラッチタイプスイッチである、
ことを特徴とする(1)に記載の携帯型塗装装置としている。
前記エアポンプの動作スイッチはラッチタイプスイッチである、
ことを特徴とする(1)に記載の携帯型塗装装置としている。
ここでラッチタイプスイッチとは、一度スイッチを操作するとスイッチから手指を離しても動作状態を保持し、再度スイッチを操作することで停止状態に復帰するという、状態の保持機能を有するスイッチを意図している。先に説明したとおり、良好な塗装結果を得るためにはあらかじめスプレーガンから安定的に空気の噴出を行なっておき、ここに必要なだけの塗料を送り込んで霧化した塗料を噴出することが好ましい。従って、作業者は塗装作業を行なうためにエアポンプを作動させて空気の噴出を始めた後は、スプレーガン本体に備えられたトリガーを操作して噴出させる塗料の流量等に集中する必要がある。この為、エアポンプの動作スイッチはラッチタイプスイッチとして、一旦空気の噴出を始めたのちはその状態を保持して、作業者が一度の塗装作業を完了するまでの間は放置できることが好ましいのである。
なお、本考案においてラッチタイプスイッチとは必ずしも機械動作による状態の保持機能を実現したスイッチのみを指す意図では無く、実質的に状態の保持機能を提供するものであればこれをも包含するものである。したがって、ラッチタイプスイッチとして、いわゆるトグルスイッチやロッカースイッチ、スライドスイッチ等はいずれも使用可能なスイッチの例である。さらに、作業者が手指で操作する物理的スイッチ自体は手指の接触等を感知するセンサであって、これを電子的に検出してエアポンプを動作させ、及び、次の手指の接触等によって停止させたとしても、これはラッチタイプスイッチの機能を提供するものであり、本考案の技術的範囲に含まれるものである。
(3)上記説明した課題を解決するため、本考案においては、
前記コンプレッサーユニット上部が片手で把持可能な把持部とされており、
該把持部を片手で把持した際に前記トリガーを人差指にて操作可能とされており、かつ、該エアポンプの動作スイッチを薬指または小指で操作可能とされている、
ことを特徴とする、(1)または(2)に記載の携帯型塗装装置としている。
前記コンプレッサーユニット上部が片手で把持可能な把持部とされており、
該把持部を片手で把持した際に前記トリガーを人差指にて操作可能とされており、かつ、該エアポンプの動作スイッチを薬指または小指で操作可能とされている、
ことを特徴とする、(1)または(2)に記載の携帯型塗装装置としている。
本考案に係る携帯型塗装装置は主に小型・小面積の対象物に対して塗装・描画を効率的に行なえることを目標に開発されており、想定用途にはネイルアートのような美容目的すらを含んでいることはすでに説明したとおりである。このような用途では、片方の手で対象物を支持し、及び、これの向きを変化させつつ、もう一方の手で本考案に係る携帯型塗装装置を操作して塗装・描画を行うという事態がしばしば発生するため、本考案に係る携帯型塗装装置においては、一回の塗装作業、すなわち、空気を噴出させ、塗料をスプレーガン本体に送り込んで霧化させて噴出した塗料による塗装・描画を行い、そして空気の噴出を停止させるという一連の作業をすべて片手で行なえることが必要である。また、繊細な塗装・描画を成功させるためには、この一連の作業がきわめて容易に行えなければならない。
そこで、コンプレッサーユニット上部を片手で安定して把持できる形状の把持部とする。具体的には、把持部を中指・掌・親指で容易に握れる太さとするとともに必要に応じて表面に凹凸を設けるなどして滑り止めの機能を備えることが好ましい。例えば、直径3cm乃至6cm程度の円筒形状の把持部をコンプレッサーユニットに設けると良く、これによって、作業者が本考案に係る携帯型塗装装置を安定的に把持可能となり、繊細な塗装・描画の実現に寄与可能となる。
また、塗料の微妙な噴出量の制御を行うために、把持部を中指・掌・親指で把持しつつ、人差し指でトリガーを操作できることが好ましい。多くの作業者にとって、人差し指は最も微妙な操作を行い易い手指であるので、もっとも微妙な操作を要する塗料の噴出量の制御はこれによって行なうことが合理的だからである。この目的には、把持部とトリガーの位置関係が重要であり、コンプレッサーユニットを把持した際に軽く曲げた人差し指が係る位置にトリガーが位置するようにすることが好ましい。
さらに、塗料の噴出量ほど微妙な制御が求められるというわけではないものの、空気の噴出の有無、すなわち、エアポンプの動作・停止の操作も片手で容易に行えることが好ましいことはいうまでも無く、これには、把持部を中指・掌・親指で把持した際に、小指や薬指によって操作できる位置にエアポンプの動作スイッチを設けることで実現できる。把持部はトリガーとの位置関係上、コンプレッサーユニットの上部に設けることが自然であるので、ここを把持した場合に小指や薬指で操作し易い位置となると、コンプレッサーユニットの把持部の数センチメートルほど下方にエアポンプの動作スイッチを設けることが好ましいということになる。なお、小指や薬指は一般に人差指ほど器用でなく微妙な操作を行なうことは困難であることが多い。この為、エアポンプの動作スイッチは、軽いタッチで操作できるなど操作性の良い小信号用スイッチとし、このスイッチによってより大きな電流を制御可能な半導体リレーを駆動することでエアポンプの駆動を行なうことが好ましい。
(1)スプレーガン本体と、塗料タンクと、コンプレッサーユニットを一体に備え、該コンプレッサーユニットにはエアポンプとリチウムイオン二次電池とエアポンプの動作スイッチを備える構成としたので、外部電源や燃料タンク、エアコンプレッサと接続する電線やチューブ類が全く不要で単独で動作する携帯型塗装装置が提供される。これによって、小型・小面積に対象物に対して繊細な塗装・描画作業が可能となるという効果が得られる。
また、スプレーガン本体に対して塗料タンクを上部に配する重力式としたので、小型・軽量のエアポンプによって発生できる高圧空気の圧力・流量であっても良好な塗料の霧化・噴出が実現され、片手で容易に取り扱える携帯型塗装装置にも関わらず良好な塗装結果を得られるという効果がある。さらに、スプレーガン本体の上部に塗料タンクを配する一方で下部にコンプレッサーユニットを配することで良好な重量バランスが得られ、さらに良好な使用感が得られるという効果がある。
さらに、高圧空気源であるエアポンプを内蔵するリチウムイオン二次電池によって駆動する構成としたので、小型軽量の割に長時間動作が可能であり、かつ、動作中の圧力や流量の安定性も高く、良好な塗装結果にますます貢献するという効果がある。また、多くの回数充電して反復使用することが可能であり、ランニングコストの低減にも貢献する。
エアポンプの動作スイッチとスプレーガンのトリガをそれぞれ備えたので、塗料と空気を別個独立に操作することが可能となり、作業者が自由度高く塗装作業を行うことができる。また、エアポンプの動作スイッチ、エアポンプ、リチウムイオン二次電池を含む電気回路のすべてをコンプレッサーユニットに内蔵し、スプレーガン本体とコンプレッサーユニット間は高圧空気配管の接続のみを行う形態としたので、スプレーガン本体の着脱・交換が容易であり、対象物の大きさや表面状態によって最適なスプレーガンを用いて塗装・描画作業を行うことができるという効果を奏する。
(2)エアポンプの動作スイッチをラッチタイプスイッチとしたので、一度エアポンプの動作スイッチを操作するとスプレーガンから空気の噴出が継続的に行われ、作業者はスプレーガン本体に備えられたトリガーによる塗料の噴出量の操作に集中できるという効果が得られる。一方で、エアポンプの動作スイッチはコンプレッサーユニットに備えられているので、極めて容易にこれを操作して空気の噴出を停止することも可能であり、不要な時間にエアポンプを駆動してリチウムイオン二次電池を放電してしまう無駄も削減される。
また、ラッチタイプスイッチの機能を電子的に実現することで、作業者が実際に操作するスイッチは手指の接触等を感知して動作するなど極めて軽いタッチで操作が可能となり、作業者の負担を減ずることに貢献することができる。
(3)コンプレッサーユニット上部を把持部とし、把持部を片手で把持した際に人差し指にてトリガーが操作可能、かつ、エアポンプの動作スイッチを薬指又は小指で操作可能としたので、片手のみですべての操作が可能な携帯型塗装装置とすることができる。これにより、もう一方の手で対象物を支持し、及び、これの向きを変化させつつ、自在に携帯型塗装装置によって塗装作業を実施することが可能になるという効果を奏する。
また、エアポンプの動作スイッチを軽いタッチで操作できるなど操作性の良い小信号用スイッチとし、このスイッチによってより大きな電流を制御可能な半導体リレーを駆動してエアポンプの駆動を行う構成とすることで、一般にあまり器用ではなく細かい作業に向かない小指や薬指によっても快適にエアポンプの動作を操作可能となり、作業者にとって快適な塗装作業を行えることに貢献できるという効果を奏する。
以下、本考案に係る携帯型塗装装置について図面を用いて詳細に説明を行う。
図1は、本考案に係る携帯型塗装装置の一実施例を示す説明図である。図から明らかなとおり、本考案に係る携帯型塗装装置(1)はスプレーガン本体(2)の上部に塗料タンク(5)を一体に備え、かつ、スプレーガン本体(2)の下部にコンプレッサーユニット(4)を備える構成としている。これらがコンパクトに一体となった構成であり、外部電源と接続するケーブルや外部コンプレッサ、外部塗料タンクなどと接続するチューブ類は一切不要で動作可能であるため、携帯性が高く、また、小型の対象物の塗装に要求される細やかで緻密な塗装作業を行いやすくされている。
スプレーガン本体(2)には塗料タンク(5)の塗料を必要量だけ噴出ノズル(6)へ導入させる操作が可能とされたトリガー(7)を備えている。また、コンプレッサーユニット(4)には内蔵するエアポンプの動作を制御するエアポンプ動作スイッチ(8)を備えている。そして、コンプレッサーユニット(4)の上部には片手で把持しやすく細くくびれた形状とされた把持部(9)が設けられている。この把持部(9)を片手で握って把持した様子を図2に示す。図から明らかなとおり、中指・掌・親指で把持部(9)を安定して握り支持することができると共に、人差指によってトリガー(7)の微妙な操作を行うことが可能であり、かつ、小指若しくは薬指で必要に応じてエアポンプ動作スイッチ(8)を操作することも容易とされており、片手で携帯型塗装装置を容易かつ完全に操作可能である。携帯型塗装装置を片手で完全に操作可能であるので、もう一方の手で小型の対象物を支持し、あるいは、回転させるなどして塗装作業を実施することが可能であり、非常に良好な作業性を実現している。
また、本携帯型塗装装置の構成要素のうち大型の構成要素である塗料タンク(2)とコンプレッサーユニット(4)がそれぞれ上下に配されることから、全体としての重量バランスがよく、ますます片手での操作を行い易くされている。
ところで、スプレーガン本体(2)とコンプレッサーユニット(4)とは、接続部(3)で接続しているが、この部分の機械的接続は任意の常法、例えば螺子機構によって行うことができる。また、この部分では、エアポンプで発生した高圧空気をスプレーガン本体(2)に導入するためのエア配管の接続を行うが、エアポンプへの電力供給を行う電気配線の接続は行なっていない。スプレーガン本体(2)とコンプレッサーユニット(4)の接続時にエア配管の接続のみを行えばよくすることで容易かつ速やかにスプレーガン本体(2)を交換可能とし、目的に応じたスプレーガン本体(2)による塗装作業を行いやすくするためである。
上記の理由から、本考案に係る携帯型塗装装置(1)は、電気回路はすべてコンプレッサーユニット(4)に搭載しているが、この電気回路の一実施例について図3を用いて説明する。
コンプレッサーユニット(4)内には、リチウムイオン二次電池(15)が内蔵され、エアポンプの動作に必要な電気エネルギーを供給する。この実施例では、リチウムイオン二次電池は汎用的に市場に流通している18650型の円筒缶タイプのものを4直列にして使用した。これは、定格電圧3.7V程度のリチウムイオン二次電池を4直列にすることで14.8V程度の電圧を得てエアポンプを駆動するために構成であるが、使用するエアポンプの種類や能力に応じて適宜異なる構成とするべきことは言うまでもない。
リチウムイオン二次電池(15)とエアポンプ(12)の一方の端子は配線で接続され、エアポンプ(12)の他方の端子には電力トランジスタ(13)のコレクタ端子に接続した。本来、エアポンプ(12)の動作は手動スイッチのみで行うこともできるのであるが、小指や薬指など一般にあまり器用とは言えない指でエアポンプの動作スイッチ(8)を容易に操作させるため、軽いタッチで容易に操作することが可能な小信号用スイッチを使用することが好ましいため、小信号用スイッチで構成したエアポンプの動作スイッチ(8)によって大きな電力を制御可能な電力トランジスタを駆動してエアポンプ(12)を動作させることにしたものである。この構成により、操作性の良い小信号用スイッチで構成したエアポンプの動作スイッチ(8)によって、比較的大きな電力を要するエアポンプ(12)を信頼性高く制御することができる。なお、エアポンプ(12)はいわゆる誘導負荷であるので、動作停止させた瞬間に高い電圧を発生して電力トランジスタ(13)を劣化させる懸念があるため、保護ダイオード(14)を追加した。もちろん、電力トランジスタ(13)の保護はいわゆるフライホイールダイオード法によらずとも、RCスナバ回路等任意の手法で行うことができる。
リチウムイオン二次電池(15)からはさらに、発光ダイオード(11)と、電流制限抵抗(10)と、エアポンプ動作スイッチ(8)を直列に接続し、これを電力トランジスタ(13)のベース端子に接続している。すでに述べたとおり、軽いタッチで容易に操作することが可能な小信号用スイッチをエアポンプ動作スイッチ(8)として採用し、これによって電力トランジスタ(13)を駆動する構成としているのである。なお、電力トランジスタ(13)に無制限に大きなベース電流を流すことは無駄であるのみならず、電力トランジスタ(13)の劣化などの弊害を生じるため、電流制限抵抗(10)によって適当なベース電流値となるようにしている。また、必須ではないが、エアポンプ(12)の動作状態を視覚を通じて把握可能とするため、この実施例では発光ダイオード(11)を設けて、エアポンプ(12)動作時にはこれが光ることで作業者が状態を把握できるようにした。発光ダイオードの駆動電流は数mA〜10mAあれば十分であり、この際の電圧降下は2.3V程度のものを選択したため、電力トランジスタ(12)のベース電圧降下分の0.6V程度も加味し、電流制限抵抗(10)は約1.2kΩに設定している。
なお、回路図ではエアポンプ動作スイッチ(10)をスライドスイッチとしている。これは、一度操作すればスイッチが閉じた状態を保持し、また、その後スイッチを開くとやはりその状態を保持するという動作が得られるためである。したがって、このような動作が得られる限り、エアポンプ動作スイッチ(10)としてはスライドスイッチに限らず任意のスイッチを選択することができることは言うまでもない。
以上説明したとおり、本考案は特に小型の対象物に対して塗装作業を行う際に非常に作業性に優れ、細やかで緻密な塗装を実施することを可能にするものであり、かつ、ランニングコストも低いなどの優れた特徴を有する携帯型塗装装置を提供するものであり、産業上の利用価値は極めて高いものである。。
1 携帯型塗装装置
2 スプレーガン本体
3 接続部
4 コンプレッサーユニット
5 塗料タンク
6 噴出ノズル
7 トリガー
8 エアポンプ動作スイッチ
9 把持部
10 電流制限抵抗
11 発光ダイオード
12 エアポンプ
13 電力トランジスタ
14 保護ダイオード
15 リチウムイオン二次電池モジュール
2 スプレーガン本体
3 接続部
4 コンプレッサーユニット
5 塗料タンク
6 噴出ノズル
7 トリガー
8 エアポンプ動作スイッチ
9 把持部
10 電流制限抵抗
11 発光ダイオード
12 エアポンプ
13 電力トランジスタ
14 保護ダイオード
15 リチウムイオン二次電池モジュール
Claims (3)
- 高圧空気と塗料を導入すると霧化した塗料を噴出可能とされたスプレーガン本体と、
該スプレーガンの上部に備えられた塗料タンクと、
該スプレーガン下部に備えられて圧縮空気を該スプレーガンに供給するコンプレッサーユニットを備え、
該スプレーガンには少なくとも塗料の流量を変化可能なトリガーを備え、
該コンプレッサーユニットには、エアポンプと、リチウムイオン二次電池と、該エアポンプの動作スイッチとを備えている、
ことを特徴とする、携帯型塗装装置。 - 前記エアポンプの動作スイッチはラッチタイプスイッチである、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型塗装装置 - 前記コンプレッサーユニット上部が片手で把持可能な把持部とされており、
該把持部を片手で把持した際に前記トリガーを人差指にて操作可能とされており、かつ、該エアポンプの動作スイッチを薬指または小指で操作可能とされている、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の携帯型塗装装置
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015000211U JP3196758U (ja) | 2015-01-20 | 2015-01-20 | 携帯型塗装装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015000211U JP3196758U (ja) | 2015-01-20 | 2015-01-20 | 携帯型塗装装置 |
Publications (1)
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JP3196758U true JP3196758U (ja) | 2015-04-02 |
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ID=52986388
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015000211U Active JP3196758U (ja) | 2015-01-20 | 2015-01-20 | 携帯型塗装装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3196758U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021000591A (ja) * | 2019-06-20 | 2021-01-07 | 株式会社オンテックス | 塗装材の吹付けガン |
-
2015
- 2015-01-20 JP JP2015000211U patent/JP3196758U/ja active Active
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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