JP3196602B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JP3196602B2 JP26383495A JP26383495A JP3196602B2 JP 3196602 B2 JP3196602 B2 JP 3196602B2 JP 26383495 A JP26383495 A JP 26383495A JP 26383495 A JP26383495 A JP 26383495A JP 3196602 B2 JP3196602 B2 JP 3196602B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気浄
化装置に関し、詳細には三元触媒の劣化の程度に応じて
適切な触媒暖機操作を行うことが可能な排気浄化装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用内燃機関の排気通路に、排気中
のHC、CO、NOX の3つの有害成分を同時に浄化可
能な三元触媒を用いた触媒コンバータを配置した内燃機
関の排気浄化装置が従来より広く用いられている。一般
に、上記のような排気浄化装置に用いられる三元触媒は
ある温度(活性化温度)以上の温度にならないと完全な
排気浄化能力を発揮しない。このため、機関冷間始動時
等に、例えば機関点火時期を遅角させる等の手段により
触媒を通過する排気の温度を上昇させ、触媒温度を早期
に活性化温度に到達させる、いわゆる触媒の暖機操作が
行われる。
【0003】一方、触媒の活性化温度は常に一定ではな
く、新しい触媒では活性化温度は比較的低く、触媒の劣
化が進むにつれて活性温度は上昇する傾向を示す。この
ため、触媒が劣化した場合に通常の暖機操作を行ってい
ると触媒が活性化温度に到達するのに長時間を要する場
合が生じる。上記問題を解決するために、例えば、特開
昭60−153474号公報には、触媒温度を検出し
て、この触媒温度が予め定められた所定温度以下の場合
には機関点火時期を遅角して触媒暖機操作を行うととも
に、機関の累積運転時間の増加につれて点火時期の遅角
量を大きく設定するようにした内燃機関の排気浄化装置
が開示されている。
【0004】触媒の劣化程度は、使用時間、すなわち機
関の累積運転時間が増加するにつれて進行すると考えら
れることから、触媒の活性化温度も機関累積運転時間が
増大するにつれて高くなると考えられる。上記公報の装
置では、暖機操作時の点火時期遅角量を機関累積運転時
間が増加するにつれて大きくなるように予め設定してお
くことにより、累積運転時間が増大する(触媒の劣化程
度が大きくなる)につれて暖機操作時に触媒に流入する
排気温度が高くなるようにしている。これにより、触媒
劣化時の暖機操作では触媒が正常な場合より高温の排気
が触媒に流入するようになるため、暖機操作時に触媒温
度が速く、かつ、より高い温度に到達するようになる。
このため、触媒が劣化した場合にも早期に触媒を活性化
温度に到達させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開昭
60−153474号公報の装置のように、触媒の劣化
程度が大きいほど暖機操作時の点火時期遅角量を大きく
設定すると、触媒が劣化した場合には逆に機関始動時の
HC、CO成分等の放出量(排気エミッション)が増大
する問題が生じる場合がある。
【0006】機関の点火時期遅角量を大きくすると排気
温度は遅角量が大きいほど上昇するが、機関出力トルク
は遅角量が大きいほど減少してしまう。このため、暖機
操作中に機関点火時期を大きく遅角すると、車両走行時
等に機関出力トルクが不足する場合が生じる。このよう
な場合、車両運転者はトルク不足分を補うためにアクセ
ルペダルを大きく踏み込むようになるため、機関回転数
が上昇し触媒に流入する排気流量が増大することにな
る。
【0007】触媒暖機中の排気エミッションの合計量
は、暖機操作中に触媒に流入する排気流量が大きいほど
増大する。すなわち、触媒暖機操作中は触媒が活性化温
度に到達していないため、触媒の排気浄化能力が充分に
発揮されず、流入する排気中のHC、CO成分のうち浄
化されずに触媒を通過するものの割合が増大する。この
ため、触媒の暖機完了までの時間を一定とすると暖機操
作中の排気流量が大きければ大きいほど暖機操作中の排
気エミッションの総量は大きくなる。
【0008】一方、排気流量が増大すれば触媒の温度上
昇速度も速くなり触媒が活性化温度に到達するまでの時
間は短縮される。このため、触媒が正常であれば、触媒
暖機操作中の排気流量増大により触媒が活性化温度に到
達するまでの時間が短縮され、活性化温度到達後には排
気エミッションが減少するので、暖機操作中のエミッシ
ョンの増大を触媒暖機時間の短縮で補うことができる。
従って、触媒が正常な状態であれば、暖機操作中の排気
流量増大により全体としてのエミッションを減少させる
ことが可能である。
【0009】ところが、劣化した触媒では活性化温度に
到達後も正常な触媒に較べて排気浄化能力が低いため、
活性化温度到達後のエミッション減少量も小さくなる。
このため、劣化した触媒では暖機中に排気流量が増大し
てしまうと、暖機中の排気流量増大により生じたエミッ
ション増大を暖機完了後(活性化温度到達後)のエミッ
ション減少で補うことができなくなり、全体としてエミ
ッションが増大してしまうことになる。
【0010】すなわち、暖機中の排気流量増大によるエ
ミッションの増大量をP1 、排気流量増大により暖機期
間が短縮されたことによるエミッションの減少量をP2
とすると、触媒暖機操作による全体としてのエミッショ
ン低減効果はP2 −P1 で表される。触媒が正常な場合
には、P1 <P2 であるため、P2 −P1 は正の値にな
り、全体としてエミッションは低減される。ところが、
触媒が劣化した場合には暖機完了後の排気浄化能力も劣
化程度に応じて減少するため、暖機時間短縮によるエミ
ッションの減少量P2 も触媒劣化程度に応じて小さくな
る。このため、触媒がある程度劣化するとP1 >P2
なり、低減効果P2 −P1 は負の値となり、暖機中の排
気流量増大のために逆に全体としてエミッションが増大
するようになるのである。
【0011】このため、上記特開昭60−153474
号公報の装置のように触媒が劣化するにつれて暖機操作
中の点火時期遅角量を大きくしたのでは、触媒が劣化す
るほど暖機操作中の排気流量を増大させる結果となり、
全体としての排気エミッションを増大させる問題があ
る。また、アイドルスピードコントロール弁を用いて、
点火時期遅角と併せて、または単独で排気流量を増大さ
せることにより触媒の暖機操作を行う場合にも上記と同
様な問題が生じる。
【0012】上記問題に鑑み、本発明は触媒劣化時の暖
機操作により排気エミッションが悪化することを防止可
能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とし
ている。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関の排気通路に配置した排気浄化触媒
と、該排気浄化触媒の温度を検出する手段と、前記触媒
温度が予め定めた所定温度以下のときに機関吸入空気量
を増大させる触媒暖機手段と、を備えた内燃機関の排気
浄化装置において、前記排気浄化触媒の劣化の程度を判
定する劣化程度判定手段と、前記排気浄化触媒の劣化程
度が、予め定めた劣化状態より大きいときに、前記触媒
暖機手段により増大された機関吸入空気量を低減する劣
化時補正手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置が提
供される。
【0014】請求項1の発明では、触媒の劣化が予め定
めた劣化状態より進行している場合には、触媒が正常な
場合に較べて触媒暖機操作時の機関吸入空気量が低減さ
れる。これにより、暖機操作時の排気流量増大が抑制さ
れる。機関吸入空気量は、触媒の劣化程度が所定の劣化
状態より進行した場合に一定量だけ低減するようにして
も良いし、触媒の劣化程度が大きくなるほど低減量を大
きく設定するようにしても良い。
【0015】また、請求項2に記載の発明によれば、内
燃機関の排気通路に配置した排気浄化触媒と、該排気浄
化排気浄化触媒の温度を検出する手段と、前記排気浄化
触媒温度が予め定めた所定温度以下のときに機関点火時
期を遅角させる触媒暖機手段と、を備えた内燃機関の排
気浄化装置において、前記排気浄化触媒の劣化の程度を
判定する劣化程度判定手段と、前記排気浄化触媒の劣化
程度が、予め定めた劣化状態より大きいときに前記触媒
暖機手段により遅角された機関点火時期を進角させる劣
化時補正手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置が提
供される。
【0016】請求項2の発明では、触媒の劣化が予め定
めた劣化状態より進行している場合には、触媒が正常な
場合に較べて触媒暖機操作時の点火時期遅角量が小さく
設定される。これにより機関出力低下が小さくなり、運
転者のトルク不足を補うためのアクセルペダル操作量が
少なくなり、暖機操作中の排気流量の増大が抑制され
る。点火時期遅角量は、触媒の劣化程度が所定の劣化状
態より進行した場合に一定量だけ低減するようにしても
良いし、触媒の劣化程度が大きくなるほど低減量を大き
く設定するようにしても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施形態について説明する。図1は本発明の排気浄化装
置を適用した内燃機関の全体概略図である。図1におい
て、1は内燃機関本体、2は吸気通路、3は吸気通路に
設けられたエアフローメータを示している。エアフロー
メータ3は吸入空気量を直接計測するものであって、た
とえばポテンショメータを内蔵した可動ベーン式エアフ
ローメータ等が使用され、吸入空気量に比例したアナロ
グ電圧の出力信号を発生する。この出力信号は制御回路
10のマルチプレクサ内蔵A/D変換器101に入力さ
れる。ディストリビュータ4には、その軸がたとえばク
ランク角に換算して720°毎に基準位置検出用パルス
信号を発生するクランク角センサ5、およびクランク角
に換算して30°毎にクランク角検出用パルス信号を発
生するクランク角センサ6がそれぞれ設けられている。
これらクランク角センサ5、6のパルス信号は制御回路
10の入出力インターフェイス102に供給され、この
うちクランク角センサ6の出力はCPU103の割込み
端子に供給される。
【0018】さらに、吸気通路2には各気筒毎に燃料供
給系から加圧燃料を吸気ポートへ供給するための燃料噴
射弁7が設けられている。また、吸気通路2のスロット
ル弁16には、スロットル弁16が全閉になったときに
(すなわち、アイドル運転時に)アイドル信号(LL信
号)を発生するアイドルスイッチ17が設けられてい
る。このアイドル信号LLは制御回路10の入出力イン
ターフェイス102に供給される。
【0019】本実施形態では、吸気通路2にはスロット
ル弁16をバイパスするバイパス通路21と、このバイ
パス通路21を通って流れる空気量を制御するアイドル
スピードコントロール弁(ISC弁)22とが設けられ
ている。ISC弁22はステッパモータ等の適宜な形式
のアクチュエータにより駆動される流量制御弁であり、
制御回路10からの出力信号により作動し、アイドル時
の機関吸入空気量を調節して機関のアイドル回転数を目
標回転数に制御するために用いられる。
【0020】本実施形態では、ISC弁22は、後述の
ように触媒低温時に機関吸入空気量(排気流量)を増大
させて触媒温度を上昇させる触媒暖機手段の一部として
も機能する。また、機関本体1のシリンダブロックのウ
ォータジャケット8には、冷却水の温度を検出するため
の水温センサ9が設けられている。水温センサ9は冷却
水の温度に応じたアナログ電圧の電気信号を発生する。
この出力もA/D変換器101に供給されている。
【0021】機関1の、排気マニホールド11より下流
の排気系には、排気ガス中の3つの有害成分HC、C
O、NOX を同時に浄化する三元触媒を収容する触媒コ
ンバータ12が設けられている。また、触媒コンバータ
12の上流側の排気マニホールド11、及び触媒コンバ
ータ12の下流側の排気管14には、それぞれ上流側O
2 センサ13と下流側O2 センサ15とが設けられてい
る。
【0022】O2 センサ13、15は、排気ガス中の酸
素成分濃度を検出し、空燃比が理論空燃比に対してリー
ン側かリッチ側かに応じて異なる出力電圧を発生するも
のである。O2 センサ13、15の出力電圧は、制御回
路10のA/D変換器101に供給されている。制御回
路10は、たとえばマイクロコンピュータとして構成さ
れ、A/D変換器101、入出力インターフェイス10
2、CPU103の他に、ROM104、RAM10
5、バックアップRAM106、クロック発生回路10
7等を備えている。
【0023】本実施形態では、制御回路10は、機関1
の燃料噴射制御、空燃比制御及び点火時期制御等の基本
制御を行う他、後述のように触媒12の温度検出を行う
手段、触媒12低温時に点火時期の遅角、ISC弁22
の開度制御による排気流量の増大等により触媒暖機を行
う触媒暖機手段、触媒12の劣化程度を判定する劣化程
度判定手段および、触媒劣化時に点火時期遅角量や排気
流量を低減する劣化時補正手段等の、請求項1及び2に
記載した各手段としての機能を果たしている。
【0024】さらに、制御回路10において、ダウンカ
ウンタ108、フリップフロップ109、および駆動回
路110は燃料噴射弁7を制御するためのものである。
すなわち、後述のルーチンにおいて、燃料噴射量(噴射
時間)TAUが演算されると、噴射時間TAUがダウン
カウンタ108にプリセットされると共にフリップフロ
ップ109がセットされる。この結果、駆動回路110
が燃料噴射弁7の付勢を開始する。他方、ダウンカウン
タ108がクロック信号(図示せず)を計数して最後に
その出力端子が“1”レベルとなったときに、フリップ
フロップ109がセットされて駆動回路110は燃料噴
射弁7の付勢を停止する。つまり、上述の燃料噴射時間
TAUだけ燃料噴射弁7は付勢され、時間TAUに応じ
た量の燃料が機関1の燃焼室に供給されることになる。
【0025】また、制御回路10の入出力インターフェ
イス102は、点火回路112に接続されており、機関
1の点火時期を制御している。すなわち、制御回路10
は入出力インターフェイス102にクランク角センサ6
の基準クランク角パルス信号を入力後、クランク軸が所
定の回転角度に達する毎に点火回路112に点火信号を
出力し、各気筒の点火プラグ(図示せず)にスパークを
発生させる。機関1の点火時期は、負荷(例えば機関1
回転当たりの吸入空気量)、回転数等の運転条件の関数
として制御回路10のROM104に最適値が格納され
ており、最適な点火時期が運転条件に応じて決定され
る。
【0026】エアフローメータ3の吸入空気量データお
よび冷却水温データは所定時間もしくは所定クランク角
毎に実行されるA/D変換ルーチンによって取込まれて
RAM105の所定領域に格納される。つまり、RAM
105における吸入空気量データおよび冷却水温データ
は所定時間毎に更新されている。また、回転速度データ
はクランク角センサ6の30°CA(クランク角)毎の
割込みによって演算されてRAM105の所定領域に格
納される。
【0027】図2は、制御回路10により所定クランク
回転角毎(例えば360度回転毎)に実行される燃料噴
射量演算ルーチンを示すフローチャートである。図2に
おいて、ステップ201では、RAM105より吸入空
気量データQ及び回転速度データNEを読出して基本噴
射量TAUP(TAUPは理論空燃比を得る噴射時間)
を演算する。たとえばTAUP=α・Q/Ne (αは定
数)とする。ステップ202では、最終噴射量TAU
を、TAU=TAUP・FAF・β+γにより演算す
る。なお、β,γは他の運転状態パラメータによって定
まる補正量である。また、FAFは後述する空燃比フィ
ードバック制御ルーチンにより決定される空燃比補正係
数である。次いで、ステップ203にて、噴射量TAU
をダウンカウンタ108にセットすると共にフリップフ
ロップ109をセットして燃料噴射を開始させる。そし
て、ステップ204にてこのルーチンを終了する。
【0028】上述のように、燃料噴射開始後噴射量TA
Uに相当する時間が経過すると、ダウンカウンタ108
の出力信号によってフリップフロップ109がリセット
されて燃料噴射は終了する。本実施形態では、空燃比補
正係数FAFは、制御回路10により実行される、上流
側O2 センサ13出力に基づく空燃比フィードバック制
御ルーチンにより決定される。以下、図2から図5を用
いて制御回路10により実行される、この空燃比制御に
ついて簡単に説明する。
【0029】図3、図4は上流側O2 センサ13の出力
に基づいて空燃比補正係数FAFを演算する空燃比フィ
ードバック制御ルーチンを示している。本ルーチンは、
所定時間たとえば4ms毎に実行される。本ルーチンで
は、先ず空燃比フィードバック制御実行条件が成立して
いるか否かを判断し(ステップ301)、実行条件成立
時のみステップ302以下を実行し、条件不成立時には
空燃比フィードバックフラグXMFBの値を0にリセッ
ト(図4ステップ325)してルーチンを終了する。こ
こで、ステップ301の実行条件は、たとえば、冷却水
温が所定値(例えば70℃)以上、機関が始動中でない
こと、始動後増量、暖機増量等の燃料増量が実施されて
いないこと、上流側O2 センサ13が活性化しているこ
と、等である。
【0030】上記実行条件が全て成立したときには、ス
テップ302からステップ323で空燃比補正係数FA
Fの値の設定を行う。本実施形態では、上流側O2 セン
サ13の出力VOMをA/D変換して取込み、VOMが
比較電圧VR1以下か否かにより、空燃比がリッチかリー
ンかを判別する(ステップ302、303)とともに、
空燃比がリッチかリーンかに応じて以下の操作を行う。
【0031】比較電圧VR1は、通常O2 センサ出力の振
幅中心の電圧をとり、本実施形態ではVR1=0.45V
である。ステップ304から309、及びステップ31
0から315は、ステップ303で判定した上流側O2
センサ13出力の値に基づく空燃比フラグF1の設定操
作を示す。
【0032】空燃比フラグF1は、触媒12上流側の排
気空燃比がリッチかリーンかを示すフラグであり、フラ
グF1の値はディレイカウンタCDLYのカウントダウ
ン(リーン空燃比時)またはカウントアップ(リッチ空
燃比時)操作により(ステップ306、312)上流側
2 センサ13出力が所定の遅延時間(TDL、TD
R)以上リッチまたはリーンに保持された場合に1(リ
ッチ)から0(リーン)、または0から1に変更される
(ステップ307から309、ステップ313から31
5)。ここで、TDL(ステップ307、308)は負
の値、TDR(ステップ313、314)は正の値であ
る。
【0033】次に、ステップ316では、空燃比フラグ
F1の値が変化したか否か、すなわち遅延処理後の空燃
比が反転したか否かを判別し、空燃比が判定している場
合には、反転直後にリッチからリーンへの反転か、リー
ンからリッチへの反転かに応じて比較的大きな値(RS
R、RSL)だけFAFを増減する(ステップ317か
らステップ319)。また、空燃比が反転していない場
合には、比較的小さな値(KIR、KIL)だけFAF
を増減する(ステップ320から322)。これによ
り、例えば空燃比フラグF1の値が1から0に変化(空
燃比がリッチからリーンに変化)したときには、FAF
は反転直後にスキップ的に比較的大きな値RSRだけ増
大され(ステップ318)、その後はFAFの値が0
(リーン)である限りルーチン実行毎に比較的小さな値
KIRずつ徐々に増大される(ステップ321)。ま
た、逆に空燃比フラグF1の値が0から1に変化(空燃
比がリーンからリッチに変化)したときには、FAFは
反転直後にスキップ的に比較的大きな値RSLだけ低減
され(ステップ319)、その後はFAFの値が1(リ
ッチ)である限りルーチン実行毎に比較的小さな値KI
Lずつ徐々に低減される(ステップ322)。次に、ス
テップ323では、上記により算出された空燃比補正係
数FAFは最小値と最大値(たとえば0.8と1.2)
とでガードされる。これにより、何らかの原因で空燃比
補正係数FAFが大きくなり過ぎ、もしくは小さくなり
過ぎた場合に、その値で機関の空燃比を制御してオーバ
リッチ、オーバリーンになるのを防ぐ。
【0034】上記演算終了後ステップ324では、空燃
比フィードバックフラグXMFBを“1”とし、上述の
ごとく演算されたFAFをRAM105に格納して、ス
テップ326にてこのループは終了する。図5は図3、
図4のフローチャートによる動作を補足説明するタイミ
ング図である。上流側O2 センサ13の出力VOMによ
り図5(A)に示すごとくリッチ、リーン判別の空燃比
信号A/Fが得られると、ディレイカウンタCDLY
は、図5(B)に示すごとく、リッチ状態でカウントア
ップされ、リーン状態でカウントダウンされる。この結
果、図5(C)に示すごとく、遅延処理された空燃比信
号A/F′(フラグF1に相当)が形成される。たとえ
ば、時刻t1 にて空燃比信号A/F′がリーンからリッ
チに変化しても、遅延処理された空燃比信号A/F′は
リッチ遅延時間TDRだけリーンに保持された後に時刻
2 にてリッチに変化する。時刻t3 にて空燃比信号A
/Fがリッチからリーンに変化しても、遅延処理された
空燃比信号A/F′はリーン遅延時間(−TDL)相当
だけリッチに保持された後に時刻t4 にてリーンに変化
する。しかし空燃比信号A/F′が時刻t5,6,7
ごとくリッチ遅延時間TDRより短い期間で反転する
と、ディレイカウンタCDLYが最大値TDRに到達す
るのに時間を要し、この結果、時刻t8 にて遅延処理後
の空燃比信号A/F′が反転される。つまり、遅延処理
後の空燃比信号A/F′は遅延処理前の空燃比信号A/
Fに比べて安定となる。このように遅延処理後の安定し
た空燃比信号A/F′に基づいて図5(D)に示す空燃
比補正係数FAFが得られる。
【0035】図2で説明したように、空燃比補正係数F
AFの値が増加すると燃料噴射量TAUは増加し、機関
空燃比はリッチ側に移行する、またFAFが減少すると
TAUも減少し、機関空燃比はリーン側に移行する。こ
のため、図3、図4のルーチンの実行により機関空燃比
は図5(D)のFAFの値に応じてリッチとリーンとの
間で規則的な変動を繰り返すことになる。
【0036】なお、本実施形態は図3、図4のルーチン
により上流側O2 センサ13出力のみに基づいて空燃比
補正係数FAFの値を決定する場合を示しているが、図
3、図4の空燃比制御に加えて、下流側O2 センサ15
出力に基づく第2の空燃比フィードバック制御を行うこ
とも可能である。この場合には、例えば図3、図4のT
DR、TDL、RSR、RSL、VR1等のパラメータを
下流側O2 センサ15出力に応じて変化させるようにす
ればよい。例えば、RSRの値を増大してRSLの値を
低減すれば空燃比はリッチ側に移行し、逆にRSRの値
を低減してRSLの値を増大すれば空燃比はリーン側に
移行する。このため、下流側O2 センサ15出力がリー
ンのときにはRSRの値を増大し、リッチのときにはR
SLの値を増大するようにすれば、上流側O2 センサ1
3の出力のばらつき等を下流側空燃比センサ15出力で
補正することができ、空燃比制御の精度を高めることが
できる。
【0037】次に、本実施形態の触媒暖機制御について
説明する。本実施形態では、制御回路10は、機関始動
時の冷却水温度に基づいて触媒温度を間接的に検出し、
触媒温度が所定温度より低い場合には機関点火時期を遅
角させるとともに、ISC弁22の開度を増大させ、触
媒の暖機操作を行う。機関点火時期を遅角させることに
より、各気筒での燃焼が排気行程近くで生じるようにな
るため排気温度は上昇し、さらにISC弁22の開度を
増加させることにより機関吸入空気量が増大し、排気ガ
ス量が増大する。このため触媒12に流入する排気ガス
の温度は上昇し、しかも排気ガス流量も増大するため触
媒12の暖機が促進される。
【0038】また、本実施形態では、制御回路10は後
述するように上流側O2 センサ13と下流側O2 センサ
15との出力に基づいて触媒12の劣化程度を判定し、
触媒12の劣化程度が所定の劣化状態より進行している
場合には、触媒暖機時の点火時期遅角量とISC弁22
の開度とを触媒が正常な場合の値より減少させる。前述
のように、点火時期を遅角するほど機関出力トルクは低
下する。また、触媒暖機のための点火時期遅角はアイド
ル運転中だけでなく軽負荷走行時(例えば、アイドル信
号LLがオフになる走行状態)でも実行されるため、こ
のような走行時には運転者はトルク不足を補うためにア
クセルペダルを大きく踏み込むようになり機関吸入空気
量(機関排気流量)は増大する。更に、ISC弁22の
開度が増大するほど排気流量は増大するため、点火時期
の遅角量、ISC弁22の開度は大きいほど排気流量を
増大させることになる。
【0039】このため、触媒劣化時に触媒が正常な場合
と同じ触媒暖機操作を行うと、排気流量の増大により全
体としての排気エミッションが悪化(増大)してしまう
結果となる。本実施形態では、上記のように触媒劣化時
に機関点火時期の遅角量とISC弁22の開度とを触媒
が正常な場合に較べて減少させるようにしたことによ
り、運転者のアクセルペダル操作量とISC弁22を通
るバイパス空気量との両方が低減され、機関排気流量の
増加が抑制される。このため、触媒12劣化時には、触
媒暖機中の排気流量増大による排気エミッションの悪化
(増大)が防止されることになる。以下、本実施形態の
触媒暖機制御を、触媒劣化程度の検出動作と、触媒
の暖機動作とに分けて説明する。
【0040】触媒劣化程度の検出動作 本実施形態では、触媒12のO2 ストレージ作用を利用
して触媒12の劣化程度を検出する。すなわち、三元触
媒は一般に排気空燃比がリーンのときに排気中の余剰酸
素を吸着し、排気空燃比がリッチになると吸着した酸素
を放出するO2ストレージ作用を行う。機関1が上流側
2 センサ13(または、上流側O2 センサ13と下流
側O2 センサ15)の出力に基づいて前述のようにフィ
ードバック制御されていると、図5に示したように機関
空燃比(FAF)はリッチ空燃比とリーン空燃比との間
で周期的に変動し、触媒に流入する排気の空燃比もリッ
チ空燃比とリーン空燃比との間で周期的に変動すること
になる。触媒が劣化しておらず正常に機能している場合
には、上述のO2 ストレージ作用により、流入する排気
の空燃比がリーン側に振れたときには排気中の余剰の酸
素が触媒に吸着され、流入する排気の空燃比がリッチ側
に振れたときには吸着された酸素が排気に放出されるた
め、触媒を通過した排気の空燃比変動は小さくなり、理
論空燃比近傍に維持される。このO2 ストレージ作用は
触媒の劣化とともに低下するため、O 2 ストレージ作用
の低下を検出することにより触媒12の劣化程度を判定
することができる。
【0041】すなわち、触媒が劣化するにつれて触媒1
2のO2 ストレージ作用も低下するため、触媒の劣化と
ともに触媒を通過した排気の空燃比変動は大きくなり、
触媒に流入する排気の空燃比変動に伴って周期的に変動
するようになる。従って、上流側O2 センサ13出力と
下流側O2 センサ15出力とを比較することによりO 2
ストレージ作用の低下、つまり触媒12の劣化程度を正
確に検出することができる。
【0042】図6(A) (B) は空燃比フィードバック制御
中の触媒12上流側のO2 センサ13出力VOMと下流
側O2 センサ15出力VOSの変化を示しており、図6
(A)は触媒12が正常な場合を、図6(B) は触媒12が
劣化した場合をそれぞれ示している。空燃比フィードバ
ック制御中は、図5に示したように、機関空燃比はリッ
チ空燃比とリーン空燃比との間で周期的に変動を繰り返
すため、上流側O2 センサ13出力VOMもリッチ空燃
比相当出力(例えば0.9ボルト)とリーン空燃比相当
出力(例えば0.1ボルト)との間で周期的な変動を繰
り返すことになる(図6(A) (B) VOM参照)。
【0043】一方、触媒12が劣化しておらず正常に機
能している場合には、触媒を通過した排気の空燃比変動
は触媒12のO2 ストレージ作用により緩和されるた
め、触媒上流側の排気空燃比が変動していても触媒下流
側の排気空燃比は略理論空燃比に維持され、下流側O2
センサ15出力VOSは長い周期でリッチ側とリーン側
との間を変動する(図6(A) VOS参照)。この状態で
は、図6(A) に示すように、下流側O2 センサ15出力
VOSの軌跡長さは比較的小さい。
【0044】また、触媒12が劣化してくると、触媒1
2のO2 ストレージ作用の低下のため、触媒12下流側
の排気空燃比は上流側の排気空燃比変動と同様な周期的
変動を繰り返すようになり、下流側O2 センサ15出力
VOSの変動は上流側O2 センサ13出力VOMの変動
に近づくようになる。(図6(B) 参照)。この状態で
は、図6(B) に示すように、下流側O2 センサ15出力
VOSの軌跡長さは比較的大きくなる。 すなわち、下
流側O2 センサ15出力VOSの軌跡長さLVOSと上
流側O2 センサ13出力VOMの軌跡長さLVOMとの
比、LRATIO(LRATIO=LVOS/LVO
M)を考えた場合、触媒12が正常な場合にはLRAT
IOの値は1より小さな値をとり、触媒が劣化するにつ
れて徐々にLRATIOの値は増大し、触媒が大幅に劣
化した場合にはLRATIO≒1となる。本実施形態で
は、この軌跡長比LRATIOを触媒劣化の程度を表す
パラメータとして使用し、後述の触媒暖機制御を行う。
【0045】図7、図8は制御回路10により実行され
る上記触媒劣化程度の判定ルーチンを示すフローチャー
トである。本ルーチンは、一定時間、例えば4ms毎に実
行される。図7、でルーチンがスタートすると、ステッ
プ701では、触媒劣化程度判定のための条件が成立し
ているか否かが判断される。ここで、判定のための条件
は、(1) 上流側O2 センサ13出力による第1の空燃比
制御が実施されていること、すなわちフラグXMFB
(図4、ステップ324、325)の値が1にセットさ
れていること、(2) 上流側O2 センサ13の出力が所定
時間以上リーン側またはリッチ側に留まっていないこ
と、等であり、上記条件の全てが成立した場合にのみス
テップ703以下の触媒劣化程度の判定が実行される。
【0046】なお、上記条件(2) を設けたのは、上流側
2 センサ13出力による空燃比フィードバック制御実
行中であっても、上流側O2 センサ13出力VOMがリ
ーン側かリッチ側かに偏ったままで変動していると軌跡
長比LRATIOの有効な値が得られない場合があるた
めである。上記条件の全部が成立していない場合には、
本ルーチンは図8ステップ737に進み、触媒劣化程度
の判定を実行することなくそのまま終了する。
【0047】上記条件の全部が成立した場合には、ステ
ップ703で上流側O2 センサ13出力VOMと下流側
2 センサ15出力VOSとがAD変換して取り込ま
れ、ステップ705で上流側O2 センサ13出力の軌跡
長LVOMと下流側O2 センサ15の出力の軌跡長LV
OSとが、 LVOM = LVOM +|VOM − VOMi-1 | LVOS = LVOS +|VOS − VOSi-1 | として算出される。ここで ここで、VOMi-1 、VO
i-1 はそれぞれ前回ルーチン実行時のVOMとVOS
との値を示している。
【0048】すなわち、本実施形態では、ルーチン実行
毎のO2 センサ13、15それぞれの出力の変化量か
ら、軌跡長LVOMとLVOSとを近似的に積分値とし
て求めている。また、ステップ707では次回のルーチ
ン実行に備えてVOMi-1 とVOSi- 1 の値が更新され
る。
【0049】上記の演算の後、ルーチンはステップ70
9に進みカウンタCTをカウントアップするとともに、
ステップ711ではCTの値が所定値C0 を越えたか否
かが判定される。ここで、C0 は、触媒劣化程度を判断
する上で有意義な軌跡長を得ることができる時間に相当
するルーチン繰り返し回数である。この時間は少なくと
も上流側O2 センサ13出力のリッチ、リーン間の反転
回数の数回分以上であることが必要とされ、この時間が
BR>長い程正確な劣化程度判定が可能となる。
【0050】ステップ711で上記時間が経過していな
い場合には、今回のルーチン実行ではステップ713以
下を実行せずにルーチンを終了する。また、ステップ7
11で上記時間が経過していた場合には、ステップ71
3で、軌跡長比LRATIOが、LRATIO = L
VOS/LVOMとして計算される。次いで、図8ステ
ップ715では、上記により計算した軌跡長比LRAT
IOが所定値K0 以上か否かが判断される。前述のよう
に、軌跡長比LRATIOの値は触媒の劣化程度が大き
くなるほど大きな値になる。ステップ715では、現在
の触媒劣化状態が予め定めた劣化状態より大きくなって
いるか否かを判定している。ここで、K0 は上記予め定
めた劣化状態に対応するLRATIOの値であり、詳細
には実際の触媒を用いた実験により決定される。
【0051】ステップ717から731は触媒12の劣
化状態を表すフラグALMの設定のためのステップであ
る。本実施形態では、ステップ715で触媒の劣化程度
が所定の劣化状態より進行している(LRATIO≧K
0 )と2回連続して判断された場合にフラグALMの値
を1にセットし(ステップ717からステップ72
3)、触媒の劣化程度が所定の劣化状態には到達してい
ない(LRATIO<K0)と3回連続して判定された
場合にはフラグALMの値を0にリセットするようにし
て、外乱等による誤判定を防止している。CN(ステッ
プ717、727、729)、CF(ステップ725、
719、721)はこの誤判定防止のためのカウンタで
ある。
【0052】上記により、フラグALMの値を設定後、
ステップ733では設定されたフラグALMの値とステ
ップ713で算出した軌跡長比LRATIOの値をバッ
クアップRAM106に格納するとともに、ステップ7
35で今回の劣化程度判定に使用した各パラメータの値
をクリアしてルーチンを終了する。なお、フラグALM
の値が1にセットされると、運転席の警告灯が点灯さ
れ、触媒の劣化を運転者に報知する。
【0053】触媒の暖機動作 図9、図10は、上記触媒劣化程度判定結果に基づく触
媒暖機動作のフローチャートを示している。本実施形態
では、制御回路10は、図9のルーチンにより触媒暖機
時の点火時期を制御し、図10のルーチンでISC弁2
2の開度を制御する。
【0054】まず、図9の点火時期制御ルーチンについ
て説明する。本ルーチンは制御回路10により、一定ク
ランク軸回転毎(例えば180度回転毎)に実行され
る。図9においてルーチンがスタートすると、ステップ
901では、機関1回転当たりの吸入空気量Q/NEと
機関回転数NEとから基本点火時期ABSE が算出され
る。基本点火時期ABSE は、Q/NEとNEとを用いた
数値マップとして予め準備され、制御回路10のROM
104に格納されている。基本点火時期ABSEは、機関
運転状態に応じた最適な点火時期である。
【0055】また、ステップ903では、スロットル弁
16の開度が所定開度以下か否かが、アイドルスイッチ
17からのLL信号に基づいて判定され、LL信号がオ
フ(LL≠1)の場合にはステップ904に進み、機関
負荷Q/NEが所定値L1 以下か否かが判断される。本
実施形態では、触媒暖機時の点火時期遅角はアイドル運
転時(LL信号がオンのとき)及び機関軽負荷運転時
(LL信号がオフで、かつ機関負荷Q/NEの値が所定
値L1 以下の場合)にのみ行い、機関が負荷を要求され
る運転状態での機関出力低下を防止している。従って、
ステップ903でLL信号がオフ(LL=0)かつステ
ップ904でQ/NE>L1 の場合には、ステップ90
9に進み、点火時期制御目標値ACAL の値をステップ9
01で算出した基本点火時期ABSE の値に設定してルー
チンを終了する。これにより、LL=0の場合には点火
時期の遅角操作は実行されない。
【0056】ステップ903でLL信号がオン(LL=
1)であった場合、またはステップ904でQ/NE≦
1 であった場合にはステップ905が実行され、触媒
暖機時の点火時期基本遅角量RTDBSE が機関冷却水温
度THWから決定される。機関冷却水温度THWは機関
の暖機状態に応じて変化する。一方、触媒12の温度も
機関の暖機が進むにつれて上昇するため、冷却水温度T
HWは触媒12の温度に対応していると考えることがで
きる。そこで、本実施形態では冷却水温度THWから間
接的に触媒温度を検出し、触媒温度に応じた点火時期基
本遅角量RTDBSE を算出するようにしている。
【0057】点火時期基本遅角量RTDBSE は、冷却水
温度THW(触媒温度)が上昇するにつれて小さな値に
設定され、THW(触媒温度)が所定の温度(触媒暖機
が完了したと判断される温度)以上の領域では0に設定
される。これにより、触媒暖機が完了すると点火時期の
遅角も終了する。本実施形態では、基本遅角量RTD
BSE の値はTHWを用いた数値マップの形で予め制御回
路10のROM104に格納されている。
【0058】なお、上記のように冷却水温度THWに基
づいて決定された基本遅角量RTD BSE の値を、さらに
機関負荷(例えばQ/NE、またはスロットル弁開度T
A等)に基づいて、機関負荷が大きくなるほどRTD
BSE が小さくなるように補正し、この補正後の値を基本
遅角量として使用するようにしても良い。ステップ90
5で点火時期基本遅角量RTDBSE 算出後、次いでステ
ップ907では前述の触媒劣化フラグALMが1にセッ
トされているか否かが判定される。ALM=0の場合に
は、触媒劣化程度が所定の劣化状態より小さいので、点
火時期を遅角して触媒暖機を速めることにより全体とし
て排気エミッションを低減することができる。そこで、
この場合にはステップ911で点火時期の目標値A CAL
の値を、ACAL =ABSE −RTDBSE に設定する。本実
施形態では、点火時期ACAL 、ABSE の値は各気筒上死
点に到達するまでのクランク角で定義されているため、
上記により実際の点火時期ACAL は基本点火時期ABSE
より基本遅角量RTDBSE だけ遅角されることになる。
このため、機関排気温度が上昇し、触媒12の暖機が加
速される。
【0059】一方、ステップ905でALM=1であっ
た場合には、触媒劣化が所定の状態より進行しているた
め、触媒暖機時に点火時期を遅角すると全体として排気
エミッションが増大するおそれがある。そこで、本実施
形態では、ステップ907でALM=1の場合にはステ
ップ909に進み、基本点火時期ABSE の値を目標点火
時期ACAL として採用しルーチンを終了する。これによ
り、触媒が劣化(ALM=1)している場合には、触媒
暖機操作時にも機関点火時期は遅角されない。なお、上
記により目標点火時期ACAL が算出されると、制御回路
10は別途実行される図示しないルーチンにより、クラ
ンク回転角が目標点火時期ACAL に到達する毎に点火回
路に点火信号を出力し、それぞれの気筒の点火を行う。
【0060】次に、図10のISC弁開度制御ルーチン
について説明する。本実施形態では、ISC弁の開度は
基本的には図9の点火時期遅角量と同様に制御される。
すなわち、図10ステップ1001では、機関運転状態
(例えば、機関1回転当たりの吸入空気量Q/NE、機
関回転数NE等)に基づいて、最適なISC弁開度I
BSE が算出される。IBSE の値は、予めQ/NEとNE
とを用いた数値マップの形で制御回路10のROM10
4に格納されている。また、ステップ1003では、L
L信号がオンかオフかが判断され、オフの場合にはステ
ップ1004で機関負荷Q/NEが所定値L1 以下か否
かが判定される。また、ステップ1004でQ/NE>
1 であった場合にはステップ1009でISC弁の目
標開度ICAL がICAL =IBSE として設定される。
【0061】ステップ1003でLL信号がオン、又は
ステップ1004でQ/NE≦L1であった場合には、
ステップ1005で、機関冷却水温度THW(触媒温
度)に基づいて、ISC弁開度の基本増加量CLDBSE
が算出される。CLDBSE の値は、冷却水温度THWが
低いほど大きな値に設定され、冷却水温度THW(触媒
温度)が予め定めた温度に到達した後は0に設定され
る。これにより、触媒温度が所定の温度に到達して暖機
が完了した後はISC弁の開度増大による触媒暖機は終
了する。
【0062】また、ステップ1007では、触媒劣化フ
ラグALMの値が1か否かが判定され、ALM=0(触
媒正常)の場合には、ステップ1011で、ISC弁目
標開度ICAL はICAL =IBSE +CLDBSE に設定され
る。すなわち、触媒が正常な場合には、触媒暖機のため
にISC弁の開度が増大され、排気流量が増加する。ま
た、ステップ1007でALM=1の場合(触媒劣化)
にはステップ1009が実行され、目標開度ICAL はI
CAL =IBSE とされ、触媒暖機のためのISC弁開度増
大は実行されない。これにより、触媒劣化時の排気流量
増大によるエミッションの悪化が防止される。
【0063】次に、図11から図14を用いて、本発明
の触媒暖機制御の別の実施形態について説明する。図
9、図10に説明した実施形態では、触媒が所定の状態
より劣化していると判定された場合に触媒暖機時の点火
時期の遅角とISC弁の開度増大とを中止している。し
かし、触媒劣化は徐々に進行するため実際には触媒劣化
が上記所定の劣化状態に到達していなくとも、触媒暖機
操作時の排気エミッションは触媒の劣化とともに徐々に
悪化している。そこで、本実施形態では、触媒の劣化程
度に応じて、触媒暖機操作における点火時期遅角量とI
SC弁開度増大量とを低減するようにして、触媒の劣化
程度に応じて排気流量を低減する操作を行っている。
【0064】図11は本実施形態の点火時期制御ルーチ
ンを、図13は本実施形態のISC弁開度制御ルーチン
をそれぞれ示している。先ず、図11の点火時期制御ル
ーチンについて説明する。図11では、図9のルーチン
と同様に基本点火時期ABSE が算出され(ステップ11
01)、機関が軽負荷運転状態にない場合(ステップ1
103でLL=0かつステップ1104でQ/NE>L
1 )には、ステップ1109で目標点火時期ICAL がこ
の基本点火時期ABSE に設定される。また、ステップ1
103でLL=1、またはステップ1104でQ/NE
≦L1 の場合には、冷却水温度THWから点火時期基本
遅角量RTDBSE が算出される(ステップ1105)点
も図9のルーチンと同様である。
【0065】しかし、図11のルーチンでは、ステップ
1105でRTDBSE を算出後、ステップ1107で図
7、図8のルーチンで算出した軌跡長比LRATIOの
値をバックアップRAM106から読み出すとともに、
LRATIOの値に基づいて遅角量の補正係数KRTD
を算出し、ステップ1109で点火時期遅角量RTD
を、RTD=RTD×KRTDとして算出する点が図9
と相違している。ステップ1103でLL=1又はステ
ップ1104でQ/NE>L1 であった場合の機関の目
標点火時期ACAL は、この遅角量RTDと基本点火時期
BSE とを用いて、ACAL =ABSE −RTDとして算出
される。
【0066】図12は、軌跡長比LRATIOと補正係
数KRTDとの関係を示す図である。図12に示すよう
に、KRTDの値はLRATIOが所定値L1 (L1
1.0)以上の場合には1に設定され、LRATIO>
1 の領域ではLRATIOが大きくなるほど減少し
て、LRATIO=1.0付近でKRTD=0になるよ
うに設定される。前述したように、軌跡長比LRATI
Oの値は触媒の劣化程度を表すパラメータと考えられ
る。このため、図12のようにKRTDを設定すること
により、触媒が所定の劣化状態(LRATIO=L1
より劣化した場合には、KRTDの値は触媒の劣化状態
が大きくなるほど(LRATIOが大きくなるほど)小
さな値に設定されるようになる。このため、触媒暖機操
作時の点火時期の遅角量RTDは、触媒の劣化程度が大
きくなるほど小さく設定されるようになる。
【0067】図13は、本実施形態のISC弁開度制御
ルーチンを示すフローチャートである。図13において
も、ISC弁開度増大量CLDは、基本増大量CLD
BSE と補正係数KISCとの積として与えられる(ステ
ップ1309)。また、補正係数KISCの値は、この
場合も図14に示すように、軌跡長比LRATIOが所
定値L1 以下では1に設定され、LRATIO>L1
領域ではLRATIOの値が大きくなるほど小さな値に
なり、LRATIO=1.0付近でKISC=0になる
ように設定されている。従って、図13のルーチンによ
れば、触媒暖機操作時のISC弁開度の増大量は触媒の
劣化程度が大きくなるほど小さく設定されるようにな
る。従って、図13のルーチンにより、触媒暖機時の吸
入空気量(排気流量)の増大量は触媒の劣化程度が大き
くなるほど低減されることになる。
【0068】上述のように、本実施形態によれば触媒暖
機操作時の排気流量の増大量が触媒の劣化程度に応じて
低減されるため、触媒暖機時の排気エミッションの悪化
を防止しつつ、触媒の劣化状態に応じた適切な点火時期
の遅角が行うことが可能となる。なお、上述の各実施形
態では、触媒暖機操作時に機関点火時期の遅角とISC
弁開度の増大とを同時に行う場合を例にとって説明した
が、本発明は触媒暖機操作時に点火時期遅角のみを行う
場合、或いはISC弁の開度増大のみを行う場合につい
ても適用可能であることはいうまでもない。
【0069】また、上述の各実施形態では、触媒暖機操
作時に機関冷却水温度に基づいて触媒温度を間接的に検
出しているが、例えば触媒コンバータの触媒床に温度セ
ンサを配置する等により直接触媒温度を検出すること、
或いは他の機関運転状態パラメータを用いて間接的ち触
媒温度を検出することも可能である。
【0070】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、触媒暖
機操作時に触媒の劣化状態に応じて触媒に流入する排気
流量の増大が抑制されるため、触媒劣化時の触媒暖機操
作による排気エミッションの悪化が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気浄化装置を適用した内燃機関の一
実施形態を示す概略図である。
【図2】図1の実施形態の燃料噴射量演算ルーチンを説
明するフローチャートである。
【図3】図1の実施形態の内燃機関の空燃比制御を説明
するフローチャートの一部である。
【図4】図1の実施形態の内燃機関の空燃比制御を説明
するフローチャートの一部である。
【図5】図3、図4のフローチャートを補足説明するタ
イミング図である。
【図6】触媒劣化程度の判定原理を説明する図である。
【図7】触媒劣化程度判定ルーチンのフローチャートの
一部である。
【図8】触媒劣化程度判定ルーチンのフローチャートの
一部である。
【図9】触媒暖機操作を説明するフローチャートであ
る。
【図10】触媒暖機操作を説明するフローチャートであ
る。
【図11】触媒暖機操作の図9、図10とは異なる実施
形態を説明するフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートに使用するパラメー
タの設定を説明する図である。
【図13】触媒暖機操作の図9、図10とは異なる実施
形態を説明するフローチャートである。
【図14】図11のフローチャートに使用するパラメー
タの設定を説明する図である。
【符号の説明】
1…機関本体 3…エアフローメータ 10…制御回路 12…触媒コンバータ 13…上流側O2 センサ 15…下流側O2 センサ 22…ISC弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 45/00 ZAB F02D 45/00 ZAB F02P 5/15 F02P 5/15 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01N 3/20 F02D 41/06 F02D 45/00 360 F02P 5/15

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気通路に配置した排気浄化
    触媒と、該排気浄化触媒の温度を検出する手段と、前記
    触媒温度が予め定めた所定温度以下のときに機関吸入空
    気量を増大させる触媒暖機手段と、を備えた内燃機関の
    排気浄化装置において、 前記排気浄化触媒の劣化の程度を判定する劣化程度判定
    手段と、 前記排気浄化触媒の劣化程度が、予め定めた劣化状態よ
    り大きいときに、前記触媒暖機手段により増大された機
    関吸入空気量を低減する劣化時補正手段と、 を備えた内燃機関の排気浄化装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関の排気通路に配置した排気浄化
    触媒と、該排気浄化排気浄化触媒の温度を検出する手段
    と、前記排気浄化触媒温度が予め定めた所定温度以下の
    ときに機関点火時期を遅角させる触媒暖機手段と、を備
    えた内燃機関の排気浄化装置において、 前記排気浄化触媒の劣化の程度を判定する劣化程度判定
    手段と、 前記排気浄化触媒の劣化程度が、予め定めた劣化状態よ
    り大きいときに前記触媒暖機手段により遅角された機関
    点火時期を進角させる劣化時補正手段と、 を備えた内燃機関の排気浄化装置。
JP26383495A 1995-10-12 1995-10-12 内燃機関の排気浄化装置 Expired - Lifetime JP3196602B2 (ja)

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