JP3195165B2 - 密着性向上方法 - Google Patents

密着性向上方法

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JP3195165B2
JP3195165B2 JP15813794A JP15813794A JP3195165B2 JP 3195165 B2 JP3195165 B2 JP 3195165B2 JP 15813794 A JP15813794 A JP 15813794A JP 15813794 A JP15813794 A JP 15813794A JP 3195165 B2 JP3195165 B2 JP 3195165B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種基材の密着性向上
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シランカップリング剤、エポキシ
基含有ポリマーなどの密着性向上剤あるいは該密着性向
上剤を含有する塗工組成物を基材に付着して、密着性を
向上させることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の密着性
向上剤は、シリル基やエポキシ基などの高反応性基を有
するために、塗料や粘接着剤などに含有させた場合、温
度あるいは系のpHや水分などに対して不安定であるた
め、基材と塗膜の密着性が十分に発揮されないという問
題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、温度あるい
は系のpHや水分などに対して不安定な反応型の密着性
向上剤を用いることなく、基材の密着性向上方法を見い
だすべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、環状アミンまたは炭素
数5以上の非環状アミンのアルキレンオキシド付加物
の、ビニルカルボン酸エステル(a)を、構成単位とし
て50重量%以上含有する重合体(A)を密着性向上剤
として使用することを特徴とする基材の密着性向上方法
である。
【0006】本発明における環状アミンは、アルキレン
オキシドが付加するための活性水素を有する環状アミン
であれば特に制限はなく、従って、環の内外にアミン性
窒素を有していればよい。活性水素基は、アミノ基から
由来してもよいし、また水酸基、カルボキシル基などの
アルキレンオキシドが付加し得る基であればいずれから
由来していてもよい。
【0007】このような環状アミンとしては、例えば、
非芳香族性ヘテロサイクリックアミン[アジリジン環を
有するもの(アジリジン、2−メチルアジリジン、2−
エチルアジリジンなど)、ピロリジン環を有するもの
(ピロリジン、2−メチルピロリジン、2−エチルピロ
リジン、2−ピロリドン、スクシンイミド、1,2−シ
クロヘキサンジカルボキシイミドなど)、ピペリジン環
を有するもの(ピペリジン、2−メチルピペリジン、
3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジン、
4−ピペリジノピペリジン、2−メチル−4−ピロリジ
ノピペリジン、エチルピコリコネートなど)、ピペラジ
ン環を有するもの(1−メチルピペラジン、1−メチル
−3−エチルピペラジンなど)、モルフォリン環を有す
るもの(モルフォリン、2−メチルモルフォリン、3,
5−ジメチルモルフォリン、チオモルフォリンなど)、
ピロリン類(3−ピロリン、2,5−ジメチル−3−ピ
ロリン、2−フェニル−2−ピロリンなど)、ピラゾリ
ン類(ピラゾリンなど)、イミダゾール類(2−メチル
イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、
2−フェニルイミダゾールなど)、ピラゾール類(ピラ
ゾール、ピラゾールカルボン酸など)、ピリドン類(α
−ピリドン、γ−ピリドンなど)、およびε−カプロラ
クタム、ピリダジノン、ピリダリン、ピリドインな
ど];芳香族ヘテロサイクリックアミン[2−ヒドロキ
シピリジン、2−ヒドロキシ−3,5−ジターシャリブ
チルピリジン、2−カルボキシルピリジン、4−ピリジ
ルカルビノール、2−ヒドロキシピリミジン、ピロー
ル、2−フェニルピロールなど];芳香族アミン[アニ
リン、3−メチルアニリン、N−メチルアニリン、N−
イソプロピルアニリンなど]などが挙げられる。
【0008】これらの環状アミンのうち、好ましいの
は、非芳香族性サイクリックアミンである。なかでも好
ましいのは、ピペリジン環を有するもの及びモルフォリ
ン環を有するもの、最も好ましいのは、モルフォリン環
を有するものである。
【0009】炭素数5以上の非環状アミンは、アルキレ
ンオキシドが付加するための活性水素を有する炭素数5
以上の非環状アミンであれば特に制限はない。例えば、
炭素数5以上の1級の脂肪族非環状アミン(ジメチルプ
ロピルアミン、2−エチルブチルアミン、ペンチルアミ
ン、2,2−ジメチルブチルアミン、ヘキシルアミン、
シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘ
キシルアミン、イソデシルアミン、ラウリルアミンな
ど)、炭素数5以上の2級の脂肪族非環状アミン[メチ
ルブチルアミン、メチルイソブチルアミン、メチルター
シャリブチルアミン、メチルペンチルアミン、メチルヘ
キシルアミン、メチル(2−エチルヘキシル)アミン、
メチルオクチルアミン、メチルノニルアミン、メチルイ
ソデシルアミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプ
ロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルイソブチル
アミン、エチルターシャリブチルアミン、エチルペンチ
ルアミン、エチルヘキシルアミン、エチル(2−エチル
ヘキシル)アミン、エチルオクチルアミン、ジプロピル
アミン、ジイソプロピルアミン、プロピルブチルアミ
ン、プロピルイソブチルアミン、プロピルターシャリブ
チルアミン、プロピルペンチルアミン、プロピルヘキシ
ルアミン、プロピル(2−エチルヘキシル)アミン、プ
ロピルオクチルアミン、イソプロピルブチルアミン、イ
ソプロピルイソブチルアミン、イソプロピルターシャリ
ブチルアミン、イソプロピルペンチルアミン、イソプロ
ピルヘキシルアミン、イソプロピル(2−エチルヘキシ
ル)アミン、イソプロピルオクチルアミン、ジブチルア
ミン、ジイソブチルアミン、ジターシャリブチルアミ
ン、ブチルペンチルアミン、ジペンチルアミン、ジシク
ロヘキシルアミンなど]、が挙げられる。
【0010】炭素数5以上の非環状アミンのうち好まし
いのは、炭素数5〜8の1級の脂肪族非環状アミンであ
る。
【0011】アルキレンオキシドとしては、エチレンオ
キシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが
挙げられる。これらのうち好ましいものは、エチレンオ
キシドまたはプロピレンオキシド、及びこの両者の組合
せである。
【0012】アルキレンオキシドの付加モル数は、通常
1〜50モル、好ましくは1〜5モルである。
【0013】本発明におけるエステル(a)のビニルカ
ルボン酸は、ビニル基とカルボキシル基が直結している
必要はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(イソ)ク
ロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸などの
ラジカル重合性不飽和脂肪族カルボン酸;ビニル安息香
酸および2−カルボキシ−4−イソプロペニル−3−ピ
ロリジン酢酸などのラジカル重合性芳香族カルボン酸;
ならびにこれらのエステル形成性誘導体(酸無水物、酸
ハロゲン化物あるいはエステル)が挙げられる。
【0014】これらのうち、(メタ)アクリル酸、マレ
イン酸、ビニル安息香酸、及びこれらのエステル形成性
誘導体が好ましく、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)
アクリル酸のエステル形成性誘導体が特に好ましい。
【0015】本発明における重合体(A)は、エステル
(a)単独からなる重合体でも、エステル(a)と他の
ビニル系モノマー(b)との共重合体でもよいが、該共
重合体は、エステル(a)を構成単位として50重量%
以上含有する必要があり、70重量%以上含有すること
が望ましい。
【0016】モノマー(b)としては、親水性ビニルモ
ノマー(b−1)[(a)を除く]あるいは親油性ビニ
ルモノマー(b−2)のものでもよい。
【0017】モノマー(b−1)としては、ノニオン性
の化合物[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリロイルオキシポリグリセロール、ビニルアルコー
ル、アリルアルコール、(メタ)アクリルアミド、N−
メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、ビ
ニルイミダゾール、N−メチロール−ε−カプロラクタ
ム、N−メチロールマレイミド、N−ビニルスクシンイ
ミド、p−アミノスチレン、N−ビニルカルバゾール、
2−ビニルピリジン、2−シアノエチル(メタ)アクリ
レート等];アニオン性の化合物[(メタ)アクリル
酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニ
ルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、スチレン
スルホン酸、ビニル安息香酸、アルキルアリルスルホコ
ハク酸、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン硫
酸エステル等の酸及びこれらの塩];カチオン性の化合
物[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミド、ビニルアニリン及びこれらの酸塩];アミン
イミド基を有する化合物[1,1,1−トリメチルアミ
ン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エ
チルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル
−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)ア
ミン(メタ)アクリルイミド、1,1,1−トリメチル
アミン(メタ)アクリルイミド等]が挙げられる。
【0018】モノマー(b−2)としては、例えば、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オ
クタデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体、N,N
−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシ
ル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)ア
クリルアミド誘導体、(メタ)アクリロニトリル、スチ
レン、1−メチルスチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、
塩化ビニル、イソプレン等が挙げられる。
【0019】重合体(A)の重量平均分子量は通常1,
000〜5,000,000、好ましくは、10,00
0〜2,000,000、特に好ましくは100,00
0〜1,000,000である。
【0020】次に本発明における重合体(A)の製造方
法について説明する。重合体(A)は、エステル(a)
および必要によりモノマー(b)を用い、ラジカル重合
して得られる。重合方法には特に制限がなく、溶液重合
法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法などの通常の
熱重合方法を使用することが使用でき、例えば前記ラジ
カル重合性成分を、ラジカル重合開始剤の存在下に加熱
するとか、光増感剤の存在下に光照射、または放射線を
照射するなどして重合を開始させることによって、重合
体(A)が得られる。
【0021】重合温度は通常20〜350℃、好ましく
は50〜150℃、反応圧力は通常大気圧〜20気圧、
好ましくは大気圧〜10気圧である。
【0022】ラジカル重合開始剤としては通常のものが
使用でき、例えば、アゾ系開始剤[2,2’−アゾ ビ
ス(ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス
(イソブチロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シ
アノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノ
プロパン) 塩酸塩、アゾビス(2−メチル−N−ビス
ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシエチルプロピオンア
ミド)、アゾビス(2−メチル−N−ヒドロキシエチル
プロピオンアミド)等]、パーオキシド系開始剤[過硫
酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、ベン
ゾイルパ−オキシド、ラウリルパーオキシド、ターシャ
リブチルヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、
ジターシャリブチルパーオキシド、クメンハイドロパー
オキシド等]などが挙げられる。また、重合体(A)の
重量平均分子量を調節する目的で、必要によって連鎖移
動剤(ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノール
等)も使用してもよい。
【0023】本発明における重合体(A)は熱可逆的に
増粘性を示すことにも特徴がある。この点についてさら
に説明すると、重合体(A)を含有する水性液は、一定
の温度までは温度上昇に伴って粘度を低下するが、この
一定の温度を越えると高い勾配で粘度を上昇するような
転移温度を有し、そしてこの温度・粘度関係の変化は温
度の上げ下げに伴い可逆的に繰り返し起こる。
【0024】転移温度は、重合体(A)を構成するエス
テル(a)中のアルキレンオキシドの種類や付加モル数
を変えることによって容易に調節可能である。ここで、
転移温度とは、重合体(A)の親水性から疎水性へ、あ
るいは疎水性から親水性へと変化する温度を云い、例え
ば、重合体(A)の1重量%水溶液を徐々に昇温してい
ったとき、水溶液が白濁し始める温度を測定することに
よって、あるいは重合体(A)の20重量%水溶液を徐
々に昇温し、その粘度が増大し始める温度を測定するこ
とによって求めることができる。
【0025】アルキレンオキシドの種類及び付加モル数
と重合体(A)の転移温度の関係を説明すると、重合体
(A)においてアルキレンオキシドとしてエチレンオキ
シドを使用し、その付加モル数を多くすると転移温度は
高くなり、プロピレンオキシドやブチレンオキシドを使
用する場合は、付加モル数を多くすると転移温度は低く
なる。アルキレンオキシドの付加モル数は、目的とする
転移温度、アミンの種類、アルキレンオキシドの種類等
によって適宜調節する必要があるが、通常1〜50モ
ル、好ましくは1〜5モルで用いられる。
【0026】さらに、必要によって使用される前記モノ
マー(b)の種類や量を変えることによっても容易に調
整可能である。具体的には、エステル(a)とともに前
記モノマー(b−1)を用いると転移温度が高くなり、
重合体(A)中のその割合が増えるほど転移温度は高く
なる。それ故重合体(A)の親水性が高いほどその傾向
が顕著になる。逆に、エステル(a)とともに前記モノ
マー(b−2)を用いると転移温度が低くなり、その割
合が増えるほど転移温度は低くなる。それ故重合体
(A)の疎水性が高いほどその傾向が顕著になる。
【0027】重合体(A)がエステル(a)単独から構
成される場合、転移温度を越えると非常に狭い温度幅で
急激に増粘しゲル化に至るが、エステル(a)の構成比
が50重量%に近づくにつれて、広い温度幅にわたって
温度の上昇とともになだらかに増粘するので、使用目的
に応じてその増粘特性の制御が可能である。
【0028】従って、重合体(A)は熱可逆型増粘剤と
しても使用でき、従来から用いられているメチルセルロ
ースや提案されているN−アルキルアクリルアミドの重
合体に比べて、増粘性、粘度の可逆性および転移温度の
調節の容易さにおいて優れている。
【0029】重合体(A)は、転移温度を通常5〜95
℃の範囲内になるように制御して用いられる。
【0030】重合体(A)を増粘剤として用いる場合、
重合体(A)をそのまま使用してもよく、また任意の濃
度の溶液にして使用してもよい。溶液を製造するには、
水、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールな
どの溶剤と転移温度以下で混合すればよい。但し、転移
温度は、溶液中の塩、界面活性剤、溶剤等の成分の種類
及び量によって変化するので、溶液中での転移温度を用
いることが望ましい。重合体(A)を溶液にして使用す
る場合、重合体(A)の含有量は、溶剤の種類、望まれ
る粘度等によって変化するが、溶液に対して通常0.1
〜80重量%である。
【0031】重合体(A)は、塗料、インキ、接着剤、
捺染糊剤、化粧品、樹脂モルタル、セメント等の分野で
通常用いられている、無機塩水溶液、水溶性樹脂水溶
液、水に不溶性の無機及び有機物質の水性スラリーおよ
びコロイド状分散液、天然及び合成ラテックス、各種樹
脂エマルション及びこれらの混合物などの水性液に含有
して用いられる。この場合、重合体(A)の使用量は、
水性液の種類、粘度等によって変化するが、水性液に対
して、通常0.0001〜30重量%、好ましくは0.
001〜20重量%である。
【0032】重合体(A)を増粘剤として用いる場合、
重合体(A)に、必要により酸化防止剤、紫外線吸収
剤、耐水化剤、香料、消泡剤、染料等を含有することが
できる。
【0033】重合体(A)は、水性液に適用した場合、
広い温度範囲において、転移温度を越えると急勾配で粘
度を上昇させ、かつこの温度・粘度変化を可逆的に繰り
返し行わせることができるものである。容易に、しかも
任意に転移温度を調節できるという利点がある。従っ
て、重合体(A)を増粘剤に用いた場合、加熱乾燥工程
において基材への浸透あるいは表面での皮張りを防止す
る効果を有しており、また塗工後の乾燥工程で増粘・ゲ
ル化させるため、塗工層中のバインダーのマイグレーシ
ョンを防止する効果を有しており、不織布用バインダ
ー、塗工紙用コーティング剤等のマイグレーション防止
剤としても有用である。
【0034】本発明における基材としては、ガラス、金
属(鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、ブリキ、亜鉛
合金等)、プラスチック(アクリル、ナイロン、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ウレタン、ABS等)、
紙、布、繊維、木材、コンクリート、石膏ボード、レン
ガ、陶器などが挙げられる。
【0035】重合体(A)は、そのままあるいは任意の
濃度の溶液にして使用することができる。溶液を作成す
るための溶剤としては、水、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、イ
ソプロピルアルコール、アセトニトリル、トルエン、キ
シレンなどが挙げられる。
【0036】重合体(A)は、塗膜を形成し得る樹脂に
含有することによって得られる密着向上性組成物にし
て、通常使用される。その使用量は、密着向上性組成物
に対して0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜
20重量%である。
【0037】塗膜を形成し得る樹脂としては、例えば、
アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン
樹脂、SBR、NBR、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェ
ノール樹脂、αオレフィン無水マレイン酸樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、セルロース類、酢酸ビニル−アクリル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルシリコン
樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
エーテル系樹脂、テルペン系樹脂および尿素樹脂が挙げ
られる。これらの樹脂は通常溶剤(水、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メ
タノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、
トルエン、キシレン等)の溶液または水系の分散体にし
て用いられる。
【0038】前記密着向上性組成物の具体的な用途とし
ては、塗料、粘接着剤のほか、印刷インク、紙塗工用塗
料、コンクリートやセラミックのバインダー、ガラス繊
維バインダーなどに利用することが可能である。
【0039】密着向上性組成物を製造するには、塗膜を
形成し得る樹脂100部と、必要に応じて顔料(ニトロ
ソ顔料、ニトロ顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、
カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、亜鉛華、コバ
ルトブルー、炭酸カルシウム、黄鉛、アルミナホワイ
ト、硫化亜鉛、朱、モリブデンレッド、クレー、群青、
紺青等)、顔料分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム
等)、硬化剤(メラミン樹脂、ポリイソシアネートな
ど)、可塑剤(ジオクチルフタレート)、その他の添加
剤(垂れ防止剤、増粘剤、凍結防止剤、消泡剤、防腐
剤、乾燥剤、レベリング剤等の塗料用添加剤)及び溶剤
(前記したものなど)を分散装置(ボールミル、サンド
ミル、高速ディスパー、ペイントコンディショナー等)
を用いて均一に混合した後、重合体(A)を0.01〜
30重量部を加え、均一に混合すればよい。
【0040】このようにして得られた密着向上性組成物
を、前記基材に刷毛塗りまたはロールコーター、カーテ
ンフローコーター、アプリケーターあるいはスプレーを
用いて、0.1〜1000μの厚さに付着させ、必要に
応じて同一または異なる基材を貼り合わせて、室温〜1
50℃で乾燥すれば、基材への密着性の良好な塗膜が得
られる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中
の部は重量部である。 製造例1 2−モルホリノエチルメタクリレート(モルホリンのエ
チレンオキシド1モル付加物とメタクリル酸とのエステ
ル)100部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)0.1部をアンプルに加え、凍結脱
気後密閉し、50℃で8時間重合させて、重合体1を得
た。
【0042】製造例2 2−(2−モルホリノエトキシ)エチルメタクリレート
(モルホリンのエチレンオキシド2モル付加物、メタク
リル酸とのエステル)90部と、メチルメタクリレート
10部及び2,2’−アゾ ビス(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)0.1部をアンプルに加え、凍結脱気後
密閉し、60℃で8時間重合させて、重合体2を得た。
【0043】製造例3 2−モルホリノプロピルメタクリレート(モルホリンの
プロピレンオキシド1モル付加物とメタクリル酸とのエ
ステル)80部、スチレン5部、メチルメタアクリレー
ト10部、ヒドロキシエチルメタクリレート5部及び
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)0.1部をアンプルに加え、凍結脱気後密閉し、5
0℃で8時間重合させて、重合体3を得た。
【0044】製造例4 2−(2−ピペリジノエトキシ)エチルメタクリレート
80部、N,N−ジブチルアクリルアミド10部、スチ
レン10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)0.5部をアンプルに加え、凍結脱気
後密閉し、50℃で8時間重合させて、重合体4を得
た。
【0045】製造例5 ジメチルプロピルアミンのエチレンオキシド4モル付加
物のアクリル酸エステル80部、メチルメタクリレート
20部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)0.5部をアンプルに加え、凍結脱気後密
閉し、50℃で8時間重合させて、重合体5を得た。
【0046 製造例6 攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管、温度計、還流冷
却器を備えた反応容器にスルホン酸塩型重合性乳化剤
[三洋化成工業(株)製エレミノールJS-2]20g、水600
g、過硫酸ナトリウム2.0gを仕込み、攪拌下、系内
を窒素ガスで置換し、85℃に昇温した。同温度にて、
メタクリル酸メチル185g,メタクリル酸n−ブチル
143g,アクリル酸n−ブチル70g,アクリル酸2
gの混合物を1時間かけて滴下し、同温度で2時間反応
させた。30℃に冷却後、25%アンモニア水でpH
8.5に調整することによって、アクリルエマルション
1(固形分40.1%、以下AcEM1という)を得
た。 【0047】製造例7 製造例6と同様に、メタクリル酸n−ブチル65g,ア
クリル酸n−ブチル188g,アクリル酸2−エチルヘ
キシル140g,アクリル酸7gの混合物から、アクリ
ルエマルション2(固形分40.3%、以下AcEM2
という)を得た。
【0048】実施例1〜5および比較例1,2 製造例1で得られた重合体1を0.5部、製造例6で得
られたAcEM1を25部、酸化チタン10部、ブチル
セロソルブ2部、水5部及びポリアクリル酸ナトリウム
系分散剤(20%水溶液)0.1部を、ガラスビーズ8
0部とともにペイントコンディショナーで約30分混合
し、実施例1の白色塗料組成物1を得た。同様にして、
重合体2から実施例2の白色塗料組成物2を、重合体3
から実施例3の白色塗料組成物3を、重合体4から実施
例4の白色塗料組成物4を、重合体5から実施例5の白
色塗料組成物5をそれぞれ得た。また、比較の為に、実
施例1において重合体1の代わりに水性エポキシ樹脂
[油化シェルエホ゜キシ(株)製エピコートDX−255]0.
5部及び水性硬化剤[油化シェルエホ゜キシ(株)製エピキュア
3255]0.5部を用いて比較例1の白色塗料組成物
6を、実施例1において重合体1を使用せずに作成して
比較例2の白色塗料組成物7を得た。これら各白色塗料
組成物1〜7をステンレス板上に、アプリケーターでウ
ェット膜厚100μに塗布し、60℃で30分乾燥した
後、セロテープ剥離試験によって、密着性を評価した。
また、各白色塗料組成物1〜7を、密閉容器中50℃で
2週間保存して、保存安定性を評価した。結果を表1に
示す。
【0049】
【0050】密着性:JIS K5400に従って評価
した。碁盤目セロテープ剥離の100個中の未剥離個数
で示した。 保存安定性:50℃×2週間静置後の白色塗料組成物の
状態。[○;良好(作成直後と変化なし)。×;著しく
増粘。]
【0051】実施例6〜10および比較例3,4 製造例1で得られた重合体1を5部と製造例7で得られ
たAcEM2を25部とをディスパーを用いて混合溶解
して実施例6の粘着剤組成物1を得た。同様にして、重
合体2から実施例7の粘着剤組成物2を、重合体3から
実施例8の粘着剤組成物3を、重合体4から実施例9の
粘着剤組成物4を、重合体5から実施例10の粘着剤組
成物5をそれぞれ得た。また、比較の為に、実施例6に
おいて重合体1の代わりに水性エポキシ樹脂[油化シェルエ
ホ゜キシ(株)製エピコートDX−255]0.5部及び水
性硬化剤[油化シェルエホ゜キシ(株)製エピキュア3255]
0.5部を用いて比較例3の粘着剤組成物6を、実施例
6において重合体1を使用せずに作成して比較例4の粘
着剤組成物7を得た。これら各粘着剤組成物1〜7をポ
リエステルフィルム上に、アプリケーターでウェット膜
厚50μに塗布後60℃で30分乾燥し、粘着テープを
得た。得られた粘着テープのステンレス板への粘着力を
評価した。また、各粘着剤組成物1〜7を、密閉容器中
50℃で2週間保存して、保存安定性を評価した。結果
を表2に示す。
【0052】
【0053】粘着力:粘着テープをステンレス板に貼り
つけ25℃で60分間放置後、引張速度 300mm/分
で180゜剥離強度を室温で測定した。 保存安定性:50℃×2週間静置後の粘着剤組成物の状
態。[○;良好(作成直後と変化なし)。×;著しく増
粘。]
【0054】参考例1 2,2−ジメチルプロピルアミンのエチレンオキシド4
モル付加物のアクリル酸エステル95部と、メチルメタ
クリレート5部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)1部をアンプルに加え、凍結脱気
後密閉し、50℃で8時間重合させて、重合体Aを得
た。重合体Aの転移温度は44℃であった。重合体A
を、20℃で、イオン交換水80部に対して20部加え
て均一に混合溶解した。この水溶液を毎分2℃の割合で
昇温して、粘度を測定した(B型粘度計、STローター
使用)。その結果を表1に示す。次に、増粘させた水溶
液を、55℃から30℃まで、毎分2℃の割合で降温し
て、粘度を測定した(B型粘度計、STローター使
用)。その結果を表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】参考例2 メチルブチルアミンのエチレンオキシド3モル付加物の
アクリル酸エステル98部と、ヒドロキシエチルメタク
リレート2部及び2,2’−アゾ ビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)1部をアンプルに加え、凍結脱気
後密閉し、50℃で8時間重合させて、重合体Bを得
た。重合体Bの転移温度は63℃であった。 重合体B
を、20℃で、イオン交換水80部に対して20部加え
て均一に混合溶解した。この水溶液を毎分2℃の割合で
昇温して、粘度を測定した(B型粘度計、STローター
使用)。その結果を表3に示す。次に、増粘させた水溶
液を、75℃から45℃まで、毎分2℃の割合で降温
し、粘度を測定した(B型粘度計、STローター使
用)。その結果を表4に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】参考例3 参考例1の重合体Aを、20℃で、ウレタン系エマルシ
ョン(三洋化成工業製、サンプレンUXA3004)9
9.8部に対して0.2部加えて均一に混合溶解した。
この混合物を毎分2℃の割合で昇温させて、粘度を測定
した(B型粘度計、STローター使用)。その結果を表
5に示す。次に、増粘させた水溶液を、55℃から30
℃まで、毎分2℃の割合で降温して、粘度を測定した
(B型粘度計、STローター使用)。その結果を表6に
示す。
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【発明の効果】本発明の密着性向上方法は、次の効果を
奏する。 (1)ガラス、金属、プラスチック、紙、布、繊維、木
材、コンクリート、石膏ボード、レンガ、陶器などへの
密着性を著しく向上させることができる。 (2)非反応性であるため、塗工組成物の保存安定性が
良好である。 上記効果を奏することにより、本発明の密着性向上方法
は、塗料、粘接着剤、印刷インク、紙用コーティング
材、コンクリートやセラミックやガラス繊維のバインダ
ーなどの分野に有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状アミンまたは炭素数5以上の非環状ア
    ミンのアルキレンオキシド付加物のビニルカルボン酸エ
    ステル(a)を、構成単位として50重量%以上含有す
    る重合体(A)を密着性向上剤として使用することを特
    徴とする基材の密着性向上方法。
  2. 【請求項2】環状アミンが、ピペリジン類またはモルフ
    ォリン類である請求項1記載の密着性向上方法。
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