JP3194985B2 - 高靱性且つ高耐摩耗性Al金属間化合物複合体 - Google Patents

高靱性且つ高耐摩耗性Al金属間化合物複合体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高靱性且つ高耐摩耗性
Al金属間化合物複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、Al金属間化合物としては、金属
間化合物形成元素としてNiを含有するものが知られて
いる(例えば、特開昭61−166982号公報参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のA
l金属間化合物は、その全体がAl−Ni系化合物相の
ため、高硬度、したがって高耐摩耗性である反面、脆く
低靱性である、といった問題がある。
【0004】本発明は前記に鑑み、Al金属間化合物を
異種化合物相よりなる複相組織とすることにより前記問
題を解決することができるようにした前記Al金属間化
合物複合体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高靱性且つ
高耐摩耗性Al金属間化合物複合体は、AlおよびAl
合金の一方と、Alと化合してAl金属間化合物マトリ
ックス相を形成するマトリックス相形成元素と、Alと
包晶反応を行う包晶形成元素とのレーザビームによる溶
融、それに次ぐ凝固によって得られたAl金属間化合物
複合体であって、前記マトリックス相形成元素であるN
iを30重量%、70重量%以下含有し、前記包晶形成
元素であるNbおよびTaの一方を5重量%以上、30
重量%以下含有し、前記包晶形成元素の少なくとも一部
は、前記Al金属間化合物マトリックス相に分散する包
晶型Al金属間化合物分散相を形成していることを特徴
とする。
【0006】
【実施例】図1は、Al金属間化合物複合体の製造方法
を示す。この方法の実施に当っては、AlまたはAl合
金製母材1を矢印方向へ移動させ、その表面をオシレー
タ2より照射されるレーザビーム3により溶融すると共
にその溶融池4に粉末供給機5より、Alと化合してA
l金属間化合物マトリックス相を形成するマトリックス
相形成元素およびAlと包晶反応を行って包晶型Al金
属間化合物分散相を形成する包晶形成元素の粉末6をキ
ャリヤガスによって噴射し、同時にガス供給ノズル7よ
りシールドガス8を噴射するものである。母材1には溶
融池4の冷却に伴いAl金属間化合物複合体9が形成さ
れる。
【0007】このようにして得られたAl金属間化合物
複合体9は、Al金属間化合物マトリックス相と、その
マトリックス相に分散する包晶型Al金属間化合物分散
相とより構成される。この場合、包晶形成元素の一部が
マトリックス相に固溶することもある。複合体の凝固過
程では、最初に無数の包晶型Al金属間化合物分散相が
晶出し、次いでAl金属間化合物マトリックス相が晶出
するので、マトリックス相は、その結晶成長を包晶型A
l金属間化合物分散相により妨げられて微細組織とな
り、これにより複合体は高硬度、したがって高耐摩性を
確保すると共に高靱性を確保することができる。
【0008】Al金属間化合物複合体におけるAl含有
量は、複合体の高硬度確保上、30重量%以上、50重
量%以下に設定される。Al含有量が30重量%未満で
は、マトリックス相が形成されず、硬度が低下する傾向
にあり、一方、50重量%を超えると、複合体の硬度低
下を招く。
【0009】マトリックス相形成元素としてはNiが用
いられ、その含有量は、複合体の高硬度確保上、30重
量%以上、70重量%以下に設定される。このNiの含
有量が30重量%未満ではマトリックス相が形成され
ず、硬度が低下する傾向にあり、一方、70重量%を超
えると複合体が脆化する。
【0010】包晶形成元素としては、NbおよびTaの
一方が用いられ、その含有量は、複合体の高硬度、高靱
性確保上、5重量%以上、30重量%以下に設定され
る。このNbまたはTaの含有量が5重量%では、複合
体が高硬度であるが低靱性となり、一方、30重量%を
超えると、複合体が高靱性であるが低硬度となる。
【0011】包晶型Al金属間化合物分散相の体積分率
Vfは、複合体の高硬度、高靱性確保上、10%以上、
50%以下に設定される。この体積分率Vfが10%未
満では前記同様に複合体が高硬度であるが低靱性とな
り、一方、50%を超えると、複合体が高靱性であるが
低硬度となる。
【0012】Al金属間化合物複合体において、摺動特
性向上元素を含有させてその複合体の摩擦係数を低減さ
せることが可能である。この種摺動特性向上元素として
は、Bi、Pb、Ba、Li、Sn、Sb、Sr、C
a、Tlから選択される少なくとも一種が該当し、その
体積分率Vfは5%以上、30%以下に設定される。前
記元素の体積分率Vfが5%未満では複合体の摩擦係数
を低くすることができず、一方、30%を超えると、複
合体の強度が低下する。なお、摺動特性向上元素は、そ
の含有量が前記範囲内に収められていれば、複合体の高
硬度化および高靱性化を妨げることはない。
【0013】以下、具体例について説明する。
【0014】図2は、Al金属間化合物複合体9、即
ち、マトリックス相形成元素としてNiを用い、また包
晶形成元素としてTaを用いたAl−Ni−Ta金属間
化合物複合体の金属組織を示す概略図である。Al−N
i金属間化合物マトリックス相MはAl3 Ni2 相とA
3 Ni相とよりなり、また包晶型Al−Ta金属間化
合物分散相PはAl3 Ta相よりなる。この場合、最初
に無数のAl3 Ta相が分散状態で晶出し、次いでAl
3 Ni2 相、Al3 Ni相の順に晶出する。
【0015】このAl−Ni−Ta金属間化合物複合体
の製造条件の一例を挙げれば次の通りである。レーザ出
力:5kW;スポットサイズ:直径2.3mm;オシレー
タ:幅5mm、100Hz;母材移動速度:250mm/mi
n ;シールドガス:He、噴射量104 dl/min ;キャ
リヤガス:He、噴射量11.5×104 dl/min ;母
材:Al合金(A5052材);NiおよびTa粉末同
時供給。
【0016】図3は、Al−Ni−Ta金属間化合物複
合体におけるAl含有量と硬度との関係を示す。硬度測
定に用いられた幾つかのテストピースにおける各元素の
含有量およびAl3 Ta相の体積分率Vfは表1の通り
である。
【0017】
【表1】
【0018】図3から明らかなように、Al含有量を3
0重量%以上、50重量%以下に設定することにより複
合体において高硬度を確保することができる。
【0019】図4は、Al−Ni−Ta金属間化合物複
合体におけるTa含有量と硬度(線a)およびDPHI
(ダイヤモンド圧子による亀裂発生限界荷重、線b)と
の関係を示す。このDPHIの値が大きい、ということ
は複合体が高靱性であることを意味する。
【0020】硬度およびDPHI測定に用いられた幾つ
かのテストピースにおける各元素の含有量およびAl3
Ta相の体積分率Vfは表2の通りである。
【0021】
【表2】
【0022】図4、線a,bから明らかなように、Ta
含有量を5重量%以上、30重量%以下に設定すること
により、複合体において高靱性および高硬度を確保する
ことができる。
【0023】図5は、Al−Ni−Ta金属間化合物複
合体におけるAl3 Ta相の体積分率Vfと硬度(線
a)およびDPHI(線b)との関係を示す。
【0024】硬度およびDPHI測定に用いられた幾つ
かのテストピースにおける各元素の含有量およびAl3
Ta相の体積分率Vfは表3の通りである。
【0025】
【表3】
【0026】図5、線a,bから明らかなように、Al
3 Ta相の体積分率Vfを10%以上、50%以下に設
定することにより、複合体において高靱性および高硬度
を確保することができる。
【0027】図6は、Al−Ni−Ta金属間化合物複
合体の金属組織を示す顕微鏡写真である。白い針状部分
がAl3 Ta相、灰色の塊状部分がAl3 Ni2 相、黒
色部分がAl3 Ni相である。この複合体の組成は、A
l 40重量%、Ni 40重量%、Ta 20重量
%、Al3 Ta相の体積分率Vf 25%である。
【0028】図7は、摺動特性向上元素としてSnを用
いたAl−Ni−Ta金属間化合物複合体におけるSn
の体積分率Vfと摩擦係数との関係を示す。摩擦係数測
定に用いられたテストピースの組成は、Al 40重量
%、Ni 40重量%、Ta20重量%、Al3 Ta相
の体積分率Vf 10%である。
【0029】図7から明らかなように、Snの体積分率
Vfを5%以上、30%以下に設定すると、複合体にお
いて高硬度および高靱性を損うことなく摩擦係数を低く
することができる。
【0030】図8は、マトリックス相形成元素としてN
iを、また包晶形成元素としてNbをそれぞれ用いたA
l−Ni−Nb金属間化合物複合体におけるNb含有量
と硬度(線a)およびDPHI(線b)との関係を示
す。この場合、Al−Ni金属間化合物マトリックス相
はTaを用いたものと同一の二相からなり、包晶型Al
−Nb金属間化合物分散相はAl3 Nb相よりなる。
【0031】硬度およびDPHI測定に用いられた幾つ
かのテストピースにおける各元素の含有量およびAl3
Nb相の体積分率Vfは表4の通りである。
【0032】
【表4】
【0033】図8、線a,bから明らかなように、Nb
含有量を5重量%以上、30重量%以下に設定すること
により、前記同様に複合体において高靱性および高硬度
を確保することができる。
【0034】図4において、点c〜eは、包晶形成元素
としてTa以外のものを用いた場合のDPHI(線bに
対応)を示す。マトリックス相形成元素としてはNiを
用いる等、他の条件はTaの場合と同じである。点cは
15重量%のWまたはMoを、点dは20重量%のV、
HfまたはZrを、点eは20重量%のTiまたはCr
をそれぞれ用いた場合を示す。
【0035】図4、点c〜eから明らかなように各種包
晶形成元素を用いた場合にも靱性は比較的高くなる。硬
度については、Taを用いた場合と略同様である。
【0036】各種包晶形成元素による包晶型Al金属間
化合物分散相は、Wの場合γ相、Moの場合Al12Mo
相、Vの場合Al3 V相、Hfの場合Al3 Hf相、Z
rの場合Al3 Zr相、Tiの場合Al3 Ti相、Cr
の場合Al7 Cr相よりなる。
【0037】前記Al金属間化合物複合体に、CrC等
の炭化物を分散させることは、その複合体の硬度向上を
図る上で有効である。この場合、Cの含有量は3重量%
以上、20重量%以下が適当である。
【0038】なお、本発明に係るAl金属間化合物複合
体は、例えば、エンジンにおけるロッカアームのスリッ
パ面形成材料やシリンダブロックのボア壁面形成材料と
して有効であり、またブレーキディスクの摩擦パッドと
の摺接面形成材料としても用いられる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように構成する
ことによって、高靱性且つ高耐摩耗性Al金属間化合物
複合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al金属間化合物複合体の製造方法を示す説明
図である。
【図2】Al−Ni−Ta金属間化合物複合体の金属組
織を示す概略図である。
【図3】Al含有量とAl−Ni−Ta金属間化合物複
合体の硬度との関係を示すグラフである。
【図4】Ta含有量とAl−Ni−Ta金属間化合物複
合体の硬度およびDPHIとの関係を示すグラフであ
る。
【図5】Al3 Ta相の体積分率VfとAl−Ni−T
a金属間化合物複合体の硬度およびDPHIとの関係を
示すグラフである。
【図6】Al−Ni−Ta金属間化合物複合体の金属組
織を示す顕微鏡写真である。
【図7】Snの体積分率VfとAl−Ni−Ta金属間
化合物複合体の摩擦係数との関係を示すグラフである。
【図8】Nb含有量とAl−Ni−Nb金属間化合物複
合体の硬度およびDPHIとの関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
9 Al−Ni−Ta金属間化合物複合体(Al金属
間化合物複合体) M Al−Ni金属間化合物マトリックス相(Al金
属間化合物マトリックス相) P 包晶型Al−Ta金属間化合物分散相(包晶型A
l金属間化合物分散相)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−197535(JP,A) 特開 平1−306531(JP,A) 特開 平4−325638(JP,A) 特開 平4−325639(JP,A) 特開 平4−136187(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AlおよびAl合金の一方と、Alと化
    合してAl金属間化合物マトリックス相を形成するマト
    リックス相形成元素と、Alと包晶反応を行う包晶形成
    元素とのレーザビームによる溶融、それに次ぐ凝固によ
    って得られたAl金属間化合物複合体であって、前記マ
    トリックス相形成元素であるNiを30重量%、70重
    量%以下含有し、前記包晶形成元素であるNbおよびT
    aの一方を5重量%以上、30重量%以下含有し、前記
    包晶形成元素の少なくとも一部は、前記Al金属間化合
    物マトリックス相に分散する包晶型Al金属間化合物分
    散相を形成していることを特徴とする高靱性且つ高耐摩
    耗性Al金属間化合物複合体。
  2. 【請求項2】 前記包晶型Al金属間化合物分散相の体
    積分率Vfを10%以上、50%以下に設定した、請求
    項1記載の高靱性且つ高耐摩耗性Al金属間化合物複合
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