JP3194385U - 食器蓋の内面構造 - Google Patents

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博史 荒川
博史 荒川
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Abstract

【課題】椀(容器)の被せ蓋の内面に付着した水滴を椀(容器)中に落下させ、水滴の浸入による蓋外周縁のシールドを防止する食器蓋の内面構造を提供する。【解決手段】中央部に持ち手となる円筒形の隆起部を形成した円形の食器蓋であって、該食器蓋1の内面中央部3に円筒形の空間部4を形成し、この空間部4の外縁に近接して同心円状の凹状の段部5を形成すると共に、該段部5から緩やかな円弧を描いて外縁に向って下降する内面壁6を延設し、該内面壁6から外縁7に至る近傍に凸状の畝8を同心円状に形成し、外縁7は傾斜部9aを介して略垂直な縁9を延設した。【選択図】図1

Description

本考案は椀又は容器に被せて使用される食器蓋の内面構造に関する。
一般に味噌汁、吸い物、お茶等の熱い液体や椀に入れた暖かい調理品には衛生上、若しくは内容物の保温の目的から食器蓋(被せ蓋)を被せて供されるが、飲食時に蓋が椀や容器(以下、単に容器という。)に密着して取りにくくなる場合がある。これは、容器の内容物の熱気により蓋の内面に湯気による水滴が付着し、この水滴が隣接する水滴を取り込んで膨張して水滴の大きな塊を形成し、蓋が容器と接触する嵌合部に入り込んで水によるシールドを形成するためである。しかも、蓋が被された容器の中は徐々に温度が低下することで気圧が外気より低くなり余計に蓋がとり難い原因となっている。
また、病院や養護施設などの厨房では料理品をトレーに載置してから所要経路を経てこれを食する各人までの搬送にかなりの時間を要するため、配送された蓋付き椀などは被せ蓋が椀の外周縁にしっかり密着し、蓋を容易に取りにくく、無理に蓋を取り除こうとするとき椀の中身をこぼしてしまうこともあるなどの不具合が指摘されている。
本考案者は蓋の内面に水滴が生じる状態を観察することにより、水滴の付きにくい食器蓋の構造を研究してきた。その結果、蓋の内面に水滴がつきやすい構造は、図5に示すように単に内面が段差のないプレーンな円弧状壁面を呈する場合が内面全域に生じた水滴が円弧状の壁面に沿って流下し、次々に隣接する下流側の水滴を包み込んで膨張しながら水滴の塊を形成して容器との嵌合部に入り込み、この水により嵌合部が密着されることが判明した。
そこで、蓋の内面に付着した最初は小さな水滴が膨張し結合し合う前に容器内に落下させ、水滴の塊の形成を極力抑えると共に、水滴の塊が蓋内面の外周縁に向って移動する量を減少させることで蓋と容器との嵌合部の密着を防止することのできる食器蓋の内面構造を提案するものである。
上記目的を達成するため、本考案では中央部に持ち手となる円筒形の隆起部を形成した円形の食器蓋であって、該食器蓋の内面中央部に円筒形の空間部を形成し、この空間部の外縁に近接して同心円状の凹状の段部を形成すると共に、該段部から緩やかな円弧で外縁に向って下降する内面壁を延設し、該内面壁の外縁に至る近傍に凸状の畝を同心円状に形成し、外縁は傾斜部を介して略垂直な縁を延設した。また、凸状の畝の外縁寄りであって略垂直な縁との間の傾斜部を容器と食器蓋とが接合する嵌合部とした。
本考案によれば、食器蓋の内面中央部の空間部の外側に段差を設け、外縁近傍に凸状の畝を設けたことにより、食器蓋の内面に生じた多数の水滴同士の結合を分離し、且つ凸状の畝で水滴同士の結合の塊を容器内に落下させることで水滴の塊が外周縁に移動する量を減少させ、容器と蓋の嵌合部での水による密着を防ぐことができる。
本考案の実施例を示す食器蓋の断面図である。 同食器蓋を椀に被せた断面図で、蓋内の水滴の付着、付着した水滴同士の結合・膨張した流れの状態をしめす。 同凹段部と畝部分の拡大断面図である。 本考案の食器蓋の内面に水滴が付着し、これが結合膨張して行く状態の平面説明図である。 従来の一般的な食器蓋の内面を示す断面図で、水滴の付着、移動の状態を示す。 内面がプレーンな円弧状を呈する従来の食器蓋の水滴の付着状態を示す写真で、熱湯を入れた容器に蓋を被せ、10分経過した時点で蓋をはずして撮影したものである。 本考案の食器蓋の水滴の付着状態を示す写真で、熱湯を入れた容器に蓋を被せ、10分経過した時点で蓋をはずして撮影したものである。
以下、本考案を図示する実施形態により具体的に説明する。
図1は、本考案の食器蓋の断面を示しており、図2は本考案の食器蓋が椀(容器)に被せられた状態の断面を示している。食器蓋1は上部中央に持ち手となる円筒形の隆起部2を形成した円形蓋であり、隆起部2の内面中央部3に円筒形の空間部4が形成され、該空間部4の外縁4aに同心円状の凹状の段部5が設けられており(図3)、該段部5から緩やかな円弧で外縁7に向って下降する内面壁6が延設され、該内面壁6の外縁7に至る近傍に凸状の畝8を同心円状に形成し外縁7は略垂直な縁9を形成している。該略垂直な縁9と凸状の畝8の間の傾斜部9aが容器10と食器蓋1が接合する嵌合部となっている。
凸状の畝8は、角を持たない頂部Aを備え、その片側は食器蓋1の内面壁6に弧状のスロープ6aを形成して接している。さらに畝8の他側は外縁7の垂直な縁9に連なる傾斜部9aに弧状のスロープ6bを形成して接している。図4では凸状の畝を明示するため、畝8の頂部A、食器蓋1の内面壁6に接する部分及び畝8の他側で傾斜部9aに接する部分を敢えて実線で表示している。
実施例の食器蓋はメラミン樹脂の成型品であるが、その他の樹脂であっても陶器・磁器であっても材質には拘束されない。
一般的に、容器に熱い調理品や汁等が入れられ、被せ蓋が被せられると時間経過により容器内の湯気が蓋内面に付着し外部との温度差により結露が始まる。この結露は、始めは小粒の多数の水滴として発生し、その後水滴同士がくっ付き合い膨張し水滴の塊を形成するが、この塊が容器内に落下せずに表面張力により内面壁に沿って流下し、移動して蓋と容器が接合する嵌合部に入り込むことで水によるシールドを形成する。
本考案の食器蓋によれば、蓋の内面中央部2に円筒形の空間部4を形成し、この空間部4の外縁に近接して同心円状の凹状の段部5を形成しているため、図2、図4に示すように容器1内の中央部分で発生した水滴Xは円筒形の空間部4内ではくっ付きあっても空間部4の壁面が円筒形であるため、下方に流下し水滴の塊Y1として膨張し自重により容器10内に落下する。落下しきれない塊は、空間部4の外縁4aに近接して形成された同心円状の凹状の段部5に流下し、この段部5が内面壁6と接する角を持たないコーナー部5aから容器内に落下する。
さらに、内面壁6に付着した水滴Xは緩やかな円弧で下降する内面壁6の表面に沿って流下しながら膨張して水滴の塊Y2となって流下するが、外縁7との間に突設された凸状の畝8により外縁7への流下を阻まれ、畝8の隆起する頂部Aから容器内に落下する。従って、凸状の畝8に至った水滴の塊Y2は畝8を越えて容器10と食器蓋1の接合する嵌合部には入り込まず、かくして嵌合部での水によるシールドを防ぐことができる。
これに対し、図5に示す従来の内面21がプレーンな円弧状22を呈する食器蓋20にあっては、水滴Xは内面壁に付着し、徐々に円弧状の内面21に沿って流下し、水滴X同士がくっ付きあって膨張し、水滴の塊Y3を形成する。この水滴の塊Y3が容器23の食器蓋20と接合する嵌合部24に入り込み、シールドすることで食器蓋20が取りはずしにくくなってしまう。
図6の写真は熱湯を入れた容器に、従来の内面がプレーンな円弧状を呈する食器蓋を被せ、10分経過した時点で蓋を外し内面に水滴が付着した状態を撮影したものである。又、図7の写真は熱湯を入れた容器に、本考案の食器蓋を被せ、10分経過した時点で蓋を外し内面に水滴が付着した状態を撮影したものである。図6の写真と図7の写真を比較すると明らかに両者の蓋の内面の水滴の付着状態が異なることが判明する。
本考案は以上のように構成されるため、食器蓋1の内面壁6に付着した水滴は、円筒状の空間部4とこの空間部4に近接する同心円状の凹状の段部5、さらに外縁7との間に形成された同心円状の凸状の畝8により区切られて水滴が付着する表面積が限定されることで水滴の膨張を抑制し得、例え水滴が膨張したとしても水滴の塊を下面の容器内に落下させることで容器と食器蓋が接合する嵌合部への水滴の浸入を効果的に防止している。
さらに、本考案の食器蓋の内面に形成された空間部4とこれに近接する同心円状の凹状の段部5、この段部5に続く内面壁6及び同心円状の凸状の畝8はいずれも角を持たない曲面で形成されているため、食器蓋の内面への汚れの付着を防止し得、更には食器蓋の洗浄時にも邪魔とならない。
1 食器蓋
2 円筒形の隆起部
3 内面中央部
4 空間部
4a 空間部の外縁
5 凹状の段部
6 内面壁
6a、6b 弧状のスロープ
7 外縁
8 凸状の畝
9 垂直な縁
9a 傾斜部
10 椀
A 畝の頂部

Claims (2)

  1. 中央部に持ち手となる円筒形の隆起部2を形成した円形の食器蓋であって、該食器蓋1の内面中央部2に円筒形の隆起部と同心円状の空間部4を形成し、この空間部4の外縁に近接して同心円状の凹状の段部5を形成すると共に、該段部5から緩やかな円弧を描いて外縁7に向って下降する内面壁6を延設し、該内面壁6から外縁7に至る近傍に凸状の畝8を同心円状に形成し、外縁7は略垂直な縁9を延設したことを特徴とする食器蓋の内面構造。
  2. 前記凸状の畝8の外縁7寄りであって略垂直な縁9との間の傾斜部9aを容器10と食器蓋1とが接合する嵌合部とした請求項1に記載の食器蓋の内面構造。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101964559B1 (ko) * 2018-08-14 2019-04-01 서경찬 직화조리가 가능한 이중 조리용기

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