JP3192691B2 - カルシウム系スケール防止剤 - Google Patents
カルシウム系スケール防止剤Info
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ル防止剤に関する。さらに詳しくは、カルシウム硬度を
有する種々の水系中において生じうる炭酸カルシウム系
スケールの発生を防止するのに有用な薬剤に関する。
却水系において、水中の硬度成分と溶存炭酸塩によって
生じる炭酸カルシウムを主とするカルシウム系スケール
とくに、かかるカルシウム系スケールは上記各種水系に
おける伝熱面に沈積してその伝熱効率の低下を招くた
め、この発生を防止又はできるだけ抑制することが望ま
れる。かかる観点から、従来、上記水系に添加してカル
シウム系スケールの発生を防止又は抑制する薬剤がいわ
ゆるスケール防止剤として知られている。そして、かか
るスケール防止剤として、具体的には、例えば、ポリア
クリル酸系共重合体類、有機ホスホン酸類、有機キレー
ト剤等からなる種々の薬剤が古くから提案されている。
そして、最近、スケール防止効率に着目して、ある種の
有機ホスホン酸と、カルボキシル基とスルホネート基を
有する特定の水溶性有機二元共重合体、とを併用する提
案もなされている(特公平1−41400号公報)。
用水系においては、水の有効利用の観点から、最近、増
々循環再利用される頻度が上昇し、すなわち、より高濃
縮水を利用する傾向にある。そして、このような高濃縮
水においては、カルシウム硬度が極めて高くなり、30
0ppmを超える場合もしばしば生じている。(以後、
硬度は炭酸カルシウムに換算してppmで表わす。)こ
のような高濃縮水中に、前記従来のスケール防止剤を添
加した場合には、そのスケール防止効果が不充分となり
易く、ことに通常、使用される数ppm〜数十ppmオ
ーダーの添加ではカルシウム硬度300ppmを超える
濃縮水系におけるスケール防止を有効に行うことが困難
であった。
は、熱交換効率を向上させるために、伝熱部の伝熱量も
増大化される傾向にある。そして伝熱量が増大化するに
伴い、炭酸カルシウム系スケールの発生量も著しく増加
し、スケール障害の頻度を上昇させる。そして、このよ
うな伝熱量が大きな系(例えば30万Kcal/m2・
hr以上)においては、カルシウム硬度が比較的低い水
を用いた場合においても、従来のスケール防止剤ではス
ケール防止効果が低下し、スケール障害を防止するのが
困難であった。本発明はかかる状況下なされたものであ
り、ことに、高硬度の濃縮水を用いた水系や伝熱量が大
きな伝熱部を有する水系中においても優れたスケール防
止効果を発現することができるスケール防止剤を提供し
ようとするものである。
ば、(a)スケール抑制作用を有する有機ホスホン酸又
はその塩と、(b)カルボキシル基を有するビニルモノ
マー又はこれと他の極性基を有するビニルモノマーとか
らなる2種以上のモノマー単位で構成される二元以上の
水溶性アクリル酸系もしくはマレイン酸系共重合体と、
(c)クエン酸又はその塩、とからなるカルシウム系ス
ケール防止剤が提供される。
制剤と水溶性アクリル酸系又はマレイン酸系共重合体と
を併用する際に、さらにクエン酸を添加することによ
り、そのスケール防止効果が著しく向上し、ことに、前
記のような高硬度や高伝熱のような苛酷な環境下におい
ても優れたスケール防止効果が安定に発揮されるという
事実の発見に基づくものである。なお、クエン酸はそれ
自体、スケール防止作用を有するものではないため、上
記のような発見は驚くべき事実といえるものである。
塩(a)としては、例えばエチルホスホン酸、イソプロ
ピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、メチレンジホスホ
ン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン
酸、1,1−アミノエタンジホスホン酸、1,1−ヒド
ロキシプロパンジホスホン酸、1,1−ヒドロキシブタ
ンジホスホン酸、1,1−アミノブタンジホスホン酸、
アミノトリメチレンホスホン酸、アミノトリエチレンホ
スホン酸、エチレンジアミンテトラメチルホスホン酸、
ヘキサメチレンジアミンテトラメチルホスホン酸、ジエ
チレントリアミン−ペンタメチルホスホン酸、2−ホス
ホノ酢酸、2−ホスホノプロピオン酸、2−ホスホノス
クシン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカル
ボン酸等が挙げられる。特に好ましい例としては、2−
ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸又はアミノ
トリメチレンホスホン酸が挙げられる。また、その塩と
しては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属
塩、アンモニウム塩等が適している。
くはマレイン酸系共重合体は、カルボキシル基を有する
ビニルモノマー又はこれと他の極性基を有するビニルモ
ノマーとからなる2種以上のモノマー単位で構成される
二元以上の共重合体である。ここで、カルボキシル基を
有するビニルモノマーとしては、下式(I):
メチル基又はカルボキシル基を示す;R2がカルボキシ
ル基の場合は隣接するカルボキシル基と結合して無水物
環を構成してもよい)で表される化合物が挙げられる。
これらの具体的なモノマーとしては、アクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が
挙げられる。これらは、例えばナトリウム塩のような塩
の形態であってもよい。
としては、下式(II):
のアルキレン基:nは0〜100を示す)]で表される
化合物が挙げられる。これらも、例えば、ナトリウム塩
のような塩の形態であってもよい。前記式(II)のモ
ノマーの具体例としては、スルホエチルアクリレート、
メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸、ポリエチレングリコールモノアリ
ルエーテル、スチレンスルホン酸、アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、N−メチロールアクリルアミド等が挙げ
られる。
くはマレイン酸系共重合体(b)には、上記式(I)の
モノマーの2種以上からなる共重合体又は式(I)のモ
ノマーと式(II)のモノマーとからなる2種以上から
なる共重合体が包含される。その具体例としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸−スルホエチルアクリレート共
重合体、(メタ)アクリル酸−メタリルスルホン酸共重
合体、(メタ)アクリル酸−2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル
酸−ポリエチレングリコールモノアリルエーテル共重合
体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、マレイン酸−
スチレンスルホン酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸
2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸−N−
メチロールアクリルアミド等が挙げられる。これらの分
子量はとくに限定されないが、通常、500〜2万程度
が適しており、共重合比はカルボキシル基含有単位が少
なくとも30モル%以上含まれるように調整されておれ
ばよい。
ン酸の塩としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウ
ム等のごときアルカリ塩が適している。この発明のスケ
ール防止剤は、前記有機ホスホン酸成分(a)、水溶性
アクリル酸系もしくはマレイン酸系共重合体(b)及び
クエン酸成分(c)とを含有し、通常、これらの成分を
含む水溶液剤として調整される。但し、粉末剤の形態で
あってもよい。勿論、この発明の効果が阻害されない限
り、他の公知の添加剤(例えば、他のスケール抑制性成
分や腐食抑制性成分、スライム抑制性成分)が含有され
ていてもよい。
合(重量比として)は、成分(a)を1として成分
(b)が0.4〜20(より好ましくは1.0〜10)で
あり、成分(a)と(b)との合計量を1として成分
(c)が0.3〜3.0(より好ましくは0.5〜2.0)
となるように調整するのが相乗効果の点で好ましい。特
に相乗効果と経済効果とを加味すれば、成分(a)と成
分(b)との特に好ましい配合割合は、1:1.0〜3.
0である。
(b)が0.4未満であったり20より大きい場合又は
成分(a)と(b)の合計量を1として成分(c)が
0.3未満であったり3より大きい場合には、相乗効果
が発揮されなく、スケール防止効果が充分ではない点で
好ましくない。
換えて、他のオキシカルボン酸である酒石酸やグルコン
酸又はリンゴ酸やその塩を前記配合割合で用いても良好
なスケール防止効果は得られない。
くに限定はされないが、通常、有効成分の合計量として
5〜100ppmの範囲内で選択するのが適している。
例えば、Ca硬度が300ppmを超える水系(通常、
高濃縮水)においても、通常、20〜60ppm程度の
添加量で充分なスケール防止効果を得ることができ、ま
た、伝熱量が30万Kcal/m2・hrを超える水系
においても通常、5〜50ppm程度の添加量で所望の
スケール防止効果を得ることができる。この発明のスケ
ール防止剤は、特に、Ca硬度が300ppmを超える
高濃縮冷却水系統や、伝熱量が30万Kcal/m2・
hrを越える冷却水系の熱交換器、紙・パルプ工場の蒸
解ガマ等のカルシウム系スケール付着防止に用いられ
る。
1,2,4−トリカルボン酸(以下、PBTC)、1−
ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(以下H
EDP)又はアミノトリメチレンホスホン酸(以下、A
MP)を用い、成分(b)として上記の表1に示す水溶
性アクリル酸又はマレイン酸系共重合体を用い、成分
(c)としてクエン酸又はクエン酸ナトリウムを用いて
下記の表3の実施例に示す配合割合で純水に溶解して、
この発明の実施例である固形分30%の水溶液剤を調整
した。また、比較例として、表3の比較例に示す各成分
を各配合割合で純水に溶解して、比較例の水溶液剤を調
整した。各供試水に上記製剤品を所定量添加し、内管を
伝熱面とした二重管試験による炭酸カルシウムスケール
の防止効果を評価した。この結果を比較例と表3に示
す。なお、表中、mcmはスケール付着速度(mg/c
m2・month)を意味する。用いた供試水の水質を
表2に示す。
カルボン酸 HEDP:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホス
ホン酸 AMP:アミノトリメチレンホスホン酸
よって優れたスケール抑制効果が発現されていることが
判る。とくに、クエン酸に代えて他のオキシカルボン酸
を用いた比較例14〜16の効果が不充分であることか
ら、クエン酸を用いることによるこの発明の効果は選択
的かつ格別の効果と認められる。
1と同様な試験条件及び下記水質を用い、但しCa硬度
を100,200,300,400,500及び600
ppmに変化させてスケール付着試験を行った。
ランク、○はHEDPのみ添加(30ppm)、☆はP
BTC(30ppm)、△はこの発明のスケール防止剤
(30ppm)についてのデータである。
は、Ca硬度が200ppmを超える時点からスケール
防止効果が不充分となり、300ppmを超える領域で
はスケール防止効果が半減していることが判る。これに
対し、この発明のスケール防止剤によれば、300pp
mを超える高硬度水中においても優れたカルシウム系ス
ケール防止効果も発現し続けていることが判る。
熱面での系中での加熱ヒータ式循環装置によるスケール
付着試験を行った。
このように、伝熱量が大きな水系中においても、この発
明のスケール防止剤による優れたカルシウムスケール防
止効果が得られていることが判る。
カルボン酸 HEDP:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホス
ホン酸 AMP:アミノトリメチレンホスホン酸
ル付着試験を行った。
伝熱量におけるスケール付着速度を測定した。 試験水流速 0.5m/s 試験期間 120hr
ブランク、○はHEDP単独、☆はPBTC単独、△は
表6の実施例No.14のスケール防止剤を示すもので
ある。このように、伝熱量が20万Kcal/m2・h
rを高伝熱面積の系では、HEDPやPBTCによるス
ケール防止効果が不充分となるが、この発明のスケール
防止剤によれば、このような苛酷な系中においても優れ
たカルシウム系スケール防止効果が安定に発現されてい
ることが判る。
によれば、高Ca硬度あるいは高伝熱量の苛酷な水系中
におけるカルシウムスケールの発生を防止することがで
きる。従って、この発明のカルシウム系スケール防止剤
によれば、種々の水系中におけるカルシウムスケールに
よる障害を簡便に防止することができる。
種Ca硬度におけるスケール防止効果を、比較例に対比
して示すグラフ図である。
種伝熱量におけるスケール防止効果を、比較例に対比し
て示すグラフ図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 (a)スケール抑制作用を有する有機ホ
スホン酸又はその塩と、(b)カルボキシル基を有する
ビニルモノマー又はこれと他の極性基を有するビニルモ
ノマーとからなる2種以上のモノマー単位で構成される
二元以上の水溶性アクリル酸系もしくはマレイン酸系共
重合体と、(c)クエン酸又はその塩、とからなるカル
シウム系スケール防止剤。 - 【請求項2】 成分(a),(b)及び(c)の配合割
合(重量比として)が成分(a)を1として成分(b)
が0.4〜20であり、成分(a)と(b)との合計量
を1として成分(c)が0.3〜3.0である請求項1記
載のスケール防止剤。 - 【請求項3】 成分(a),(b)及び(c)の配合割
合(重量比として)が成分(a)を1として成分(b)
が1.0〜10であり、成分(a)と(b)との合計量
を1として成分(c)が0.3〜3.0である請求項1記
載のスケール防止剤。 - 【請求項4】 成分(a),(b)及び(c)の配合割
合(重量比として)が成分(a)を1として成分(b)
が1.0〜3.0であり、成分(a)と成分(b)との合
計量を1として成分(c)が0.5〜2.0である請求項
1記載のスケール防止剤。 - 【請求項5】 スケール抑制作用を有する有機ホスホン
酸が、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン
酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
又はアミノトリメチレンホスホン酸である請求項1のス
ケール防止剤。 - 【請求項6】 成分(b)の共重合体の平均分子量が約
500〜100,000であり、共重合体のカルボキシ
ル基含有単位が少なくとも30モル%以上である請求項
1〜5のいずれかに記載のスケール防止剤。 - 【請求項7】 成分(b)の共重合体がアクリル酸−ス
ルホエチルアクリレート、アクリル酸−メタリルスルホ
ン酸、アクリル酸−2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸、アクリル酸−ポリエチレングリコー
ルモノアリルエーテル、アクリル酸−メタクリル酸、マ
レイン酸−スチレンスルホン酸、アクリル酸−アクリル
酸2−ヒドロキシエチルまたはメタクリル酸−N−メチ
ロールアクリルアミドである請求項1〜6のいずれかに
記載のスケール防止剤。 - 【請求項8】 カルシウム硬度300ppm以上の水系
に用いられる請求項1〜7いずれかに記載のスケール防
止剤。 - 【請求項9】 伝熱量30万Kcal/m2・hr以上
の伝熱面を有する冷却水系に用いられる請求項1〜8い
ずれかに記載のスケール防止剤。
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