JP3192261B2 - 皮膚刺激緩和方法 - Google Patents

皮膚刺激緩和方法

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JP3192261B2
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章裕 黒田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、界面活性剤等による皮
膚刺激を緩和する皮膚刺激緩和方法を提供することを目
的とする。さらに詳しくは、パーフルオロアルキル基お
よびポリオキシアルキレン基を側鎖として持つシリコー
を配合することを特徴とする皮膚刺激緩和方法を提供
することを目的とする。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
シリコーン主鎖に対しポリオキシアルキレン基を側鎖に
持つポリエーテル変性シリコーン(別名:シリコーン
コポリオール)が、界面活性剤等の刺激を抑制すること
が報告されている(ドラッグ アンド コスメティック
インダストリー、(Drug and Cosmet
ic Industry)、6月号、第34頁、198
4年を参照)。
【0003】報告によれば、ポリエーテル変性シリコー
ンは、ラウリル硫酸ナトリウム(以下SLSと略す
る)、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウム等の刺激
性の強い界面活性剤による皮膚刺激を抑制し、さらにシ
ャンプーが眼に入ったときの刺激も抑制することが記載
されている。
【0004】本発明人等も、本報告に記載の実験の再実
験を行い、実験の再現が行い得たことから、ポリエーテ
ル変性シリコーンが皮膚刺激を緩和する効果があること
を確認した。
【0005】しかしながら、実験を行うにあたり、刺激
抑制の基準として用いたSLSと、ポリエーテル変性シ
リコーンそれぞれ単独の皮膚刺激の程度を調べたとこ
ろ、ポリエーテル変性シリコーンはSLS程強い刺激で
はないが、問題となりうるレベルの皮膚刺激を示した。
【0006】すなわち、皮膚一次刺激と皮膚累積刺激を
見ると、皮膚一次刺激は「軽度」であったが、皮膚累積
刺激は「刺激あり」の結果が得られた。
【0007】そこで本発明人らは、ポリエーテル変性シ
リコーンと同等の皮膚刺激緩和効果を有し、さらに安全
性の高い皮膚刺激緩和剤の開発を目指して研究を行った
ところ、パーフルオロアルキル基およびポリオキシアル
キレン基を側鎖として持つシリコーンからなるノニオン
型界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーンと同等以
上の皮膚刺激緩和効果を有し、さらに皮膚刺激もほとん
ど示さないことを見いだした。
【0008】すなわち、本発明は、皮膚刺激性物質の皮
膚刺激を緩和する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、皮膚刺激性物
質を含有する系に、化2の構造を有する皮膚刺激緩和剤
を配合することを特徴とする皮膚刺激緩和方法に関す
る。
【0010】
【化2】
【0011】(但し、m、nは平均値であり、m=1〜
100、n=1〜100であり、Rfは炭素数1〜8の
パーフルオロアルキル基であり、Rは(CH2 CH
2 O)a (CH2 CH(CH3 )O)b 2 で示される
ポリオキシアルキレン基であり、a=0〜100であ
り、b=0〜100であり、a+bは1以上であり、R
2 はHまたは炭素数1〜5の炭化水素基を示す。)
【0012】以下に本発明の構成を詳説する。本発明の
皮膚刺激緩和剤は、前記化2に示す構造を有しており、
パーフルオロアルキル基の結合したユニットとポリオキ
シアルキレン基の結合したユニットは、任意の組み合わ
せで結合している。
【0013】本発明の皮膚刺激緩和剤の合成方法は、パ
ーフルオロアルキル基の結合したユニットとポリオキシ
アルキレン基の結合したユニットをトリメチルシリル基
の存在下に触媒を用いて重合する方法や、メチルハイド
ロジェンポリシロキサンに末端二重結合を持ったパーフ
ルオロアルキル基及びポリオキシアルキレン基を、触媒
の存在下に付加する方法等が挙げられる。
【0014】触媒としては、塩化白金酸、白金黒、パラ
ジウム黒、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アミン、ホ
スフィン等が挙げられるが、塩化白金酸が最も好まし
い。
【0015】合成時の溶媒としては、n−ヘキサン、シ
クロヘキサン、イソプロピルアルコール(以下IPAと
略する)、四塩化炭素等が用いられる。
【0016】本発明の皮膚刺激緩和剤を化粧料に使用す
る場合、処方系に溶解している必要がある。分散しただ
けの場合や、分離している場合では、皮膚上に皮膚刺激
緩和剤の膜が形成しにくいため、SLS等の刺激を緩和
する効果が十分には発揮できない。
【0017】本発明の刺激緩和剤の溶解性は、パーフル
オロアルキル基の結合したユニットとポリオキシアルキ
レン基の結合したユニットの重合比と、パーフルオロア
ルキル鎖長、そしてポリオキシアルキレン鎖の長さによ
って決定される。パーフルオロアルキル鎖の量がポリオ
キシアルキレン鎖の量に比べて多すぎた場合、フッ素の
持つ撥水撥油性の性質が強く発揮され、刺激緩和剤が
水、油と分離してしまう問題がある。また、逆の場合で
は、フッ素の特性が発揮できず、従来知られているポリ
エーテル変性シリコーンとの差がなくなり、皮膚刺激が
強くなる問題がある。
【0018】従って、パーフルオロアルキル基の結合し
たユニットの数は、全ユニット数のうち、10〜60%
であることが好ましく、さらに好ましくは20〜50%
である。
【0019】本発明の皮膚刺激緩和剤の刺激緩和作用の
試験方法は、刺激の強いことが知られているSLSを基
準とし、SLSの刺激が皮膚刺激緩和剤の使用により、
どの程度抑制されたかを調べた。
【0020】本発明の皮膚刺激緩和剤の使用量は、他の
刺激性物質の刺激の強さによって変化するが、製品10
0重量部に対して、0.01〜10重量部であることが
好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。
【0021】本発明の皮膚刺激緩和剤は、化粧料、医薬
品等に使用することができる。
【0022】特に、化粧料に用いた場合では、シャンプ
ー、リンス、コンディショナー、ヘアートリートメント
等の頭髪化粧料、乳液、ローション、クリーム、クレン
ジング等の基礎化粧料、ファンデーション、ネイルカラ
ー等のメイクアップ化粧料、入浴剤、ボディシャンプ
ー、石鹸等に使用することができる。
【0023】本発明の皮膚刺激緩和剤を化粧料に用いた
場合には、通常化粧料に用いられる粉体類、油剤、界面
活性剤、香料、防腐剤、殺菌剤、溶剤、水等を同時に配
合することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を詳
細に説明する。また、安全性試験(皮膚一次刺激試験、
皮膚累積刺激試験)および皮膚刺激抑制試験の方法を以
下に示す。
【0025】(1)皮膚一次刺激試験 家兎3羽を用い、24時間閉塞貼付した。除去1時間
後、紅斑・浮腫・痂皮について肉眼観察し、軽度、中等
度、強度の3段階で評価した。
【0026】(2)皮膚累積刺激試験 家兎3羽を用い、1日1回、合計5回開放塗布した。毎
回、紅斑・浮腫・痂皮について肉眼観察し、反応が生じ
なかった場合「刺激なし」、反応が生じた場合「刺激あ
り」と評価した。
【0027】(3)皮膚刺激抑制試験 家兎(1群3羽)を用いて行った。刺激物質であるSL
Sと試料を混和し(SLS濃度は1、3、5重量%に設
定)、1日2回、2日間、計4回開放塗布した。評価は
使用動物3匹の合計刺激スコアにて行った。ブランクに
対して刺激抑制効果が認められた場合を○、若干の効果
が認められる場合を△、効果が認められなかった場合を
×で示した。
【0028】実施例1 シクロヘキサン中に溶解させた、化3に示す構造を持つ
メチルハイドロジェンポリシロキサン(KF−99P、
信越化学工業製、平均重合度(c)=40)10重量部
に、CH2 =CHCF3 の構造で示されるフッ素化合物
11.5重量部、及びCH2 =CHCH2 O(C2 4
O)5-15Hの構造で示されるポリオキシエチレン化合物
54重量部を投入し、水浴を用いた加熱還流下に塩化白
金酸(0.02重量部)IPA溶液を添加し、5時間反
応を行った。反応物を水洗し、活性炭にて処理して製品
を得た。
【0029】
【化3】
【0030】実施例2 シクロヘキサン中に溶解させた、前記化3のメチルハイ
ドロジェンポリシロキサン(但し、c=5)10重量部
に、CH2 =CHCF3 の構造で示されるフッ素化合物
5.5重量部、及びCH2 =CHCH2 O(C2
4 O)5-15Hの構造で示されるポリオキシエチレン化合
物84重量部を投入し、水浴を用いた加熱還流下に塩化
白金酸(0.02重量部)IPA溶液を添加し、5時間
反応を行った。反応物を水洗し、吸着剤にて処理して製
品を得た。
【0031】実施例3 四塩化炭素中に溶解させた、前記化3のメチルハイドロ
ジェンポリシロキサン(但し、c=100)5重量部
に、CH2 =CHC8 17の構造で示されるフッ素化合
物10重量部、CH2 =CHCF3 の構造で示されるフ
ッ素化合物5重量部、及びCH2 =CHCH2 O(C2
4 O)10-30 (C3 6 O)10-30 Bu(Bu:ブチ
ル基)の構造で示されるポリオキシエチレン化合物6重
量部を投入し、水浴を用いた加熱還流下に塩化白金酸
0.02重量部を添加し、6時間反応を行った。反応物
を酸性水で水洗し、活性炭にて処理して製品を得た。
【0032】なお、実施例1〜3の化合物の確認は、I
Rスペクトルにより、ジメチルポリシロキサン、ポリエ
ーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーンのチャー
トと比較し、1100cm-1付近の吸収からシロキサン
鎖を、1210、1280cm-1付近の吸収からフルオ
ロアルキル鎖を検出し、3500cm-1付近のアルコー
ルの吸収よりポリエーテル鎖を検出して行った。
【0033】比較例1 化4に示す構造を持ったポリエーテル変性シリコーン
(信越化学工業製)。
【0034】
【化4】
【0035】(但し、d=20〜40、e=1〜5、R
=C3 6 O(C2 4 O)10-30 (C3 6 O)
10-30 Bu(Bu:ブチル基)である)
【0036】比較例2 前記化4のポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業
製)。(但し、d=50〜70、e=1〜5、R=C3
6 O(C2 4 O)5-15CH3 である)
【0037】比較例3 ジメチルポリシロキサン(KF−96、30cs、信越
化学工業製)。
【0038】比較例4 トリメチルシロキシケイ酸液(KF−7312J、信越
化学工業製)。
【0039】実施例1〜3で作製した試料及び比較例の
試料の安全性試験結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】比較例に用いたポリエーテル変性シリコー
ンは、刺激性が認められるが、実施例の試料では刺激が
認められなかった。表1の結果より、実施例の試料は従
来の皮膚刺激緩和剤と比べて皮膚刺激が少ないことが判
る。
【0042】実施例1〜3で作製した試料及び比較例を
用いて皮膚刺激緩和試験を実施した。結果を表2に示
す。
【0043】
【表2】
【0044】実施例1〜3は比較例1、2と同様に皮膚
刺激緩和効果に富むことが判る。また、試験系内で均一
に溶解せず、分離していた比較例3、4は皮膚刺激緩和
効果に劣ることが判る。
【0045】
【発明の効果】以上のことから、本発明は、皮膚刺激性
物質の皮膚刺激を緩和する効果に優れた皮膚刺激緩和方
を提供することは明かである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B01F 17/54 B01F 17/54 C08G 77/38 C08G 77/38 77/46 77/46 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50 A61K 47/00 - 47/48 A61K 9/00 - 9/72 CA(STN) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮膚刺激性物質を含有する系に、化1の
    構造を有する皮膚刺激緩和剤を配合することを特徴とす
    る皮膚刺激緩和方法。 【化1】 (但し、m、nは平均値であり、m=1〜100、n=
    1〜100であり、Rfは炭素数1〜8のパーフルオロ
    アルキル基であり、Rは(CH2 CH2 O)a (CH2
    CH(CH3 )O)b2 で示されるポリオキシアルキ
    レン基であり、a=0〜100であり、b=0〜100
    であり、a+bは1以上であり、R2 はHまたは炭素数
    1〜5の炭化水素基を示す。)
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