JP3190306B2 - 新規ピロリジン誘導体とその光学活性異性体および製造法 - Google Patents
新規ピロリジン誘導体とその光学活性異性体および製造法Info
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Description
導体およびその光学活性異性体に関し、これらは医農薬
を製造するための中間体として有用であって、またキラ
ル化合物の合成に使用される不斉補助基あるいはキラル
リガンド化合物の合成原料として有用であり、且つ、生
物学的活性を有する点でも有用である新規なピロリジン
誘導体である。さらに本発明は、それらのピロリジン誘
導体の製造法に関するものである。
ールは、胃酸分泌抑制作用を有するフェノキシプロピル
アミン誘導体(特開昭62−246551号公報)、β−ラクタ
ム系抗生物質(ヨーロッパ特許第472062号公報)、心臓
血管薬であるジヒドロピリジン系化合物(ヨーロッパ特
許第266922号公報)等の合成に有用な中間体として使用
されている。また、3−アリル−5−アルキルピロリジノ
ールは中枢神経系に作用することが知られている〔J. M
ed. Chem., 7, 60−67頁, 1964〕。さらに、3ー(1ーアミ
ノ)−アルキルピロリジン誘導体は医薬の合成の中間体
として知られている(特開平6−72999号公報)。
である(S)−2−メトキシメチルピロリジンあるいは(2S,
4R)−2−メトキシメチル−4−ピロリジンは光学活性な2
−ヒドロキシ−2−メチル−シクロヘキサノンの合成に
関して不斉補助基として使用されている(Chem. Lett.,
2055−2058頁, 1984)。また光学活性なプロリンエチ
ルエステルから誘導したピロリジンビスフォスフィンが
ケトペンタラクトンの不斉水素化のためのキラルリガン
ド化合物として使用されている(Chem. Lett.,2061−20
64頁、1986)。
リンゴ酸を還元して得られる1,2,4−ブタントリオール
に塩化メタンスルホニルを反応させて2−ヒドロキシ−
1,4−ビス(メタンスルホニルオキシ)ブタンを生成した
後、これにアンモニアを反応させて閉環する方法(特開
昭60−104061号公報)、リンゴ酸にベンジルアミンを反
応させた後、その反応生成物を水素化リチウムアルミニ
ウムで還元してN−ベンジル−3−ピロリジノールを生成
し、次いで脱ベンジル化する方法〔Synthetic Commun.,
15, 587頁, 1985〕、また4−アミノ−1−ハロ−2−ブ
タノールから合成する方法(特開平1−180859号公報)
等が知られている。
しては、化学的に合成したラセミ体の3−ピロリジノー
ルをリパーゼにより不斉アセチル化することによって光
学活性体を製造する方法(特開平5−227991号公報)
や、ラセミ体の3−ピロリジノールのクラスレート化合
物の調製およびその結晶化によって光学活性体を得る方
法(特開平6−73000号公報)などが知られている。ま
た、光学活性な2−置換−ピロリジンあるいは2,4−ジ置
換ピロリジンの合成法としては光学活性なプロリンある
いは4−ヒドロキシプロリンを出発原料として合成する
ことが知られている(Chem. Lett., 2061−2064頁, 198
6)。
ロキシ置換されたピロリジン類、あるいは光学活性なピ
ロリジン誘導体は各種の農医薬の合成に用いる中間体と
して、またキラル化合物の合成に使用される不斉補助基
あるいはキラルリガンド化合物の合成原料として有用で
あり、またそれ自体も各種の生物学的活性を有すること
が知られている。
医農薬の合成に用いる中間体として有用であり、あるい
はキラル化合物の合成に使用される不斉補助基またはキ
ラルリガンド化合物の合成原料として有用である、また
はそれ自体が有用な生物学的活性を有する点で有用であ
る新規なピロリジン誘導体を提供することにある。
イシン、カスガマイシン酸またはカスガノビオサミンを
鉱酸または強酸性陽イオン交換樹脂で酸性条件で加水分
解する研究を行ったところ、その加水分解の反応生成物
として、次式(I−a) で表される2−(1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4
−オンが生成されたことを認めた。この式(I−a)の化合
物は、それの立体構造について当初は解明しなかったけ
れども、その後の研究によると、次式(I−a−1) で表される立体構造の(2S)−2−((1R)−1−ヒドロキシ
エチル)−ピロリジン−4−オンであることが認められ
た。なお、前記の加水分解反応によりD−キロ−イノシ
トールも生成される。
4−オンは新規な化合物であり、各種の農医薬の合成用
中間体として有用であるかあるいはキラル化合物の合成
に使用される不斉補助基またはキラルリガンド化合物の
合成原料として有用であり、また抗菌作用を示さないけ
れども、その他の有用な生物学的活性、例えば抗ウイル
ス活性を有することが期待されている。
剤で還元したところ、次式(I−b) で表される構造の2−(1−ヒドロキシエチル)−ピロリジ
ン−4−オールが新規化合物として生成されることが認
められた。この式(I−b)の化合物は、農医薬の合成用中
間体として有用であるかあるいはキラル化合物合成の不
斉補助基またはキラルリガンド化合物の合成原料として
有用であり、また有用な生物学的活性を有すると期待さ
れる。
体化学を解明するために式(I−b)の化合物をシリカゲル
クロマトグラフィーによるラセミ分割にかけたところ、
2種の光学活性異性体を単離することに成功した。これ
ら2種の光学活性異性体は、次式(I−b−2) で表される(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールと、次式(I−b−3) で表される(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールとであることが認められた。
ロリジン−4−オンであるピロリジン誘導体またはその
酸付加塩が提供される。
ジン誘導体も、また後記される第2の本発明による一般
式(I−b−1)のピロリジン誘導体も、それらの酸付加塩
の形にすることができる。そのような酸付加塩としては
塩酸塩、硫酸塩のような鉱酸塩、p−トルエンスルホン
酸塩、酢酸塩のような有機酸塩をあげることができる。
ジン誘導体は、不斉炭素原子に基づく光学活性異性体で
ある。
性ピロリジン誘導体は、立体構造の表記を省略すると、
次式(I−a) で表される2−(1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4
−オンと書くことができる。式(I−a)の化合物を還元
剤で還元すると次式(I−b) で表される2−(1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4
−オールが生成される。
ロリジン−4−オールは、それの立体配置を含めた構造
式で表現すると、次の一般式(I−b−1) (式中、R1は水素原子でR2は水酸基であるか、またはR1
は水酸基でR2は水素原子である)で表される(2S,4S)−ま
たは(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロ
リジン−4−オールであると表記される。従って、第2
の本発明においては、次の一般式(I−b−1) (式中、R 1 は水素原子でR 2 は水酸基であるか 、 またはR 1
は水酸基でR 2 は水素原子である)で表される(2S,4S)−
または(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピ
ロリジン−4−オールであるピロリジン誘導体またはそ
の酸付加塩が提供される。
ル)−ピロリジン−4−オールをシリカゲルクロマトグラ
フィーにより光学分割することによって、次式(I−b−
2) で表される(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールと、次式(I−b−3) で表される(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールとをそれぞれに単離して収得
することができる。
ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−オンは下記の物理
化学的性質を有する。 (1) 外 観:緑褐色粉末 (2) 分子式:C16H11NO2 (3) 分子量:129 (4) 比旋光度:−56゜(c 1.0, H2O, 23℃) (5) 赤外部吸収スペクトル(KBr):添付図面の図1に示
す (6) 1H−NMRスペクトル :添付図面の図2に示
す (7) 13C−NMRスペクトル :添付図面の図3に示
す (8) 溶解性:水、メタノール、ジメチルスルホオキシド
に可溶である。アセトンに不溶である。
41 吸着剤:メルク社製キーゼルゲル60F254 展開溶媒:ブタノール−酢酸−水(2:1:1) (10) 呈色反応:ニンヒドリン反応に陽性である。
ル)−ピロリジン−4−オール(ラセミ体)は下記の物理
化学的性質を有する。 (1) 外 観:白色粉末 (2) 分子式:C6H13NO2 (3) 分子量:131 (4) 比旋光度:−29゜(c 1.0, H2O, 23℃) (5) 赤外部吸収スペクトル(KBr):添付図面の図4に示
す (6) 溶解性:水、メタノール、ジメチルスルホオキシド
に可溶である。アセトンに不溶である。
38 吸着剤:メルク社製キーゼルゲル60F254 展開溶媒:クロロホルム−メタノール−28%アンモニア
水(2:1:1)、下層 (8) 呈色反応:ニンヒドリン反応に陽性である。
−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−
オールは下記の物理化学的性質を有する。 (1) 外 観:白色粉末 (2) 分子式:C6H13NO2 (3) 分子量:131 (4) 比旋光度:−40゜(c 1.0, 1M−NaOH, 23℃) (5) 赤外部吸収スペクトル(KBr):添付図面の図5に示
す (6) 1H−NMRスペクトル :添付図面の図6に示
す (7) 13C−NMRスペクトル :添付図面の図7に示
す (8) 溶解性:水、メタノール、ジメチルスルホオキシド
に可溶である。アセトンに不溶である。
68 吸着剤:メルク社製キーゼルゲル60F254 展開溶媒:クロロホルム−メタノール−28%アンモニア
水(20:15:8) (10) 呈色反応:ニンヒドリン反応に陽性である。
S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン
−4−オールは下記の物理化学的性質を有する。 (1) 外 観:無色飴状 (2) 分子式:C6H13NO2 (3) 分子量:131 (4) 比旋光度:−6゜(c 1.0, 1M−NaOH, 23℃) (5) 赤外部吸収スペクトル(KBr):添付図面の図8に示
す (6) 1H−NMRスペクトル :添付図面の図9に示
す (7) 13C−NMRスペクトル :添付図面の図10に示
す (8) 溶解性:水、メタノール、ジメチルスルホオキシド
に可溶である。アセトンに不溶である。
58 吸着剤:メルク社製キーゼルゲル60F254 展開溶媒:クロロホルム−メタノール−28%アンモニア
水(20:15:8) (10) 呈色反応:ニンヒドリン反応に陽性である。
たは水素原子を示す)で表されるカスガマイシン、カス
ガマイシン酸またはカスガノビオサミンを、鉱酸または
強酸性陽イオン交換樹脂を用いる酸加水分解処理にか
け、得られた加水分解生成物として次式(I−a−1) の(2S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン
−4−オンを採取することを特徴とする、式(I−a−1)の
(2S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−
4−オンの製造法が提供される。
−a−1) の(2S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン
−4−オンまたはこれの塩を還元剤で還元することによ
り式(I−a−1)の化合物のオキソ基をヒドロキシル基に
転化することを特徴とする、次式(I−b−2) で表される(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールと、次式(I−b−3) で表される(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールとの混合物(ラセミ体)の製
造法が提供される。
式(I−b−2) で表される(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールと、次式(I−b−3) で表される(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールとの混合物(ラセミ体)を、
クロマトグラフィーにかけて式(I−b−2)の光学活性異
性体と式(I−b−3)の光学活性異性体とをそれぞれラセ
ミ分割して単離することを特徴とする、(2S,4S)−2−
((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−オール
および(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピ
ロリジン−4−オールの製造法が提供される。
(2S)−2−(1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−オ
ンの製造法について説明する。
ば、原料物質としてカスガマイシン[前記の式(A)でRが
基HOOC-C(=NH)-である物質]またはカスガマイシン酸[式
(A)でRが基HOOC-C(=O)-である物質]またはカスガノビオ
サミン[式(A)でRが水素原子である物質]を用い、これを
1〜40%の濃度で水に溶解する。得られた水溶液に適当な
鉱酸、例えば濃塩酸または硫酸を加えて加温下に、例え
ば80℃以上の温度で強酸性条件下に加水分解反応を行
う。用いた原料化合物の加水分解が起り、式(I−a−1)
の化合物を生成し、またD−キロ−イノシトールも副生
成物として生成する。
又は炭酸ナトリウム、等のアルカリで中和した後に濃縮
乾固すると、式(I−a−1)の化合物を含む粗製固体が得
られる。しかし、この粗製固体は、所望の式(I−a−1)
の化合物を含むのみならず、副生されたD−キロ−イノ
シトール及びその他の各種の副生物を含む。更に、これ
ら副生成物から式(I−a−1)の化合物を分離するために
精製工程、例えばシリカゲルカラムによるクロマトグラ
フィーを用いる等の煩雑な精製工程を要する。このよう
に精製工程を要する点で第1の実施法は多少とも煩雑で
ある。
(A)の原料物質の水溶液にバッチ式で強酸性陽イオン交
換樹脂を加えるか、または該水溶液を強酸性陽イオン交
換樹脂のカラムに連続に通して所要の加水分解反応を、
高めた温度で行うことからなる方法を行う。この第2の
実施法によれば、温和な反応条件下で効率的に原料物質
の加水分解を遂行することが可能であり、また塩基性の
副生成物および中性のD−キロ−イノシトールと目的の
式(I−a−1)のピロリジン誘導体との分離が樹脂カラム
内で簡便に且つ効率的に行いうる。従って、この第2の
実施法では、強酸性陽イオン交換樹脂を用いた加水分解
処理によって、式(I−a−1)で示したピロリジン誘導体
を収率良く製造できる。
2の実施法の場合、使用される樹脂は、式(A)の原料物質
が加水分解されて式(I−a−1)のピロリジン化合物が形
成される樹脂であれば何でも良い。好ましくはスルホン
酸残基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、例えばダイヤ
イオン(登録商標) SK116、ダイヤイオン(登録商標) PK2
28、アンバーライト(登録商標)200C、アンバーライト
(登録商標)201B、デュオライト(登録商標) C−20、デ
ュオライト(登録商標) C−264、デュオライト(登録商
標)XE−636等が使用できる。反応容器はバッチ式に操
作できる槽型またはカラム形状の容器を用いる。
カスガマイシン酸あるいはカスガノビオサミン水溶液を
上記樹脂と混合させ、その混合物を該樹脂の存在下に常
圧または加圧下に加熱すると、上記カスガマイシンある
いはその誘導体が加水分解し、式(I−a−1)のピロリジ
ン誘導体が生成する。バッチ式の場合には、反応中に反
応混合物を攪拌しても良く、また静置状態においてもよ
い。この時に原料物質として使用されるカスガマイシン
あるいはその誘導体の水溶液の濃度は0.1〜30重量%で
あることができ、好ましくは10〜25重量%である。使用
される陽イオン交換樹脂の量はカスガマイシンあるいは
その誘導体に対し少なくてもイオン交換容量の1倍以上
使用するのがよい。反応温度は常圧下に50℃〜100℃、
好ましくは90℃〜98℃であり、反応時間は6時間〜60時
間、好ましくは10時間〜48時間である。また、反応は水
の沸騰を抑止するに足る加圧下で、100℃以上の温度で
行うことができる。
た目的物質を適当な濃度の塩酸で溶出させ、さらに式(I
−a−1)の化合物を含む溶出液を適当な後処理、精製工
程にかけることにより、目的物質として式(I−a−1)の
ピロリジン誘導体を得る。なお、カスガマイシンを原料
として用いて式(I−a−1)の化合物を製造する場合の第
2の本発明による方法は、PCT出願国際公開W09504711号
公報に記載されるカスガマイシンからD−キロ−イノシ
トールを製造する方法に準じて実施できる。
原料物質である式(I−a−1)の(2S)−2−((1R)−ヒドロ
キシエチル)−ピロリジン−4−オンに対して、適当な有
機溶媒、例えばメタノールを加えて、これに原料物質を
溶解する。その溶液に適当な還元剤を加えて還元して式
(I−b)で表されるピロリジン−4−オール誘導体のラセ
ミ混合物を生成できる。この際使用される還元剤は、原
料物質の4位オキソ基をヒドロキシル基に還元できるも
のなら何でも良い。例えば水素化ホウ素ナトリウム、水
素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウム等が
好ましい。この際に使用される溶媒は原料あるいは反応
生成物が溶解する溶媒が使用され、好ましい溶媒とし
て、水あるいはメタノール、エタノール等の低級アルコ
ールが使用される。反応温度は0℃〜室温で行い、原料
物質の消失または反応生成物量の適当なところを反応の
終了点の目安として取る。その後に、適当な後処理、精
製工程を経ることにより、目的物として式(I−b)の2−
(1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−オール(ラセ
ミ体)、詳しくは式(I−b−2)の(2S,4S)−2−((1R)−
1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−オールと式(I
−b−3)の(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールとのラセミ混合物が得られ
る。
グラフィーを実施するには、式(I−b−2)および式(I−b
−3)で表わされるピロリジン誘導体の混合物をラセミ分
割できるクロマトグラフィー用の担体および溶出溶媒が
用いられる。例えば担体としては、シリカゲル、アルミ
ナ、イオン交換樹脂等が好ましい。溶出溶媒としては、
使用担体に適する極性溶剤、非極性溶剤を選び、それら
を単独あるいは適当な比率で混合して使用できる。クロ
マトグラフィーは常法で行うことができる。シリカゲル
を担体としてクロマトグラフィーをする場合、クロロホ
ルム−メタノール−28%アンモニア水(2:1:1)の混合液の
下層を展開溶媒として用いられるのが好ましい。
体的に説明するが、これは単なる一例であって、これに
よって本発明が限定されるものではない。また、ここに
例示しなかった多くの変法あるいは修飾手段を用いるこ
とは可能であり、有効な手段となりうる。
−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−オンの製造 カスガマイシン塩酸塩の結晶(15.5g、純度97.1%)を50
0ml容量のナス型フラスコに秤り取り、100mlの脱イオン
水を加えて溶解し、カスガマイシン塩酸塩の水溶液を得
た。この水溶液に強酸性陽イオン交換樹脂、ダイヤイオ
ン(登録商標)SK116(H+)100mlを加え、混合した。この混
合物をマグネットスターラーで攪拌しながら常圧下で95
℃で12時間加熱することによってカスガマイシンの加水
分解を行った。得られた反応混合物を室温まで冷却した
後、カラムに反応混合物の全体を挿入して反応混合物中
の樹脂をカラムに充填し、さらに脱イオン水で該樹脂を
洗浄することにより反応副生成物のD−キロ−イノシト
ールを除去した。
リジン−4−オン誘導体を1規定塩酸400mlで溶出した。
このピロリドン−4−オン誘導体は酸性(pH3以下)で安
定であるが、微酸性からアルカリ領域にかけ極めて不安
定であるので、塩酸溶出液をそのまま減圧下50mlまで濃
縮した。濃縮中に生じた結晶性の白色物質を濾過により
除去した。不純物の除去後、塩酸を除去する目的で更に
減圧下で濃縮し、55gの薄茶色のシロップ状物質を得
た。更に不純物を除くため、0.1規定の塩酸50mlにこの
粗抽出物を溶かし、予め0.1規定塩酸で平衡化した活性
炭カラム(500ml)に通し0.1規定塩酸で展開した。展開液
は20mlづつ分画した。各画分を薄層クロマトグラフィー
(吸着剤:メルク社製キーゼルゲル60F254、展開溶媒:ブ
タノール−酢酸−水=2:1:1)でモニターしRf値0.4付近に
ニンヒドリン陽性スポットを示す画分を分わせ、減圧下
に濃縮乾固した。その結果、緑褐色粉末としてほぼ純粋
な目的の(2S)−2−((1R)−ヒドロキシエチル)−ピロリ
ジン−4−オンの塩酸塩3.3g(収率57.5%)を得た。
エチル)−ピロリジン−4−オール(ラセミ体)の製造 実施例1で得られたピロリジン−4−オン誘導体、すな
わち式(I−a−1)の化合物を100ml容のナスフラスコに入
れ、50mlのメタノールに溶解した。その溶液を氷冷しな
がら攪拌し水素化ホウ素ナトリウムを適当量徐々に加え
て還元反応を行った。式(I−a−1)の原料物質は、濾紙
にその水溶液またはメタノール溶液を適当量スポット
し、アンモニアガスをあてると、濾紙上で緑褐色に色が
変化するが、生成した式(I−b)のピロリジン−4−オー
ル化合物は同様な処理で色が変化しない性質を有してい
るので、これを利用して反応の進行状況をモニターし
た。濾紙上の色の変化が無くなったところで水素化ホウ
素ナトリウムの添加をやめ反応液を減圧下で濃縮し赤色
シロップ5.3gを得た。
ム−メタノール−28%アンモニア水(2:1:1)の混合液の
下層で平衡化したシリカゲルカラム(200ml)のクロマト
グラフィーにかけ、クロロホルム−メタノール−28%ア
ンモニア水(2:1:1)の混合液の下層で展開した。この
時、展開液を20gづつ分画した。画分12番から画分18番
までを合わせ、減圧下で濃縮し、2.5gの赤色シロップを
得た。
溶解し活性炭カラム(100ml)にかけて、400mlの脱イオン
水でカラムを洗浄後、0.05規定塩酸で溶出した。この時
溶出液を20gづつ分画した。画分8番から溶出液が酸性に
なる1本手前の画分26番までを合わせ濃縮乾固した。こ
の濃縮物を10mlの脱イオン水に溶解し凍結乾燥を行う
と、1.8gの2−(1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4
−オール(ラセミ体)の塩酸塩を白色粉末(収率34.4%)
として得た。
シエチル)−ピロリジン−4−オール白色粉末は、比旋光
度−29°(c 1.0, 水, 23℃)を示し、また添付図面の図4
に示される赤外部吸収スペクトル(KBr錠)を有する物質
であった。
R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−オールお
よび式(I−b−3)の(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシ
エチル)−ピロリジン−4−オールの製造 実施例1に従って得られた2−(1−ヒドロキシエチル)−
ピロリジン−4−オンの4.0gを100ml容のナスフラスコに
入れ、50mlのメタノールに溶解した。その溶液を氷冷し
ながら攪拌し水素化ホウ素ナトリウムを適当量徐々に加
えて還元反応を行った。原料物質は、濾紙にその水溶液
またはメタノール溶液を適当量スポットし、アンモニア
ガスをあてると、濾紙上で緑褐色に色が変化するが、生
成したピロリジン−4−オール化合物は同様な処理で色
が変化しない性質を有しているので、これを利用して反
応の進行状況を実施例2と同様にモニターした。濾紙上
の色の変化が無くなったところで水素化ホウ素ナトリウ
ムの添加をやめ反応液を減圧下で濃縮し、式(I−b−2)
および式(I−b−3)の化合物の赤色飴状のラセミ混合物
2.88gを得た。
メタノール−28%アンモニア水(2:1:1)の混合液の下層
で平衡化したシリカゲルカラム(150ml)のクロマトグラ
フィーにかけ、クロロホルム−メタノール−28%アンモ
ニア水(2:1:1)の混合液の下層で展開した。この時、展
開液を19gづつ分画した。
下で濃縮し、乾固させると、式(I−b−2)の化合物すな
わち(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロ
リジン−4−オールの白色粉末を0.83g得た。また画分26
番から画分40番までを合わせ減圧下で濃縮させると、式
(I−b−3)の化合物すなわち(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒ
ドロキシエチル)−ピロリジン−4−オールの無色飴状の
物質を0.25g得た。この時、式(I−b−2)および式(I−b
−3)の化合物の合計収率は、式(I−a)の化合物に基づい
て33.9%であった。
リジン−4−オンの臭化カリウム錠剤中での赤外部吸収
スペクトル図である。
リジン−4−オンのDMSO−d6中で測定した1H−NMRス
ペクトル図である。
リジン−4−オンのDMSO−d6中で測定した13C−NMRスペ
クトル図である。
オール(ラセミ体)の臭化カリウム錠剤中での赤外部吸
収スペクトル図である。
ピロリジン−4−オールの臭化カリウム錠剤中での赤外
部吸収スペクトル図である。
ピロリジン−4−オールのCD3OD中で測定した1H−NMRス
ペクトル図である。
ピロリジン−4−オールのCD3OD中で測定した13C−NMRス
ペクトル図である。
ピロリジン−4−オールの臭化カリウム錠剤中での赤外
吸収スペクトル図である。
ピロリジン−4−オールのCD3OD中で測定した1H−NMRス
ペクトル図である。
−ピロリジン−4−オールのCD3ODで測定した13C−NMRス
ペクトル図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 次式(I−a−1) で表される(2S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピ
ロリジン−4−オンであるピロリジン誘導体またはその
酸付加塩。 - 【請求項2】 次の一般式(I−b−1) (式中、R1は水素原子でR2は水酸基であるか、またはR1
は水酸基でR2は水素原子である)で表される(2S,4S)−
または(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピ
ロリジン−4−オールであるピロリジン誘導体またはそ
の酸付加塩。 - 【請求項3】 次式(I−b−2) で表わされる(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチ
ル)−ピロリジン−4−オール、または次式(I−b−3) で表される(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールである請求項2に記載の誘導
体。 - 【請求項4】 次式(A) (式中、Rは基HOOC−C(=NH)−、基HOOC−C(=O)−ま
たは水素原子を示す)で表されるカスガマイシン、カス
ガマイシン酸またはカスガノビオサミンを、鉱酸または
強酸性陽イオン交換樹脂を用いる酸加水分解処理にか
け、得られた加水分解生成物として次式(I−a−1) の(2S)−2−((4R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン
−4−オンを採取することを特徴とする、請求項1に記
載の式(I−a−1)の(2S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチ
ル)−ピロリジン−4−オンの製造法。 - 【請求項5】 次式(I−a−1) の(2S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン
−4−オンまたはこれの塩を還元剤で還元することによ
り式(I−a−1)の化合物のオキソ基をヒドロキシル基に
転化することを特徴とする、次式(I−b−2) で表される(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールと、次式(I−b−3) で表される(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールとの混合物(ラセミ体)の製
造法。 - 【請求項6】 次式(I−b−2) で表される(2S,4S)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル)
−ピロリジン−4−オールと、次式(I−b−3) で表される(2S,4R)−2−((1R)−1−ヒドロキシエチル−
ピロリジン−4−オンとの混合物(ラセミ体)を、クロ
マトグラフィーにかけて式(I−b−2)の光学活性異性体
と式(I−b−3)の光学活性異性体とをそれぞれラセミ分
割して単離することを特徴とする、(2S,4S)−((1R−1−
ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−オールおよび(2S,
4R)−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−ピロリジン−4−
オールの製造法。
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JP3892498A JP3190306B2 (ja) | 1997-02-21 | 1998-02-20 | 新規ピロリジン誘導体とその光学活性異性体および製造法 |
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JP3773597 | 1997-02-21 | ||
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JPH10291974A JPH10291974A (ja) | 1998-11-04 |
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---|---|---|---|---|
WO2019181937A1 (ja) | 2018-03-22 | 2019-09-26 | 京セラ株式会社 | 光照射装置および印刷装置 |
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-
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