JP3190183B2 - サイリスタバルブ - Google Patents

サイリスタバルブ

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JP3190183B2
JP3190183B2 JP20908393A JP20908393A JP3190183B2 JP 3190183 B2 JP3190183 B2 JP 3190183B2 JP 20908393 A JP20908393 A JP 20908393A JP 20908393 A JP20908393 A JP 20908393A JP 3190183 B2 JP3190183 B2 JP 3190183B2
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充彦 小山
茂 田辺
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、複数のサイリスタモジ
ュールが懸架されたサイリスタバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来のサイリスタバルブを示す
平面図、図5(a)は、図4の前面図、図5(b)は、
図5(a)の右側面図である。図4及び図5において、
サイリスタバルブが設置された建物の設置面に固定され
た床板11Dの上面には、図5(a)の前面図において6
本、図5(b)の右側面図において4本、総計24本の支
柱15が立設されている。これらの支柱15の上端には、床
板11Dと比べて板厚の薄い床板11Cが載置され、各支柱
15の上端に接合されている。
【0003】床板11Cの上面には、この床板11Cと同外
形の床板11Bが載置され、この床板11Bの上面には、各
支柱15と同一位置に、支柱15と比べて約4倍以上長い支
柱12が立設されている。これらの支柱12は、ガラス繊維
強化プラスチック(以下、GFRPと記す)で円筒状に
形成されている。
【0004】各支柱12の上端には、床板11Cが支柱15の
上端と同様に載置され、各支柱12に接合されている。床
板11Cの上面にも床板11Bが載置され、この床板11Bの
上面にも支柱12が立設され、これらの支柱12の上端に
は、床板11Aが載置され各支柱12の上端に接合されてい
る。
【0005】各支柱12の中間部には、詳細省略したステ
ージ12aが上下に設けられ、図4に示すように、4本の
支柱12の間に設けられた各サイリスタモジュール13は、
各支柱12に設けられたステージ12aに両側が固定されて
いる。したがって、図4及び図5においては、合計24個
のサイリスタモジュール13が取り付けられ、上下に位置
するサイリスタモジュール13は、図示しない導体で直列
に接続されている。
【0006】図4において、前後に位置する一対の支柱
12の間には、リアクトル14が取り付けられ、各サイリス
タモジュール13の左右に位置するリアクトルは、各サイ
リスタモジュール13の両端と図示しない導体で直列に接
続されている。
【0007】このように構成されたサイリスタバルブに
おいては、設置床から上方にサイリスタモジュール13が
4段に重ねられているが、例えば、DC250kV の直流送
電用のサイリスタバルブのなかには、図4及び図5の2
倍の8段、すなわち、支柱12と上下の床板11C,11Bで
構成するユニットが4段となるときもある。その結果こ
のサイリスタバルブでは、地上から最上部の床板11Aま
での高さは、約12mに達する。なお、サイリスタモジュ
ール13の重量は、約200kg で、したがって、8段のサイ
リスタバルブでは、1.6tonとなる。一方、直流送電電圧
は、DC500kVの実用化が進められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この結果、サイリスタ
モジュールの直列接続個数が増えるので、サイリスタバ
ルブの高さも高くなる。すると、このサイリスタバルブ
が設置された建物の高さも高くしなければならないだけ
でなく、下段に位置する支柱にかかる荷重も増えるの
で、耐震性を考慮して支柱の直径も増やさなければなら
ない。
【0009】そのため、支柱の中間部の外周にひだを突
設して上下のサイリスタモジュール間の耐電圧値を上
げ、支柱の高さを減らす方法も考えられるが、すると、
円筒状の支柱の周において絶縁沿面距離が相対的に不
足して、支柱の内面で閃絡するおそれもある。そこで、
本発明の目的は、支柱の高さを増やすことなく、機械的
強度と耐電圧特性を上げることのできるサイリスタバル
ブを得ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、立設された複数の絶縁管の複数段のステージの間に
サイリスタモジュールが懸架されたサイリスタバルブに
おいて、前記絶縁管はねじ棒への樹脂含浸繊維の巻装に
よって形成されるひだを内周と外周に有し、前記絶縁管
の上下端とステージの内側に節板を螺合接合したことを
特徴とする。
【0011】また、請求項2に記載の発明は、前記絶縁
管の内部の前記節板の上部に絶縁液体を封入したことを
特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、前記節板
の上部に仕切板を設け、この仕切板の間前記絶縁液体
を封入したことを特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1に記載の発明においては、絶縁管は、
この絶縁管の内周と外周に形成された螺旋状のひだと内
周のひだに挿着された節板によって、機械的強度と耐電
圧特性が強化される。
【0013】また、請求項2に記載の発明においては、
絶縁管は、この絶縁管の内部に挿着された節板によっ
て、機械的強度と耐電圧特性が強化されるとともに、
板の上部に封入された絶縁液体によって耐震性が向上す
【0014】さらに、請求項3に記載の発明において
は、絶縁管は、この絶縁管の内部に挿着された節板によ
って、機械的強度と耐電圧特性が強化されるとともに、
節板の上部に封入された絶縁液体とこの絶縁液体の間に
設けられた仕切板によって、耐震性が向上する。
【0015】
【実施例】以下、本発明のサイリスタバルブの一実施例
を図面を参照して説明する。図1(a)は、請求項1に
記載の発明のサイリスタバルブを構成する支柱部分を示
す平面図、図1(b)は、図1(a)の縦断面図であ
る。
【0016】図1(a),(b)において、GFRP製
の支柱管1Aの内周には、螺旋状のひだ1aが形成され
ている。このひだ1aは、フィラメントワインディング
又はシートワインディングと称する方法で支柱管1Aを
製作することによって形成される。すなわち、外周に螺
旋状の溝が形成された丸棒に、樹脂を含浸したガラステ
ープやシートを巻き付け、硬化させた後に丸棒を引き抜
く。
【0017】この製法で製作された支柱管1Aは、ひだ
1aの表面が樹脂で滑らかとなり、切削加工でひだ1a
が形成されたものに比べて湿潤するおそれがないだけで
なく、沿面距離を延ばすことができるので、沿面耐電圧
特性を上げることができる。
【0018】このようにして内周に螺旋状のひだ1aが
形成された支柱管1Aの内部には、外周に螺旋状のひだ
が形成された円板2が挿入され、この円板2の外周にあ
らかじめ塗布されたエポキシ樹脂によって支柱管1Aに
気密に接合されている。したがって、支柱管1Aの内部
は、複数の気密室に区画されている。なお、この円板2
の接合位置は、図5(a),(b)で示したステージ12
aの固定部となる位置に設けられている。さらに、支柱
管1Aの上下端にも円板2がエポキシ樹脂で気密に接合
されている。なお、円板2には、この円板2の支柱管1
Aへの螺合を治具で挿入するための一対の座ぐり穴2a
が図1(a)に示すようにあらかじめ形成されている。
なお、図1()の上下端部に示す補強筒3について
は、後述する他の実施例で説明する。
【0019】発明者らは、このようにして製作した支柱
について機械的,電気的評価試験を実施した。機械的強
度評価としては、曲げ強度とねじり強度を評価した。供
試品の支柱は、全長3m、外径20cm、内径17cmである。
【0020】ここで、図5に示すサイリスタバルブにお
いて、地震による 0.3Gの正弦波の水平外力が作用した
とすると、構造計算より、サイリスタバルブの下段の支
柱には、10kNの水平力(P)が作用する。また、ねじり
モーメント(T)は20kJとなり、さらに、軸力(W)と
しては、サイリスタバルブの自重を支柱の本数で割ると
20kNとなる。このとき、相当曲げ及びねじりモーメンの
考えより、最大垂直応力σmax は 88MPa、最大せん断応
力τmax は 48MPaである。
【0021】発明者らは、図5で示した従来の支柱の片
持ち梁の曲げ試験を実施したところ、端部負荷荷重
(P)が32kNで固定端にて破壊した。このときの曲げ破
壊応力は225MPaである。
【0022】次に、支柱管の内面に円板2を挿入した支
柱の曲げ試験を実施した。支柱管の内面には、ピッチ
2.5mm、ねじ底での内径が 170mmのひだを螺旋状に形成
し、このひだに円板2(板圧25mm)を均等に2箇所螺合
挿入しエポキシ樹脂で固定した。そのため、支柱管は等
しい長さを有する三つの部屋に分割されている。この支
柱に対し片持ち梁の曲げ試験を実施したところ、端部負
荷荷重Pは51kNで固定端で破壊した。曲げ破壊応力は従
来の支柱に比べて約 1.6倍の410MPaであった。
【0023】次に、曲げとねじりの混合試験を実施し
た。支柱の先端に1m長さの鋼棒を支柱と直交方向に固
定し、その鋼棒の先端に負荷を加えて徐々に増したとこ
ろ、従来の支柱では14kNで破壊した。これは、最大せん
断応力τmax が 60MPaに相当する。一方、図1(a)で
示した支柱では、19kNで破壊したので、この供試品の支
柱では約36%の強化となった。
【0024】次に、耐電圧特性試験を実施した。直流に
対する耐電圧試験を高湿度状態で実施した。供試品の支
柱は、全長66cm、外径8.2cm 、内径7cmである。また、
支柱の内面のひだは、ピッチ1.5mm で、円板の厚さ15mm
で、支柱管の両端にそれぞれ気密に接合されている。相
対湿度は92%で、支柱管の外周には、シリコーンゴムの
ひだを形成することによって充分な沿面絶縁距離を確保
した。
【0025】従来の支柱では、 160kVで内部において沿
面絶縁破壊したが、本発明の支柱では、 330kVで外部で
先に沿面絶縁破壊した。これは、円板で支柱管の内部を
気密に区画した効果である。この実験により、サイリス
タバルブの支柱として、円板を内部に気密に設けること
で、機器的強度と耐電圧値が向上することが明らかとな
った。
【0026】なお、上記評価試験は、図1(a)におい
て示した補強筒3のないときであるが、図5で示した床
板11A,11B,11C,11Dとの接合部となる上下端に、
GFRP材で製作した補強筒3をエポキシ樹脂で接合す
ることによって機械的強度を更に上げることもできる。
【0027】次に、図1(c),(d)は、請求項1の
発明のサイリスタバルブを構成する支柱を示す図で、図
1(a),(b)に対応する図である。図1(c),
(d)において、図1(a),(b)と異なるところ
は、中間部に設けられた一対の円板4には、上方に突き
出た凸部4aが形成され、この凸部4aの軸心には貫通
穴4bが形成されている。
【0028】この場合には、円板4が設けられた支柱管
の外周に取り付けられた図示しないステージを介して伝
達されるサイリスタモジュールの熱の上下方向への放散
が容易となるので、サイリスタモジュールの冷却効果を
上げることができる利点がある。なお、凸部4aは複数
設けることで、支柱管の内部の対流を促進するとともに
治具による挿入を容易にしてもよい。また、図1
(c),(d)においても、図1(a),(b)に示し
た補強筒3を追加してもよい。
【0029】さらに、上記実施例では、支柱管1Aの内
周には、螺旋状のひだ1aを形成した例で説明したが、
図2(b)で示すように、支柱管1Bの内周に長手方向
に角部が面取りされた溝1bを成形時に形成し、図2
(a)に示すような凸部2bが形成された円板2Bをエ
ポキシ樹脂で気密に挿着してもよい。また、溝1bと凸
部2bの形状は、台形にしてもよく、弧状にしてもよ
い。この場合、溝1bは反対側にも対称的に設け、凸部
2bも対称的に形成してもよい。また、支柱管の内周を
テーパ状にして、芯金の引き抜きを容易にするととも
に、大径側から円板を挿着してもよい。なお、凸部2b
は、円板2Bが挿着される位置によって対応する寸法に
製作される。
【0030】次に、図2(c),(d)は、請求項
び請求項に記載の発明のサイリスタバルブを構成する
支柱を示す図で、それぞれ図1(a),(b)に対応す
る図である。
【0031】図2(c),(d)においては、上側の円
板2の上面に仕切板5を等間隔に平面図において放射状
に固定し、上端の円板2とこの円板2の下側の円板2の
間にフロリナート6を約80%程度注入する。なお、仕切
板5には、複数の貫通穴が蜂の巣状に形成されている。
また、仕切板5の上端は、フロリナート6の液面から約
2cm下方の位置となっている。
【0032】このように構成された支柱においては、地
震によって支柱に対して加わる横方向の振動に対し、流
体であるフロリナート6のスロッシング効果によって振
動を減衰させることができるので、耐震強度を上げるこ
とができる。なお、フロリナート6の代りに、絶縁油や
超純水を注入してもよい。
【0033】発明者らは、このようにして製作した支柱
管について、機械的及び電気的評価試験を実施した。ス
ロッシング効果の液体としてはフロリナート6の代りに
絶縁油を入れ、図4,図5に示すように床板や、サイリ
スタモジュールを組み込んで加振試験を実施した。この
結果、共振時での加速度応答倍率は、振幅が小さいとき
でも10前後と小さく、スロッシング機能を持たせてない
従来の支柱管で構成したサイリスタバルブの応答倍率の
24よりかなり小さくなっている。なお、供試品として用
いた支柱管の諸元は、全長3m、外径20cm、内径17cmで
ある。
【0034】図3(a),(b)は、請求項及び請求
に記載の発明のサイリスタバルブを構成する支柱の
他の実施例を示す図である。図3(a),(b)におい
ては、図2(c),(d)で示した仕切板5の代りに、
筒部7aとこの筒部7aの内部に水平に設けられた円板
部7b1,7b2でなる仕切り7が上側の円板2に載置
され、この仕切り7が収納された内部にも、図2
(c),(d)と同様に絶縁液体を80%程度注入してい
る。
【0035】図3(c),(d)は、請求項及び請求
に記載の発明のサイリスタバルブを構成する支柱の
異なる他の実施例を示す図である。図3(c),(d)
においては、図3(a),(b)で示した仕切り7の代
りに、両側から櫛形に縦設された複数の仕切板8aでな
る仕切り8が上側の円板2に載置され、この仕切り8が
収納された内部にも、図3(a),(b)と同様に絶縁
液体を80%程度注入している。
【0036】
【発明の効果】以上、発明によれば、絶縁管の高さを
増やすことなく、機械的強度と耐電圧特性を上げること
のできるサイリスタバルブを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、請求項1に記載の発明の
サイリスタバルブの一実施例を示す図で、(a)は平面
図、(b)は縦断面図。(c)及び(d)は、請求項1
及び請求項2に記載の発明のサイリスタバルブの他の実
施例を示す図で、(c)は平面図、(d)は縦断面図。
【図2】(a)及び(b)は、請求項1に記載の発明の
サイリスタバルブの異なる実施例を示す図で、(a)は
平面図、(b)は縦断面図。(c)及び(d)は、請求
及び請求項に記載の発明のサイリスタバルブの一
実施例を示す図で、(c)は平面図、(d)は縦断面
図。
【図3】(a)及び(b)は、請求項及び請求項
記載の発明のサイリスタバルブの他の実施例を示す図
で、(a)は平面図、(b)は縦断面図。(c)及び
(d)は、請求項及び請求項に記載の発明のサイリ
スタバルブの異なる他の実施例を示す図で、(c)は横
平面図、(d)は縦断面図。
【図4】従来のサイリスタバルブの一例を示す平面図。
【図5】(a)は、従来のサイリスタバルブの一例を示
す前面図、(b)は、(a)の右側面図。
【符号の説明】
1A,1B…支柱管、1a…ひだ、2,4…円板、3…
補強筒、5…仕切板、6…フロリナート、7,8…仕切
り。
フロントページの続き (72)発明者 松本 寿彰 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (56)参考文献 特開 昭60−174066(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 立設された複数の絶縁管の複数段のステ
    ージの間にサイリスタモジュールが懸架されたサイリス
    タバルブにおいて、前記絶縁管はねじ棒への樹脂含浸繊
    維の巻装によって形成されるひだを内周と外周に有し、
    前記絶縁管の上下端とステージの内側に節板を螺合接合
    したことを特徴とするサイリスタバルブ。
  2. 【請求項2】 前記絶縁管の内部の前記節板の上部に絶
    縁液体を封入したことを特徴とする請求項1記載のサイ
    リスタバルブ。
  3. 【請求項3】 前記節板の上部に仕切板を設け、この仕
    切板の間に前記絶縁液体を封入したことを特徴とする請
    求項2記載のサイリスタバルブ。
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