JP3187877B2 - 放電反応装置 - Google Patents

放電反応装置

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  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、放電反応装置に関す
るものである。さらに詳しくは、この発明は、反応収量
やエネルギー効率が高く、たとえば化学および医薬品工
業、電子工業等において有用な新しいオゾン発生装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、化学および医薬品
工業、電子工業等の諸分野において用いられているオゾ
ンのように、これを発生させる各種の構造の放電反応装
置が使用されてきている。これらの従来の放電反応装置
は、無声放電もしくは沿面放電のいずれかの方式によっ
て放電反応を生成させるようにしている。しかしなが
ら、いずれの放電方式においても、反応収量やエネルギ
ー効率(収率)は低く、生成物を多量に必要とする場合
にはコスト面において大きな障害があった。
【0003】このため、生成収量等の増大のための検討
が進められてきており、これまでにも様々な工夫、改良
がなされてきている。しかし、現状においては、従来の
課題を解消するための抜本的な方法はいまだ実現されて
いないのが実情である。より具体的には、これまでに提
案されている放電反応装置には以下のような問題があっ
た。
【0004】 従来の放電反応装置のうち、沿面放電
型では冷却効果を有効に利用できるという特徴がある
が、放電がセラミック表面に限られるので、大きな放電
空間は得られない。 無声放電型装置では、大きな放電空間が得られる特
徴があるが、冷却効果は有効ではない。
【0005】 いずれの放電方式においても、交流電
圧によって放電を発生させると、交流の半サイクル毎
に、放電休止期間が存在する。したがって、放電中に発
生した励起分子は、この放電休止期間に安定状態の分子
に戻り、放電反応に励起分子は有効に寄与しない。この
ことは、両放電を単独に利用する方法では改善できな
い。
【0006】 また、放電休止区間が存在すること
は、続いて起こる放電の初期電子の供給を遮断すること
にもなり、放電の立ち上がりが安定に行なわれない。 この発明は、以上の通りの従来装置の欠点を解消するた
めになされたものであり、簡便な構造で、反応収量とそ
のエネルギー効率が大きい新しいオゾン発生装置を提供
することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、沿面放電電極と無声放電電極と
を同一空間内に配置し、この空間に反応ガスの流路を設
けるとともに、沿面放電電極への印加電圧と無声放電電
極への印加電圧の位相差90°または270°を最適
値として沿面放電と無声放電を間断なく交互に発生させ
る制御機構を備えてることを特徴とする放電反応装置
を提供する。
【0008】
【実施例】以下、添付した図面に沿ってこの発明の放電
反応装置をオゾン発生装置を例として説明する。まず、
図1は、電極構成を平面状に配置した実施例を示したも
のである。たとえばこの断面図に示したように、この発
明のオゾン発生装置は、放電ギャップに無声放電を発生
させるために、絶縁体または誘電体、たとえばセラミッ
クの表面上に設けた金属膜電極(1)と、この電極を配
置した平面状の絶縁体または誘電体、たとえばセラミッ
ク層(2)とを有し、このセラミック層(2)に囲まれ
た酸素含有ガスの流通路となるギャップ(3)を形成し
ている。このギャップ(3)中で、アークを生じさせる
ことなく無声放電を発生させる。
【0009】無声放電のための対向電極としては、放電
を発生させるための電極と間隙を設けて配置した沿面放
電電極(4)を使用する。この沿面放電電極(4)は、
セラミック層(5)に支持させ、かつ、そのセラミック
層(5)の外表面には、沿面放電を発生させるための金
属膜の誘電電極(6)を備える。たとえばこのような構
造において、金属膜電極(1)と沿面放電電極(4)と
の間に、放電制御機構を構成する電源(7)により交流
高電圧を供給し、ギャップ(3)中に無声放電を発生さ
せる。また、沿面放電電極(4)と誘電電極(6)との
間に電源(8)により高電圧を印加することによって、
沿面放電を電極(4)のギャップ中に発生させる。そし
てギャップ(3)中に酸素を含むガスを流通させて、無
声放電と沿面放電との両放電によってオゾンを生成させ
る。
【0010】この際に、この発明においては、電源
(7)と電源(8)より供給印加する交流電圧の位相差
を適宜に、たとえば90°に設定し、また、電圧の大き
さを適宜とすることにより、無声放電と沿面放電とを間
断なく交互に継続して発生させる。この場合の適当な大
きさの電圧とは、たとえば交流電圧のうち、1/4 サイク
ルが放電区間となるような電圧である。
【0011】図2は、この発明の円筒状電極配置の実施
例を示したものである。この例においては、沿面放電の
ための誘導電極(6)を、円筒状セラミック層(2)
(5)の中心軸に位置するように配置している。また、
図3はさらに沿面放電を外側で発生する電極配置とした
例を示したものである。電極の配置は図2とは逆になっ
ている。
【0012】たとえば前記の図2に示したこの発明のオ
ゾン発生装置を用いて放電させた場合の電圧印加の際の
位相とオゾン収率比を示したものが図4であり、オゾン
濃度と収率を、無声放電単独の場合と比較して示したも
のが図5である。この場合の電流は次の通りとしてい
る。 無声放電電流 0.075 mA 沿面放電電流 0.32mA いずれにおいても、無声放電または沿面放電単独の場合
に対して、オゾン収率が大きく改善される。
【0013】なお、オゾン発生機の性能は、図5では放
電電力当り生成オゾン重量で表わし、g/KWh、すな
わちオゾン収率で評価し、無声放電または沿面放電単独
の場合のオゾン収率に対し、この発明におけるように、
両放電オゾンを生成させた場合の収率の割合は、図4に
示したように収率比δで評価している。図4において
は、オゾン収率比δ=1では両放電の相乗効果を示さな
いが、δ>1では相乗効果によってオゾン収率が増加し
たことを示す。一方、δ<1では生成されたオゾンが、
放電によって分解されていることを示している。このこ
とからみて、両放電の位相差が90°または270°で
極大値を示すことと、位相差が0または180°では、
オゾン収率が低下しオゾンが分解されていることを示し
ている。位相差90°および270°で相乗効果を示す
のは、励起酸素分子を経由して生成されるオゾンの生成
によるもので、また、位相差0および180°でオゾン
収率比が減少するのは、放電が全く同時刻に重量される
位相となり。局部的な温度上昇と局部的高オゾン濃度の
存在により、オゾンが分解することによる。
【0014】もちろん、この発明は以上の例に限定され
ることはない。様々な構造、形状が可能であることは言
うまでもない。また反応ガスも各種のものが利用でき、
膜生成、表面処理、ガス分解等の各種反応が実施され
る。
【0015】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、無声放電また
は沿面放電を単独で動作させた場合より、この発明によ
り両者の印加電圧の位相差90°または270°等とし
て放電させることにより、放電反応のエネルギー効率、
すなわち反応収率を著しく増大させることができる。特
に今迄、オゾン収率の大幅な向上がなされなかったこと
が、オゾン利用の普及、または大規模利用の障壁となっ
ていたが、この発明によってこれらの利用を促す実質的
な高効率オゾナイザも実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
【図2】
【図3】各々、この発明の装置例を示した断面図であ
る。
【図4】電圧位相差とオゾン収率比との相関図である。
【図5】オゾン濃度とオゾン収率との相関図である。
【符号の説明】
1 金属膜電極 2 セラミック層 3 ギャップ 4 沿面放電電極(共通接地電極) 5 セラミック層 6 誘電電極 7 無声放電用電源 8 沿面放電用電源

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沿面放電電極と無声放電電極とを同一空
    間内に配置し、この空間に反応ガスの流路を設けるとと
    もに、沿面放電電極への印加電圧と無声放電電極への
    加電圧の位相差90°または270°を最適値とし
    沿面放電と無声放電を間断なく交互に発生させる制御機
    構を備えてることを特徴とする放電反応装置。
  2. 【請求項2】 円筒状空間をガス流路とし、この空間の
    周面に電極配置してる請求項1の放電反応装置。
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