JP3186947U - 延焼防止構造物および延焼防止建造物 - Google Patents

延焼防止構造物および延焼防止建造物 Download PDF

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Abstract

【課題】大震災により家屋が倒壊するようなことがあっても住宅密集地における周辺住宅等への延焼を防止することのできる延焼防止構造物を提供する。
【解決手段】住宅密集地における火災発生時において、周辺住宅等への延焼を防止するための延焼防止構造物10であって、織布に難燃剤を含浸させた不燃シート20と、不燃シートを吊り上げ固定するための案内レールを備えた保持部材40と、不燃シートを保持部材に備えた案内レールに沿って吊り上げるための吊り上げ手段と、保持部材を地面に安定して設置するためのコンクリートからなる土台60を有する。
【選択図】図1

Description

本考案は、住宅密集地における火災発生時において、周辺住宅等への延焼を防止するための延焼防止構造物に関する。さらに言えば、巨大地震により家屋が倒壊するようなことがあっても、住宅密集地における周辺住宅等への延焼を防止することのできる延焼防止構造物に関する。
住宅密集地においては、火災が発生することにより、周辺の住宅に延焼して火災被害が拡大してしまう事例が多く発生している。周辺の住宅は、延焼による被害のみならず、煙のススによる被害や消火活動の際の放水による被害、そして延焼を食い止めるため住宅の一部を破壊されるといった被害、さらに救助活動に伴う家屋損壊等の被害も合わせて受けることになる。
最近では、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震等の大地震が発生する可能性についても頻繁に注意喚起がなされている。特に都市部では、老朽化した木造住宅が密集している地域も多く、このような地域では、地震発生時に延焼による大規模火災が発生してしまう可能性が極めて高く早急な対応が望まれている。
地震発生時に大規模火災の発生を防止するためにも、老朽化した木造住宅は、倒壊し難く、かつ、燃え難いという特徴を有する防災能力の高い住宅への建て替えが急務であるとされているものの、建て替えには多大なコストを要するため、自治体の財政難という現状や個々の経済的な観点からも住民の理解を得るのが難航するケースが予想される。そのため低コストで、かつ、効果的な方法により、地震発生時における延焼による大規模火災を防止できる対策をする必要がある。
最近では、特許文献1及び特許文献2の如く、窓の上部(特許文献1)又は屋根の端部(特許文献2)から耐火性を有するシートを地面に向かって吊り下げ、耐火シートで窓や家屋の一部を覆うことにより、火災が発生した際、密集する住宅街における延焼を防止する防火装置(又は延焼防止体)も考えられている。
特開平10−099464号公報 特開2001−340478号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に係る防火装置(又は延焼防止体)では、巨大地震により家屋が倒壊してしまった場合には延焼を防止することができない。地震により家屋そのものが倒壊してしまえば、そもそも窓の上部(特許文献1)又は屋根の端部(特許文献2)から耐火性を有するシートを地面に向かって吊り下げることはできないからである。
即ち、特許文献1及び特許文献2に係る方法では、そう遠くはない近未来に想定される首都直下型地震や南海トラフ巨大地震等のように、家屋が倒壊してしまうような巨大地震が発生した場合、老朽化した木造住宅が密集している地域においては、地震発生時に延焼による大規模火災を防止することが極めて困難であると考えられる。
本考案の目的は、住宅密集地における火災発生時において、周辺住宅等への延焼を防止することができ、さらに、巨大地震により家屋が倒壊するようなことがあっても、住宅密集地における周辺住宅等への延焼を防止することのできる延焼防止構造物および延焼防止建造物を提供することにある。
請求項1に記載した考案は、住宅密集地における火災発生時において、周辺住宅等への延焼を防止するための延焼防止構造物であって、織布に難燃剤を含浸させた不燃シートと、前記不燃シートを吊り上げるための案内レールを備えた保持部材と、前記不燃シートを前記保持部材に備えた前記案内レールに沿って吊り上げるための吊り上げ手段と、前記保持部材を安定して設置するためのコンクリートからなる土台を有することを特徴とするものである。
請求項2に記載した考案は、不燃シートは、ガラスクロス、シリカクロス、ポリエステル、アクリル樹脂の中の少なくとも1つ以上からなる織布からなる構成材料に難燃剤を含浸させた不燃シートであることを特徴とするものである。
請求項3に記載した考案は、請求項1又は請求項2に記載された延焼防止構造物を住宅の3面に設置したことを特徴とする延焼防止建造物である。
本願請求項1に係る延焼防止構造物は、住宅とは別個独立して、保持部材を地面に安定して設置するためのコンクリートからなる土台の上に設置している。そして、保持部材には案内レールが設置されており、この案内レールに沿って織布に難燃剤を含浸させた不燃シートが、不燃シートを吊り上げるための吊り上げ手段により吊り上げられている。このため、巨大地震により家屋が倒壊したとしても、住宅とは別個独立した保持部材及び不燃シートを備えた延焼防止構造体は、あたかも防波堤の如く、家屋の倒壊の影響を最小限に食い止めつつ、1軒の住宅から発生した火災が回りの住宅に延焼するのを防止することができる。
本願請求項2に係る延焼防止構造物において不燃シートは、ガラスクロス、シリカクロス、ポリエステル、アクリル樹脂の中の少なくとも1つ以上からなる織布からなる構成材料に難燃剤を含浸させた不燃シートであることより、延焼防止構造物を住宅の周囲に設置すれば、1軒の住宅から発生した火災が周辺の住宅に延焼するのを防止することができる。
本願請求項3に係る延焼防止建造物は、延焼防止構造物を住宅の3面に設置したことにより、即ち、1面をオープンにしたことにより、延焼を防止しつつ、消火活動に支障を来さないようにすることができる。さらに、不燃シートで囲まれた部分に放水が当たった場合、放水した水が不燃シートにあたって跳ね返り、燃えている住宅に到達することで、消火活動で使用する水を無駄にすること無く、迅速な消火に寄与することができる。
延焼防止構造物(使用時)の正面図である。 延焼防止構造物(使用前)の正面図及び側面図である。 本考案に係る延焼防止構造物の使用状態を表す斜視図である。 本考案に係る延焼防止構造物の設置位置を表す平面図である。
<延焼防止構造物の構造>
以下、本考案に係る延焼防止構造物10について、図1〜図4を参照しつつ詳細に説明する。図1は、使用時の延焼防止構造物の使用時の正面図である。延焼防止構造物10の基本的な構造は、地中に埋め込まれた土台60に、案内レール30を備えた保持部材40を垂直方向に2か所設置し、それぞれの案内レール30を備えた保持部材40に不燃シート20を取り付け、吊り上げたものである。
図2は、延焼防止構造物(使用前)の正面図及び側面図である。延焼防止構造物10は、火災が発生していない使用前の状態において、図2に示すように不燃シート20は地面付近に折り畳んだ状態になっており、住人が閉塞感を感じないようになっている。そして、火災発生時には、吊り上げ手段(図示しない)により、図1の如く、不燃シート20を案内レール30に沿って保持部材40の上端まで吊り上げ、火災が周辺の住宅に延焼するのを防止する。
本考案における構造のポイントは、低コストでありつつも、巨大地震により発生する火災に対応できる実用的な延焼防止構造物10であるという特徴を有することである。その特徴を有するため、延焼防止構造物10は住宅とは別個独立に設置されており、たとえ巨大地震により家屋が倒壊したとしても、延焼防止構造物10は倒壊することは無く、延焼防止構造物10としての機能を発揮できる。さらに言えば、土台60は、保持部材40とともにコンクリートを流し込むことにより設置しているので、巨大地震が来たとしても、地面に対して垂直に設置された不燃シートを保持するための保持部材40が倒壊することはない。
<延焼防止構造物の使用方法>
図3は、本考案に係る延焼防止構造物10の使用状態を示した斜視図である。延焼防止建造物1は、図3のように、実際に火災が発生した時の消防車による消火活動等を考慮して家屋の3面を延焼防止構造物10で囲うように設置されている。さらに、延焼防止構造物10と延焼防止構造物10との間には、あえて空間を残すことにより、住人の避難通路を確保するとともに、消防隊員の救助活動の妨げにならないような工夫がなされている。
図4は、本考案に係る延焼防止構造物10の設置位置を表す平面図である。延焼防止構造物10は、住宅密集地において、1軒の住宅から発生した火災が周辺の住宅に延焼することを防ぐために用いられるが、住宅密集地において、隣接した住宅で発生した火災からの延焼を受けないようにするために使用することもできる。即ち、隣の家から発生した火災が自宅に延焼しないよう防御するために使用することもできる。
隣人宅からの延焼被害については、隣人に重過失がない限り、原則として隣人の責任を問うことができないことになっているため(失火の責任に関する法律)、隣人宅からの延焼については、自己防御する必要があり、かかる場合にも本考案に係る延焼防止構造物10は有用である。
<延焼防止構造物の効果>
本考案のポイントは、巨大地震に対応できる延焼防止構造物10であるという特徴を有することである。そのために延焼防止構造物10は住宅とは別個独立に設置されており、家屋が倒壊したとしても、延焼防止構造物10としての機能を発揮できる。さらに地中には保持部材40の一端側を、コンクリートを流し込んで埋め込むことにより土台60を設置しているので、たとえ巨大地震が来たとしても、地面に垂直に設置した保持部材40が倒壊することがない。
このため、地震が発生した後、それに伴い火災が発生したとしても、住人は消防署に火災発生を通報し、さらに避難するための十分な余裕を持って、延焼防止構造物10の吊り上げ手段(図示しない)を作動させて、地面付近に折り畳まれた状態にある不燃シート20を、案内レール30を備えた保持部材40に沿って、自動あるいは手動で垂直方向に吊り上げ固定することにより、火災発生による延焼防止対策を講ずることができる。
さらに、吊り上げ手段(図示しない)により、不燃シート20を保持部材40の上端まで吊り上げ固定することで、火災によって全焼又は半焼の被害にあった我が家が、他人の目にあからさまになることも無くなりプライバシーの保護にも貢献することができる。
<延焼防止構造物の変更例>
本発明に係る延焼防止構造物および延焼防止建造物の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、不燃シート20、案内レール30、保持部材40、土台60等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
例えば、経済的な観点から、土台60を地中に埋め込まず、コンクリートブロックにして地上に設置することもできる。また、不燃シート20に間隔を置いて棒状補強材を設置し、案内レール30に複数のガイド穴を設け、棒状補強材の両端をガイド穴に嵌めて止めることにより、家屋倒壊によっても、不燃シート20が保持部材40から引き剥がされないように補強することもできる。さらに保持部材40については、使用時以外は、例えばラジオ等のアンテナのような機構で収納されていて、使用時には引き延ばして使用するという機構を採用することもできる。
また安全性の観点から、地震発生時の揺れを感知するセンサー、火災発生時の熱や煙を感知するセンサーを設置し、地震による揺れを感知し、火災発生時の熱や煙を感知した際、自動の吊り上げ手段に受信装置を設置し、センサーから送信された信号を受信することにより、吊り上げ手段を作動させて不燃シート20を保持部材40の上端まで吊り上げ固定することにより火災が周辺の住宅に延焼するのを防止する機構を採用することもできる。
本考案に係る延焼防止構造物は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、大地震で家屋が倒壊したとしても、家屋とは独立している不燃シートにより、1軒の住宅から発生した火災が回りの住宅に延焼するのを防止するための部材として、好適に用いることができる。
1・・延焼防止建造物
10・・延焼防止構造物
20・・不燃シート
30・・案内ガイド穴
40・・保持部材
60・・土台

Claims (3)

  1. 住宅密集地における火災発生時において、周辺住宅等への延焼を防止するための延焼防止構造物であって、
    織布に難燃剤を含浸させた不燃シートと、
    前記不燃シートを吊り上げるための案内レールを備えた保持部材と、
    前記不燃シートを前記保持部材に備えた前記案内レールに沿って吊り上げるための吊り上げ手段と、
    前記保持部材を安定して設置するためのコンクリートからなる土台を有することを特徴とする延焼防止構造物。
  2. 前記不燃シートは、ガラスクロス、シリカクロス、ポリエステル、アクリル樹脂の中の少なくとも1つ以上からなる織布からなる構成材料に難燃剤を含浸させた不燃シートであることを特徴とする請求項1に記載の延焼防止構造物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された延焼防止構造物を住宅の3面に設置したことを特徴とする延焼防止建造物。
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