JP3183929B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JP3183929B2
JP3183929B2 JP02901892A JP2901892A JP3183929B2 JP 3183929 B2 JP3183929 B2 JP 3183929B2 JP 02901892 A JP02901892 A JP 02901892A JP 2901892 A JP2901892 A JP 2901892A JP 3183929 B2 JP3183929 B2 JP 3183929B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体集積回路等の半
導体装置の製造方法に係わり、特にドライエッチング工
程の改良をはかった半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路の進歩に伴い素子
の微細化は進む一方であり、パターン寸法の高精度化へ
の要求が高まっている。一般に、半導体集積回路はシリ
コン基板等の半導体基板上に所定のパターンの酸化シリ
コン等の絶縁性膜や、多結晶シリコン,アルミニウム,
銅,タングステン,シリサイド等の導電性膜等を積層す
ることによって形成される。
【0003】これらの膜を所望のパターンに加工するた
めの技術として、この膜上に感光性のレジストを塗布し
た後、光や紫外線を所望のパターンに従ってレジストを
露光し、現像によって露光部又は未露光部を選択的に除
去することによりレジストにパターンを形成するリソグ
ラフィ技術、次にこのレジストパターンをマスクとして
下地の膜をエッチング加工するドライエッチング技術、
さらにこのレジストを除去する剥離技術が用いられてい
る。
【0004】しかし、半導体素子の集積度の増大に伴
い、要求されるパターンの最小寸法及び寸法精度は小さ
くなる一方であり、最近では0.5μm以下の微細パタ
ーンの形成が必要となっている。このような微細領域の
パターンに対応するためには、上述したパターン形成の
ための技術に種々な問題が生じ、大幅な技術の向上が必
要とされる。
【0005】以下に、これらの問題について具体的に説
明する。
【0006】現在、微細なレジストパターンを用いて、
下地の膜を加工する一つの方法として、プラズマを用い
るRIE技術が広く用いられている。この方法は、例え
ば一対の平行平板電極を具備した真空容器内に被加工膜
の堆積された基板を入れ、容器内を真空に引いた後、ハ
ロゲン元素等を含有する反応性のガスを導入し、高周波
電力の印加による放電によってガスをプラズマ化し、発
生したプラズマを用いて被加工膜をエッチングする方法
である。
【0007】このエッチング方法によれば、プラズマ中
の各種の粒子のうち、イオンが電極表面のイオンシース
に発生する直流電界によって加速され、大きなエネルギ
ーを持って被加工膜を衝撃し、イオン促進化学反応を起
こす。このため、エッチングはイオンの入射方向に進
み、アンダーカットのない方向性エッチングが可能とな
る。
【0008】しかし、このイオン衝撃によってあらゆる
材料が励起又は活性化されるため、ラジカルだけを利用
するエッチングに比べると、物質固有の反応性の差がで
にくく、一般に材料の違いによるエッチング速度の比、
即ち選択比が小さいことがある。例えば、Alのエッチ
ングではレジストのエッチング速度が大きいため、パタ
ーン変換差が大きく高精度にパターンを形成できない。
さらに、段差形状部ではレジストの膜厚が薄くなるため
に、配線部分がエッチングされて配線切れが生じる等の
問題がある。
【0009】この問題を解決するために、Alのエッチ
ングにおいてAl上に多層レジストを形成し、高アスペ
クト比を有するパターンを形成し、これをマスクとして
Alをエッチングする方法が行われている。
【0010】多層レジストにおいては、例えば3層レジ
ストプロセスの場合、まず凹凸のある基板上に有機質の
膜を塗布して平坦化する。次いで、中間層としてシリコ
ン酸化物等の無機膜を形成する。そして、上層のレジス
トを塗布し、通常のリソグラフィ手段により最上層レジ
ストパターンを形成する。このようにして3層のレジス
トを形成した後、最上層レジストパターンをマスクとし
て、ハロゲンを含有するガスをエッチングガスとして用
いた反応性イオンエッチング等の異方性エッチングによ
り中間層をエッチングし、続いて酸素を含むガスを用い
て下層の平坦化層をエッチングしてレジストパターンを
転写する。
【0011】従って、3層レジスト法では、下層レジス
トにより基板平坦化が行われ、上層の高解像のレジスト
を用いてこれをパターンニングすることにより、下地の
凹凸の影響を受けることなく、良好に露光現像を行うこ
とができ、高解像で寸法精度の良いレジストパターンを
形成することができる。しかしながら、3層レジストで
は、工程数が極めて複雑であり、コストが増大する。高
アスペクト比であるため、被加工層のエッチング時にマ
イクロローディング効果が生じ、パターン線幅にエッチ
ング速度が大きく依存する等の問題が生じる。
【0012】そこで、上記問題を解決するために2層レ
ジストが用いられている。この方法では、被エッチング
膜上にエッチング耐性の大きいシリコン酸化膜等の無機
膜を形成する。そして、この無機膜上にレジストを塗布
し、通常のリソグラフィ手段によりレジストパターンを
形成する。このようにして2層レジストを形成した後、
レジストパターンをマスクとしてハロゲンを含有するガ
スをエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチン
グ等の異方性エッチングにより、無機膜をエッチングす
る。続いて、レジストを剥離し、無機膜パターン単体を
マスクとして反応性イオンエッチングにより、被エッチ
ング膜を加工する。
【0013】従って、2層レジスト法では、3層レジス
ト法に比べて工程数が簡略されるため、コストは低減さ
れる。さらに、エッチング耐性の大きな無機膜がエッチ
ングマスクとして作用するために、被エッチング膜との
間で大きなエッチング選択比が得られ、高精度の加工が
可能となる。また、無機膜単体をエッチングマスクとし
て用いた場合には、無機膜の膜厚を制御することによ
り、アスペクト比の小さなマスクパターンが得られるた
めに、マイクロローディング効果を抑制することも可能
となる。
【0014】ところで、このような3層レジスト或いは
2層レジストの最大の問題は、これらの多層レジスト構
造における無機膜等のマスクの剥離が困難な点にある。
【0015】通常、マスクの剥離工程では、レジストを
下地の材料に応じて硫酸や過酸化水素水等を用いて溶解
せしめるか、或いは酸素ガスを用いたプラズマアッシン
グ法により除去するのが一般的である。しかし、上述し
た多層レジスト法により形成したマスクは、シリコン酸
化膜等の無機膜層を含有している。このために、上記に
示したようなマスク剥離手段で除去できるのは、有機質
の膜のみであり、無機系のマスクは除去するのが極めて
困難である。
【0016】また、これらの無機質のマスクを弗素や塩
素等のハロゲンを含んだガス等を用いてドライエッチン
グにより除去することは可能であるが、同時に下地の被
処理基板のシリコン酸化膜やシリコン或いはAl等まで
がダメージを受けてしまうという問題があった。
【0017】さらに、マスク材料としてシリコン酸化膜
等の絶縁性膜を用いた場合、プラズマを用いたエッチン
グ方法においては、プラズマ中のイオンと電子が被エッ
チング膜中に入射される。これらの膜中に入射するイオ
ンや電子により、膜には電荷が蓄積される(チャージア
ップ)。例えば、マスクパターンに対して電子が斜めか
ら入射すると片方の壁にだけ当たるため、左右のマスク
パターンの壁に蓄積される電荷が相異なってくる。その
電荷の非対称の結果、壁の左右方向に新たに生じた電界
がイオンに作用して運動方向を曲げ、形状の異方性を劣
化させてしまうという問題があり、微細なパターンを高
精度にエッチングすることが困難であった。
【0018】また、金属材料、特にAlSiCu等をエ
ッチングする場合、エッチングマスクであるレジスト膜
を剥離した後、放置すると腐食(コロージョン)が生
じ、デバイス特性を劣化させるという問題が生じ、高信
頼性を有したデバイス作成が困難であった。
【0019】なお、他の技術として、マスク材料として
炭素膜を用い、被エッチング材料のウェットエッチング
を行う方法が提案されている(特開平 2-58221号公
報)。この技術は、炭素膜の耐薬品性が高いことに基づ
き、エッチングマスクとして耐薬品性に優れている炭素
膜を用い、弗酸などの酸を利用したウェットエッチング
を行ったものである。しかしながら、ウェットエッチン
グでは、現在の半導体素子の微細化に対応するのは困難
であり、さらに今後の半導体素子の微細化に対応するこ
とは不可能である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、反応
性イオンエッチング技術により、被処理基体を異方的に
加工する際には、次の (1)〜(7) に示すような問題があ
った。 (1) エッチングマスクの被エッチング材料に対するドラ
イエッチング選択比が小さいため、加工中のエッチング
マスク材料の膜減りが激しく、高精度のパターンを得る
ことができない。 (2) マスク材料が有機質であったり、SiO2 膜のよう
な絶縁性膜の場合においては、プラズマ中でこれらの膜
中に入射するイオンと電子のバランスによりマスク中に
蓄積される電荷量により、マスクパターンがチャージア
ップし、これにより、イオンの入射方向が曲げられるた
めに、微細なパターンを高精度に加工できない。 (3) マスク材料と被エッチング材料、さらには周辺に隣
接する材料との組み合せによっては、被エッチング材料
や周辺に隣接する材料に全く損傷を与えずにマスク材料
を選択的に除去することは不可能である場合があった。 (4) 反応性イオンエッチング中に被処理膜中の温度が上
昇すると、マスク材料の耐熱性が低いためにマスクパタ
ーンに劣化を生じ、高精度の加工ができない。さらに、
意図的にエッチング中の基板温度を上昇させたい場合に
は、上記問題により上昇させる基板温度に上限があり、
被処理基体を十分にエッチングすることが不可能であ
る。 (5) 有機質膜をマスク材料として用いた場合には、膜中
に不純物が含有されているために、反応性イオンエッチ
ング中にこれらの不純物がプラズマ中に混入し、被処理
基体が汚染される。特に、被処理基体が金属材料である
場合は、汚染に誘起された腐食(コロージョン)が生じ
るという問題があり、高信頼性を有するデバイスを得る
ことは不可能である。 (6) 有機質膜やSiO2 等の絶縁膜或いはTi等の金属
膜は、特定の化学薬品処理に対して、溶解、浸食、腐食
等の作用を受け、化学薬品処理により容易にダメージを
生じる。 (7) 段差形状を有した膜の加工においては、凹凸面を有
機物等で平坦化し、平坦化面に高精度レジストパターン
を形成する手段(多層レジストプロセス)が用いられ
る。この場合、レジストパターンのアスペクト比が高く
なり、エッチング速度のパターン寸法依存性(マイクロ
ローディング効果)が顕著となり、高精度のエッチング
は困難となる。さらに、エッチングに用いたレジストパ
ターンが容易に剥離できない。
【0021】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、ドライエッチング技術
において被処理基体を異方性エッチングする際に、マス
ク材料に起因する各種の問題(被加工膜とのエッチング
選択比,チャージアップ,マスク剥離時における損傷,
耐熱性,被処理基体の汚染等)をなくすことができ、高
精度のパターン形成が可能な半導体装置の製造方法を提
供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、被加工
膜上にドライエッチングのエッチングマスクとして、炭
素膜を形成し、この炭素膜をマスクとして被加工膜をド
ライエッチングすることにある。
【0023】即ち本発明は、半導体装置の製造方法にお
いて、被処理基体表面上に炭素膜を被着したのち、この
炭素膜上に所定のレジストパターンを形成し、このレジ
ストパターンをマスクとして炭素膜をエッチングし、次
いで炭素膜パターンに沿って被処理基体をドライエッチ
ングすることを特徴としている。
【0024】ここで、本発明における望ましい実施態様
としては、次のものが上げられる。
【0025】(1) 炭素膜のエッチング工程において、
エッチングガスとして、酸素,窒素,ハロゲンガス又は
アルゴン,クリプトン,キセノンなどの不活性ガス或い
は水素或いはフルオロカ−ボンガスのいずれかのガスを
用いること。
【0026】(2) 被処理基体の温度は、−100℃以
上50℃以下の範囲で温度制御されること。
【0027】(3) 炭素膜は、スパッタリング法、真空
蒸着法、或いはCVD法により成膜すること。
【0028】(4) 被処理基体の異方性エッチング工程
後、該基体を真空容器内に設置し、酸素ガスを含むエッ
チングガスを用いて、炭素膜を除去する工程を含むこ
と。
【0029】(5) 被処理基体として、アルミニウムを
含む金属又は合金膜を用い、エッチングガスとして、塩
素或いは臭素を含むガスを用いること。
【0030】(6) 被処理基体として、アルミニウムを
含む金属又は合金膜を用い、レジストを剥離する工程
後、被処理基体を洗浄してから、エッチングガスとして
塩素又は臭素を含むガスを用いて、被処理基体を異方的
にエッチングすること。
【0031】(7) 被処理基体として、アルミニウムを
含む金属又は合金膜を用い、カ−ボンを被着する工程
前、被処理基体を酸素ガスを用いてプラズマ処理するこ
と。
【0032】(8)レジストパターンを剥離する手段とし
て被処理基体を真空容器内に設置し、該容器とは別の領
域で、少なくとも弗素元素を含むガスと酸素ガスからな
る混合ガスを励起し、励起により生成される活性種を真
空容器内に供給するダウンフローエッチングを用いるこ
と。
【0033】(9)有機質膜よりなる所定のマスクパター
ンにおいて、該有機質膜には不純物が含有されているこ
と。
【0034】その他の実施態様を以下に示す。
【0035】(1) シリコン基板表面上に炭素膜を被着し
たのち、この炭素膜上に有機レジストパターンを形成
し、次いでこのレジストパターンをマスクとして炭素膜
をエッチングし、次いでレジストを剥離し、次いで被処
理基体を真空容器内に設置し、該容器内に塩素,弗素又
は臭素を含むガスを導入すると共に放電を誘起してプラ
ズマを生成し、炭素膜パターンをマスクとしてシリコン
基板を異方性エッチングして溝を形成する。
【0036】(2) また、半導体基板の表面に互いに電気
的に分離して設けられた導電型のソース・ドレイン領域
と、該領域間のチャンネルを含む基板表面にゲート絶縁
膜を介して設けられたゲート電極とを有するLDD構造
のMIS型半導体装置の製造方法において、ゲート電極
をマスクとして基板にイオン注入を行い低濃度不純物層
を形成したのち、ゲート電極を有する基板表面上に絶縁
膜形成し、次いでこの絶縁膜上に炭素膜を形成し、次い
で酸素を用いた異方性エッチングにより炭素膜をエッチ
バックしてゲート電極の側壁にのみ炭素膜を残存させ、
次いでゲート電極及び側壁の炭素膜をマスクとして基板
にイオン注入を行い高濃度不純物層を形成する。
【0037】(3) 透光性絶縁基板表面上に形成されたゲ
ート電極,該ゲート電極上に絶縁膜を介して形成された
半導体膜,該半導体膜上に形成されたソース・ドレイン
電極及び該ソース・ドレイン電極間の半導体膜上に形成
された保護膜を有する薄膜トランジスタの製造方法にお
いて、ゲート電極,ソース・ドレイン電極,半導体膜及
び保護膜をそれぞれパターニングするに際し、パターニ
ングすべき被加工膜上に炭素膜を被着したのち、この炭
素膜上に有機レジストパターンを形成し、次いでこのレ
ジストパターンをマスクとして炭素膜をエッチングし、
次いでハロゲンを含むエッチングガスを用いたプラズマ
エッチングにより、炭素膜をマスクとして被加工膜を異
方性エッチングする。
【0038】(4) 半導体装置の製造方法において、基板
表面上にシリコン酸化膜が形成された被処理基体上に炭
素膜を被着した後、この炭素膜上に有機レジストパター
ンを形成し、次いでこのレジストパターンをマスクとし
て炭素膜をエッチングし、次いで被処理基体を真空容器
内に設置し、該容器内にフルオロカ−ボンガス又はフル
オロカ−ボンガスと酸化数4未満の炭素酸化物ガス例え
ば一酸化炭素ガスとの混合ガスを含むエッチングガスを
導入すると共に、放電を誘起してプラズマを生成し、炭
素膜パターンに沿ってシリコン酸化膜を異方性エッチン
グする。
【0039】(5) 半導体装置の製造方法において、基板
表面上に銅膜が形成された被処理基体上に炭素膜を被着
したのち、この炭素膜上に有機レジストパターンを形成
し、次いでこのレジストパターンをマスクとして炭素膜
をエッチングし、次いでレジストパターンを剥離し、次
いで被処理基体を真空容器内に設置し、該容器内に塩素
又は臭素を含むエッチングガスを導入すると共に放電を
誘起してプラズマを生成し、炭素膜パターンをマスクと
して銅膜を異方性エッチングする。さらに、より望まし
くは、基体の温度を200℃以上の温度に制御する。
【0040】(6) 露光マスクの製造方法において、透光
性基板表面上に不透明膜又はシリコン酸化膜が形成され
た被処理基体上に炭素膜を被着したのち、この炭素膜上
に有機レジストパターンを形成し、次いでこのレジスト
パターンをマスクとして炭素膜をエッチングし、次いで
被処理基体を真空容器内に設置し、該容器内にハロゲン
を主成分としたエッチングガスを導入すると共に放電を
誘起してプラズマを生成し、炭素膜パターンに沿って不
透明膜又はシリコン酸化膜を異方性エッチングする。
【0041】(7) 半導体装置の製造方法において、表面
に溝及び/又は段差を有する被処理基体上に膜を被着
し、被処理基体表面を平坦化する工程と、全面に炭素膜
を被着する工程と、前記炭素膜上に第1のマスクパター
ンを形成する工程と、前記第1のマスクパターンをマス
クとして前記炭素膜をエッチングし、前記炭素膜からな
る第2のマスクパタ−ンを形成する工程と、前記被処理
基体を真空容器内に設置し、該容器内にハロゲンを主成
分としたエッチングガスを導入すると共に放電を誘起し
てプラズマを生成し、前記第2のマスクパターンに沿っ
て前記被処理基体を異方性エッチングする工程とを含
む。
【0042】(8) 半導体装置の製造方法において、表面
に溝及び/又は段差を有する被処理基体上に炭素膜を被
着する工程と、この炭素膜を被着した被処理基体上に膜
を形成する工程と、前記炭素膜が露出するまでエッチン
グし、炭素膜を被着した被処理基体表面を平坦化する工
程と、前記炭素膜上に第1のマスクパターンを形成する
工程と、前記第1のマスクパターンをマスクとして前記
炭素膜をエッチングし、前記炭素膜からなる第2のマス
クパタ−ンを形成する工程と、前記被処理基体を真空容
器内に設置し、該容器内にハロゲンを主成分としたエッ
チングガスを導入すると共に放電を誘起してプラズマを
生成し、前記第2のマスクパターンに沿って前記被処理
基体を異方性エッチングする工程とを含む。
【0043】(9) 半導体装置の製造方法において、表面
上に単結晶シリコン、多結晶シリコン、金属及び金属ケ
イ化物からなる群から選ばれた膜が形成された被処理基
体上に炭素膜を被着する工程と、前記炭素膜上にレジス
トパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを
マスクとして前記炭素膜をエッチングする工程と、次い
で前記被処理基体を真空容器内に設置し、該容器内にハ
ロゲンを主成分とするガスと一酸化炭素との混合ガスを
導入すると共に放電を誘起してプラズマを生成し、前記
炭素膜パターンに沿って前記膜を異方性エッチングする
工程とを含む。
【0044】(10)半導体装置の製造方法において、被処
理基体上にダイヤモンド膜を被着する工程と、このダイ
ヤモンド膜をパタ−ニングしてダイヤモンドからなるマ
スクパタ−ンを形成する工程と、このマスクパタ−ンを
マスクとして前記被処理基体をドライエッチングする工
程とを含む。
【0045】
【作用】本発明において、炭素膜のドライエッチング耐
性を調べるために、反応性イオンエッチング装置にて種
々のガスを用い、エッチングガス圧,高周波電力密度及
び基板温度を変化させ、炭素膜,AlSiCu膜,レジ
スト膜,SiO2 膜,Si基板のエッチング速度を測定
した。また、ダウンフロー型エッチング装置及び円筒型
エッチング装置を用い、種々のガス下での上記材料のエ
ッチング速度を評価した。
【0046】上記実験の結果、塩素と三塩化硼素,或い
は塩素と四塩化硅素との混合ガスを用いた反応性イオン
エッチングに対して、炭素のエッチング速度が極めて小
さいにも拘らず、上記AlSiCu膜,Si膜及びレジ
スト膜は大きなエッチング速度で異方的にエッチングで
きることが判明した。
【0047】また、弗素を主成分とするハロゲンガスを
用いた反応性イオンエッチングに対しても、炭素のエッ
チング速度が極めて小さく、一方SiO2 膜は大きなエ
ッチング速度で異方的にエッチングできることも判明し
た。即ち、炭素膜が耐薬品性に優れ、ウェットエッチン
グの良好なマスクとなることは公知であるが、適当な条
件下では、反応性イオンエッチング等のドライエッチン
グに対しても大きな耐性を有することが明らかとなっ
た。
【0048】そこで、基板上に形成されたAlSiCu
膜,SiO2 膜或いはSi基板表面に炭素膜からなるマ
スクパターンを形成することにより、これらのマスクパ
ターンは反応性イオンエッチング耐性の大きなマスクと
して作用するために、上記材料を高精度にて異方性加工
することが可能である。
【0049】さらに、ダウンフロー型のエッチング装置
にて種々の条件下にてエッチング特性の実験を行ったと
ころ、四弗化炭素と酸素との混合ガスを用いたエッチン
グにおいて、適度にこのガスの混合比を変化させること
により、レジスト膜或いはSiO2 膜は極めて大きなエ
ッチング速度でエッチングされるのに対し、炭素膜は全
くエッチングされない現象が見い出された。
【0050】これにより、炭素膜やSiO2 膜に対して
レジストのみを選択的にエッチングする、或いは炭素膜
に対してSiO2 膜を選択的にエッチングすることが可
能である。
【0051】次に、O2 ガス或いはAr,Kr等の不活
性ガス、さらにはCF4 に対する、炭素膜とレジスト膜
のエッチング速度を種々の条件下にて調べたところ、−
70℃において炭素膜のエッチング速度はレジスト膜の
約半分程度であることが判明した。また、基板温度を−
50℃程度に冷却してO2 ガスを用いてエッチングした
ところ、異方的に垂直加工できることが判明した。一
方、ArやKrの不活性ガスを用いた場合は、室温にお
いても垂直加工が可能であった。
【0052】これにより、上記ガスを用いて適度にエッ
チング条件を選択することにより、レジストパターンを
マスクとして炭素膜の異方性加工を実現することが可能
である。特に、炭素膜は、O2 ガスを用いたプラズマエ
ッチングにより、容易に除去し得ることが判明した。
【0053】そこで、炭素膜表面に形成されたレジスト
膜との積層構造からなる膜或いはマスクパターンにおい
て、CF4 とO2 の混合ガスを用いたダウンフロー型エ
ッチングにてレジストパターンを除去することにより、
炭素膜からなるマスクパターンを形成することが可能で
ある。また、炭素膜及びレジスト膜を除去する場合は、
2 ガスを用いたプラズマエッチング装置にて容易に実
現可能である。
【0054】また、本発明者等は、炭素膜の特性を詳細
に調べたところ、次のような事実を見い出した。即ち、
反応性イオンエッチング装置において、基板温度を30
0℃まで上昇させても炭素膜パターンには熱変形が生じ
ず、また脱ガスも極めて少ない。従って、通常のドライ
エッチングでは、非常に低蒸気圧のエッチング生成物し
か生じないCu膜に関しても、高精度で異方性加工が可
能となった。
【0055】更に、炭素膜は、スパッタ法や真空蒸着法
により容易に形成可能であることが判明した。そこで、
これらの炭素膜について膜質をSIMS分析により調べ
たところ、得られた炭素膜は 99.99%以上の高純度を有
していることが判った。即ち、予めレジスト等の不純物
を多量に含む有機質膜を前述の方法にて、選択的に除去
した後、炭素膜をエッチングマスクとして用いることに
より、大気に一週間放置してもAlSiCu膜エッチン
グ後の腐食が観察されなかった。高純度のマスクを用い
て高精度の加工が可能であるため、半導体集積回路にお
ける配線の製造工程や、Si基板に溝部を形成してなる
キャパシタの形成に用いた場合、高信頼性を有してデバ
イスの形成が可能となる。
【0056】
【実施例】以下、本発明の各実施例について、図面を参
照して説明する。 〈実施例1〉図1は、本発明の一実施例方法に係わるA
l合金膜パターンの形成工程を示す断面図である。
【0057】まず、図1(a)に示すように、Si基板
11上にSiO2 膜12を形成し、このSiO2 膜12
上にAlSiCu(Si濃度1wt%、Cu濃度0.5
wt%)薄膜13を堆積する。次いで、図1(b)に示
す如く、薄膜13上に炭素膜14(膜厚40nm)を形
成する。
【0058】ここで、炭素膜14はマグネトロンスパッ
タリング装置にて堆積した。スパッタリング前の真空度
は10-8Torr台であり、スパッタリングガスとしてAr
ガスを用い、Arガスを5×10-3Torrまで導入した
後、高周波電力1kWで炭素ターゲットをArイオンに
てスパッタリングすることにより堆積した。堆積膜の厚
さは、スパッタリング時間を変化させることにより制御
可能であった。しかし、AlSiCu薄膜13上に上記
方法にて炭素膜14を形成したところ、Si基板上部分
的に炭素膜14が剥れるという現象が生じた。
【0059】従って、AlSiCu薄膜13と炭素膜1
4との密着性を向上させるために、炭素膜堆積前に、A
lSiCu薄膜表面を酸素ガスを用いたプラズマに晒す
ことにより、AlSiCu薄膜表面の改質を行った。酸
素ガスプラズマ処理をしたAlSiCu膜と処理をしな
いAlSiCu膜とをオージェ電子分光法(AES)に
より分析したところ、プラズマ処理を実施したAlSi
Cu膜では表面の酸素濃度の増大が観察された。
【0060】次に、酸素ガスプラズマ処理を施したAl
SiCu膜上に前述した如く同一条件にて、炭素膜(4
0nm厚)の堆積を行った。炭素膜堆積後、膜の剥がれ
を観察したところ、Si基板上全域に渡って、炭素膜の
剥がれは見当たらなかった。形成した炭素膜の結晶構造
を明らかにするため、X線回析法(XRD)による膜分
析を行ったところ、膜は非晶質構造であることが判明し
た。さらに、二次イオン質量分析法(SIMS)により
形成した炭素膜を分析したところ、炭素以外の他の不純
物原子は、膜中にてAES法の検出感度以下であること
が判明した。
【0061】次いで、図1(c)に示すように、炭素膜
14上にフォトレジスト15(膜厚1.6μm)を塗布
し、通常のリソグラフィ技術を用いて、レジスト15を
露光した。続いて、図1(d)に示す如く、レジスト1
5を現像して、レジストパターン15を形成した。この
図1(d)に示す工程では、現像液として、アルカリ性
有機溶済を用いたが、現像時に炭素膜14の溶出,剥離
などの問題は生じなかった。
【0062】次いで、図1(e)及び(f)に示すよう
に、レジストパターンをマスクとして、RIEにて、炭
素膜14及びAlSiCu膜13を選択エッチングし、
AlSiCu膜13をパターニングした。
【0063】上記、図1(e)及び(f)の工程につい
て詳細に説明する。
【0064】まず、図2を用いて、この実施例に適用し
たドライエッチング装置から説明する。
【0065】この装置は、エッチング室20,導入用予
備室30及び排出用予備室40から構成されており、エ
ッチング室20と導入用予備室30及び排出用予備室4
0との間は、ゲートバルブ31及び41によりそれぞれ
仕切られている。そして、エッチング室20を真空に保
持したまま、導入用予備室30に配置されたゲートバル
ブ32から被処理基体を導入し、排出用予備室40に配
置されたゲートバルブ42から被処理基体を排出するこ
とにより、大気中の水分や酸素等の悪影響を避けること
ができるようになっている。また、予備室30,40内
には、基板載置台33及び43がそれぞれ設置されてい
る。
【0066】エッチング室20は、真空容器20a内に
配置された被処理基板21を載置するための第1の電極
22と、この第1の電極22に13.56MHzの高周
波電力を印加すべく、ブロッキングキャパシタ29を介
して接続された高周波電源24と、第1の電極22を冷
却し、被処理基板21の基板温度を所望の温度に制御す
るための冷却管25とを具備している。
【0067】また、塩素ガス(Cl2 )供給ライン28
a,三塩化硼素(BCl3 )供給ライン28b,臭化水
素ガス(HBr)供給ライン28c,酸素ガス(O2
供給ライン28d,不活性ガス(He、Ar或いはK
r)供給ライン28e及び水素ガス(H2 )供給ライン
28fから、真空容器20a内にCl2 ,BCl3 ,H
Br,O2 ,H2 ,He(或いはAr,Kr)を導入し
つつ、第1の電極22と第2の電極を兼ねた真空容器2
0aの内壁(上壁)との間に高周波電圧が印加されるよ
うになっている。
【0068】ここで、真空容器20aはアースに接続さ
れている。ガス供給ライン28a〜28fは、各々バル
ブと流量調整器29a〜29fを具備し、流量及びガス
圧を所望の値に調整できるようになっている。
【0069】また、真空容器20aの第2の電極部分の
上方には、永久磁石26が設置されており、モータによ
り回転軸27のまわりで偏心回転せしめられ、この永久
磁石26の発する50〜500ガウスの磁界により10
-3Torr台、又はそれ以下の高真空でも高密度のプラズマ
を発生維持することが可能となるように構成されてい
る。このようにして生成された高密度プラズマから大量
のイオンが引出され、被処理基板21に照射されエッチ
ングが行われる。
【0070】次に、上述のドライエッチング装置を使用
し、図1(e)に示す如く、エッチングガスとしてO2
或いはH2 を用いて、被エッチング材料である炭素膜1
4をレジストパターン15をマスクとしてエッチングし
た例を説明する。
【0071】まず、エッチングガスにO2 を用い、基板
温度を変化させて、図1(e)に示す如く、炭素膜14
をエッチングした。エッチング条件はO2 ガス(流量1
00SCCM)圧力は1.5Paとし、高周波電力を1.7
W/cm2 印加するようにした。
【0072】基板温度を−50℃に保持した場合、炭素
膜14が約300nm/分の速度でエッチングされたの
に対して、レジスト15は1μm/分であり、炭素膜1
4とレジスト15との選択比は約0.3である。また、
エッチングされた炭素膜14の形状をSEMにて観察し
たところ、図3(a)に示す如く、ほぼ垂直形状が得ら
れた。
【0073】一方、基板温度を70℃に保持した場合、
炭素膜14とレジスト15の選択比は約0.3であり、
基板温度を−50℃の場合とほぼ同じであるのに対し
て、エッチングした炭素膜14の形状をSEMにて観察
したところ、炭素膜14は図3(b)に示す如くテーパ
形状であることが判明した。
【0074】これは、図3(b)に示すように、炭素膜
14上に残存するレジスト15のパターンにサイドエッ
チングが生じ、このサイドエッチングによりレジストの
パターン15が細るためである。つまり、基板温度を低
温にした場合においては、レジスト15のサイドエッチ
ング量が著しく抑制されるために、炭素膜14をほぼ垂
直にエッチング可能であることが判った。
【0075】レジスト15のサイドエッチング量は、O
2 RIE中にレジストパターンの側壁に入射する酸素イ
オン及び酸素ラジカル量とレジストとの反応速度、或い
は反応生成物の脱離量により決定される。基板温度を低
温にすることにより、反応速度の低下、側壁からの反応
生成物の脱離量の低下、さらには側壁保護膜等の形成な
どが生じ、レジストのサイドエッチング量が抑制される
と考えられる。種々のガスを用い、レジストをエッチン
グした結果、H2 ガスを用いることによって、比較的高
温でしかも、炭素膜とレジストとの選択比が向上する現
象が見い出された。
【0076】上述のドライエッチング装置を用いて、エ
ッチングガスとしてH2 (総量100SCCM)圧力1.5
Pa、高周波電力1.7W/cm2 、基板温度25℃に
保持して、レジスト15をマスクとして、炭素膜14の
エッチングを行った。このとき、炭素膜14が330n
m/分でエッチングされるのに対して、レジスト15の
エッチング速度は670nm/分であった。従って、炭
素膜14とレジスト15との選択比は約0.5であっ
た。また、エッチング後のパターン形状をSEMにより
観察したところ、レジストパターンにサイドエッチング
は生じなく、且つ炭素膜14も図3(a)に示すように
ほぼ垂直であることが判明した。
【0077】また、エッチングガスとして不活性ガスを
用い、スパッタ効果により炭素膜14をエッチングした
例について説明する。上述のドライエッチング装置を用
い、エッチングガスとしてAr(総量100SCCM)圧力
1.5Pa、高周波電力1.7W/cm2 、基板温度2
5℃下で、レジストマスクとして炭素膜14のエッチン
グを行った。
【0078】このとき、炭素膜14は60nm/分でス
パッタエッチングされるのに対し、レジスト15のエッ
チング速度は100nm/分であった。従って、炭素膜
14とレジスト15との選択比は0.6であった。ま
た、エッチング後のパターン形状をSEMにより観察し
たところ、レジストパターンにサイドエッチングが生じ
ず、且つ炭素膜14も垂直に加工することが可能であっ
た。これは、不活性ガスを用いた場合、スパッタ効果に
よりエッチングが進行するため、垂直形状の炭素膜14
の加工が可能となると考えられる。
【0079】次いで、図1(f)に示す如く、レジスト
パターン15及び炭素膜14をエッチングマスクとし
て、AlSiCu膜13の選択エッチングを行った。A
lSiCu膜13のエッチングにおいても、前述したド
ライエッチング装置を用いた。エッチング条件は、基板
温度を50℃に保持し、エッチングガスとしてCl2
BCl3 との混合ガス(流量100SCCM)を用いた。エ
ッチング圧力は1.5Pa、RF電力は、0.8W/c
2 から3W/cm2 まで変化させた。
【0080】図4は、RF電力を変化させてエッチング
した膜のエッチング速度を測定した結果を示す図であ
る。
【0081】これより、RF印加電力0.8W/cm2
にて、AlSiCu薄膜13のエッチング速度が約35
0nm/分、炭素膜14のエッチング速度は、約25n
m/分であり、薄膜13と炭素膜14との選択比は約1
4である。一方、このときの薄膜13とレジスト15と
の選択比は約2であった。また、RF印加電力0.8W
/cm2 よりも小さい場合には、Siウェハ周辺部に残
渣の発生が観察されたが、0.8W/cm2 以上では全
く生じていないことが判明した。
【0082】RF印加電力0.8W/cm2 にてエッチ
ングしたAlSiCu薄膜13の形状をSEMにより評
価たところ、テーパ角88°でテーパ形状であることが
判った。また、テーパ形状は、RF印加電力の増大とと
もに大きく(テーパ角度が小さく)なることが分った。
【0083】また、RF印加電力1.5W/cm2 以上
でエッチングしたAlSiCu薄膜13においては、エ
ッチング後、AlSiCu薄膜13上にレジスト15は
残存していないことが、上記同様SEMにより確認され
た。
【0084】これより、AlSiCu薄膜13とレジス
ト15との選択比は図4に示した如く、RF印加電力と
ともに減少して行くため、電力1.5W/cm2 以上で
はレジスト15は全て消失する。従って、AlSiCu
薄膜13のエッチングマスクは炭素膜14となる。即
ち、レジスト15のみをマスクとして用いた場合では、
選択比が小さいためにAlSiCu薄膜13を全てエッ
チングするまで良好なエッチングマスクとして作用しな
い。しかし、炭素膜14をエッチングマスクとして適用
することにより、AlSiCu薄膜13と炭素膜14と
の選択比が例えば電力1.5W/cm2 では10以上あ
るために、AlSiCu薄膜13の良好なエッチングが
可能となることが分かる。
【0085】最後に、図1(g)に示す如く、レジスト
パターン及び炭素膜14の除去を行った。エッチング装
置として通常のバレル型プラズマエッチング装置を用い
た。レジストパターンを上記装置にて、通常の酸素プラ
ズマによりアッシングしたところ、前記レジストパター
ン及び炭素膜の除去を行なうことが出来た。一方、炭素
膜14は、上記酸素プラズマアッシングにより容易に除
去できることが判明した。
【0086】レジストパターンを完全に除去するため
に、図5に示すようなダウンフロー型エッチング装置を
用いた。図5に示すのは、本実施例において用いられた
炭素膜14に対してレジスト15を選択的に剥離するた
めのダウンフロー型エッチング装置の概略図である。
【0087】この装置の主要部は、真空容器50とこの
容器内に試料51を載置する試料台52と、ガス導入さ
れるガス導入口53と、ガス導入口53から導入された
ガスを放電するための石英製の放電管54と、容器内に
導入されたガスを排気するガス排気口55からなる。な
お、放電管54には導波管56を介して周波数2.45
GHzのマイクロ波が電源57より印加され、内部に無
電極放電が発生してガス導入口53から導入されたガス
を分解するものとなっている。
【0088】次に、上記エッチング装置を用いて、前述
の試料におけるレジスト膜の剥離を行った。レジストパ
ターンをマスクに炭素膜をRIEにて垂直加工し、パタ
ーン開口部に下地AlSiCu薄膜が露出した構造(レ
ジスト/炭素/AlSiCu/SiO2 )を有した試料
51を、図5に示すダウンフロー型エッチング装置に搬
入し、試料台52上に固定した。次いで、真空度10-3
Torrまで排気口55から真空排気した後、エッチングガ
スとしてCF4 /O2 混合ガスを導入した。CF4 /O
2 の流量は15/500SCCM一定とし、圧力0.3Torr
に保持した。また、温度は室温に保持した。次いで、マ
イクロ波を印加して放電を生じさせ、エッチングを行っ
た。
【0089】このような工程により、エッチングガスと
して四弗化化炭素(CF4 )ガスと酸素との混合ガスを
用い、圧力0.3Torrにて上記ダウンフロー型エッチン
グ装置にてアッシングを試みたところ、レジストパター
ンは残存物が生じず、完全に除去可能であった。
【0090】また、上記レジストパターンを完全に除去
できる条件にて、炭素膜のエッチングを調べたところ、
ダウンフロー型エッチングにおいては炭素膜はエッチン
グされないことが分った。
【0091】従って、レジストパターンが残存している
場合のマスクパターンを剥離するに際しては、CF4
スとO2 ガスとの混合ガスを用いたダウンフロー型エッ
チングにてレジストを除去した後、前述の如くバレル型
エッチング装置を用い、通常のO2 プラズマアッシング
処理を施すことによって、炭素膜は容易に剥離されるこ
とが確認できた。剥離後、AlSiCu薄膜パターンを
SEMにて評価したところ、テーパ形状でライン/スペ
ースの線幅400nm/400nmのAlSiCu薄膜
が良好に形成されていることが判った。
【0092】また、前述したように炭素膜のパターニン
グ方法として、レジストマスクとしてH2 ,O2 ,不活
性ガス(Ne、Ar、Kr、Xe)或いはSF6 ,CF
4 等のガスや、これらの混合ガスを用いて炭素膜のドラ
イエッチングを行ったが、上記ガス或いは混合ガスのい
ずれを用いてエッチングした場合も良好な炭素膜の加工
が可能であり、これらのプロセスを用いて形成されたA
lSiCu薄膜パターンについても良好な形状で残渣の
ないもの得られた。 〈実施例2〉次に、本発明の第2の実施例のエッチング
方法について説明する。図6は、本発明の第2の実施例
に係るパターン形状工程を示す断面図である。
【0093】まず、図6(a)に示すように、Si基板
11上にSiO2 膜12を形成し、このSiO2 膜12
の表面にAlSiCu(Si濃度1wt%、Cu濃度
0.5wt%)薄膜13を堆積する。その後、AlSi
Cu薄膜13の表面をO2 プラズマにより改質した。
【0094】次いで、図6(b)に示す如く、薄膜13
上に炭素膜14(膜厚300nm)を形成する。また、
同時に比較のためスパッタリング法により、シリコン酸
化膜(SiO2 )(14′)を膜厚300nmに形成し
た試料も作成した。ここで、炭素膜14の堆積は、実施
例1にて記述したものと同様の方法にて行った。
【0095】次いで、図6(c)に示すように、炭素膜
14及びSiO2 膜14′上に各々1.6μmのレジス
ト15を堆積し、図6(d)に示す如く通常のリソグラ
フィ技術を用いて、レジスト15を露光,現像すること
により、レジストパターンの形成を行った。この図6
(d)に示す工程において、炭素膜14或いはSiO2
膜14′の溶出,剥離などの問題は全く生じなかった。
【0096】次いで、図6(e)に示す如く、レジスト
パターンをマスクとしてRIEにて炭素膜14のパター
ニングを実施した。用いたドライエッチング装置は、前
述したマグネトロン載置のRIE装置である。実施例1
で記述した如く、O2 ガス流量100SCCM,圧力1.5
Pa,RF印加電力1.7W/cm2 ,基板温度−50
℃において、レジストパターンをマスクとして炭素膜1
4をエッチングした。これにより、図6(e)に示す如
く、炭素膜14のパターニングがなされた。なお、この
炭素膜14上にはレジストパターンが残存している。
【0097】一方、上記と同一のエッチング装置にて、
レジストパターンをマスクとしてSiO2 膜14′のパ
ターニングを行った。CF4 /O2 ガス流量100SCC
M、圧力1.5Pa,RF電力1.7W/cm2 ,基板温度2
5℃において、レジストパターンをマスクとしてSiO
2 膜14をエッチングした。これにより、図6(e)に
示すのと同様に、SiO2 膜14′のパターニングがな
された。このSiO2 膜14′上にもレジストパターン
が残存している。
【0098】次いで、図6(f)に示す如く、これらの
薄膜上に残存するレジストパターンを除去するために実
施例1で述べたCF4 /O2 ガスを用いたダウンフロー
アッシング装置にてレジストパターンの剥離を行った。
これにより、炭素膜14及びSiO2 膜14′上のレジ
ストパターンは全てエッチング除去され、炭素膜14及
びSiO2 膜14′からなるエッチングマスクパターン
が形成された。
【0099】次いで、図6(g)に示す如く、炭素膜1
4及びSiO2 膜14′をエッチングマスクとして、A
lSiCu薄膜13のエッチングを行った。AlSiC
u薄膜13のエッチングは、実施例1で記述した如く、
マグネトロン型ドライエッチング装置を用いて行った。
エッチング条件は、基板温度25℃に保持し、エッチン
グガスとして、Cl2 とBCl3 の混合ガス(流量20
SCCM)を用いた。エッチング圧力は、0.5Pa、RF
電力は0.8W/cm2 である。
【0100】このとき、AlSiCu薄膜13はエッチ
ング速度が約300nm/min、炭素膜14のエッチ
ング速度は約35nm/min、SiO2 膜14′のエ
ッチング速度は約40nm/minであり、AlSiC
uと炭素の選択比は約9、AlSiCuとSiO2 の選
択比は約8.5であった。
【0101】また、この条件の下で、ウェハ上に発生す
る残渣量を観察したところ炭素膜14をマスクとした場
合には残渣は全く見られなかった。一方、SiO2 膜1
4′をマスクとした場合には残渣の発生が観察された。
この残渣発生の相違はSiO2 マスクの場合は、RIE
におけるイオン衝撃により酸素がマスクより発生するた
め残留酸素量が大きくなり、Al酸化物が生じるためと
考えられる。
【0102】エッチングされたAlSiCu薄膜13の
形状をSEMにて観察したところ、図7(a)に示す如
く炭素膜14をマスクとして用いた場合、パターンのラ
インアンドスペース(L/S)部ではほぼ垂直形状のパ
ターンが得られた。ところが、図7(b)に示す如くS
iO2 膜14′をマスクとして用いた場合においては、
L/Sパターンのパターン端部において、片側(L/S
パターンの無い側)が大きなテーパ形状になっているこ
とが判明した。炭素膜14をマスクとして用いた場合に
おいては、極端に左右非対称のパターンになるという現
象は観察されなかった。
【0103】これは、次のような現象に基づくものと考
えられる。即ち、エッチング中にマスクパターンには、
イオンシースに発生する電界によって加速された電子及
びイオンが入射される。被エッチング物(マスク材料)
が絶縁物である場合は、これらの入射するイオンや電子
により絶縁物中に電荷が蓄積される(チャージアッ
プ)。これに対し、被エッチング物が導電性材料の場合
においては、チャージアップは生じない。
【0104】従って、上記実験においてはマスクパター
ンに対して例えば斜めから入射した荷電粒子により、絶
縁物であるSiO2 膜14′の側壁にはチャージアップ
が生じ、電荷が蓄積される。L/Sパターンの中央部で
は、パターンの両側に蓄積される電荷量が等しいために
左右対称にイオンは曲げられ、エッチングは垂直方向に
進行する。しかし、L/Sパターン端部においては、S
iO2 膜14′のパターンは片側にしか存在しないた
め、チャージアップしたSiO2 マスクによりイオンは
曲げられるために、左右非対称の形状となると考えられ
る。
【0105】一方、炭素膜14をエッチングマスクとし
て用いた場合には、炭素膜14の抵抗率は、10-4Ωc
mと低く導電性材料である。従って、チャージアップが
生じないために、図7(a)に示した如く、L/Sパタ
ーンの端部においてもエッチング形状は左右対称で垂直
形状を示す。
【0106】そこで、ドライエッチングにおいて、プラ
ズマ電位と試料の載置されている電極とに形成されるバ
イアス電圧(陰極降下電圧)を変化させ、SiO2 及び
炭素膜をエッチングパターンとして、AlSiCu薄膜
をエッチングした時のL/Sパターン端部パターンの形
状を評価した。パターン形状は、前述の如く、チャージ
アップ効果の影響が大きい場合、テーパ形状となる。ま
た、チャージアップ効果が小さければ、垂直形状とな
る。
【0107】図8に、バイアス電圧を変化させたときの
エッチングされたAlSiCu薄膜の形状をSEMにて
観察し、L/Sパターン端部でのテーパ角を調べた結果
を示す。これより、SiO2 マスクを用いた場合、バイ
アス電圧150V付近より、パターン形状が垂直或いは
逆テーパ形状からテーパ形状へと変化する。
【0108】一方、炭素膜をマスクとした場合には、1
00V以下のバイアス電圧により、はじめて垂直形状よ
りテーパ形状に変化することが判明した。これにより、
炭素膜をマスクとした場合、マスクパターンがチャージ
アップを受けないために、バイアス電圧が低くとも高精
度のエッチングが可能である。
【0109】次いで、図6(h)に示すように、炭素膜
14及びSiO2 膜14′の剥離を行った。炭素膜14
の剥離には、実施例1と同様に、通常のO2 プラズマエ
ッチング装置を用いた。これにより、炭素膜14を容易
に除去することが可能であった。
【0110】一方、SiO2 膜14′はO2 プラズマエ
ッチングにて全くエッチングされなかった。そこで、S
iO2 膜14′の剥離には、CF4 /O2 ガスを用いた
ダウンフロー型装置にてエッチングを試みたところ、S
iO2 膜14′は除去可能であった。しかし、上記ダウ
ンフローにてSiO2 膜14′を除去したものでは、A
lSiCu薄膜13に多量の腐食が発生した。また、下
地のSiO2 膜12も同様にエッチングされるためにA
lSiCuパターン下にえぐれが生じた。
【0111】炭素膜14をマスクとしたものについて
は、O2 プラズマエッチングについて炭素膜剥離後、A
lSiCu薄膜13に腐食は全く観察されなかった。さ
らに、下地SiO2 膜12のえぐれや損傷も全く観察さ
れなかった。また、SiO2 膜14′の剥離に関して
は、HF等のウェットエッチング液を用いて種々試みて
みたが、AlSiCu薄膜13や下地SiO2 膜12へ
のダメージを生じさせないで剥離することは不可能であ
った。
【0112】即ち、炭素以外の例えば無機薄膜(SiO
2 )をエッチングマスクとして用いて、AlSiCu薄
膜のエッチングを行うことにより、AlSiCu薄膜と
のエッチング選択比はレジストをマスクとして用いた場
合と比較して大きくすることが可能となるが、AlSi
Cu薄膜や下地SiO2 膜へのダメージなく、これらの
マスク薄膜を簡易に除去することは、非常に困難である
ことが判明した。
【0113】また、マスク材料として絶縁膜を用いた場
合には、チャージアップによりエッチング形状を制御す
ることは難しく、高精度のエッチングを実現することは
困難である。マスク剥離後SEMにて形状を評価したと
ころ、炭素膜をマスクとして用いたAlSiCu薄膜に
おいては、垂直形状にて、線幅/ライン=0.4μm/
0.4μmのパターンを得ることが可能であった。
【0114】次に、実施例1及び実施例2で示したプロ
セスにて形成したAlSiCu薄膜の腐食について評価
した。用いた試料は、Si基板上にSiO2膜を形成
し、この表面に順次Ti薄膜(膜厚20nm),TiN
薄膜(膜厚70nm)及びAlSiCu(Si濃度1w
t%,Cu濃度0.5wt%)薄膜を堆積したものであ
る。さらに、図1(b)で述べた如く、AlSiCu薄
膜の表面をO2 プラズマ処理して改質した。
【0115】上記プロセスにて形成されたAlSiCu
/TiN/Ti/SiO2 積層薄膜構造上に対し、実施
例1に示した図1(b)〜(g)及び実施例2に示した
図6(b)〜(h)の工程により、上記試料の加工を行
った。
【0116】なお、このプロセスにおいて、TiN/T
i薄膜のエッチングは、AlSiCuのエッチングと全
く同一条件にて、AlSiCuのエッチング後に引き続
いて実施した。この試料の加工形状をSEMにて調べた
ところ、実施例1及び実施例2で示した両プロセスと
も、AlSiCu/TiN/Ti構造がほぼ垂直形状に
てエッチングされていること確認した。
【0117】エッチング後、上記試料を大気中に放置
し、腐食の様子を光学顕微鏡により評価した。チップ内
にて発生した腐食量を評価した結果を、図9に示す。レ
ジストをマスクとして用いてエッチングしたものは、放
置24時間後にコロージョンの発生が観察された。これ
に対し、炭素膜をマスクとして用いてエッチングしたも
のは、1週間放置してもコロージョンの発生は全く認め
られなかった。
【0118】これについては、後述する実施例7にて詳
述するが、エッチング中にレジストが分解されるとレジ
スト中に含有される不純物がAlSiCu膜表面に附着
する。そして、この不純物がコロージョンを促進する要
因になっていると考えられる。一方、炭素膜中には不純
物は殆ど含有されていないため(前述の如くSIMS分
析にて検出感度以下)、長期間の大気放置後もコロージ
ョンの発生は生じないと考えられる。 〈実施例3〉次に、本発明の第3の実施例について説明
する。
【0119】この実施例は、炭素膜をSi基板のエッチ
ングマスクとして用いた例であり、特にデバイス構造に
おけるトレンチキャパシタ技術であるSi基板に数μm
の深さのトレンチ(穴)を、ドライエッチング方法によ
り穿設する方法について述べる。
【0120】図10は、炭素膜をエッチングマスクとし
て採用した、本実施例に係わるトレンチキャパシタの形
成工程を示す断面図である。
【0121】まず、図10(a)に示される如く、Si
基板70上に所要パターンのマスク71を形成する。通
常このパターン71は、シリコン酸化膜(SiO2 )や
シリコン窒化膜(SiN)、或いはこれらの積層構造が
用いられている。本実施例では、マスク71として素子
分離用SiO2 上にスパッタ法により形成された炭素膜
を用いた。また、上記SiO2 等のマスクを用いた場合
には、約800nm程度の厚膜を必要とするが、炭素膜
の膜厚は200nmのものを用いた。
【0122】次いで、図10(b)に示す如く、反応性
ドライエッチング技術により所要の深さのトレンチ72
を穿設した。このときのエッチング装置としては、実施
例1で記述したような、マグネトロンを載置したものを
用いた。エッチングガスとしては、Cl2 とSiCl4
(四塩化硅素)との混合ガスを用いた。エッチング中の
ガス圧は7×10-3Torr、高周波印加電力は3W/cm
2 である。また、基板表面の温度はほぼ100℃となる
ように保持した。
【0123】このとき、エッチングマスクとSi基板と
のエッチング選択比を測定したところ、エッチングマス
クとしてSiO2 71′を用いた場合、選択比は10程
度であったのに対して、炭素膜をマスクとして用いた場
合には、選択比は約20と大きな値を示した。
【0124】また、エッチングによるトレンチ72の形
状は、SiO2 及び炭素膜を用いても垂直形状のものが
得られた。しかし、ウェハ面内のマイクロローディング
効果を評価したところ、炭素膜を用いた場合の方がマイ
クロローディング効果が低減されていることが判明し
た。これは、SiO2 膜に比べ炭素膜は、Siとの選択
比が大きいために、エッチングマスクとしての膜厚を薄
くすることが可能で、本実施例の場合、SiO2 マスク
に比べ炭素膜の膜厚を1/3とすることが可能であった
ために、アスペクト比が軽減されたためと考えられる。
【0125】次いで、図10(c)に示すように、ドラ
イエッチング時に発生する欠陥や汚染物を除去するため
に、トレンチ72の側壁に薄いSiO2 膜73を熱酸化
により形成し、続いて図10(d)に示すように、フッ
化アンモニア水(NH4 F)等の溶液を用いてSiO2
膜73を除去した。
【0126】この場合、図11(a)に示すように炭素
膜71は、薄いSiO2 膜を熱酸化により形成する工程
においても変質、或いは炭素のSi膜中への拡散等は生
じなかった。また、NH4 F溶液を用いた後処理によっ
て、上記炭素膜71は全くエッチングされず、SiO2
膜73のみを剥離することが可能であった。
【0127】一方、エッチングマスクとしてSiO2
71′をマスクとして用いた場合においては、図11
(b)に示すようにNH4 F溶液によりSiO2 膜7
1′及び素子分離酸化膜75がエッチングされて、マス
クが後退することが明らかとなった。この場合において
は、トレンチ間を分離する素子分離構造75がエッチン
グされるため、デバイスの集積度とともにトレンチ間の
間隔が狭くなると、トレンチキャパシタ間の分離ができ
なくなるという問題が生じた。
【0128】次いで、図10(e)に示すように、トレ
ンチ72の側壁に不純物拡散を行って、拡散層74を形
成する。本実施例のように炭素膜を用いたマスク後退の
ない場合においては、図10(e)に示すように、トレ
ンチ側壁部のみに拡散層74が形成される。ところが、
図11(c)に示すように、SiO2膜をマスクとして
用いたプロセスでは、マスクが後退するためにトレンチ
上部においても拡散層74が形成される。この場合は、
十分な素子分離構造が形成されていない上に拡散層間の
距離が近接するため、トレンチキャパシタ間でのリーク
電流が大きくなるという問題が生じる。
【0129】次いで、エッチングマスク71を除去した
のち、誘電体となる薄いシリコン酸化膜或いは酸化膜と
窒化膜(SiN)との積層膜73を形成する。次いで、
図10(f)に示す如く、多結晶シリコン膜76を堆積
し、不純物拡散を行って導電性とし、前述のドライエッ
チング装置を用いて、多結晶シリコン膜76をCl2
スを用いたドライエッチングによりパターニングして、
所要の容量を有するトレンチキャパシタを構成した。
【0130】最後に、炭素膜マスクを用いて形成したト
レンチキャパシタと、SiO2 膜或いはSiO2 とSi
Nとの積層構造からなるマスクを用いて形成したトレン
チキャパシタとを比較したところ、炭素膜マスクを用い
て構成したトレンチキャパシタにおいて、高い絶縁耐圧
で低リーク電流特性とすることが可能であった。 〈実施例4〉次に、本発明の第4の実施例について説明
する。
【0131】この実施例では、銅(Cu)等のドライエ
ッチングにおいてエッチングマスクとして、炭素膜を用
いた方法について述べる。即ち、Cu等のハロゲン化合
物は蒸気圧が低く、イオン等の高いエネルギー衝撃や高
い基板温度がエッチングに必要となるため、レジスト等
の有機質材料に代えて炭素膜をマスクとして用いる方法
である。
【0132】まず、図6に示した実施例2の場合と同様
に、SiO2 膜12上にCu膜(800nm)13をス
パッタリング法により形成した。その後、図6(b)に
示す如く、炭素膜14を200nm厚さに上記と同様の
スパッタリング法により形成した。
【0133】次いで、図6(c)から(f)に示したの
と全く同一工程により炭素膜14のパターニングを行
い、炭素膜14上のレジスト15を剥離し、図6(f)
に示すような構造を得た。
【0134】次いで、図6(g)に示すように、炭素膜
14をマスクとして用いCu膜13のドライエッチング
を行った。エッチング装置は、実施例1に示したマグネ
トロンを載置した反応イオンエッチング装置を用いた。
エッチングガスとしてCl2 (総量100SCCM)、圧力
0.5Pa、高周波電力1.7W/cm2 、基板温度を
200〜400℃まで変化させた。
【0135】ここで、比較のために、Cu膜上に通常の
有機レジストを形成し、基板温度を上昇させたところ、
光硬化処理を施したレジストにおいても、基板温度16
0℃以上ではレジストパターンが熱により劣化すること
が判明した。一方、炭素膜をマスクパターンとした場
合、基板温度400℃においてもパターンの劣化は観察
されなかった。
【0136】上記構造についてドライエッチングを行っ
たところ、基板温度250℃では、Cuはエッチングは
されるものの、残渣が発生した。しかし、基板温度を3
00℃以上に上昇させてエッチングしたところ、図6
(g)に示す如く、ほぼ垂直な形状にてCuをエッチン
グすることが可能であり、また残渣の発生は全く観察さ
れなかった。
【0137】このときのCuのエッチング速度は400
nm/min、炭素膜のエッチング速度は100nm/
min、Cuと炭素膜とのエッチング選択比は4であ
る。従って、炭素膜は300℃以上という高温において
も、ハロゲンガスを用いた反応性イオンエッチングの良
好なエッチングマスクとして作用するという耐熱性を有
するために、Cuのようなハロゲン化合物の蒸気圧が低
い材料においても高精度のエッチングが可能となる。 〈実施例5〉次に、本発明の第5の実施例について説明
する。
【0138】この実施例では、MOS型半導体集積回路
におけるトランジスタのドレイン領域を低濃度及び高濃
度の拡散領域を二重構造とした、いわゆるLDD(Ligh
t Doped Drain )構造に炭素膜マスクを適用する方法に
ついて説明する。
【0139】図12は、本実施例に係わるMOSトラン
ジスタの製造工程を示す断面図である。まず、図12
(a)に示すように、p型シリコン基板91に、選択酸
化によりフィールド酸化膜92を形成した後、熱酸化処
理を施して、フィールド酸化膜92で分離された島状の
素子形成領域表面に厚さ15nmのゲート酸化膜93を
形成した。続いて、全面に厚さ400nmの多結晶シリ
コン膜を堆積し、PoCl3 の雰囲気中でリン拡散を行
って該多結晶シリコン膜にリンをドープし低抵抗化させ
た後、フォトエッチング技術によりパターニングしてゲ
ート電極94を形成した。
【0140】次いで、図12(b)に示すように、熱酸
化処理を施して、ゲート電極94の上面及び側面に厚さ
100nmの酸化膜95を形成した。その後、ゲート電
極94及び酸化膜95をマスクとして、拡散係数の比較
的小さい砒素を加速電圧35keV、ドーズ量1×10
14cm-2の条件でイオン注入し、活性化して基板91表
面にゲート電極94に対して自己整合的にn- 型拡散領
域96a、96bを形成した。
【0141】次いで、図12(c)に示すように、全面
に厚さ200nmの炭素膜98をスパッタリング法によ
り堆積した。スパッタリングには、実施例1に示したマ
グネトロン型スパッタリング装置を用い、Arガスをス
パッタリングガスとして、炭素のターゲット(純度99.9
99%)をスパッタリングし、炭素膜98を形成した。形
成した炭素膜98の純度を二次イオン質量分析法(SI
MS)を用いて分析したところ、炭素以外の元素に関し
てはSIMSの検出感度以下(〜1615atms/cm3
であった。
【0142】次いで、図12(d)に示す如く実施例1
にて用いたドライエッチング装置を用い、O2 ガス(流
量100SCCM)圧力7Pa、高周波電力0.8W/cm
2 、基板温度−30℃にて、上記炭素膜98の反応性イ
オンエッチング法により全面のエッチングを行った。こ
の反応性イオンエッチングにより、ゲート電極94の側
面に対応する酸化膜95に炭素膜98からなる壁体10
0を形成した。
【0143】この場合のエッチング速度を測定したとこ
ろ、炭素膜98のエッチング速度は300nm/min
であったのに対して、SiO2 膜93のエッチング速度
は6nm/minであった。従って、SiO2 膜93を
消失させないで炭素膜98からなる壁体100を形成す
ることが可能であった。
【0144】一方、比較のために、従来から使用されて
きたSiO2 からなる壁体の形成を行った。前述した炭
素膜の形成工程と同様に図12(c)に示すように、全
面に厚さ200nmのSiO2 膜(98′)を堆積し、
反応性イオンエッチング法により全面エッチングを行っ
た。
【0145】しかし、エッチング速度のウェハ面内での
均一性を考慮すると、SiO2 膜93と全面に堆積した
SiO2 膜98′とのエッチング速度が等しいために、
SiO2 膜93を消失させないで、ウェハ面内全域に渡
って、SiO2 膜98′から構成される壁体100を形
成することは不可能であった。
【0146】次いで、図12(d)に示すように、ゲー
ト電極94,酸化膜95及び壁体100をマスクとし
て、砒素を加速電圧40keV、ドーズ量5×1015
-2の条件でイオン注入し、活性化して基板91表面に
壁体100に対して自己整合的に、n- 型拡散領域96
a,96bより高濃度のn+ 拡散領域99a,99bを
形成した。このとき、炭素膜98からなる壁体100
は、砒素のイオン注入条件にて、十分な阻止能力を有し
ているために、自己整合的に拡散層99a,99bを形
成することは容易であった。
【0147】この工程によって、n- 型拡散領域96a
及びn+ 型拡散領域99aからなるソース領域が形成さ
れると共に、n- 型拡散領域96b及びn+ 型拡散領域
99bからなるドレイン領域が形成された。即ち、LD
D構造が実現されることになる。
【0148】次いで、図12(e)に示すように、全面
にCVD−SiO2膜102を堆積し、このCVD−S
iO2 膜102及びゲート酸化膜93等にフォトエッチ
ング技術によりコンタクトホール103を開孔した。そ
の後、Al膜を堆積してパターニングを行うことによ
り、ソース、ドレイン領域のn+ 型拡散領域99a,9
9b及びゲート電極94とコンタクトホール103を通
して接続する、Al配線104,105,106を形成
してnチャンネルMOSトランジスタICを製造した。
【0149】上記工程において、炭素膜98を用いた壁
体100の劣化及び壁体100から他の領域への炭素膜
98の拡散等は全く観察されなかった。また、上記nチ
ャンネルMOSトランジスタの特性を評価したところ、
ホットキャリアの発生を抑制し、ドレイン電界を緩和し
た良好なトランジスタ特性を高い生産率をもって得るこ
とができた。
【0150】また、比較のために用いた従来型のSiO
2 膜からなる壁体を有するMOSトランジスタの特性を
評価したところ、良好なトランジスタ特性が得られる生
産率は極めて低いものであった。この原因を分析したと
ころ、ゲート酸化膜であるSiO2 膜93が壁体形成時
のエッチングにより消失していることに起因することが
判明した。
【0151】従って本実施例によれば、炭素膜98を用
いた壁体100を形成することにより、LDD構造を有
する高性能で高信頼性のMOSトランジスタを高効率に
て生産することが可能であった。 〈実施例6〉次に、本発明の第6の実施例について説明
する。
【0152】この実施例では、リソグラフィ工程におけ
る露光マスク、特に位相シフタを有した露光マスクの製
造工程に炭素膜を適用した例について説明する。図13
は、本実施例に係わる露光マスクの製造工程を示す断面
図である。
【0153】まず、図13(a)に示すように、透光性
の石英基板(厚さ約2.3mm)200の表面にスパッ
タリング法により、膜厚100nmのCr薄膜からなる
半透明の膜201を形成した。続いて、実施例1〜5に
て記述した如く、Cr薄膜201上に炭素膜204をス
パッタリング法にて50nm堆積した後、炭素膜204
上にレジスト205を塗布し、EB露光を用いたリソグ
ラフィ工程によりレジスト205をパターニングした。
【0154】次いで、図13(b)に示すようにレジス
ト205をマスクとして、実施例1〜5で述べたドライ
エッチング技術により炭素膜204の加工を行った。エ
ッチング工程は、実施例2に記述したようにH2 ガス
(100SCCM流量)を用い、圧力1.5Pa、高周波電
力1.7W/cm2 、基板温度25℃にて、前述のドラ
イエッチング装置を用いて行った。これにより、レジス
トパターンに対して、炭素膜204を垂直に加工するこ
とが可能であった。
【0155】この場合、被エッチング材料である炭素膜
204が厚さ2.3mmの厚い石英基板200上に形成
されているために、石英基板200の温度が200℃程
度まで上昇する。被エッチング物である炭素膜204が
薄いために、上記エッチングにおいては、レジストパタ
ーンの劣化なく炭素膜204のドライエッチングが可能
であった。
【0156】次いで、炭素膜204上のレジスト205
を、CF4 /O2 ガスを用いたダウンフロー型アッシン
グ装置によりアッシングして除去した。アッシング条件
は実施例2に示したように流量CF4 /O2 =15/5
00SCCM、圧力0.8Torr、アッシング時間は2分であ
った。これにより、炭素膜204及びCr薄膜201に
全く損傷を与えない(Cr薄膜については表面が若干酸
化された)でレジスト205を除去することが可能であ
った。
【0157】次いで、上記のドライエッチング装置を用
い、炭素膜204をエッチングマスクとしてCr薄膜2
01のパターニングを行った。エッチングには、エッチ
ングガスとしてCH2 ClとO2 とを主成分とした混合
ガスを用いた。このときのエッチング圧力は1.5P
a、パワーは0.8W/cm2 、基板温度は25℃であ
る。これにより、Cr薄膜201を残渣なく、垂直にエ
ッチングすることが可能であった。
【0158】このエッチングにおいても基板温度は上昇
するが、炭素膜204をマスクとした場合、炭素膜20
4の形状が熱のために変形或いは劣化しないために、C
r薄膜201の高精度の加工が可能であった。
【0159】その後、炭素膜204を前述した如くO2
ガスを用いたプラズマエッチングにより除去した。この
際、Cr薄膜201の極く表面が酸化され、表面にCr
酸化物が形成されたが、光学的な透過率等を評価したと
ころ、透過率等には殆ど変化がなく、マスク材料として
は問題がないことが判った。また、石英基板200には
何らダメージは生じないことを確認した。
【0160】次いで、図13(c)に示すように、露光
光に対して位相シフタとなる膜厚約300nmの酸化シ
リコン膜202を堆積する。ここで、位相シフタとして
の酸化シリコン膜202の膜厚は、180℃位相がずれ
るような値となっている。
【0161】次いで、酸化シリコン膜202の上に前述
の如く炭素膜206をスパッタリング法により50nm
堆積した。続いて、レジスト207を塗布し、EB露光
を用いたリソグラフィ工程によりレジスト207をパタ
ーニングした。
【0162】次いで、図13(d)に示すように、レジ
スト207をマスクとして前述の如くドライエッチング
技術により炭素膜206のエッチングを行い、炭素膜2
06の垂直な加工を行った。その後、CF4 /O2 ガス
を用いたダウンフロー型アッシングによりレジスト20
5を除去した。
【0163】次いで、図13(e)に示すように、前述
のドライエッチング装置にて、エッチングガスとしてC
HF3 ガスを用いて、反応性イオンエッチングによりS
iO2 膜203の加工を行った。
【0164】エッチング条件は、パワー1.4W/cm
2 、圧力40mTorrである。この場合、エッチング中の
基板温度は250℃以上に上昇する。比較のためにエッ
チングマスクとしてレジストからなるパターンを形成
し、レジストパターンをマスクとして上記石英基板20
0上に形成されたSiO2 膜203のドライエッチング
を上記と同一条件にて行ったところ、エッチング中の温
度上昇によりレジストパターンが変形し、さらにレジス
ト分解物が多量に発生するため、高精度のSiO2 膜2
03のエッチング加工を実現することは不可能であっ
た。
【0165】また、レジスト分解物より発生するゴミが
多量に付着,残渣していることも判明した。一方、炭素
膜206をエッチングマスクとして用いた場合において
は、前記エッチング中の温度上昇にて炭素膜206を全
く変形しなく、耐熱性に優れたドライエッチングマスク
として作用するので、高精度のSiO2 膜203の加工
が可能であった。またエッチング後のゴミを評価したと
ころ全く観察されなかった。
【0166】最後に、炭素膜206を除去することによ
り、図13(e)に示すような位相シフタ露光マスクが
完成する。
【0167】このようにして形成した露光用マスクをN
A=0.42の投影レンズを有するKrFエキシマステ
ッパーに装置し、図14(a)に示すようにエキシマレ
ーザ光を照射し、図14(d)に示すような被処理基板
上700に塗布された0.5μm厚のノボラック系ポジ
レジスト(PR−1024)701を露光した。
【0168】この場合、図14(b)(c)に示す如く
位相シフタを通過した光は位相が180°ずれており、
この光振幅と位相シフタのない部分を通過した光の振幅
が2つの透過部の境界で互いに打ち消し合うために、2
つの透過部の境界部の光強度は0となり、2つの透過部
よりウェハ上に形成されるパターンを分離することが可
能であった。
【0169】従って、図14(d)に示すように0.2
μmのパターンが極めて高精度に再現性よく得られた。
また、マスクの欠陥検査を行ったところ白黒の欠陥とも
に観察されなかった。ちなみに、炭素膜をマスクとして
用いず、レジストをマスクとして用いて作成した露光マ
スクでは所望のパターンが形成されておらず、露光マス
クとして使用することはできなかった。
【0170】位相シフタを用いた露光マスクにおいてマ
スク構造は種々提案されているがシフタ材料である例え
ばSiO2 の微細加工には、ドライエッチング技術が必
須である。しかし、石英基板は厚く形成されているため
に、エッチング中の基板の冷却は極めて困難になる。
【0171】従って、エッチング中の温度上昇は回避困
難であり、エッチングマスクとして有機質であるレジス
トを用いた場合には、耐熱性に乏しいため、レジストパ
ターンが変形劣化し、高精度のパターン形成及びゴミの
ない高信頼性マスクを得ることはできないことが判っ
た。
【0172】一方、マスク材料として、耐熱性に優れた
種々の無機材料を用いることも可能であるが、これらの
材料の高精度の加工は極めて困難である。例えば、エッ
チング条件によっては、エッチング中の温度上昇により
前述の如くレジストが劣化するために、高精度の加工が
不可能である場合も生じる。
【0173】さらに、SiO2 等をマスクとして用いた
場合、このマスクを除去する工程において、例えばCF
4 /O2 ガスを用いたエッチング又はHF等のウェット
エッチング処理を施した場合には、位相シフタであるS
iO2 或いは石英基板も損傷を受け、マスク材料のみを
選択的に除去することは困難である。従って、高精度の
露光マスクを得ることはできない。
【0174】〈実施例7〉次に、本発明の第7の実施例
として、半導体装置における上層金属配線と下層金属配
線との接続部(VIAコンタクト)を形成する工程にお
いて、炭素膜をエッチングマスクとして適用した例につ
いて、図15,図16及び図17を用いて説明する。
【0175】まず、図15(a)に示すように、素子が
形成された半導体基板401上に堆積された第1の層間
絶縁膜402上に、第1金属配線層403として、例え
ばAl合金配線膜(Si:1%,Cu:0.5%)を8
00nm程度スパッタ法により堆積する。さらに、第2
の層間絶縁膜として、低温プラズマCVD(気相成長)
装置でTEOS(テトラエトキシシラン)等を用いてS
iO2膜404を堆積する。
【0176】続いて、実施例1〜6で詳述した如く、S
iO2 膜404上にスパッタ法により炭素膜300を2
00nm堆積する。この炭素膜上300にフォトレジス
ト405を堆積し、通常のフォトリソグラフィ工程によ
り、第2の層間絶縁膜404の接続孔形成予定部上のみ
フォトレジスト405を除去する。
【0177】次いで、図15(b)に示す如く、フォト
レジスト405をマスクとして、実施例2で詳述した如
く、H2 ガスを用いたドライエッチング技術により炭素
膜300を異方性エッチングする。次いで、図15
(c)に示す如く、実施例2と同様、CF4 /O2 ガス
を用いたダウンフロー型アッシングにより、レジスト4
05をエッチング除去した。
【0178】次いで、図15(d)に示す如く、実施例
1〜6で用いたドライエッチング装置を用い、反応性イ
オンエッチング法により前述のSiO2 膜404を第1
の金属配線403が露出するまで異方性エッチングし、
接続孔406を形成した。
【0179】このときのエッチングには、エッチングガ
スとしてCHF3 ガスを用い、パワー1.4W/c
2 、圧力40mTorr、ガス流量20SCCM、基板温度1
50℃とした。SiO2 膜のエッチング速度を測定した
ところ、エッチング速度は200nm/minであっ
た。このときの形状をSEMにて観察したところ、形状
はほぼ垂直であった。しかし、エッチング時の基板温度
を100℃以下に下げることによって、SiO2 膜40
4のエッチング形状はテーパ状にすることが可能であっ
た。
【0180】エッチング形状が垂直の場合においては、
エッチング側面にわずかの堆積物408が形成されるが
エッチング時の基板温度を下げ、テーパ形状にした場
合、堆積物408は全く観察されなかった。
【0181】次いで、実施例2で述べたように、O2
スプラズマエッチングにより炭素膜300を除去した。
次いで、図15(e)に示すように、スパッタリング法
により、全面に第2金属配線層407(例えばAlSi
Cu膜)を堆積し、これをパターニングして第2の金属
配線407を形成した。
【0182】ここで、比較のために、従来の製造方法で
あるレジストをエッチングマスクとして用いてVIAコ
ンタクトを形成した。
【0183】まず、図16(a)に示す如く、素子が形
成された半導体基板401上に堆積された第1の層間絶
縁膜402上に、Al合金配線としてAlSiCu膜4
03(Si:1%,Cu:0.5%)を800nm程度
スパッタ法により堆積し、さらに第2の層間絶縁膜とし
て、低温プラズマCVD法によりSiO2 膜404を堆
積した。これまでの工程は図15で示したものと全く同
一である。
【0184】次いで、SiO2 膜404上にフォトレジ
スト(1.6μm厚)405を堆積し、通常のフォトリ
ソグラフィ工程により第2の層間絶縁膜404の接続孔
形成予定部上のみレジスト405を除去する。次いで、
図16(b)に示す如く、レジスト405をマスクとし
て、前述した如く同一条件にてSiO2 膜404を第1
の金属配線403が露出するまでCHF3 ガスを用いて
異方性エッチングして接続孔406を形成した。
【0185】このとき、基板温度を150℃とした場
合、SiO2 膜404の形状は、ほぼ垂直であった。し
かし、通常のO2 プラズマアッシングによりレジスト4
05の除去を行ったところ、図16(b)に示す如くS
iO2 膜404の側壁にフェンスと呼ばれる堆積物40
8が、図15で示した如く炭素膜300を用いたプロセ
スと比較して、多量に形成されていることが判明した。
エッチング時の基板温度を下げ、テーパ形状にした場
合、堆積物408は全く観察されなかった。
【0186】次いで、図16(c)に示すようにスパッ
タリング法により全面に第2の金属配線層であるAlS
iCu膜407を堆積し、これをパターニングして第2
の金属407を形成した。
【0187】次に、炭素膜をマスクとして用いたプロセ
ス(図15)とレジストをマスクとして用いたプロセス
(図16)により形成したVIAコンタクトの腐食特性
を評価した。評価は実施例2にて記述したように大気に
長時間放置し、チップ内で生じた腐食量を顕微鏡観察に
より調べることにより行った。図9に示すようにレジス
トをマスクとして用いたプロセスでは多量の腐食(コロ
ージョン)の発生が観察された。一方、カーボンを付着
したものは1週間放置してもコロージョンは全く認めら
れなかった。
【0188】この要因を調べるために、VIAコンタク
ト開孔後のウェハを純水に浸し、イオンクロマトグラフ
ィ法による分析を行ったところ、図17に示すように不
純物として、Cl及びFが検出された。特に、炭素膜マ
スクに比べレジストをマスクとして用いたものはF及び
Clの量が高いことが判明した。
【0189】即ち、コロージョンの要因としては、接続
孔開口終了後に大気中に放置しておくと、第1金属配線
層403とその表面に存在するF及びClを含む不純物
と空気中の水分によりF- 及びCl- イオンが形成され
る。水分中にこれらのイオンが含まれると水は電解質と
なり、次のような反応が容易に生じる。
【0190】 Al+3Cl- →AlCl3 +3e- 2AlCl3 +6H2 O→2Al(OH)3 +6H+ +6Cl- この反応が一度始まると、生成されるClによって、第
1金属配線層403のAlSiCuの腐食が促進される
と考えられる。
【0191】また、エッチングが下層の第1金属配線4
03の表面まで達すると、第1金属配線中に含まれる金
属やマスク材料(405或いは300)、SiO2 膜4
04に含まれる原子がスパッタされ、これらの物質は接
続孔406の側面や接続孔406の底面に付着する。こ
れらの付着物はO2 アッシングにより除去できないため
に、アッシング後、例えば側面での堆積物(フェンス)
408が生じる。これは、後工程での上層の第2の金属
配線層407のスパッタ時にオーバーハング形状が生じ
て配線等の問題が生じる。
【0192】これに対して、エッチングマスクとして炭
素膜を使用した場合、レジストをマスクとして用いた場
合に比べ、プラズマエッチング中の分解物が少ないため
に、VIA側壁での堆積物を減少させることが可能であ
る。従って、上記した配線の段切れという問題は生じな
い。また、レジストをマスクとして用いた場合、レジス
ト除去後、空気中の水分との反応によりイオンが形成さ
れ、コロージョンが多量に発生する。これに対し、炭素
膜マスクでは、予め、レジストが除去されているため
に、コロージョンは殆ど生じない。
【0193】さらに、炭素膜はSiO2 膜に対して高い
ドライエッチング選択比を示すために、マスクとしての
膜厚を薄くすることが可能である。従って、エッチング
時におけるアスペクト比を低減することができるため
に、エッチング速度のパターン寸法依存性(パターン寸
法の狭いパターンではエッチング速度が低下する)、い
わゆるマイクロローディング効果を低減させることが可
能であった。
【0194】従って、本実施例のように炭素膜マスクを
用いることにより、高精度にてVIA開孔が可能とな
り、高信頼性を有する配線の形成が可能であった。 〈実施例8〉次に、本発明の第8の実施例として、半導
体装置における金属配線のコンタクト孔を開孔する工程
において、炭素膜をエッチングマスクとして適用した例
について、図18を用いて説明する。
【0195】まず、図18(a)に示すように、面方位
(100)のSi基板501上に不純物を導入して拡散
層502を形成する。次いで、図18(b)に示すよう
に、CVD法によりSiO2 膜を300nm程度堆積し
た後、SiO2 膜上にBPSG(ボロン,リン硅化ガラ
ス)を600nm程度堆積し、低温リフロー工程を経て
表面を平坦化し、層間絶縁膜503を形成する。
【0196】次いで、層間絶縁膜503に以下のように
して開孔を形成する。この工程においては、図18
(c)に示したように、層間絶縁膜503上にフォトレ
ジストを堆積し、通常のフォトリソグラフィ技術により
開孔しパターニングしたレジストを層間絶縁膜503の
エッチングマスク504として用い、実施例7で示した
ものと同一のドライエッチング技術により層間絶縁膜5
03を開孔したものと、実施例7で示したように、図1
5(a)〜(d)の工程により、炭素膜をマスク504
として層間絶縁膜503を開孔したものを作成した。
【0197】次いで、レジスト及び炭素膜等のマスク5
04を除去した後、開孔部に拡散層502が露出したコ
ンタクト孔506を埋め込むように、配線用の金属膜で
あるAlSiCu薄膜505をスパッタ法により全面に
堆積した。
【0198】このようにして形成したコンタクト孔の特
性を評価したところ、レジストをマスクとしてコンタク
トを開孔したものは、コンタクト抵抗の増大,接合破
壊,コンタクト抵抗のばらつき,さらにAlSiCu配
線の腐食が生じた。腐食に関しては、図9に示したよう
にコンタクト部で放置時間とともに腐食量の増加が観察
された。これに対し、炭素膜をマスクとして用いたもの
は、接触抵抗の増大等の劣化及び腐食の発生はみられな
かった。
【0199】これは、レジストマスクを用いた場合、反
応性イオンエッチング中に生じるレジストからの分解物
中の不純物がコンタクト孔中に付着し、電気的特性の劣
化を引き起こすためと考えられる。一方、炭素膜を用い
た場合はエッチング選択比が高いため、エッチング中に
おける炭素膜の劣化が少ない。さらに、コンタクト孔中
に付着した場合、マスクからの付着物は炭素であるた
め、腐食等の発生がなく、電気的特性を引き起こすこと
はないと考えられる。
【0200】また、エッチングガスとして、前述の如く
CHF3 等の炭素を含有したハロゲンガスを用いた場合
は、ガス自体中にも炭素が含まれており、マスク材料か
らの炭素が特に電気的特性の劣化を生じさせることはな
い。 〈実施例9〉次に、本発明の第9の実施例として、炭素
膜をマスクとしてSiO2 膜のエッチングを行った例に
ついて、図19を用いて説明する。
【0201】まず、Si基板601上にSiO2 膜60
2を熱酸化により0.8μm堆積する。次いで、実施例
2で示した如く、炭素膜(膜厚200nm)603をス
パッタ法により形成した後、通常のフォトリソグラフィ
技術により所望パターンのレジスト604を形成した。
【0202】次いで、図19(a)に示すように、H2
ガスを用いたドライエッチング技術により、上記フォト
レジスト604(膜厚1μm)をマスクとして炭素膜6
03の垂直加工を行い、CF4 /O2 ガスを用いたダウ
ンフローアッシングにより残存するレジスト604を除
去した。これにより、図19(b)に示すように、Si
2 膜602上に炭素膜603のパターンを形成した。
【0203】次いで、図19(c)に示すように、実施
例1〜8にて記述したドライエッチング装置を用いて、
SiO2 膜602のドライエッチングを行った。エッチ
ングには、エッチングガスとして、CHF3 とCOガス
との混合ガスを用いた。パワー1.4W/cm2 、圧力
40mTorr 、ガス流量20SCCM、基板温度を−50℃か
ら300℃まで変化させてエッチングした。
【0204】基板温度に対するSiO2 膜602のエッ
チング形状をSEMにて測定したところ、基板温度の上
昇とともにテーパ形状から垂直形状まで変化することが
判明した。また、このときSiO2 膜のエッチング速度
200nm/minに対し、Siのエッチング速度は6
nm/min、このときのSiO2 とSiのエッチング
選択比は30以上のものが得られた。
【0205】次いで、図15(d)に示すように、O2
プラズマエッチングにより炭素膜603を選択的に除去
し、テーパ形状から垂直形状に至るSiO2 膜602の
高精度の加工が可能であった。
【0206】比較のために、レジストをマスクとして、
前述と全く同一の条件にてSiO2 膜602のエッチン
グを行ったところ、基板温度−50℃から150℃まで
はテーパ形状から垂直形状に向い、加工形状を制御する
ことが可能であった。しかし、基板温度を150℃以上
に上昇させた場合、レジストパターンが熱により変形す
るために、所望のパターン寸法のパターンを高精度にて
加工することは不可能であった。また、垂直形状のSi
2 膜をSiとの高選択比を保ちながら形成させること
は不可能であった。
【0207】さらに、基板温度が150℃以下で、レジ
ストパターンの熱による劣化が観察されない領域におい
ては、垂直なパターン形成は得られない。また、レジス
トパターンとSiO2 との選択比が約15と低く、さら
には、レジスト膜厚に対する開口寸法(アスペクト比)
がパターン寸法0.5μmのところでは3以上と大き
く、図20に示す如く、マイクロローディング効果によ
り、高精度のパターンを得ることができなかった。
【0208】一方、炭素膜をマスクとして用いた場合
は、炭素膜とSiO2膜とのエッチング選択比が20以
上と高く、パターン寸法0.5μmに対して炭素膜厚は
0.2μm以下(スペクト比0.4以下)にすることが
可能であるため、マイクロローディング効果の少ない、
高精度のエッチングが可能となった。 〈実施例10〉次に、本発明の第10の実施例につい
て、図面を参照して説明する。図21及び図22は、そ
の工程断面図である。
【0209】まず、図21(a)に示す如く、シリコン
基板800上に酸化シリコン801を形成し、これに図
示の如く段差を形成したのち、この上層にスパッタリン
グ法によりAlSiCu薄膜802(膜厚0.8μm)
を形成した。その後、実施例1に示す如く、AlSiC
u表面をO2 プラズマにより酸化した後、炭素膜803
(膜厚0.2μm)を形成し、C/AlSiCu/Si
2 /Si構造からなる試料を製作した。
【0210】次いで、図21(b)に示す如く、C/A
lSiCu薄膜を加工するために、レジスト804を3
層レジスト法により加工する。
【0211】即ち、スピンコート法により膜厚3μmの
感光性樹脂層からなる下層レジストを塗布する。ここで
は、下層レジストとして、ノボラック樹脂とナフトキノ
ンジアゾスルホン酸エステルを5:1で混合し、更に光
反射防止用色素を10%混入させたレジストをエチルセ
ロソルブアセテートに溶解したものをスピンコート法に
より塗布して用いた。そして、この下層レジストに対し
て90℃、5分のベーキングを行い、段差部の平坦化を
実現した。
【0212】次いで、この下層レジスト上に中間層とし
て膜厚100nmのSOG膜をスピンコートし、上層に
ノボラック系ポジレジスト(PR−1024)を0.5
μm塗布し、厚さ1.5μmの上層レジストを塗布し、
90℃,5分のベーキングを行った後、マスクを通して
g線で露光,現像してレジストパターンを開口した。続
いて、開口したレジストパターンをマスクとして、CF
4 /O2 混合ガスを用い、前述したドライエッチング装
置にて、SOG膜をエッチングし、SOGに所望のパタ
ーニングを行った後、SOG膜をマスクとして、図21
(b)に示すようにレジスト804を加工した。これに
より、パターン寸法0.5〜5μm、アスペクト比6〜
0.6を有するレジストパターン804の形成を行っ
た。
【0213】この工程により、シリコン基板上にSiO
2 801やAlSiCu薄膜802により生じた段差形
状部を平坦化した後、レジスト膜の露光を行うので、上
記パターン寸法を有したレジスト804のパターンを段
差部においても高精度で形成することが可能となる。
【0214】次いで、図21(c)に示すように、上記
ドライエッチング装置を用い、O2 ガスにて炭素膜80
3を垂直加工し、パターン寸法0.5〜5μmの炭素膜
803の加工を行った。
【0215】次いで、ダウンフロー型のエッチング装置
にて、CF4 /O2 ガスを用い、レジストパターン(3
層レジスト)804をアッシングした。このアッシング
処理により、図22(a)に示すように、3層レジスト
は全て除去されるが、炭素膜803及び下層のAlSi
Cu薄膜802は全くエッチングされなかった。
【0216】次いで、図22(b)に示すように、エッ
チングしてパターニングされた炭素膜803をマスクと
して、下地のAlSiCu薄膜801をドライエッチン
グした。エッチング装置は実施例2にて前述したドライ
エッチング装置を用い、圧力1.5Pa、高周波電力1
W/cm2 、基板温度25℃にて、Cl2 /BCl3
混合ガスを放電させ、反応性イオンエッチングによりA
lSiCu薄膜802を120秒間エッチングした。
【0217】このエッチング工程においては、実施例2
で記述したように炭素膜とAlSiCu薄膜802との
エッチング選択比が約10と大きいために、炭素膜80
3はエッチング除去されず、AlSiCu膜802を垂
直加工することが可能であった。
【0218】次いで、図22(c)に示すように、通常
のO2 ガスを用いたプラズマエッチングにより炭素膜マ
スク803の除去を行った。この工程により形成された
AlSiCu薄膜パターンをSEMにて評価したとこ
ろ、種々の段差形状部に渡ってパターン寸法0.5〜5
μmのパターンが高精度に形成されていることが判明し
た。さらに、光学顕微鏡を用いて残渣物の観察したとこ
ろ、残渣は全く認められなかった。
【0219】また、実施例7にて説明したように、大気
に放置し、腐食(コロージョン)の評価を行ったとこ
ろ、図9に示したものと同様、予めレジストパターンを
除去するために、レジスト中に含まれる不純物がAlS
iCu膜のエッチングパターン中に付着しないので、一
週間経ても、コロージョンの発生は全くみられなかっ
た。
【0220】さらに、AlSiCu膜のエッチングにお
いて、エッチングマスクとして膜厚200nmの炭素膜
パターンを用いるので、アスペクト比が0.2〜2にな
る。従って、3層レジスト804を用いた場合のアスペ
クト比0.6〜6に比べて大幅に低減される。
【0221】従って、図20に示すように、エッチング
速度のパターン寸法依存性(マイクロローディング効
果)は殆どなかった。エッチング速度のパターン寸法依
存性をデバイス素子寸法精度から考慮した場合、デバイ
ス寸法精度のスペック(3σ/x)<10%であること
が必要である。図20に示す如く、エッチング速度のパ
ターン寸法依存性特性により、上記スペックはアスペク
ト比2より小さいことが必要である。このようなアスペ
クト比は、本実験における炭素膜マスクを形成すること
により容易に達成することが可能であった。
【0222】さらに、通常の3層レジストをマスクとし
てAlSiCuをエッチングした場合、アスペクト比が
高く、レジスト分解物とAlSiCuのエッチング生成
物との堆積物がレジストパターン側面に多量に付着し、
アッシング後、これらに起因する残留物が多量に生じ
る。この残留物をAlSiCuパターンに損傷を与えな
いで、完全にとり除くことは不可能であった。しかし、
この実施例においては図20(f)に示したように、エ
ッチングマスクが炭素膜であるため、アスペクト比が低
く、さらに炭素膜とAlSiCuとのエッチング生成物
との堆積物がエッチング側面に形成されない。従って、
2 プラズマアッシングにより、残留物なく完全にレジ
ストパターンの除去が可能であった。
【0223】従って本実施例では、断面形状垂直の線幅
0.5μmの高精度Al膜のエッチングが段差形状部に
おいても実現できた。 〈実施例11〉次に、本発明の第11の実施例につい
て、図23を参照して説明する。
【0224】この実施例では、薄膜トランジスタ(TF
T)の製造工程に炭素膜を適用した例について説明す
る。この実施例は、第6の実施例と同様、透光性絶縁基
板上に素子を形成する際の反応性イオンエッチング用マ
スクとして耐熱効果の大きな炭素膜を用いたものであ
る。
【0225】まず、例えばガラス基板からなる厚さ数mm
の透明性絶縁基体501上に、スパッタリング法により
厚さ約200nmのMo或いはMoTa合金等の金属膜
を形成する。続いて、スパッタリング法により炭素膜4
0nmを形成した後、フォトレジストパターンを形成す
る。その後、実施例1〜10で述べた如く、レジストを
マスクとして炭素膜パターンを反応性イオンエッチング
RIEにより形成し、ホトレジストパターンを選択的に
剥離する。
【0226】次いで、炭素膜パターンをマスクとして用
い上記金属膜のRIEを行い、図23(a)に示すよう
なゲート電極502を形成する。この際、炭素膜パター
ンを形成せず、レジストパターンをマスクとして、金属
膜のRIEを行った場合、実施例7で示したように基板
501の厚さが数mmと厚いために充分基板の冷却がで
きない。従って、RIE中の基板温度が200℃以上ま
で上昇するので、レジストパターンが熱のために変形
し、高精度の加工はできない。
【0227】一方、炭素膜の加工においても、同様のR
IEを行っているが、炭素膜の膜厚が40nmと薄いの
で、エッチング中にレジストの劣化は生じない。炭素膜
パターンをマスクとして金属膜502のRIEを行った
場合、炭素膜マスクパターンは十分な耐熱性を有してい
るために、基板温度上昇により変形することなく、良好
なRIEが可能である。
【0228】次いで、O2 ガスを用いたプラズマエッチ
ングにより炭素膜を除去した後、図23(b)に示すよ
うに、プラズマCVDにより第1のゲート絶縁膜である
SiNx 膜503を約300nm堆積する。
【0229】次いで、図23(c)に示すように、厚さ
200nmのITO(Indium Tin Oxide )等の透明導
電膜をスパッタリング法により堆積させ、前述の如く炭
素膜によるマスクパターンをマスクとしてRIEし、画
素電極509を形成する。
【0230】次いで、図23(d)に示すように、ゲー
ト電極502の位置するところに、非晶質シリコン(a
−Si)の半導体膜(膜厚100nm)504を形成
し、フォトレジストパターンをマスクとしてRIEによ
りパターニングした。
【0231】次いで、図23(e)に示すように、上記
非晶質シリコン膜504上にプラズマCVD法により第
2の保護膜であるSiNx 膜(膜厚200mn)を形成
し、図23(b)と同様に炭素膜をマスクパターンとし
て、RIEによりゲート電極502上に位置するように
保護膜505を形成する。
【0232】次いで、図23(f)に示すように、非晶
質シリコン膜504及び後述するソース・ドレイン電極
とのオーミック接触を得るために、n+ 非晶質シリコン
膜(膜厚50nm)508を形成し、前述の如くレジス
トパターンをマスクとして、RIE加工しパターニング
した。
【0233】最後に、図23(g)に示す如く、スパッ
タリング法等を用いて、Mo膜を約50nm、その上に
Al膜を約1μm形成し、ソース電極506とともに画
素電極509に接続するドレイン電極507を形成す
る。ソース電極506及びドレイン電極507は、図2
3(b)の工程で示した如く、炭素膜マスクパターンを
Al/Mo膜上に形成し、炭素膜をマスクとしてRIE
した。その後、炭素膜マスクをO2 プラズマエッチング
により剥離した。
【0234】以上のような工程により、石英基板501
上に画素電極509を設けたTFTが完成する。
【0235】このようなTFTの形成工程では、ゲート
電極502,保護膜505及び電極膜のパターン形成を
実現するためにRIEを用いる。しかし、RIE中に基
板温度が上昇し、レジストパターンをこれらのエッチン
グマスクとして使用した場合は、熱のためにパターンが
変形し、微細なパターンの高精度な加工はできない。し
かし、炭素膜からなるパターンを形成し、RIEマスク
として用いることにより、高精度な加工が実現できた。
【0236】また、基板温度上昇に伴い、レジストから
は種々の不純物が発生し、ゴミ等の発生要因となってい
たが、炭素膜は高純度であるため、エッチング中のガス
発生量が極めて小さく、ゴミの発生も少ない。従って、
歩留りが向上し、信頼性の大きなTFTを高生産率を持
って得ることが可能であった。 〈実施例12〉次に、本発明の第12の実施例として素
子間の分離領域を形成する例について示す。図24は、
その工程を示す断面図である。
【0237】まず、図24(a)に示すように、例えば
p型の比抵抗10Ωcmのシリコンウェハ基板901上
に炭素膜902をマスクとするパターンを形成する。炭
素膜のパターン方法は、実施例1〜11で述べた如く、
レジストパターンをマスクとして、反応性イオンエッチ
ング法により垂直加工した。
【0238】次いで、図24(b)に示す如く、実施例
3で述べた如く、Cl2 とSiCl4 の混合ガスを用い
た反応性イオンエッチングにより、炭素膜902をマス
クとしてシリコンウェハ901を選択エッチングし、幅
1μm、深さ0.5μmの溝903を形成する。
【0239】次いで、図24(c)に示す如く、溝90
3の内壁にB+ 等のイオンを加速電圧30keV,ドー
ズ量5×1013cm-2でイオン注入し、p型の反転防止
層904を形成した。
【0240】さらに、図24(d)に示す如く、炭素膜
902をO2 ガスを用いたプラズマエッチングにより除
去した後、溝903内部にSiO2 膜905をCVD法
等により埋めこんで、素子分離領域906を形成した。
【0241】実際の半導体装置では、その後、例えば図
24(e)に示すように、前記形成された素子分離領域
906の両側には、基板901表面にn-層907が形
成され、さらにその上に酸化膜908を介して多結晶シ
リコン電極909が形成されてMOSキャパシタ910
が構成される。さらに、基板901表面にソース、ドレ
インとなるn- 層911,ゲート酸化膜912及び多結
晶シリコンゲート電極913が形成されて、MOSFE
Tが構成される。
【0242】この工程において、反応性イオンエッチン
グのためのエッチングマスクとして作用するマスクパタ
ーンをレジスト膜で形成した場合、レジスト膜中に含有
される不純物がプラズマにより分解され、溝部903の
内部に付着する。これらの付着した不純物は、後の洗浄
工程等では完全に除去できない、或いは弗酸を含有する
ウェットエッチング液等にて長時間エッチングすると溝
部側面903表面が荒れ損傷を受けるので、MOSFE
Tを形成した場合表面準位密度が増大し、少数キャリア
の生成効率を増加させる要因となる。
【0243】また、図24(d)に示したように、レジ
スト膜もO2 ガスを用いたプラズマエッチングにより除
去可能であるが、上記レジスト膜剥離工程中に、レジス
ト膜中の不純物が溝部903に付着し、これも、デバイ
スの特性を劣化させる要因となる。
【0244】一方、炭素膜は極めて高純度(SIMS分
析により炭素以外の元素は検出されない)のマスク材料
であるために、RIE或いはO2 ガスプラズマエッチン
グ中に溝部903或いは反転防止層904を汚染するこ
とはない。従って、良好なMOSFETの形成が可能と
なる。
【0245】また、エッチングマスクとして、SiO2
膜を用いた場合、例えばRIE終了後、SiO2 マスク
パターンを除去するために弗素を含有するガスを用いて
エッチング除去すると、例えば図24(c)に示す如く
溝部903の反転防止層904が除去されたりし、溝部
903に弗素等が付着されるのでデバイス特性を劣化さ
せる要因となる。
【0246】これらを回避するために、図24(d)に
示す如く、溝部903をCVD法等によって埋め込んだ
後、SiO2 マスクパターン902を剥離する方法も考
えられるが、溝部903を埋め込む場合、SiO2 膜の
厚さだけ溝部のアスペクト比が増大するので、微細な溝
になるに従い埋め込みが困難となり、溝部にボイドが形
成されたりし、デバイス特性に劣化をもたらす。
【0247】これらの結果から、炭素膜をエッチングマ
スクパターンに用いた本実施例を、ダイナミックメモリ
に適用すれば、デバイスへの信頼性が飛躍的に向上し、
キャパシタの保持特性が大幅に向上する。
【0248】以上説明した実施例1〜12においては、
平行平板電極を有したマグネトロン型の反応性イオンエ
ッチング装置を用いているが、マイクロ波を印加したE
CR放電を用いた反応性イオンエッチング装置、又はマ
イクロ波若しくは電子線を印加することによって生成さ
れた放電プラズマ下で被エッチング基体に電圧を印加し
た反応性イオンエッチング装置を用いてもよい。
【0249】また、炭素膜の形成方法として、スパッタ
リング法を用いてきたが、真空蒸着法を用いて形成して
もよい。実施例1及び実施例2において、AlSiCu
膜のエッチングにおいて、エッチングガスとしてCl2
とBCl3 の混合ガスを用いたが、Br2 、HBr、B
Br3 等の臭素を主成分とするハロゲンガスや、上記C
2 を主成分とするガスとの混合ガスをエッチングに使
用することも可能である。さらに、上記ガス中に、A
r、Kr、Xe、He、Neなどの希ガスを導入しても
かまわない。
【0250】実施例では、AlSiCu膜のエッチング
について述べたが、AlSiCu/TiN/Ti等のバ
リアメタルとの積層構造のエッチングに適用することも
可能である。さらに、AlSiCu膜エッチングにおい
て、レジストを剥離した後、被処理基体を清浄する工程
を施した後、AlSiCu膜をエッチングするようにし
てもよい。その他、タングステン或いはモリブデン等の
高融点金属、又は高融点金属硅化物等に適用することも
可能である。
【0251】AlSiCuのエッチングにおける圧力,
高周波電力密度,基板温度等は、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で種々変形して実施することができる。炭素膜
を剥離する工程において、円筒型のプラズマエッチング
装置を用いているが、平行平板型電極を有したエッチン
グ装置を用いてもよい。
【0252】レジスト膜を炭素膜に対して選択的に剥離
する工程において、CF4 /O2 ガスを用いたダウンフ
ロー型アッシング装置を用いているが、エッチングガス
として、SF6 、NF3 等、少なくともフッ素を含有し
ているガスと酸素との混合ガスであればよい。
【0253】実施例3及び12において、Si基板に溝
を穿設している工程において、エッチングガスとしてC
2 とSiCl4 との混合ガスを用いているが、Cl2
とHBr等、臭素を含むガスを添加してもよく、少なく
ともCl2 を主成分とするガスであればよい。
【0254】実施例6においては、リソグラフィに用い
る露光マスク或いはTFTの形成のために、石英基板を
用いているが、透光性に優れていれば、誘電体基板を用
いてもよい。露光マスクにおいて不透明なパターンとし
てCrを用いたが、酸化クロム或いはモリブデン硅化物
等の高融点金属硅化物を用いてもよい。
【0255】さらに、上記露光マスクの製造工程におい
て、不透明なパターンとしてCrを選択した。本実施例
において用いたCr膜の膜厚が100nmと薄いため、
本実施例においては、レジストをマスクとしてCrをエ
ッチングした。しかし、この不透明のエッチングプロセ
スにおいても、エッチング条件及びエッチング物の膜厚
さらに材質に応じ、炭素膜をマスクパターンとしてエッ
チングするプロセスを適用してもよい。
【0256】実施例9において、SiO2 膜のエッチン
グガスとしてCHF3 とCOとの混合ガスを用いている
が、少なくともフッ素を含有する炭化水素ガスであれば
他のガスを用いてもよい。また、H2 ガスを上記ガス中
に添加した混合ガスを用いてもよい。
【0257】また、上記露光マスクの製造プロセスにお
いて、レジスト膜を剥離して炭素膜からなるマスクパタ
ーンにてエッチングを行っているが、エッチング条件に
応じてレジストを除去しないで、レジストが被着した炭
素膜パターンをマスクとしてエッチングを行ってもよ
い。
【0258】同様にして、厚い基板上でのエッチング工
程(TFT製造工程)においても、非晶質Siの膜厚が
薄いため、レジストをマスクとしてエッチングを行った
が、エッチング条件等に応じて、レジストを剥離し、炭
素膜をマスクパターンとしてエッチングする或いは、レ
ジストを除去しないでレジストが被着した炭素膜パター
ンをマスクとしてエッチングを行ってもよい。
【0259】さらに、AlSiCu膜,Si基板,Si
2 膜のエッチングにおいて、実施例ではエッチング
後、マスクとして用いた炭素膜は剥離したが、場合によ
っては炭素膜を除去しないで、そのまま残してその後の
プロセス工程を施しても構わない。 〈実施例13〉次に、本発明の第13の実施例につい
て、図25を参照して説明する。
【0260】先ず、図25(a)に示すように、面方位
(100)のシリコン半導体基板1000上に不純物を
導入して拡散層1002を形成する。次に、CVD法
(化学気相成長)によりSiO2 膜を300nm程度、
SiO2 膜上にBPSG膜(ボロン・リン・硅化ガラ
ス)を600nm程度堆積し、低温リフロー工程を経て
表面を平坦化し層間絶縁膜1001を形成する。
【0261】次に、層間絶縁膜1001を異方性エッチ
ングで選択的に開孔して拡散層1002の一部上面が露
出するコンタクト孔を形成する。
【0262】次に、金属ターゲットを用いたスパッタ法
によって、配線用の金属薄膜、例えばTiN/Ti膜
(70/20nm)とAlSiCu膜(800nm)の
積層構造膜1003を順次堆積する。
【0263】次いで、図25(b)に示す如く、有機薄
膜、例えばノボラック樹脂1004を全面に2.0μm
程度塗布し、コンタクト孔を完全に埋め込む。
【0264】次いで、図25(c)に示す如く、O2
スを用いた反応性イオンエッチング技術により、ノボラ
ック樹脂1004を層間絶縁膜1001の表面まで異方
性エッチング(エッチバック)した。
【0265】このときのエッチングには、マグネトロン
載置の反応性イオンエッチング(RIE)装置を用い、
2 ガス流量100SCCM、圧力6Pa、高周波電力1.7
W/cm2 、基板温度25℃において行なった。
【0266】ノボラック樹脂のエッチング速度を測定し
たところ、エッチング速度は1.5μm/min であった。
又、このときのコンタクト孔の断面をSEMにて観察し
たところ図25(c)に示す如く、コンタクト孔が完全
にノボラック樹脂にて埋め込まれ、さらに、コンタクト
孔におけるノボラック樹脂の上面と層間絶縁膜1003
の上面とが一致しており、平坦化されていることが判明
した。
【0267】次いで、図25(d)に示すように、スパ
ッタ法により炭素膜1005をAlSiCu膜1003
上に堆積した。炭素膜の膜厚は200nmである。
【0268】次に、炭素膜1005上にフォトレジスト
1006を膜厚1.6μm 塗布し、通常のリソグラフィ
技術を用いて、レジスト1006を露光し、現像するこ
とによりレジストパターン1006を形成した。
【0269】この工程では、現像液としてアルカリ性有
機溶液を用いたが、現像時に炭素膜105、AlSiC
u膜1003、ノボラック樹脂膜1004の溶出、剥離
などの問題は生じなかった。
【0270】次いで、図25(e)に示すように、マグ
ネトロン載置のRIE装置を使用し、エッチングガスと
してO2 あるいはH2 を用いて、被エッチング材料であ
る炭素膜1005をレジストパターン1006をマスク
としてエッチングした。
【0271】エッチングガスにO2 を用いた場合、エッ
チング条件はO2 ガス流量100SCCM、圧力1.5Pa、
高周波電力を1.7W/cm2 印加し、基板温度を−75
℃に保持した。
【0272】このとき、炭素膜1005が約300nm
/minでエッチングされたのに対して、レジスト1006
は約1.0μm/min であり、炭素膜1005とレジスト
1006との選択比は約0.3であった。エッチングさ
れた炭素膜1005の形状をSEMにて観察したところ
ほぼ垂直形状が得られた。
【0273】また、エッチングガスとしてH2 を用いた
場合では、H2 ガス流量100SCCM、圧力1.5Pa、高
周波電力1.7W/cm2 、基板温度25℃にて、炭素膜
1005が33nm/min、レジスト1006が670n
m/minでエッチングされた。この場合も、エッチングし
た炭素膜の形状はほぼ垂直であった。
【0274】次に、炭素膜1005に対して選択的にレ
ジスト1006を除去した。レジストパターンのエッチ
ングには、マイクロ波励起を用いたダウンフロー型のエ
ッチング装置を用いた。エッチング条件は、エッチング
ガスとしてCF4 とO2 との混合ガスを用い、CF4
2の流量は15/500SCMM一定とした。圧力は0.
3Torrに保持し、基板温度は室温に保った。マイクロ波
を印加(電力600W)して放電を生じさせ、エッチン
グを行なった。
【0275】このエッチングによりレジストは、0.8
μm/min でエッチングされるのに対して、炭素膜、Al
SiCu膜は全くエッチングされない。
【0276】次いで、図25(f)に示す如く、マグネ
トロン載置のRIE装置を用いて、カーボン膜1005
をマスクとしてAlSiCu膜とTiN/Ti膜の積層
構造膜1003の選択エッチングを行なった。エッチン
グ条件は、基板温度を50℃に保持し、エッチングガス
としてCl2 /BCl3 との混合ガス(流量100SCC
M)を用いた。エッチング圧力は1.5Pa、高周波電力
は0.8W/cm2 である。
【0277】これより、AlSiCu膜1003が35
0nm/minでエッチングされるが、炭素膜1005は約
25nm/minであり、選択比14が得られた。このとき
の形状をSEMにより評価したところ、テーパ角88°
でAlSiCu膜1003はテーパ形状であることが分
った。
【0278】最後に、図25(g)に示す如く、バレル
型のプラズマエッチング装置を用いて、O2 プラズマア
ッシング処理を施した。
【0279】これにより、炭素膜及びコンタクトホール
内に埋め込まれていたノボラック樹脂は容易に剥離され
ることが確認できた。又、AlSiCu膜のパターン端
等にフェンス等の残留物は全く残っていなかった。
【0280】次に、低温プラズマCVD法によりSiO
2 膜からなる絶縁膜1007を堆積し、AlSiCu膜
パターン間の埋め込みを行なった。SEMにて、この断
面形状を観察したところ、0.5μm ラインアンドスペ
ースのAlSiCu膜パターンにSiO2 膜1007が
完全に埋め込まれることが判明した。
【0281】フェンスが生じない要因としては、AlS
iCuエッチングのマスクが炭素膜であり、炭素膜のエ
ッチング速度が小さく、エッチング生成物の量が少ない
ことと炭素膜から生じるエッチング生成分とAlSiC
uのエッチング生成分とは容易に反応しない。アスペク
ト比が小さい為、パターン側壁での付着物量が極めて少
ない為と考えられる。
【0282】上記プロセスにより形成されたAlSiC
u/TiN/Ti積層構造上に対してエッチングを行な
った(図25(f))。
【0283】更に、この実施例においては、AlSiC
u膜のエッチングにおいてエッチングマスクとして膜厚
200nmの炭素膜パタ−ンを用いているので、パタ−
ンのアスペクト比が0.2〜2.0となる。従って、従
来のフォトレジストをマスクとして用いた場合のアスペ
クト比1.6〜16に比べ、大幅に低減される。エッチ
ング速度のパタア−ン寸法依存性(マイクロロ−ディン
グ効果)は、上記プロセスにおいては全く見られなかっ
た。 〈実施例14〉次に、本発明の第14の実施例として、
半導体装置における上層金属配線と下層金属配線との接
続部(VIAコンタクト)を形成する工程において、図
26に示した工程断面図を用いて説明する。
【0284】まず、図26(a)に示すように、素子が
形成された半導体基板上に堆積された第1の層間絶縁膜
1100上に、第1の金属配線層1101として例えば
AlSiCu膜(膜厚8000A)1101をスパッタ
法により堆積する。
【0285】さらに、第2の層間絶縁膜として、低温プ
ラズマCVD(気相成長)装置でTEOS(テトラエト
キシシラン)等を用いてSiO2 膜1102を堆積す
る。
【0286】次いで、SiO2 膜1102上にフォトレ
ジスト(膜厚1.6μm )を堆積し、通常のフォトリソ
グラフィ工程により、第2の層間絶縁膜202の接続孔
形成予定部上のみレジストを除去し、このレジストをマ
スクとして、SiO2 膜1102を第1の金属配線11
01が露出するまで異方性エッチングし、ビアコンタク
トを開孔した。
【0287】次いで、スパッタリング法により全面に第
2の金属配線層であるTiN/Ti(膜厚700/20
0A)1103及びAlSiCu膜(膜厚0.8μm )
1104を順次堆積した。
【0288】次いで図26(b)に示すように、ビアコ
ンタクトホール部を埋めるべく、全面に有機薄膜、例え
ばノボラック樹脂1105を膜厚2.0μm 程度塗布し
た。又、ノボラック樹脂中の溶媒を除去すべく、250
℃、2分間のベーキング処理を施し、ノボラック樹脂か
らなる平坦化層1105を形成した。
【0289】次いで、図26(c)に示すように、炭素
膜1106の堆積を行なった。炭素膜1106の堆積に
は、平行平板型のプラズマエッチング装置を用い、カソ
ード電極にウエハを保持し、ガスとしてCOを用い、圧
力20mTorr 、高周波電力1.4W/cm2 、基板温度2
5℃、ガス流量100SCCMにて放電させ、炭素膜(膜厚
2000A)1106をノボラック樹脂膜1105上に
堆積した。このときの炭素膜の堆積速度は、150A/m
inであった。
【0290】次いで、図26(d)に示すように、炭素
膜1106上にフォトレジスト1107を膜厚1.6μ
m 塗布し、通常のリソグラフィ技術を用いてレジスト1
107を露光し、現像することによりレジストパターン
1107を形成した。
【0291】次いで、図26(e)に示すようにマグネ
トロン載置のRIE装置を使用し、エッチングガスとし
てO2 を用いて、レジストパターン1107をマスクと
して炭素膜1106及びノボラック樹脂膜1105のエ
ッチングを行なった。
【0292】エッチング条件は、O2 ガス流量100SC
CM、圧力6.0Pa、高周波電力1.7W/cm2 印加し、
基板温度を−50℃に保持した。
【0293】このとき、炭素膜1105は約3000A
/minでエッチングされたのに対してレジスト1106は
約1.0μm/min 、ノボラック樹脂1105は約1.0
μm/min でエッチングされた。このエッチングにより上
層のレジスト1107はほとんどエッチングされ、炭素
膜1106とノボラック樹脂1105から構成されるパ
ターンが形成された。
【0294】このエッチング形状をSEMにて観察した
ところ、垂直形状のパターンであることが判明した。
【0295】次いで、図26(f)に示すように、マグ
ネトロン載置のRIE装置を用いて、カーボン膜110
6/ノボラック樹脂膜1105をマスクとして、AlS
iCu膜1104及びTiN/Ti1103積層構造膜
のエッチングを行なった。
【0296】エッチング条件は、実施例13と同様で、
圧力1.5Pa、高周波電力0.8W/cm2 、基板温度5
0℃、エッチングガスとしてCl2 とBCl3 の混合ガ
ス(流量100SCCM)を用いた。
【0297】エッチングの形状をSEMにて観察したと
ころ、テーパ角88°で、AlSiCu膜1103及び
TiN/Ti膜がテーパ形状でエッチングされているこ
とが分った。
【0298】最後に、図26(g)に示す如く、バレル
型のプラズマエッチング装置を用いて、O2 ガスによる
プラズマアッシングを施した。
【0299】これより、炭素膜1106及びノボラック
樹脂層1105は容易に剥離されることが確認できた。
【0300】次に、低温プラズマCVD法によりSiO
2 膜からなる絶縁膜1107を堆積し、AlSiCu膜
パターン間への埋め込みを行なった。
【0301】SEMにてこの断面形状を観察したところ
0.5μm ラインアンドスペースのAlSiCu膜パタ
ーンにSiO2 膜1108が完全に埋め込まれているこ
とを確認した。
【0302】又、AlSiCu膜のパターンにフェンス
等の残留物は全く観察されなかったが、この要因として
は、実施例13で前述したように、AlSiCu膜エッ
チング中のマスクが炭素膜であり、炭素膜のエッチング
速度が小さく炭素膜から生じるエッチング分解物の付着
量が従来のフォトレジストに比べ非常に少ない為と考え
られる。
【0303】又、塗布するノボラック樹脂1105の膜
厚を励起する(少なくともヴィアコンタクト部が全て埋
め込まれていればよい)ことにより、アスペクト比を
2.5以下にすることが可能であり、マイクロローディ
ング効果を大幅に低減可能である。
【0304】これらの結果から、炭素膜をエッチングマ
スクパターンに用いた本実施例を半導体集積回路用配線
構造工程に適用すれば、デバイスへの信頼性が飛躍的に
向上することがわかる。
【0305】実施例13及び14では、有機薄膜100
4、1005としてハロゲン原子等を含有しないことが
望ましい。
【0306】以上説明した実施例13及び14では、有
機薄膜の堆積方法として回転塗布法を用いているが、ダ
ウンフロー型プラズマCVD装置あるいは平行平板型の
プラズマCVD装置を用い、基板温度を冷却し、制御
し、ガスとして有機質モノマー等を導入することによ
り、コンタクトホールやビアホールの溝の底面より順に
堆積が生じる液相CVD法を利用することにより、溝部
にハロゲン原子等を含有しない有機質薄膜を堆積させる
ことが可能となる。
【0307】更に、実施例13では有機薄膜のエッチバ
ックを行なっているが、膜厚の制御あるいは上述の液相
CVD法を用いることにより、エッチバックを用いない
で、コンタクト孔やビアホールのみを埋め込むことが可
能である。
【0308】実施例13ではコンタクトホール、実施例
14ではビアホールについての適用を記述したが、それ
ぞれどちらの構造にたいしてもこれらの実施例を適用し
てもよい。又、実施例1ではシリコン半導体基板上で行
なわれたが、ウエル領域上でもよく拡散層は基板と同一
導電型でも逆導電型でもかまわない。
【0309】実施例13,14においては、有機膜11
05によりコンタクト孔やビアホールを埋め込んだ後、
炭素膜1106を形成したが、その逆に、図26(h)
に示すように、全面に炭素膜1106を被着した後、全
面に有機膜1105を形成し、更にこの有機膜1105
をエッチバックして表面を平坦化し、その後、その上に
レジストパタ−ン1107を形成してもよい。
【0310】実施例13,14においては、平行平板電
極を有したマグネトロン型の反応性イオンエッチング装
置を用いているが、マイクロ波を印加したECR放電を
用いた反応性イオンエッチング装置、又はマイクロ波若
しくは電子線を印加することによって生成された放電プ
ラズマ下で、被エッチング基体に電圧を印加した反応性
イオンエッチング装置を用いてもよい。
【0311】又、炭素膜の形成方法として、スパッタリ
ング法あるいはCOガスを用いたCVD法を用いてきた
が、真空蒸着法を用いて形成してもよい。
【0312】更に、炭化水素ガスを用いたプラズマCV
D、光CVD、又は電子線CVDによって形成してもよ
い。
【0313】更にまた、形成した有機質薄膜表面にイオ
ン注入する、あるいはプラズマ、電磁波、荷電粒子を照
射し、これらの有機質薄膜表面を改質し、例えば炭化さ
せてもよい。
【0314】また、有機ガスに電磁波(レーザ、光、X
線)や荷電粒子(イオン電子)を照射したCVD法を用
いて全面に堆積あるいは選択堆積させてもよい。
【0315】実施例13,14において、AlSiCu
膜のエッチングにおいて、エッチングガスとしてCl2
とBCl3 の混合ガスを用いたがBr2 、HBr、BB
3 等の臭素を主成分とするハロゲンガスや、Cl2
主成分とするガスとの混合ガスをエッチングして使用す
ることも可能である。
【0316】更に上記ガス中にAr、Kr、Xe、H
e、Neなどの希ガスを導入してもかまわない。
【0317】実施例13,14では、AlSiCu/T
iN/Ti等のバリアメタルの積層構造のエッチングに
ついて述べたが、AlSiCu膜あるいは他の高融点金
属材料、高融点金属材料の窒化物、高融点金属硅化物と
の積層構造、更に多結晶シリコン、絶縁物等、半導体材
料全てに適用することも可能である。
【0318】更に、金属膜のエッチングにおいて、レジ
ストを剥離した後、被処理基体を清浄する工程を施した
後、AlSiCu/TiN/Ti膜をエッチングするよ
うにしてもよい。
【0319】AlSiCuあるいは炭素膜のエッチング
における圧力、高周波電力密度、基板温度等は本発明の
要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することがで
きる。
【0320】炭素膜を剥離する工程において、円筒型の
プラズマエッチング装置を用いているが、平行平板型電
極を有したエッチング装置を用いてもよい。
【0321】レジスト膜を炭素膜に対して、選択的に剥
離する工程において、CF4 /O2 ガスを用いたダウン
フロー型アッシング装置を用いているが、エッチングガ
スとして、SF6 、NF3 等、少なくともフッ素を含有
しているガスと少なくとも酸素を含有しているガス(例
えばH2 O)との混合ガスであればよい。
【0322】有機薄膜として、ノボラック樹脂を用いた
が、他の有機質材料を用いてもよい。 〈実施例15〉図27は、本発明の第15の実施例に係
わるAl合金膜パターンの形成工程を示す断面図であ
る。まず、図27(a)に示すように、Si基板120
1上にSiO2 膜1202を形成し、このSiO2 膜1
202上にAlSiCu(Si濃度1wt%、Cu濃度
0.5wt%)薄膜1203を堆積する。次いで、図2
7(b)に示す如く、薄膜1203上に炭素膜1204
(膜厚200nm)を形成する。
【0323】ここで、炭素膜1204はマグネトロンス
パッタリング装置にて堆積した。スパッタリング前の真
空度は10-8Torr台であり、スパッタリングガスとして
Arガスを用い、Arガスを5×10-3Torrまで導入し
た後、高周波電力1kWで炭素ターゲットをArイオン
にてスパッタリングすることにより堆積した。堆積膜の
厚さは、スパッタリング時間を変化させることにより制
御可能であった。しかし、AlSiCu薄膜1203上
に上記方法にて炭素膜1204を形成したところ、Si
基板上部分的に炭素膜1204が剥れるという現象が生
じた。
【0324】従って、AlSiCu薄膜1203と炭素
膜1204との密着性を向上させるために、炭素膜堆積
前に、AlSiCu薄膜表面を酸素ガスを用いたプラズ
マに晒すことにより、AlSiCu薄膜表面の改質を行
った。酸素ガスプラズマ処理をしたAlSiCu膜と処
理をしないAlSiCu膜とをオージェ電子分光法(A
ES)により分析したところ、プラズマ処理を実施した
AlSiCu膜では表面の酸素濃度の増大が観察され
た。
【0325】次に、酸素ガスプラズマ処理を施したAl
SiCu膜上に前述した如く同一条件にて、炭素膜(2
000nm厚)の堆積を行った。炭素膜堆積後、膜の剥
がれを観察したところ、Si基板上全域に渡って、炭素
膜の剥がれは見当たらなかった。形成した炭素膜の結晶
構造を明らかにするため、X線回析法(XRD)による
膜分析を行ったところ、膜は非晶質構造であることが判
明した。さらに、二次イオン質量分析法(SIMS)に
より形成した炭素膜を分析したところ、炭素以外の他の
不純物原子は、膜中にてAES法の検出感度以下である
ことが判明した。次いで、図27(c)に示すように、
炭素膜1204上にフォトレジスト1205(膜厚1.
6μm)を塗布し、通常のリソグラフィ技術を用いて、
レジスト1205を露光した。続いて、図27(d)に
示す如く、レジスト1205を現像して、レジストパタ
ーン1205を形成した。この図27(d)に示す工程
では、現像液として、アルカリ性有機溶済を用いたが、
現像時に炭素膜1204の溶出,剥離などの問題は生じ
なかった。
【0326】次いで、図27(e)及び(f)に示すよ
うに、レジストパターンをマスクとして、RIEにて、
炭素膜1204及びAlSiCu膜1203を選択エッ
チングし、AlSiCu膜1203をパターニングし
た。
【0327】上記、図27(e)及び(f)の工程につ
いて詳細に説明する。まず、図28を用いて、この実施
例に適用したドライエッチング装置から説明する。
【0328】この装置は、エッチング室1320,導入
用予備室1330及び排出用予備室1340から構成さ
れており、エッチング室1320と導入用予備室133
0及び排出用予備室1340との間は、ゲートバルブ1
331及び1341によりそれぞれ仕切られている。そ
して、エッチング室1320を真空に保持したまま、導
入用予備室1330に配置されたゲートバルブ1332
から被処理基体を導入し、排出用予備室1340に配置
されたゲートバルブ1342から被処理基体を排出する
ことにより、大気中の水分や酸素等の悪影響を避けるこ
とができるようになっている。また、予備室1330,
1340内には、基板載置台1333及び1343がそ
れぞれ設置されている。
【0329】エッチング室1320は、真空容器132
0a内に配置された被処理基板1321を載置するため
の第1の電極1322と、この第1の電極1322に1
3.56MHzの高周波電力を印加すべく、ブロッキン
グキャパシタ1329を介して接続された高周波電源1
324と、第1の電極1322を冷却し、被処理基板1
321の基板温度を所望の温度に制御するための冷却管
1325とを具備している。
【0330】また、塩素ガス(Cl2 )供給ライン13
28a,三塩化硼素(BCl3 )供給ライン1328
b,臭化水素ガス(HBr)供給ライン1328c,酸
素ガス(O2 )供給ライン28d,不活性ガス(He、
Ar或いはKr)供給ライン1328e,水素ガス(H
2 )供給ライン1328f及び一酸化炭素(CO)供給
ライン1328gから、真空容器1320a内にC
2 ,BCl3 ,HBr,O2 ,H2 ,He(或いはA
r,Kr)を導入しつつ、第1の電極1322と第2の
電極を兼ねた真空容器1320aの内壁(上壁)との間
に高周波電圧が印加されるようになっている。
【0331】ここで、真空容器1320aはアースに接
続されている。ガス供給ライン1328a〜1328g
は、各々バルブと流量調整器1329a〜1329gを
具備し、流量及びガス圧を所望の値に調整できるように
なっている。
【0332】また、真空容器1320aの第2の電極部
分の上方には、永久磁石1326が設置されており、モ
ータにより回転軸1327のまわりで偏心回転せしめら
れ、この永久磁石1326の発する100〜500ガウ
スの磁界により10-3Torr台、又はそれ以下の高真空で
も高密度のプラズマを発生維持することが可能となるよ
うに構成されている。このようにして生成された高密度
プラズマから大量のイオンが引出され、被処理基板13
21に照射されエッチングが行われる。
【0333】次に上述のドライエッチング装置を使用
し、図27(e)に示す如く、O2 ガスを用い、基板温
度を−75℃に保持し、炭素膜1204をエッチングし
た。エッチング条件は、O2 ガス(流量100SCCM )、圧
力は40mTorr とし、高周波電力を17w/cm2 印加するよ
うにした。エッチングした炭素膜1204の形状をSE
Mにて観察したところ、炭素膜1204はほぼ垂直にエ
ッチング可能であることが判った。
【0334】次いで、図27(f)に示す如く、レジス
トパターン1205の除去を行った。エッチング装置と
マてダウンフロー型エッチング装置を用い、エッチング
ガスとして、CF4 /O2 混合ガスを用いた。CF4
2 の流量は15/500SCCM 一定とし、圧力0.3Torr に保
持した。温度は室温として、マイクロ波を印加して放電
を生じさせ、エッチングした。
【0335】レジスト剥離後、炭素膜パターン1204
をSEMにて観察したところ、図27(f)に示す如
く、レジストパターンは残存物が生じず完全に除去可能
であった。
【0336】次いで、図27(f)に示す如く、炭素膜
1204をエッチングマスクとして、AlSiCu膜1
203の選択エッチングを行った。このAlSiCu膜
1203のエッチングにおいても、前述したドライエッ
チング装置を用いた。
【0337】エッチング条件は、基板温度50℃に保持
し、エッチングガスとして、Cl2 とBcl3 との混合
ガス(流量100SCCM )あるいは、Cl2 とHBrあるい
はCl2 とBBr3 の混合ガス(流量100SCCM )を用い
た。推積ガスとしてCO(流量0〜100SCCM )を用い
た。
【0338】エッチング圧力は、2.0pa 、RF電圧密度
0.8 w/cm2 でエッチングを行なった。
【0339】図29は、推積ガスCOの流量を変化させ
て、エッチングした膜のエッチング速度及び形状を測定
した結果を示す図である。CO流量が0SCCMの時を
0%、100SCCMの時を100%として示す。この
ときの圧力は、2.0pa 、RF電力は0.8 w/cm2 ガスC
2 /BCl3 混合ガス(流量50/50SCCM)、基板温度
50℃である。CO流量増加とともに、AlSiCu膜パ
ターンのテーパ角が90°から77°まで変化し、CO流量
によって、形状を制御できることが判明した。カーボン
のエッチング速度は、CO流量にかかわらず、一定であ
るのにたいし、AlSiCu膜のエッチング速度は、C
O流量の増加とともにわずかであるが減少した。
【0340】しかし、炭素にたいするAlのエッチング
選択比は、CO流量100 %の場合でも10であり、高選択
比が得られることが分かった。
【0341】また、エッチング後、残存物を光学顕微鏡
にて、観察したところ、CO流量50%までは全く、残存
物はみられなかったが、50%以上では、残存物の発生が
観察された。
【0342】これにより、COの添加量は、エッチング
ガス流量の50%以下であることが有効であることが分か
った。
【0343】次に、エッチング圧力を1.0pa 〜10paまで
変化させ、高周波電力密度0.8 w/cm2 、基板温度50
℃、エッチングガスとしてCl2 とBCl3 の混合ガス
(流量50/50SCCM)にCOを約30%(30SCCM )添加
して、エッチングを行なった。
【0344】図30に圧力を変化させたときのAlSi
Cu及び炭素膜のエッチング速度、AlSiCu膜のテ
ーパ角を測定した結果を示す。
【0345】圧力の上昇とともにAlのエッチング速度
は増大する。逆に炭素膜のエッチング速度は減少した。
従って、圧力を上昇させることにより、選択比を大きく
することが可能であることが判った。一方、圧力を6.0p
a よりも上昇させるとエッチング後、残存物が生じるこ
とがわかった。しかし、COを全く添加しない場合、圧
力3.0pa 以上でエッチングしたAlSiCu膜パターン
にサイドエッチングが生じ、形状が逆テーパになること
が判明した。そこで、COを0〜5%まで添加し、エッ
チングを行ったところ、CO流量50%の下では、7paま
でサイドエッチングが生じなく順テーパ形状が得られる
ことが判った。
【0346】次に、エッチングガスとして、Cl2 とH
Brの混合ガス(Cl2 /HBr/50/50SCCM)を用
い、エッチングガス圧力を1.0pa 〜10paまで変化させ、
高周波電力密度2.5 w/cm2 、基板温度70℃でエッチン
グを行なった。
【0347】エッチング圧力6paにおいて、AlSiC
u膜のエッチング速度7000 オングストロウム/min 炭
素膜のエッチング速度700 オングストロウム/min が得
られ、残存物なく、テーパ形状でAlSiCu膜をエッ
チングできることが判明した。
【0348】しかし、エッチング圧力を7pa以上にする
とエッチングされたAlSiCu膜のパターン表面が荒
れ、高精度のエッチングができないことが分かった。そ
こで、上記条件において、総ガス流量の約30%COを添
加し、エッチングを行った。エッチングパターン形状は
テーパ角85°のテーパ形状であった。エッチングしたパ
ターンの側壁形態をSEMにて観察したところ、表面荒
れはなく、平滑な表面形態であることがわかった。上記
CO流量において、残存物の発生は全くみられなかっ
た。
【0349】エッチング後のAlSiCu膜パターンを
SEMにて観察したところ図27(g)に示すように0.
4 μm L/S(ラインアンドスペース)のパターンが良
好にエッチングされていることが判った。また、L/S
パターン端部でテーパ角を調べた結果、L/Sパターン
中央部と端部とでテーパ角に変化はなく、エッチング形
状は左右対称であることがわかった。
【0350】最後に、図27(h)に示す如く、炭素膜
1204の除去を行った。エッチング装置として通常の
バレル型プラズマエッチング装置を用いエッチングガス
としてO2 を用い、プラズマアッシング処理を施したと
ころ、炭素膜1204は容易に剥離されることが確認で
きた。
【0351】剥離後、AlSiCuパターンをSEMに
て評価したところ、Cl2 とBCl3 混合ガスあるい
は、Cl2 とHBrの混合ガスを用いた場合も、テーパ
形状でライン/スペースの線幅0.4 μm/0.4 μmのA
lSiCu膜が良好に形成されていることが判った。
【0352】また、AlSiCu表面には全く残存物は
観測されなかった。炭素膜のパターニング方法として、
レジストをマスクとして、H2 、不活性ガスや、これら
の混合ガスを用いて、炭素膜のドライエッチングを行な
ったが、上記ガスあるいは混合ガスのいずれを用いてエ
ッチングした場合も良好な炭素膜の加工が可能であり、
これらのプロセスを用いて形成されたAlSiCu薄膜
パターンについて良好な形状で残渣のないものを得た。
【0353】次にエッチング試料として、AlSiCu
/TiN/Ti/SiO2 の種層構造の薄膜にたいし
て、前述のCOを添加した条件で、エッチングした後、
炭素膜パターンを剥離した試料を大気中に放置し、腐食
の様子を光学顕微鏡により評価したところ、1週間放置
しても、コロージョンの発生を全く認められなかった。
【0354】〈実施例16〉次に本発明の第16の実施
例としてn+ Si膜パターンの形成方法について図31
を用いて説明する。図31は、本発明の一実施例方法に
係わるn+ Si膜のパターンの形成工程を示す断面図で
ある。
【0355】まず、図31(a)に示すようにSi基板
1401上にSiO2 膜1402を膜厚100 オングスト
ロウム形成し、このSiO2 膜1402上にCVD法に
より、膜膜3000オングストロームの多結晶シリコン膜1
403を堆積する。この多結晶シリコン膜1403中に
リンを拡散し、n+ 型の多結晶シリコン膜1403を形
成する。
【0356】図31(b)に示すように、スパッタリン
グ法により、炭素膜(膜厚1500オングストロウム)14
04を形成する。
【0357】次に、図31(c)に示すように、炭素膜
1404上にフォトレジスト1405(膜厚16μm)を
塗布し、通常のリソグラフィ技術を用いて、フォトレジ
スト55を露光した。続いて、図31(d)に示す如く、
レジスト1405を現像して、レジストパターン140
5を形成した。この図31(d)に示す工程では、現像
液として、アルカリ溶液を用いたが、炭素膜1404の
溶出、剥離などの問題は生じなかった。
【0358】次いで、図31(e)及び(f)に示すよ
うに、レジストパターンをマスクとして、前述のドライ
エッチング装置を使用して、RIEにて、炭素膜140
4及び、n+ Si膜1403を選択エッチングし、n+
Si膜1403をSiO2 膜1402に対してパターニ
ングした。
【0359】炭素膜1404のエッチングはO2 ガスを
用い、実施例15で述べたように基板温度を冷却してエ
ッチングし、垂直形状の炭素膜1404のパターニング
が可能であった。
【0360】次いで、図31(f)に示すように、レジ
ストパターン1405及び炭素膜1404をエッチング
マスクとして、n+ Si膜1403のエッチングを行っ
た。このn+ Si膜1403のエッチングにおいても前
述したドライエッチング装置を用いた。エッチング条件
は、圧力75mTorr に保ち、総量100SCCM 一定とし、Cl
2 ガス、SF6 ガス及びCOガスの分圧を変えた。ま
た、電極1322の温度は一30℃であり、高周波電力は
100 wである。
【0361】SF6 ガス(100 %)のもとでは、図32
(a)に示すようにn+ Si膜1403にアンダーセット
が発生する。そこで、SF6 ガス中にCOガスを添加
し、エッチング形状をSEMにより観察したところ、C
O(30%)以上の添加でアンダーカットはなくなり、図
32(b)に示すようにCOの添加量30〜70%では
ほぼ垂直な形状の加工が可能となる。
【0362】さらに、COの添加量を増加させた場合、
+ Si膜1403のパターンにすそひきが生じること
がわかった。また、CO(100%)のもとでは、図32
(c)に示すようにパターン側壁に堆積物1406が生
成する。従って、適度にCOの添加量を制御することに
より、n+ Si膜のパターン形状を制御することが可能
であることが判った。
【0363】次に、基板温度を上昇させてエッチングす
る為に、電極1322の温度60℃に保ち、反応容器の圧
力を150mTorr以下に保ち、臭化水素(HBr)ガスある
いは塩素(Cl2 )ガスにCOガスを添加しながらエッ
チングし、形状を評価した。
【0364】HBr(100 %)あるいはCl2 (100
%)でn+ Si膜1403をエッチングしたところ、図
32(a)に示す如く、パターンにアンダーカットが生
じた。そこでCOガスを添加したところ、COガス(15
〜60%)添加することにより、HBr、Cl2 あるい
は、HBr/Cl2 混合ガスにおいても、パターン形状
を垂直にエッチングすることが可能であることがわかっ
た。また、COガス添加量70%以上では、n+ Si膜の
エッチング速度が低下し、パターン形状もすそを引いた
り、堆積物の発生が観察された。
【0365】最後に図31(g)に示す如く、レジスト
パターン及び炭素膜パターン1404の除去を行った。
前述の如くエッチング装置としてダウンフロー型エッチ
ング装置を用いて、CF4 /O2 ガスにてレジストパタ
ーンのエッチングを行った後、通常のバレル型プラズマ
エッチング装置にてO2 ガスを用いて、炭素膜パターン
1404をエッチングすることにより、炭素膜パターン
1404は容易に剥離されることが確認できた。
【0366】剥離は、n+ Si膜パターンをSEMにて
評価したところ、垂直形状で0.1 μmの線幅のパターン
が良好に形成されていることが判った。
【0367】〈実施例17〉次に本発明の第17の実施
例について、タングステンのパターン形成方法について
図33を用いて説明する。
【0368】即ち、実施例16と同様に、図33(a)
に示すようにシリコン基板1501上に熱酸化により膜
厚10nmの酸化シリコン(SiO2 )膜1502を形
成した後、CVD法により膜厚150nmの多結晶シリ
コン膜1503を堆積する。この多結晶シリコン膜15
03中にリンを拡散し、n型の多結晶シリコン膜150
3を形成した後、さらにスパッタ法により膜厚200n
mのタングステン膜(w)1504を形成する。
【0369】そして、図33(b)に示すようにこの上
層にスパッタ法により、炭素膜(1500オングストロウ
ム)1505を形成する。次に、図33(c)に示すよ
うに、炭素膜1505上にフォトレジストを塗布し、通
常のリソグラフィ技術を用いて、フォトレジストパター
ン1506を形成する。
【0370】次に、図33(c)に示すように、フォト
レジストパターン1506をマスクとして、O2 ガスを
用いたRIE法により炭素膜1505を垂直形状に加工
する。
【0371】次に、図33(d)に示すように、レジス
トパターン1506及び炭素膜1505をエッチングマ
スクとして、W膜1504のエッチングを行った。この
W膜1504のエッチングにおいても、前述した図28
に示すドライエッチング装置を用いた。
【0372】エッチング条件は、基板温度を140 ℃に保
ち、反応容器内のガス圧力10mTorrで、Cl2 ガスある
いはSF6 ガスあるいはこの混合ガス中にCOを添加
し、添加量を変化させ、高周波電力100 wにて行った。
【0373】エッチング形状は、SEMにて観察した。
その結果、SF6 ガス(100 %)あるいはCl2 ガス
(100 %)のもとでは、図32(a)に示すようにW層
1504にアンダーカットが発生し、高精度のパターニ
ングができなかった。
【0374】エッチング電極温度を添加し、基板温度を
下げたところ、Cl2 ガス(100 %)では、垂直パター
ンが得られるものの、堆積物の発生が観察された。
【0375】また、SF6 ガス(100 %)で基板温度を
−30℃まで下げても垂直形状のパターンは、得られず、
パターンにアンダーカットが生じた。
【0376】そこで、SF6 ガスとCl2 ガスの混合ガ
スを用いてエッチングしたところ、基板温度145 ℃、C
2 とSF6 のガス分圧7対3において、図32(b)
に示すような垂直形状のパターニングが可能であった。
しかし、SF6 (100 %)の場合、Wのエッチング速度
が450nm/min であるのに対してCl2 /SF6
70/30においては、エッチング速度が200nm/min
まで減少する。さらに、ウェハ内でのエッチング速度の
分布を測定したところ、周辺部でのエッチング速度が速
く、均一性が極めて低い(3λ/x:平均のエッチング
速度=50%)ことがわかった。
【0377】また、周辺部でのエッチング速度が速い
為、下地材料であるn+ Si膜1503もエッチングさ
れてしまうことが判明した。
【0378】そこで、SF6 ガス(100 %)にCOを添
加し、エッチングを行った。COの添加量(30〜50%)
にて、基板温度150 ℃にて、W膜1504は図32
(c)に示す如く垂直形状にエッチングできることが判
った。同様にCl2 ガス(100 %)にCOガスを添加し
たところ、基板温度150 ℃にてCO(10〜30%)にて、
垂直形状のパターン形成が可能であった。
【0379】また、SF6 /Cl2 の混合ガス比を変化
させ、エッチング速度の均一化を計りながら、COガス
を添加していったところ、ウェハ内でのエッチング速度
分布(3λ/x=5%)で、垂直形状のパターンを得る
ことが可能であった。さらに、COガスを添加量に対す
るn+ Si膜1503のエッチング速度を調べたとこ
ろ、COガスの添加量に対して、W膜1504のエッチ
ング速度も除去に減少するが、n+ Si膜1503のエ
ッチング速度は大幅に減少することが判った。従って適
度にエッチング条件を選択することによりCOガス添加
により、n+ Si膜1503に対して、W膜1504を
選択的にエッチングすることが可能であることがわかっ
た。
【0380】次に図33(e)に示す如く、レジストパ
ターン1506をダウンフロー型エッチング装置にて、
CF4 /O2 ガスを用いてエッチングした後、通常のバ
レル型プラズマエッチング装置にてO2 ガスを用いて、
炭素膜パターン1505をエッチングすることにより、
マスクパターンの剥離を行った。
【0381】剥離後、W膜パターンをSEMにて評価し
たところ、垂直形状で0.5 μmの線幅のパターンが良好
に形成されていることが判った。
【0382】また、Wの膜パターニング後、実施例16
で示した如く下地のn+ Si膜1503をSiO2 膜1
502に対して選択することにより、W/n+ Si構造
を有するパターンの加工も高精度にて実現できることが
わかった。
【0383】〈実施例18〉次に、本発明の第18の実
施例について説明する。
【0384】この実施例は、炭素膜をSi基板のエッチ
ングマスクとして用いた例である。
【0385】図34は、炭素膜をエッチングマスクとし
て採用した、本実施例に係わるトレンチキャパシタの形
成工程を示す断面図である。
【0386】まず、図34(a)に示す如く、Si基板
1601上に実施例15−17で述べたように上層にレ
ジストパターン1602、下層に炭素膜パターン160
3より成るマスクパターンを形成した。炭素膜の膜厚は
200nmである。次いで、図34(b)に示す如く、
反応性イオンエッチングにより所要の深さのトレンチ1
604を穿設した。エッチング装置は前述の如くマグネ
トロンを載置したものを用いた。エッチングガスとして
は、Cl2 とCOとの混合ガスを用いた、エッチング中
のガス圧は、7×10-3Torr、高周波印加電力は3.0 w/
cm2 である。基板表面の温度はほぼ100 ℃となるように
保持した。このとき、Cl2 ガス(100 %)にてエッチ
ングした場合、トレンチ側壁に荒れが生じた。そこでC
2 ガスにCOガス(20%)を添加した混合ガスを用い
てエッチングしたところ、垂直形状にて、平滑な平面を
有するトレンチ1604が得られる。
【0387】このとき、エッチングマスクとSi基板の
エッチング選択比を測定したところ選択比20が得られ
た。また、添加するCO量(10〜40%)の範囲では、選
択比に大きな違いはみられなかった。
【0388】次いで図34(c)に示すように、ドライ
エッチング時に発生する欠陥や汚染物を除去するため
に、トレンチ1604の側壁に薄いSiO2 膜1605
を熱酸化により形成し、続いて、図34(d)に示すよ
うに、フッ化アンモニア水(NH4 F)等の溶液を用い
てSiO2 膜1605を除去した。
【0389】この場合、薄いSiO2 膜を熱酸化により
形成する工程においても炭素等のSi膜中への拡散は生
じなかった。
【0390】次いで、図34(e)に示すように、トレ
ンチ1602の側壁に不純物拡散を行って、拡散層16
06を形成する。これにより、トレンチ側壁部のみに拡
散層1606が形成される。
【0391】次いで、エッチングマスク1601を除去
したのち、誘電体になる薄いシリコン酸化膜或いは酸化
膜と窒化膜との積層構造1607を形成する。
【0392】次いで図34(f)に示す如く、多結晶シ
リコン1608を堆積し、不純物拡散を行って、導電性
とし、前述のドライエッチング装置を用いて、多結晶シ
リコン膜1606をCl2 ガスを用いたドライエッチン
グによりパターニングして、所要の容量を有するトレン
チキャパシタを構成した。
【0393】最後にトレンチキャパシタの電気特性を評
価したところ、高い絶縁耐圧で、低リーク電流特性とす
ることが可能であった。
【0394】以上説明した実施例15〜18において
は、平行平板電極を有したマグネトロン型の反応性イオ
ンエッチング装置を用いているが、マイクロ波を印加し
たECR放電を用いた反応性イオンエッチング装置、又
はマイクロ波若しくは電子線を印加することによって生
成された放電プラズマ下で被エッチング基体に電圧を印
加した反応性イオンエッチング装置を用いてもよい。
【0395】また、炭素膜の形成方法として、スパッタ
リング法を用いてきたが、真空蒸着法,CVD法を用い
て形成してもよい。更に、AlSiCu膜のエッチング
において、エッチングガスとしてCl2 とBCl3 の混
合ガス又はCl2 とHBrの混合ガスを用いたが、Br
2 、BBr3 等の臭素を主成分とするハロゲンガスや、
上記Cl2 を主成分とするガスとの混合ガスをエッチン
グに使用することも可能である。さらに、上記ガス中
に、Ar、Kr、Xe、He、Neなどの希ガスを導入
してもかまわない。
【0396】実施例15〜18では、AlSiCu膜、
Si基板、n+ −Si膜、タングステンのエッチングに
ついて述べたが、AlSiCu/TiN/Ti等のバリ
アメタルとの積層構造のエッチングに適用することも可
能である。さらに、AlSiCu膜エッチングにおい
て、レジストを剥離した後、被処理基体を清浄する工程
を施した後、AlSiCu膜をエッチングするようにし
てもよい。その他、銅、SiO2 等の絶縁膜、或いはモ
リブデン等の高融点金属、又はタングステンやモリブデ
ン等の高融点金属の硅化物等に適用することも可能であ
る。
【0397】AlSiCuのエッチングにおける圧力,
高周波電力密度,基板温度等は、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で種々変形して実施することができる。炭素膜
を剥離する工程において、円筒型のプラズマエッチング
装置を用いているが、平行平板型電極を有したエッチン
グ装置を用いてもよい。
【0398】レジスト膜を炭素膜に対して選択的に剥離
する工程において、CF4 /O2 ガスを用いたダウンフ
ロー型アッシング装置を用いているが、エッチングガス
として、SF6 、NF3 等、少なくともフッ素を含有し
ているガスと酸素との混合ガス、或いは少なくとも弗素
を含有しているガスと水との混合ガス、或いは基板温度
を上昇させて、少なくともO2 を含有するガスを用いて
もよい。
【0399】更に、AlSiCu膜のエッチングにおい
て、実施例15〜18では、エッチング後、マスクとし
て用いた炭素膜は剥離したが、場合によっては、炭素膜
を除去しないで、そのまま残してその後のプロセス工程
を施しても構わない。
【0400】また、実施例(16〜18)では、レジス
トを剥離しないで、レジストと炭素膜の積層構造をマス
クパターンとしてエッチングしたが、エッチング条件等
に応じて、レジストを除去して、レジストが被着してい
ない炭素膜パターンをマスクとしてエッチングを行って
もよい。
【0401】実施例15〜18では、堆積ガスとして一
酸化炭素を用いているが、メタン,エチンアセチレン等
の炭化水素ガス,少なくとも1つの炭素を含有するガス
であれば、いずれを適用してもよい。
【0402】炭素の膜厚として実施例15では2000オン
グストロウムあるいは実施例16〜18では1500オング
ストロウムを用いているが、膜厚は適度に可変してもよ
い。
【0403】〈実施例19〉図35は、本発明の第19
の実施例に係わるAl合金膜パターンの形成工程を示す
断面図である。まず、図35(a)に示すように、Si
基板1701にSiO2 膜1702を形成し、このSi
2 膜1702上にAlSiCu(Si濃度1wt%、C
u濃度0.5wt %)薄膜1703を堆積する。次いで、図
35(b)に示すごとく、薄膜1703上にダイヤモン
ド膜1704(膜厚2000オングストロウム)を形成す
る。
【0404】ここで、ダイヤモンド膜1704は、有磁
場マイクロ波CVD装置により堆積した。反応ガスとし
てH2 とメタン(濃度2%)を用いた。ガス圧力2×10
4 Pa、ガス流量100SCCM 、基板温度400 ℃、マイクロ
波電力1200W、バイアス電圧10〜50Vの条件で、AlS
iCu薄膜1703上に作成した薄膜の走査電子顕微鏡
を観察したところ、粒径約200 オングストロウムの粒子
から形成されていることが判明した。次に、形成した薄
膜の結晶構造を明らかにするため、X線回析法(XR
D)およびラマン分光分析をおこなった。XRDの結果
から、作成された膜は、ダイヤモンドの回析ピークと一
致した。ラマン分光分析の結果を図36に示す。図36
より、1333cm−1にダイヤモンドの鋭いピークが大きく
見られた。1500cm−1付近に、僅かであるが非晶質のブ
ロードなピークが観察された。
【0405】さらに、赤外分析法により、上記作成した
薄膜の分析をしたところ炭化水素に起因するピークが40
0 から1200cm−1付近に観察され、水素を含有する構造
であることが判明した。
【0406】従って、形成された薄膜は不純物として水
素を含有するが、多結晶構造から成るダイヤモンド膜で
あることが判明した。
【0407】次いで、図35(c)に示すようにダイヤ
モンド膜1704上にフォトレジスト1705(膜厚2.
0 μm )を塗布し、通常のリソグラフィ技術を用いて、
レジスト1705を露光した。続いて、図35(d)に
示す工程では、現像液として、アルカリ性有機溶液を用
いたが、現像時に、ダイヤモンド膜1704の溶出・剥
離、あるいはAl膜の溶出などの問題は生じなかった。
【0408】次いで、図35(e)及び(f)に示すよ
うに、レジストパターンをマスクとして、RIEにて、
ダイヤモンド膜1704及びAlSiCu膜1703を
選択エッチングし、AlSiCu膜をパターニングし
た。
【0409】上記、図35(e)の工程について詳細に
説明する。ドライエッチング装置は、マグネトロンを載
置した平行平板型の装置を用いた。エッチングに用いた
ガスは、酸素、塩素、四弗化炭素、水素である。容器の
圧力は、2.0pa 、カソードに印加した高周波電力(13.5
6MHz)の密度は、0.8 W/cm2 であった。
【0410】先ず、エッチングガスにO2 を用い、図3
5(e)に示す如く、ダイヤモンド膜14をエッチングし
た。基板温度を−50℃〜−100 ℃に保持した場合、ダイ
ヤモンド膜1704が約1500オングストロウム/min の
速度でエッチングされたのに対して、レジスト1705
は、1.0 μm/min であり、ダイヤモンド膜1704と
レジスト1705との選択比は0.15である。またエッチ
ングされたダイヤモンド膜1704の形状をSEMにて
観察したところ、ほぼ垂直形状が得られた。
【0411】次に比較の為に、熱分解炭素膜(グラファ
イト構造)についても上記条件で、エッチングされるこ
とが判った。熱分解炭素膜のエッチング形状も垂直なも
のが得られた。
【0412】エッチングガスに塩素、四弗化炭素、水素
を用い、レジスト膜、ダイヤモンド膜、熱分解炭素膜の
エッチング速度を上記条件にて調べた。図37はその結
果を示す特性図である。塩素及び四弗化炭素を用いて熱
分解炭素膜を、約500 〜1000オングストロウム/min で
エッチングしたところ、熱分解炭素膜のエッチング速度
は、約200 オングストロウム/min のであり、レジスト
膜のエッチング速度は、約2000オングストロウム/min
であった。
【0413】一方、水素ガスに対しては、ダイヤモンド
膜及びグラファイト膜は、約300 オングストロウム/mi
n でエッチングされるのに対してレジスト膜は、600 オ
ングストロウム/min であった。
【0414】次いで、図35(f)に示す如く、レジス
トパターン1705及びダイヤモンド膜1704をエッ
チングマスクとして、AlSiCu膜1703の選択エ
ッチングを行った。このAlSiCu膜1703のエッ
チングにおいても、前述したドライエッチング装置を用
いた。エッチング条件は、基板温度を50℃に保持し、エ
ッチングガスとして、塩素と三塩化ホウ素との混合ガス
(流量100SCCM )を用いた。エッチング圧力は、2.0Pa
高周波電力は、0.8 w/cm2 〜3W/cm2 まで変化させ
た。
【0415】図37は、高周波電力を変化させてエッチ
ングした膜のエッチング速度を測定した結果を示す図で
ある。
【0416】これより、高周波電力0.8 W/cm2 にて、
AlSiCu膜1703のエッチング速度が約3500オン
グストロウム/min 、ダイヤモンド膜1704のエッチ
ング速度は、100 オングストロウム/min であり、ダイ
ヤモンド膜1704とAlSiCu膜17003との選
択比は約35である。一方、このとき、レジスト膜170
5及びグラファイト膜は、各々1600オングストロウム/
min 、250 オングストロウム/min であり、いずれもダ
イヤモンド膜よりもエッチング速度が大きい値であっ
た。
【0417】高周波電力0.8 w/cm2 にてエッチングし
たAlSiCu薄膜1703の形状をSEMにより評価
したところ、テーパ角88°でテーパ形状であることが判
った。また、高周波電力の増大とともにダイヤモンド膜
1704とAlSiCu膜1703との選択比は小さく
なるものの、テーパ形状は大きく(テーパ角が小さく)
なることが分かった。
【0418】また、高周波電力1.5 w/cm2 以上でエッ
チングしたAlSiCu薄膜1703においては、エッ
チング後、AlSiCu薄膜1703上にレジスト17
05は、残存していないことが、上記同様SEMにより
確認された。
【0419】これより、AlSiCu薄膜1703とレ
ジスト1705との選択比は、図35に示した如く、高
周波電力とともに減少して行くため、電力1.5 w/cm2
以上では、レジスト1705は全て消失する。従って、
AlSiCu薄膜1703のエッチングマスクは、ダイ
ヤモンド1704となる。即ち、レジスト1705のみ
をマスクとして用いた場合では、選択比が小さいために
AlSiCu薄膜1703を全てエッチングするまで、
良好なエッチングマスクとして作用しない。しかし、ダ
イヤモンド14をエッチングマスクとして適用することに
より、AlSiCu薄膜1703とダイヤモンド170
4との選択比が高周波電力1.5 w/cm2 では17あるため
に、AlSiCu薄膜1703の良好なエッチングが可
能となることが分かる。
【0420】最後に図35(g)に示す如く、レジスト
パターン及びダイヤモンド1704の除去を行った。エ
ッチング装置として、通常のバレル型プラズマエッチン
グ装置とダウンフロー型エッチング装置を用いた。
【0421】バレル型プラズマエッチング装置にて、通
常の酸素プラズマにより、アッシングしたところ、レジ
ストパターン端部や中央部に残存物が生じ完全に除去す
ることは困難であった。一方、ダイヤモンド膜1704
は上記酸素プラズマアッシングにより容易に除去できる
ことが判明した。
【0422】次に、ダウンフロー型エッチング装置にて
前述の試料におけるレジスト膜1705及びダイヤモン
ド膜1704の剥離を行った。
【0423】エッチングガスとして、CF4 /O2 の混
合ガスあるいは、NF3 /H2 Oの混合ガスを導入し、
基板温度は室温に保持し、エッチング圧力0.3Torr の下
で、マイクロ波を印加して放電を生じさせ、エッチング
を行った。又、基板温度を100 ℃に保持し、O2 ガスを
用いて、上記条件にてエッチングを行った。
【0424】この工程により、レジストパターンは残存
物が生じず、完全に除去可能であった。また、ダイヤモ
ンド膜は、全くエッチングされなかった。従って、レジ
ストパターンが残存している場合のマスクパターンを剥
離するに際してはは、CF4 /O2 の混合ガスあるいは
NF3 /O2 の混合ガスあるいは、基板温度を上昇させ
て、O2 ガスを用いたダウンフロー型エッチングにてレ
ジストを除去した後、前述の如く、バレル型エッチング
装置を用い、通常のO2 プラズマアッシング処理を施す
ことによってダイヤモンド膜は剥離されることが確認で
きた。
【0425】剥離後、AlSiCuパターンをSEMに
て評価したところ、テーパー形状で、ライン/スペース
の線幅400nm /400nm のAlSiCu薄膜が良好に形成
されることが判った。
【0426】また、エッチング後、上記試料を大気中に
移置し、腐食の様子を光学顕微鏡により評価したとこ
ろ、レジストをマスクとして用いてエッチングしたもの
は、放置後、24時間後にコロージョンの発生が観察され
た。これに対して、ダイヤモンドをマスクとして用いて
エッチングしたものは、1週間放置してもコロージョン
の発生は全く認められなかった。
【0427】なお、実施例19においては、AlSiC
u膜のエッチングについて、述べたが、SiO2 、S
i、タングステンあるいはモリブデン等の高融点金属、
高融点金属硅化物等のエッチングマスクとして、ダイヤ
モンドを適用することも可能である。
【0428】またレジストとダイヤモンドとの積層構造
を用いてAlSiCu膜のエッチングを行ってきたが、
レジストマスクに用いて、ダイヤモンドをエッチングし
た後、ダウンフロー型エッチング装置にて、レジストを
剥離し、ダイヤモンド膜パターンをマスクとしてAlS
iCu膜のエッチングを行ってもよい。
【0429】AlSiCu膜のエッチング装置として、
平行平板電極を有したマグネトロン型の反応性イオンエ
ッチング装置を用いているが、マイクロ波を印加したE
CR放電を用いた反応性イオンエッチング装置、又は、
マイクロ波若しくは電子線を印加することによって生成
された放電プラズマ下で被エッチング基体に電圧を印加
して反応性イオンエッチング装置を用いてもよい。
【0430】エッチングガスとしてCl2 とBCl3
混合ガスを用いたが、Br2 、HBr、BBr3 等の臭
素を主成分とするハロゲンガスや上記Cl2 を主成分と
するガスとの混合ガスをエッチングに使用することも可
能である。さらに、SiO2 、Siあるいはタングステ
ン、モリブデン等の高融点金属あるいは、高融点金属の
硅化物をエッチングする場合には、SF6 、CF4 、N
3 、フルオロカ−ボン系ガス、例えばCxHmFn
(m+n=2×2)で表わされるガス等のフッ素を主成
分とするハロゲンガスをエッチングに使用することも可
能である。
【0431】上記ガス中にAr・Kr・Xe・He・N
eなどの希ガスを導入してもかまわない。AlSiCu
のエッチングにおける圧力・高周波電力、基板温度等
は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形した実
施することができる。
【0432】レジスト膜をダイヤモンド膜に対して選択
的に剥離する工程においては、エッチングガスとしてS
6 、F2 等少なくともフッ素を含有しているガスと酸
素との混合ガスであればよい。
【0433】
【発明の効果】本発明による炭素膜をドライエッチング
時のマスクパターン(特に、反応性イオンエッチング等
のエッチングマスク)として用いる方法によれば、ドラ
イエッチング時のエッチングマスクと被エッチング材料
とのエッチング選択比を大きくすることが可能である。
また、マスク材料が導電性薄膜であるため、エッチング
中の荷電粒子の照射により、マスクパターンがチャージ
アップを生じることはない。従って、高精度な微細加工
が可能である。また、炭素膜は高純度化が可能であるた
め、プラズマ等のエネルギーの大きな粒子の衝突によ
り、分解されたエッチング生成物中にデバイスに悪影響
を与える不純物(例えば、重金属,ハロゲン等)が含ま
れることがないため、金属配線等の腐食等は生じない。
【0434】また、O2 ガスを用いたプラズマエッチン
グにより、炭素膜は選択的に容易に剥離することが可能
であるため、剥離工程中に他の材料へダメージ等を与え
ることがない。さらに、炭素膜は耐熱性を有しているた
め、露光マスクやTFTの製造工程における石英基板等
の膜厚の厚い絶縁基板上の薄膜をRIEする際に生じる
基板の温度上昇によって、エッチングマスクパターンが
変形を受けることもない。
【0435】従って、半導体集積回路製造工程におい
て、微細なパターンを高精度に加工することが可能とな
る。さらに、配線やトレンチ素子等を高信頼性を持って
形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係わるパターン形成
工程を示す断面図。
【図2】 第1の実施例に用いたエッチング装置の概略
構成を示す図。
【図3】 第1の実施例におけるパターン形状の変化を
示す断面図。
【図4】 RF印加電力を変化させたときの、エッチン
グ速度とエッチング選択比の関係を示す特性図。
【図5】 第1の実施例方法に用いたダウンフロー型エ
ッチング装置の概略を示す図。
【図6】 本発明の第2の実施例に係わるパターン形成
工程を示す断面図。
【図7】 チャージアップ現象を説明するためのパター
ン断面図。
【図8】 直流電圧とエッチングパターンのテーパ角の
関係を示す特性図。
【図9】 大気放置時間と腐食量との関係を示す特性
図。
【図10】本発明の第3の実施例に係わるトレンチキャ
パシタの形成工程を示す断面図。
【図11】従来方法にてトレンチ構造を形成したときの
パターン形状を示す断面図。
【図12】本発明の第5の実施例に係わるLDD構造の
MOSトランジスタの製造工程を示す断面図。
【図13】本発明の第6の実施例に係わる位相シフト露
光マスクの形成工程を示す断面図。
【図14】第6の実施例で作成した位相シフトマスクを
用いて露光したときの様子を示す模式図。
【図15】本発明の第7の実施例に係わるVIAホール
形成工程を示す断面図。
【図16】従来の方法を用いてVIAホールを形成した
ときのパターン形状を示す断面図。
【図17】炭素膜マスクとレジストマスクにおける不純
物量の比較を示す特性図。
【図18】本発明の第8の実施例に係わるコンタクトホ
ール形成工程を示す断面図。
【図19】本発明の第9の実施例に係わるSiO2 膜の
エッチング工程を示す断面図。
【図20】アスペクト比とエッチングした深さとの関係
を示す特性図。
【図21】本発明の第10の実施例に係わる多層レジス
トを用いたパターン形成工程を示す断面図。
【図22】本発明の第10の実施例に係わる多層レジス
トを用いたパターン形成工程を示す断面図。
【図23】本発明の第11の実施例に係わる薄膜トラン
ジスタの製造工程を示す断面図。
【図24】本発明の第12の実施例に係わるトレンチ構
造による素子分離領域の形成工程を示す断面図。
【図25】本発明の第13実施例に係わる半導体集積回
路用金属配線の製造工程を示す断面図。性図。
【図26】本発明の第14実施例に係わる半導体装置の
上層金属配線と下層金属配線との接続部を形成する工程
を示す断面図。
【図27】本発明の第15の実施例に係わるAl合金膜
パターンの形成工程を示す断面図。
【図28】第15の実施例に用いたエッチング装置の概
略構成を示す図。
【図29】推積ガスCOの流量を変化させて、エッチン
グした膜のエッチング速度及び形状を測定した結果を示
す特性図。
【図30】圧力を変化させたときのAlSiCu及び炭
素膜のエッチング速度、AlSiCu膜のテーパ角を測
定した結果を示す特性図。
【図31】本発明の第16の実施例に係わるAl合金膜
パターンの形成工程を示す断面図。
【図32】COガスの流量とエッチング形状との関係を
示す断面図。
【図33】本発明の第17の実施例に係わるタングステ
ンのパターン形成工程を示す断面図。
【図34】本発明の第18の実施例に係わるトレンチキ
ャパシタの形成工程を示す断面図
【図35】本発明の第19の実施例に係わるAl合金膜
パターンの形成工程を示す断面図。
【図36】本発明の第19の実施例により形成したダイ
ヤモンド薄膜の結晶構造を示すラマン分光分析の結果を
示す特性図。
【図37】高周波電力を変化させてエッチングした膜の
エッチング速度を測定した結果を示す特性図。
【符号の説明】
11…Si基板、 12…SiO2 膜、 13…AlS
iCu薄膜、14…炭素膜、 15…フォトレジスト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡野 晴雄 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−212136(JP,A) 特開 昭62−136025(JP,A) 特開 昭60−120526(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/3065 H01L 21/027

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に溝及び/又は段差を有する被処理基
    体上に膜を被着し、被処理基体表面を平坦化する工程
    と、全面に炭素膜を被着する工程と、前記炭素膜上に第
    1のマスクパターンを形成する工程と、前記第1のマス
    クパターンをマスクとして前記炭素膜をエッチングし、
    前記炭素膜からなる第2のマスクパターンを形成する工
    程と、前記被処理基体を真空容器内に設置し、該容器内
    にハロゲンを主成分としたエッチングガスを導入すると
    共に放電を誘起してプラズマを生成し、前記第2のマス
    クパターンに沿って前記被処理基体を異方性エッチング
    する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
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