JP3182895B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP3182895B2
JP3182895B2 JP20613792A JP20613792A JP3182895B2 JP 3182895 B2 JP3182895 B2 JP 3182895B2 JP 20613792 A JP20613792 A JP 20613792A JP 20613792 A JP20613792 A JP 20613792A JP 3182895 B2 JP3182895 B2 JP 3182895B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はツイステッドネマティ
ック型の液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来技術】ワードプロセッサやパーソナルコンピュー
タ等のディスプレイとして用いられる液晶表示装置に
は、TFT−TN型の液晶表示装置が用いられている。
この液晶表示装置は、各画素ごとに駆動用の薄膜トラン
ジスタ(TFT)が配設されたツイステッドネマティッ
ク(TN)型の液晶セルを有し、この液晶セルの入射光
側に偏光子がその透過軸を液晶セルの光入射側基板の配
向処理方向に直交させて配設され、液晶セルの光出射側
に検光子がその透過軸を前記偏光子の透過軸とほぼ直交
させて配設されている。この従来の液晶表示装置は各画
素にスタティック的な電圧を印加して駆動することがで
きるので、単純マトリックス型の液晶表示装置に比べて
コントラストが高く、視野角も比較的広い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のTN型の液晶表示装置では、多階調中間調を
表示する際に視角によって明るさの逆転現象が表れ、階
調表示が乱れるという欠点がある。
【0004】図4(a)〜図4(d)に従来の典型的な
液晶表示装置において4段階の階調ごとの等Y値(透過
率値)曲線を示した。この液晶表示装置の液晶セルは、
液晶分子が光の進行方向に沿って左回りに90°ツイス
ト配向され、屈折率異方性Δnとギャップdとの積Δn
dの値が403nmで、ギャップdとナチュラルピッチ
pとの比d/pが0.05で、プレチルト角が3°とな
っている。また、4階調を実現する各電圧は、明状態電
圧を1.5V、暗状態電圧を6.0Vとし、2つの中間
調電圧は1.5Vを印加したときのY値を3等分して得
られる2つの中間Y値に対応する電圧とし、電圧の低い
方から順に第1階調電圧V1=1.50[V]、第2階調電圧V
2=2.06[V]、第3階調電圧V3=2.43[V]、第4階調電圧
4=6.0[V]とする。これらの図で、同心円は内側から
それぞれ液晶表示装置の基板の法線方向に対して10
°、20°、30°、40°、および50°傾けた視角
を表わし、黒四角(■)はY値が10、白四角(□)は
Y値が20、黒三角(▲)はY値が30をそれぞれ表し
ている。これらの図から明らかなように、どの電圧にお
いても、上方向近辺が明るく、下方向近辺が暗いことが
わかる。
【0005】図5(a)〜図5(c)に、それぞれ隣接
する階調間のY値の比で求められる等コントラスト曲線
(Y1/Y2、Y2/Y3、Y3/Y4)を示した。これらの
図で、同心円は内側からそれぞれ液晶表示装置の基板の
法線方向に対して10°、20°、30°、40°、お
よび50°傾けた視角を表わし、黒丸(●)はコントラ
ストが1以下、黒四角(■)はコントラストが10、白
四角(□)はコントラストが20、黒三角(▲)はコン
トラストが50、白三角(△)はコントラストが100
をそれぞれ表している。これらの図から明らかなよう
に、コントラストが1以下の領域(図中斜線で示す部分
であり、以下、中間調反転領域と呼ぶ)は、第2階調と
第3階調との間および第3階調と第4階調との間で生じ
ていることがわかる。図5(b)に示す上方向近辺の中
間調反転領域は、第2階調よりも第3階調の方が明るい
ために生じ、また図5(c)に示す右下および左下方向
の中間調反転領域は、第4階調電圧で光漏れがあるため
に生じる。このような中間階調表示の際の明るさの逆転
は、正しい階調表示を乱すから液晶表示装置にとって大
きな問題である。
【0006】この発明は、上述した実情に鑑みてなされ
たものであり、中間階調表示の際の明るさの逆転現象を
防止し、正しい階調を安定して表示できる液晶表示装置
を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、液晶
分子がツイスト配向され、屈折率異方性をΔnTN、ギャ
ップをdTNとしたとき、ΔnTNTNの値が正の液晶セル
と、この液晶セルの外側にこの液晶セルを挟むように配
置された一対の偏光板と、この一対の偏光板の一方と前
記液晶セルとの間に配置され、分子のプレチルト角がほ
ぼ90°で、屈折率異方性をΔn LAM 、厚さをd LAM とし
たとき、Δn LAM LAM の値が負となる有機高分子フィル
ムからなる少なくとも1枚の捩れ位相板とを備えたもの
である。請求項2の発明は、捩れ位相板が、分子がプレ
チルト角がほぼ90°で複数回転捩じれて配向された高
分子液晶フィルムを保護膜で挟んだ構造を備えるもので
ある。
【0008】この発明によれば、ツイスト配向された液
晶層のΔTNTNの値が正の液晶セルの外側にこれを挟
むように一対の偏光板を配置し、一方の偏光板と液晶セ
ルとの間に、分子のプレチルト角がほぼ90°でΔn
LAM LAM の値が負の有機高分子フィルムからなる捩れ位
相板を配置したので、この捩れ位相板によって液晶セル
を垂直に透過する光と、斜めに透過する光の各光路長の
差が補償され、多階調中間調表示の際の明るさの逆転現
象を抑制でき、多階調中間調表示において正しい階調を
視角によらず安定して表示でき、多階調中間調表示にお
ける視野角特性が改善される。この場合、請求項2に記
載の如く、分子がプレチルト角がほぼ90°で複数回転
捩じれて配向された高分子液晶フィルムを保護膜で挟ん
だ構造の捩れ位相板を用いれば、各捩れ位相板の製造が
容易で、薄く形成することができ、これにより液晶表示
装置の小型化が図れる。
【0009】
【実施例】以下、この発明の一実施例について、図1お
よび図2を参照して詳細に説明する。図1および図2に
液晶表示装置の断面図および分解斜視図を示した。この
液晶表示装置では、ツイステッドネマティック型の液晶
セル1の入射側に偏光子2が設けられ、液晶セル1の出
射側に検光子3が設けられ、液晶セル1と検光子3との
間に捩れ位相板4が設けられている。
【0010】液晶セル1は、一方の電極5およびこの電
極5の各画素ごとに配設された駆動用の薄膜トランジス
タ(TFT)6並びにこれらを覆う配向膜7が形成され
た下基板8と、前記一方の電極5と交差して対向する他
方の電極9およびこの他方の電極9を覆う配向膜10が
形成された上基板11と、上下の各基板8、11を所定
の間隔を隔てて接合するシール材12と、これらの基板
8、11とシール材12とに囲われた領域内に封入さ
れ、ギャップdTNとナチュラルピッチpTNの比dTN/p
TNの値が約0.05の液晶材料13とからなっている。
なお、この液晶セル1は図面上で下方から光が入射され
るものであり、以下では下基板を入射側基板8、上基板
を出射側基板11という。
【0011】入射側基板8と出射側基板11の対向する
それぞれの面に形成された配向膜7、10は、それぞれ
ラビング等の配向処理が施されている。入射側基板8の
配向膜7は、図2に示したように基板の長辺を水平方向
に合わせて液晶セル1を正面から観察したときその長辺
と平行な方向を基準にして左上から右下方向に約45°
の傾きをもった方向7aに配向処理が施されている。入
射側基板8に対向する出射側基板11の配向膜10は、
入射側基板8の配向処理方向7a(以下、入射側配向処
理方向という)に対して出射側から見て左回りにほぼ9
0°回転した方向10aに配向処理が施されている。こ
のような配向処理により、液晶材料13の液晶分子は出
射側から見て右回りにほぼ90°(φ)ツイストして配
列し、液晶分子は約3°のプレチルト角を有している。
そして、この液晶セル1のギャップdTNと屈折率異方性
△nTNとの積△nTNTNの値は正であり、好ましくは3
00〜600nm(測定波長:589nm)の範囲に設
定する。
【0012】偏光子2は、その透過軸2aが液晶セル1
の入射側配向処理方向7aとほぼ直交するように配置さ
れている。また、検光子3は、その透過軸3aが偏光子
2の透過軸2aとほぼ直交するように配置されている。
【0013】捩れ位相板4は、図3に示すように、その
分子15のプレチルト角θがほぼ90°(θ<90°≒
90°)でホメオトロピックに近い状態で分子が複数回
転捩れて配向された有機高分子フィルムからなってお
り、例えば高分子液晶フィルム(液晶ポリマ)16を例
えば三酢酸セルロース(TAC)等からなる保護膜17
で挾んだ構造になっている。この捩れ位相板4は、分子
が複数回転捩れて配向しているため、△nLAMLAMの値
が負(−)となる。
【0014】このようなTN型の液晶表示装置では、液
晶セル1と検光子3との間に捩れ位相板4を配置したの
で、この捩れ位相板4によって液晶セル1を垂直に透過
する光と斜めに透過する光の各ΔnTNTNの差が打ち消
されて補償され、中間階調表示の際の明るさの逆転現象
を抑制でき、視角が変化しても正しい階調を安定して表
示できる。特に、この発明では、捩れ位相板4の分子を
ほぼホメオトロピック状態に配向させてあるから、黒表
示のときのΔnTNTNの差がより確実に補償されて漏れ
光の発生が防止され、視野角特性が更に向上する。ま
た、捩れ位相板4は、図3に示すように分子15のプレ
チルト角θがほぼ90°の高分子液晶フィルム16を保
護膜17で挾んだ構造であるから、製造が容易で、薄く
形成することができ、これにより液晶表示装置の小型化
を図ることができる。
【0015】なお、上述した実施例では、偏光子2の透
過軸2aを入射側配向処理方向7aに直交させたが、こ
れに限らず、透過軸2aを入射側配向処理方向7aに対
し平行させてもよい。
【0016】また、上述した各実施例では、液晶セル1
と検光子3との間に捩れ位相板4を配置したが、これに
限らず、例えば液晶セル1と偏光子2との間に設けても
よい。
【0017】
【発明の効果】この発明によれば、ツイスト配向された
液晶層のΔnTNTNの値が正の液晶セルの外側に、これ
を挟むように一対の偏光板を配置し、一対の偏光板と液
晶セルとの間に、分子のプレチルト角がほぼ90°で、
屈折率異方性をΔn LAM 、厚さをd LAM としたとき、Δn
LAM LAM の値が負となる有機高分子フィルムからなる少
なくとも1枚の捩れ位相板とを配置したので、この捩れ
位相板によって液晶セルを垂直に透過する光と、斜めに
透過する光の各光路長の差が補償され、中間階調表示の
際の明るさの逆転現象が抑制される。その結果、多階調
中間調表示において正しい階調を視角によらず安定して
表示でき、多階調中間調表示における視野角特性を改善
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のTN型の液晶表示装置の
断面図。
【図2】図1の概略構成を示す分解斜視図。
【図3】捩れ位相板の要部拡大断面図。
【図4】従来の液晶表示装置を4つの階調で動作させた
ときの各階調における等Y値(透過率値)曲線を示し、
(a)は電圧V1を印加する第1階調の等Y値曲線図、
(b)は電圧V2を印加する第2階調の等Y値曲線図、
(c)は電圧V3を印加する第3階調の等Y値曲線図、
(d)は電圧V4を印加する第4階調の等Y値曲線図。
【図5】図4において隣接する階調間の等コントラスト
曲線を示し、(a)はY1/Y2の等コントラスト曲線
図、(b)はY2/Y3の等コントラスト曲線図、(c)
はY3/Y4の等コントラスト曲線図。
【符号の説明】
1 液晶セル 2 偏光子 3 検光子 4 捩れ位相板 5、9 電極 7、10 配向膜 7a 入射側配向処理方向 8 入射側基板 11 出射側基板 12 シール材 13 液晶材料 15 高分子液晶フィルムの分子 16 高分子液晶フィルム 17 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13363 G02F 1/1335 G02F 1/133 500 G02F 1/137

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶分子がツイスト配向され、屈折率異方
    性をΔnTN、ギャップをdTNとしたとき、ΔnTNTN
    値が正の液晶セルと、この液晶セルの外側にこの液晶セ
    ルを挟むように配置された一対の偏光板と、この一対の
    偏光板の一方と前記液晶セルとの間に配置され、分子の
    プレチルト角がほぼ90°で、屈折率異方性をΔ
    LAM 、厚さをd LAM としたとき、Δn LAM LAM の値が負
    となる有機高分子フィルムからなる少なくとも1枚の捩
    れ位相板とを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 前記捩れ位相板は、分子プレチルト角
    がほぼ90°で複数回転捩れて配向された高分子液晶フ
    ィルムを保護膜で挟んだ構造であることを特徴とする請
    求項1記載の液晶表示装置。
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