JP3181358U - 内燃機関用のピストン - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンを改善して、亀裂を生じにくくし、かつ良好な燃焼を可能にすると共に、種々の数及び配置の噴射開口を備えた燃料噴射ノズルによって運転できるようにした内燃機関用のピストンを提供する。
【解決手段】ピストン頂部11内に深皿型燃焼室13を備えており、該深皿型燃焼室は環状のアンダーカット部を有し、該アンダーカット部とピストン頂部11のピストン頂面とをつないでいる環状の周縁部分15は、かどの丸み付けされた周縁部分領域16,17とかどの鋭利な周縁部分領域18,19とを交互に有している。さらに、環状の周縁部分15は、その全周で、平滑な環状の1つの面へ移行し、平滑な環状の面自体は、その全周で、鋭利なかどを介して環状の上記アンダーカット部へ移行している。
【選択図】図1

Description

本考案は、内燃機関用のピストンであって、ピストン頂部に深皿型燃焼室を備えており、該深皿型燃焼室は環状のアンダーカット部を有しており、該アンダーカット部と前記ピストン頂部のピストン頂面とをつないでいる環状の周縁部分は、かどの丸み付けされた周縁部分領域とかどの鋭利な周縁部分領域とを交互に有している形式のものに関する。
ピストンの深皿型燃焼室の周縁部分並びにピストン頂部は、運転中に機械的及び熱的な不均一な応力(圧縮応力及び引張り応力)を受ける。応力は特にピストンピン中心軸線内で該ピストンピン中心軸線に対して垂直に作用していて、時間の経過に伴って材料に疲労を生ぜしめて、亀裂を発生させてしまうことになる。
周縁部分に作用する応力を減少若しくは分散させるための種々の解決手段が提案されている。特開平10−184451号公報に記載のピストンにおいては、ピストン頂部の深皿型燃焼室(ピストン燃焼室)の周縁部分は、2つの切欠きを備えている。欧州特許出願公開0261538B1号明細書に開示のピストンの深皿型燃焼室も、同様に2つの切欠きを、それもピストンピン中心軸に対して平行に備えており、この場合に深皿型燃焼室は、ピストン縦軸に対してずらして配置されている。
さらに公知の構成では、有害物質発生のできるだけ少ない良好な燃焼を達成するために、ピストン頂部の深皿型燃焼室の周縁部分に、深皿型燃焼室とピストン頂面との間のかど(エッジ若しくは稜)の鋭利な移行部(断面形状変化部)を設けてある。欧州特許出願公開0453613A1号明細書に記載のピストンにおいては、アンダーカット部を備えた深皿型燃焼室の周縁部分は、円筒区分(円筒面区分)を有しており、円筒区分はピストン頂面に向かって円錐形に拡大する外側区分へ移行している。
周縁部分にかどの鋭利な移行部、つまり丸みのない移行部を設ける構成においては欠点として、かどの鋭利な移行部によって機械的な応力を高め、ひいては亀裂を発生しやすくしている。このような問題の解決手段を、欧州特許出願公開0641927A1号明細書に開示してあり、この場合に深皿型燃焼室の周縁部分は少なくとも部分的に丸み付けされ、すなわち種々の曲率半径の丸みで形成されており、各丸みの曲率半径は連続的(滑らか)に変化し、つまり各曲率半径の丸み部(かど部若しくは稜線)は円周方向で互いに滑らかに移行している。丸みの曲率半径を小さくすればするほど、周縁部分のかど(エッジ)は鋭利(シャープ)になり、つまり尖ることになる。周縁部分の、特に高い応力が生じる領域では、曲率半径は、周縁部分の残りの領域の曲率半径よりも大きく選ばれねばならない。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19952868A1号明細書に記載のピストンにおいても、深皿型燃焼室の周縁部分は同じく種々の曲率半径の丸みで形成されている。燃料噴霧の改善のために、深皿型燃焼室の周縁部分は付加的に円筒区分を有しており、該円筒区分は鋭利なかどを介して深皿型燃焼室及び/又はピストン頂面へ移行している。この場合に良好な燃料噴霧を達成するためには、燃料噴射ノズルは、その噴射開口を円筒区分に向けるように形成されねばならない。さらに円筒区分の配置は、噴射開口の数及び配置に適合されねばならない。
特開平10−184451号公報 欧州特許出願公開0261538B1号明細書 欧州特許出願公開0453613A1号明細書 欧州特許出願公開0641927A1号明細書 ドイツ連邦共和国特許出願公開第19952868A1号明細書
本考案の課題は、ピストンを改善して、亀裂を生じにくくし、かつ良好な燃焼を可能にすると共に、種々の数及び配置の噴射開口を備えた燃料噴射ノズルによって運転できるようにすることである。
前記課題を解決するためにピストンの本考案に基づく構成では、深皿型燃焼室の環状のアンダーカット部とピストン頂部のピストン頂面との間にある環状の周縁部分は、該周縁部分の全周で、つまり該周縁部分の全周にわたって、平滑な環状の1つの面へ移行しており、該平滑な環状の面は、該面の全周で、つまり該面の全周にわたって、鋭利なかど(稜角)を介して前記環状のアンダーカット部へ移行している。
ピストンの製造のための本考案に基づく方法では、第1の加工工程で、環状のアンダーカット部及び環状の周縁部分を有する深皿型燃焼室を、旋削工具(若しくは旋盤用旋削工具或いは回転切削工具)によってピストン頂部内に旋削加工成形し、かつ第2の加工工程で、かどの丸み付けされた周縁部分領域及びかどの鋭利な周縁部分領域の成形のために、前記旋削工具を、前記深皿型燃焼室の中心点から出発して半径方向外側へ所定の寸法値にわたって直線的に移動させるように若しくはずらすようにしている。
本考案に基づく原理は、一面において、深皿型燃焼室の周縁部分に生じる応力を減少させるために周縁部分に部分的に丸みを付け、かつ他面において、周縁部分の下側(内側)に平滑な環状の面を設けることにあり、該平滑な環状の面(内周面)は、深皿型燃焼室に向けて噴射されて該面にぶつかる燃料をできるだけ最適に粒状化若しくは霧化するようになっている。これによって、亀裂発生のおそれを減少させ、かつ良好な燃焼を可能にするという目的は達成されている。さらに、平滑な環状の面は、噴射開口部の任意に配置された燃料噴射ノズルの使用を可能にしており、その結果、燃料噴射ノズルの形状と深皿型燃焼室の形状とを互いに適合させる必要はなくなっている。
本考案に基づく方法は、本考案に基づくピストンの極めて簡単な製作を可能にしている。深皿型燃焼室の周縁部分及び平滑な環状の面の形状(輪郭画定)は、もっぱら旋削工具の、深皿型燃焼室の中心点から半径方向外側へ向けられた移動若しくはずらしによって達成される。したがって、深皿型燃焼室の手間のかかる後処理は不要になっている。
本考案の有利な実施態様では、平滑な環状の面の高さ(幅)は、かどの丸み付けされた周縁部分領域に沿って、かどの鋭利な周縁部分領域に沿ってよりも低く(狭く)なっている。このような構成は特に簡単な制作方法を可能にしており、それというのは、かどの丸み付けされた周縁部分領域に沿って延びる平滑な環状の面を深皿型燃焼室の底部に向けてずらす必要はないからである。
有利には、平滑な環状の面の高さの低い面領域と平滑な環状の面の高さの高い面領域とは互いに、つまり相互に滑らかに移行し合っており、これによって、互いに隣接する両方の面領域間のかど部の発生を避けてあり、それというのは面領域間のかど部は亀裂発生のおそれを増大することになるからである。同様の理由から、かどの丸み付けされた周縁部分領域とかどの鋭利な周縁部分領域とを相互に滑らかに移行させてあると有利である。さらに有利な実施態様では、平滑な環状の面は、噴射された燃料の噴霧のさらなる改善のために円筒内周面を成している。
かどの丸み付けされた周縁部分領域は、2.0乃至3.0mmの曲率半径を有し、有利には2.4乃至2.6mmの曲率半径を有しているのに対して、かどの鋭利な周縁部分領域は、0.5乃至1.5mmの曲率半径を有し、有利には0.75乃至1.25mmの曲率半径を有している。かどの鋭利な周縁部分領域とは、該周縁部分領域のかど(エッジ若しくは稜)の曲率半径が小さいことを意味している。
深皿型燃焼室の中心点はピストン軸線と合致していてよく、つまり、深皿型燃焼室はピストン軸線に対してずらされていない。
本考案の有利な実施態様では、環状の周縁部分は、ピストンピン中心軸線内で互いに相対して位置するかどの丸み付けされた2つの周縁部分領域と、ピストンピン中心軸線に対して垂直な方向で互いに相対して位置するかどの鋭利な2つの周縁部分領域とによって形成されている。このような構成の周縁部分は極めて簡単に成形され、それというのは旋削工具は深皿型燃焼室の中心点から出発して、ピストンピン中心軸線に沿って両方向へ移動させられるだけでよい、つまり、ずらされる若しくは送られるだけでよいからである。
ピストン頂部は1つ若しくは複数の弁受容凹設部を備えていてよく、該弁受容凹設部は有利には、かどの鋭利な周縁部分領域とかどの丸み付けされた周縁部分領域との間の移行領域で、深皿型燃焼室の環状の周縁部分と交差していて、鋭利なかど(稜角)を生ぜしめないようになっている。
本考案に基づく方法の実施態様では、旋削工具は、0.5乃至2.5mmの寸法値(移動量若しくは送り量)にわたって、有利には1mm乃至2mmの寸法値(移動量若しくは送り量)にわたって移動され若しくは送られるようになっている。有利な実施態様では、旋削工具は、深皿型燃焼室の中心点の両側でピストンピン中心軸線に沿って移動させられる。深皿型燃焼室は、第1の加工工程で有利にはピストン縦軸線と同軸にピストン頂部内に旋削加工成形される。
本考案に基づくピストンの実施例の平面図 図1の矢印Aの方向で見て示す部分破断された側面図 図1の矢印Bの方向で見て示す部分破断された側面図
次に本考案を図示の実施例に基づき詳細に説明する。図面は正確な寸法比で描かれたものではなく、つまり概略的に示されたものであり、
図1は、本考案に基づくピストンの1つの実施例の平面図であり、
図2は、図1の矢印Aの方向で見て示す部分破断された側面図であり、
図3は、図1の矢印Bの方向で見て示す部分破断された側面図である。
図1乃至図3に示す本考案に基づくピストン10のピストン頂部(ピストンヘッド)11は深皿型燃焼室13を備えている。深皿型燃焼室13の中心点は図示の実施例ではピストン縦軸線と合致しており、つまり深皿型燃焼室13はピストン縦軸線に対してずらされていない。ピストン頂部10には、深皿型燃焼室13とピストン頂部11の外側縁部との間に4つの弁受容凹設部12を配置してある。
深皿型燃焼室13は環状のアンダーカット部14を備えている(図2及び図3、参照)。深皿型燃焼室13の環状の周縁部分15は、かどの丸み付けされた2つの周縁部分領域16,17並びにかどの鋭利な2つの周縁部分領域18,19を有している。かどの丸み付けされた周縁部分領域16,17及びかどの鋭利な周縁部分領域18,19はそれぞれ互いに相対して配置されており、この場合に、かどの丸み付けされた周縁部分領域16,17は、ピストンピン中心軸線Bに対して対称的に配置されている(図1、参照)。
図1に示してあるように、4つの各弁受容部12はピストン頂部11内に次のように配置され、つまり各弁受容部12は実質的に、かどの丸み付けされた1つの周縁部分領域16若しくは17とかどの鋭利な1つの周縁部分領域18若しくは19との間の移行領域で、環状の周縁部分15と交差している。
かどの丸み付けされた2つの周縁部分領域16,17は、図示の実施例では2.5mmの曲率半径Rを有しており、この場合に、Rは2.0乃至3.0mmの範囲で変化していてよい(図3、参照)。かどの鋭利な周縁部分領域18,19は、図示の実施例では1.0mmの曲率半径Rを有しており、この場合に、Rは0.5乃至1.5mmの範囲で変化していてよい(図2、参照)。
図2及び図3から見て取れるように、環状の周縁部分15は平滑な環状の面20へ移行している。この場合に、かどの丸み付けされた周縁部分領域16,17は前記環状の面20の高さの低い平滑な面領域21へ移行しており、かどの鋭利な周縁部分領域18,19は、前記環状の面20の高さの高い平滑な面領域22へ移行している。平滑な面領域21,22は、図示の実施例では垂直に向けられ、つまりピストン縦軸線に平行に向けられていて、1つの円筒内周面を形成している。
平滑な面領域21,22は、それぞれ所定の箇所P12,P22において鋭利なかど(稜)を介して環状のアンダーカット部14へ移行し、つまり環状のアンダーカット部14へかど(稜)の鋭利な状態で、換言すれば実質的に丸みを付けることなしに移行して、すなわちつながっている。平滑な面領域21,22と環状のアンダーカット部14との間の前記各箇所P12,P22は、深皿型燃焼室13の底部に対して互いに同じ距離(高さ)hを有している。これにより、平滑な面領域21,22の高さ(幅)は、曲率半径R,R に依存している。曲率半径R,Rを大きくすればするほどに、平滑な面領域21,22の高さは低くなる。このことは、かどの丸み付けされた周縁部分領域16,17につながる平滑な面領域21が、かどの鋭利(シャープエッジ)な周縁部分領域18,19につながる平滑な面領域22よりも低い高さ(狭い幅)を有していることを意味している。
ピストン頂面と深皿型燃焼室との間に成形される環状の周縁部分15は、かどの丸み付けされた周縁部分領域16,17と、かどの実質的に丸み付けされていない、つまりかどの鋭利な周縁部分領域18,19とを交互に並べて配置することによって形成(構成)されており、かどの丸み付けされた周縁部分領域16,17とかどの鋭利な周縁部分領域18,19とは図示の実施例で互いに滑らかに移行し、つまり互いに滑らかにつながっている。環状の周縁部分15は、平滑な環状の1つの面(内周面)21へ移行し、つまり1つの面21につながっており、該環状の1つの面21は、互いに交互に配置された、高さの低い平滑な面領域21と高さの高い平滑な面領域22とによって形成されており、この場合に平滑な各面領域21,22は同じく互いに滑らかに移行している。平滑な環状の面20は、シリンダーの燃焼室内に噴射された燃料が燃料噴射ノズルの種類及び配置に左右されることなしに、該環状の面の平滑な各面領域21,22にぶつかり、その結果微細に粒状化若しくは霧化されるようになっている。さらに、かどの丸み付けされた周縁部分領域16,17は、環状の周縁部分15に生じる引張り応力若しくは圧縮応力を減少させるようになっている。
10 ピストン、 11 ピストン頂部、 12 弁受容凹設部、 13 深皿型燃焼室、 14 アンダーカット部、 15 周縁部分、 16,17,18,19 周縁部分領域、 20 面、 21,22 面領域、 B ピストンピン中心軸線、 h 距離、 R,R 曲率半径

Claims (11)

  1. 内燃機関用のピストン(10)であって、ピストン頂部(11)内に深皿型燃焼室(13)を備えており、該深皿型燃焼室(13)は環状のアンダーカット部(14)を有しており、この場合に前記アンダーカット部(14)と前記ピストン頂部(11)のピストン頂面とをつないでいる環状の周縁部分(15)は、かどの丸み付けされた周縁部分領域(16,17)とかどの鋭利な周縁部分領域(18,19)とを交互に有している形式のものにおいて、前記環状の周縁部分(15)は、該周縁部分の全周で、平滑な環状の1つの面(20)へ移行しており、該平滑な環状の面(20)は、該面の全周で、鋭利なかどを介して前記環状のアンダーカット部(14)へ移行していることを特徴とする、内燃機関用のピストン。
  2. 平滑な環状の面(20)の高さは、かどの丸み付けされた周縁部分領域(16,17)で、かどの鋭利な周縁部分領域(18,19)でよりも低くなっている請求項1に記載のピストン。
  3. 平滑な環状の面(20)の高さの低い面領域(21)と平滑な環状の面(20)の高さの高い面領域(22)とは互いに滑らかに移行している請求項2に記載のピストン。
  4. 平滑な環状の面(20)は円筒内周面を形成している請求項1から3のいずれか1項に記載のピストン。
  5. かどの丸み付けされた周縁部分領域(16,17)とかどの鋭利な周縁部分領域(18,19)とは互いに滑らかに移行している請求項1から4のいずれか1項に記載のピストン。
  6. かどの丸み付けされた周縁部分領域(16,17)は、2.0乃至3.0mmの曲率半径を有している請求項1から5のいずれか1項に記載のピストン。
  7. かどの鋭利な周縁部分領域(18,19)は、0.5乃至1.5mmの曲率半径を有している請求項1から6のいずれか1項に記載のピストン。
  8. 深皿型燃焼室(13)の中心点はピストン縦軸線と合致している請求項1から7のいずれか1項に記載のピストン。
  9. 環状の周縁部分(15)は、ピストンピン中心軸線(B)内で互いに相対して位置するかどの丸み付けされた2つの周縁部分領域(16,17)と、ピストンピン中心軸線(B)に対して垂直な方向で互いに相対して位置するかどの鋭利な2つの周縁部分領域(18,19)とを有している請求項1から8のいずれか1項に記載のピストン。
  10. ピストン頂部(11)は1つ若しくは複数の弁受容凹設部(12)を備えている請求項1から9のいずれか1項に記載のピストン。
  11. 弁受容凹設部(12)は、かどの鋭利な周縁部分領域(18,19)とかどの丸み付けされた周縁部分領域(16,17)との間の移行領域で、深皿型燃焼室(13)の内周面と交差している請求項10に記載のピストン。
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