JP3180680B2 - 車載多重通信システム及びこれを利用した車両内多重通信方法 - Google Patents

車載多重通信システム及びこれを利用した車両内多重通信方法

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JP3180680B2
JP3180680B2 JP23638096A JP23638096A JP3180680B2 JP 3180680 B2 JP3180680 B2 JP 3180680B2 JP 23638096 A JP23638096 A JP 23638096A JP 23638096 A JP23638096 A JP 23638096A JP 3180680 B2 JP3180680 B2 JP 3180680B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数の車載電装
装置が通信ネットワーク上で互いに接続されてなる車載
多重通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
{第1従来技術}乗用車等の車両の高機能化に伴って、
車内にはパワーウインドウやオートドアロック等の様々
な車載電装装置が備え付けられるようになっている。こ
れらの車載電装装置には中央制御部等からの信号伝送の
必要があるため、LAN等に接続して車載多重通信シス
テムを構築することになる。具体的には、複数の多重通
信装置を1つの通信媒体上に接続するLAN等のシステ
ムの場合、複数の多重通信装置が順次データを送信し、
また、他の多重通信装置が送信している間は受信を行
い、そのデータに従って機能制御が行われる。
【0003】このように、車載電装装置の多くの機能を
1つの通信媒体上に多重通信データとして取り込むこと
により、複数の機能を車載多重通信システム上で制御可
能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の車載多重通信シ
ステムでは、各車載電装装置及び中央制御部との間で送
受信される通信データは、複数の多重通信装置が共用可
能なデータもあるが、共用できないデータもある。従来
では、共用できないデータであっても、そのデータを必
要としない多重通信装置は、当該多重通信装置に必要な
データが到達するまでデータを受信し続ける。すなわ
ち、このような車載多重通信システムの1つの通信媒体
に接続された多重通信装置は、常に全ての多重通信装置
のデータが制御しなくなる条件が揃うまで動作し続けて
いた。
【0005】しかしながら、上記のような車載多重通信
システムでは、車載電装装置の機能を車載多重通信シス
テムに取り込めば取り込む程、通信データは増大し、そ
のデータを基に制御するスピードも高速化を要求され
る。また、いずれか一の多重通信装置には必要なデータ
であるが、他の多重通信装置には必要でないデータが増
えてくる。すなわち、車載多重通信システムの制御機能
を増やせばシステム全体の多重通信装置の通信処理及び
機能制御の高速化が進み、これらを制御するマイクロコ
ンピュータ等のICとして高機能で且つ高速処理が可能
なものが必要となる。そうすると、製造原価が増大す
る。
【0006】そこで、この発明の課題は、各車載電装装
置において必要でないデータの受信をキャンセルするこ
とで通信データに対する制御の量を低減し、全体の処理
速度を低コストで速め得る車載多重通信システムを提供
することにある。
【0007】また、上記の多重通信装置が何らかの異常
により故障した場合、かかる故障状態を他に知らせる手
段としては、多重通信データを全てOFFにするか、多
重通信装置等にLED等の発光体を取り付けて異常時に
発光させる方法があった。そして、これら従来の方法で
は、多重通信装置の故障内容は各部が正常動作しないと
いうことから故障内容を1つ1つ調査してつきとめなけ
ればならない。
【0008】しかしながら、この方法だと調査に多大な
時間がかかり効率が悪かった。また、車載多重通信シス
テムが大規模になればなるほど、故障究明は困難にな
り、故障原因と該当装置の特定に時間を要し、動作効率
が悪くなる。
【0009】そこで、この発明の課題は、故障時に故障
装置の特定及び原因の究明に要する時間を低減し得る車
載多重通信システムを提供することにもある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
請求項1に記載の発明は、車両内において、第1種の多
重通信装置と、前記第1種の多重通信装置から送信され
る通信データのうち特定の通信データのみを処理する第
2種の多重通信装置と、前記第1種の多重通信装置から
送信される通信データのうち他の特定の通信データのみ
を処理する第3種の多重通信装置とを備え、これらが通
信ネットワークにより接続されてなる車載多重通信シス
テムとして、前記第1種の多重通信装置は、送信する通
信データに、送信先の多重通信装置に応じて反転切換し
て極性変化させた極性データを含ませる送信データ極性
切換手段を有せしめられ、前記第2種の多重通信装置
は、前記通信ネットワークからの通信データのうち前記
極性データが第1の極性とされた通信データのみを選別
受信する第1の極性データ受信手段と、前記第1の極性
データ受信手段から与えられたデータを処理する第1の
データ処理手段とを少なくとも備える。
【0011】そして、前記第3種の多重通信装置は、前
記通信ネットワークからの通信データのうち前記極性デ
ータの極性が第2の極性とされた通信データのみを選別
受信する第2の極性データ受信手段と、前記第2の極性
データ受信手段から与えられたデータを処理する第2の
データ処理手段とを少なくとも備える。
【0012】さらに、前記通信データは、当該1単位の
通信データの開始点を示す開始識別項目を含み、前記送
信データ極性切換手段は、前記開始識別項目に前記極性
データを含める機能を有せしめられるものである。
【0013】請求項に記載の発明は、前記第1種の多
重通信装置は、送信する通信データに、当該通信データ
の開始点を示す開始識別項目、前記第2種及び第3種の
多重通信装置を駆動制御するためのデータ項目、及び当
該通信データの終了点を示す終了識別項目を含める機能
を有せしめられ、前記第2種及び第3種の多重通信装置
は、前記終了識別項目の受信時にその旨を記録する終了
記録機能をそれぞれ有せしめられ、前記第1及び第2の
極性データ受信手段は、前記終了記録機能による記録に
基づいて前記終了識別項目にかかる信号の直後に受信し
た信号を前記開始識別項目として認識した後、当該開始
識別項目の極性がそれぞれ対応する極性であるか否かを
判断する機能を有せしめられたものである。
【0014】請求項に記載の発明は、前記第1種の多
重通信装置は車両内中央制御装置であり、前記第2種の
多重通信装置は、前記車両内中央制御装置によって駆動
制御される駆動装置であり、前記第3種の多重通信装置
は、前記車両内中央制御装置によって駆動制御され且つ
前記第2種の多重通信装置と異な駆動機能を有する他の
駆動装置であるものである。
【0015】請求項に記載の発明は、前記第1種の多
重通信装置は、第1及び第2の両極性の通信データを受
信する両極性データ受信手段をさらに有せしめられ、前
記第2種の多重通信装置は、第1の極性の通信データの
みを前記通信ネットワークへ送信する第1の極性データ
送信手段をさらに備え、前記第3種の多重通信装置は、
第2の極性の通信データのみを前記通信ネットワークへ
送信する第2の極性データ送信手段をさらに備えるもの
である。
【0016】請求項に記載の発明は、前記第1種の多
重通信装置から通信データを送信する際に、当該通信デ
ータに当該通信データの開始点を示す開始識別項目を含
めるようにし、その際に少なくとも当該開始識別項目に
かかる信号を送信先の多重通信装置に応じて反転切換し
て極性を変化させ、前記第2種及び第3種の多重通信装
置において前記開始識別項目の極性を判断し、それぞれ
対応する極性の通信データのみを選別受信するようにし
たものである。
【0017】請求項に記載の発明は、車両内におい
て、複数の多重通信装置と、該各多重通信装置の故障を
診断する中央故障診断装置とが通信ネットワークにより
接続されてなる車載多重通信システムとして、前記各多
重通信装置は、当該多重通信装置が故障したか否かを検
知する故障検知手段と、前記故障検知手段での検知結果
に基づいて、故障時以外のときは送信する通信データに
第1の極性に設定した極性データを含ませ、故障時には
前記極性データを反転切換して第2の極性に変化させる
送信データ極性切換手段と、前記通信ネットワークから
の通信データのうち前記極性データが第1の極性である
通信データのみを選別受信する第1の極性データ受信手
段とを備える。
【0018】そして、前記中央故障診断装置は、前記通
信ネットワークからの通信データのうち前記極性データ
が第2の極性である通信データのみを選別受信する第2
の極性データ受信手段と、前記第2の極性データ受信手
段から与えられたデータに基づいて、前記極性データを
第2の極性に設定した多重通信装置についての故障を診
断する中央故障診断装置とを少なくとも備えるものであ
る。
【0019】請求項に記載の発明は、前記通信データ
は、当該1単位の通信データの開始点を示す開始識別項
目を含み、前記送信データ極性切換手段は、前記開始識
別項目に前記極性データを含める機能を有せしめられる
ものである。
【0020】請求項に記載の発明は、前記複数の多重
通信装置は、送信する通信データに、当該通信データの
開始点を示す開始識別項目及び当該通信データの終了点
を示す終了識別項目を含める機能を有せしめられ、前記
中央故障診断装置は、前記終了識別項目の受信時にその
旨を記録する終了記録機能を有せしめられ、前記中央故
障診断装置の前記第2の極性データ受信手段は、前記終
了記録手段での記録に基づいて前記終了識別項目にかか
る信号の直後に受信した信号を前記開始識別項目として
認識した後、当該開始識別項目の極性が第2の極性であ
るか否かを判断する機能を有せしめられたものである。
【0021】請求項に記載の発明は、前記各多重通信
装置の通信データの送信時には、前記故障検知手段によ
って当該多重通信装置が故障したか否かを検知するとと
もに、当該通信データに当該通信データの開始点を示す
開始識別項目を含めるようにし、その際に、前記当該各
多重通信装置が故障でない場合には当該開始識別項目を
第1の極性に設定し、一方、当該各多重通信装置が故障
である場合には当該開始識別項目を第2の極性に設定
し、前記中央故障診断装置の通信データの受信時には、
前記第2の極性データ受信手段において、前記開始識別
項目が第2の極性である通信データのみを選別受信する
ようにした車両内多重通信方法。前記各多重通信装置の
通信データの受信時には、前記第1の極性データ受信手
段において、前記開始識別項目が第1の極性である通信
データのみを選別受信するようにしたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
{第1実施形態} <構成>図1はこの発明の第1実施形態の車載多重通信
システムの概要を示す図である。この実施形態の車載多
重通信システムは、複数の車載電装装置について必要な
制御データ等の送受信を行う車載多重通信システムであ
って、具体的には、車両全体の制御を司る中央制御装置
10a、車両のドア窓の開閉をモータを利用して電気的
に行うパワーウインドウ装置10b,10c、及び車両
のドアのロックをモータを利用して電気的に行うドアロ
ック装置10d,10eが、1個のバスライン(多重通
信媒体)11を通じて接続されてなる。
【0023】ここで、通信ネットワークの概念上、図2
のように、各車載電装装置10a,10b,10c,1
0d,10eをそれぞれ中央制御ノード(A)、パワー
ウインドウ制御ノード(B),(C)、及びドアロック
制御ノード(D),(E)の5つの通信ノードとして考
える。なお、図2では、説明の便宜上、5個の車載電装
装置同士の全ての組み合わせについて1対1に接続され
ているように描いているが、実際には図1のように1本
のバスラインに各車載電装装置をバスライン接続してい
る。また、実際には、これらのノード以外にも、例えば
エンジン制御ノードやドアミラー制御ノードが存在する
場合があるが、ここでは説明の簡便のため上記5つのノ
ード(A)〜(E)に限定して考えることにする。この
場合、図2の如く、次のような10個のデータ送受信の
組み合わせが考えられる。
【0024】・(A)−(B)、 ・(A)−(C)、 ・(A)−(D)、 ・(A)−(E)、 ・(B)−(C)、 ・(B)−(D)、 ・(B)−(E)、 ・(C)−(D)、 ・(C)−(E)、 ・(D)−(E)。
【0025】ここで、中央制御ノード(A)は、パワー
ウインドウ制御ノード(B),(C)及びドアロック制
御ノード(D),(E)の両方とデータの送受信を必要
とするが、パワーウインドウ制御ノード(B),(C)
とドアロック制御ノード(D),(E)との間では、相
互にデータの送受信を行う必要はない。したがって、上
記組み合わせのうち、次の4つの組み合わせ(図2中の
○印)は通信の必要がないことになる。
【0026】・(B)−(D)、 ・(B)−(E)、 ・(C)−(D)、 ・(C)−(E)。
【0027】この場合、実際の通信データの流れは図2
の○印のパスを省略したものとして図3のようになる。
このような場合、正負両極性の通信データを認識するノ
ード(以下、「第1種の多重通信ノード」と称す)と、
負極性(第1の極性)の通信データのみを認識するノー
ド(以下、「第2種の多重通信ノード」と称す)と、正
極性(第2の極性)の通信データのみを認識するノード
(以下、「第3種の多重通信ノード」と称す)とを混在
させることで、必要なデータのみ、すなわち、中央制御
ノード(A)については第1種の多重通信ノードとして
正負両極性の受信データを認識して処理するようにし、
パワーウインドウ制御ノード(B),(C)については
第2種の多重通信ノードとして負極性受信データのみを
認識して処理するようにし、ドアロック制御ノード
(D),(E)については第3種の多重通信ノードとし
て正極性の受信データのみを認識して処理するようにす
る。
【0028】図4は、各通信ノードの通信機能を中心と
したブロック図である。
【0029】第1種の多重通信ノード(A)すなわち中
央制御装置10aは、他の通信ノード(B)〜(D)の
駆動を制御する制御手段21と、制御手段21に対する
データのデータ処理を行うデータ処理手段22と、デー
タ処理手段22から送出されたデータについて送信先通
信ノードの種類(第2種または第3種のいずれか)に応
じて反転切換を行い通信ラインバス11に送出する送信
データ極性切換手段23と、送信データ極性切換手段2
3から送出する通信データのデータチェックを行うため
にデータ処理手段22に信号帰還を行うデータ帰還手段
24と、通信ラインバス11からの正極性及び負極性通
信データを共に受信する正負極性受信手段25と、例え
ばパワーウインドウの開閉等を指示するための入力回路
26とを備える。ここで、制御手段21はROMおよび
RAM等が接続された一般的なCPUであって、ROM
等に予め格納された所定のソフトウェアプログラムによ
って動作するものである。また、入力回路26には例え
ばパワーウインドウの開閉等を指示する指示スイッチが
接続される。
【0030】第2種の多重通信ノード(B),(C)す
なわちパワーウインドウ装置10b,10cは、通信ラ
インバス11からの通信データのうち負極性通信データ
のみを選別して受信する負極性データ受信手段(第1の
極性データ受信手段)31と、負極性データ受信手段3
1から与えられたデータを処理するデータ処理手段(第
1のデータ処理手段)32と、データ処理手段32での
データ処理に基づいて図示しないパワーウインドウモー
タを駆動する駆動回路33と、例えばこの駆動回路33
に関する動作結果等の報告情報等を負極性通信データと
して通信ラインバス11を通じて送信する負極性データ
送信手段34と、駆動回路33の指示によるパワーウイ
ンドウモータの駆動状況等の情報が外部の図示しない検
出回路等から入力される入力回路36とを備えている。
【0031】第3種の多重通信ノード(D),(E)す
なわちドアロック装置10d,10eは、通信ラインバ
ス11からの通信データのうち正極性通信データのみを
選別して受信する正極性データ受信手段(第2の極性デ
ータ受信手段)41と、正極性データ受信手段41から
与えられたデータを処理するデータ処理手段(第2のデ
ータ処理手段)42と、データ処理手段42でのデータ
処理に基づいて図示しないオートロックモータを駆動す
る駆動回路43と、駆動回路43に関する動作結果等の
報告情報等を正極性通信データとして通信ラインバス1
1を通じて送信する正極性データ送信手段44と、駆動
回路43の指示によるオートロックモータの駆動状況等
の情報が外部の図示しない検出回路等から入力される入
力回路46とを備えている。
【0032】なお、上記したデータ処理手段32及びデ
ータ処理手段42には、後述のように、受信したビット
信号がスタートビット(開始識別項目:Stb1,St
b2)かどうかを識別する目的で、直前に通信データの
終了点を示すストップビット(終了識別項目:Spb
1,Spb2)が受信されたかどうかを識別するために
ストップカウントを行うストップカウンタ(終了記録手
段)35,45が内蔵されている。なお、かかるストッ
プカウンタ35,45は、データ処理手段32,42内
において論理演算によりカウントが可能なCPUを用い
てもよいし、あるいは半導体を使用した回路設計により
論理回路を構成してもよい。
【0033】ここで、図5及び図6は、ビット同期通信
方式のPWM(Pulse Width Modula
tion:パルス幅変調)制御を例に正極性及び負極性
の各通信データの波形例を示したものである。図5及び
図6中の符号Pl1は正極性通信データ、符号Pl2は
負極性通信データ、符号Stb1,Stb2は各通信デ
ータの始まりを示すスタートビット(開始識別項目)、
符号X1〜Xn及び符号Y1〜Ynはデータビット(デ
ータ項目)、符号Spb1,Spb2は通信データの終
わりを示すストップビット(終了識別項目)をそれぞれ
示している。
【0034】図5中の破線laは隣り合うビットのそれ
ぞれの境界を示しており、さらに図6中の破線lbは1
ビットを3分割したタイムスパンTA〜TCの境界を示して
いる。ここで、スタートビットStb1,Stb2及び
ストップビットSpb1,Spb2は、1ビット分のデ
ータがHighまたはLowに維持された状態の信号と
して定義する。また、各データビットX1〜Xn,Y1
〜Ynは、図6のように1ビットを3分割(TA〜TC)し
た上で、その波形のパターンによって定義されている。
【0035】<データ送信時の動作>データの送信時、
例えば中央制御ノード(A)によって通信データを送信
する場合には、外部から入力回路26に与えられた信号
の属性、例えばパワーウインドウに関するものである
か、あるいはドアオートロックに関するものであるかに
よって、制御手段21は、図7の如く、まず、送信先の
ノードの種類が正極性に対応するものであるか負極性に
対応するものであるかを判断し(ステップS1)、正極
性である場合には、送信データ極性切換手段23での反
転切換によってスタートビットStb1を生成した後、
データビットX1〜Xnを送出し、さらにストップビッ
トSpb1を生成しながら正極性通信データPl1を形
成し(ステップS2)送信する(ステップS3)。一
方、送信先のノードの種類が負極性に対応するものであ
る場合には、送信データ極性切換手段23での反転切換
によってスタートビットStb2を生成した後、データ
ビットY1〜Ynを送出し、さらにストップビットSp
b2を生成して負極性通信データPl2を形成し(ステ
ップS4)送信する(ステップS3)。
【0036】また、パワーウインドウ制御ノード
(B),(C)によって負極性通信データを送信する場
合には、負極性データ送信手段34でのデータ生成によ
って、スタートビットStb2を生成した後、データビ
ットY1〜Ynを送出し、さらにストップビットSpb
2を生成しながら負極性通信データPl2を送信する。
一方、ドアロック制御ノード(D),(E)によって正
極性通信データを送信する場合には、正極性データ送信
手段44でのデータ生成によって、スタートビットSt
b1を生成した後、データビットX1〜Xnを送出し、
さらにストップビットSpb1を生成しながら正極性通
信データPl1を送信する。
【0037】<データ受信時の動作>また、データの受
信時には、受信した通信データのスタートビットがLo
w(Stb1)であるかHigh(Stb2)であるか
によって、正極性通信データ(Pl1)であるか負極性
通信データ(Pl2)であるかを識別する。
【0038】まず、受信したビットがスタートビットま
たはストップビットであるかデータビットであるかは、
図6(a),(d),(e)及び(h)のように1ビッ
トを3分割したときに分割された全てについてHigh
またはLowの状態が維持されているか否かで判断で
き、維持されている場合は当該ビットはスタートビット
またはストップビットであると判断でき、維持されてい
ない場合、すなわち図6(b),(c),(f)及び
(g)のような波形の場合はデータビットであると判断
できる。
【0039】ただし、正極性通信データ(Pl1)のス
タートビット(Stb1)と負極性通信データ(Pl
2)のストップビット(Spb2)はいずれも1ビット
単位でLowの状態として定義されているため同一波形
であり、したがって、これらの相互識別が問題となる。
同様に、正極性通信データ(Pl1)のストップビット
(Spb1)と負極性通信データ(Pl2)のスタート
ビット(Stb2)はいずれも1ビット単位でHigh
の状態が維持された状態として定義されているため同一
波形であり、これらの相互識別が問題となる。このよう
なスタートビットとストップビットとの相互識別は、具
体的には次のようにして行う。
【0040】まず、1フレームの通信データが終了した
ときのストップビット(図6(a),(d),(e)及
び(h))の後には、必ず後続の通信データフレーム内
のスタートビットが連続して通信ラインバス11から与
えられる。このため、図8の(a)〜(d)のいずれか
の波形が連続して検出できれば、受信側の各車載電装装
置においてストップビット及びスタートビットを認識し
たことになる。
【0041】例えば、通信データが正極性(Pl1)か
ら負極性(Pl2)に変更された場合、正極性通信デー
タPl1のストップビットがHigh(Spb1)で負
極性通信データPl2のスタートビットがHigh(S
tb2)となるため、図8(b)のようにHighのビ
ットが2ビット続くことになり、正・負極性のみの通信
状態ではあり得ないビット条件が発生するため、正極性
から負極性に変更されたことが解る。逆に、負極性(P
l2)から正極性(Pl1)への変更は、負極性通信デ
ータPl2のストップビットがLow(Spb2)で正
極性通信データPl1のスタートビットがLow(St
b1)となるため、図8(c)のようにLowビットが
2ビット続くことにより、同様にして変更されたことが
解る。勿論、正極性通信データPl1が続く場合(図8
(a))や負極性通信データPl2が続く場合(図8
(d))も容易に認識できる。
【0042】<負極性通信データの認識動作>図9は負
極性通信データを識別する際の動作フローチャートであ
る。例えば、パワーウインドウ制御ノード(B),
(C)の負極性データ受信手段31において通信データ
を受信する場合、まずステップT1において、1ビット
を3分割したときの第1番目のスパン(TA)が0である
か否かを判断する。第1番目のスパン(TA)が0である
場合には、引き続きステップT2において第2番目のス
パン(TB)が1であるか否かを判断する。そして第2番
目のスパン(TB)が1である場合には、さらにステップ
T3において第3番目のスパン(TC)が1であるか否か
を判断する。そして、第3番目のスパン(TC)が1であ
る場合には、受信したビット信号が負極性通信データ
(Pl2)のデータビット「0」であると認識した上で
(ステップT4)、当該ビット信号がストップビットで
ないことを示す意味でストップカウンタ35を0に設定
する(ステップT5)。
【0043】一方、上述のステップT3において、第3
番目のスパン(TC)が1でないと判断した場合には、当
該通信データが負極性通信データ(Pl2)でないもの
と認識して、通信データの受信を停止する。
【0044】上述のステップT2において、第2番目の
スパン(TB)が1でないと判断した場合は、ステップT
6において第3番目のスパン(TC)が1であるか否かを
判断する。そして、第3番目のスパン(TC)が1である
場合には、受信したビット信号が負極性通信データ(P
l2)のデータビット「1」であると認識した上で(ス
テップT7)、当該ビット信号がストップビットでない
ことを示す意味でストップカウンタ35を0に設定す
る。
【0045】一方、上述のステップT6において、第3
番目のスパン(TC)が1でないと判断した場合、ステッ
プT9において既にストップカウンタ35が1であるか
否かを判定する。既にストップカウンタ35が1である
場合、すなわち前回に受信したビット信号が既にストッ
プビットであった場合は、2回続けてストップビットが
与えられることがあり得ないため、当該ビット信号が負
極性通信データ(Pl2)のストップビット(Spb
2)でない、すなわち正極性通信データ(Pl1)のス
タートビット(Stb1)であると認識でき、よって通
信データの受信を停止する(ステップT10)。
【0046】また、上記ステップT9において、ストッ
プカウンタ35が0である場合は、当該ビット信号が負
極性通信データ(Pl2)のストップビット(Spb
2)であると認識し(ステップT11)、ストップカウ
ンタ35を1に設定して既にストップビット(Spb
2)を受信した旨を記録する(ステップT12)。
【0047】さらに、上記ステップT1において、第1
番目のスパン(TA)が0でないと判断した場合には、引
き続きステップT13において第2番目のスパン(TB)
が1であるか否かを判断する。そして第2番目のスパン
(TB)が1である場合には、さらにステップT14にお
いて第3番目のスパン(TC)が1であるか否かを判断
し、1である場合には、受信したビット信号が負極性通
信データ(Pl2)のスタートビット(Stb2)であ
るとして(ステップT15)ストップカウンタ35を0
にする(ステップT16)。
【0048】一方、ステップT13またはステップT1
4において、第2番目のスパン(TB)または第3番目の
スパン(TC)が1でないと判断した場合には、当該ビッ
ト信号がそれぞれ正極性通信データ(Pl1)のデータ
ビット「0」,「1」(図6(b),(c))であるた
め、通信データの受信を停止する。
【0049】上記のようにして、負極性のデータを得る
ことができた場合は、駆動回路33によって、パワーウ
インドウモータを駆動する。この際、駆動回路33の指
示によるパワーウインドウモータの駆動状況等の情報を
入力回路36で受信し、必要な場合は負極性データ送信
手段34及び通信ラインバス11を通じて中央制御ノー
ド(A)に処理報告のための負極性のデータ信号を送信
する。この場合、かかる負極性通信データは、中央制御
ノード(A)においては受信の対象とされるが、ドアロ
ック制御ノード(D),(E)においては正極性データ
受信手段41でのキャンセルにより無視される。
【0050】<正極性通信データの認識動作>図10は
正極性通信データを識別する際の動作フローチャートで
ある。例えば、ドアロック制御ノード(D),(E)の
正極性データ受信手段41において通信データを受信す
る場合、まずステップU1において、1ビットを3分割
したときの第1番目のスパン(TA)が1であるか否かを
判断する。第1番目のスパン(TA)が1である場合に
は、引き続きステップU2において第2番目のスパン
(TB)が0であるか否かを判断する。そして第2番目の
スパン(TB)が0である場合には、さらにステップU3
において第3番目のスパン(TC)が0であるか否かを判
断する。そして、第3番目のスパン(TC)が0である場
合には、受信したビット信号が正極性通信データ(Pl
1)のデータビット「0」であると認識した上で(ステ
ップU4)、当該ビット信号がストップビットでないこ
とを示す意味でストップカウンタ45を0に設定する
(ステップU5)。
【0051】一方、上述のステップU3において、第3
番目のスパン(TC)が0でないと判断した場合には、当
該通信データが正極性通信データ(Pl1)でないもの
と認識して、通信データの受信を停止する。
【0052】また、上述のステップU2において、第2
番目のスパン(TB)が0でないと判断した場合は、ステ
ップU6において第3番目のスパン(TC)が0であるか
否かを判断する。そして、第3番目のスパン(TC)が0
である場合には、受信したビット信号が正極性通信デー
タ(Pl1)のデータビット「1」であると認識した上
で(ステップU7)、当該ビット信号がストップビット
でないことを示す意味でストップカウンタ45を0に設
定する。
【0053】一方、上述のステップU6において、第3
番目のスパン(TC)が0でないと判断した場合、ステッ
プU9において既にストップカウンタ45が1であるか
否かを判定する。既にストップカウンタ45が1である
場合、すなわち前回に受信したビット信号が既にストッ
プビットであった場合は、2回続けてストップビットが
与えられることがあり得ないため、当該ビット信号が正
極性通信データ(Pl1)のストップビット(Spb
1)でない、すなわち負極性通信データ(Pl2)のス
タートビット(Stb2)であると認識でき、よって通
信データの受信を停止する(ステップU10)。
【0054】また、上記ステップU9において、ストッ
プカウンタ45が0である場合は、当該ビット信号が正
極性通信データ(Pl1)のストップビット(Spb
1)であると認識し(ステップU11)、ストップカウ
ンタ45を0に設定して既にストップビット(Spb
1)を受信した旨を記録する(ステップU12)。
【0055】さらに、上記ステップU1において、第1
番目のスパン(TA)が1でないと判断した場合には、引
き続きステップU13において第2番目のスパン(TB)
が0であるか否かを判断する。そして第2番目のスパン
(TB)が0である場合には、さらにステップU14にお
いて第3番目のスパン(TC)が0であるか否かを判断
し、0である場合には、受信したビット信号が正極性通
信データ(Pl1)のスタートビット(Stb1)であ
るとして(ステップU15)、ストップカウンタ45を
0にする(ステップU16)。
【0056】一方、ステップU13またはステップU1
4において、第2番目のスパン(TB)または第3番目の
スパン(TC)が0でないと判断した場合には、当該ビッ
ト信号がそれぞれ負極性通信データ(Pl2)のデータ
ビット「0」,「1」(図6(f),(g))であるた
め、通信データの受信を停止する。
【0057】上記のようにして、正極性のデータを得る
ことができた場合は、駆動回路43によってオートロッ
クモータを駆動する。この際、オートロックモータの駆
動状況等の情報を入力回路46で受信し、必要な場合は
正極性データ送信手段44及び通信ラインバス11を通
じて中央制御ノード(A)に処理報告のための正極性の
データ信号を送信する。この場合、かかる正極性通信デ
ータは、中央制御ノード(A)においては受信の対象と
されるが、パワーウインドウ制御ノード(B),(C)
においては負極性データ受信手段31でのキャンセルに
より無視される。
【0058】なお、中央制御ノード(A)によって通信
データを受信する場合には、正負両極性の通信データを
いずれも処理する必要があるため、正負極性受信手段2
5を介して両極性のデータを受信し処理する。
【0059】以上のように動作することによって、受信
側の各車載電装装置において、スタートビットStb
1,Stb2及びストップビットSpb1,Spb2に
対する各データビットX1〜Xn,Y1〜Ynの識別を
容易に行うことができる。
【0060】このように通信ネットワークを構築するこ
とにより、各多重通信ノードではスタートビットStb
1,Stb2の極性を監視するだけで当該通信ノードに
必要なデータを含んだ通信データかどうかが容易に判明
でき、複数の多重通信ノードを有する複雑な車載多重通
信システムを容易に細分化して構築できる。したがっ
て、システム制御の簡略化が可能となる。
【0061】また、正極性通信データPl1が送信され
ている間は、負極性通信データPl2を必要とする第2
種の多重通信ノードは通信データ全てを常に判定する必
要がなく、また逆に負極性通信データPl2が送信され
ている間は正極性通信データPl1を必要とする第3種
の多重通信ノードは通信データ全てを常に判定する必要
がないため、システム全体の制御時間を短縮でき、シス
テム制御を処理するマイクロコンピュータ等の集積回路
としても、高機能、高速のものを使用せずに、高速な車
載多重通信システムを容易に構築できる。
【0062】{第2実施形態} <構成>この発明の第2実施形態の車載多重通信システ
ムは、複数の車載電装装置について必要な制御データ等
の送受信を行う車載多重通信システムであって、各車載
電装装置において通常時には正極性の通信データを送信
し、故障時には通信データの極性を正負転換して負極性
とすることにより、故障した車載電装装置の特定を容易
にするものである。
【0063】図11はこの実施形態の車載多重通信シス
テムを示すブロック図である。図11中の符号(F),
(G)はそれぞれ独自機能を有する車載電装装置、符号
(J)は各車載電装装置(F),(G)の故障を診断す
る中央故障診断装置をそれぞれ示している。
【0064】各車載電装装置(F),(G)は、それぞ
れの機能に応じて設置される駆動機構(図示せず)を駆
動する駆動回路51と、この駆動回路51を制御するた
めの制御データを処理するデータ処理手段52と、通信
ラインバス11上の通信データのうち正極性通信データ
のみを判断して受信する正極性データ受信手段53と、
駆動回路51の故障状態を検知する故障検知手段54
と、駆動回路51に関する動作結果等の報告情報等を通
信ラインバス11を通じて送信するデータ送信手段55
とを備えている。ここで、各車載電装装置(F),
(G)のデータ送信手段55は、第1実施形態の送信デ
ータ極性切換手段23と同様に送信データ極性切換手段
として機能する。
【0065】そして、故障検知手段54によって故障が
検知された時点で、送信するデータを正極性通信データ
から負極性通信データに切り換える機能を有している。
すなわち、故障した車載電装装置(F),(G)が送信
する通信データは必ず負極性通信データとして通信ライ
ンバス11に与えられることになり、これによって後述
する中央故障診断装置(J)による故障の診断が容易に
なる。
【0066】中央故障診断装置(J)は、通信ラインバ
ス11からの通信データのうち負極性通信データのみを
選別して受信する負極性データ受信手段61(第1の極
性データ受信手段)と、負極性データ受信手段61から
与えられたデータに基づいて故障した車載電装装置
(F),(G)の診断を行う故障診断手段62と、故障
診断手段62において診断を行うために故障した車載電
装装置(F),(G)に負極性通信データを送信する負
極性データ送信手段63とを備えている。なお、故障診
断手段62は、表示ディスプレイ、LEDランプ等の外
部の故障表示装置64に接続されている。
【0067】ここで、正極性通信データ及び負極性通信
データは、1ブロック内の通信データ内に、スタートビ
ットStb1,Stb2、データビットX1,X2,
…,Y1,Y2,…及びストップビットSpb1,Sp
b2を含める点で、図5に示した第1実施形態と同様の
ものである。したがって、これら各種ビットStb1,
Stb2,X1,X0,…,Y1,Y2,…Spb1,
Spb2の相互識別も、第1実施形態と同様の方法によ
り行うものである。
【0068】<動作>図12は4個の車載電装装置
(F)〜(I)及び1個の中央故障診断装置(J)によ
り車載多重通信システムを構成した例である。なお、図
12では、説明の便宜上、5個の車載電装装置同士の全
ての組み合わせについて1対1に接続されているように
描いているが、実際には図11のように1本のバスライ
ンに各車載電装装置をバスライン接続している。
【0069】かかる多重通信システムにおいて、通常の
多重通信状態では、各車載電装装置(F)〜(I)から
の送信データとして正極性通信データ(図5中の符号P
l1)が通信ラインバス11に与えられ、中央故障診断
装置(J)以外の車載電装装置(F)〜(I)は、正常
に多重通信を受信し、所定の機能動作が実行される。一
方、中央故障診断装置(J)は、負極性通信データPl
2のみ判断可能とされていることから、正極性通信デー
タPl1は通信エラーとして判断するため、通常時の正
極性通信データPl1を受信することはない。したがっ
て、次の4つの組み合わせ(図12中の○印)は通信は
行われない。
【0070】・(F)−(J) ・(G)−(J) ・(H)−(J) ・(I)−(J) ここで、ある多重通信ノード、例えば車載電装装置
(F)が何らかの異常により故障した場合、車載電装装
置(F)は故障した旨を故障検知手段54によって自己
判断し、データ送信手段55が送信データ極性切換手段
として機能することで、あたかも図13のように送信デ
ータを負極性通信データPl2に極性切換し送信する。
そうすると、他の車載電装装置(G)〜(I)は正極性
通信データしか判断できないため、これらの多重通信ノ
ードはこのデータを受信しない。このときの動作手順は
図9に示した第1実施形態と同様である。
【0071】そして、中央故障診断装置(J)は負極性
通信データPl2のみを判断するため、このデータを故
障診断データとして受け取り、その故障内容が何か、該
当装置がどれなのかを容易に判断し故障表示装置64に
表示することができる。このようにすると、第1実施形
態と同様に、各車載電装装置(F)〜(I)及び中央故
障診断装置(J)は、スタートビットStb1,Stb
2の極性を監視するだけで、当該通信ノードに正常なデ
ータを含んだ通信システムかどうかが判明でき、通常の
通信データか故障診断通信データかを容易に判定でき
る。
【0072】この際、上述のように一の車載電装装置
(F)が故障して負極性通信データPl2を送信して
も、正常状態である他の車載電装装置(G)〜(I)は
正常な多重通信を続行することが望ましい。そこで、故
障の発生していない正極性通信系の車載電装装置(G)
〜(I)同士の通信は、正極性通信データPl1のみを
送受信することで、図13のように負極性通信系とされ
た故障対象の車載電装装置(F)及び中央故障診断装置
(J)からの通信系統の切断を容易に行うことができ
る。したがって、車載電装装置(F)及び中央故障診断
装置(J)は他の車載電装装置(G)〜(I)間の通信
データの影響を受けずに済み、逆に車載電装装置(G)
〜(I)は車載電装装置(F)及び中央故障診断装置
(J)間の通信データの影響を受けずに済む。したがっ
て、何らかの原因で多重通信ノードに故障が発生して
も、正常な車載多重通信システムには影響を与えること
無く、故障診断用の車載多重通信システムを1つの通信
媒体上に混在させることができる。
【0073】{変形例} (1) 上記の実施形態では、簡便のため、スタートビ
ット及びストップビットをそれぞれ1ビットで構成する
ことで、正負2種類の系統のみに分類できる車載多重通
信システムについて説明したが、ストップビットSpb
の長さを違えた送信フレームを複数設定することによ
り、2種類以上の車載多重通信システムを構築すること
は上記より容易である。また、通信方式は1ビットの中
で正負の極性が変化するビット同期方式が望ましい。
【0074】(2) 第2実施形態では、中央故障診断
装置(J)は、他の車載電装装置(F)〜(I)に予め
接続されているものとして説明したが、常に車載電装装
置(F)〜(I)に接続されている必要はなく、何らか
の故障が発生した時点で接続することにより動作するよ
うにしてもよい。
【0075】(3) 図4では、データ処理の結果を表
示する表示手段を省略していたが、例えばパワーウイン
ドウの異常を表示するための異常表示装置を制御装置2
1に接続してもよい。
【0076】
【発明の効果】請求項1、請求項または請求項に記
載の発明によれば、通信データの極性が第1の極性であ
るか第2の極性であるかを判断し、自己に対応する極性
の通信データのみを選別受信するだけで、該当しない極
性の通信データの受信を回避することができる。その結
果、各多重通信装置は通信ネットワーク上の通信データ
の全てを判定する必要がないため、システム全体の制御
時間を短縮でき、システム制御を処理するマイクロコン
ピュータ等の集積回路としても、高機能、高速のものを
使用せずに、高速な車載多重通信システムを容易に構築
できる。
【0077】また請求項に記載の発明によれば、各多
重通信装置において通信データを受信する際、単位毎に
送信される通信データの受信の開始時点で、開始識別項
目の極性が第1の極性であるか第2の極性であるかを判
断できるので、受信可否の判断を素早く行うことがで
き、全体的な制御時間を短縮できる。
【0078】請求項に記載の発明によれば、各多重通
信装置において、一連の通信データを受信する際、開始
識別項目の認識を容易に行うことができるので、当該通
信データを受信すべきか否かの判断を素早く行うことが
でき、全体的な処理速度の向上を図ることができる。
【0079】請求項に記載の発明によれば、各多重通
信装置において通信データを同一の通信ネットワーク送
信する際、それぞれの特性に応じた極性の通信データを
送信するので、当該通信データを受信する側では、当該
通信データが必要なデータかどうかを極性を認識するだ
けで判断でき、通信効率を向上できる。
【0080】請求項及び請求項に記載の発明によれ
ば、中央故障診断装置において、極性データの極性が第
2の極性であるか否かを判断し、第2の極性の通信デー
タのみを選別受信するだけで、故障した多重通信装置か
らの通信データのみを受信して故障の診断を容易に行う
ことができる。一方、故障していない他の多重通信装置
同士については、通常通り第1の極性の通信データのみ
を送受信することで、通信系統を故障した多重通信装置
から容易に遮断でき、安全性を保持できる。
【0081】請求項に記載の発明によれば、中央故障
診断装置においてデータを受信する際、単位毎に送信さ
れる通信データの受信の開始時点で、開始識別項目の極
性が第2の極性であるか否かを判断できるので、受信可
否の判断を素早く行うことができ、全体的な制御時間を
短縮できる。
【0082】請求項に記載の発明によれば、中央故障
診断装置において、一連の通信データを受信する際、開
始識別項目の認識を容易に行うことができるので、当該
通信データを受信すべきか否かの判断を素早く行うこと
ができ、全体的な処理速度の向上を図ることができると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態の車載多重通信システ
ムの全体的な概要を示すブロック図である。
【図2】この発明の第1実施形態の車載多重通信システ
ムの通信ノードを示す図である。
【図3】この発明の第1実施形態の車載多重通信システ
ムにおいて通信データの極性を変化させることで系統分
けされた状態を示す図である。
【図4】この発明の第1実施形態の車載多重通信システ
ムを示すブロック図である。
【図5】正極性通信データ及び負極性通信データを示す
タイミングチャートである。
【図6】各極性におけるスタートビット、データビット
及びストップビットを示す図である。
【図7】送信データ極性切換手段の動作を示すフローチ
ャートである。
【図8】スタートビットとストップビットの組み合わせ
を示す図である。
【図9】負極性通信データを識別する際の動作フローチ
ャートである。
【図10】正極性通信データを識別する際の動作フロー
チャートである。
【図11】この発明の第2実施形態の車載多重通信シス
テムを示すブロック図である。
【図12】この発明の第2実施形態の車載多重通信シス
テムの通信ノードを示す図である。
【図13】この発明の第2実施形態の車載多重通信シス
テムにおいて通信データの極性を変化させることで系統
分けされた状態を示す図である。
【符号の説明】
(A) 中央制御ノード (B),(C) パワーウインドウ制御ノード (D),(E) ドアロック制御ノード (F)〜(I) 車載電装装置 (J) 故障診断装置 10a 中央制御装置 10b,10c パワーウインドウ装置 10d,10e ドアロック装置 11 通信ラインバス 21 制御手段 22 データ処理手段 23 送信データ極性切換手段 24 データ帰還手段 31 負極性データ受信手段 32 データ処理手段 33 駆動回路 34 負極性データ送信手段 35 ストップカウンタ 41 正極性データ受信手段 42 データ処理手段 43 駆動回路 44 正極性データ送信手段 45 ストップカウンタ 51 駆動回路 52 データ処理手段 53 正極性データ受信手段 54 故障検知手段 55 データ送信手段 61 負極性データ受信手段 62 故障診断手段 63 負極性データ送信手段 64 故障表示装置 Pl1 正極性通信データ Pl2 負極性通信データ Stb1,Stb2 スタートビット X1〜Xn,Y1〜Yn データビット Spb1,Spb2 ストップビット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−33513(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04L 12/28 H04L 5/00 H04L 25/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両内において、第1種の多重通信装置
    と、前記第1種の多重通信装置から送信される通信デー
    タのうち特定の通信データのみを処理する第2種の多重
    通信装置と、前記第1種の多重通信装置から送信される
    通信データのうち他の特定の通信データのみを処理する
    第3種の多重通信装置とを備え、これらが通信ネットワ
    ークにより接続されてなる車載多重通信システムにおい
    て、 前記第1種の多重通信装置は、送信する通信データに、
    送信先の多重通信装置に応じて反転切換して極性変化さ
    せた極性データを含ませる送信データ極性切換手段を有
    せしめられ、 前記第2種の多重通信装置は、 前記通信ネットワークからの通信データのうち前記極性
    データが第1の極性とされた通信データのみを選別受信
    する第1の極性データ受信手段と、 前記第1の極性データ受信手段から与えられたデータを
    処理する第1のデータ処理手段とを少なくとも備え、 前記第3種の多重通信装置は、 前記通信ネットワークからの通信データのうち前記極性
    データの極性が第2の極性とされた通信データのみを選
    別受信する第2の極性データ受信手段と、 前記第2の極性データ受信手段から与えられたデータを
    処理する第2のデータ処理手段とを少なくとも備え 前記通信データは、当該1単位の通信データの開始点を
    示す開始識別項目を含み、 前記送信データ極性切換手段は、前記開始識別項目に前
    記極性データを含める機能を有せしめられる ことを特徴
    とする車載多重通信システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車載多重通信システム
    であって、前記第1種の多重通信装置は、送信する通信データに、
    当該通信データの開始点を示す開始識別項目、前記第2
    種及び第3種の多重通信装置を駆動制御するためのデー
    タ項目、及び当該通信データの終了点を示す終了識別項
    目を含める機能 を有せしめられ、 前記第2種及び第3種の多重通信装置は、前記終了識別
    項目の受信時にその旨を記録する終了記録機能をそれぞ
    れ有せしめられ、 前記第1及び第2の極性データ受信手段は、前記終了記
    録機能による記録に基づいて前記終了識別項目にかかる
    信号の直後に受信した信号を前記開始識別項目として認
    識した後、当該開始識別項目の極性がそれぞれ対応する
    極性であるか否かを判断する機能を有せしめられた こと
    を特徴とする車載多重通信システム。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の車載多
    重通信システムであって、前記第1種の多重通信装置は車両内中央制御装置であ
    り、 前記第2種の多重通信装置は、前記車両内中央制御装置
    によって駆動制御される駆動装置であり、 前記第3種の多重通信装置は、前記車両内中央制御装置
    によって駆動制御され且つ前記第2種の多重通信装置と
    異な駆動機能を有する他の駆動装置である ことを特徴と
    する車載多重通信システム。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の車載多重通信システムであって、前記第1種の多重通信装置は、第1及び第2の両極性の
    通信データを受信する両極性データ受信手段をさらに有
    せしめられ、 前記第2種の多重通信装置は、第1の極性の通信データ
    のみを前記通信ネットワークへ送信する第1の極性デー
    タ送信手段をさらに備え、 前記第3種の多重通信装置は、第2の極性の通信データ
    のみを前記通信ネットワークへ送信する第2の極性デー
    タ送信手段をさらに備える ことを特徴とする車載多重通
    信システム。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の車載多重通信システムを利用した車両内多重通信方
    法であって、 前記第1種の多重通信装置から通信データを送信する際
    に、当該通信データに当該通信データの開始点を示す開
    始識別項目を含めるようにし、その際に少なくとも当該
    開始識別項目にかかる信号を送信先の多重通信装置に応
    じて反転切換し て極性を変化させ、 前記第2種及び第3種の多重通信装置において前記開始
    識別項目の極性を判断し、それぞれ対応する極性の通信
    データのみを選別受信するようにした車両内多重通信方
  6. 【請求項6】 車両内において、複数の多重通信装置
    と、該各多重通信装置の故障を診断する中央故障診断装
    置とが通信ネットワークにより接続されてなる車載多重
    通信システムにおいて、 前記各多重通信装置は、 当該多重通信装置が故障したか否かを検知する故障検知
    手段と、 前記故障検知手段での検知結果に基づいて、故障時以外
    のときは送信する通信データに第1の極性に設定した極
    性データを含ませ、故障時には前記極性データを反転切
    換して第2の極性に変化させる送信データ極性切換手段
    と、 前記通信ネットワークからの通信データのうち前記極性
    データが第1の極性である通信データのみを選別受信す
    る第1の極性データ受信手段とを備え、 前記中央故障診断装置は、 前記通信ネットワークからの通信データのうち前記極性
    データが第2の極性である通信データのみを選別受信す
    る第2の極性データ受信手段と、 前記第2の極性データ受信手段から与えられたデータに
    基づいて、前記極性データを第2の極性に設定した多重
    通信装置についての故障を診断する中央故障診断装置と
    を少なくとも備える車載多重通信システム
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の車載多重通信システム
    であって、 前記通信データは、当該1単位の通信データの開始点を
    示す開始識別項目を含み、 前記送信データ極性切換手段は、前記開始識別項目に前
    記極性データを含める機能を有せしめられることを特徴
    とする 車載多重通信システム。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7に記載の車載多
    重通信システムであって、 前記複数の多重通信装置は、送信する通信データに、当
    該通信データの開始点を示す開始識別項目及び当該通信
    データの終了点を示す終了識別項目を含める機能を有せ
    しめられ、 前記中央故障診断装置は、前記終了識別項目の受信時に
    その旨を記録する終了記録機能を有せしめられ、 前記中央故障診断装置の前記第2の極性データ受信手段
    は、前記終了記録手段での記録に基づいて前記終了識別
    項目にかかる信号の直後に受信した信号を前記開始識別
    項目として認識した後、当該開始識別項目の極性が第2
    の極性であるか否かを判断する機能を有せしめられた
    とを特徴とする車載多重通信システム。
  9. 【請求項9】 請求項6ないし請求項8のいずれかに記
    載の車載多重通信システムを利用した車両内多重通信方
    法であって、 前記各多重通信装置の通信データの送信時には、前記故
    障検知手段によって当該多重通信装置が故障したか否か
    を検知するとともに、当該通信データに当該通信データ
    の開始点を示す開始識別項目を含めるようにし、その際
    に、前記当該各多重通信装置が故障でない場合には当該
    開始識別項目を第1の極性に設定し、一方、当該各多重
    通信装置が故障である場合には当該開始識別項目を第2
    の極性に設定し、 前記中央故障診断装置の通信データの受信時には、前記
    第2の極性データ受信手段において、前記開始識別項目
    が第2の極性である通信データのみを選別受信するとと
    もに、 前記各多重通信装置の通信データの受信時には、前記第
    1の極性データ受信手段において、前記開始識別項目が
    第1の極性である通信データのみを選別受信するように
    したことを特徴とする車両内多重通信方法
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