JP3178214B2 - 車両用自動操舵装置 - Google Patents

車両用自動操舵装置

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JP3178214B2
JP3178214B2 JP00728394A JP728394A JP3178214B2 JP 3178214 B2 JP3178214 B2 JP 3178214B2 JP 00728394 A JP00728394 A JP 00728394A JP 728394 A JP728394 A JP 728394A JP 3178214 B2 JP3178214 B2 JP 3178214B2
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善紀 見市
哲志 御室
正 菅原
高広 前村
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  • Control Of Position, Course, Altitude, Or Attitude Of Moving Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パワーステアリング機
構により操舵力をアシストされるパワーステアリングモ
ードと、自動操舵機構による自動操舵モードとを切り替
え可能な、車両用自動操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の操舵機構において、車両
に種々のセンサを設け、これらのセンサからの情報に基
づいて操舵角制御信号を設定し、油圧や電動モータ等に
より操舵機構を積極的、且つ自動的に操舵させるような
自動操舵機構が多数提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
自動操舵機構とは別に、車両にドライバの操舵力をアシ
ストするパワーステアリング機構を設け、さらに、この
パワーステアリング機構により人為的操舵をアシストす
るパワーステアリングモードと、パワーステアリング機
構を利用して自動操舵を行なう自動操舵モードとを切り
替える切替機構を設けることにより、パワーステアリン
グモードと自動操舵モードとを両立させた自動車を実現
することができる。
【0004】この場合、自動操舵機構とパワーステアリ
ング機構との両方を油圧制御機構を用いて構成すれば、
従来からの油圧制御技術も応用でき、又オイルポンプや
オイルタンクを共用することにより、コストの低減や重
量増加の抑制を図ることもできる。しかしながら、この
ように自動操舵機構とパワーステアリング機構との両方
とも油圧制御機構を用いた場合、パワーステアリングモ
ードから自動操舵モードに切り替えた直後は、自動操舵
機構内の油圧が十分に高まらず、自動操舵の指令信号に
対して正確に作動しないことが考えられる。このため、
自動操舵モードに切り替えた直後の自動操舵系の作動精
度を確保するのが困難であるという課題がある。
【0005】特に、自動操舵制御では、制御の後半では
車両が走行レーンに沿った位置になるようにフィードバ
ック制御を利用することが必要であるが、制御の前半で
は目標とする操舵角にしたがったオープンループにより
行なうことが可能であり、また、この方が制御が速やか
でシンプルである利点がある。しかしながら、このよう
なオープンループ制御には、十分な操舵制御の性能が要
求される。したがって、自動操舵系の作動精度がある程
度高くなくてはならない。
【0006】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、パワーステアリングモードから自動操舵モー
ドへ切り替えた直後でも安定した自動操舵が行なわれる
ようにした車両用自動操舵装置を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の車両用自動操舵装置は、車両に設けられて、
人為的な操舵力を入力されるステアリングホイールと、
該ステアリングホイール側と操舵車輪との間に介設され
て該操舵車輪を該ステアリングホイールの回動角度に対
応した角度に操舵する操舵力伝達系と、該操舵力伝達系
に付設され、該人為的な操舵力の入力時に操舵状態に応
じて操舵力を加勢する油圧式のパワーステアリング機構
と、該操舵力伝達系に該パワーステアリング機構を利用
しながら作動し、自動的に操舵を行なう自動操舵機構
と、該パワーステアリング機構がパワーステアリングと
して用いられるパワーステアリングモード及び該パワー
ステアリング機構が該自動操舵機構として用いられる自
動操舵モードを選択的に切り替える切替機構と、該切替
機構に切替指令信号を出力して作動を制御する切替制御
手段及び該自動操舵機構に操舵指令信号を出力して作動
を制御する操舵制御手段からなる制御手段と、をそな
え、該制御手段に、該制御手段が該パワーステアリング
モードから該自動操舵モードに切り替える時に、該切替
制御手段からの切替信号の出力に対して、該操舵制御手
段からの操舵指令信号の出力を所定時間だけ遅れさせる
タイムラグ設定手段が設けられていることを特徴として
いる。
【0008】また、請求項2記載の本発明の車両用自動
操舵装置は、上記請求項1記載の構成に加えて、該所定
時間が、予め一定値として該タイムラグ設定手段に設定
されていることを特徴としている。また、請求項3記載
の本発明の車両用自動操舵装置は、上記請求項1記載の
構成に加えて、該所定時間が、該パワーステアリング機
構の作動油温や該パワーステアリング機構に設けられた
ポンプの作動状態に応じて該タイムラグ設定手段で設定
されることを特徴としている。
【0009】なお、該所定時間が、該タイムラグ設定手
段で予め設定された複数の値から選択されるように構成
すれば、車両の状況やパワーステアリング機構の状態に
適したタイミングで、自動操舵への切り替えを行なうこ
とができる。また、該パワーステアリング機構が、該操
舵車輪に操舵アシスト力を伝達するための油圧シリンダ
と、該油圧シリンダへ該作動油を供給するためのポンプ
と、該ステアリングホイールに操舵力が入力された時
に、該ステアリングホイールと該操舵車輪との間に介設
されたステアリングシャフトの捩じれ角に応じて該油圧
シリンダにおける油圧状態を調整することで該操舵力伝
達系のアシスト量を制御するパワーステアリングバルブ
と、該切替機構として該作動油の供給油路に介装された
切替弁と、該パワーステアリングバルブと該切替弁とを
制御する制御手段と、をそなえ、該自動操舵機構が、該
自動操舵機構モード時に該油圧シリンダへ供給する作動
油の油圧を減圧調整して自動操舵力を制御する減圧弁
と、該自動操舵モード時に、該油圧シリンダへの作動油
の供給方向を調整して該操舵車輪の操舵角を制御する舵
角制御弁と、該減圧弁と該舵角制御弁とを制御する制御
手段とをそなえるように構成してもよい。このように構
成した場合には、自動操舵機構を従来からのパワーステ
アリング機構を利用して構築することができ、低コスト
で本発明を実施することができる。
【0010】また、該切替機構としての切替弁が、該パ
ワーステアリングバルブと該ポンプとの間に設けられた
油圧源切替弁と、該パワーステアリングバルブと該油圧
シリンダとの間に設けられたモード切替弁と、から構成
され、該油圧源切替弁と該モード切替弁との間に該減圧
弁と該舵角制御弁とが介装されるように構成してもよ
い。このように構成した場合には、減圧弁や舵角制御弁
がバルブスティックした場合であっても、その上流側の
油圧源切替弁か又は下流側のモード切替弁を切り替える
ことによりドライバ操舵に切り替えることができる。
【0011】また、該車両の走行状況及び走行環境を検
出する検出手段が設けられ、上記切替制御手段が、該検
出手段からの情報に基づいて、該車両の危険回避の必要
度に応じて、パワーステアリングモードから自動操舵モ
ードへの切り替えを行なうように構成してもよい。この
場合には、車両の安全性も高めることができる。
【0012】また、該自動操舵モード時に、該車両の速
度が大きくなるのに応じて該自動操舵機構による操舵力
の大きさが小さくなるように、該自動操舵機構が設定さ
た場合には、高速になるほどドライバによる操舵力が
自動操舵に対して打ち勝ち易くなり、高速走行時には、
ドライバの意思による人為的な操舵に対しても十分に車
両が反応することができる。また、自動操舵機構の操舵
に反してドライバが操舵を行なおうとする場合でも操舵
を行なうことができる。
【0013】
【作用】上述の請求項1記載の本発明の車両用自動操舵
装置では、制御手段の切替制御手段を通じて、パワース
テアリングモードと自動操舵モードとが選択的に切り替
られる。そして、パワーステアリングモードでは、ステ
アリングホイールに人為的な操舵力が入力されると、ス
テアリングホイール側と操舵車輪との間に介設された操
舵力伝達系により、操舵車輪がステアリングホイールに
対応した角度に操舵される。また、このとき操舵力伝達
系に付設された油圧式パワーステアリング機構により操
舵力が加勢される。
【0014】また、自動操舵モードでは、油圧式パワー
ステアリング機構の作動を利用して操舵力伝達系に所要
の操舵力が加えられて自動的に所要の操舵が行なわれ
る。そして、切替制御手段により操舵力伝達系がパワー
ステアリング機構から自動操舵機構に切り替えられる時
に、制御手段から切替信号が出力され、操舵制御手段に
設けられたタイムラグ設定手段により、上述の切替制御
手段からの切替信号の出力に対して、操舵制御手段から
の操舵指令信号を所定時間だけ遅らせる。
【0015】そして、この所定時間の遅れ分だけ、自動
操舵機構の油圧を十分に高めることができ、自動操舵機
構を正確に作動させるようになる。また、上述の請求項
2記載の本発明の車両用自動操舵装置では、操舵制御手
段からの操舵指令信号が、切替制御手段からの切替信号
の出力に対して、タイムラグ設定手段に予め設定された
一定値の所定時間の分だけ遅れて出力される。
【0016】また、上述の請求項3記載の本発明の車両
用自動操舵装置では、操舵制御手段からの操舵指令信号
が、切替制御手段からの切替信号の出力に対して、パワ
ーステアリング機構の作動油温やパワーステアリング機
構に設けられたポンプの作動状態に応じてタイムラグ設
定手段で設定された所定時間の分だけ遅れて出力され
る。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の車両用自動操舵装置について説明すると、図1はその
油圧系統を模式的に示す油圧回路図、図2はその作動特
性を説明するためのグラフであって(a)はその操舵モ
ードの切替えを示すグラフ(b)はその自動操舵指示電
圧を示すグラフ(c)はその自動操舵系油圧を示すグラ
フ、図3はその自動操舵力の特性を示すグラフ、図4は
その作用を説明するためのフローチャートである。
【0021】図1に示すように、車両の操舵力伝達系3
には、油圧式パワーステアリング機構4及び自動操舵機
構5が設けられており、この操舵力伝達系3では、パワ
ーステアリング機構4を用いた人為的操舵(パワーステ
アリングモード)又は自動操舵機構5による自動操舵モ
ードを選択的に切り替えて作動させることができるよう
になっている。また、これらパワーステアリング機構4
や自動操舵機構5の油圧回路は、その作動油圧を4輪操
舵(4WS)装置や自動制動装置の作動油圧としても共
用できるようになっており、図1に示すように、ポンプ
10から吐出された作動油は、分流弁12を介して一方
は4WS装置(主に後輪側の油圧シリンダ)に供給され
るようになっている。また、この分流弁12の下流側で
はさらに油路が分岐しており、自動制動装置と自動操舵
機構5との2系統に作動油圧が供給されるようになって
いる。
【0022】このうち、図1は主にパワーステアリング
機構4及び自動操舵機構5の油圧回路図であり、符号2
7は切替機構としての油圧源切替弁,符号7は舵角制御
弁,符号15はEPSバルブを示している。そして、油
圧源切替弁27を駆動して油圧経路を切り替えることに
より、ポンプ10からの作動油が舵角制御弁7かEPS
バルブ15かのどちらか一方に供給されるようになって
いる。
【0023】また、符号8は切替機構としてのモード切
替弁であって、油圧源切替弁27と連動して切り替えら
れるようになっており、このモード切替弁8の制御によ
りEPSバルブ15によるパワーステアリングモードか
舵角制御による自動操舵モードかのどちらか一方に切り
替えられるのである。油圧源切替弁27の一方の下流側
には、パワーステアリング機構4が設けられている。こ
のパワーステアリング機構4は、油圧シリンダ4Aとス
テアリングラック2とステアリングホイール(ハンド
ル)28とEPSバルブ15とから構成されており、油
圧シリンダ4A内には油圧室41,42がそれぞれ設け
られている。そして、これらの油圧室41,42に所要
の油圧の作動油が供給されると、この作動油の油圧に応
じてラック2に操舵力が作用して、操舵力をアシストす
るようになっている。
【0024】また、油圧源切替弁27の他方の下流側に
は、自動操舵機構5がパワーステアリング機構4と並列
的に設けられている。そして、この自動操舵機構5につ
いても上記油圧室41,42に所要の油圧の作動油を供
給することにより操舵が行なわれるようになっている。
また、油圧源切替弁27と操舵角制御弁7との間の油路
29には自動操舵力制御弁としてのリリーフバルブ13
Aが介装されている。この油路29には、自動操舵モー
ドになった場合に油圧シリンダ4Aに供給される作動油
が通るようになっており、このリリーフバルブ13Aの
開閉状態を制御することにより油圧シリンダ4Aに流入
する作動油の油圧を調整できるようになっている。な
お、本実施例では、舵角制御弁7,モード切替弁8,リ
リーフバルブ13A,油圧源切替弁27は、ともに電磁
弁(ソレノイドバルブ)により構成されている。
【0025】そして、これらの電磁弁の切替動作は、制
御手段としてのコントローラ1により制御されるように
なっている。このコントローラ1には、パワーステアリ
ングモードから自動操舵モードに切り替える切替制御手
段1Aと、自動操舵機構5に操舵指令信号を出力する操
舵制御手段1Bとが設けられている。この切替制御手段
1Aでは、例えば図示しないセンサ等による車両の状態
や道路状況の情報に基づいてパワーステアリングモード
か自動操舵モードかを設定するようになっている。ま
た、ステアリングラック2には、ラック2の変位を検出
するラック位置検出センサ20が設けられており、この
ラック位置検出センサ20からの情報もコントローラ1
にフィードバックされるようになっている。
【0026】また、このコントローラ1には種々のセン
サが接続されているが、かかるセンサには、例えばCC
Dカメラやレーザレーダ等があり、これらの情報がコン
トローラ1に送られるようになっている。そして、これ
らのセンサからの情報に基づいて、例えば下式(1)に
より衝突危険度を検知して、運転者に音声やディスプレ
イ等で警告するか、または、自動操舵制御を行なうかを
判断する。 V0 ・tG −XG V・tG 2 /2>d0 ・・・・・(1) なお、V0 は自車の車両速度、tG は減速所要時間、X
G Vは車両速度V0 の時の必要減速度、d0 は車両から
接近物体の距離を示している。
【0027】この切替制御手段1Aからの制御指令に基
づいて、パワーステアリングモード時には、油圧源切替
弁27が図中左方向に駆動されるとともに、モード切替
弁8が図中右方向に駆動されて、高圧の作動油がEPS
バルブ15に供給されるようになっている。そして、E
PSバルブ15では、操舵制御手段1Bからの制御信号
に基づいて、油圧シリンダ4Aへ供給する作動油の量が
設定されて、EPSバルブ15からの作動油がモード切
替弁8に送られるようになっている。また、モード切替
弁8は、EPSバルブ15からの作動油を直接油圧シリ
ンダ4Aへ供給するような状態に制御されているので、
油圧シリンダ4Aの油圧室41,42に所定量の作動油
が供給されて、ドライバの操舵力が低減されるのであ
る。
【0028】また、自動操舵時には、油圧源切替弁27
が図中右方向に駆動されるとともに、モード切替弁8が
図中左方向に駆動される。これにより、作動油は油路2
9を通って舵角制御弁7に達する。そして、操舵制御手
段1Bでは、主にラック位置検出センサ20からの情報
に基づいて舵角制御弁7の制御量を設定して、ステアリ
ングラック2の位置を制御するのである。
【0029】また、このときの自動操舵力、すなわち作
動油の油圧は、例えば図3に示すようなマップに基づい
て設定されるようになっている。つまり、通常、低速走
行時ほど操舵には大きな力が必要であるが、車速が大き
くなるほど操舵には大きな力は必要なくなる。そこで、
本発明では、図3のマップに示すように、自動操舵時の
操舵力を車速が高まるにつれて、低下させるような特性
にしているのである。
【0030】つまり、自動操舵時にドライバが自動操舵
制御に抗してステアリングホイール28を操舵するため
には、油圧シリンダ4Aへ供給される作動油の油圧に打
ち勝つ操舵力が必要であるが、作動油の油圧が一定に保
たれていると、運転者にはこの油圧に抗する操舵力が大
きな負担になることが考えられるからである。ところ
で、図1に示すように、コントローラ1には駆動回路2
4が付設されている。この駆動回路24は、コントロー
ラ1で設定された制御指令電圧をリリーフバルブ13A
のソレノイド14に供給する電流に変換するもので、リ
リーフバルブ13Aでは、駆動回路24からの電流によ
り開閉状態が制御されるようになっている。
【0031】図3に示す操舵力特性マップは、この駆動
回路24内に内蔵されており、コントローラ1に入力さ
れた車速情報やフィードバックされた作動油圧情報に基
づいて、必要な作動油圧が得られるようにリリーフバル
ブ13Aの制御信号を設定するようになっている。この
ように、車速が大きくなるのに応じて自動操舵力が小さ
くなるように設定し、高速になるほどドライバの操舵が
自動操舵に対して打ち勝ち易くなるようにすることによ
り、高速走行時には、ドライバの意思による人為的な操
舵に対しても十分に車両が反応するようになっているの
である。
【0032】ところで、図1に示すように、本コントロ
ーラ1には、タイムラグ設定手段45が設けられてい
る。このタイムラグ設定手段45は、切替制御手段1A
において、パワーステアリングモードから自動操舵モー
ドに切り替える切替信号が出力された時に、操舵制御手
段1Bからの自動操舵の指示信号(指示電圧)を所定時
間遅らせて出力するものである。
【0033】つまり、この油圧回路では、図2(a)に
示すように、切替制御手段1Aから切替信号が出力され
て、パワーステアリングモードから自動操舵モードに切
り替わっても、すぐには自動操舵の指示電圧が操舵制御
手段1Bから設定されず、タイムラグ設定手段45によ
り、図2(b)の実線に示すように、所定時間遅れて自
動操舵指示電圧が出力されるようになっているのであ
る。
【0034】これは、図2(c)に示すように、自動操
舵系の作動油圧は、自動操舵モードに切り替えられてか
ら僅かながら遅れて立ち上がるため、十分な油圧を確保
するにはある程度(例えば40msec程度)の時間が
必要となるからである。また、図2(b)の破線のよう
に、タイムラグのない特性で指示電圧を出力した場合、
指示信号の初期の部分では、自動操舵系の油圧が不十分
なため自動操舵特性が不安定な場合も考えられる。
【0035】このため本発明では、自動操舵モードへの
切り替え直後は、操舵制御手段1Bからの自動操舵指示
電圧が、切替制御手段1Aからの切替信号に対して所定
時間遅れて出力されるようになっているのである。具体
的には、自動操舵モードへの切替信号が切替制御手段1
Aから出力されると、この切替信号に基づいて油圧源切
替弁27とモード切替弁8とが自動操舵モードに切り替
えられる。この時、操舵制御手段1Bから出力される操
舵制御信号(この操舵制御信号は、自動操舵方向を決定
する操舵角制御弁7と、自動操舵力を決定するリリーフ
バルブ13Aとへの制御信号である。)は、切替制御手
段1Aからの切替信号に対して所定時間、即ち、自動操
舵系の油圧が一定レベルに立ち上がるまでの時間分遅れ
て出力されるようになっているのである。
【0036】このようなタイムラグに関する時間(上記
の所定時間)は、予め一定値として与えておくか、ある
いは、油温や油圧ポンプ10の作動状態等に応じて変更
されるか、又は複数の値から選択されるかして与えるの
もよい。油圧源切替弁27とモード切替弁8とが自動操
舵モードに切り替えられると、ポンプ10からの作動油
は、油圧源切替弁27介して操舵角制御弁7に流入する
が、この時の操舵角制御弁7には、まだ制御信号が出力
されていないので、図1に示すような中立状態になって
おり、モード切換弁8やリリーフバルブ13Aに十分な
作動油が供給されるようになっている。もちろん、この
時のリリーフバルブ13Aは閉状態になっており、これ
により、作動油が各油路に供給されて油圧が高まるよう
になっているのである。
【0037】このように、タイムラグ設定手段45によ
り切替制御手段1Aからの切替信号と操舵制御手段1B
からの操舵制御信号との間にタイムラグが設けられるの
で、自動操舵モード切り替え時の自動操舵機構5の作動
油圧を十分に高めることができ、正確な自動操舵が行な
われるようになっているのである。なお、タイムラグ設
定手段45により設定されたタイムラグは、自動操舵機
構5の作動油圧を高めるためだけの必要最低限の微少な
時間であって、車両の運動特性に影響するようなもので
はない。
【0038】本発明の一実施例としての車両用自動操舵
装置は、上述のように構成されているので、切替制御手
段1Aでは、図示しないセンサからの情報に基づいてパ
ワーステアリングモードか自動操舵モードかを設定す
る。パワーステアリングモードに設定された時は、ポン
プ10から吐出された作動油は、分流弁12及び油圧源
切替弁27を介してEPSバルブ15へ導かれる。そし
て、このEPSバルブ15では、操舵制御手段1Bから
の制御信号やステアリングシャフト28Aの捩じれ角等
に基づいて操舵をアシストする量が設定される。そし
て、EPSバルブ15からの作動油がモード切替弁8を
介して油圧シリンダ4Aの油圧室41,42に供給され
るのである。
【0039】また、パワーステアリングモードから自動
操舵モードへの切り替え後は、例えば図4に示すような
フローチャートにしたがって作動する。ここで、このフ
ローチャートを用いてその流れを説明すると、まず、ス
テップS1において、CCDカメラやレーザレーダ等の
センサ類からの情報に基づいて、車両から接近物体まで
の距離d0 を読み込む。次に、ステップS2に進んで、
微少時間Δt秒前の読み込み距離d0 ′と今回の読み込
み距離d0 との差Δd0から車両とこの物体との相対速
度VR0を算出する。
【0040】そして、ステップS3において、この相対
速度VR0から、車両が物体に接近中かどうかを判断し、
車両が物体に接近中でないと判断できる時は、再びステ
ップS1に戻り、上記ステップS1〜S3を繰り返す。
また、車両が物体に接近中であれば、ステップS4で自
車の車両速度V0 を読み込んで、この後、ステップS5
でコントローラ1に設けられたマップ(図示省略)から
車両速度V0 の時の必要減速度XG Vを読み込む。
【0041】なお、このマップは、距離d0 における自
車速度V0 と必要減速度XG Vとの関係を示すものであ
り、図中の線aは距離d0 の時のしきい値を示してい
る。そして、ステップS6で上記の相対速度VR0と必要
減速度XG Vとから、減速所要時間tG を算出し、ステ
ップS7で上述した式(1)により衝突危険度を判定す
るのである。
【0042】そして、式(1)が成り立たない場合は、
ステップS1に戻り、式(1)が成り立つ場合は、ステ
ップS8に進み、コントローラ1の切替制御手段1Aか
ら自動操舵モードへの切替信号が出力される。そして、
切替信号が出力されると、この切替信号に基づいて油圧
源切替弁27とモード切替弁8とが自動操舵モードに切
り替えられ、ポンプ10からの作動油が油圧源切替弁2
7を介して操舵角制御弁7に流入し、さらにモード切替
弁8を通って油圧室41,42に作動が流入する。
【0043】次に、ステップS9において自動操舵モー
ドへ切替信号が出力されてから所定時間(ここでは40
msec)経過したかどうかが判断される。この時、所
定時間経過していない場合は、再びステップS9にもど
り、この所定時間経過するまではこのルーチンを繰り返
す。そして、所定時間を経過すると、ステップS9から
ステップS10に進んでコントローラ1の操舵制御手段
1Bから自動操舵信号を出力し、操舵制御が行なわれる
のである。このように自動操舵モードへの切り替え制御
後、操舵制御を行なうまでの間に所定時間のタイムラグ
を設定することにより、自動操舵機構の油圧を十分に高
めることができ、パワーステアリングモードから自動操
舵モードの切り替えた後も確実に自動操舵が作動するの
である。
【0044】また、このようにして自動操舵モードに設
定されると、ポンプ10から吐出された作動油は、舵角
制御弁7に達して、この舵角制御弁7の駆動状態によっ
て、ラック2の駆動方向が決定される。つまり、舵角制
御弁7が図中右方向に駆動されると、作動油はモード切
替弁8を介して油圧シリンダ4Aの左側の油圧室42に
供給され、ステアリングラック2を図中左方向に駆動さ
せる。またこれとは逆に、舵角制御弁7が左方向に駆動
されると、作動油は油圧シリンダ4Aの右側の油圧室4
1に供給され、ステアリングラック2を図中右方向に駆
動させるのである。そして、これにより車両の操舵方向
が制御されるのである。
【0045】また、自動操舵モード時には、作動油の油
圧は、コントローラ1に付設された駆動回路24内の作
動油圧特性マップにしたがって、車速が高まるにつれて
除々に低下していく。そして、これによりドライバが自
動操舵に抗して操舵しようとした時の操舵力の負担が低
減されるのである。つまり、駆動回路24において、車
速に応じた作動油圧が設定されると、この作動油圧が得
られるようにリリーフバルブ13Aの開閉状態が制御さ
れてリリーフバルブ13Aの開閉状態に応じて自動操舵
の作動油圧が調整される。
【0046】この作動油圧の調整は、例えば車速が高く
なると、一制御周期中にリリーフバルブ13Aが開状態
に駆動される時間が長く設定され、これによりポンプ1
0からの作動油の一部がリリーフバルブ13Aを介して
ドレーンされて油圧シリンダ4Aに供給される油圧が低
圧となる。また、これとは逆に、車速が低い場合は、一
制御周期中にリリーフバルブ13Aが閉状態に駆動され
る時間が長くなり、比較的高圧の作動油が油圧シリンダ
4Aに供給される。これにより、低速時においても確実
に転舵が行なわれる。
【0047】したがって、車両の速度が高くなればなる
ほど、ドライバの操舵が自動操舵に対して打ち勝ち易く
なり、自動操舵時にドライバの意思と異なる方向へ操舵
が行なわれた場合や、不測の事態により、ドライバの判
断により自動操舵とは異なる方向へ咄嗟に操舵にした場
合に、ドライバは大きな操舵力を強いられることなく操
舵することができ、車両を十分コントロールすることが
できるのである。
【0048】また、コントローラ1にタイムラグ設定手
段46を設け、パワーステアリングモードから自動操舵
モードへの切替時に、このタイムラグ設定手段46によ
り、操舵制御手段1Bからの操舵制御信号に対し、切替
制御手段1Aからの切替信号が所定時間だけ遅れて出力
されるので、自動操舵モードへ切り替え直後の自動操舵
機構5に対して十分な作動油圧を与えることができ、自
動操舵を精度を向上させることができる。
【0049】また、このタイムラグ設定手段46による
タイムラグは、上述したような僅かな時間であるので、
ドライバビリティや車両の安全性についてはなんら影響
を与えることもないのである。なお、本実施例では、作
動油を4WSや自動制動装置とも共用するような構成と
なっているが、本発明は、勿論このような構成のみに限
定されるものではなく、例えば、4WSのみと組み合わ
せても良いし、自動制動装置のみと組み合わせても良
い。また、これらとは異なる油圧機構と組み合わせても
良い。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の車両用自動操舵装置によれば、車両に設けられ
て、人為的な操舵力を入力されるステアリングホイール
と、該ステアリングホイール側と操舵車輪との間に介設
されて該操舵車輪を該ステアリングホイールの回動角度
に対応した角度に操舵する操舵力伝達系と、該操舵力伝
達系に付設され、該人為的な操舵力の入力時に操舵状態
に応じて操舵力を加勢する油圧式のパワーステアリング
機構と、該操舵力伝達系に該パワーステアリング機構を
利用しながら作動し、自動的に操舵を行なう自動操舵機
構と、該パワーステアリング機構がパワーステアリング
として用いられるパワーステアリングモード及び該パワ
ーステアリング機構が該自動操舵機構として用いられる
自動操舵モードを選択的に切り替える切替機構と、該切
替機構に切替指令信号を出力して作動を制御する切替制
御手段及び該自動操舵機構に操舵指令信号を出力して作
動を制御する操舵制御手段からなる制御手段と、をそな
え、該制御手段に、該制御手段が該パワーステアリング
モードから該自動操舵モードに切り替える時に、該切替
制御手段からの切替信号の出力に対して、該操舵制御手
段からの操舵指令信号の出力を所定時間だけ遅れさせる
タイムラグ設定手段が設けられるという構成により、自
動操舵切り替え直後の自動操舵系に対して十分な作動油
圧を与えることができ、自動操舵を精度を向上させるこ
とができる。
【0051】また、請求項2記載の本発明の車両用自動
操舵装置によれば、上記請求項1記載の構成に加えて、
該所定時間が、予め一定値として該タイムラグ設定手段
に設定されるという構成により、自動操舵切り替え直後
の自動操舵系に対して確実に作動油圧を高めることがで
きる。また、請求項3記載の本発明の車両用自動操舵装
置によれば、上記請求項1記載の構成に加えて、該所定
時間が、該パワーステアリング機構の作動油温や該パワ
ーステアリング機構に設けられたポンプの作動状態に応
じて該タイムラグ設定手段で設定されるという構成によ
り、パワーステアリング機構の状態に応じたタイムラグ
で操舵制御手段からの操舵指令信号を出力させることが
でき、これにより、パワーステアリングモードから自動
操舵モードへの切り替えをより自然なフィーリングとす
ることができる。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての車両用自動操舵装置
における油圧系統を模式的に示す油圧回路図である。
【図2】本発明の一実施例としての車両用自動操舵装置
における作動特性を説明するためのグラフであって、
(a)はその操舵モードの切替えを示すグラフ、(b)
はその自動操舵指示電圧を示すグラフ、(c)はその自
動操舵系油圧を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施例としての車両用自動操舵装置
における自動操舵力の特性を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施例としての車両用自動操舵装置
における作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 制御手段としてのコントローラ 1A 切替制御手段 1B 操舵制御手段 2 ステアリングラック 3 操舵力伝達系 4 パワーステアリング機構 4A 油圧シリンダ 5 自動操舵機構 7 舵角制御弁 8 切替機構としてのモード切替弁 10 ポンプ 11 オイルリザーバ 12 分流弁 13A リリーフバルブ 14 ソレノイド 15 EPSバルブ 20 ラック位置検出センサ 24 駆動回路 27 切替機構としての油圧源切替弁 28 ステアリングホイール(ハンドル) 29 油路 41,42 油圧室 45 タイムラグ設定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前村 高広 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 田中 忠夫 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−55168(JP,A) 特開 平4−95575(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 - 6/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に設けられて、人為的な操舵力を入
    力されるステアリングホイールと、 該ステアリングホイール側と操舵車輪との間に介設され
    て該操舵車輪を該ステアリングホイールの回動角度に対
    応した角度に操舵する操舵力伝達系と、 該操舵力伝達系に付設され、該人為的な操舵力の入力時
    に操舵状態に応じて操舵力を加勢する油圧式のパワース
    テアリング機構と、 該操舵力伝達系に該パワーステアリング機構を利用しな
    がら作動し、自動的に操舵を行なう自動操舵機構と、 該パワーステアリング機構がパワーステアリングとして
    用いられるパワーステアリングモード及び該パワーステ
    アリング機構が該自動操舵機構として用いられる自動操
    舵モードを選択的に切り替える切替機構と、 該切替機構に切替指令信号を出力して作動を制御する切
    替制御手段及び該自動操舵機構に操舵指令信号を出力し
    て作動を制御する操舵制御手段からなる制御手段と、を
    そなえ、 該制御手段に、該制御手段が該パワーステアリングモー
    ドから該自動操舵モードに切り替える時に、該切替制御
    手段からの切替信号の出力に対して、該操舵制御手段か
    らの操舵指令信号の出力を所定時間だけ遅れさせるタイ
    ムラグ設定手段が設けられていることを特徴とする、車
    両用自動操舵装置。
  2. 【請求項2】 該所定時間が、予め一定値として該タイ
    ムラグ設定手段に設定されていることを特徴とする、請
    求項1記載の車両用自動操舵装置。
  3. 【請求項3】 該所定時間が、該パワーステアリング機
    構の作動油温や該パワーステアリング機構に設けられた
    ポンプの作動状態に応じて該タイムラグ設定手段で設定
    されることを特徴とする、請求項1記載の車両用自動操
    舵装置。
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