JP3175872B2 - 粗アセトニトリルの精製方法 - Google Patents

粗アセトニトリルの精製方法

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JP3175872B2 JP12285193A JP12285193A JP3175872B2 JP 3175872 B2 JP3175872 B2 JP 3175872B2 JP 12285193 A JP12285193 A JP 12285193A JP 12285193 A JP12285193 A JP 12285193A JP 3175872 B2 JP3175872 B2 JP 3175872B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高純度アセトニトリル
と粗アセトニトリルの精製方法に関するものである。具
体的には粗アセトニトリルの簡易な精製方法を開示す
ると共に、高度な精製を行い工業的に液体クロマトグラ
フィー移動相溶媒、特に高速液体クロマトグラフィー移
動相溶媒に用いられる、波長200〜400nmの紫外
線吸収が少ない高純度のアセトニトリルを得るための精
製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、一般に市販されているアセトニト
リルは、主に、プロピレン又はイソブテンとアンモニア
及び分子状酸素との接触的アンモ酸化反応によるアクリ
ロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副
生成物として得られるものを回収、精製したものであ
る。この副生成物として得られるアセトニトリルは、多
くの不純物を含んでいるために、精製に関する種々の方
法が提案されている。
【0003】例えば、アセトニトリル中のアリルアルコ
ールを除去する方法として、硫酸との反応後に蒸留分離
する方法が特開昭51−23218号公報に、水の存在
下で抽出蒸留により分離する方法が特開昭55−143
949号公報に、また次亜塩素酸のアルカリ金属塩又は
アルカリ土類金属塩の水溶液と反応させる方法が特開昭
51−32518号公報に開示されている。また、アセ
トニトリル中のオキサゾールを除去する方法としては、
分子状塩素との反応後に分離する方法が特開昭59−1
0556号公報に、水の存在下に抽出蒸留する方法が特
開昭55−143950号公報に開示されている。ま
た、アセトニトリルの精製方法としては、塩基性化合物
と反応させた後に蒸留する方法が特開昭56−5449
号公報に、3本の蒸留塔による方法が特開昭58−12
4751号公報に開示されている。
【0004】すなわち、アセトニトリル中に含まれる主
たる不純物はアリルアルコール、オキサゾール、アクリ
ロニトリル等でありこれらを除去する為には従来開示さ
れた方法を組み合わせる必要がありプロセスが大変複雑
になる。当方法について本発明者らが追試したところ目
的とする波長200〜400nmの範囲での紫外線の吸
光度の最大値が0.05以下のアセトニトリルを得る事
は出来なかった。
【0005】東ドイツ特許DD217212A1号公報
には、オゾンと接触処理した後に蒸留する方法が開示さ
れており、アリルアルコール、オキサゾール、アクロレ
イン等が同時に分解され蒸留分離して除かれるという優
れた方法が開示されている。しかしながら、本発明者が
追試した所、原料として使用したアセトニトリルの波長
200〜400nmの範囲での紫外線の吸光度を減少さ
せる事は出来るが、波長200〜400nmの範囲での
紫外線の吸光度の最大値が0.05以下のアセトニトリ
ルは得る事が出来なかった。
【0006】したがって、一般の市販アセトニトリルは
波長200〜400nmの範囲での紫外線領域の吸光度
が高いために、この領域で使用する液体クロマトグラフ
ィー移動相溶媒として、特に高速液体クロマトグラフィ
ー移動相溶媒として満足できるものではなかった。しか
しながら、現在市販されている液体クロマトグラフィー
移動相溶媒用のアセトニトリルの工業的製法は開示され
ておらず、その技術開発が待ち望まれている。
【0007】最近になって、高速液体クロマトグラフィ
ー移動相溶媒としてのアセトニトリルを製造する方法と
して、オゾン酸化の後に塩基性物質の水溶液で中和する
方法が特願平3−199868号に開示されているが、
この方法では粘着性の沈澱物が生成するために分離操作
が必要となり、従って連続運転を行うためには切り替え
操作をしなければならず、運転操作が複雑になるという
欠点がある。
【0008】また、この沈澱物は粘着性が高いために取
扱いが困難であるばかりでなく、次の工程において塔や
膜の閉塞の原因物質でもある。更に、アルカリ水溶液と
して添加した水は蒸留塔で分離する際にアセトニトリル
と共沸点組成を形成するため、水の除去と同時にアセト
ニトリルが除かれてしまいアセトニトリルの回収率が低
下するという問題点がある。
【0009】また、粗アセトニトリルを硫酸と接触させ
た後にオゾン酸化し、蒸留する方法が特願平3−214
199号に開示されているが、この方法では硫酸との接
触のために接触槽が必要となるばかりでなく、更にこの
硫酸を分離するために新たに蒸留塔も必要となる。従っ
て、この方法では工程が2つも増加してしまい、工業的
に実施するには複雑なプロセスになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】粗アセトニトリルはそ
の製造方法に由来する不純物を含んでいるために波長2
00〜400nmの紫外線領域に吸収があるが、この領
域の紫外線吸収は主に不純物の二重結合に起因するもの
である。例えば、C=C二重結合、C=Oカルボニル
基、COOHカルボキシル基、CHOアルデヒド基、C
=N二重結合、N=Oニトロソ基、N02 ニトロ基等の
結合または官能基を有する化合物はこの領域に吸収を持
ち、具体的には、アリルアルコール、オキサゾール、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、cis及びtr
ans−クロトニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸、アクロ
レイン、メタクロレイン、アセトン等が該当する。こう
した化合物を分離除去し、波長200〜400nmの範
囲での吸光度の最大値を0.05以下にすることは非常
に困難である。
【0011】例えば、アセトニトリルの波長200nm
の吸光度を0.05以下にするためには、アセトニトリ
ル中のアリルアルコールは1.5ppm以下、オキサゾ
ールは0.8ppm以下、アクリロニトリルは0.2p
pm以下、メタクリロニトリルは0.2ppm以下、c
is−クロトニトリルは0.2ppm以下、アクリル酸
は0.2ppm以下、アクリル酸メチルは0.2ppm
以下、酢酸は30ppm以下にすることが必要であり、
またこれら以外の不純物に対しても同様である。実際に
は、アセトニトリル中にこれらの化合物が共存する場合
がほとんどであるので、それぞれの化合物の限界値は更
に小さな値となるため、高純度のアセトニトリルを得る
ためには高度な分離精製技術が要求される。
【0012】本発明の目的は粗アセトニトリルの簡易な
精製方法および更に高度な精製を行い工業的に液体クロ
マトグラフィー移動相溶媒、特に高速液体クロマトグラ
フィー移動相溶媒に用いられる波長200〜400nm
の範囲での紫外線の吸光度の最大値が0.05以下のア
セトニトリルを製造するための精製方法を開示するもの
である。
【0013】本発明者らは、オゾンとの接触処理方法に
つき詳細な検討を行ったところ、オゾンとの接触処理に
より酸並びに過マンガン酸還元性物質が生成しており、
これらは固体塩基及びまたは吸着剤と接触する事により
除去される事をつかみ、本発明の目的である簡易な精製
方法を見いだした。更に驚くべき事に、オゾンと接触処
理した液を固体塩基、吸着剤の1種以上と接触させた後
にアセトニトリルに含まれる低沸点化合物及び高沸点化
合物を除去する事により、波長200〜400nmの範
囲での紫外線の吸光度の最大値が0.05以下のアセト
ニトリルを得る事が出来、本発明を完成させたものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は粗アセ
トニトリルを精製するに際して、 (1)原料の粗アセトニトリルと発生期の酸素を接触さ
せる第1の工程、および (2)第1の工程を経たアセトニトリルを固体塩基、吸
着剤から選ばれた1種以上の化合物と接触させる第2の
工程と、必要に応じて (3)第2の工程を経たアセトニトリルに含まれる低沸
点不純物及び高沸点不純物を分離除去する第3の工程、
もしくは (4)第1の工程後、第3の工程を行い次いで、第2の
工程の順で粗アセトニトリルを精製することを特徴とす
る粗アセトニトリルの精製方法である。
【0015】本発明における原料の粗アセトニトリルと
しては、波長200nmの紫外線の吸光度が0.1以上
の粗アセトニトリルやプロピレン、イソブテンまたは3
級ブタノールとアンモニア及び分子状酸素との接触的ア
ンモ酸化反応によりアクリロニトリルまたはメタクリロ
ニトリルを製造する際に副生成物として得られる粗アセ
トニトリルを用いることができる。
【0016】原料の粗アセトニトリルとして、波長20
0nmの紫外線の吸光度が0.1以上の粗アセトニトリ
ルを用いることができるが、好ましくは波長200nm
の紫外線の吸光度が0.1以上で5以下の粗アセトニト
リルを、更に好ましくは波長200nmの紫外線の吸光
度が0.1以上で3以下の粗アセトニトリルが良い。ま
た、本発明は原料である粗アセトニトリルを特に限定す
るものではなく、他の製造方法により製造される粗アセ
トニトリルも原料として使用することができる。具体的
には、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタ
ン等の飽和炭化水素化合物、一酸化炭素、トルエン、キ
シレン等の芳香族化合物等のアンモ酸化反応により誘導
される粗アセトニトリルについても使用することができ
る。
【0017】本発明の方法により、波長200nmの紫
外線の吸光度が0.1以上の粗アセトニトリルを原料と
して、波長200〜400nmの範囲での紫外線の吸光
度の最大値が0.05以下のアセトニトリルを得ること
ができる。更に、波長200nmの紫外線の吸光度が
0.1未満の粗アセトニトリルを原料とすることもでき
る。しかしながら、これらの原料を用いることは主に経
済的観点から効果が小さいために魅力ある方法ではな
い。
【0018】本発明におけるアセトニトリルの紫外線の
吸光度の測定は、JIS K 0115に基づき、光路
長10mmの石英製セルを用い、検出波長において蒸留
水を対照として測定した値である。本発明の第1の工程
は、粗アセトニトリルと発生期の酸素を接触させる工程
である。本工程の目的は、蒸留、吸着または反応等の方
法で除去することが困難な二重結合を有する不純物、特
にアリルアルコール、オキサゾール、アクリロニトリル
等を発生期の酸素との接触により分解し、以降の工程で
分離除去しやすい化合物に変換することである。
【0019】発生期の酸素を発生させる化合物として
は、過マンガン酸、過マンガン酸カリウム、過酸化水
素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、次亜塩素酸ナ
トリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜シュウ素酸ナトリ
ウム、次亜シュウ素酸カリウム、次亜ヨウ素酸ナトリウ
ム、次亜ヨウ素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸
カリウム、シュウ素酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、
ブロム酸ナトリウム、ブロム酸カリウム、過塩素酸ナト
リウム、過塩素酸カリウム、過ヨウ素酸、過塩素酸、過
ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、オゾン含有
ガス等を用いる事ができ、好ましくはオゾン含有ガスを
用いるのが良い。この工程を経ることで、以降の工程に
おける不純物の分離除去の効果を著しく向上させること
ができる。
【0020】本発明で使用するオゾン含有ガスは、空気
または酸素または酸素含有ガスをオゾン発生器に供給す
ることで得られ、粗アセトニトリルとの接触に際しては
窒素、炭酸ガス、空気等のガスで希釈して用いることも
できる。オゾン含有ガス中のオゾンの濃度は0.01〜
5.0容量%で、好ましくは0.1〜2.0容量%であ
る。オゾン濃度が低すぎると粗アセトニトリルとの接触
に要する時間が長くなり、また、反応器が大きくなった
り、供給ガスによるアセトニトリルの同伴ロスが多くな
る等によって効率的でない。また、オゾン濃度を5容量
%以上に高める事はオゾン発生器の性能上困難である。
【0021】粗アセトニトリルとオゾン含有ガスとを接
触させる温度は−40〜80℃で、好ましくは10〜4
0℃である。温度が低すぎると反応速度が遅くなった
り、微量成分が析出する等の問題があり、また、温度が
高すぎると過度の反応が進行し、アセトニトリルの収率
を低下させる。粗アセトニトリルとオゾン含有ガスとを
接触させる圧力は減圧、常圧、加圧のいずれでも行うこ
とができるが、常圧ないし10atmの範囲が好まし
い。
【0022】粗アセトニトリルとオゾン含有ガスとの接
触は回分方式または連続方式で行うことができる。回分
方式では、撹はん装置がある1段または多段の接触槽ま
たは気泡塔等で行うことができるが、気液の接触を良く
するために撹はん装置がある接触槽で行うことが好まし
い。更に、粗アセトニトリルとオゾン含有ガスとの接触
を良くするために、オゾン含有ガスは1ケ以上のノズル
から該アセトニトリル中へ小さな気泡として供給するこ
とが良い。また、オゾン含有ガスを供給する位置は撹は
ん羽根の下方または側方が好ましく、槽及び羽根の構造
によりその該アセトニトリルの撹はん状態を観察して最
適な位置と数を決めることができる。
【0023】回分方式における粗アセトニトリルとオゾ
ン含有ガスとの接触は、粗アセトニトリル中に含まれる
不純物の量にもよるが、オゾン含有ガスを接触させるア
セトニトリルの体積に対して1〜10000倍の、好ま
しくは10〜1000倍のガス量を1〜300分間、好
ましくは10〜120分間供給することが良い。供給す
る時間が短すぎると、オゾンと不純物の反応が不十分で
あったり、ガス流速が大きいためにアセトニトリルの飛
沫同伴によるロスが大きくなるという問題が起き、また
供給する時間が長すぎると生産性の観点からメリットが
なく、また、過度の酸化反応が進行する。
【0024】また、オゾン含有ガスの供給時間は排出ガ
ス中のオゾン濃度を分析することによっても決定するこ
とができる。具体的には、オゾン含有ガスの供給を、排
出ガス中のオゾン濃度が供給するガスのオゾン濃度の8
0%以上、好ましくは90%以上になるまで行うことが
良い。オゾン濃度の分析には、ヨウ素滴定法、紫外線吸
収法または化学発光法等を利用した連続分析計等を用い
ることができる。
【0025】連続方式では、充填塔、濡れ壁塔または気
泡塔等で行うことができるが、好ましくは充填塔で行う
のが良い。充填塔の充填物としては、ラシヒリング、レ
ッシングリング、ベルルサドル、インターロックサド
ル、テラレットパッキング、ポールリング、マクマホン
パッキング、ディクソンリング等を用いることができ
る。これらの充填物は磁製、金属製、プラスチック製ま
たはカーボン製等の材質からなるものを用いることがで
きる。
【0026】粗アセトニトリルとオゾン含有ガスの接触
は、向流または並流で行うことができるが、向流で接触
させることが好ましい。また、充填塔では適当な高さの
所に液再分布板を設け、気液の接触効率を高めることも
できる。オゾン含有ガスと粗アセトニトリルの比率は体
積比で1〜10000、好ましくは10〜1000が良
く、充填塔の特性に合わせてフラッディングが起こらな
い値が選ばれる。
【0027】本発明の第2の工程は、第1の工程を経た
アセトニトリルを固体塩基、吸着剤から選ばれた1種以
上の物質と接触させる工程である。本工程の目的は、第
1の工程を経たアセトニトリル中に含まれる不純物を分
離しやすい化合物に変換するか、または吸着分離する事
である。本発明における該アセトニトリルと固体塩基、
吸着剤との接触は、−40〜80℃の温度で、好ましく
は5〜60℃の温度で、更に好ましくは10〜40℃の
温度で行うのが良い。
【0028】本発明における固体塩基としては、陰イオ
ン交換樹脂、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩または炭
酸水素塩、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物または
炭酸塩、異種金属酸化物の混合物、アルカリ金属または
アルカリ土類金属の化合物を担体に担持させた物質、活
性炭等が挙げられる。本発明の陰イオン交換樹脂として
は、ポーラス型またはゲル型の強塩基性陰イオン交換樹
脂または弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いることができ
る。また、水溶液用イオン交換樹脂または非水溶液用の
イオン交換樹脂のどちらのタイプの樹脂も用いることが
できる。
【0029】強塩基性陰イオン交換樹脂はトリメチルア
ンモニウム基やジメチルエタノール基等の交換基を再生
処理によってイオン形をOH形またはCO3 形として用
いることが好ましい。また、弱塩基性陰イオン交換樹脂
は1〜3級アミノ基等の交換基をNaOH、NH4 OH
等で再生処理を行ってから使用することが好ましい。こ
れらの陰イオン交換樹脂は交換基の再生処理を行った後
に、十分な量のアセトニトリルと接触させて洗浄し、イ
オン交換樹脂に含まれる水分、不純物等を除去してから
使用することが良い。
【0030】陰イオン交換樹脂以外の固体塩基として具
体的には、アルカリ金属であるLi、Na、K、Rb、
Csの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩、アルカリ土
類金属であるMg、Ca、Sr、Baの酸化物、水酸化
物または炭酸塩、異種金属酸化物の混合物としては、シ
リカマグネシア、シリカ酸化カルシウム、シリカ酸化ス
トロンチウム、シリカ酸化バリウム、シリカアルミナが
挙げられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合
物として酸化物、水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩を
担体に担持させた物質が用いられ、担体としては、活性
炭、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニアまた
はジルコニアが挙げられ、担持量は0.01〜50重量
%、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0031】更に、固体塩基としてN2 O、NH3 、Z
nCl2 、−NH4 Cl、−CO2で賦活させて塩基性
を発現させた活性炭を用いることもできる。吸着剤とし
ては、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、合成ゼオラ
イト、天然ゼオライト、吸着樹脂、天然の粘土鉱物、シ
リカアルミナ、シリカマグネシア、シリカボリア等が用
いられる。
【0032】固体塩基及びまたは吸着剤は粉体または粒
体として取り扱うことができるが、その大きさは0.0
01〜100mm、好ましくは0.01〜20mmの物
が良い。また、粉体は打錠成型等により円筒状または球
状の成型体等にして用いることも可能である。これらの
固体塩基及びまたは吸着剤と該アセトニトリルとの接触
は連続方式または回分方式で行うことができるが、工業
的に行うには連続方式で行うことが好ましい。
【0033】連続方式としては、充填塔または配管の一
部等に固体状の固体塩基を充填し、該アセトニトリルと
供給して接触させることができる。また、空間速度SV
は0.001〜1000(1/分)、好ましくは0.0
1〜100(1/分)で操作することが良い。回分方式
としては、撹拌装置または振とう装置の付いた接触槽等
で行うことができる。接触時間は0.1〜1000分
間、好ましくは1〜120分間である。
【0034】第2の工程で固体塩基およびまたは吸着剤
を用いる場合は、固体塩基および/または吸着剤とアセ
トニトリルの分離が不要となり、第3の工程の分離除去
工程をなくして本発明の簡易なアセトニトリル精製を行
う事が出来る。すなわち、東ドイツ特許DD21721
2A1号に開示されている蒸留塔を用いる事なく固体塩
基または吸着剤からなる充填層を通すだけでよく、簡易
なアセトニトリル精製方法を開示するものである。しか
しながら、本発明の波長200〜400nmの範囲での
紫外線の吸光度の最大値が0.05以下のアセトニトリ
ルを得るには第1の工程と第2の工程に引き続き第3の
工程による処理が必要である。
【0035】本発明の第3の工程は、第1の工程もしく
は第2の工程を経たアセトニトリル中の低沸点化合物及
び高沸点化合物とを分離除去する工程である。本工程の
目的は、アセトニトリル中に含まれる紫外線吸収の原因
となる化合物等の不純物を蒸留によって分離除去し、波
長200〜400nmの範囲での紫外線の吸光度の最大
値が0.05以下のアセトニトリルを得ることである。
分離除去する方法には、蒸留法、膜分離法から選ばれる
が、工業的分離法としては特に蒸留法が好ましい。
【0036】本発明の蒸留塔としては、棚段塔または充
填塔等が用いられる。棚段塔の例としては、ダウンカマ
ーのある十字流接触型やダウンカマーの無い向流接触型
等が挙げられる。また、トレイの開口部として泡鐘型、
多孔板型、バルブ型等のものを用いることができる。こ
の蒸留塔の段数は10段以上あれば特に制限はないが、
30〜80段のものが好ましい。
【0037】充填塔の例としては、充填物としてラシヒ
リング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサド
ル、インターロックサドル、テラレットパッキング、デ
ィクソンリングまたはマクマホンパッキング等を充填し
た塔を用いることができる。充填物の材質としては、磁
製、金属製、プラスチック製またはカーボン製等のもの
を使用することができる。また、該充填塔は適当な高さ
の所に液再分布板を設けて気液の接触効率を高めること
もできる。
【0038】本発明において、アセトニトリルに比べて
低沸点化合物及び高沸点化合物を分離除去する方法とし
て、2本の蒸留塔を用いて行う方法が挙げられる。具体
的には、第1塔でトップから低沸点化合物を分離除去
し、第2塔で高沸点化合物をボトムから分離除去し、ト
ップから精製したアセトニトリルを得る方法、または第
1塔でボトムから高沸点化合物を分離除去し、第2塔で
トップから低沸点化合物を分離除去し、ボトムまたはそ
の上部から精製したアセトニトリルを得る方法がある
が、アセトニトリルの品質を高めるためには、先に水を
アセトニトリルとの共沸で分離除去し、第2の塔でトッ
プからアセトニトリルを取り出す方が好ましい。
【0039】したがって、第1塔でトップから低沸点化
合物を分離除去し、第2塔でボトムから高沸点化合物を
分離除去し、トップから精製したアセトニトリルを得る
方法が好ましい。尚、水は粗アセトニトリル中に含まれ
るものに加えて、オゾンとの酸化反応に伴い生成する。
また、1本の蒸留塔においても該低沸点化合物及び該高
沸点化合物を分離除去することができる。具体的には、
蒸留塔の中間部に該アセトニトリルを供給し、蒸留塔の
トップから低沸点化合物を抜き出し、蒸留塔のボトムか
ら高沸点化合物を抜き出し、該アセトニトリルの供給位
置より上部または下部から精製したアセトニトリルを得
る方法であり、好ましくは、該アセトニトリルの供給位
置より上部から精製したアセトニトリルを得る方法が好
ましい。
【0040】これらの分離除去操作においては、還流比
や低沸点化合物及び高沸点化合物の抜き出し量は、目的
に合う精製アセトニトリルを得るための条件として決定
することができる。供給するアセトニトリルに対して低
沸点化合物を含むトップの抜き出し量と高沸点化合物を
含むボトムの抜き出し量はそれぞれ1%以上、好ましく
は5%以上である。トップ及びボトムからの抜き出し量
が少ない場合には、抜き出したアセトニトリルに含まれ
る微量な不純物のために波長200〜400nmの範囲
での紫外線の吸光度の最大値が0.05以下にならない
場合がある。
【0041】また、3本以上の蒸留塔を用いても該低沸
点化合物及び該高沸点化合物の分離除去を行うことがで
きるが、経済的に効果的な方法ではない。これらの蒸留
操作は0.5〜10atmのいずれにおいても可能であ
るが、通常は常圧ないし10atmの範囲が好ましい。
本発明はこれまで述べてきた様に、粗アセトニトリルと
発生期の酸素を接触させる第1の工程と固体塩基、吸着
剤から選ばれた1種以上の物質と接触させる第2の工
程、低沸点化合物及び高沸点化合物を分離除去する第3
の工程の組み合わせからなる粗アセトニトリルの精製方
法である。
【0042】本発明は、粘着性物質が発生する液体の固
体塩基を用いる方法(特願平3−199868号)や、
プロセスが複雑になる硫酸接触法(特願平3−2141
99号)に比べて、プロセスがシンプルであり、連続運
転が容易であり、且つアセトニトリルのロスが少ない粗
アセトニトリルの精製方法である。また、これらの工程
を組み合わせて目的のアセトニトリルを得るためには上
記の順で操作を行うことが必須要件である。
【0043】これら3つの工程を運転管理するにあた
り、特に高速液体クロマトグラフィー移動相溶媒に用い
るアセトニトリルを得る為には精密、且つ高度な運転管
理が必要である。その方法の1つとして近赤外分光法を
用い粗アセトニトリル原料並びに各工程の物性を測定し
運転管理する事が有効な方法である。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。
【0045】
【実施例1】原料のアセトニトリルとして、波長200
nmの紫外線の吸光度が1.560であり、不純物とし
てアクリロニトリルを2.8ppm、アリルアルコール
5.0ppm、酸1.5ppm、そして過マンガン酸還
元性物質量の指標である過マンガン酸退色率が29%の
アセトニトリルを用いて以下の操作を行った。
【0046】第1の工程として、外径5mm、内径2m
m、高さ5mmの磁製のラシヒリングを410mmの高
さに充填した直径30mmのオゾン接触塔に、大気圧
下、20℃の温度で塔頂から該アセトニトリルを300
ミリリットル/時間で供給し、塔底からオゾンを0.2
4容量%(5.1g/Nm3 (0℃、1atmの標準状
態における体積を示す単位))含むオゾン含有ガスを1
80NL(0℃、1atmの標準状態における容積(リ
ットル))/時間(ガス/液比=600)で供給した。
このオゾン接触塔の塔底からオゾンと接触させたアセト
ニトリルを抜き出した。この抜き出したアセトニトリル
中のアクリロニトリル、アリルアルコールは不検出であ
ったが酸濃度は105ppmと増加し、また過マンガン
酸退色率は100%まで上昇していた。
【0047】次いで、第2の工程として、非水系ポーラ
ス型弱塩基性陰イオン交換樹脂(商品名アンバーリスト
A−21)50ミリリットルを充填した直径20mmの
カラムに、第1の工程を経たアセトニトリルを引続き供
給し、20℃の温度で接触させた。最終的に得られたア
セトニトリルの波長200nmの紫外線の吸光度は1.
620でありまたガスクロマトグラフィーによる分析で
はアクリロニトリル、アリルアルコールは検出限界以下
であった。そして酸は0.9ppmであり、過マンガン
酸退色率は0%であった。
【0048】尚、結果から明らかな如く、第1の工程の
処理によりアクリロニトリル、アリルアルコールは分解
するが、酸並びに過マンガン酸還元性物質は増加する。
第2の工程で処理する事により酸並びに過マンガン酸還
元性物質が除去されている事が明らかである。尚、この
操作は200時間にわたって連続して行ったが操作は簡
単で安定に運転する事が出来た。また、この時の精製ア
セトニトリルの回収率は供給アセトニトリルの90%の
高収率であった。
【0049】紫外線吸収スペクトルの測定は光路長10
mmの石英セルを用い液体クロマトグラフィー用蒸留水
を対照として日立製分光光度計288Aを用いて測定し
た。また、ガスクロマトグラフによる分析は、横河製ガ
スクロマトグラフHP−5890を用い、充填剤がシリ
コンOV−1であるキャピラリカラム(内径0.25m
m、長さ50m)を用い、カラム温度を先ず40℃で5
分間維持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで
昇温し、最後にこの温度で10分間維持することで行っ
た。そして酸分析はJISK8001の5.6(1)に
したがって測定した。また、過マンガン酸還元性物質は
JISK8032記載の方法を参考に試料10gに0.
1規定の過マンガン酸カリウム0.1ミリリットルを添
加し振り混ぜ、冷暗所に30分間放置後に過マンガン酸
退色率(%)を島津製作所のUV2000型を用い測定
し過マンガン酸還元性物質の指標とした。
【0050】過マンガン酸退色率(%)=(1−(A/
B))×100 A:30分間後の吸光度 B:スタート直後の吸光度 波長:545nm
【0051】
【実施例2】実施例1の第2の工程において吸着剤とし
て、硝酸アルミニウムとシリカゾルを原子比でAl:S
i=1:1の割合で混合したものを蒸発乾固後、500
℃で焼成したシリカアルミナを35g用いる以外は実施
例1と同じ操作を行って精製したアセトニトリルを得
た。このアセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸
光度は1.480であり、酸は1.0ppmで過マンガ
ン酸退色率は7%であった。
【0052】
【実施例3】実施例1の第2の工程において吸着剤とし
て、活性炭50ミリリットルを用いる以外は実施例1と
同じ操作を行って精製したアセトニトリルを得た。この
アセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸光度は
1.500であり、酸は1.2ppmで過マンガン酸退
色率は5%であった。
【0053】
【実施例4】原料のアセトニトリルとして、波長200
nmの紫外線の吸光度が1.703(図2参照)であ
り、不純物としてアクリロニトリルを3.5ppm、メ
タクリロニトリルを8ppm、アリルアルコール8pp
m、オキサゾール2ppmを含むアセトニトリルを用い
て以下の操作を行った。
【0054】第1の工程として、外径5mm、内径2m
m、高さ5mmの磁製のラシヒリングを410mmの高
さに充填した直径30mmのオゾン接触塔に、大気圧
下、20℃の温度で塔頂から該アセトニトリルを300
ミリリットル/時間で供給し、塔底からオゾンを0.2
4容量%(5.1g/Nm3 )含むオゾン含有ガスを1
80NL/時間(ガス/液比=600)で供給した。こ
のオゾン接触塔の塔底からオゾンと接触させたアセトニ
トリルを抜き出した。
【0055】第2の工程として、非水系ポーラス型弱塩
基性陰イオン交換樹脂(商品名アンバーリストA−2
1)50ミリリットルを充填した直径20mmのカラム
に、第1の工程を経たアセトニトリルを引続き供給し、
20℃の温度で接触させた。次に、第3の工程として、
直径40mm、多孔板式で全段数65段の蒸留装置を用
い、10段に第2の工程を経たアセトニトリルを引続き
供給し、塔頂圧力を大気圧として還流比16で操作し、
塔頂から低沸点化合物を含むアセトニトリルを供給量の
20%の量で抜き出し、塔底から高沸点化合物を含むア
セトニトリルを供給量の10%の量で抜き出し、40段
から精製したアセトニトリルを供給量の70%の量で得
た。
【0056】このアセトニトリルの波長200nmの紫
外線の吸光度は0.021であり、波長210〜400
nmの範囲での紫外線の吸光度の最大値は0.013以
下であった(図1参照)。また、ガスクロマトグラフに
よる分析ではアクリロニトリル、メタクリロニトリル、
アリルアルコール、オキサゾールは検出限界以下であっ
た。
【0057】尚、この操作は200時間にわたって連続
して行ったが、特に問題もなく安定に運転することがで
きた。そして運転管理として原料の粗アセトニトリル及
び第1の工程及び第2の工程及び第3の工程をNIRシ
ステムズ社6500型近赤外分光器でオンライン分析
し、運転管理を行い安定した製品を得る事が出来た。こ
の精製したアセトニトリルと原料として使用したアセト
ニトリルの紫外線吸収スペクトルをそれぞれ図1及び図
2に示す。
【0058】
【実施例5】実施例4の第2の工程における固体塩基と
して、ゲル型強塩基性陰イオン交換樹脂(商品名IRA
−400)のイオン形をOH形にしたものを50ミリリ
ットル用いる以外は実施例1と同じ操作を行って精製し
たアセトニトリルを得た。このアセトニトリルの波長2
00nmの紫外線の吸光度は0.040であり、波長2
10〜400nmの範囲での紫外線の吸光度の最大値は
0.025以下であった。
【0059】
【実施例6】実施例4の第2の工程における固体塩基と
して、粒状のCaCO3 を30g用いる以外は実施例4
と同じ操作を行って精製したアセトニトリルを得た。こ
のアセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸光度は
0.034であり、また波長210〜400nmの範囲
での紫外線の吸光度の最大値は0.021以下であっ
た。
【0060】
【実施例7】実施例4の第2の工程における固体塩基と
して、5.0重量%のMgOを担持したシリカを40g
用いる以外は実施例4と同じ操作を行って精製したアセ
トニトリルを得た。このアセトニトリルの波長200n
mの紫外線の吸光度は0.030であり、波長210〜
400nmの範囲での紫外線の吸光度の最大値は0.0
19以下であった。
【0061】
【実施例8】実施例4の第2の工程における固体塩基と
して、2.0重量%のKOHを担持した活性炭を50g
用いて、第2の工程までは実施例4と同じ操作を行っ
た。第3の工程として、直径32mm、多孔板式で全段
数60段の蒸留装置を2塔用いて、第2の工程を経たア
セトニトリルを第1の塔の40段へ250ミリリットル
/時間で供給し、塔頂圧力を大気圧として還流比12で
操作することにより、塔底から供給量の80%の量で抜
き出したアセトニトリルを第2の塔の20段に供給し、
還流比3で操作して塔頂から供給量の70%の量で精製
したアセトニトリルを抜き出した。このアセトニトリル
の波長200nmの紫外線の吸光度は0.043であ
り、波長210〜400nmの範囲での紫外線の吸光度
の最大値は0.026以下であった。
【0062】
【実施例9】実施例4の第2の工程において吸着剤とし
て、硝酸アルミニウムとシリカゾルを原子比でAl:S
i=1:1で混合したものを蒸発乾固後、500℃で焼
成したシリカアルミナを35g用いる以外は実施例4と
同じ操作を行って精製したアセトニトリルを得た。この
アセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸光度は
0.039であり、波長210〜400nmの範囲での
紫外線の吸光度の最大値は0.024以下であった。
【0063】
【比較例1】実施例4において、第1の工程を経たアセ
トニトリルを第2の工程として3リットルの撹拌機付き
丸底フラスコに2000ミリリットルを入れ、20℃で
50重量%NaOH水溶液を15.0g添加して20分
間撹拌した。この時、フラスコ内に白色の粘着性物質が
析出したので濾過によって分離したが、この物質は粘着
性が高いために取扱いが非常に困難であった。
【0064】第2の工程を経たアセトニトリルを実施例
4の第3の工程において同じ操作を行い、塔頂からの低
沸点化合物を含むアセトニトリルの抜き出し量は供給量
の25%の量であり、塔底からの高沸点化合物を含むア
セトニトリルの抜き出し量は供給量の11%の量であ
り、40段から精製したアセトニトリルを供給量の64
%の量で得た。得られたアセトニトリルの波長200n
mの紫外線の吸光度は、0.022であり、波長210
〜400nmの範囲での紫外線の吸光度の最大値は、
0.014以下であり、またガスクロマトグラフによる
分析ではアクリロニトリル、メタクリロニトリルは検出
限界以下であり、品質上の問題はなかった。しかしなが
ら、アセトニトリルの収率は実施例4に比べて6%低下
した。
【0065】更に、第3の工程の蒸留を継続すると、蒸
留塔の差圧が徐々についてくるので20時間後に運転を
停止して内部を検査したところ、塔底から供給段である
10段にかけて白色の粘着性物質の付着が見られた。こ
の比較例からわかるように、固体塩基を水溶液としてア
セトニトリルに接触させる方法は、粘着性物質の生成と
アセトニトリルのロスによって工業的に実施することは
難しいことがわかる。
【0066】
【比較例2】実施例4において、第1の工程のオゾンと
の接触を行わなかった以外は同じ操作を行ってアセトニ
トリルを得た。このアセトニトリルの波長200nmの
紫外線の吸光度は1.601であった。
【0067】
【比較例3】実施例4において、第2の工程の固体塩基
との接触を行わなかった以外は同じ操作を行ってアセト
ニトリルを得た。このアセトニトリルの波長200nm
の紫外線の吸光度は0.157であった。
【0068】
【比較例4】実施例4において、第3の工程の蒸留を行
わなかった以外は同じ操作を行ってアセトニトリルを得
た。このアセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸
光度は1.451であった。比較例2〜4の3つの例か
らわかるように、3つの工程の1つでも欠けると波長2
00nmの紫外線の吸光度が0.05以下のアセトニト
リルを得ることはできない。
【0069】
【比較例5】実施例4において、第2の工程、第3の工
程、第1の工程の順で操作を行ってアセトニトリルを得
た。このアセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸
光度は1.655であった。
【0070】
【比較例6】実施例4において、第2の工程、第1の工
程、第3の工程の順で操作を行ってアセトニトリルを得
た。このアセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸
光度は0.219であった。
【0071】
【比較例7】実施例4において、第3の工程、第1の工
程、第2の工程の順で操作を行ってアセトニトリルを得
た。このアセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸
光度は1.552であった。
【0072】
【比較例8】実施例4において、第3の工程、第2の工
程、第1の工程の順で操作を行ってアセトニトリルを得
た。このアセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸
光度は1.550であった。
【0073】
【実施例10】原料のアセトニトリルとして、実施例4
で得たアセトニトリル20部に波長200nmの紫外線
の吸光度が1.560のアセトニトリル80部を混合し
て得た波長200nmの紫外線の吸光度が1.4である
アセトニトリルを用いて、2リットルの攪拌機付き丸底
フラスコに該アセトニトリルを1500ミリリットルを
入れ、25℃の温度で0.5容量%のオゾンを含むガス
を3リットル/分で供給して240分間接触させた。こ
のアセトニトリルを実施例4の第2及び第3の工程と同
じ装置を用いて同じ操作を行い、精製したアセトニトリ
ルを得た。このアセトニトリルの波長200nmの紫外
線の吸光度は、0.045であり、また波長210〜4
00nmの範囲での紫外線の吸光度の最大値は0.02
8以下であった。
【0074】
【実施例11】原料のアセトニトリルとして、プロピレ
ンのアンモ酸化反応によりアクリロニトリルを製造する
際に副生成物として得られたアセトニトリルを回収、精
製したもので波長200nmの紫外線の吸光度が0.3
60のアセトニトリルを、3リットルの撹拌機付き丸底
フラカコに2000ミリリットル入れ、20℃でオゾン
を0.24容量%含むオゾン含有ガスを3NL/分で供
給し、排出ガス中のオゾン濃度が0.20容量%に達し
た時点でオゾン含有ガスの供給を停止した。この時、排
出ガス中のオゾン濃度は供給ガス中のオゾン濃度の83
%であった。このアセトニトリルを実施例4の第2及び
第3の工程と同じ装置を用いて同じ操作を行い、精製し
たアセトニトリルを得た。このアセトニトリルの波長2
00nmの紫外線の吸光度は0.040であり、波長2
10〜400nmの範囲での紫外線の吸光度の最大値は
0.026以下であった。
【0075】
【実施例12】実施例11の第2の工程において吸着剤
として合成ゼオライト(商品名:モレキュラシーブ−4
A)50ミリリットルを用いる以外は実施例10と同じ
操作を行って精製したアセトニトリルを得た。このアセ
トニトリルの波長200nmの紫外線の吸光度は0.0
11であり、波長210〜400nmの範囲での紫外線
の吸光度の最大値は0.005以下であった。
【0076】本アセトニトリルを用いて脂質分析を行っ
た。生理活性を持つりん脂質を分子レベルで研究する場
合、さまざまな生体試料中の微量の脂質を高感度で精度
高く分析する必要があり、高速液体クロマトグラフィー
移動相に用いるアセトニトリルは高純度が要求される。
しかし、市販の液体クロマトグラフィー用アセトニトリ
ル及び東ドイツ特許DD217212A1号公報に従っ
て精製した比較例3のアセトニトリルは不純物レベルが
高く脂質分析には不向きであった。しかるに波長200
nmの紫外線の吸光度が0.011の本アセトニトリル
は不純物レベルが飛躍的に低く脂質分析に好適であっ
た。
【0077】また、本アセトニトリルを用いてペフチド
精製を行った。ペプチド精製に用いる分取用液体クロマ
トグラフィー移動相アセトニトリルは高純度が要求され
る。しかし、市販の液体クロマトグラフィー用アセトニ
トリル及び東ドイツ特許DD217212A1号公報に
従って精製した比較例3のアセトニトリルは不純物レベ
ルが高くペプチド精製には不向きであった。しかるに波
長200nmの紫外線の吸光度が0.011の本アセト
ニトリルは不純物レベルが飛躍的に低くペプチド精製に
好適であった。
【0078】
【実施例13】実施例11の第2の工程において吸着剤
として、活性炭50ミリリットルを用いる以外は実施例
10と同じ操作を行って精製したアセトニトリルを得
た。このアセトニトリルの波長200nmの紫外線の吸
光度は0.013であり、波長210〜400nmの範
囲での紫外線の吸光度の最大値は0.006以下であっ
た。
【0079】
【実施例14】実施例4の第1の工程として2リットル
の撹拌機付き丸底フラスコに該アセトニトリル1リット
ルを入れ、これに発生期の酸素を発生させる化合物とし
て和光純薬の特級過マンガン酸カリウム1.09gを添
加し、60℃で2時間撹拌した。その後単蒸留を行い過
マンガン酸カリウムを含まないアセトニトリルを得た。
次いで第2の工程と第3の工程は実施例4と同じ操作を
行って精製したアセトニトリルを得た。このアセトニト
リルの波長200nmの紫外線の吸光度は0.045で
あり、波長210〜400nmの範囲での紫外線の吸光
度の最大値は0.027以下であった。
【0080】
【実施例15】実施例4において、第1の工程、第3の
工程、第2の工程の順で操作を行って精製したアセトニ
トリルを得た。このアセトニトリルの波長200nmの
紫外線の吸光度は0.048であり、波長210〜40
0nmの範囲での紫外線の吸光度の最大値は0.028
以下であった。
【0081】実施例4〜15に示した如く200nmの
紫外線の吸光度が0.05以下の高純度アセトニトリル
が簡単な操作で高収率で得られた。
【0082】
【発明の効果】粗アセトニトリルと発生期の酸素を接触
させ、次に固体塩基及び/または吸着剤から選ばれた1
種以上の物質を充填した充填塔を通すだけで、酸及び過
マンガン酸還元性物質が少ないアセトニトリルが製造出
来る。この方法は東ドイツDD217212A1号に開
示されている蒸留法に比べ冷却器及び熱源及び高度な温
度管理技術も不要であり、極めて簡易なアセトニトリル
精製方法である。更に、高速液体クロマトグラフィー移
動相溶媒として用いる事ができる波長200〜400n
mの範囲での紫外線の吸光度の最大値が0.05以下の
アセトニトリルを製造するに際し、粗アセトニトリルと
発生期の酸素を接触させ、次に固体塩基及びまたは吸着
剤から選ばれた1種以上の物質と接触させ、引き続き低
沸点化合物及び高沸点化合物を分離除去するか、もしく
は粗アセトニトリルと発生期の酸素を接触させ、引き続
き低沸点化合物及び高沸点化合物を分離除去し、次いで
固体塩基及び/または吸着剤からの選ばれた1種以上の
物質と接触させる事により、粘着性物質が発生する液体
の固体塩基を用いる方法や、プロセスが複雑になる硫酸
接触法に比べて、プロセスがシンプルであり、連続運転
が容易であり、且つ高収率で波長200〜400nmの
範囲での紫外線の吸光度の最大値が0.05以下のアセ
トニトリルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の精製したアセトニトリルの紫外線吸収
スペクトルである。
【図2】本発明に用いる原料のアセトニトリルの紫外線
吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 253/34 C07C 255/03

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗アセトニトリルを精製するに際して、 (1)原料の粗アセトニトリルと発生期の酸素を接触さ
    せる第1の工程、および (2)第1の工程を経たアセトニトリルを固体塩基、吸
    着剤から選ばれた1種以上の物質と接触させる第2の工
    程の順で粗アセトニトリルを精製することを特徴とする
    粗アセトニトリルの精製方法。
  2. 【請求項2】 粗アセトニトリルを精製するに際して、 (1)原料の粗アセトニトリルと発生期の酸素を接触さ
    せる第1の工程、および (2)第1の工程を経たアセトニトリルを固体塩基、吸
    着剤から選ばれた1種以上の物質と接触させる第2の工
    程と、 (3)第2の工程を経たアセトニトリルに含まれる低沸
    点化合物及び高沸点化合物を分離除去する第3の工程、
    もしくは第1の工程後、第3の工程を行い次いで、第2
    の工程の順で粗アセトニトリルを精製することを特徴と
    する特許請求項1記載の粗アセトニトリルの精製方法。
  3. 【請求項3】 原料の粗アセトニトリルが、波長200
    nmの紫外線の吸光度が0.1以上であり、得られるア
    セトニトリルが、波長200〜400nmの紫外線の吸
    光度が0.05以下のアセトニトリルであることを特徴
    とする請求項2記載の粗アセトニトリルの精製方法。
  4. 【請求項4】 原料の粗アセトニトリルが、プロピレ
    ン、イソブテン、又は3級ブタノールとアンモニア及び
    分子状酸素との接触的アンモ酸化反応によるアクリロニ
    トリル又はメタクリロニトリルを製造する際に副生成物
    として得られるアセトニトリルであることを特徴とする
    請求項1または2記載の粗アセトニトリルの精製方法。
  5. 【請求項5】 近赤外分光法を用いて工程管理をする事
    を特徴とする請求項2記載の粗アセトニトリルの精製方
    法。
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