JP3174794B2 - 光学薄膜及びレーザ装置 - Google Patents

光学薄膜及びレーザ装置

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JP3174794B2
JP3174794B2 JP11144292A JP11144292A JP3174794B2 JP 3174794 B2 JP3174794 B2 JP 3174794B2 JP 11144292 A JP11144292 A JP 11144292A JP 11144292 A JP11144292 A JP 11144292A JP 3174794 B2 JP3174794 B2 JP 3174794B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反射ミラー、フィルタ
ー等に利用できる光学薄膜及びこの光学薄膜を共振器用
のミラーに用いたレーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザ共振器の出力ミラーにいわ
ゆるガウシアンミラーを用いることにより、良好なモー
ドパターンを有するレーザ光を得る試みがなされてい
る。このガウシアンミラーは、その反射率分布がミラー
の中心からの距離に対してガウシアン関数またはスーパ
ーガウシアン関数に従うものである。
【0003】図13は、従来のガウシアンミラーの反射
率分布特性を示すものである。なお、図13において横
軸がミラーの中心からの距離(mm)、縦軸が反射率
(%)である。図13に示されるように、このガウシア
ンミラーは、垂直入射において、ピーク反射率を55%
とし、ガウシアン分布の裾野の部分における最小反射率
を3%とした例である。
【0004】図14は、この従来のガウシアンミラーの
膜構成を示す図である。図14に示されるように、この
ガウシアンミラーは、基板100の上に第I層101、
第II層102及び第III層103を順次重ねて形成
したものである。第I層101と第III層103とが
TiO2 の薄膜からなる高屈折率層(H層)であり、第
II層102がSiO2 の薄膜から低屈折率層(L層)
である。基板100は光学ガラスBSC7(HOYA株
式会社の商品名)で構成されており、その屈折率ns
1.51である。また、H層(TiO2 )の屈折率nH
=2.15、L層(SiO2 )の屈折率nL =1.45
である。ここで、第III層103(H層)は、光学的
膜厚分布層である。光学的膜厚は、第I層101及び第
II層102がともに波長λ0 =1064nmに対して
λ0 /4であり、第III層103がx・λ0 /4(x
=0〜1.0)である。このような膜構成においては、
ミラーの各部分における反射率が最上層である第III
層103の対応する部分の光学的膜厚に依存して定ま
る。図15はこの関係を示すものである。図15におい
て、横軸がミラーの任意の部分の膜厚(光学的膜厚で表
し、λ0 /4を1とし他場合にそれに対する比率で示し
た)、縦軸がその部分の反射率(%)である。したがっ
て、第III層103の光学的膜厚分布を図16に示さ
れるようなガウシアン関数に従う分布に設定することに
より、ミラーの反射率分布を上述の図13に示されるよ
うなスーパーガウシアン分布とすることができる。な
お、図14に示される膜構成は次のように表記される。
【0005】Sub/(HL)1 x・H/Air 図17は、従来のガウシアンミラーの他の例の反射率分
布を示す図である。この例は、ピーク反射率を95%と
し、ガウシアン分布の裾野の部分における最小反射率を
4%とした例である。この例は膜構成を、 Sub/(HL)2 x・H (LH)2 /Air としたものである。図18はこの膜構成を示すもので、
基板100の上にH,Lの薄膜を交互に重ねて第I層1
11から第IX層119までの9層に形成したものであ
る。この場合、第V層115を光学的膜厚分布層であ
る。なお、L,Hの各薄膜の材質や屈折率及び基板10
0の材質等は上述の例と同じである。この場合において
は、ミラーの各部分における反射率は第V層115の対
応する部分の光学的膜厚に依存して定まる。図19はこ
の関係を示すものである。ここで、図19の横軸及び縦
軸は図15の場合と同じである。したがって、第V層1
15の光学的膜厚分布を上述の図16に示されるような
ガウシアン関数に従う分布に設定することにより、ミラ
ーの反射率分布を上述の図17に示されるようなスーパ
ーガウシアン分布とすることができる。
【0006】以上のようなガウシアンミラーを出力ミラ
ーに用いれば、例えば、繰り返し数が1〜数+Hz程度
の良質なパルスレーザ光を高効率で発振できるパルス発
振YAGレーザ装置を構成することができる。
【0007】なお、上述の構成の光学薄膜は、透過率分
布がガウシアン関数に従う光学フィルターとしても用い
ることができ、例えば、レーザビーム強度分布整形用の
フィルターとしても用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、繰り
返し数が100Hz以上の高繰り返しパルス発振YAG
レーザや擬CW発振(連続パルス発振)YAGレーザ、
さらには、CW発振YAGレーザが様々な用途に用いら
れるようになり、それにともなって発振効率の向上や耐
久性向上に対する要求もより厳しくなっている。この事
情は、YAGレーザの他にも、ガラスレーザやチタンサ
ファイヤレーザなどについても同様である。そこで、こ
の様な要求に応える方法として、上述の従来のガウシア
ンミラーを用いる方法が検討された。
【0009】ところが、上述の従来のガウシアンミラー
を高繰り返し発振のレーザ装置にそのまま適用すると、
繰り返し発振に支障をきたしたり、あるいは、耐久性に
問題があることがわかった。そこで、この原因を究明し
たところ、上述の従来のガウシアンミラーを高繰り返し
発振のレーザ装置の出力ミラーとして用いた場合には、
1パルスあたりのゲインが低すぎ、これがためにレーザ
発振器内部に蓄えられるエネルギーが不足しがちであ
り、また、1パルス毎の発振エネルギーが高いために光
学部品の損傷を早めることがわかった。特に、ガウシア
ン分布の裾野にあたる最小反射率部分での電界強度が非
常に高くなってしまい、レーザーダメージしきい値が低
下してしまうことがわかった。
【0010】また、光学フィルターとして用いる場合に
おいても、上述の従来の光学薄膜では、ガウシアン分布
の裾野にあたる部分での透過率が100%に近いので、
例えば、ビーム断面の強度分布曲線のピークの両側にリ
ップルがあるようなモードのレーザビームの強度分布を
整形するためのレーザビーム強度分布整形用のフィルタ
ーとして用いた場合には、このリップル除去ができず、
強度分布を均一にできないという不都合があった。
【0011】本発明は、上述の背景のもとでなされたも
のであり、良好なモードパターンのレーザ光を効率よく
高繰り返し発振できるレーザ装置の出力ミラーや、レー
ザビーム強度分布製形用の光学フィルターとして用いる
ことができる光学薄膜、その光学薄膜を有する光学薄膜
付基板及びその光学薄膜を用いたレーザ装置を提供する
ことを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明にかかる光学薄膜は、
【0013】
【0014】(1) 基板上に屈折率の異なる物質から
なる複数の薄膜を重ねて構成された光学薄膜であって、
その中心部から周縁に至る反射率分布がガウシアン関数
又はスーパーガウシアン関数で表される分布を有してい
る光学薄膜において、 前記ガウシアン関数又はスーパー
ガウシアン関数の裾野にあたる部分の最小反射率が前記
基板の表面反射率より高いとともに、 前記複数の薄膜の
膜構成が次のいずれかで表される構成を有していること
を特徴とした構成とした。
【0015】ただし、表記の意味を次の通りとする。
【0016】各記号の配列規則;各記号で示される構成
要素が表記通りの配列順序で配置されることを表す。
【0017】Sub;基板。
【0018】H;高屈折率物質の薄膜(中心波長λ0
対し、λ0 /4の光学的膜厚を有する。
【0019】L;低屈折率物質の薄膜(中心波長λ0
対し、λ0 /4の光学的膜厚を有する。
【0020】Air;空気又は外部を表す。
【0021】(HL)m ;高屈折率物質の薄膜の上に低
屈折率物質の薄膜が形成された膜構成を一単位として、
その単位膜構成がm回重ねて形成された膜構成を表す。
【0022】Sub/(HL)m ;基板の上に(HL)
m の膜構成の薄膜が形成されることを表す。
【0023】x・H;中心部から周縁に向かって光学的
膜厚分布を有する高屈折率物質の薄膜を表す。
【0024】x・L;中心部から周縁に向かって光学的
膜厚分布を有する低屈折率物質の薄膜を表す。
【0025】x=0〜1.0;x・H又はx・Lで表さ
れる光学的膜厚分布を有する薄膜の光学的厚さの範囲が
所定の厚さに0〜1の係数をかけたものであることを表
す。
【0026】(HL)m x・H;(HL)m の薄膜の
上にx・Hの薄膜形成されることを表す。
【0027】(LH)m ’;低屈折率物質の薄膜の上に
高屈折率物質の薄膜が形成された膜構成を一単位とし
て、その単位膜構成がm’回重ねて形成された膜構成を
表す。
【0028】(LH)m ’/Air;(LH)m ’膜の
最上層が空気又は外部と接していることを表す。
【0029】(1) Sub/(HL)m x・H (L
H)m ’/Air ただし、m及びm’が1以上の整数で、m’≠mまたは
m’≠m−1であり、 x=0〜1.0とする。
【0030】(2) Sub/(HL)m x・L (L
H)m ’/Air ただし、m及びm’が1以上の整数で、m’≠mまたは
m’≠m−1であり、 x=0〜1.0とする。
【0031】(3) Sub/(LH)m x・H (H
L)m ’/Air ただし、m及びm’が1以上の整数で、m’≠mまたは
m’≠m+1であり、 x=0〜1.0とする。
【0032】(4) Sub/(LH)m x・L (H
L)m ’/Air ただし、mおよびm’が1以上の整数で、m’≠mまた
はm’≠m+1であり、x=0〜1.0とする。
【0033】そして、本発明にかかる光学薄膜付基板
は、(2)構成1 に記載の光学薄膜を有することを特徴とす
る構成とした。そして、本発明にかかるレーザ装置は、(3) レーザ媒体と、このレーザ媒体を励起する光源
と、前記レーザ媒体で生じたレーザ光の少なくとも一部
を反射する複数のミラーを備えたレーザ共振器とを有す
るレーザ装置において、前記共振器を構成するミラーの
少なくとも1つを請求項1に記載の光学薄膜で構成した
ことを特徴とする構成としたものである。
【0034】
【作用】上述の構成1によれば、良好なモードパターン
のレーザ光を効率よく高繰り返し発振できるレーザ装置
の出力ミラーや、レーザビーム強度分布整形用の光学フ
ィルターとして用いることができる光学薄膜を得ること
ができる。
【0035】
【実施例】以下、図面を参照にしながら本発明の実施例
にかかる光学薄膜及びレーザ装置を説明する。なお、以
下の説明においては、まず、光学薄膜の実施例を説明
し、次にこの光学薄膜を用いたレーザ装置の実施例を説
明する。
【0036】(光学薄膜の実施例)実施例1 この実施例は、中心から周縁に至る反射率分布がガウシ
アン関数で表わされる分布を有し、ピーク反射率が95
%、ガウシアン分布の裾野の分野における最小反射率が
28%、膜厚分布の半径が1.5mmである光学薄膜で
あり、レーザ装置の出力ミラーとして用いることができ
る円形のガウシアンミラーを構成した例である。なお、
この場合の反射率は波長λ=1064nmの光の垂直入
射に対するものであり、以下の実施例でも同様とする。
図1はこの実施例にかかる光学薄膜の反射率分布特性を
示す図である。なお、図1において横軸がミラーの中心
からの距離(mm)、縦軸が反射率(%)である。
【0037】図2はこの実施例の光学薄膜の膜構成を示
す図である。図2に示される膜構成は、一般表記で、 Sub/(HL)m x・H (LH)m ’/Air (ただし、mおよびm’が1以上の整数で、m’≠mま
たはm’≠m−1であり、x=0〜1.0であるとす
る。)で表される膜構成において、m=3、m’=1と
して全層数を9層とし、その第VII層を光学的膜厚分
布層としたものである。
【0038】ただし、表記の意味を次の通りとし、以下
の実施例でも同様とする。
【0039】各記号の配列規則;各記号で示される構成
要素が表記通りの配列順序で配置されることを表す。
【0040】Sub;基板。
【0041】H;高屈折率物質の薄膜(中心波長λ0
対し、λ0 /4の光学的膜厚を有する。
【0042】L;低屈折率物質の薄膜(中心波長λ0
対し、λ0 /4の光学的膜厚を有する。
【0043】Air;空気又は外部を表す。
【0044】(HL)m ;高屈折率物質の薄膜の上に低
屈折率物質の薄膜が形成された膜構成を一単位として、
その単位膜構成がm回重ねて形成された膜構成を表す。
【0045】Sub/(HL)m ;基板の上に(HL)
m の膜構成の薄膜が形成されることを表す。
【0046】x・H;中心部から周縁に向かって光学的
膜厚分布を有する高屈折率物質の薄膜を表す。
【0047】x・L;中心部から周縁に向かって光学的
膜厚分布を有する低屈折率物質の薄膜を表す。
【0048】x=0〜1.0;x・H又はx・Lで表さ
れる光学的膜厚分布を有する薄膜の光学的厚さの範囲が
所定の厚さに0〜1の係数をかけたものであることを表
す。
【0049】(HL)m x・H;(HL)m の薄膜の
上にx・Hの薄膜形成されることを表す。
【0050】(LH)m ’;低屈折率物質の薄膜の上に
高屈折率物質の薄膜が形成された膜構成を一単位とし
て、その単位膜構成がm’回重ねて形成された膜構成を
表す。
【0051】(LH)m ’/Air;(LH)m ’膜の
最上層が空気又は外部と接していることを表す。
【0052】図2に示されるように、この光学薄膜は、
基板10の上に第I層11、第II層12、第III層
13、第IV層14、第V層15、第VI層16、第V
II層17、第VIII層18及び第IX層19を順次
重ねて9層に形成したものである。第I層11、第II
I層13、第V層15、第VII層17及び第IX層1
9がTiO2 の薄膜からなる高屈折率層(H層)であ
り、第II層12、第IV層14、第VI層16及び第
VIII層18がSiO2 薄膜からなる低屈折率層
(L層)である。基板10は硼珪酸塩系光学ガラスBS
C7(HOYA株式会社の商品名)で構成されており、
その屈折率nS =1.51、表面反射率RS=4.1%
である。また、H層(TiO2 )の屈折率nH =2.1
5、L層(SiO2 )の屈折率nL =1.45である。
ここで、第VII層17(H層)は、光学的膜厚分布層
である。光学的膜厚は、第VII層17を除く他の膜は
全て波長λ0 =1064nmに対してλ0 /4であり、
第VII層17がX・λ0 /4(X=0〜1.0)であ
る。このような膜構成においては、ミラーの各部分にお
ける反射率が第VII層17の対応する部分の光学的膜
厚に依存して定まる。図3はこの関係を示すものであ
る。図3において、横軸がミラーの任意の部分の光学的
膜厚(λ0 /4を1とした場合にそれに対する比率で示
した。)、縦軸がその部分の反射率(%)である。した
がって、第VII層17の膜厚分布を図16に示される
ようなガウシアン関数に従う分布に設定することによ
り、ミラーの反射率分布を上述の図1に示されるような
スーパーガウシアン分布とすることができる。なお、こ
の様な薄膜を形成するには、真空蒸着やスパッタリング
等の周知の薄膜形成技術を用いることができる。また、
光学的膜厚分布を得るには、光学的に均一な薄膜を用い
てその物理的膜厚を変える方法と、物理的膜厚を一定に
しておいてその屈折率に分布を設ける方法とがある。前
者の方法を実施するには、真空蒸着の際において基板前
面を、中心に適宜の小孔を設けたマスクで覆い、該小孔
を通じて蒸発源から飛散した微粒子を基板に堆積させる
方法が適用できる(詳しくは特願平2−294736号
明細書参照)。また、後者の方法は、拡散法等により、
所定の屈折率を有する薄膜に異なる屈折率を有する物質
を拡散させることにより実施できる。その場合、中心か
ら周縁に向かう距離Xに対する屈折率分布を、例えば、
以下の式で表わされるようなガウシアン分布にすればよ
い。
【0053】N=N0 ・exp[−2(X/w)n ] ただし、N;屈折率 X;中心から周縁に向かう距離 N0 =2.15 w=1.50 n=2.00 とする。
【0054】実施例2 この実施例は、膜構成を一般表記で、 Sub/(HL)m x・L (LH)m ’/Air (ただし、mおよびm’が1以上の整数で、m’≠mま
たはm’≠m−1であり、x=0〜1.0であるとす
る。)で表される膜構成において、m=5、m’=2と
して全層数を15層とし、その第11層目の低屈折率層
(L層)を光学的膜厚分布層としたものである。これに
より、ピーク反射率99%、最小反射率56%の反射率
分布をもち、実施例1の場合と同様のミラーとして使用
できる光学薄膜を構成した例である。なお、L,Hの各
薄膜の材質や屈折率及び光学的膜厚並びに基板の材質等
は実施例1と同じである。
【0055】このような膜構成においては、ミラーの各
部分における反射率が第11層の薄膜の対応する部分の
光学的膜厚に依存して定まる。図4はこの関係を示すも
のである。図4において横軸と縦軸の関係は図3と同じ
である。したがって、第11層の光学的膜厚分布を図1
6に示されるようなガウシアン関数に従う分布に設定す
ることにより、ミラーの反射率分布を、ピーク反射率9
9%、最小反射率56%である図5に示されるようなス
ーパーガウシアン分布とすることができる。なお、図5
の横軸と縦軸の関係は図1と同じである。
【0056】実施例3 この実施例は、膜構成を一般表記で、 Sub/(LH)m x・H (HL)m ’/Air (ただし、mおよびm’が1以上の整数で、m’≠mま
たはm’≠m+1であり、x=0〜1.0であるとす
る。)で表される膜構成において、m=1、m’=3と
して全層数を9層とし、その第3層目の高屈折率層(H
層)を光学的膜厚分布層としたものである。これによ
り、ピーク反射率59%、最小反射率28%の反射率分
布をもち、実施例1の場合と同様のミラーとして使用で
きる光学薄膜を構成した例である。なお、L,Hの各薄
膜の材質や屈折率及び光学的膜厚並びに基板の材質等は
実施例1と同じである。
【0057】このような膜構成においては、ミラーの各
部分における反射率が第3層の薄膜の対応する部分の光
学的膜厚に依存して定まる。図6はこの関係を示すもの
である。図6において横軸と縦軸の関係は図3と同じで
ある。したがって、第3層の光学的膜厚分布を図16に
示されるようなガウシアン関数に従う分布に設定するこ
とにより、ミラーの反射率分布を、ピーク反射率59
%、最小反射率28%である図7に示されるようなスー
パーガウシアン分布とすることができる。なお、図7の
横軸と縦軸の関係は図1と同じである。
【0058】実施例4 この実施例は、膜構成を一般表記で、 Sub/(LH)m x・L (HL)m ’/Air (ただし、mおよびm’が1以上の整数で、m’≠mま
たはm’≠m+1であり、x=0〜1.0であるとす
る。)で表される膜構成において、m=1、m’=6と
して全層数を15層とし、その第3層目の低屈折率層
(L層)を光学的膜厚分布層としたものである。これに
より、ピーク反射率98%、最小反射率89%の反射率
分布をもち、実施例1の場合と同様のミラーとして使用
できる光学薄膜を構成した例である。なお、L,Hの各
薄膜の材質や屈折率及び光学的膜厚並びに基板の材質等
は実施例1と同じである。
【0059】このような膜構成においては、ミラーの各
部分における反射率が第3層の薄膜の対応する部分の光
学的膜厚に依存して定まる。図8はこの関係を示すもの
である。図8において横軸と縦軸の関係は図3と同じで
ある。したがって、第3層の光学的膜厚分布を図16に
示されるようなガウシアン関数に従う分布に設定するこ
とにより、ミラーの反射率分布を、ピーク反射率98
%、最小反射率89%である図9に示されるようなスー
パーガウシアン分布とすることができる。なお、図9の
横軸と縦軸の関係は図1と同じである。
【0060】なお、以上の各実施例では基板に光学ガラ
スBSC7を用いた例を示したが、これは他の光学ガラ
ス等の透明材料であってもよい。また、高屈折率物質と
してはTiO2 の外に例えばZrO2 、Ta2 5 、Z
rTiO4 、ZnSe、ZnS等でもよく、低屈折率物
質としてはSiO2 の外に例えばMgF2 等であもよ
い。
【0061】さらに、レーザダメージに対する耐性や耐
環境性もしくは基板との付着性を高めるために多層膜の
表裏の部位にオーバーコートやアンダーコートを形成し
てもよい。オーバーコートは多層膜の最上層の上、すな
わち、外部(Air)と接する部位に形成され、アンダ
ーコートは多層膜の最下層の下、すなわち、基板と接す
る部位に形成される。これらは通常、λ/2膜(半波長
膜)とされ、多層膜全体の光学特性に影響を与えないよ
うにされる。また、コートの材料は、レーザダメージに
対する耐性を高める意味で低屈折率物質を用いる場合が
多いが、基板との封着性を高める目的のアンダーコート
の場合は、低屈折率物質以外の物質を用いることもあ
る。このように、オーバーコートとアンダーコートとを
付加した場合の膜構成は例えば次の一般表記で表され
る。
【0062】Sub/2L(HL)m x・H (L
H)m ’2L/Air この表記においてはオーバーコートとアンダーコートと
をともに低屈折率物質で構成し、その光学的膜厚をλ/
2(2Lの表記で示す)とした例である。
【0063】(レーザ装置の実施例)実施例5 図10は本発明の実施例にかかるレーザ装置の要部構成
を示す図である。この実施例は、本発明にかかる光学薄
膜を出力ミラーとして用いたCW発振YAGレーザ装置
である。
【0064】図10に示されるように、このレーザ装置
は、Nd:YAGレーザロッド1のレーザ光路上におけ
る両側に、凹面ガラス表面に高反射膜を形成したミラー
2と、反射面が凸面で出射面がこの凸面と相補的な凹面
をなして全体としてメニスカスレンズ状をなした出力ミ
ラー3とを配置したものである。
【0065】出力ミラー3は、上述の各実施例で示した
光学薄膜と同様の構成をなすもので、メニスカスレンズ
状の光学ガラスの基板の凸面部表面に多層膜を形成した
ものである。なお、凹面部には反射防止用のARコート
3aを形成してある。この出力ミラー3は凸面の反射率
が次の式で表されるスーパーガウシアン関数に従う分布
を有している。
【0066】 R(X)=R0 ・exp[−2(X/w)n ]+Rmin ただし、 X;基板中心からの距離 R0 ;Rp −Rminp ;ピーク反射率=95% Rmin ;最小反射率=50% n;スーパーガウシアン因子=3.5 w;スポット径=1.1mm である。図11は上記式で表される反射率分布曲線を示
したもので、図の横軸が基板からの距離(X)であり、
縦軸が反射率(R(X))である。
【0067】また、図12は出力ミラーにガウシアンミ
ラー(Gaussian mirror)を用いたこの
実施例のCW発振YAGレーザ装置の発振特性と、出力
ミラーだけを反射率分布のないノーマルミラー(Nor
mal mirror)に代え、かつ、1.5mmφの
孔径のハードアパーチャーを出力ミラーとレーザロッド
との間に挿入した外の構成がこの実施例と同じ従来のC
W発振YAGレーザ装置の発振特性とを比較して示した
図である。なお、図12において横軸が励起光の入力パ
ワー(KW)、縦軸が出力レーザ光のパワー(W)であ
る。また、図12の立体図は出力ビームのNear f
ieldパターンを示し、ηslopeは入・出力特性
図の直線の傾きを示す。
【0068】図12からいずれもシングルモード発振で
はあるが、本実施例の発振特性が極めで優れていること
がわかる。例えば、入力パワーが1.4KWの場合を比
較すると、本実施例(ガウシアンミラー)では、2.6
6W(M2 =1.4、B=120MW/cm 2 ・Sr
の出力パワーが得られるのに対して、従来例(ノーマル
ミラー)では1.04W(M2 =1.3、B=54MW
cm 2 ・Sr)の出力パワーしか得られない。なお、
ここで、M2 はいわゆるM2 ファクターであり、Bはフ
ラットネス(輝度)であり、B=Power/(πθW
0 2 =Power/(M2 λ)2 (ただし、Powe
r;レーザ出力[W]、θ;ビーム発散角[rad]、
WO;ビームウエストにおけるスポット半径[cm]、
λ;波長[cm]とする)である。しかも、この場合、
この実施例においてはCW発振がスムースに行われ、レ
ーザダメージも全く認められず、耐久性にも極めて優れ
たものであった。
【0069】なお、以上の実施例では、一実施例の光学
薄膜をレーザ装置の出力ミラーとして利用する場合につ
いて述べたが、これは透過率分布がガウシアン関数に従
う光学フィルターとしても用いることもできる。このよ
うな光学フィルターとしては、例えば、レーザ光に複数
の空間モードが発生したとき、各空間モードの電界強度
を均一化するためのレーザビーム強度分布整形用のフィ
ルターがある。このレーザビーム強度分布整形用のフィ
ルターに一実施例の光学フィルターを適用すると、例え
ば、ビーム断面の強度分布曲線のピークの両側にリップ
ルがあるようなモードのレーザビームにおいても、その
リップルを除去して均一な分布のレーザ光を得ることが
可能となる。
【0070】また、基板としてはBSC7等の硼珪酸塩
系ガラスからなるものの外に石英ガラスや他のガラスも
しくは他の材料で構成したものであってもよい。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、基板上
に屈折率のことなる物質からなる複数の薄膜を重ねて構
成された光学薄膜であって、その中心部から周縁に至る
反射率分布がガウシアン関数又はスーパーガウシアン関
数で表される分布を有している光学薄膜において、ガウ
シアン関数又はスーパーガウシアン関数の裾野にあたる
部分の最小反射率を基板の表面反射率より高くした。こ
れにより、良好なモードパターンのレーザ光を効率よく
高繰り返し発振できるレーザ装置の出力ミラーや、レー
ザビーム強度分布製形用の光学フィルターとして用いる
ことができる光学薄膜、その光学薄膜を有する光学薄膜
付基板及びその光学薄膜を用いたレーザ装置を得てい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の光学薄膜の反射率分布を示
す図である。
【図2】実施例1の光学薄膜の膜構成を示す図である。
【図3】実施例1の膜厚分布層の膜厚と光学薄膜の反射
率との関係を示す図である。
【図4】実施例2の膜厚分布層の膜厚と光学薄膜の反射
率との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の光学薄膜の反射率分布を示
す図である。
【図6】実施例3の膜厚分布層の膜厚と光学薄膜の反射
率との関係を示す図である。
【図7】実施例3の光学薄膜の反射率分布を示す図であ
る。
【図8】実施例4の膜厚分布層の膜厚と光学薄膜の反射
率との関係を示す図である。
【図9】実施例4の光学薄膜の反射率分布を示す図であ
る。
【図10】本発明の実施例(実施例5)にかかるレーザ
装置の構成を示す図である。
【図11】実施例5の出力ミラーの反射率分布を示す図
である。
【図12】実施例5のレーザ装置と従来のレーザ装置と
の発振特性を比較した図である。
【図13】従来例のガウシアンミラーの反射率分布を示
す図である。
【図14】図13のガウシアンミラーの膜構成を示す図
である。
【図15】従来例の膜厚分布層の膜厚と光学薄膜の反射
率との関係を示す図である。
【図16】膜厚分布層の膜厚分布を示す図である。
【図17】他の従来例のガウシアンミラーの反射率分布
を示す図である。
【図18】他の従来例の膜構成を示す図である。
【図19】他の従来例の膜厚分布層の膜厚と光学薄膜の
反射率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1…YAGレーザロッド、2…全反射ミラー、3…出力
ミラー、10,100…基板、11,111,101…
第I層、12,102,112…第II層、13,10
3,113…第III層、14,114…第IV層、1
5,115…第V層、16,116…第VI層、17,
117…第VII層、18,118…第VIII層1
9,119…第IX層。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に屈折率の異なる物質からなる複
    数の薄膜を重ねて構成された光学薄膜であって、その中
    心部から周縁に至る反射率分布がガウシアン関数又はス
    ーパーガウシアン関数で表される分布を有している光学
    薄膜において、 前記ガウシアン関数又はスーパーガウシアン関数の裾野
    にあたる部分の最小反射率が前記基板の表面反射率より
    高いとともに、 前記 複数の薄膜の膜構成が次のいずれかで表される構成
    を有していることを特徴とした光学薄膜。ただし、表記
    の意味を次の通りとする。 各記号の配列規則;各記号で示される構成要素が表記通
    りの配列順序で配置されることを表す。 Sub;基板。 H;高屈折率物質の薄膜(中心波長λ0に対し、λ0/4
    の光学的膜厚を有する。 L;低屈折率物質の薄膜(中心波長λ0に対し、λ0/4
    の光学的膜厚を有する。 Air;空気又は外部を表す。 (HL)m;高屈折率物質の薄膜の上に低屈折率物質の
    薄膜が形成された膜構成を一単位として、その単位膜構
    成がm回重ねて形成された膜構成を表す。 Sub/(HL)m;基板の上に(HL)mの膜構成の薄
    膜が形成されることを表す。 x・H;中心部から周縁に向かって光学的膜厚分布を有
    する高屈折率物質の薄膜を表す。 x・L;中心部から周縁に向かって光学的膜厚分布を有
    する低屈折率物質の薄膜を表す。 x=0〜1.0;x・H又はx・Lで表される光学的膜
    厚分布を有する薄膜の光学的厚さの範囲が所定の厚さに
    0〜1の係数をかけたものであることを表す。 (HL)m x・H;(HL)m の薄膜の上にx・Hの
    薄膜形成されることを表す。 (LH)m';低屈折率物質の薄膜の上に高屈折率物質の
    薄膜が形成された膜構成を一単位として、その単位膜構
    成がm’回重ねて形成された膜構成を表す。 (LH)m'/Air;(LH)m'膜の最上層が空気又は
    外部と接していることを表す。 (1) Sub/(HL)m x・H (LH)m'/Air ただし、m及びm’が1以上の整数で、m’≠mまたは
    m’≠m−1であり、x=0〜1.0とする。 (2) Sub/(HL)m x・L (LH)m'/Air ただし、m及びm’が1以上の整数で、m’≠mまたは
    m’≠m−1であり、x=0〜1.0とする。 (3) Sub/(LH)m x・H (HL)m'/Air ただし、m及びm’が1以上の整数で、m’≠mまたは
    m’≠m+1であり、x=0〜1.0とする。 (4) Sub/(LH)m x・L (HL)m'/Air ただし、mおよびm’が1以上の整数で、m’≠mまた
    はm’≠m+1であり、x=0〜1.0とする。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光学薄膜を有する光学
    薄膜付基板。
  3. 【請求項3】 レーザ媒体と、このレーザ媒体を励起す
    る光源と、前記レーザ媒体で生じたレーザ光の少なくと
    も一部を反射する複数のミラーを備えたレーザ共振器と
    を有するレーザ装置において、 前記共振器を構成するミラーの少なくとも1つを請求項
    1に記載の光学薄膜で構成したことを特徴とするレーザ
    装置。
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