JP3174729B2 - アクリジン誘導体、その製法およびこれを用いた標識法 - Google Patents

アクリジン誘導体、その製法およびこれを用いた標識法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なアクリジン
誘導体に関し、更に詳細には、アミノ酸、蛋白質等の被
測定物質に含まれるSH基に結合することができ、化学
発光標識物質として有用なアクリジン誘導体、その製法
およびこれを用いた標識法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリジン誘導体であるアクリジニウム
エステルは、高い発光効率を持つことから化学発光標識
物質として有用である。 このアクリジニウムエステル
を臨床検査の免疫発光分析におけるケミルミネッセント
ラベルとして使用することについては、例えばヨーロッ
パ特許出願公開第82636号や米国特許第47451
81号明細書に開示されている。
【0003】既知のアクリジニウムエステルの中には、
末端にスルフィニウムイオンを有するもの(特開平5−
255264号)、スペーサー部にヒドラゾニウムイオ
ンを有するもの(特開平5−255263号)やアクリ
ジニウムのメチル基などをカルボキシル基に代えたもの
(特開平6−228102号)等親水性構造を有するも
のが知られているが、これらの親水性構造を有するアク
リジニウムエステルは実質的にアミノ基を標識すること
を目指すものであり、アミノ酸や、蛋白質等を標識し、
臨床検査の免疫発光分析におけるケミルミネッセントラ
ベルとして使用するのに適した化合物とされている。
【0004】ところで、臨床検査の免疫発光分析におけ
る測定対象物質は、アミノ酸や蛋白質がほとんどである
が、これら物質には多くのアミノ基が存在するので、上
記の既知アクリジニウム化合物は標識の実行がたやすい
という点では大きな利点がある。
【0005】しかし逆に、アミノ酸や蛋白質中に多く含
まれるアミノ基を標識する結果、被標識部位が多くな
り、標識の均一性、再現性、抗体蛋白等対象物の不溶化
の問題や、抗体に標識する場合には抗原認識部位にある
アミノ基に標識化合物が結合し、抗体としての働きを低
下させ、ないしは失わせるという問題があった。 ま
た、被標識物質がアミノ基の数が限定される低分子であ
る場合は、標識反応を制御し、容易に一定のモル比で標
識できる場合もあるが、被標識物質が抗体蛋白等の高分
子でアミノ基の数が必ずしも限定できない場合は、試行
錯誤により、一定のモル比で標識できる条件を予備検討
しなければならないという欠点もあった。
【0006】一方、ある化合物を化学発光標識試薬とし
て実用に供するためには、その化合物の標識反応が容易
であると共に、その標識条件では発光ないし分解には至
らないことが必須である。 アクリジニウムエステルで
標識される相手方は、アミノ酸等低分子化合物をはじめ
として酵素あるいは抗体等の高分子化合物まで様々であ
るが、上記のように被標識物質のアミノ基を利用する場
合、上記引用文献にみられるように、アクリジニウムエ
ステルにイミド基を与えてアミノ基と結合させる場合が
多い。 そして、このイミド基を用いてアミノ基と結合
反応させる場合の反応は、アルカリ性で効率良く進む
が、一般にアクリジニウム化合物はアルカリ性で発光な
いし分解に至る不安定な化合物であるため、発光活性を
有したまま標識を効率良く進めるということは、相矛盾
する反応条件を求めることとなって不都合である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、免疫発光分析
等に用いる化学発光標識法において、アミノ酸や蛋白質
等の被測定物質と穏和な条件下で結合することができ、
しかも高い特異性を有しながら十分な結合力を有するよ
うな標識化合物を見出し、これを利用して安定に精度良
く被測定物質を検出する方法の提供が要望されていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決のために、まず、標識基として、従来利用されてい
るアミノ基に代え、アミノ酸や蛋白質等に一般にはあま
り含まれないが、良好な反応性を有するSH基を利用す
ることに思い至った。 そして、このSH基を標識基と
して使用しうる化合物として、マレイミド基を導入した
アクリジニウム化合物を見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は一般式(I)
【化21】 [式中、X- はアニオン、Rは炭素数1〜6のアルキル
基またはアリール基を示し、Qは基 −S+RX-− 、基
−N+RR1-− (ここで、R1は炭素数1から6のア
ルキル基またはアリール基を示す)、
【化22】 (ここで、R2およびR3は同一または異なって、それぞ
れ基−(CH2k−(kは1〜3の数を意味する)を示
す)または基 −O−(CH2CH2O−)l− (lは1
〜3の数)を示し、mは0〜2の数を、nは1〜2の数
を意味する]で表されるアクリジン誘導体、その製法お
よびこれを用いた標識法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の化合物(I)の具体例と
しては、例えば、以下の式で表される化合物が挙げられ
る。
【化23】
【0011】本発明の一般式(I)で表される化合物
は、例えば、次の反応式に従い、一般式(II)で表され
る化合物(以下、「中間体(II)」という)に、常法に
従いアルキル化剤を反応させることにより得られる。
【0012】
【化24】 [式中、Q'は基 −S−、基 −NR1− (ここで、R1
は炭素数1から6のアルキル基を示す)、
【化25】 (ここで、R2およびR3は同一または異なって、それぞ
れ基−(CH2k−(kは1〜3の数を意味する)を示
す)または基 −O(CH2CH2O)l− (lは1〜3
の数)を示し、Q、R、X-、mおよびnは前記した意
味を有する]
【0013】この反応において使用されるアルキル化剤
(R−X)としては、例えばヨウ化メチル、臭化エチル
やヨウ化エチル等のアルキルハライド、トリフルオロメ
タンスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸メチル、メ
タンスルホン酸メチルやp−トルエンスルホン酸メチル
等が挙げられる。 従って、前記した式(I)中のX-
-、Br-等のハロゲンイオン、CF3SO3 -、FSO3
-、CH3SO3 -やp−CH364SO3 -が最も代表的
であり、またRはメチル、エチル等の炭素数1から6の
アルキル基またはアリール基である。 また、この反応
において用いる溶媒としては、例えばエーテル、トルエ
ン、アセトニトリル等が例示される。
【0014】また、化合物(I)を製造するための原料
である、 中間体(II)の具体例としては、例えば以下
の式で表される化合物が挙げられる。
【化26】
【0015】この中間体(II)は、次の方法に何れかに
より製造することができる。 (i) 次の反応式に従い、脱離基を有するフェノール化
合物(IV)と9−アクリジンカルボン酸の反応性誘導体
(V)とを反応させ、末端に脱離基を有するアクリジン
エステル誘導体(VI)を製造した後、これに末端に必要
に応じ保護基で保護した一級アミノ基を有しかつ他端に
一級または二級のアミノ基を有するポリアミン(VII)
を適当な塩基のもとで反応させ、末端に必要に応じ保護
基で保護した一級アミノ基を有するアクリジンエステル
(VIII)を製造し、末端の一級アミノ基の保護基が存在
する場合は、その保護基をはずした後、無水マレイン酸
(IX)と該一級アミノ基とを反応させマレイミド基とし
て化合物(IIa)を得る。
【0016】
【化27】 (式中、Raはそれぞれ水素原子またはアミノ保護基を
示し、Y1およびY2は脱離基を、Q1は基 −NR1− ま
たは基
【化28】 を示し、R1、R2およびR3は前記した意味を有する)
【0017】(ii) 次の反応式に従い、末端に保護基
で保護された一級アミノ基がついたチオエーテルまたは
ポリエーテルを有するフェノール誘導体(X)とアクリ
ジンカルボン酸ハライド(V)とを反応させてアクリジ
ニウムエステル(XI)を製造し、次いで、末端にあるア
ミノ基の脱保護を行った後、無水マレイン酸(IX)を末
端の一級アミノ基に反応させマレイミド基として化合物
(IIb)を得る。
【0018】
【化29】 (式中、Q2は基 −S− または基 −O(CH2CH
2O)l− を示し、RaおよびY2は前記した意味を有す
る)
【0019】方法(i)の、脱離基を有するフェノール
化合物(IV)のフェノール化合物の例としては、4−
(トシルオキシメチル)フェノール、4−(3−クロロ
プロピル)フェノール、4−(2−トシルオキシエチ
ル)フェノール等が挙げられ、その脱離基としては、ト
シルオキシ基、メシルオキシ基、ハロゲン原子(Cl、
Br、I)が例示される。 また、9−アクリジンカル
ボン酸の反応性誘導体(V)としては、クロリド、ブロ
ミド等の酸ハライド、酸無水物、活性酸エステル等が例
示される。 更に、ポリアミン(VII)としては、N−
(2−アミノエチル)ピペラジン、1,3−ジアミノプ
ロパン、4−(アミノメチル)ピペリジン等が挙げら
れ、その保護基としては、t−ブトキシカルボニル(B
oc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フタル
イミド等が例示される。 更にまた、化合物(IV)と
(V)の反応および化合物(VI)と(VII)の反応に用い
られる塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等が
例示される。 なお、この反応においては、溶媒として
塩化メチレン、クロロホルム(CHCl3)、エーテ
ル、トルエン、ピリジン等が挙げられる。
【0020】また、化合物(VII)からの一級アミノ基
の保護基の除去を行う場合は、常法に従い、酸、接触還
元条件または塩基を用いて無溶媒または適当な溶媒中で
行うことができる。用いる酸としては、例えば三フッ化
ホウ素(BF3)、トリフルオロ酢酸、塩酸等が挙げら
れ、接触還元の溶媒としては、パラジウム−炭素、パラ
ジウム黒、白金黒等が挙げられ、塩基としてはヒドラジ
ン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等とが挙げられ
る。 溶媒としては、例えばエーテル、1,4−ジオキサ
ン、メタノール、エタノール、水、アセトニトリル、酢
酸等が挙げられる。
【0021】更に、必要により保護基を除去した化合物
(VIII)の一級アミノ基のマレイミド化は、無水マレイ
ン酸と塩基の存在下、溶媒中で加熱して反応させること
により行うことができる。 用いる塩基としては、例え
ば酢酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、また溶
媒としては、例えば酢酸、プロピオン酸等が挙げられ
る。
【0022】一方、方法(ii)の、末端アミノ基を有す
るチオエーテルまたはポリエーテル構造を有する基を持
つフェノール誘導体(IX)のうち、チオエーテルを有す
るフェノール誘導体の例としては、4−(2−アミノエ
チルチオ)フェノール、4−(3−アミノプロピルチ
オ)フェノール等が、また、ポリエーテル構造を有する
フェノール誘導体の例としては、4−[3−(2−アミ
ノエトキシ)プロピルオキシ]フェノール、4−[2−
(2−アミノエトキシ)エトキシ]フェノール等がそれ
ぞれ挙げられ、これらのアミノ保護基としては、Bo
c、Cbz、フタルイミド等が挙げられる。 また用い
られる塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等が
挙げられ、溶媒としては塩化メチレン、エーテル、トル
エン、ピリジン等が挙げられる。
【0023】1級のアミノ基の保護の除去およびマレイ
ミド化は、(i)の方法で説明したのと同様にして行う
ことができる。
【0024】次に、本発明の化合物(I)を、アミノ酸
または蛋白質中のSH基に反応させ、これら物質を標識
する方法について説明する。
【0025】例えば、本発明の化合物(I)により抗体
を標識する場合には、まず、抗体をペプシン消化してF
(ab')2を得、これを穏和な条件下で還元してFa
b'を調製する。 次いで、溶液中でこのFab'のSH
基に本発明化合物(I)のマレイミド基を反応させ、標
識することができる。
【0026】Fab'と本発明化合物(I)の反応は、反
応溶液中の溶存酵素によるSH基の酸化を1〜5mM程
度のEDTAにより保護しつつ、pH5〜7、好ましく
は、pH6〜6.5の水溶液中で、温度1〜37℃、好
ましくは、4〜10℃で、10分から72時間、好まし
くは、48時間程度、Fab'と本発明の化合物(I)と
をモル比1:1〜10で反応させればよい。
【0027】化合物(I)による標識は、一般に水系媒
体中、pH7以下で行うことができるが、もし被標識物
質が水に難溶または不溶の場合には、以下の方法で標識
を行うことができる。 すなわち、被標識物質を水と良
く混じり合う不活性な少量の溶媒(以下、「不活性な溶
媒」という)で溶解した液に水を加え、被標識物質の水
系溶液とし、その液に化合物(I)の水系溶液を混和
し、pH7以下でSH基とマレイミド基の反応を行えば
よい。 この反応は、本発明の化合物(I)のマレイミド
基の不飽和結合に対して被標識物質が求核付加すること
により進むため、被標識物質にSH基のほかにアミノ基
が存在する場合でも、pH7以下で反応を行うためにこ
のアミノ基の求核性が抑えられ、アミノ基との反応生成
物は作らない点で、本発明の化合物はSH基に選択的な
試薬として使うことができる。
【0028】ここで、標識に用いる不活性な溶媒として
は、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,4
−ジオキサンあるいはピリジン等が挙げられる。
【0029】この標識後、ゲルクロマトグラフ法、イオ
ン交換クロマトグラフ法、アフィニティークロマトグラ
フ法、高速液体クロマトグラフ法等の分離手法により、
被標識体を単離することができる。 すなわち、以上の
方法により、モル比一定の標識が可能である。
【0030】また、被標識物質がSH基を有しない場合
は、例えば被標識物質の水酸基やアミノ基等に対し、S
−アセチルメルカプトこはく酸無水物等を用いて穏和な
条件下でSH基を導入し、本発明の標識法を適用するこ
とができる。 この場合、導入されたSH基の定量によ
り、被標識物質とSH基とのモル比を見積もることがで
きる。 したがって、本発明の標識法において利用でき
る被測定物質としては、SH基を有するか、あるいはS
H基を導入できる物質であれば何でもよく、アミノ酸等
の低分子にも、上記同様、穏和な条件により本発明の化
合物(I)を標識することができる。
【0031】斯くして得られた被標識物質は、公知のア
クリジニウムエステルの発光条件、例えば、アルカリ性
条件下、H22等の添加により化学発光させ、この発光
を化学発光検出器により検出することにより、その存在
を知ることができ、またその化学発光量から、被標識物
質の量を知ることができ、微少量の検出が必要な、医薬
品の体内動態の追跡および診断薬等の各種分野で定性分
析や定量分析に応用することができる。
【0032】次に、本発明の化合物(I)を利用した標
識法の具体的応用例について説明する。本発明の標識法
の応用としては、例えば、いわゆるケミルミネッセント
イムノアッセイサンドイッチ法におけるように、試料中
の被測定物質と、担体に結合させておいた被測定物質と
特異的に結合する物質との結合反応により被測定物質を
捕捉後、この被測定物質に対し別途特異的に結合する物
質を本発明の化合物(I)で標識したものとを結合さ
せ、この発光強度を測定することによる被測定物質の測
定法が挙げられる。
【0033】また、いわゆるケミルミネッセントイムノ
アッセイ競合法におけるように、被測定物質を本発明の
化合物(I)で標識し、これを予め一定濃度で添加し、
試料中の被測定物質と標識された被測定物質のいずれに
も特異的に結合する物質に対してこれらの被測定物質同
士が拮抗的に結合する反応を利用し、この発光強度を測
定することによる被測定物質の測定法が挙げられる。こ
れらの場合、特異的に結合する物質の組合せの例として
は、抗原と抗体、核酸と相補的配列、エフェクター分子
とレセプター分子、酵素とインヒビター、アビジンとビ
オチン、糖鎖を有する物質と対応するレクチン等が挙げ
られる。
【0034】また別の応用としては、例えば、いわゆる
ポストカラム高速液体クロマトグラフ法におけるよう
に、被測定物質を本発明の化合物(I)で標識し、前記
のクロマトグラフ法等の分離手法により単離し、化学発
光検出器により、被測定物質を測定する方法が挙げられ
る。
【0035】以上説明した標識法において、本発明の化
合物(I)により、従来知られたアクリジニウムエステ
ルが有していた欠点である、標識された被測定物質の不
溶化、生物活性に必要なアミノ基まで標識により失活さ
せる恐れや、一定の結合モル比で結合させにくく、結合
反応に再現性を得ることが容易でなく、結合反応条件下
で既に発光や分解が生じること等の各種問題を克服でき
る。
【0036】更に、本発明の応用の別の例としては、以
下の方法も挙げられる。 すなわち、まず、本発明化合
物(I)合成のためにも利用される化合物(II)を、予
めSH基を有する被測定物質に反応させて結合(以下、
「前標識」という)させる。次いで、適当なN−アルキ
ル化剤を反応させ、更にアルカリ性条件下、H22等適
当な化学発光剤を作用させ、この化学発光を化学発光検
出器により検出し、被測定物質を測定する方法が挙げら
れる。
【0037】一般式(II)で表されるアクリジンエステ
ルは、その末端のマレイミド基がSH基に対し結合活性
があり、しかも安定な化合物として単離可能であるた
め、予めSH基を有する物質と結合させることができ
る。
【0038】上記の化合物(II)による被測定物質の前
標識反応における結合方法、得られた前標識体の分離方
法等は、化合物(I)についての方法とほぼ同様にして
行うことができる。
【0039】上記の前標識体は、更に、N−アルキル化
剤と適当な溶媒中で反応させることにより、アクリジニ
ウムエステル標識体とすることができる。 使用される
N−アルキル化剤としては、例えばヨウ化メチル、ヨウ
化エチル、臭化エチル等のハロゲン化アルキル、トリフ
ルオロメタンスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸メ
チル、メタンスルホン酸メチルやp−トルエンスルホン
酸メチル等が挙げられる。 また、用いる溶媒として
は、例えば上記の前標識反応に用いられた溶媒のほか、
テトラヒドロフラン、アセトニトリル等が挙げられる。
【0040】この反応後用いた溶媒中より、結晶として
析出する場合はアクリジニウムエステル標識体を濾取し
て単離することができるし、析出してこない場合は、カ
ラムクロマトグラフ法を用い単離することができる。
【0041】化合物(II)による前標識反応後、更にN
−アルキル化で標識された被測定物質の化学発光や、そ
の利用等も化合物(I)について説明したのと同様であ
る。
【0042】なお、化合物(II)を用いる標識方法は、
結合後、N−アルキル化で標識するということから見
て、SH基以外のアルキル化剤に活性な基がある被測定
物質には適さず、この場合にはこれらの活性な基を適当
な保護基で保護する等の手段を採る必要性がある。
【0043】
【発明の効果】本発明の化合物(I)または(II)によ
る被測定物質の標識は、SH基とマレイミド基の安定な
結合であって、穏和な条件下で行われるものである。
そして、穏和な条件で標識が行われる結果、例えば標識
された抗体等の抗原認識部位は損なわれることなく、ま
た、アクリジンエステルが発光して消耗することや、分
解失活することもない。
【0044】また、本発明の標識法では、アミノ酸や蛋
白質中では、比較的少ない基であるSH基を使用するた
めに、被測定物質に対し特異的な標識をすることがで
き、ひいては被測定物質と化学発光物質と一定の結合モ
ル比での結合が得られる。
【0045】従って、化学発光量から、被測定物質の定
性や定量が容易にでき、とりわけ、微少量の検出が必要
な診断薬の分野に応用することができる。
【0046】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例等になんら制約され
るものではない。
【0047】実 施 例 1 4−(2−トシルオキシエチル)フェノール(1)の合
成:3.2gの4−ヒドロキシフェネチルアルコールを
50mlのピリジンに溶かし、氷冷下4.0gのトシル
クロリドを少量ずつ添加した。 室温に戻し2時間撹拌
後、不溶物を濾去し、ピリジンを減圧留去した。 残渣
をシリカゲルカラムクロマト(溶離液:CHCl3)に
て単離精製し、(1)を3.4g得た(収率 59%)。
【0048】実 施 例 2 9−アクリジンカルボン酸クロリド(2)の合成:9−
アクリジンカルボン酸 2.2gに塩化チオニル 20m
lを加え、5時間加熱還流した。 塩化チオニルを減圧
留去した後、更に塩化メチレン 20mlを加え、減圧
留去を2回繰り返し、(2)を2.4g得た(収率 定量
的)。
【0049】実 施 例 3 4−(2−トシルオキシエチル)フェニル 9−アクリ
ジルカルボキシレート(3)の合成:実施例2で得た
(2) 2.4gを30mlのピリジンに溶かし、水冷撹
拌下実施例1で得た(1) 2.9gを少量ずつ添加し、
室温で2時間撹拌した後、ピリジンを減圧留去した。
更にCHCl3を加え、減圧留去を2回行なった。 残渣
をシリカゲルカラムクロマト(溶離液:CHCl3)に
て単離精製し、(3)を2.7g得た(収率 54%)。
【0050】実 施 例 4 4−[2−(4−アミノメチルピペリジン−1−イル)
エチル]フェニル9−アクリジンカルボキシレート
(4)の合成:実施例3で得た(3) 2.9gを30m
lのDMFに溶かし、0.59gの4−アミノメチルピ
リジンを加えた。 室温で撹拌し、氷冷下0.60gのt
−BuOKを加え、室温で5時間撹拌した。 DMFを
減圧留去し、残渣をCHCl3に溶かし、水洗した後、
無水硫酸マグネシウム(MgSO4)にて乾燥させ、溶
媒を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマト
(溶離液:CHCl3:MeOH=7:3)にて単離精
製し、(4)を0.41g得た(収率 18%)。
【0051】実 施 例 5 4−[2−[4−[(マレイミド−1−イル)メチル]
ピペリジン−1−イル]エチル]フェニル 9−アクリ
ジンカルボキシレート(5)の合成:実施例4で得た
(4) 0.41g、無水マレイン酸 0.30gおよび酢
酸ナトリウム 0.30gを酢酸 20ml中に加え、3
時間加熱還流した。 次いで、酢酸を減圧留去し、水を
加え、CHCl3にて抽出した。 MgSO4で乾燥さ
せ、CHCl3を減圧留去した。 残渣をシリカゲルカラ
ムクロマト(溶離液:CHCl3)にて精製し、(5)
を0.22g得た(収率 43%)。 この物質の分析値
を下記する。
【0052】NMR(CDCl3)δ:8.3(m,4
H), 8.0−7.6(m,4H), 7.3(s−lik
e,4H), 6.7(s,2H), 3.4(d,J=7,2
H), 3.1−2.5(m,6H), 2.2−1.5(m,7
H) MASS(FAB):520(M+1)
【0053】実 施 例 6 4−[2−[4−(マレイミド−1−イル)メチル−1
−メチルピペリジニウム−1−イル]エチル]フェニル
10−メチルアクリジニウム−9−カルボキシレート
(6)の合成:実施例5で得た(5) 0.22gを20
mlのトルエンに溶かし、室温撹拌下、0.30gのト
リフルオロメタンスルホン酸メチルを加え、室温で1時
間撹拌した後、一晩放置した。 赤色析出物を濾取し、
トルエンで洗浄後、風乾し、(6)を30mg得た(収
率 9.2%)。この物質の分析値を下記する。
【0054】NMR(DMSO−d6)δ:8.8−8.
0(m,8H), 7.5(s−like,4H), 6.8
(s,2H), 5.1(s,3H), 3.3(s,3H),
3.7−3.0(m,10H),2.0−1.6(m,5H) MASS(FAB):550(M+1)
【0055】実 施 例 7 4−(2−アミノエチルチオ)フェノール(7)の合
成:4−メルカプトフェノール 1.2g、2−ブロモエ
チルアミン塩酸塩 2.1gおよび炭酸カリウム 1.4g
を30mlのエタノールに加え、3時間室温で撹拌し
た。 水を加え、エーテル抽出した。 MgSO4にて乾
燥させ、エーテルを減圧留去し、(7)を1.7g得た
(収率 定量的)。
【0056】実 施 例 8 4−(2−N−Bocアミノエチルチオ)フェノール
(8)の合成:実施例7で得た(7) 1.7gを30m
lのアセトニトリルに溶かし、無水Boc 2.4gを加
え、1時間撹拌した。 溶媒を減圧留去後、ピリジンを
加え、減圧留去し、(8)を2.7g得た(収率 定量
的)。
【0057】実 施 例 9 4−(2−N−Bocアミノエチルチオ)フェニル 9
−アクリジンカルボキシレート(9)の合成:実施例2
で得た(2) 2.4gを30mlのピリジンに溶かし、
水冷撹拌下、実施例8で得た(8) 2.7gを少量ずつ
添加した。 室温で2時間撹拌した後、ピリジンを減圧
留去した。 更にCHCl3を加え、減圧留去を2回行な
った。残渣をシリカゲルカラムクロマト(溶離液:CH
Cl3)にて単離精製し、(9)を3.2g得た(収率
68%)。
【0058】実 施 例 10 4−(2−アミノエチルチオ)フェニル 9−アクリジ
ンカルボキシレート(10)の合成:実施例9で得た
(9)1.9gに、20mlのCF3CO2Hを加え、室
温で30分撹拌した。 CF3CO2Hを減圧留去し、
(10)を1.4g得た(収率 定量的)。
【0059】実 施 例 11 4−[2−(マレイミド−1−イル)エチルチオ]フェ
ニル 9−アクリジンカルボキシレート(11)の合
成:実施例10で得た(10) 1.4g、無水マレイン
酸 1.0gおよび酢酸ナトリウム 1.0gを酢酸 20
ml中に加え、3時間加熱還流した。 次いで酢酸を減
圧留去し、水を加えCHCl3にて抽出した。 MgSO
4で乾燥させ、CHCl3を減圧留去した。 残渣をシリ
カゲルカラムクロマト(溶離液:CHCl3)にて精製
し、(11)を1.1g得た(収率 63%)。 この物
質の分析値を下記する。
【0060】NMR(CDCl3)δ:8.3(m,4
H), 8.0−7.6(m,4H), 7.3(s−lik
e,4H), 6.7(s,2H), 3.8(t,J=7,2H
z), 3.2(t,J=7,2H) MASS(FAB):455(M+1)
【0061】実 施 例 12 4−[2−(マレイミド−1−イル)エチル]メチル
スルホニウム]フェニル 10−メチルアクリジニウム
−9−カルボキシレート(12)の合成: 実施例11で得た(11) 0.90gを20mlのトル
エンに溶かし、室温攪拌下、1.0gのトリフルオロメ
タンスルホン酸メチルを加え、室温で1時間攪拌した
後、一晩放置した。 赤色析出物を濾取し、トルエンで
洗浄後、風乾し、(12)を1.1gを得た(収率 71
%)。 この物質の分析値を下記する。
【0062】NMR(DMSO−d6 )δ:9.0−8.
0(m,8H), 7.6(d,J=7,2H), 7.4(d,
J=7,2H), 6.7(s,2H), 5.1(s,3H),
3.8(t,J=7,2H), 3.7(s,3H), 3.2
(t,J=7,2H) MASS(FAB):467(M+1)
【0063】実 施 例 13 2−(2−N−Boc−アミノエトキシ)エタノール
(13)の合成:2−アミノエトキシエタノール 2.1
gを30mlのアセトニトリルに溶かし、無水Boc
4.8gを加え、1時間撹拌した。 溶媒を減圧留去後、
ピリジンを加え、減圧留去し、(13)を3.7g得た
(収率 定量的)。
【0064】実 施 例 14 2−(2−トシルオキシエトキシ)−N−Bocエチル
アミン(14)の合成:実施例13で得た(13) 3.
7gを50mlのピリジンに溶かし、氷冷撹拌下、4.
0gのトシルクロリドを少量ずつ添加した。 室温に戻
し2時間撹拌した。 不溶物を濾去し、ピリジンを減圧
留去した。 残渣をシリカゲルカラムクロマト(溶離
液:CHCl3)にて単離精製し、(14)を5.5g得
た(収率 76%)。
【0065】実 施 例 15 4−[2−(2−N−Bocアミノエトキシ)エトキ
シ]フェニルベンジルエーテル(15)の合成:p−ベ
ンジルオキシフェノール 2.0gを30mlのDMFに
溶かし、t−BuOK 1.2gを加え、室温で30分撹
拌した後、実施例14で得た(14)3.9gを加え、
3時間室温で撹拌した。 DMFを減圧留去した後、エ
ーテルに溶かし、希塩酸で1回、水で2回、飽和食塩水
で1回洗浄した。 MgSO4にて乾燥させた後、エーテ
ルを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマト(溶
離液:CHCl3)にて精製し、(15)を3.2g得た
(収率 83%)。
【0066】実 施 例 16 4−[2−(2−N−Bocアミノエトキシ)エトキ
シ]フェノール(16)の合成:実施例15で得た(1
5) 3.0gを40mlの酢酸に溶かし、2.0gのパ
ラジウム黒を加え、水素雰囲気下、室温で2時間撹拌し
た。 パラジウムを濾去し、濾液を減圧留去した。 残渣
をシリカゲルカラムクロマト(溶離液:CHCl3:M
eOH=9:1)にて単離精製し、(16)を2.4g
得た(収率 定量的)。
【0067】実 施 例 17 4−[2−(2−N−Bocアミノエトキシ)エトキ
シ]フェニル 9−アクリジンカルボキシレート(1
7)の合成:実施例2で得た(2) 2.4gを30ml
のピリジンに溶かし、水冷撹拌下、実施例16で得た
(16) 2.0gを少量ずつ添加し、室温で2時間撹拌
した後、ピリジンを減圧留去した。 更にCHCl3を加
え減圧留去を2回行なった後、残渣をシリカゲルカラム
クロマト(溶離液:CHCl3)にて単離精製し、(1
7)を2.1g得た(収率 47%)。
【0068】実 施 例 18 4−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]フェニル
9−アクリジンカルボキシレート(18)の合成:実
施例17で得た(17) 2.1gに20mlのCF3
2Hを加え、室温で30分撹拌した。 CF3CO2Hを
減圧留去し、水を加え、NaHCO3にて中和し析出物
を濾取した。 濾取物をシリカゲルカラムクロマト(溶
離液:CHCl3 :MeOH=9:1)にて単離精製
し、(18)を1.7g得た(収率 定量的)。
【0069】実 施 例 19 4−[2−[2−(マレイミド−1−イル)エトキシ]
エトキシ]フェニル 9−アクリジンカルボキシレート
(19)の合成:実施例18で得た(18) 1.7g、
無水マレイン酸 1.2gおよび酢酸ナトリウム 1.2g
を酢酸 40ml中に加え、3時間加熱還流した。 冷
後、酢酸を減圧留去し、水を加えCHCl3にて抽出し
た。 MgSO4で乾燥させ、CHCl3を減圧留去し
た。 残渣をシリカゲルカラムクロマト(溶離液:CH
Cl3)にて精製し、(19)を0.81g得た(収率
42%)。 この物質の分析値を下記する。
【0070】NMR(CDCl3)δ:8.3(m,8
H), 7.4−7.0(m,4H), 6.8(s,2H),
4.2(m,2H), 3.9(m,2H), 3.8(s−l
ike,4H) MASS(FAB):483(M+1)
【0071】実 施 例 20 4−[2−[2−(マレイミド−1−イル)エトキシ]
エトキシ]フェニル 10−メチルアクリジニウム−9
−カルボキシレート(20)の合成:実施例19で得た
(19) 0.81gを50mlのトルエンに溶かし、室
温撹拌下、0.60gのトリフルオロメタンスルホン酸
メチルを加え、室温で1時間撹拌した後、一晩放置し
た。黄色析出物を濾取しトルエンで洗浄後風乾し、(2
0)を0.39g得た(収率 37%)。 この物質の分
析値を下記する。
【0072】NMR(DMSO−d6)δ:9.0−8.
0(m,8H), 7.4(d,J=7,2H), 7.1(d,
J=7,2H), 6.8(s,2H), 5.1(s,3H),
4.2(m,2H), 3.9(m,2H), 3.8(s−l
ike,4H) MASS(FAB):497(M+1)
【0073】実 施 例 21 抗ヒトヘモグロビン抗体の標識:0.1M NaClを含
む、0.1M 酢酸ソーダ緩衝液(pH4.5) 3ml中
に精製抗ヒトヘモグロビンウサギポリクローナル抗体
10mgを加えた溶液へ、ブタ胃液由来精製ペプシン粉
末 0.4gを添加溶解し、37℃で48時間インキュベ
ートし、ウサギIgGのFc部分を消化した。 これ
を、溶離液として5mM EDTAを含む、0.1M リ
ン酸ソーダ緩衝液(pH6)[以下pH6緩衝液と略
す]と、スーパーデックス200カラム(ファルマシア
製)とを用いるゲル濾過により分画し、pH6緩衝液
3ml中にF(ab')2 5mgを得た。
【0074】そこへ、2−メルカプトエチルアミン 2
4mgを添加し、37℃で24時間インキュベートし、
F(ab')2をFab'に還元した。 次いで、セファデ
ックスG25カラム(ファルマシア製、溶離液pH6緩
衝液)によりゲル濾過し、pH6緩衝液 3ml中にF
ab' 2mgを得た。 この一部分を、4,4'−ジチオ
ピリジンと反応させ、Fab'のSH基と4,4'−ジチ
オピリジンの定量的反応の結果生じる4−メルカプトピ
リジンの量を波長324nmで吸光度測定し、SH基の
定量を実施した。 この結果、Fab'1分子当たりSH
基は1個であった。
【0075】次いで、Fab' 0.5mgを含むpH6
緩衝液 0.75mlに、実施例6で合成された化合物
(6) 0.04mgを含むpH6緩衝液 0.5mlを加
えた。すなわち、Fab'と化合物(6)の結合反応の
モル比が1対5となるように加え、4℃で48時間イン
キュベートし、Fab'を化合物(6)で標識し、反応
後、セファデックスG25カラム(ファルマシア製、溶
離液pH6緩衝液)によりゲル濾過し過剰に加えられた
化合物(6)を分離してpH6緩衝液 3ml中に標識
抗体 0.5mgを得た(標識抗体A)。 これを、Fa
b'のE280および化合物(6)のE260モル吸光係数よ
り定量したところ、得られた標識抗体AはFab'と化
合物(6)とが1対1のモル比で結合していた。
【0076】同様にして、Fab' 0.5mgを含むp
H6緩衝液 0.75mlに、実施例12で合成された化
合物(12) 0.04mgを含むpH6緩衝液 0.5m
lを加えて反応後ゲル濾過し、pH6緩衝液 3ml中
に標識抗体 0.5mgを得た(標識抗体B)。 また同
様にして、Fab' 0.5mgを含むpH6緩衝液 0.
75mlに、実施例20で合成された化合物(20)
0.03mgを含むpH6緩衝液 0.5mlを加えて反
応後ゲル濾過し、pH6緩衝液 3ml中に標識抗体0.
5mgを得た(標識抗体C)。 得られた標識抗体Bお
よび標識抗体Cはともに、それぞれFab'と化合物
(12)およびFab'と化合物(20)とが1対1の
モル比で結合していた。
【0077】実 施 例 22 標識抗体によるヒトヘモグロビンのアッセイ:0.15
M NaClを含む、pH7の0.05M リン酸緩衝液
(以下PBSと略す) 0.1ml中に、精製抗ヒトヘモ
グロビンマウスモノクローナル抗体 5μgを含む液を
調製した。 この液をマイクロプレートの各ウエルに0.
1mlずつ分注し、4℃で一昼夜放置してこのモノクロ
ーナル抗体をウエル内部表面に吸着させ固相化した。
【0078】この抗体固相化プレートを、ウシ血清アル
ブミン 1mgを含むPBS 0.1mlにてブロッキン
グ処理した。 別途、精製ヒトヘモグロビンをそれぞれ
0、0.2、1、5、25および125μg/mlとな
るようにPBSにて溶解しておき、これらのそれぞれ
0.1mlを前記マイクロプレートの各ウエルに分注
し、4℃で一昼夜放置して試料中のヒトヘモグロビンを
固相化抗体に捕捉させた。
【0079】次いで、各ウエルをPBSで洗浄し、結合
しなかったヒトヘモグロビンを分離後、実施例21で作
成した標識抗体A 5μgをそれぞれ含むPBS 0.1
mlを各ウエルに分注し、4℃で一昼夜放置して反応さ
せた。 各ウエルをPBSで洗浄し、結合しなかった標
識抗体Aを分離後、0.1N−NaOH 0.05mlお
よび0.5%H22 0.04mlを加えることで発光さ
せ、化学発光測定用マイクロプレートリーダーの一種で
あるルミナスCT−9000D(ダイアヤトロン製)に
より測定した。 発光量は2秒間の積算値とした。同様
にして、標識抗体Bによるヒトヘモグロビンのアッセイ
および標識抗体Cによるヒトヘモグロビンのアッセイを
実施した。 以上の結果をまとめて表1に示す。
【0080】
【0081】この表のごとく、ヒトヘモグロビン濃度に
応じて、標識抗体A、標識抗体Bおよび標識抗体Cに由
来する化学発光量は、いずれも増大し、ヒトヘモグロビ
ンの定量に有用であることを示している。 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/532 G01N 33/532 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 401/12 C07D 401/14 C09B 15/00 C09K 11/07 G01N 21/78 G01N 33/532 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 [式中、Qは基 −S+RX-− 、基 −N+RR1-
    (ここで、R1は炭素数1から6のアルキル基またはア
    リール基を示す)、 【化2】 (ここで、R2およびR3は同一または異なって、それぞ
    れ基−(CH2k−(kは1〜3の数を意味する)を示
    す)または基 −O−(CH2CH2O)l− (lは1〜
    3の数)を示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基または
    アリール基を、X-はアニオンを示し、mは0〜2の数
    を、nは1〜2の数を意味する]で表されるアクリジン
    誘導体。
  2. 【請求項2】 上記一般式(I)で表されるアクリジン
    誘導体の中間体である下記一般式(II) 【化3】 [式中、Q'は基 −S−、基 −NR1− (ここで、R1
    は炭素数1から6のアルキル基を示す)、 【化4】 (ここで、R2およびR3は同一または異なって、それぞ
    れ基−(CH2k−(kは1〜3の数を意味する)を示
    す)または基 −O(CH2CH2O)l− (lは1〜3
    の数)を示し、mは0〜2の数、nは1〜2の数を意味
    する]で表されるアクリジン誘導体。
  3. 【請求項3】 次の式(II) 【化5】 [式中、Q'は基 −S−、基 −NR1− (ここで、R1
    は炭素数1から6のアルキル基を示す)、 【化6】 (ここで、R2およびR3は同一または異なって、それぞ
    れ基−(CH2k−(kは1〜3の数を意味する)を示
    す)または基 −O(CH2CH2O)l− (lは1〜3
    の数)を示し、mは0〜2の数、nは1〜2の数を意味
    する]で表されるアクリジン誘導体に、次の式(III) 【化7】 (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはアリール
    基を、Xは容易にアニオンとなる脱離基を示す)で表さ
    れるアルキル化剤を作用させることを特徴とする、次の
    式(I) 【化8】 [式中、Qは基 −S+RX-− 、−N+RR1−(ここ
    で、R1は炭素数1から6のアルキル基またはアリール
    基を示す)、 【化9】 (ここで、R2およびR3は同一または異なって、それぞ
    れ基−(CH2k−(kは1〜3の数を意味する)を示
    す)または基 −O−(CH2CH2O)l− (lは1〜
    3の数)を示し、R、X、mおよびnは前記した意味を
    有する]で表されるアクリジン誘導体の製法。
  4. 【請求項4】 次の式(IV) 【化10】 (式中、Y1は脱離基を示し、mは0〜2の数を示す)
    で表される脱離基を有するフェノール化合物と、次の式
    (V) 【化11】 (式中、Y2は脱離基を示す)で表される9−アクリジ
    ンカルボン酸誘導体とを反応させて、次の式(VI) 【化12】 (式中、Y1およびmは前記した意味を有する)で表さ
    れる化合物とし、次いでこの化合物に次の式(VII) 【化13】 [式中、Q1は基 −NR1− (ここで、R1は炭素数1
    から6のアルキル基を示す)または 【化14】 (ここで、R2およびR3は同一または異なって、それぞ
    れ基−(CH2k−(kは1〜3の数を意味する)を示
    す)を示し、Raはそれぞれ水素原子またはアミノ保護
    基を示し、nは1〜2の数を意味する]で表される末端
    に必要に応じ保護基で保護した一級アミノ基を有しかつ
    他端に一級または二級のアミノ基を有するポリアミンと
    を適当な塩基のもとで反応させ、次の式(VIII) 【化15】 (式中、Q1、Ra、mおよびnは前記した意味を有す
    る)で表される9−アクリジンエステルを製造し、末端
    の一級アミノ基の保護基が存在する場合は、その保護基
    をはずした後、無水マレイン酸を作用させることを特徴
    とする次の式(IIa) 【化16】 (式中、Q1、mおよびnは前記した意味を有する)で
    表されるアクリジン誘導体の製法。
  5. 【請求項5】 次の式(X) [式中、Qは基−S−または基−O(CHCH
    O)−(1は1〜3の数)を、Rはそれぞれ水素
    原子またはアミノ保護基を示し、mは0〜2の数、nは
    1〜2の数を意味する]で表される末端に保護基で保護
    された一級アミノ基かついたチオエーテルまたはポリエ
    ーテル構造を有する基を持つフェノール誘導体と、次の
    式(V) (式中、Yは脱離基を示す)で表される9−アクリジ
    ンカルボン酸誘導体とを反応させて次の式(XI) (式中、Q mおよびnは前記した意味を有す
    る)で表されるアクリジンエステルとし、次いで末端に
    あるアミノ基の脱保護を行った後、無水マレイン酸を作
    用させることを特徴とする次の式(IIb) (式中、Q、mおよびnは前記した意味を有する)で
    表されるアクリジン誘導体の製法。
  6. 【請求項6】 請求項第1項記載の一般式(I)で表さ
    れるアクリジン誘導体を、SH基を有する被測定物質に
    反応させることを特徴とする該物質の標識法。
  7. 【請求項7】 請求項第2項記載の一般式(II)で表さ
    れるアクリジン誘導体を、SH基を有する被測定物質に
    反応させることを特徴とする該物質の前標識法。
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