JP3172882U - 助勢引き戸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非力な利用者の負担を大幅に軽減できる助勢引き戸装置を提供する。
【解決手段】助勢引き戸装置は、開口枠の上縁および/または下縁に設けられたレールに沿って開扉動または閉扉動する引き戸と、引き戸の開扉動または閉扉動を助勢する助勢手段とを備える。引き戸は、開口枠を塞ぎ得る対向した一対の外層103、104と、外層間に形成された内層102とからなり、内層は、中空、中空セルまたは発泡体等からなる。この内層の好例は、ハニカム構造体を構成するコア層である。
【選択図】図7
【解決手段】助勢引き戸装置は、開口枠の上縁および/または下縁に設けられたレールに沿って開扉動または閉扉動する引き戸と、引き戸の開扉動または閉扉動を助勢する助勢手段とを備える。引き戸は、開口枠を塞ぎ得る対向した一対の外層103、104と、外層間に形成された内層102とからなり、内層は、中空、中空セルまたは発泡体等からなる。この内層の好例は、ハニカム構造体を構成するコア層である。
【選択図】図7
Description
本考案は、引き戸に初期動を付与すると、引き戸が助勢されて自動的に開扉または閉扉する助勢引き戸装置に関する。
利用者の利便性向上や負担軽減のために、引き戸の開扉動または閉扉動(両者を併せて単に「開閉動」という。)を助勢する装置(単に「助勢装置」という。)が種々提案されており、例えば下記の特許文献1に「引き戸自閉装置」に関する開示がある。
特許文献1の引き戸自閉装置によれば、電力等を使用せずに、引き戸が自動的に閉扉され得る。このような装置が最も有効な場所は、非力な障害者(患者を含む)や老人等の多い病院や介護施設等である。このような施設の入り口や通路は、ベッドや車椅子等が容易に通行できるように開口面積が大きく設計されており、その開口部に設けられる引き戸も当然に大型となる。
このような大型化した従来の引き戸はかなり重い(質量が大きい)ため、上記のような助勢装置があっても、その開閉動には大きな力が必要であった。特に車椅子の利用者などは、引き戸の開閉動に必要となる大きな力を出し難く、引き戸の開閉動に大きな負担を感じていた。
本考案はこのような事情に鑑みて為されたものであり、大きな引き戸であっても、また非力な老人や障害者等であっても、容易に引き戸を開閉できる助勢引き戸装置を提供することを目的とする。
本考案者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、従来になく軽量な引き戸を助勢装置と組み合わせることを思いつき、この成果を発展させることにより、以降に述べる本考案を完成するに至った。
《助勢引き戸装置》
(1)本考案の助勢引き戸装置は、開口枠の上縁および/または下縁に設けられたレールに沿って開扉動または閉扉動する引き戸と、該引き戸の開扉動または閉扉動を助勢する助勢手段と、を備える助勢引き戸装置であって、前記引き戸は、前記開口枠を塞ぎ得る対向した一対の外層と、該外層間に形成された内層とからなり、該内層は、中空、中空セルまたは発泡体のいずれかからなることを特徴とする。
(1)本考案の助勢引き戸装置は、開口枠の上縁および/または下縁に設けられたレールに沿って開扉動または閉扉動する引き戸と、該引き戸の開扉動または閉扉動を助勢する助勢手段と、を備える助勢引き戸装置であって、前記引き戸は、前記開口枠を塞ぎ得る対向した一対の外層と、該外層間に形成された内層とからなり、該内層は、中空、中空セルまたは発泡体のいずれかからなることを特徴とする。
(2)本考案によれば、少なくとも引き戸の内層を中空、中空セルまたは発泡体のいずれかにより構成したため、引き戸全体の軽量化が図られる。このため、車椅子の利用者のように非力な者にとっても、引き戸の開閉動を助勢する助勢手段との組み合わせにより、引き戸の開閉動が容易となり、引き戸の開閉に伴う負担を大幅に軽減できるようになった。
上述した本考案の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《引き戸》
(1)引き戸は、開口枠を塞ぎ得る対向した一対の外層と、これら外層間に形成された内層とからなる。本考案に係る引き戸は、内層が中空、中空セルまたは発泡体のいずれかからなるため、全体が非常に軽量化される。発泡体は、発泡スチロール、発泡ウレタン等である。中空セルはハニカム等である。
(1)引き戸は、開口枠を塞ぎ得る対向した一対の外層と、これら外層間に形成された内層とからなる。本考案に係る引き戸は、内層が中空、中空セルまたは発泡体のいずれかからなるため、全体が非常に軽量化される。発泡体は、発泡スチロール、発泡ウレタン等である。中空セルはハニカム等である。
引き戸の内層がハニカム構造体からなる場合、引き戸の軽量化のみならず引き戸の高剛性化も図れて好ましい。より具体的にいうと、引き戸の内層は、内部に多角筒状又は円筒状をなす複数のセルが並設されてなるコア層からなり、引き戸の外層は、該コア層の両面側に配設された薄いスキン層からなると好適である。
コア層は、隣接するセル間を連通する連通部を有すると好ましい。これにより、温度等の変化によりセル内の気圧が上昇しても、ハニカム構造体ひいては引き戸の変形が抑制される。またコア層およびスキン層は、熱可塑性樹脂からなるシート材を折り畳んで成形されたものであると、引き戸の低コスト化を図れて好ましい。
引き戸の内層がハニカム構造体からなる場合、その縁部はコア層とスキン層が露出した状態となっていることが多いため、その左縁および/または右縁に枠体が設けてあると好ましい。これにより、引き戸の縁部の見栄えが向上し、また利用者の保護や操作感触の向上を図れる。
引き戸の外層は、合成樹脂製、木製または軽合金製からなると、引き戸の軽量化を図れて好ましい。なお、軽合金とは、アルミニウムまたはその合金、マグネシウムまたはその合金などである。また引き戸は、外層の最表面側に、木目調、花柄等の多様な化粧層を有すると、引き戸による雰囲気や見栄えの向上が図れて好ましい。特に、引き戸が、化粧性に欠ける透明または半透明なハニカム構造体等からなる場合に有効である。
《助勢手段》
助勢手段は、引き戸の開扉動または閉扉動を助勢するものであれば、その構造や種類を問わないが、電力等の動力源が不要で、安定した速度で引き戸の開閉動がなされるものが好ましい。このような助勢手段として、例えば、弾性体(ゼンマイ、バネ等)に蓄積された反発力または弾性エネルギー(単に「反発力等」という。)を利用したものであって、過大な反発力等が作用しないようにしたものが好ましい。具体例として、助勢手段は、収納ケースと、レールと並行に設けられたラックギアに噛合しつつ前記引き戸の開扉動または閉扉動に応じて回動するピニオンギヤと、ピニオンギヤの回動に連動して巻回され得るゼンマイと、ゼンマイの第一端部に係合する係合部を有しピニオンギヤに噛合して回動することによりゼンマイを巻回するゼンマイギアと、ゼンマイの第二端部に係合する係合部を有し該ゼンマイの位置を規制するゼンマイ位置規制部材とからなり、ゼンマイギアの係合部またはゼンマイ位置規制部材の係合部は、前記ゼンマイの第一端部または第二端部と係脱自在となっていると好適である。この助勢手段の場合、ゼンマイの反発力等が過大になると、ゼンマイギアの係合部とゼンマイの第一端部との係合またはゼンマイ位置規制部材の係合部とゼンマイの第二端部との係合が解除される。その結果、引き戸は安定した緩やかな速度で開閉動されるようになる。
助勢手段は、引き戸の開扉動または閉扉動を助勢するものであれば、その構造や種類を問わないが、電力等の動力源が不要で、安定した速度で引き戸の開閉動がなされるものが好ましい。このような助勢手段として、例えば、弾性体(ゼンマイ、バネ等)に蓄積された反発力または弾性エネルギー(単に「反発力等」という。)を利用したものであって、過大な反発力等が作用しないようにしたものが好ましい。具体例として、助勢手段は、収納ケースと、レールと並行に設けられたラックギアに噛合しつつ前記引き戸の開扉動または閉扉動に応じて回動するピニオンギヤと、ピニオンギヤの回動に連動して巻回され得るゼンマイと、ゼンマイの第一端部に係合する係合部を有しピニオンギヤに噛合して回動することによりゼンマイを巻回するゼンマイギアと、ゼンマイの第二端部に係合する係合部を有し該ゼンマイの位置を規制するゼンマイ位置規制部材とからなり、ゼンマイギアの係合部またはゼンマイ位置規制部材の係合部は、前記ゼンマイの第一端部または第二端部と係脱自在となっていると好適である。この助勢手段の場合、ゼンマイの反発力等が過大になると、ゼンマイギアの係合部とゼンマイの第一端部との係合またはゼンマイ位置規制部材の係合部とゼンマイの第二端部との係合が解除される。その結果、引き戸は安定した緩やかな速度で開閉動されるようになる。
またゼンマイに生じる反発力等は、ゼンマイの第二端部に係合するゼンマイ位置規制部材の係合部を移動させることで調整可能である。この調整を容易に行えるようにするために、ゼンマイ位置規制部材としてゼンマイ位置規制ギヤを使用し、このゼンマイ位置規制ギヤに噛合してゼンマイの第二端部の位置を収納ケースの外部から調整できる調整ギヤを設けると好ましい。
また助勢手段の取り付け、点検さらには上述したゼンマイ位置の調整等を容易に行えるように、助勢手段は、引き戸の上方に開放状態のまま取り付けられると好適である。勿論、脱着が容易な化粧カバー等で閉塞可能としておけば、普段の見栄えも良好である。
助勢手段は、開扉動または閉扉動のいずれか一方を助勢するものでもよいが、両方を助勢するものであるとより好ましい。一方向に助勢する少なくとも一対の助勢手段を、左右逆向きに取り付ることにより、低コストで、開扉動および閉扉動の両方の助勢が可能となる。
《その他》
本考案の助勢引き戸装置は、さらに、引き戸の閉扉動を補完して引き戸による閉じ残しを解消する閉扉補完手段を有すると好ましい。このような閉扉補完手段として、公知または周知のドアクローザー、引き込み装置等を利用できる。
本考案の助勢引き戸装置は、さらに、引き戸の閉扉動を補完して引き戸による閉じ残しを解消する閉扉補完手段を有すると好ましい。このような閉扉補完手段として、公知または周知のドアクローザー、引き込み装置等を利用できる。
本考案の助勢引き戸装置は、さらに、引き戸が開扉動または閉扉動を開始する際の初期動をアシストする初期動アシスト手段を備えると好適である。助勢手段を有する引き戸は、停止状態からある程度動き始めると、その後は、自動的に開扉動または開閉動を行い得る。しかし、その初期の開閉動(初期動)は利用者の手動に依ることが多く、その初期動に比較的大きな操作力が必要とされる。上記の初期動アシスト手段を備えると、非力な障害者や老人等であっても、容易に引き戸に初期動を付与できる。このような初期動アシスト手段として、公知または周知の油圧機構、歯車機構、滑車機構等を利用でき、これらを引き戸の周囲や手前に設けるとよい。特に車椅子の乗車者や車椅子を操作する介護者が操作し易いように、初期動アシスト手段は、引き戸の手前側に設けた引きひもや踏み板などにより、操作可能な構造であると好ましい。
本考案の助勢引き戸装置は、さらに、引き戸が開扉動または閉扉動を終了する際の終速を規制する終速規制手段を備えると好適である。前述したような助勢手段を伴う引き戸は、ゼンマイ等の弾性体による付勢力や助勢終了後の惰性により、開口枠の枠縁等へ勢いよく当接する可能性があり、その際、多少なりとも衝撃が発生し得る。上記した終速規制手段を備えると、そのような衝撃が大幅に緩和され、利用者がより安心して負担無く引き戸を開閉動できるようになる。このような終速規制手段として、公知または周知のブレーキ機構を利用できる。前述した閉扉補完手段であるドアクローザー等を、終速規制手段として兼用してもよい。
実施例を挙げて本考案をより具体的に説明する。本考案の一実施例である助勢引き戸装置Dの概略を図1および図2に示した。また本実施例に係るギヤボックス5(助勢手段)の概要を図3〜6に、本実施例に係る引き戸100の詳細および各種形態を図7〜11にそれぞれ示した。
《助勢手段》
助勢引き戸装置Dは、引き戸100の上部に、ローラ支持部材2を介して取付けられる左右一対のローラ3と、各ローラ支持部材2間に連結される連結プレート4に取付けられるギヤボックス5を備えている。引き戸100の背面側には略コの字型レール6を支持するレール支持部材7が設けられ、引き戸100の正面(前面)側にはローラ3やギヤボックス5等の部品を外観から隠すためのカバー部材8が設けられている。
助勢引き戸装置Dは、引き戸100の上部に、ローラ支持部材2を介して取付けられる左右一対のローラ3と、各ローラ支持部材2間に連結される連結プレート4に取付けられるギヤボックス5を備えている。引き戸100の背面側には略コの字型レール6を支持するレール支持部材7が設けられ、引き戸100の正面(前面)側にはローラ3やギヤボックス5等の部品を外観から隠すためのカバー部材8が設けられている。
連結プレート4は、中央部に結合凹部4hを備えた略U字型形状である。結合凹部4hにギヤボックス5の両端から張り出すフランジ部5fが結合される。なお、フランジ部5fが左右それぞれに二箇所あり合計で四箇所あるのは、引き戸100が左右どちらに開く場合にも、ギヤボックス5の向きを変えて対応可能とするためである。本実施例では引き戸100が左方向へ開く場合を示した。なお、左右対向した一対のギヤボックス5を設ければ、閉扉動のみならず開扉動の助勢も可能となる。
ギヤボックス5の上部には、ピニオンギヤ10の第1ギヤ10aが突出しており、第1ギヤ10aが、レール6の上辺下面に設置されたラックギア11に噛合している。ラックギア11は、引き戸100の開閉方向に対してほぼ全長に設けられ、第1ギヤ10aとラックギア11は常に噛合している。
ギヤボックス5は、ケース12(収納ケース)内のピニオンギヤ軸13周りに回転自在な第1ギヤ10a、第2ギヤ10bの一体化物からなるピニオンギヤ10と、第2ギヤ10bに噛合するアイドルギヤ14と、アイドルギヤ14に噛合するゼンマイギヤ15と、ゼンマイギヤ15のギヤ軸16にゼンマイギヤ15と独立して回転自在に配設されたゼンマイ位置規制ギヤ17と、ゼンマイ位置規制ギヤ17の凹所内に内装される渦巻き式のゼンマイ18と、ゼンマイ18上に被せられる円盤状のカバープレート20とを備えている。なお、ゼンマイギヤ15はカバープレート20の上面側中央に一体化されている。なお本実施例では、図上の表側を上面側といい、図上の裏側を下面側という。
カバープレート20の下面側中央には、さらに、一体化された係合凸部19(ゼンマイギアの係合部)がある。ゼンマイギヤ15がゼンマイ巻き上げ方向に回転すると、係合凸部19はゼンマイ18の内周側に張り出す係合部18k(第一端部)と係合する。但し、ゼンマイギア15がそれと逆方向に回転すると、係合凸部19は、は係合部18kと係合せず空回りする。このようにゼンマイ18の係合部18kとゼンマイギア15の係合凸部19は、固定されておらず係脱自在となっている。
ゼンマイ位置規制ギヤ17の内周部には、複数の係合凹部17k(ゼンマイ位置規制部材の係合部)が均等配置されている。この係合凹部17kに、ゼンマイ18の外周側に張り出す係合部18t(第二端部)が係合するため、ゼンマイ18は暫定的に回転不能となっている。もっとも、係合凹部17kと係合部18tは固定されておらず、係脱可能となっている。このため、ピニオンギヤ10によりゼンマイ18が過剰に巻回されると、ゼンマイ18の外円周径が小さくなり、係合部18tと係合凹部17kの係合が解除されて、ゼンマイ18の巻き過ぎによる不具合(切断、変形等)が防止される。
係合凹部17kおよび係合部18tの位置は、ゼンマイ位置規制ギヤ17に常時噛合する調整ギヤ21を回転させることにより調整される。調整ギヤ21は、図6に示すように、ゼンマイ位置規制ギヤ17に噛合するギヤ部21a、係止用凹凸部21k、調整凸部21tを備え、調整ギヤ軸22に挿入されたスプリング23をケース蓋24(図3(a))により圧縮した状態で組み付けられている。調整ギヤ21の係止用凹凸部21kは、ケース蓋24の貫通穴24hの周囲に形成された係止用凹凸部24kと嵌合自在となっている。作業者等がドライバー等の工具を溝mに差し込み、スプリング23を押圧しながら調整ギヤ21を奥に押し込むと、調整ギヤ21の係止用凹凸部21kとケース蓋24の係止用凹凸部24kとの係合が外れる。これにより調整ギヤ21が回転可能となり、調整ギヤ21およびゼンマイ位置規制ギヤ17を介した係合凹部17kと係合部18tの位置調整が可能となる。
なお、調整ギヤ21を回転させてゼンマイ18を予め一定量巻いておくと、引き戸100が閉まっているときでも、ゼンマイ18に反発力が残存した状態とできる。これにより、引き戸100の閉じ残しの発生を解消できる。従って、調整ギヤ21およびゼンマイ位置規制ギヤ17は、本考案でいう閉扉補完手段をも構成し得る。
こうして本実施例の助勢引き戸装置Dによれば、引き戸100を開扉動させると、ラックギア11に噛合するピニオンギヤ10が回転し、ギヤボックス5内のゼンマイ18が巻き上げられる。その後、人が引き戸100から手を離すと、ゼンマイ18の巻戻力(反発力)で、引き戸100は自動的に閉まるように助勢される。また調整ギヤ21によりゼンマイ18の巻量を調整したり、ピニオンギヤ10とゼンマイギヤ15のギヤ比を調整すれば、ゼンマイ18に蓄積される反発力を変更でき、引き戸100の閉まり具合も自在に変更可能となる。
なお、本実施例では引き戸100が自動的に閉扉する場合について説明したが、上述したように、ギヤボックス5を裏返して取り付ければ、引き戸100が自動的に開扉する場合についても、上述した内容が当てはまる。また、そのようなギヤボックス5を対向して一対設ければ、閉扉および開扉が自動化された助勢引き戸装置が得られる。
《引き戸》
引き戸100に用いた非常に軽量で高強度、高剛性なハニカム構造体について、図7〜11を参考にしつつ詳しく説明する。
引き戸100に用いた非常に軽量で高強度、高剛性なハニカム構造体について、図7〜11を参考にしつつ詳しく説明する。
(1)第一ハニカム構造体
ハニカム構造体の一形態であるハニカム構造体1000は、図7(a)に示すように、六角筒状の筒状部分が縦横に並設されたハニカム状のコア層102と、コア層102の上下両面に接合されるシート状のスキン層103、104とから構成されている。
ハニカム構造体の一形態であるハニカム構造体1000は、図7(a)に示すように、六角筒状の筒状部分が縦横に並設されたハニカム状のコア層102と、コア層102の上下両面に接合されるシート状のスキン層103、104とから構成されている。
コア層102は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂製の帯状シート102a(図8(a)参照)を所定間隔ごとに屈曲させて形成した屈曲シート102b(図8(b)参照)を複数並置することにより形成される。ちなみに、屈曲シート102bは帯状シート102aを、正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状の起伏が連続した略波状に、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法により成形したものである。
屈曲シート102bの起伏の頂部又は底部の外面同士を当接させて複数の屈曲シート102bを並置すると、隣り合う一対の屈曲シート102bにより六角筒状のセルSが区画形成され、コア層102となる。
このコア層102の上端側及び下端側に、スキン層103、104となるポリプロピレン等の熱可塑性樹脂製シートを熱溶着させると、ハニカム構造体1000が得られる。ハニカム構造体1000を構成するセルSは、図7(a)のX方向に隣接する屈曲シート102bの頂部又は底部の外面同士の当接部位が2層構造をなした中間壁105を有する。スキン層103、104に対して垂直に形成された中間壁105により、ハニカム構造体1000は厚み方向の圧縮力に対して高強度、高剛性となっている。
ところで、コア層102を構成する屈曲シート102b同士は互いに当接するのみで離間可能に構成されており、中間壁105の層間も互いに離間可能となっている。このため図7(b)に示すように、セルS内の内圧が高まった場合、中間壁105はその内圧によって層間が全面的に押し広げられ、層間に空間(連通部106)が形成され、セルS同士の連通が許容される。この結果、内圧の上昇に伴うセルSやハニカム構造体1000の変形が抑制される。また、ハニカム構造体1000の厚み方向に過大な圧縮力が作用した場合も、中間壁105はその各層が離間するように押し広げられて、圧縮力が分散されるようになっている。従ってハニカム構造体1000は、連通部106により高い衝撃吸収性(クッション性)も発揮する。
(2)第二ハニカム構造体
ハニカム構造体の別形態であるハニカム構造体2000は、ハニカム構造体1000と製造方法が異なり、そのコア層202の構造が既述したコア層102と相違している。以下、この相違点について主に説明する。
ハニカム構造体の別形態であるハニカム構造体2000は、ハニカム構造体1000と製造方法が異なり、そのコア層202の構造が既述したコア層102と相違している。以下、この相違点について主に説明する。
ハニカム構造体2000は次のようにして製造される。先ず図9(a)に示すように、帯状シート202aがその厚み方向に複数重ねて配置され、隣接する帯状シート202a同士を接合する接着部202dが、帯状シート202aの長手方向に一定間隔で設けられて、積層体202cが形成される(図9(b)参照)。接着部202dは、帯状シート202aの短手方向(上下方向)における両端部側のみに設けられている(図9(c)参照)。
次に積層体202cをその積層方向に伸張すると、図9(d)に示すような六角筒状のセルSが縦横に並設されたハニカム状のコア層202が形成される。このコア層202の上端側及び下端側に、スキン層となるシート材を熱溶着させると、ハニカム構造体1000と同様な外観のハニカム構造体2000(図7(a)参照)が形成される。
但し、ハニカム構造体2000は、接着部202dにより上下端部が接合された2層構造の中間壁205を有する。この場合も、図9(e)に示すように、セルS内の内圧が上昇すると、コア層202の両端部が一体(2層構造)となったまま、非接着部となっている中央部が押し広げられた連通部206が形成される。ハニカム構造体2000は、中間壁205の両端部が接着されている点で、上述したハニカム構造体1000の機能を有しつつも、ハニカム構造体1000より高強度、高剛性となり得る。
(3)第三ハニカム構造体
ハニカム構造体のさらに別形態であるハニカム構造体3000の全体斜視図を図10(a)に、そのβ−β断面図を同図(b)に、そのγ−γ断面図を同図(c)にそれぞれ示した。ハニカム構造体3000も、ハニカム構造体1000と製造方法が異なり、そのコア層302の構造が既述したコア層102と相違している。以下、その相違点について主に説明する。
ハニカム構造体のさらに別形態であるハニカム構造体3000の全体斜視図を図10(a)に、そのβ−β断面図を同図(b)に、そのγ−γ断面図を同図(c)にそれぞれ示した。ハニカム構造体3000も、ハニカム構造体1000と製造方法が異なり、そのコア層302の構造が既述したコア層102と相違している。以下、その相違点について主に説明する。
コア層302は、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂製のシートを所定形状に成形した1枚のシート材を折り畳んで形成されている。コア層302は、上壁321と下壁322と、それらの間に立設された中間壁323とにより構成される。これら上壁321、下壁322および中間壁323により、コア層302内に六角筒状のセルSが区画形成される。
ハニカム構造体3000は、形態の異なる第1セルS1と第2セルS2を有する。第1セルS1は、その上端が2層構造の上壁321によって閉塞されるとともに、同下端が1層構造の下壁322によって閉塞されている。この2層構造の上壁321の各層は互いに接合されている。第1セルS1の上端にある上壁321の中央部分には、開口部324が形成されている。開口部324は、六角形状をなす第1セルS1の端面において、中心を通る一つの対角線に沿って、略楕円状に形成されている(図10(a)参照)。
第2セルS2は、その上端が1層構造の上壁321によって閉塞されるとともに、同下端が2層構造の下壁322によって閉塞されている。2層構造の下壁322の各層間は互いに接合されている。第2セルS2の下端における下壁322の中央部分には、第1セルS1に設けられる開口部324と同様の開口部324が形成されている。
図10(a)のX方向に、第1セル同士又は第2セルS2同士が列を形成するように隣接して配置されている。またX方向に直交するY方向では、第1セルS1の列と第2セルS2の列とが交互に配置されている。隣接する第1セルS1同士の間および隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の中間壁323により区画されている。この2層構造の中間壁323は、各層間が互いに接するのみで離間可能となっている。
セルS内の内圧が上昇すると、中間壁323は、全面的に押し広げられて層間に連通部23aが形成される(図10(b)、(c)の破線部分)。連通部23aにより、Y方向に隣接する第1セルS1同士または第2セルS2同士が連通される。
コア層302の上端側および下端側に、スキン層303、304となるシート材を熱溶着させると、ハニカム構造体3000が形成される。ハニカム構造体3000の上面は、開口部324に対応して形成されるスキン層303のみの1層部分L1と、1層構造の上壁321およびスキン層303からなる2層部分L2と、2層構造の上壁321およびスキン層303からなる3層部分L3とから構成される。ハニカム構造体3000の下面も、上面と同様に1層部分L1、2層部分L2および3層部分L3から構成される。
上面において1層部分L1および3層部分L3であった部位に、下面の2層部分L2が配置され、上面において2層部分L2であった部位に下面の1層部分L1または3層部分L3が配置される。1層部分L1および2層部分L2によりハニカム構造体3000の成形性が向上し、3層部分L3によりセル骨格が補強されてハニカム構造体3000の強度や剛性が向上する。なお、ハニカム構造体3000も、ハニカム構造体1000やハニカム構造体2000と同様に、全体として観ると、上面側および下面側が同構造となっており、表裏間に異方性はない。
ところでハニカム構造体3000は、例えば、図11に示すように、熱可塑性樹脂からなる1枚のシート材3100を成形する成形工程と、そのシート材3100を折り畳むことによりコア層302を形成する折畳工程と、コア層302に開口部324を形成する開口形成工程と、コア層302の上下両面にスキン層303、304を接合する接合工程とにより製造される。
成形工程では、図11(a)に示すように、シート材3100に、帯状をなす平面領域3110と膨出領域3120を、その幅方向(X方向)に交互に成形する。膨出領域3120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部3121が膨出領域3120の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。第1膨出部3121の幅(上面の短手方向の長さ)は、平面領域3110の幅と等しく、かつ第1膨出部3121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍に設定されている。
膨出領域3120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部3122が、第1膨出部3121に直交するように形成されている。第2膨出部3122の膨出高さは、第1膨出部3121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また隣り合う第2膨出部3122間の間隔は、第2膨出部3122の上面の幅と等しくなっている。これらは、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法を用いて、1枚のシート材3100により形成可能である。
折畳工程では、成形工程後のシート材3100を、図11(a)に示す平面領域3110と膨出領域3120の境界線Pで谷折りした後、第1膨出部3121の上面と側面との境界線Qで山折りしてX方向に圧縮する。そうすると図11(b)に示すように、第1膨出部3121の上面と側面が折り重なるとともに、第2膨出部3122の端面と平面領域3110が折り重なる。こうして図11(c)に示すように、一つの膨出領域3120に対して一つのY方向に延びる角筒状の区画体3130が形成される(図11(c)参照)。この区画体3130がX方向に連続することによりコア層302(原形)が形成される。
開口形成工程では、その折畳状態を保持したままの状態で、コア層302の上面および下面を所定の温度で加熱しつつ、厚み方向に押圧する。これにより2層構造の重ね合わせ部3131が熱溶着して接合される。この際、各重ね合わせ部3131が熱収縮して、第1セルS1の上端および第2セルS2の下端を区画する一対の重ね合わせ部3131に、隙間(開口部324)が形成される。なお、重ね合わせ部3131は熱収縮させつつも、2層構造の中間壁323間が熱溶着しないようにする。
接合工程では、開口形成工程を経て得られたコア層302の上面および下面にそれぞれスキン層303、304となるシート材を接合する。こうして図10(a)に示すようなハニカム構造体3000が得られる。なお、本実施例でも、スキン層303、304とコア層302には同じ熱可塑性樹脂を用いて、両者の熱溶着を容易にした。
D 助勢引き戸装置
100 引き戸
5 ギヤボックス(助勢手段)
100 引き戸
5 ギヤボックス(助勢手段)
Claims (13)
- 開口枠の上縁および/または下縁に設けられたレールに沿って開扉動または閉扉動する引き戸と、
該引き戸の開扉動または閉扉動を助勢する助勢手段と、
を備える助勢引き戸装置であって、
前記引き戸は、前記開口枠を塞ぎ得る対向した一対の外層と、該外層間に形成された内層とからなり、
該内層は、中空、中空セルまたは発泡体からなることを特徴とする助勢引き戸装置。 - 前記引き戸の内層は、内部に多角筒状又は円筒状をなす複数のセルが並設されてなるコア層からなり、
前記引き戸の外層は、該コア層の両面側に配設されたスキン層からなる請求項1に記載の助勢引き戸装置。 - 前記コア層は、隣接する前記セル間を連通する連通部を有する請求項2に記載の助勢引き戸装置。
- 前記コア層および前記スキン層は、熱可塑性樹脂からなるシート材を折畳成形されてなる請求項2または3に記載の助勢引き戸装置。
- 前記引き戸は、左縁および/または右縁に枠体を有する請求項2〜4のいずれかに記載の助勢引き戸装置。
- 前記引き戸の外層は、合成樹脂製、木製または軽合金製からなる請求項1〜5のいずれかに記載の助勢引き戸装置。
- 前記引き戸は、前記外層の最表面側に化粧層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の助勢引き戸装置。
- 前記助勢手段は、収納ケースと、前記レールと並行に設けられたラックギアに噛合しつつ前記引き戸の開扉動または閉扉動に応じて回動するピニオンギヤと、該ピニオンギヤの回動に連動して巻回され得るゼンマイと、該ゼンマイの第一端部に係合する係合部を有し該ピニオンギヤに噛合して回動することにより該ゼンマイを巻回するゼンマイギアと、該ゼンマイの第二端部に係合する係合部を有し該ゼンマイの位置を規制するゼンマイ位置規制部材とからなり、
該ゼンマイギアの係合部または該ゼンマイ位置規制部材の係合部は、前記ゼンマイの第一端部または第二端部と係脱自在である請求項1に記載の助勢引き戸装置。 - 前記ゼンマイ位置規制部材は、ゼンマイ位置規制ギヤであり、
さらに、該ゼンマイ位置規制ギヤに噛合し、前記ゼンマイの第二端部の位置を前記収納ケース外から調整できる調整ギヤを有する請求項8に記載の助勢引き戸装置。 - 前記助勢手段は、前記引き戸の上方に開放状態のまま取り付け可能である請求項1、8または9に記載の助勢引き戸装置。
- さらに、前記引き戸の閉扉動を補完して該引き戸による閉じ残しを解消する閉扉補完手段を有する請求項1〜10のいずれかに記載の助勢引き戸装置。
- さらに、前記引き戸が開扉動または閉扉動を開始する際の初期動をアシストする初期動アシスト手段を備える請求項1〜11のいずれかに記載の助勢引き戸装置。
- さらに、前記引き戸が開扉動または閉扉動を終了する際の終速を規制する終速規制手段を備える請求項1〜12のいずれかに記載の助勢引き戸装置。
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JP2018003355A (ja) * | 2016-06-29 | 2018-01-11 | 鹿島建設株式会社 | コンクリート打設用型枠及びコンクリート打設方法 |
US10344515B2 (en) | 2015-03-13 | 2019-07-09 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Travel assistance device and sliding door device provided with same |
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