JP3171484B2 - 光学活性フッ素含有アルコールの製法 - Google Patents

光学活性フッ素含有アルコールの製法

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JP3171484B2 JP16214092A JP16214092A JP3171484B2 JP 3171484 B2 JP3171484 B2 JP 3171484B2 JP 16214092 A JP16214092 A JP 16214092A JP 16214092 A JP16214092 A JP 16214092A JP 3171484 B2 JP3171484 B2 JP 3171484B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加水分解酵素を用いて
ビニルエステルとフッ素含有アルコ−ルのラセミ体から
不斉エステル化反応を用いることにより対応する光学純
度の高いフッ素含有アルコ−ルを製造する方法に関す
る。本発明の光学活性なフッ素含有アルコ−ルは、液晶
材料、医農薬等の中間体として有用である。
【0002】
【従来技術】光学活性なハロゲン含有アルコ−ルの製造
法には、有機合成反応による不斉合成やジアステレオマ
−による光学分割があるが、高い光学純度を得ることや
大量合成が非常に困難であり、実用的な製造法として確
立された例は少ない。また、酵素を用いる光学分割法
は、本発明者らの特開平2−282340、および特開
平1−233243、特開平1−233244が報告さ
れているが、水溶液中での酵素反応であり、基質の分散
性等が悪く、高い光学収率を得ることや大量合成には不
利な点があり、また、酸素の分離・回収が困難である
等、水溶液中における酵素反応は様々な技術的問題点が
ある。これらの技術的問題点を克服するため、有機溶媒
中における不斉酵素反応が注目されてきた。エステル化
反応は可逆的反応であり、一部の逆反応のために、高い
光学純度が得られない等の問題点がある。最近、ビニル
エステル誘導体を用いて不可逆的エステル化反応を行な
い、高い光学純度を得ることができると報告されている
(J.Org.Chem.1988,53,3127〜
3129,)。しかしながら、ハロゲン含有アルコ−ル
の報告例は、ほとんど無く、僅かに、トリフルオロメチ
ル基を有するアルコールのビニルエステル類とのエステ
ル交換反応による光学分割を、Pseudomonas
sp由来のリパーゼPを用いて試みているが、まった
く反応が進行せず、光学分割されてない(J.Che
m.Soc.,Chem.Commun.,1988,
1459〜1461、とくに第1表)。
【0003】
【目的】本発明の目的は、有機溶媒中においてラセミ体
のフッ素含有アルコールから効率よく光学活性フッ素含
有アルコールを製造する新らしい方法を提供する点にあ
る。
【0004】
【構成】本発明の第1は、有機溶媒中において、一般式
〔I〕
【化8】 (式中、RはCHF、CHF、CF、C
およびCよりなる群から選ばれたフッ素含有アル
キル基、Rは炭素数4〜16のアルキル基、アラルキ
ル基および置換または無置換のアリ−ル基よりなる群か
ら選らばれた基)で表わされるフッ素含有アルコ−ルラ
セミ体と、一般式〔II〕
【化9】 (式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基、置換アル
キル基またはアルケニル基、Rは炭素数2〜4の置換
または無置換のビニル基)で表わされるビニルエステル
類とを、クロモバクテリウム(Chromobacte
rium)属由来の酵素の作用により、不斉エステル交
換反応させることを特徴とする一般式〔III〕
【化10】 (式中、R、Rは前記と同じ、*は不斉炭素)で表
わされる光学活性(鏡像体)フッ素含有アルコ−ルを製
造する方法に関する。
【0005】本発明の第2は、有機溶媒中において、一
般式〔I〕
【化11】 (式中、RはCHF、CHF、CF、C
およびCよりなる群から選ばれたフッ素含有アル
キル基、Rは炭素数4〜16のアルキル基、アラルキ
ル基および置換または無置換のアリ−ル基よりなる群か
ら選らばれた基)で表わされるフッ素含有アルコ−ルラ
セミ体と、一般式〔II〕
【化12】 (式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基、置換アル
キル基またはアルケニル基、Rは炭素数2〜4の置換
または無置換のビニル基)で表わされるビニルエステル
類とを、クロモバクテリウム(Chromobacte
rium)属由来の酵素の作用により、不斉エステル交
換反応させることにより、一般式〔IV〕
【化13】 (式中、R、R、Rは前記と同じ、*は不斉炭
素)で表わされる光学活性フッ素含有エステルを得、
(これを分離した後、)加水分解することを特徴とする
一般式〔III〕
【化14】 (式中、R、Rは前記と同じ、*は不斉炭素)で表
される光学活性(鏡像体)フッ素含有アルコ−ルを製造
する方法に関する。
【0006】本発明の概略を反応式(1),(2)で示
すと、
【化15】 となる。なお、この反応式では式(1)の生成物である
ROHは(R)型と、式(3)の生成物であるROHは
(S)型と表示したが、式(1)と式(2)の生成物の
いずれが(R)型となり、(S)型となるかは使用する
酵素により決まることである。ここでは、説明の便宜
上、式(1)の生成物を(R)型、式(3)の生成物を
(S)型として説明する。本来、反応成分のエステル成
分にビニル基をもたない場合には、前記反応式(1)は
可逆反応となり、せっかく生成した(S)型RCOO
Rが再び逆エステル化反応をおこしてしまい、光学純度
を低下させてしまうが、エステル成分にビニル基が含ま
れていると、反応式(1)で生成したビニルアルコール
成分は反応式(2)で示すようにさらにケトンまたはア
ルデヒドへと互変異性をおこし、ケトンまたはアルデヒ
ドに変化するため、結果として反応式(1)は可逆反応
をおこさない。したがって、生成した(R)型ROHの
光学純度が低下することを防ぐことができる。
【0007】式〔I〕のRとしては、CHF、CH
、CF、C、Cをあげることができ
る。Rの具体例としては、n−ブチル基、iso−ブ
チル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘ
キシル基等の直鎖または分岐アルキル基、フェニル又は
置換フェニル基(トリル基、キシリル基等)、ベンジル
基、フェネチル基等をあげることができる。Rの具体
例としては、アルキル基としてはメチル基、エチル基、
n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n
−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等が、置
換アルキル基としてはモノクロロメチル基、モノブロモ
メチル基、モノクロロエチル基、モノクロロプロピル基
などが挙げられ、更にアルケニル基としては、CH
CH−、CHCH=CH−、CH=C(CH
−、CHCH=CHCH=CH−、CH=CH−
(CH−等をあげることができる。Rの具体例
としては、ビニル基、iso−プロペニル基、n−ブテ
ニル基等をあげることができる。Rの具体例として
は、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、iso−ブ
チル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル
基、n−ヘキサデシル基またはベンジル基等をあげるこ
とができる。
【0008】一般式〔I〕の化合物例としては、
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】 一般式〔II〕の化合物例としては、
【化23】
【化24】 一般式〔III〕の化合物例としては
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【0009】有機溶媒の例としては、脂肪族炭化水素系
溶媒、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、脂環族炭化
水素系溶媒、例えばシクロヘキサン、芳香族系溶媒、例
えばトルエン、エーテル系溶媒として、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテルおよびテトラヒドロフラン
または塩素化脂肪族炭化水素、例えば1,2−ジクロル
エタンやクロロフォルムを挙げることができるが、塩素
系溶媒が好ましい。本発明における有機溶媒中での不斉
エステル交換反応による光学分割に使用される酵素は、
有機溶媒中にて失活すること無く不斉エスエル交換反応
を進行させる必要があり、本発明者らが鋭意検討した結
果、クロモバクテリウム(Chromobacteri
um)属由来の酵素(例えば商品名 リパーゼLP、東
洋醸造社製)が、有機溶媒中においてビニルエステル類
とフッ素含有アルコールとの不斉エステル交換反応に対
して、効率良く光学分割性能を示し、高い光学純度のフ
ッ素含有アルコールを得ることができた。酵素の使用量
は、反応基質に対して20wt%以上であることが好ま
しい。とくに35〜65wt%が好ましい。なお、5w
t%程度でも反応は進行するが、長時間(たとえば30
0〜600時間)を要する。
【0010】反応温度は、通常、酵素が失活しない温
度、すなわち20〜70℃、好ましくは50〜60℃の
温度範囲である。たゞし、酵素により好ましい範囲に若
干の変動があることは勿論である。反応時間にはとくに
制限はないが、通常1〜300時間の範囲で反応させ
る。本発明における高い光学純度を得るための不斉エス
テル交換率は、酵素および基質の組合せにより最適値が
異なる。例えば、ペンタフルオロ−2−アルカノールと
リパーゼLP等の組合せでは、50%以上、好ましくは
55〜60%以上の交換率で反応を止め、90%以上の
高い光学純度を得ることができる。エステル交換率をこ
れより高くすることは可能であるが収率が低下する傾向
になる。エステル交換率の測定方法は、反応液を以下の
条件で直接ガスクロマトグラフィーにより分析しエステ
ル交換率を測定する。 gas chromatography条件〔GLC条件〕 カラム :SE−30 初期温度 :250℃ カラム温度 :130℃ 検知 :FID 反応液を3μlを注入 本反応により光学分割された光学活性フッ素含有アルコ
ールを得た場合、鏡像体はエステル体として反応系中に
存在するが、このものを分離回収して、通常のアルカリ
による加水分解することにより、逆の絶対構造をもつ光
学活性体を得ることができる。
【0011】本発明における光学純度決定の操作方法の
詳細は次のとおりである。サンプルアルコールを約5m
g量り、dry−トルエン0.5mlに溶解させ、3,
5−ジニトロフェニルイソシアナート約5mgを加えて
粉砕し、次いで4−ジメチルアミノピリジン約5mg〜
10mgを加える。これを60℃〜70℃で1時間撹拌
後、60℃〜70℃で濃縮する。残渣をエーテル約15
mlに溶解させ、1M HCl×2、H2O×1、1M
NaHCO3、sat.NaCl×1で順次洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥する。このエーテル層約8μ
lを下記のHPLC条件(高速液クロ;high pr
essure liquidchromatograp
hy)にて分析する。 〔HPLC条件〕 カラム :SUMICHIRAL OA−4000 溶媒 :n−Hex:CHCl:IPA=50:30:1 流量 :1ml/min 検知波長 :254nm
【0012】
【実施例】その1: 1,1,1,2,2−ペンタフル
オロ−3−ウンデカニルアルコールの光学分割反応実施
【化33】 実施例1 1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−ウンデカニ
ルアルコール2.4g、ビニルブチレート3g、リパー
ゼLP(東洋醸造社製、Chromobacteriu
m viscosum)750mgをn−hexane
30ml中に加え、よく分散するように攪拌しながら、
30℃で72時間反応を行った。反応は8時間毎にガス
クロマトグラフィーによりエステルの交換率を追跡しな
がら行った。交換率65%に達した時、吸引濾過により
リパーゼを除去し反応を終了させた。濾液を濃縮後、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィー〔n−hexane
/イソプロピルエーテル=5/1(容量比)〕で分離、
精製し、the firstfractionとしてエ
ステル、the second fractionとし
て目的物の光学活性1,1,1,2,2−ペンタフルオ
ロ−3−ウンデカニルアルコール0.61gを得た。 NMR(CDCl δ TMS内部標準) 0.84(3H t J=6.7Hz) 1.1〜1.43(12H m) 1.45〜1.62(2H m) 1.63〜1.75(1H m) 3.87〜4.20(1H m) 3,5−ジニトロフェニルイソシアナート誘導体にてH
PLC分析を行った結果、光学純度86%eeの(R)
−体であった。
【0013】実施例2 ビニルブチレートの代わりに酢酸ビニル3gを用い、実
施例1と同様の操作を行ったところ、反応時間48時
間、交換率50%で、得られた光学活性アルコールの光
学純度は39%eeであった。 実施例3 ビニルブチレートの代わりにプロピオン酸ビニル3gを
用い、実施例1と同様の操作を行ったところ、反応時間
20時間、交換率64%で、得られた光学活性アルコー
ルの光学純度は93.5%eeであった。 実施例4 溶媒としてn−hexaneの代わりにイソプロピルエ
ーテルの同量を用い、実施例2と同様の操作を行ったと
ころ、反応時間168時間、交換率54%で、得られた
光学活性アルコールの光学純度は64%eeであった。 実施例5 エステルとしてビニルブチレートの代わりにプロピオン
酸ビニル3g、溶媒としてn−hexaneの代わりに
1,2−ジクロルエタン30mlを用い、反応温度50
℃で実施例1と同様の操作を行ったところ、反応時間9
0時間、交換率58%で、得られた光学活性アルコール
の光学純度は97.6%eeであった。 実施例6 溶媒として1,2−ジクロルエタンの代わりにテトラヒ
ドロフラン(THF)30mlを用い、実施例5と同様
の操作を行ったところ、反応時間383時間、交換率5
9%で、得られた光学活性アルコールの光学純度は90
%eeであった。
【0014】実施例7 溶媒として1,2−ジクロルエタンの代わりにn−ヘキ
サンを用い、実施例5と同様の操作を行ったところ、反
応時間116時間、交換率62%で、得られた光学活性
アルコールの光学純度は72%eeであった。 比較例1 Chromobacterium viscosum属
由来のリパーゼLPの代わりに、リパーゼtype XI
II(シグマ社製Pseudomonas sp.)を用
い、実施例7と同様の操作を行ったところ、反応時間3
30時間、交換率64%で、得られた光学活性アルコー
ルの光学純度は9.6%eeであった。 比較例2 Chromobacterium viscosum属
由来のリパーゼLPの代わりに、リパーゼSAM−II
(フルカ社製Pseudomonas sp.)を用
い、実施例5と同様の操作を行ったところ、反応時間3
30時間、交換率46%で、得られた光学活性アルコー
ルの光学純度は28.8%eeであった。 比較例3 リパーゼtype VII(シグマ社製Candida
cylindracea)を用い、実施例5と同様の操
作を行ったところ、反応時間330時間、交換率6%
で、得られた光学活性アルコール体の光学純度は5.1
%であった。
【0015】その2: 1,1,1−トリフルオロ−2
−デカノールの光学分割反応実施例
【化34】 実施例8 1,1,1−トリフルオロ−2−デカノール2.4g、
プロピオン酸ビニル3g、リパーゼLP(東洋醸造社
製、Chromobacterium viscosu
m)750mgをクロロホルム30ml中に加え、よく
分散するように攪拌しながら、50℃で70時間反応を
行った。反応は8時間毎にガスクロマトグラフィーによ
りエステルの交換率を追跡しながら行った。交換率76
%で反応を終了させ、吸引濾過によりリパーゼを除去し
た。濾液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー〔n−hexane/イソプロピルエーテル=5/1
(容量比)〕で分離、精製し、the first f
ractionとしてエステル、the second
fractionとして目的物の光学活性1,1,1
−トリフルオロ−2−デカノール0.45gを得た。 NMR(CDCl3 δ TMS内部標準) 0.86(3H t J=7.0Hz) 1.20〜1.40(11H m) 1.45〜1.60(2H m) 1.60〜1.70(1H m) 3.70〜3.85(2H m) 3,5−ジニトロフェニルイソシアナート誘導体にてH
PLC分析を行った結果、光学純度95%eeの(R)
−体であった。
【0016】実施例9 溶媒としてクロロホルムの代わりに(THF)30ml
を用い、実施例8と同様の操作を行ったところ、反応時
間95時間、交換率75%で、得られた光学活性アルコ
ールの光学純度は82%eeであった。 実施例10 溶媒としてクロロホルムの代わりにトルエン30mlを
用い、実施例8と同様の操作を行ったところ、反応時間
95時間、交換率78%で、得られた光学活性アルコー
ルの光学純度は81%eeであった。 実施例11 溶媒としてヘキサン30mlを用い、実施例8と同様の
操作を行ったところ、反応時間70時間、交換率72%
で、得られた光学活性アルコールの光学純度は60%e
eであった。
【0017】その3: 1,1,1,2,2,3,3−
ヘプタフルオロ−4−デカノールの光学分割反応実施例
【化35】 実施例12 1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4−デ
カノール870mg、プロピオン酸ビニル1g、リパー
ゼLP(東洋醸造社製、Chromobacteriu
m viscosum)290mgを1,2−ジクロル
エタン20ml中に加え、よく分散するように撹拌しな
がら、50℃で72時間反応させた。反応は8時間毎に
ガスクロマトグラフィーによりエステルの交換率を追跡
しながら行った。交換率63%に達した時、吸引濾過に
よりリパーゼを除去し反応を終了させた。濾液を濃縮
後、シリカゲルクロマトグラフィー〔n−hexane
/イソプロピルエーテル=5/1(容量比)〕で分離、
精製し、the firstfractionとしてエ
ステル、the second fractionとし
て目的物の光学活性1,1,1,2,2,3,3−ヘプ
タフルオロ−4−デカノール160mgを得た。3,5
−ジニトロフェニルイソシアナート誘導体にてHPLC
分析を行った結果、光学純度46.5%eeの(R)−
体であった。 実施例13 エステルとしてプロピオン酸ビニルの代わりに酢酸ビニ
ル860mg、リパーゼLP(東洋醸造社製、Chro
mobacterium viscosum)550m
gを用いて実施例12と同様の操作を行ったところ、反
応時間53時間、交換率63%で、得られた光学活性ア
ルコールの光学純度は34.1%eeであった。 比較例4 Chromobacterium viscosum属
由来のリパーゼLPの代わりに、リパーゼSAM−II
(フルカ社製、Pseudomonas sp.)1g
を用いて実施例12と同様の操作を行ったところ、反応
時間95時間、交換率6.9%で、得られた光学活性ア
ルコールの光学純度は2.3%eeであった。
【0018】その4: 1,1,1,2,2,3,3−
ヘプタフルオロ−4−デカノールの光学分割反応実施例
【化36】 実施例14 1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4−デ
カノールの代わりに1,1,1,2,2,3,3−ヘプ
タフルオロ−4−ドデカノール950mgを用いて実施
例12と同様の操作を行ったところ、反応時間75時
間、交換率64.5%で得られた光学活性アルコール体
の光学純度は46.8%eeであった。
【0019】その5: 4,4,4−トリフルオロ−3
−ヒドロキシブタン酸エチルの光学分割反応実施例
【化37】 参考例1 4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシブタン酸エ
チル530mg、プロピオン酸ビニル1g、リパーゼL
P(東洋醸造社製、Chromobacterium
viscosum)290mgを1,2−ジクロルエタ
ン20ml中に加え、よく分散するように撹拌しなが
ら、50℃で11時間反応させた。交換率52.9%で
反応を終了させて、吸引濾過によりリパーゼを除去し
た。濾液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー〔n
−hexane/イソプロピルエーテル=5/1(容量
比)〕で分離、精製し、光学活性4,4,4−トリフル
オロ−3−ヒドロキシブタン酸エチル130mgを得
た。3,5−ジニトロフェニルイソシアナート誘導体に
てHPLC分析を行った結果、光学純度1.8%eeで
あった。 参考例2 リパーゼLPの代わりにリパーゼSAM−II(フルカ社
製、Pseudomonas sp.)を用いて参考例
1と同様の操作を行ったところ、反応時間169時間、
交換率61.9%で、得られた光学活性4,4,4−ト
リフルオロ−2−ヒドロキシブタン酸エチルの光学純度
は74%eeであった。 参考例3 リパーゼLPの代わりにリパーゼOF−360(名糖産
業社製)を用いて参考例1と同様の操作を行ったとこ
ろ、反応時間170時間、交換率5.3%で、得られた
光学活性4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシブ
タン酸エチルの光学純度は0.5%eeであった。 実施例15 実施例8のシリカゲルカラムクロマトグラフィーのth
e firstfractionとして得られた1,
1,1−トリフルオロ−2−デカノイルプロピオネート
1.63gをTHF−水(1:1)(30ml)に溶解
させ、水酸化ナトリウム(0.27g)を加えて30℃
で18時間撹拌を行った。水100mlを加えジエチル
エーテル(ml)にて抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、溶媒を除去し光学活性1,1,1−トリフルオロ−
2−デカノール(1.02g)を得た。3,5−ジニト
ロフェニルイソシアナート誘導体にてHPLC分析を行
った結果、光学純度31%eeの(S)−体であった。
【化38】
【0020】
【効果】本発明は、特定酵素の選択により、特定のフッ
素含有アルコールとビニルエステルとの不斉エステル交
換反応が全く進行しないと考えられていた壁をブレーク
スルーし、フッ素含有アルコールの高能率で有用な光学
分割法を提供できた。
フロントページの続き (72)発明者 音松 俊彦 兵庫県神戸市西区上新地3丁目10番6号 神戸天然物化学株式会社内 (72)発明者 栗田 壮太 兵庫県神戸市西区上新地3丁目10番6号 神戸天然物化学株式会社内 (72)発明者 鈴木 義一 東京都千代田区霞ヶ関3丁目2番5号 昭和シェル石油株式会社内 (72)発明者 西川 弘治郎 東京都中央区日本橋堀留町1丁目10番8 号 伊藤忠テクノケミカル株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−202296(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 41/00 BIOSIS(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒中において、一般式〔I〕 【化1】 (式中、RはCHF、CHF、CF、C
    およびCよりなる群から選ばれたフッ素含有アル
    キル基、Rは炭素数4〜16のアルキル基、アラルキ
    ル基および置換または無置換のアリ−ル基よりなる群か
    ら選らばれた基)で表わされるフッ素含有アルコ−ルラ
    セミ体と、 一般式〔II〕 【化2】 (式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基、置換アル
    キル基またはアルケニル基、Rは炭素数2〜4の置換
    または無置換のビニル基)で表わされるビニルエステル
    類とを、 クロモバクテリウム(Chromobacteriu
    m)属由来の酵素の作用により、不斉エステル交換反応
    させることを特徴とする一般式〔III〕 【化3】 (式中、R、Rは前記と同じ、*は不斉炭素)で表
    わされる光学活性フッ素含有アルコ−ルを製造する方
    法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒中において、一般式〔I〕 【化4】 (式中、RはCHF、CHF、CF、C
    およびCよりなる群から選ばれたフッ素含有アル
    キル基、Rは炭素数4〜16のアルキル基、アラルキ
    ル基および置換または無置換のアリ−ル基よりなる群か
    ら選らばれた基)で表わされるフッ素含有アルコ−ルラ
    セミ体と、 一般式〔II〕 【化5】 (式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基、置換アル
    キル基またはアルケニル基、Rは炭素数2〜4の置換
    または無置換のビニル基)で表わされるビニルエステル
    類とを、 クロモバクテリウム(Chromobacteriu
    m)属由来の酵素の作用により、不斉エステル交換反応
    させることにより、一般式〔IV〕 【化6】 (式中、R、R、Rは前記と同じ、*は不斉炭
    素)で表わされる光学活性フッ素含有エステルを得、こ
    れを加水分解することを特徴とする一般式〔III〕 【化7】 (式中、R、Rは前記と同じ、*は不斉炭素)で表
    される光学活性フッ素含有アルコ−ルを製造する方法。
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